JP2015205092A - 使用済み透析液用の除水器及びそれを用いた透析液再生システム - Google Patents

使用済み透析液用の除水器及びそれを用いた透析液再生システム Download PDF

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Abstract

【課題】ポンプを含む電気機器を必要とせずに、透析液を再生するための除水器及びそれを用いた透析液再生システムを提供することを目的とする。
【解決手段】使用済みの透析液51から水の一部分を除去するための除水器10であって、使用済み透析液51を流通させるための第1の区画11と、半透膜13によって当該第1の区画11から離隔された第2の区画12と、を有するケーシング14と、前記第2の区画内12に保持され、前記使用済み透析液51から前記半透膜13を通して前記水の一部分を除去するための水溶液15であって、前記半透膜13の分画分子量の1.5倍以上の分子量を有する高分子化合物を含有する水溶液15と、を含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、使用済み透析液から水の一部を除去するための除水器及びそれを用いた透析液再生システムに関する。
腎不全を患った患者では、腎機能の低下により、血液から過剰な水、過剰なカリウム、及びいわゆる毒素(例えば尿素及びクレアチニン等の窒素代謝物)を十分に体外排出できなくなる。そのような患者に対しては、血液中の過剰な水等を人為的に排出させるために、人工透析が行われる。人工透析には、主に、血液透析と腹膜透析がある。
血液透析は、患者の血液をダイアライザーに通過させて行う透析処理である。ダイアライザーでは、血液が流れる血液区画と、透析液が流れる透析液区画とが、半透膜で離隔されている。血液中の過剰な水等は、半透膜を通って透析液側に移動する。ダイアライザーの血液区画を通過した透析処理済み血液はそのまま患者に戻される。血液透析は、透析設備を備えた病院で行う必要がある。
腹膜透析は、人体の腹腔内に透析液を貯留して行う透析処理である。腹腔は、半透膜として機能する腹膜によって囲まれている。腹腔内に透析液を貯留すると、血液中の過剰な水等は、腹膜を通って透析液中に移動する。透析液は、一定期間腹腔内に貯留された後、体外に排出される。
腹膜透析を実施する患者の腹部には、腹腔内と体外とをつなぐカテーテルが埋設されている。腹腔内への透析液の供給及び排出は、そのカテーテルを介して行われる。腹腔内に透析液を供給する場合は、透析液の入った透析液バッグとカテーテルとをチューブでつなぎ、透析液バッグをカテーテルよりも高い位置に配置する。これにより、透析液は自重によって、自然に腹腔内に流入する。一方、腹腔内から使用済み透析液を排出するときは、使用済み透析液を貯留するための排液用バッグとカテーテルとをチューブでつなぎ、排液用バッグをカテーテルよりも低い位置に配置する。これにより、透析液は自重によって、自然に腹腔内から排出される。患者は、自宅で透析処理を行うことができる。
透析処理後の使用済み透析液は、使用前のものに含まれていないカリウムや低分子量の毒素(尿素、クレアチニン等)を含有している。また、使用後の透析液中の水の量は、使用前のものに比べて増加している。そのため、使用済み透析液は再利用できず、廃棄されていた。
一方、腹膜透析の患者は、毎日の透析に使用する透析液を自宅に保管する必要がある。透析液は1日で約8リットル使用するので、数週間〜1か月分の透析液を保管するために、患者は、数十〜数百リットルの透析液を保管できるスペースを自宅に確保する必要がある。
また、大規模地震等の広域災害では、透析液の確保が困難となり、十分な透析処理を行うことができなくなるおそれがある。
これらの問題を解決するために、使用した透析液を廃棄せずに、再生して再使用することが検討されてきた。
使用済みの透析液は、使用前の透析液に比べて、水の量が増加しているために、含まれている糖質の濃度が下がっている結果、浸透圧が低下している。また、使用済みの透析液には、使用前の透析液には含まれていなかったカリウムと毒素が含まれている。よって、使用済み透析液を再生するためには、浸透圧を上昇させるために水の一部を除去し、さらにカリウムと毒素を除去する必要がある。
透析液中の毒素を除去して透析液を再生する方法として、限外ろ過を用いる方法(特許文献1〜2)、毒素を吸着する吸着手段を用いる方法(特許文献3)が知られている。いずれの方法においても、ポンプを含む再生装置を使用する必要がある。
特開平10−85324号公報 特表2011−505209号公報 特表2007−516793号公報
限外ろ過等に適したポンプは比較的大型であり、そのようなポンプを含む透析液再生装置も大型になるため、自宅での使用に適していない。そのため、使用済み透析液を自宅で再生するのは現実的ではなく、使用済み透析液は、再生されずに廃棄されていた。
また、大規模災害等のように電源確保が困難な状況では、それらの再生装置は使用できない。
そこで、本発明は、ポンプを含む電気機器を使用せずに、透析液を再生するための除水器及びそれを用いた透析液再生システムを提供することを目的とする。
本発明は、使用済みの透析液からそれに含まれている水の一部分を除去するための除水器であって、
使用済み透析液を流通させるための第1の区画と、半透膜によって当該第1の区画から離隔された第2の区画と、を有するケーシングと、
前記第2の区画内に保持され、前記使用済み透析液から前記半透膜を通して前記水の一部分を除去するための水溶液であって、前記半透膜の分画分子量の1.5倍以上の分子量を有する高分子化合物を含有する水溶液とを含む。
水溶液は、水と、水に溶解した高分子化合物とを含み、必要に応じてカリウム除去剤等を含むことができる。
本発明によれば、第2の区画に除水用の水溶液を保持することにより、使用済みの透析液に対する該水溶液の浸透圧が高くなり、その結果、半透膜で離隔された第1の区画に使用済み透析液を流通させたときに、透析液から水の一部分を水溶液中に移動させること(つまり、透析液の除水)ができる。また、透析液からの除水に伴って、透析液中のカリウム及び毒素も水溶液中に移動させることができる。
なお、本明細書においては、使用済み透析液中の水の一部分が除去され、さらに水の排除に伴ってカリウム及び毒素も除去状態を「再生」と称する。ここで、「水の一部分」とは、例えば腹膜透析によって実質的に増加した水に相当する割合のことを指す。除水量は、例えば水溶液中に溶解した高分子化合物の濃度によって制御することができる。
また、除水用の水溶液中に含まれる高分子化合物の分子量が、半透膜の分画分子量の1.5倍以上であるので、水溶液から透析液への高分子化合物の移動を抑制することができる。これにより、除水の間に透析液中への高分子化合物の移動を抑制し、また除水用の水溶液の浸透圧が急激に低下するのを抑制することができる。
最も好ましい態様の一例としては、本発明は、10000〜13000、例えば11800の分画分子量を有する半透膜を備え、重量平均分子量20000のポリエチレングリコールを溶解した水溶液を第2区画に保持した除水器を提供する。水溶液中のポリエチレングリコール濃度は10〜30重量%とすることができ、特に20重量%であるのが好ましい。水溶液は、さらにカリウム除去剤を含有するのが好ましい。
本発明によれば、除水用の水溶液の浸透圧によって、使用済み透析液中から水の一部分を水溶液側に移動させ、それに伴って、使用済み透析液中からカリウム及び毒素も水溶液側に移動させることにより、使用済み透析液を再生するものである。よって、本発明は、従来の再生方法において使用されている限外ろ過を用いないので、限外ろ過で必要とされるポンプを用いることなく、透析液を再生することができる。
図1は、本願の実施の形態1に係る除水器の模式図である。 図2は、本願の実施の形態2に係る透析液再生システムの模式図である。 図3は、図2の部分拡大図である。 図4は、実施例1の測定結果を示す棒グラフである。 図5は、実施例2の測定結果を示す折れ線グラフである。
<実施の形態1>
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に示す除水器10は、使用済みの透析液から水の一部分を除去するためのものである。除水器10は、円筒状のケーシング14と、中空糸状の半透膜13とを含んでいる。半透膜13は、ケーシング14の内腔に配置されており、その両端は、ケーシング14の両端から延在する2本のライン(第1のライン21、第2のライン22)に接続できる。なお、図1には、理解を容易にするために便宜的に1本の中空糸状半透膜13を備えた除水器10を模式的に示しているが、通常、細い中空糸状半透膜を多数備えた除水器10を用いる。
ケーシング14は、半透膜によって2つの区画に離隔されている。第1の区画11は、半透膜13の内腔から構成されており、ここには使用済み透析液を流通させる。第2の区画12は、半透膜13とケーシング14との間の空間から構成されており、高分子化合物を含有する除水用の水溶液15が保持されている。この水溶液15中の高分子化合物の濃度は、使用済み透析液よりも浸透圧が高くなるように調節されている。
この除水器10の使用時には、使用済み透析液は、第1のライン21から矢印11aに沿って第1の区画11に流入し、第1の区画11を通過した後に、除水後の透析液、すなわち再生された透析液52が、第2のライン22から矢印11bに沿って流出する。使用済み透析液が第1の区画11を通過する際に、半透膜13を介して除水用の水溶液15が存在すると、使用済み透析液と水溶液15との浸透圧差により、使用済み透析液中の水の一部分は、半透膜13を通って水溶液15に移動する。また、水が移動する際に、使用済み透析液に含まれているカリウム及び半透膜の分画分子量に応じて低分子量の毒素(尿素、クレアチニン等)も半透膜13を通って水溶液15に移動する。これにより、使用済み透析液は、水の量が減少し、さらにカリウム及び低分子量の毒素(尿素、クレアチニン等)の含有量も減少する。再生された透析液に含まれる水の量を、使用前の透析液の水の量と同程度にすることにより、再生された透析液の除水能(透析時に血液中から余剰な水を除去する能力)を回復させることができる。また、使用済み透析液から水分の一部分を除去するときに、カリウム及び毒素も共に除去されるので、再生された透析液に含まれるカリウム及び毒素の含有量を低くすることができる(例えばカリウム30mmol/L以下)。そのため、再生された透析液のカリウム及び毒素の除去能(透析時に血液中からカリウム及び毒素等を除去する能力)を回復させることができる。このように、除水器10を用いることにより、透析液に必要な除水能及びカリウム等の除去能を回復できる(つまり、透析液の再生)。再生された透析液は、再生透析液として再び透析に利用することができるが、再生された透析液の組成に応じて、必要な場合には、再利用に際して成分調整するのが好ましい。
本明細書において「使用済み透析液」とは、腹膜透析では、腹腔から取り出した透析液を意味し、血液透析では、ダイアライザーを通過した後の透析液を意味する。
また、「水の一部分を除去」とは、使用済みの透析液の浸透圧を高めるために、使用済み透析液中の水の量を減らすことである。除去する水の量は、透析によって増加した水の量(使用済み透析液の量−使用前の透析液の量)の約60〜100%、好ましくは70〜100%とすることにより、透析液の除水能を復活させることができる。
さらに、「高分子化合物を含有する除水用の水溶液」とは、半透膜を通して透析液から水の一部分を除去するための水溶液であり、使用済み透析液よりも浸透圧が高くなるように、高分子化合物の濃度が調節されている。
この除水器10は浸透圧差を利用して除水しているので、例えば限外ろ過を使用する従来の透析液再生装置とは異なり、ポンプを必要としない。よって、電源確保が困難な状況(例えば大規模災害)等においても、透析液を再生することができる。また、この除水器10は、一般的な血液透析用ダイアライザーを使用することができ(例えば、直径3〜4cmφ、長さ30cm)、限外ろ過を行うのに使用される比較的大きいポンプを使用する従来の透析液再生装置に比べて小型にすることができる。
除水用の水溶液15の高分子化合物の濃度が下がると、浸透圧が低下するため、使用済み透析液中から水を除去する能力が低下する。使用済み透析液を連続的に再生すると、使用済み透析液中から除去される水によって、水溶液15の高分子化合物の濃度は徐々に低下する。ここで、高分子化合物が半透膜13を通過するなら、水溶液15中の高分子化合物の濃度が低下し、浸透圧も著しく低下することになる。そこで、水溶液15に溶解させる高分子化合物の分子量(Mw)を半透膜13の分画分子量の1.5倍以上とすることにより、高分子化合物が使用済み透析液に移動するのを実質的に防止して、水溶液15の浸透圧の低下を抑制することができる。
なお、「分画分子量」とは、透析の分野において用いられており、半透膜の細孔径と相関し、分画曲線上の特定の溶質透過阻止率が90%の分子量を指す。具体例としては、診療報酬上の血液透析器の機能区分において、I型ダイアライザーは分子量11800のβ2マイクログロブリン(β2MG)のクリアランス値が10mL/分未満と低く、β2MGは殆ど通過せずに遮断される。よって、当該ダイアライザーに使用される半透膜の分画分子量は、およそ11800と考えることができる。
また「分子量」とは、重量平均分子量(Mw)であり、以下の方法で算出することができる。…まず、高分子化合物の試料20gを用いて、JIS K 0070(化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化価の試験方法)の7.1(中和滴定法)に沿って水酸基価を算出する。得られた水酸基価を用いて、以下の式1で重量平均分子量を求める。
A=56106/B×C・・・(式1)
ここで、
A:平均重量分子量
B:水酸基価
C:1分子辺りの水酸基数(ポリエチレングリコールでは2)である。
半透膜13の分画分子量は、アルブミン等の血漿タンパク成分(分子量約66000)が通過しないように、44000以下であるのが好ましく、10000〜33000であるのがより好ましく、10000〜13000であるのが特に好ましい。血漿タンパク成分は、腹膜透析の際に血液から透析液中に漏出する成分であり、以下の理由から、再生透析液に残留させるのが望ましい。
血漿タンパク成分は、生体内に含まれるものであるため生体適合性が高く、かつ透析液の浸透圧を高める成分となり得るものである。使用前の透析液は、除水能を付与するために、所定濃度の糖質を含有しているが、糖質の一部は、腹膜透析の際に透析液から体内に吸収され得るといわれ、その場合、透析液の浸透圧が低下する。そのため、透析液の除水能を回復するためには、除水のみならず、糖質の添加が必要となり得る。しかしながら、再生透析液中に血漿タンパク成分を残すことにより、血漿タンパク成分が、吸収された糖質による透析液の浸透圧の低下、即ち透析液の除水率の低下を補うことができる。よって、再生された透析液の再利用に際して、糖質の添加を不要に、又は添加量を減少させることができる。特に、糖質は体組織に悪影響を及ぼす可能性があるとも言われており、透析液が腹膜と直接接触する腹膜透析においては、腹膜炎及び被嚢性腹膜硬化症等の腹膜の疾患を引き起こす一因とも言われている。再生透析液に血漿タンパク成分を残すことにより、糖質の濃度が低いまま透析液として使用できるので、腹膜透析に付随する疾患の発生を低減できると考えられる。これにより、従来は5年〜7年といわれている腹膜透析の適用期間を延長し得る可能性がある。
また、半透膜13の分画分子量が10000〜13000の範囲内にあると、一般的な医療用半透膜(例えば、I型ダイアライザー(分画分子量11800)に使用されている半透膜)を利用することができる利点もある。
半透膜13の分画分子量が10000〜13000の場合、除水用の水溶液15に溶解させる高分子化合物は、平均分子量が15000又はそれ以上(分画分子量10000の場合の1.5倍又はそれ以上)のものを使用でき、20000又はそれ以上(分画分子量10000の場合の2倍又はそれ以上)であるのが好ましく、さらに20000〜50000(分画分子量10000の2〜5倍)であるのがより好ましい。
高分子化合物としては、水溶性であって、生体安全性が確認されているものが望ましい。上述の通り、高分子化合物の平均重量分子量は分画分子量の1.5倍以上であるので、殆どの高分子化合物は半透膜13を通過しない。しかしながら、微量の高分子化合物は半透膜13を通過して、透析液に混入し得る。再生された透析液を腹膜透析等に使用する際に、透析液中の微量の高分子化合物が生体内に導入される可能性がある。よって、生体安全性が確認されていない、又は毒性のある高分子化合物は好ましくない。
好適な高分子化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、アクリル酸系ポリマー、多糖類、ムコ多糖類及び生物由来の蛋白質から選択される少なくとも1種である。多糖類としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、スクラロース等が挙げられる。ムコ多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン等が挙げられる。生物由来の蛋白質としては、例えば、アルブミン、グロビン、グロブリン等が挙げられる。
特に、水溶性ポリエチレングリコール(PEG)が好ましく、所望の分子量(例えば分子量20000)を有し、分子量分布の狭いものが入手しやすく、且つ生体安全性が確認されているので好ましい。
除水用の水溶液15の高分子化合物濃度は、一般に、使用前の濃度(つまり初期濃度)が10重量%以上であるのが好ましく、10〜50重量%であるとより好ましく、10〜30重量%であるのが特に好ましく、使用済み透析液から適切な除水を行うことができる。
高分子化合物として、分子量20000のポリエチレングリコールを用いた水溶液15の場合には、5mmol/L(10重量%)以上であるのが好ましく、5〜25mmol/L(10〜50重量%)であるとより好ましく、5〜15mmol/L(10〜30重量%)であるのが特に好ましい。
除水用の水溶液15は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等のカリウム除去剤を含有しているのが好ましい。血液中のカリウム濃度が高い患者(高カリウム血症)の場合、心停止等の命にかかわる状態になり得るため、迅速にカリウム濃度を低下させる必要がある。そのため、透析液のカリウム濃度をできるだけ低くして、血液中からのカリウム除去能を高めるのが望ましい。そこで、水溶液15にカリウム除去剤を添加することにより、使用済み透析液からカリウムをより多く除去することができ、カリウム濃度の低い再生透析液を得ることができる。
以下に、除水器10を用いた除水方法を説明する。
1.除水器10の準備
半透膜13を備えたケーシング14を準備し、第2の区画12に接続した上側のライン25から矢印12aに沿って第2の区画12内に除水用の水溶液15を注入する。第2の区画12は、中空糸状半透膜13を取り囲んでいるので、第2の区画12に水溶液15は注入することにより、中空糸状半透膜13の外面全体と接触することになる。
次に、除水器10の第1の区画11に、使用済み透析液を連続的に供給する。使用済み透析液は、第1のライン21から矢印11a方向に供給される。第1の区画11で、使用済み透析液中の水の一部分は、除水用の水溶液15の浸透圧によって、半透膜13を通って、第2の区画12内の水溶液15に移動する。水の移動量は、水溶液15の高分子化合物濃度と、使用済み透析液の流量によって制御することができる。
使用済み透析液の流量は、5ml/分以上であるのが好ましく、10ml/分以上であるのがより好ましく、10〜30ml/分であるのが特に好ましい。この範囲の流量であると、水溶液15の初期濃度が10重量%以上の場合に、適切な除水効果を得ることができる。
そして、第1の区画11から、除水済みの透析液(再生透析液)を、第2のライン22へと矢印11b方向に連続的に排出する。
第2のライン22から排出された再生透析液は、そのまま透析に使用してもよく、又は透析により好都合な組成となるように添加物を添加してから透析に使用することもできる。添加物としては、例えば、除水量が多すぎた場合には水を添加して、透析に適した糖質濃度にすることもできる。また、糖質濃度は低すぎる場合には、糖質を添加することもできる。
なお、除水によって除水用の水溶液15の体積が増加するので、体積増加分に相当する量の水溶液15を第2の区画12から排出する必要がある。例えば、第2の区画12に接続した下側のライン24は、水溶液15が流出しないように通常はクランプ等で閉止されているが、そのクランプを適宜開放することにより、増量分の水溶液15を排出することができる。なお、クランプの締結の程度に応じてラインの開放の程度を調節できる場合には、クランプの締結の程度を調節して、少量の水溶液15がライン24から連続的に排出されるようにしてもよい。
また、水溶液15は、使用済み透析液からの除水によって、高分子化合物の濃度が徐々に低下する。そして、水溶液15の浸透圧が、使用済み透析液の浸透圧と等しくなった場合には、除水器10は使用済み透析液から除水することができなくなる。そのため、所定量の使用済み透析液(例えば、腹膜透析1回分相当の使用済み透析液)の除水を行った後に、使用済みの水溶液15を新しい水溶液15と交換する。これにより、除水器10で使用済み透析液を再び除水することができる。水溶液15を交換する際には、使用済みの水溶液15を第4のライン24から排出し、完全に排出が終わった後に、新しい水溶液15を第5のライン25から流入させる。
<実施の形態2>
本実施の形態では、実施の形態1の除水器10を用いた透析液再生システムについて説明する。
図2は、腹膜透析で使用される透析液再生システム20の例を示している。透析液再生システム20は、実施の形態1に係る除水器10と、除水器10で除水された透析液52を貯留するためのリザーバー26とを含んでいる。さらに、透析液再生システム20は、透析液を流すための複数のラインを備えている。第1のライン21は、透析領域(図2では腹腔)90から流出した使用済み透析液51を、除水器10のケーシング14の第1の区画11に流入させる。第2のライン22は、第1の区画11から排出される除水済み透析液52を、リザーバー26に流入させる。そして、第3のライン23は、リザーバー26から除水済み透析液(再生透析液)52を腹腔90に流入させる。
本実施形態に係る透析液再生システム20は、腹腔90を起点として、除水器10及びリザーバー26をラインで直列に接続し、再び腹腔90に戻ってくる形態となる。つまり、透析液再生システム20は、腹腔90内の使用済み透析液51を除水器10で除水し、再生透析液52として腹腔90に戻すまでの間に外気に露出されることのない、いわゆる閉回路を構成している。よって、透析液が再生中に汚染されるおそれが少ない。
第1のライン21には、必要に応じてで、フィルター32を設置することができる。これにより、フィブリンの凝集体等を除去して、除水器10の半透膜13が目詰まりを起こすのを防止できる。
なお、本実施の形態では、腹腔90で行う腹膜透析を例として透析液再生システム20を説明するが、腹腔90の代わりにダイアライザーをつなぐことにより、透析処理に用いた透析液から除水して、透析液を再生することにより、血液透析にも透析液再生システム20を用いることができる。つまり、透析液再生システム20は、透析領域(透析を行っている領域であり、腹膜透析では腹腔90、血液透析ではダイアライザーである)に接続することにより、閉回路を構成することのできる透析液再生システム20である。
透析液再生システム20は、さらに、2つのライン(下側のライン24(本実施の形態では、第4のライン24と称する)、上側のライン25(本実施の形態では、第5のライン25と称する))を含むことができる。第4のライン24は、ケーシング14の第2の区画12から、使用済みの水溶液15bを排出する。第5のライン25は、第2の区画12に未使用の水溶液15aを注入する。
第5のライン25には、未使用の水溶液15aが充填された1又は2以上のカートリッジ27(図3では,2つのカートリッジ271、272)を接続することができる。これにより、除水器10の水溶液15の交換を簡便に行うことができる。カートリッジ27には、第2の区画12を満たすのに十分な量(例えば、50ml)の未使用の水溶液15aが充填されている。
図3に詳細に示すように、カートリッジ27を複数備えるときは、第5のライン25を複数に分岐して(図3では、第1分岐ライン251、第2分岐ライン252)、それぞれにカートリッジ271、272を接続することができる。各分岐ラインは、バルブとしてのクランプ29(291、292)によって閉止されている。
図2に示すように、第4のライン24は、廃液タンク30に接続されてもよい。
透析液再生システム20は、さらに、リザーバー26に貯留された除水済み透析液52に所望の成分を添加するための成分添加手段28(281〜283)を含むことができる。添加成分の例としては、水、糖質、乳酸、酢酸、重曹等の緩衝物質、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、塩素等の電解質等が挙げられる。例えば、除水器10での除水量が多すぎて、除水済み透析液52中の糖質等の濃度が高すぎる場合には、適度な濃度になるように、水を添加することができる。また、腹膜透析中に、透析液中の糖質が吸収された結果、除水済み透析液52の除水能が十分ではない場合には、糖質を添加することができる。
成分添加手段により、除水済み透析液52の組成を、透析に適したものに近づけることができる。
透析液再生システム20は、さらに、除水器10等をプライミングするためのプライミングラインを備えることができる。プライミングラインは、第1のライン21から分岐し、前記第1の区画11にプライミング液40を流入するためのプライミング液流入ライン41と、第2のライン22から分岐し、第1の区画11を通過したプライミング液40を排出するためのプライミング液排出ライン42とを含んでもよい。第1のライン21と第1の区画11は、使用済み透析液51が流れる経路であり、そのためそれらの内面には、使用済み透析液51に含まれるカリウム及び毒素が付着している。そこで、プライミング液40により、第1のライン21の一部と第1の区画11とをプライミングすることにより、カリウムや毒素を洗い流して、透析の効果を向上することができる。
次に、透析液再生システム20を用いた透析液の再生方法を説明する。
1.腹腔90内の使用済み透析液51の排出
腹膜透析を行った後、腹壁に設置されたカテーテル92を通して、腹腔90から使用済み透析液51を排出する(図2)。なお、カテーテル92は、透析液を腹腔90内に流入する場合にも、腹腔90内から排出する場合にも使用するため、Y字コネクタを介して、2つのライン(排出用の第1のライン21、流入用の第3のライン23)が接続されている。
使用済み透析液51は、矢印Aに沿って、第1のライン21から排出される。このとき、除水器10をカテーテル92の位置より低くすることにより、ポンプ等を使用することなく、使用済み透析液51を腹腔90から排出することができる。
使用済み透析液51は、フィルター32を通ってフィブリンの凝集体等がろ過される。
2.使用済み透析液51の除水
実施の形態1で詳述したように、除水器10の第1の区画11に使用済み透析液51を連続的に供給することにより、使用済み透析液51中の水の一部分は、半透膜13を通って、第2の区画12内の水溶液15に移動する(図2、図3)。また、水が移動する際に、使用済み透析液51に含まれていたカリウム及び低分子量の毒素(尿素、クレアチニン等)も半透膜13を通って水溶液15に移動する。
3.リザーバー26への貯留
除水器10で除水された透析液(つまり再生透析液)52を、除水器10の第1の区画11から、矢印11bに沿って第2のライン22へと排出し、そしてリザーバー26に貯留する(図2)。腹腔90内の使用済み透析液51が全て除水されて、リザーバー26に貯留されたら、除水器10での除水処理が完了する。得られた除水済み透析液52は、
必要に応じて、成分添加手段28から、リザーバー26内の除水済み透析液52に、所望の成分を添加することができる。
4.除水済み透析液52の腹腔90への流入
リザーバー26に貯留された除水済み透析液52を、矢印Bに沿って、第3のライン23を通して腹腔90に流入させる(図2)。このとき、リザーバー26をカテーテル92位置より高くすることにより、ポンプ等を使用することなく、除水済み透析液52を腹腔90に流入させることができる。
このように、本実施の形態の透析液再生システム20を用いた透析液再生方法は、閉回路内で再生した透析液を一旦貯留し、その後に腹腔90に戻すことができる。
また、透析液再生方法は、さらに以下の工程を含むことができる。
5.水溶液15の交換
使用済み透析液51の除水が完了したら、除水器10の第2の区画12に保持されている使用済みの水溶液15bを、矢印12bに沿って第4のライン24に排出する(図3)。使用済みの水溶液15bは、第4のライン24に接続された廃液タンク30に貯蔵される(図2)。
第2の区画12に保持されていた使用済みの水溶液15bのすべてを排出したら、第5のライン25の第1分岐ライン251を閉鎖している第1のクランプ291を開放して、第1のカートリッジ271内に充填された未使用の水溶液15aを、第2の区画12に充填する。未使用の水溶液15aが充填された除水器10は除水能が復活するので、次回の透析液の除水処理に使用することができる。
カートリッジ27を複数(図2、図3では2つ)備えている場合には、水溶液15の交換を2回行うことができる。1回目の交換では、上述した通り、第1のカートリッジ271内に充填された未使用の水溶液15aを使用する。2回目の交換では、第2のカートリッジ272内に充填された未使用の水溶液15aを使用する。
2回目の交換も、実質的に1回目の交換と同様である。まず、第2の区画12に保持されている使用済みの水溶液15bを、矢印12bに沿って第4のライン24に排出する。第2の区画12に保持されていた使用済みの水溶液15bのすべてを排出したら、第5のライン25の第2分岐ライン252を閉鎖している第2のクランプ292を開放して、第2のカートリッジ272内に充填された未使用の水溶液15aを、第2の区画12に充填する。
このように、複数のカートリッジ27を備えていることにより、未使用の水溶液15aを別途準備せずに、複数回に亘る除水処理を行うことができる。
6.透析液再生システム20のプライミング
使用済み透析液51が流通した経路をプライミングして、経路上に残留しているカリウム及び毒素を洗い流すのが好ましい。プライミング液40が流れるプライミング経路は、プライミング液流入ライン41から、第1のライン21、第1の区画11、第2のライン22を通り、プライミング液排出ライン42までである。このプライミング経路を閉鎖している2つのクランプ(プライミング液流入ライン41を閉止する第3のクランプ293と、プライミング液排出ライン42を閉止する第4のクランプ294)を開放した後に、プライミング液40をプライミング液流入ライン41に流入する。なお、プライミング液排出ライン42を廃液タンク30に接続して、使用済みのプライミング液40を廃液タンク30に廃棄してもよい。
以下に、本実施の形態1〜2に係る除水器10及び透析液再生システム20に適した材料について説明する。
(半透膜13)
半透膜13は、所望の分画分子量(例えば10000〜30000の範囲のいずれかの分画分子量)を有する市販のダイアライザーの透析用の膜を、半透膜として使用することができる。
半透膜13の材料としては、例えば、再生セルロース、セルローストリアセテート等のセルロース系材料、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエステル系ポリマーアロイ等の合成高分子系が利用できる。
半透膜13の形態としては、中空糸状、平織り膜状、プリーツ状、渦巻き状等を採用することができる。なお、図1等では、1本の中空糸状半透膜13を例示しているが、多数の極細中空糸を並列に配置して使用するのが好ましい。
(水溶液15)
本明細書で使用される水溶液15は、少なくとも高分子化合物を含有する水溶液である。高分子化合物として、ポリマーを使用することができる。
好適な高分子化合物の具体例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、アクリル酸系ポリマー、多糖類、ムコ多糖類及び生物由来の蛋白質から選択される少なくとも1種である。多糖類としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、スクラロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン等が挙げられる。ムコ多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン等が挙げられる。生物由来の蛋白質としては、例えば、アルブミン、グロビン、グロブリン等が挙げられる。
水溶液15には、さらに、カリウム除去剤(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等)を添加することもできる。
(第1〜第5のライン21〜25)
第1〜第5のライン21〜25は、軟質チューブから形成されており、クランプ等によって外側から挟んで閉鎖することができる。チューブ用の材料としては、例えば、シリコーンゴム、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が利用できる。
(プライミング液40)
プライミング液としては、水溶性毒素等を流すことのできる水溶液を用いることができ、例えば生理食塩水、糖液が好適である。
<除水器10による水及びカリウムの除去率の測定実験>
図1に示すような除水器10を用いて、使用済み透析液51からの水とカリウムの除去率を測定した。
除水器10として、血液透析用ダイアライザー(川澄化学工業株式会社製 ホローファイバー ダイアライザー KF-201シリーズ (KF-20)、分画分子量11800)の第2の区画に、30重量%ポリエチレングリコール(分子量20000)の水溶液(カリウム除去剤として扶桑薬品工業株式会社製 カリセラム-Na末を2g添加(4%)添加)50ml保持させたものを使用した。
使用済み透析液51として、透析液(バクスター社、(エクストラニール腹膜))135mlに、水165ml、塩化カリウム2.237g(100mmol/L)を添加した擬似的な使用済み透析液(モデル液、以下「測定用溶液」と称する)を用いた。実験に使用した測定用溶液の全量(135ml+165ml=300ml)のうち、追加した水(165ml)の割合は55%であった。
使用済み透析液51は、流量20ml/分で除水器10の第1の区画11を通過した。
除水器10に流入する前(つまり、再生前の)測定用溶液と、除水器10を通過した後の(つまり再生された)測定用溶液とについて、全重量と、カリウム濃度とを測定した。除水前後の全重量の差を、除水前の重量で割ったものを「水の除去率(%)」とした。また、除水前後のカリウム濃度の差を、除水前のカリウム濃度で割ったものを「カリウムの除去率(%)」とした。
測定結果を図4に示す。
水の除去率は約45%(約135ml)、カリウムの除去率は約85%であった。水の除去率の結果から、測定用溶液の調製時に追加された水(165ml)の約82%に相当する水を除去できたことがわかった。これにより、透析液の浸透圧が上昇して透析液の除水能が回復して、再利用可能な再生透析液が得られた。
また、カリウムの除去率は十分に高く、再使用可能な程度までカリウム濃度を低減できることがわかった。
<透析液再生システム20による水及びカリウムの除去率の測定実験>
図2に示すような透析液再生システム20を用いて、使用済み透析液51からの水とカリウムの除去率を測定した。
除水器10は、実施例1と同じものを使用した。また、使用済み透析液51は、実施例1と同じ測定用溶液を使用した。2つのカートリッジ271、272には、未使用の除水用の水溶液15aをそれぞれ50ml封入した。
1回目の実験(実験No.I)は、実施例1と同じ条件で行った。
2回目の実験(実験No.II)は、使用済みの水溶液15bを、第1のカートリッジ271(図3)内の未使用の水溶液15aと交換した後に、1回目と同じ条件で除水実験を行った。
3回目の実験(実験No.III)は、使用済みの水溶液15bを、第2のカートリッジ272内の未使用の水溶液15aと交換した後に、1回目と同じ条件で除水実験を行った。
除去率の計算は、実施例1と同様とした。
測定結果を図5に示す。
水の除去率は約50%〜約42%(150〜126ml)であり、測定用溶液の調製時に追加された水(165ml)の約91〜76%に相当する水を除去できたことがわかった。これにより、透析液の浸透圧が上昇して透析液の除水能が回復して、再利用可能な再生透析液が得られた。
また、カリウム除去率は、約68〜95%とばらつきがあったが、平均すると約80%であり、カリウムの除去率は十分に高く、再使用可能な程度までカリウム濃度を低減できることがわかった。
10 除水器
11 第1の区画
12 第2の区画
13 半透膜
14 ケーシング
15 除水用の水溶液
20 透析液再生システム
21、22、23、24、25 ライン
26 リザーバー
27 カートリッジ
291、292、293、294 クランプ
40 プライミング液
90 腹腔

Claims (10)

  1. 使用済みの透析液から水の一部分を除去するための除水器であって、
    使用済み透析液を流通させるための第1の区画と、半透膜によって当該第1の区画から離隔された第2の区画と、を有するケーシングと、
    前記第2の区画内に保持され、前記使用済み透析液から前記半透膜を通して前記水の一部分を除去するための水溶液であって、前記半透膜の分画分子量の1.5倍以上の分子量を有する高分子化合物を含有する除水用の水溶液と、を含む除水器。
  2. 前記分画分子量が10000〜13000であり、
    前記高分子化合物は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アクリル酸系ポリマー、多糖類、ムコ多糖類及び生物由来の蛋白質から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の除水器。
  3. 前記水溶液の高分子化合物濃度が、10〜30重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の除水器。
  4. 前記水溶液は、さらにカリウム除去剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の除水器。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の除水器を準備すること、
    前記除水器の第1の区画に使用済みの透析液を連続的に供給し、前記透析液中の水の一部分を、半透膜を通して、前記除水器の第2の区画内に保持された水溶液に移動させること、及び
    前記第1の区画から、除水済みの透析液を連続的に排出すること、を含む使用済み透析液から水の一部分を除去する方法。
  6. 前記第1の区画に流通する前記透析液の流量が10〜30ml/分であることを特徴とする請求項5に記載の除水方法。
  7. 使用済みの透析液を再使用するための透析液再生システムであって、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の除水器と、
    前記除水器で除水された透析液を貯留するためのリザーバーと、
    透析領域から流出した使用済み透析液を、前記除水器のケーシングの第1の区画に流入させるための第1のラインと、
    前記第1の区画から排出される除水済み透析液を、前記リザーバーに流入させるための第2のラインと、
    前記リザーバーから前記除水済み透析液を前記透析領域に流入するための第3のラインと、を含む透析液再生システム。
  8. 前記ケーシングの第2の区画から、使用済みの水溶液を排出するための第4のラインと、
    前記第2の区画に未使用の水溶液を注入するための第5のラインと、
    前記第5のラインに接続され、前記未使用の水溶液が充填された1又は2以上のカートリッジと、をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の透析液再生システム。
  9. さらに、前記リザーバーに貯留された前記除水済み透析液に所定の成分を添加するための成分添加手段を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の透析液再生システム。
  10. 前記第1のラインから分岐し、前記第1の区画にプライミング液を流入するためのプライミング液流入ラインと、
    前記第2のラインから分岐し、前記第1の区画を通過した前記プライミング液を排出するためのプライミング液排出ラインと、をさらに含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の透析液再生システム。
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