JP2015203062A - 樹脂組成物及びこれからなる制振部材 - Google Patents

樹脂組成物及びこれからなる制振部材 Download PDF

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Kazuya Matsui
和也 松井
健二 池田
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Abstract

【課題】剛性と制振性に優れており、かつ広い温度範囲で制振性を発現する制振部材を製造することが可能な樹脂組成物を提供すること。【解決手段】熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とからなる高分子材料と、長手方向の数平均長が5mm以上20mm以下である無機フィラーとを含有する組成物であって、樹脂組成物の全量100重量%に対して、前記高分子材料の含有量が、40重量%以上65重量%以下であり、前記無機フィラーの含有量が、35重量%以上60重量%以下である樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及びこれからなる制振部材に関するものである。
近年、静粛性に優れた居住環境に対するニーズが高まっており、低振動性、低騒音性に優れた建築部材が検討されている。中でも、エラストマーを始めとする高分子材料は、屋上や床面、間仕切壁等の建築部材、家電製品、自動車部品、OA機器、精密機器等の振動を抑制する制振部材として広く使用されている。これらの高分子材料は、無機フィラーを混合することによって、機械強度を高めている。
例えば、公知文献1には、高分子材料と充填剤とを含有する制振組成物であって、前記充填剤は炭酸カルシウムと鱗片状黒鉛とを含み、前記炭酸カルシウム及び前記鱗片状黒鉛の合計量に対する前記鱗片状黒鉛の質量比が0.3〜0.7の範囲であることを特徴とする制振組成物が開示されている。
特開2010−235887
しかし、特許文献1に記載の組成物からなる制振部材の、剛性を高くしようとすると、制振性が著しく損なわれるという問題があった。また、制振性が発現する温度領域も狭く、使用温度領域が制限されるという問題もあった。
以上の課題に鑑み、本発明では剛性と制振性に優れており、かつ広い温度範囲で制振性を発現する制振部材を製造することが可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
下記要件(1)を満たす高分子材料と、下記要件(2)を満たす無機フィラーとを含有する組成物であって、
前記樹脂組成物の全量100重量%に対する前記高分子材料の含有量は、40重量%以上70重量%以下であり、
前記無機フィラーの含有量は、30重量%以上60重量%以下である樹脂組成物に係るものである。
要件(1)前記高分子材料は、熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とからなり(但し、エラストマー成分は前記樹脂成分を構成する樹脂以外の樹脂である)、高分子材料の全量100重量%に対する前記熱可塑性樹脂成分の含有量は、10重量%以上25重量%以下であり、前記エラストマー成分の含有量は、75重量%以上、90重量%以下である。
要件(2)前記無機フィラーの長手方向の数平均長は、5mm以上20mm以下である。
本発明によれば、剛性と制振性に優れており、かつ広い温度範囲で制振性を発現する制振部材を製造することが可能な樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[樹脂組成物]
本発明における樹脂組成物は、高分子材料と無機フィラーとを含有する。前記高分子材料の含有量は、制振性を向上させる観点から、樹脂組成物の全量100重量%に対して、40重量%以上、70重量%以下であり、好ましくは50重量%以上60重量%以下である。
また、前記無機フィラーの含有量は、樹脂組成物の全量100重量%に対して、30重量%以上70重量%以下であり、好ましくは40重量%以上50重量%以下である。
(高分子材料)
本発明で用いられる高分子材料は、下記の要件(1)を満足する。
要件(1)前記高分子材料は、熱可塑性樹脂成分と、エラストマー成分とからなり(但し、エラストマー成分は前記樹脂成分を構成する樹脂以外の樹脂である)、高分子材料の全量100重量%に対する前記熱可塑性樹脂成分の含有量は、10重量%以上25重量%以下であり、前記エラストマー成分の含有量は、75重量%以上、90重量%以下である。
上記要件(1)において、熱可塑性樹脂成分の含有量は、15重量%以上20重量%以下であることがより好ましく、エラストマー成分の含有量は、80重量%以上85重量%以下であることがより好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂成分は、23℃環境下における曲げ弾性率が1400MPa以上の樹脂成分を含有していることが好ましく、曲げ弾性率が1500MPa以上の樹脂成分を含むことがさらに好ましい。曲げ剛性が1400MPa以上の樹脂成分を含有することによって、樹脂組成物を成形して得られる制振部材の剛性をさらに向上させることが可能となる。
なお、曲げ弾性率は、曲げ試験機を用いて、ASTM−D790に記載の方法に従って求めることができる。また、曲げ試験用の試験片は、射出成形法によって作製した幅12.7mm×長さ127mm×厚み3.2mmの成形体を使用する。
本発明における熱可塑性樹脂は、例えば、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン・アクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、エンジニアリングプラスチック等が挙げられる。好ましくはオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン・アクリロニトリル樹脂である。これらは、単独又は、2種以上を併用しても良い。
前記オレフィン樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、高密度直鎖状ポリエチレン、低密度直鎖状ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
前記ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11,ポリアミド12、非晶性ポリアミド、ポリメタクリルイミド等が挙げられる。
前記スチレン・アクリロニトリル樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
前記アクリル樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
前記エンジニアリングプラスチックとしては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート等が挙げられる。
熱可塑性樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、樹脂組成物の成形性を良好なものにするという観点から10g/10分以上300g/10分以下が好ましく、20g/10分以上200g/10分以下がさらに好ましい。メルトフローレートは、JIS−K−7210に規定された方法に従って、荷重2.16kgの条件で測定される値である。なお、測定温度は、熱可塑性樹脂の種類によって異なる。例えば、オレフィン樹脂では230℃であり、ポリアミド樹脂では275℃である。また、複数の熱可塑性樹脂成分を用いた場合には、熱可塑性樹脂成分ごとに測定する。
本発明におけるエラストマー成分とは、樹脂成分を構成する樹脂以外の樹脂からなり、エラストマー成分中の樹脂のガラス転移点よりも20℃高い温度環境下における引張弾性率が20MPa以下の樹脂成分のことをいう。エラストマー成分の引張弾性率を、20MPa以下とすることによって、得られる制振部材の制振性を良好にすることが可能となる。
なお、引張弾性率は、引張試験機を用いて、ASTM−D638に記載の方法に従って求めることができる。また、引張試験用の試験片は、溶融プレス成形法を用いて作製した厚み3.2mmのシートから、ASTM−D638のtypeI型に切り出したものを使用する。
上記エラストマー成分のガラス転移点は、−15℃以上30℃以下が好ましく、さらに好ましくは、−10℃以上25℃以下である。
ここで、エラストマー成分のガラス転移点とは、動的粘弾性測定で得られる温度−損失弾性率(E’’)曲線において、最も高温側で観察されるピークトップ温度のことである。
なお、エラストマー成分のガラス転移点は、動的粘弾性測定装置を用いて、以下の条件で測定する。
ひずみ量、周波数:0.025%、10Hz
応力モード:引張モード
加熱条件:−150℃から100℃まで昇温速度3℃/分で加熱する。
エラストマー成分のメルトフローレート(MFR)は、0.5g/10分以上30g/10分以下が好ましく、1g/10分以上20g/10分以下がさらに好ましい。メルトフローレートは、JIS−K−7210に規定された方法に従って、230℃、2.16kg荷重で測定される値である。
本発明におけるエラストマー成分としては、オレフィンエラストマー、スチレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等が挙げられ、好ましくは、オレフィンエラストマーまたはスチレンエラストマーである。これらは、単独又は、2種以上を併用しても良い。
前記オレフィンエラストマーとは、オレフィンモノマーに由来する構成単位を有するオレフィン系重合体のことである。オレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。これらは、単独又は、2種以上を併用しても良い。
オレフィンエラストマーは、オレフィンモノマーに由来する構成単位に加えて、他のモノマーに有する構成単位を含んでいても良い。該他のモノマーとしては、スチレン、ノルボルネン、4−ビニルシクロヘキセン、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ジシクロオクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン等が挙げられる。これらは、単独又は、2種以上を併用しても良い。
オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体エラストマー、エチレン−1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン−1−ヘキセン共重合体エラストマー、エチレン−1−オクテン共重合体エラストマー、エチレン−スチレン共重合体エラストマー、エチレン−ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン共重合体エラストマー、プロピレン−スチレン共重合体エラストマー、プロピレン−ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン−4−ビニルシクロヘキセン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−スチレン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレンーノルボルネン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−4−ビニルシクロヘキセン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体エラストマー、エチレン−スチレン−ノルボルネン共重合体エラストマー、エチレン−スチレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン−スチレン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン−ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン−4−ビニルシクロヘキセン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン−ジシクロペンタジエン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン−1,4−ヘキサジエン共重合体エラストマー、プロピレン−1−ブテン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン−スチレン−ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン−スチレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体エラストマー等が挙げられる。オレフィンエラストマーは、単独又は、2種以上を併用しても良い。
前記スチレンエラストマーとしては、例えば、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位と共役ジエンに由来する構成単位からなるブロック共重合体、前記ブロック共重合体の共役ジエン由来の二重結合が、水素添加されたブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンエラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンエラストマー(SEPS)、スチレン−ブタジエンエラストマー(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンエラストマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンエラストマー(SIS)等のブロック共重合体、またはその水素添加物等が挙げられる。
本発明における高分子材料の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば(1)〜(3)の方法等が挙げられる。
(1)各成分の全部を混合して均一な混合物とする方法
(2)各成分の全部を混合して均一な混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法。
(3)各成分を任意に組み合わせて、それぞれを個別に混合して均一な混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法。
上記の(1)〜(3)の方法において、均一な混合物を得る方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等によって混合する方法等が挙げられる。そして、上記の(2)または(3)の方法において溶融混練する法としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸または二軸押出機等によって溶融混練する方法等が挙げられる。
(無機フィラー)
本発明の樹脂組成物に含まれる無機フィラーは、下記の要件(2)を満足する。
要件(2)前記無機フィラーの長手方向の数平均長は、5mm以上20mm以下である。
上記要件(2)において、数平均長は、好ましくは7mm以上15mmである。前記数平均長を5mm以上20mm以下とすることによって、得られる制振部材をより高剛性とすることができる。
なお、数平均長は、以下の方法によって求められる。
(i)ソックスレー抽出法や焼却法などを用いて、樹脂組成物の一部から高分子材料を除去して、無機フィラーを回収する。
(ii)回収した無機フィラーをろ紙上に移し、画像処理装置を用いて、ろ紙上の無機フィラー100個に対して、長手方向の長さを測定する。
(iii)測定した各フィラーの長手方向の長さをそれぞれL1、L2・・・L100として、下記式により数平均長を求める。
数平均長=ΣLi/i
ただし、後述するプルトルージョン法で樹脂組成物を得た場合には、樹脂組成物の長手方向の長さと、樹脂組成物に含まれる無機フィラーの長手方向の長さが等しくなるため、得られた樹脂組成物の長手方向の数平均長を、無機フィラーの長手方向の数平均長とする。
本発明で用いられる無機フィラーとしては、例えば、タルク、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、玄武岩繊維等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらのうち、ガラス繊維を用いることが好ましい。
無機フィラーとしてガラス繊維を用いる場合、無機フィラーの全量100重量%に対するガラス繊維の含有量は、90重量%以上であるが好ましい。
前記ガラス繊維には、その形態に応じて、ロービング、ストランド、チョップドストランドなどに分類されるが、ロービング状のガラス繊維を用いることが好ましい。
前記ガラス繊維の表面に、カップリング剤、集束剤等を適宜付着させたものを用いても良い。カップリング剤としては、アミノ系、エポキシ系、クロル系、および、カチオン系シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤等が挙げられる。集束剤としては、無水マレイン酸系、ウレタン系、アクリル系、および、これらの共重合体や混合物を含有する集束剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、無機フィラーの分散性させることを目的として、分散剤を添加していても良い。分散剤としては、例えば、不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物で変性された変性ポリオレフィンや変性ポリエステルが挙げられる。分散剤の添加量は、樹脂組成物の全量100重量部に対して、0.1重量部以上40重量部が好ましく、0.2重量部以上30重量部以下がさらに好ましい。
前記不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、前記不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物、金属塩等が挙げらえる。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、架橋剤、熱安定剤、光劣化防止剤、耐衝撃改質剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、ハロゲン系難燃剤や非ハロゲン(ポリ燐酸系、赤燐系等)の難燃剤、難燃助剤、顔料等を添加しても良い。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、次の(1)〜(3)の方法等が挙げられる。
(1)高分子材料と無機フィラーの全部を混合して均一な混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法。
(2)高分子材料と無機フィラーを任意に組み合わせて、それぞれを個別に混合して均一な混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法。
(3)プルトルージョン法。
上記の(1)または(2)の方法において、均一な混合物を得る方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等によって混合する方法等が挙げられる。そして、溶融混練する法としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸または二軸押出機等によって溶融混練する方法等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の製造方法として、好ましくは、上記の(3)プルトルージョン法である。プルトルージョン法とは、連続した無機フィラーを含有する繊維束を引きながら、該繊維束に高分子材料を含浸させる方法である。
本発明の樹脂組成物を用いて、制振部材を製造する場合には、射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト成形法、押出成形法等の方法を用いることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて製造された制振部材は、自動車内装材・外装材などの車両部材、家電などの電気・電子機器部品、床材や屋根材などの建築部材、産業・工業機器部品、医療機器部品等の用途に用いることができる。また、前記制振部材の曲げ弾性率は、900MPa以上3000MPa以下が好ましく、1200MPa以上2500MPaがさらに好ましい。当該曲げ弾性率が900MPa以上3000MPa以下であれば、剛性と制振性に優れた制振部材となる。なお、制振部材の曲げ弾性率は、曲げ試験機を用いて、ASTM−D790に記載の方法に従って求めることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて製造された制振部材の制振性および制振温度範囲は、動的粘弾性測定で得られるtanδの温度依存性から求めることができる。すなわち、各制振部材の制振性能は、tanδのピーク値で評価される。前記tanδのピーク値は0.18以上が好ましく、0.2以上がさらに好ましい。また、制振部材の制振温度範囲は、50℃以下の温度領域でかつ、tanδ>0.15となる温度領域幅で評価される。前記温度領域幅は、好ましくは15℃以上であり、さらに好ましくは20℃以上である。
。これらの物性値が大きいほど、制振部材の制振性が優れており、幅広い温度範囲での制振性能を発現する。
なお、上記制振部材のtanδの温度依存性は、動的粘弾性測定装置を用いて、以下の条件で測定する。
ひずみ量、周波数:0.025%、10Hz
応力モード:引張モード
加熱条件:−150℃から100℃まで昇温速度3℃/分で加熱する。
制振部材における制振性と剛性は、二律背反の関係にある。剛性に対する制振性の関係は、以下の式で評価することができる。
log10(tanδ)/log10FM 式(1)
(※式中、tanδはtanδの温度依存性におけるピーク値を表し、FMは制振部材の23℃における曲げ弾性率(単位:MPa)を表す。)
本発明において、上記log10(tanδ)/log10FMの値は、好ましくは−0.25以上であり、さらに好ましくは−0.020以下である。log10(tanδ)/log10FMの値が−0.25以上であれば、剛性に対する制振性が優れた制振部材となる。
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて説明する。実施例及び比較例で使用した熱可塑性樹脂成分、エラストマー成分および無機フィラーを下記に示す。
(1)熱可塑性樹脂成分
樹脂成分(A−1):プロピレン単独重合体
FM(230℃、2.16kg荷重):1653MPa
MFR:120g/10分
商品名:ノーブレンU501E−1(住友化学株式会社製)
(2)エラストマー成分
エラストマー成分(B−1):プロピレン−1−ブテン共重合体
Tg:−2℃
TE:9.9MPa
MFR(230℃、2.16kg荷重):10g/10分
商品名:タフセレンH5002(住友化学株式会社製)
エラストマー成分(B−2):ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体の水素添加物
Tg:−5℃
TE:7.2MPa
MFR(230℃、2.16kg荷重):4g/10分
商品名:ハイブラー7125(クラレ株式会社製)
(3)無機フィラー
無機フィラー(C−1):ガラス繊維(ロービング)
商品名: T30(オーウェンス・コーニング社製)
無機フィラー(C−2):ガラス繊維(チョップドストランド)
商品名:T−480(日本電気硝子株式会社製)
熱可塑性樹脂成分、エラストマー成分、樹脂組成物および樹脂組成物からなる制振部材の各物性は、下記に示した方法に従って測定した。
(1)熱可塑性樹脂成分およびエラストマー成分のメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−7210に規定された方法に従って、測定した。測定条件は、測定温度230℃、荷重2.16kgとした。
(2)熱可塑性樹脂および制振部材の曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
試験片は、射出成形機(J150、株式会社日本製鋼所社製)を用いて成形した、幅12.7mm×長さ127mm×厚み3.2mmの成形体を使用した。測定は、ASTM−D790に記載の方法に従って行い、23℃での曲げ弾性率を測定した。
(3)エラストマー成分のガラス転移点(Tg、単位:℃)
エラストマー成分のガラス転移点は動的粘弾性測定によって求めた。具体的には、以下の方法で求めた。
(i)エラストマー成分を溶融プレス成形し、厚み約2mmのシート材を得た。
(ii)得られたシート材を、幅5mm×長さ30mmのサイズに切り出し、動的粘弾性測定用の試験片とした。
(iii)動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム社製FTレオスペクトラー)を用いて、各試験片を加振しながら連続的に昇温した際の損失弾性率(E”)を測定した。
(iv)得られたE”の温度依存性において、最も高温側のピークトップ温度を各エラストマー成分のガラス転移点とした。測定条件は、加振の周波数10Hz、測定温度範囲−150℃〜+100℃、昇温速度3℃/分とした。
(4)エラストマー成分の引張弾性率(TE、単位:MPa)
エラストマー成分の引張弾性率は、以下の方法で求めた。
(i)エラストマー成分を溶融プレス成形し、厚み3.2mmのシート材を得た。
(ii)得られたシート材からASTM−D638のtypeI型に切り出し、引張試験用の試験片とした。
(iii)測定は、ASTM−D638に記載の方法に従って行い、引張弾性率を測定した。なお、測定温度は、(2)に記載の方法で求めたエラストマー成分のガラス転移点よりも20℃高い温度とした。
(5)制振部材の制振性能(tanδ)と制振温度範囲(ΔT、単位:℃)
制振部材の制振性能と制振温度範囲は、動的粘弾性測定で得られるtanδの温度依存性から求めた。すなわち、各樹脂組成物の制振性能は、tanδのピーク値で評価し、制振温度範囲はtanδ>0.15となる温度領域幅で評価した。具体的な測定方法は、以下のとおりである。(i)射出成形機(J150、株式会社日本製鋼所社製)を用いて、樹脂組成物から幅150mm×長さ150mm×厚み3mmの制振部材を成形した。(ii)前記制振部材の中心部を、樹脂組成物の流動方向と平行に、幅5mm×長さ30mmの大きさに切り出し、動的粘弾性測定用の試験片とした。(iii)動的粘弾性測定装置(FTレオスペクトラー、株式会社ユービーエム社製)を用いて、試験片を加振しながら連続的に昇温した際のtanδを測定した。(iv)得られたtanδの温度依存性から、tanδのピーク値およびtanδ>0.15となる温度領域を求めた。測定条件は(2)で示した条件と同じとした。
(6)樹脂組成物に含まれる無機フィラーの数平均長(Ln、単位:mm)
樹脂組成物に含まれる無機フィラーの数平均長は、以下の方法で求めた。
(i)ソックスレー抽出法(溶媒:キシレン)を用いて、樹脂組成物0.3gより高分子材料を除去して、無機フィラーを回収した。
(ii)回収した無機フィラーをろ紙上に移し、スキャナーGT−X970(EPSON社製、解像度:1600dpi)に取り込み、ビットマップ形式で保存した。その画像を画像解析ソフト A像君(旭エンジニアリング社製)を用いて、ろ紙上の無機フィラー100個に対して長手方向の長さを計測した。
(iii)数平均長は、測定した各フィラーの長手方向の長さをそれぞれL1、L2・・・L100として、下記式によって求めた。
数平均長=ΣLi/i
ただし、プルトルージョン法で樹脂組成物を得た場合には、樹脂組成物の長手方向の長さと、樹脂組成物に含まれる無機フィラーの長手方向の長さが等しくなるため、得られた樹脂組成物の長手方向の数平均長を、無機フィラーの長手方向の数平均長とした。
(実施例1)
(高分子材料1の作製)
表1に示した配合割合に従って、各成分を均一に混合し、高分子材料1を得た。ただし、各成分の配合割合は、高分子材料の全量を100重量%として記載した。
(樹脂組成物1の作製)
表2に示した配合割合に従って、特開平3−121146号公報に記載されているプルトルージョン法を用いて、以下の通り樹脂組成物1を得た。ただし、高分子材料と無機フィラーの配合割合は、樹脂組成物の全量を100重量%として記載した。
無機フィラー(C−1)を、通路が波上に加工されたクロスヘッドダイを通じて引きながら、クロスヘッドダイに接続された押出機から供給される約260℃の高分子材料1を該無機フィラーに含浸させた後、賦形ダイを通してストランドを引取り裁断して(引取り速度9m/分)、樹脂組成物の全体100重量%に対する無機フィラーの含有量が40重量%である、長さ9mmのペレット状の樹脂組成物1を得た。
樹脂組成物1から製造された制振部材の各物性を表3に示す。
(実施例2)
樹脂組成物の全体100重量%に対する無機フィラーの含量を30重量%に変えたこと以外は、実施例1に記載の方法と同じ方法で樹脂組成物2を得た。樹脂組成物2から製造された制振部材の各物性を表3に示す。
(比較例1)
高分子材料における各原料成分の割合を表1に示したように変えたこと以外は、実施例1に記載の方法と同じ方法で樹脂組成物3を作製した。樹脂組成物3から製造された制振部材の各物性を表3に示す。
(比較例2)
実施例1と同じ高分子材料に、無機フィラー(C−2)を、無機フィラーの含量が樹脂組成物の全量100重量%に対して40重量%になるように配合し、15mm二軸押出機(KZW15−45MG、テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件 で、加熱溶融混練して、樹脂組成物4を作製した。樹脂組成物4中に含まれる無機フィラーの数平均長は0.5mmであった。樹脂組成物4から製造された制振部材の各物性を表2に示す。
(比較例3)
エラストマー成分に(B−2)を用いたこと以外は、比較例2に記載の方法と同じ方法で樹脂組成物5を作製した。樹脂組成物5中に含まれる無機フィラーの数平均長は0.5mmであった。樹脂組成物5から製造された制振部材の各物性を表2に示す。
(比較例4)
高分子材料の各原料成分およびそれらの配合割合を表1に示したように変えたこと以外は、比較例2に記載の方法と同じ方法で樹脂組成物6を得た。樹脂組成物6中に含まれる無機フィラーの数平均長は0.5mmであった。樹脂組成物6から製造された制振部材の各物性を表3に示す。

・表1
Figure 2015203062

・表2
Figure 2015203062

・表3
Figure 2015203062

Claims (4)

  1. 下記要件(1)を満たす高分子材料と、下記要件(2)を満たす無機フィラーとを含有する組成物であって、樹脂組成物の全量100重量%に対して、前記高分子材料の含有量が、40重量%以上70重量%以下であり、前記無機フィラーの含有量が、30重量%以上60重量%以下である樹脂組成物。
    (1)前記高分子材料は、熱可塑性樹脂成分と、エラストマー成分とからなり(但し、エラストマー成分は前記樹脂成分を構成する樹脂以外の樹脂である)、高分子材料の全量100重量%に対する前記樹脂成分の含有量は、10重量%以上25重量%以下であり、前記エラストマー成分の含有量は、75重量%以上、90重量%以下である。
    (2)前記無機フィラーの長手方向の数平均長は、5mm以上20mm以下である。
  2. 前記無機フィラーはガラス繊維を含有し、無機フィラーの全量100重量%に対するガラス繊維の含有量が90重量%以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物のガラス転移点が−15℃以上30℃以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる制振部材。
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