(ハイブリッド車両)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の摩擦ブレーキユニットB(車両用制動装置)が搭載されるハイブリッド車両(以下、単に車両と略す)は、図1に示すように、ハイブリッドシステムによって駆動輪例えば左右前輪Wfl、Wfrを駆動させる車両である。車両は、ブレーキECU6、エンジンECU8、ハイブリッドECU9、ハイドロブースタ10、調圧装置53、液圧発生装置60、ブレーキペダル71、ブレーキセンサ72、エンジン501、モータ502、動力分割機構503、動力伝達機構504、インバータ506、バッテリ507を有している。
エンジン501の駆動力は、動力分割機構503及び動力伝達機構504を介して駆動輪に伝達されるようになっている。モータ502の駆動力は、動力伝達機構504を介して駆動輪に伝達されるようになっている。
インバータ506は、モータ502及び発電機505と、直流電源としてのバッテリ507との間で電圧を変換するものである。エンジンECU8は、ハイブリッドECU9からの指令に基づいてエンジン501の駆動力を調整する。ハイブリッドECU9は、インバータ506を通してモータ502及び発電機505を制御する。ハイブリッドECU9は、バッテリ507が接続されており、バッテリ507の充電状態、充電電流などを監視している。
上述した発電機505、インバータ506、及びバッテリ507から回生ブレーキ装置Aが構成されている。回生ブレーキ装置Aは、発電機505による回生制動力を、車輪Wfl、Wfrに発生させるものである。図1に示した実施形態では、モータ502と発電機505は別体であるが、モータ502と発電機505の代わりに、モータと発電機が一体となったモータジェネレータが車両に搭載されている実施形態であっても差し支え無い。
各車輪Wfl、Wfr、Wrl、Wrrに隣接する位置には、各車輪Wfl、Wfr、Wrl、Wrrと一体回転するブレーキディスクDRfl、DRfr、DRrl、DRrrと、ブレーキディスクDRfl、DRfr、DRrl、DRrrにブレーキパッド(不図示)を押し付けて摩擦制動力を発生させる摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrが設けられている。摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrには、後述のハイドロブースタ10(図2示)により生成される「マスタ圧」により、上記ブレーキパッドをブレーキディスクDRfl、DRfr、DRrl、DRrrに押し付けるホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrrが設けられている。
ブレーキセンサ72は、ブレーキペダル71の操作量(ブレーキストロークBs)を検出して、その検出信号をブレーキECU6に出力する。摩擦ブレーキユニットBは、ハイドロブース10、液圧発生装置60、ブレーキペダル71、ブレーキセンサ72から構成されている。
(液圧発生装置)
次に、図2を用いて、液圧発生装置60について説明する。液圧発生装置60は、「アキュムレータ圧」を発生させるものである。液圧発生装置60は、アキュムレータ61、液圧ポンプ62、モータ63、圧力センサ65を有している。
アキュムレータ61は、液圧ポンプ62によって発生したブレーキフルードの液圧である「アキュムレータ圧」を蓄圧するものである。アキュムレータ61は、配管66により、圧力センサ65、及び液圧ポンプ62と接続されている。液圧ポンプ62は、リザーバ19と接続されている。液圧ポンプ62は、モータ63によって駆動されて、リザーバ19で貯留されたブレーキフルードをアキュムレータ61に供給する。
圧力センサ65は、アキュムレータ61の「アキュムレータ圧」を検出する。「アキュムレータ圧」が所定値以下に低下したことが圧力センサ65によって検出されると、ブレーキECU6からの制御信号に基づいてモータ63が駆動される。
(ハイドロブースタ)
以下に、図2を用いて、ハイドロブースタ10について説明する。ハイドロブースタ10は、液圧発生装置60によって発生された「アキュムレータ圧」をブレーキペダル71の操作に応じて調圧して「サーボ圧」を発生させ、当該「サーボ圧」から「マスタ圧」を発生させるものである。
ハイドロブースタ10は、マスタシリンダ11、フェイルシリンダ12、第一マスタピストン13、第二マスタピストン14、入力ピストン15、オペロッド16、第一リターンスプリング17、第二リターンスプリング18、リザーバ19、第一スプリング受け21、スプールピストン23、スプールシリンダ24、スプールスプリング25、シミュレータスプリング26、第一ペダルリターンスプリング27、第二スプリング受け30、連結部材31、移動部材32、押圧ピストン33、フェイルスプリング36、緩衝部材37、第一スプールスプリング受け38、第二スプールスプリング受け39、押圧部材40、及びシール部材41〜49を有している。
なお、第一マスタピストン13が設けられている側を、ハイドロブースタ10の前方とし、オペロッド16が設けられている側を、ハイドロブースタ10の後方とする。つまり、ハイドロブースタ10(マスタシリンダ11)の軸線方向は、前後方向である。
マスタシリンダ11は、前端に底部11aを有し、後方に開口した有底筒状である。言い換えると、マスタシリンダ11は、前後方向に円柱形状の空間11pを有する。マスタシリンダ11は、車両に取り付けられている。マスタシリンダ11には、前方から後方に向かって順に、空間11p内に連通する、第一ポート11b、第二ポート11c、第三ポート11d、第四ポート11e、第五ポート11f(供給ポート)、第六ポート11g(減圧流路)、第七ポート11hが形成されている。第二ポート11c、第四ポート11e、第六ポート11g、第七ポート11hは、ぞれぞれ、ブレーキフルードを貯留するリザーバ19と接続している。つまり、リザーバ19は、マスタシリンダ11の空間11pと接続している。
マスタシリンダ11の内周面の第二ポート11cが設けられている位置の前後には、それぞれ、第一マスタピストン13の外周面と全周に渡って接触するシール部材41、42が設けられている。また、マスタシリンダ11の内周面の第四ポート11eが設けられている位置の前後には、それぞれ、第二マスタピストン14の外周面と全周に渡って接触するシール部材43、44が設けられている。
また、マスタシリンダ11の内周面の第五ポート11fが設けられている位置の前方には、後述する第一フェイルシリンダ12−1の第一筒部12−1bと全周に渡って接触するシール部材45が設けられている。マスタシリンダ11の内周面の第五ポート11fの後方には、第一フェイルシリンダ12−1の第二筒部12−1cと全周に渡って接触するシール部材46が設けられている。また、マスタシリンダ11の内周面の第七ポート11hが設けられている位置の前後には、それぞれ、後述する第二フェイルシリンダ12−2の第五筒部12−2cと全周に渡って接触するシール部材48、49が設けられている。
第五ポート11fは、配管67によってアキュムレータ61に接続している。つまり、アキュムレータ61は、マスタシリンダ11の空間11pと接続されている。第五ポート11fには、「アキュムレータ圧」が供給される。
第一マスタピストン13は、マスタシリンダ11の空間11p内の前方(底部11aの後方)に、前後方向に摺動可能に設けられている。第一マスタピストン13は、円筒形状の筒部13aと、筒部13aの後部に筒部13aを閉塞するように形成された受け部13bとから構成されている。筒部13aには、筒部13aの外周面と内周面を連通する流通穴13cが形成されている。なお、受け部13bの前方側において、マスタシリンダ11の内周面、筒部13a、及び受け部13bによって囲まれる空間によって第一マスタ室10aが形成されている。第一ポート11bは、第一マスタ室10aに連通している。第一マスタ室10aは、ホイールシリンダWCfl、WCfrに供給されるブレーキフルードで満たされている。
マスタシリンダ11の底部11aと第一マスタピストン13の受け部13bとの間には、第一リターンスプリング17が設けられている。第一リターンスプリング17によって、第一マスタピストン13が後方に付勢され、ブレーキペダル71が踏まれていない場合に、第一マスタピストン13が、図2に示す原位置に復帰するようになっている。
第一マスタピストン13が原位置に位置している状態では、第二ポート11cと流通穴13cとが合致し、リザーバ19と第一マスタ室10aが連通している。このため、リザーバ19から第一マスタ室10aにブレーキフルードが供給されるとともに、第一マスタ室10a内にある余剰のブレーキフルードがリザーバ19に戻される。第一マスタピストン13が原位置から前方に移動すると、第二ポート11cが筒部13aによって遮断され、第一マスタ室10aが密閉状態となり、第一マスタ室10aにおいて「マスタ圧」が発生する。
第二マスタピストン14は、マスタシリンダ11の空間11p内の第一マスタピストン13の後方に、前後方向に摺動可能に設けられている。第二マスタピストン14は、その前部に形成された円筒形状の第一筒部14aと、第一筒部14aの後方に形成された円筒形状の第二筒部14bと、第一筒部14aと第二筒部14bの接続部分において第一筒部14a及び第二筒部14bを閉塞するように形成された受け部14cとから構成されている。第一筒部14aには、第一筒部14aの外周面と内周面を連通する流通穴14dが形成されている。
なお、受け部14cの前方において、受け部13b、マスタシリンダ11の内周面、第一筒部14a、及び受け部14cによって囲まれる空間によって第二マスタ室10bが形成されている。第三ポート11dは、第二マスタ室10bに連通している。第二マスタ室10bは、ホイールシリンダWCrl、WCrrに供給されるブレーキフルードで満たされている。
第一マスタピストン13の受け部13bと第二マスタピストン14の受け部14cとの間には、第二リターンスプリング18が設けられている。なお、第二リターンスプリング18のセット荷重は、第一リターンスプリング17よりセット荷重の大きくなっている。第二リターンスプリング18によって、第二マスタピストン14が後方に付勢され、ブレーキペダル71が踏まれていない場合に、第二マスタピストン14が、図2に示す原位置に復帰するようになっている。
第二マスタピストン14が原位置に位置している状態では、第四ポート11eと流通穴14dとが合致し、リザーバ19と第二マスタ室10bが連通している。このため、リザーバ19から第二マスタ室10bにブレーキフルードが供給されるとともに、第二マスタ室10b内にある余剰のブレーキフルードがリザーバ19に戻される。第二マスタピストン14が原位置から前方に移動すると、第四ポート11eが第一筒部14aによって遮断され、第二マスタ室10bが密閉状態となり、第二マスタ室10bにおいて「マスタ圧」が発生する。
フェイルシリンダ12は、マスタシリンダ11の空間11p内の第二マスタピストン14の後方に、前後方向摺動可能に設けられている。フェイルシリンダ12は、「アキュムレータ圧」が消失した場合に、ブレーキペダル71に入力された操作力を第二マスタピストン14に伝達するものである。図2や図8に示すように、フェイルシリンダ12は、第一フェイルシリンダ12−1、第二フェイルシリンダ12−2、複数の連結部材12−3とから構成されている。
図8に示すように、第一フェイルシリンダ12−1は、前方から後方に向かって、先端筒部12−1a、第一筒部12−1b、第二筒部12−1cが同軸に一体形成されている。先端筒部12−1a、第一筒部12−1b、第二筒部12−1cのいずれも円筒形状である。先端筒部12−1aの外径a、第一筒部12−1bの外径b、第二筒部12−1cの外径cの順に大きくなっている。
図2に示すように、先端筒部12−1aは、第二マスタピストン14の第二筒部14b内に挿通している。図2や図8に示すように、第一筒部12−1bの中間部分には、第一筒部12−1bの外周面から内周面に連通する第一インナーポート12−1dが形成されている。
図8に示すように、第二フェイルシリンダ12−2は、前方から後方に向かって、第三筒部12−2a、第四筒部12−2b、第五筒部12−2cが同軸に一体形成されている。第三筒部12−2a、第四筒部12−2b、第五筒部12−2cのいずれもが円筒形状である。第三筒部12−2aと第四筒部12−2bの外径は、同一となっている。第三筒部12−2aの内径は、第四筒部12−2bの内径よりも小さくなっている。第二フェイルシリンダ12−2の内側の第三筒部12−2aと第四筒部12−2bの間には、軸線方向と直交する面である被押圧面12−2nが形成されている。第五筒部12−2cの外径は、第三筒部12−2a及び第四筒部12−2bの外径よりも大きく、第二筒部12−1cの外径cと同一となっている。
第三筒部12−2aの内周面には、全周に渡ってシール保持凹部12−2kが凹陥形成されている。図3や図8に示すように、シール保持凹部12−2kには、押圧ピストン33の押圧部33aの外周面と全周に渡って接触するシール部材75が取り付けられている。第五筒部12−2cの内周面の前部には、Cリング取付凹部12−2mが全周に渡って凹陥形成されている。Cリング取付凹部12−2mには、Cリング85が取り付けられている。
図2や図8に示すように、第五筒部12−2cの中間部には、第五筒部12−2cの外周面と内周面を連通し、フェイルシリンダ12内に設けられた入力ピストン15の前方に向けて開口する第二インナーポート12−2gが形成されている。第五筒部12−2cの後端には、フランジ状の当接部12−2hが外側に延出形成されている。当接部12−2hが後述の第一スプリング受け21と当接し、フェイルシリンダ12がマスタシリンダ11から脱落しないようになっている。第五筒部12−2cの後部の内周面は他の部分比べて内径が大きくなっていて、第五筒部12−2cの内周面には軸線方向と直交する段差面12−2jが形成されている。
第三筒部12−2a及び第四筒部12−2bは、第二筒部12−1c内に挿通している。このような構造により、第二フェイルシリンダ12−2は、第一フェイルシリンダ12−1の後方に設けられている。第二筒部12−1cの内周面には、全周に渡って第一連結溝12−1xが形成されている。第四筒部12−2bの外周面には、全周に渡って第二連結溝12−2xが形成されている。これら、第一連結溝12−1x及び第二連結溝12−2xに、複数の円柱形状の連結部材12−3が係合して、第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−2が連結されている。
なお、連結部材12−3の第一連結溝12−1x及び第二連結溝12−2xへの組み付け方法は以下のとおりである。
(1)複数の連結部材12−3を全周のうち下側の第一連結溝12−1xに配置させる。
(2)第二フェイルシリンダ12−2を第一フェイルシリンダ12−1に対して上側に偏心させた状態で、第一フェイルシリンダ12−1の後部に第二フェイルシリンダ12−2の前部を挿通させて、複数の連結部材12−3を第一連結溝12−1x及び第二連結溝12−2xに係合させる。
(3)第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−2を相対回転させることにより、複数の連結部材12−3を第一連結溝12−1xの全周に配置させて、第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−2を同軸に調心させる。
図3や図8に示すように、第二筒部12−1cの内周面と、第三筒部12−2a及び第四筒部12−2bの外周面の間には、排出流路12aが形成されている。第三筒部12−2aの前端には、排出流路12aと第三筒部12−2aの内周側とを連通する第一連通流路12−2pが形成されている。第五筒部12−2cの前端には、排出流路12aと第五筒部12−2cの外周側を連通する第二連通流路12−2qが形成されている。
図2に示すように、入力ピストン15は、後述のスプールシリンダ24やスプールピストン23の後方において、第二フェイルシリンダ12−2の第五筒部12−2cの後部の内部(マスタシリンダ11の空間11p内)に前後方向摺動可能に設けられている。入力ピストン15は、断面円形状を有する略円柱形状である。入力ピストン15の後端には、底部が円錐状に凹陥したロッド受け部15aが形成されている。入力ピストン15の前部には、スプリング受け部15bが凹陥形成されている。入力ピストン15の後部は他の部分と比べて外径が小さくなっていて、入力ピストン15の外周面には軸線方向と直交する段差面15eが形成されている。
入力ピストン15の外周面には、シール保持凹部15c、15dが凹陥形成されている。シール保持凹部15c、15dには、第二フェイルシリンダ12−2の第五筒部12−2cの内周面と全周に渡って接触するシール部材55、56が取り付けられている。
入力ピストン15は、オペロッド16及び連結部材31を介して、ブレーキペダル71に連結されている。このため、入力ピストン15には、ブレーキペダル71からの操作力が、連結部材31及びオペロッド16を介して伝達される。また、入力ピストン15は、伝達された操作力を、シミュレータスプリング26、移動部材32、押圧ピストン33、緩衝部材37を介して、スプールピストン23に伝達して、スプールピストン23を駆動する。
図7に示すように、第一スプリング受け21は、マスタシリンダ11の内部の後部に摺動可能に設けられている。第一スプリング受け21は、基部21a、円筒部21b、ストッパ部21c。及びスプリング受け部21nから構成されている。基部21aは、リング状である。円筒部21bは、円筒形状であり、基部21aの前面の外縁から前方に突出形成されている。ストッパ部21cは、円筒部21bの前端から内側に延出形成されている。基部21aの中心には、挿通穴21mが形成されている。基部21aの後面の挿通穴21mの周囲には、スプリング受け部21nが形成されている。円筒部21bの内側の基部21aの前面には、受け面21dが形成されている。受け面21dに第二フェイルシリンダ12−2の当接部12−2hが当接している。
マスタシリンダ11の内部の後端、つまり、マスタシリンダ11の開口部には、Cリング86が取り付けられている。このCリング86によって、第一スプリング受け21のマスタシリンダ11からの脱落が防止される。
フェイルスプリング36は、第二フェイルシリンダ12−1の第五筒部12−2cの後部の内周側において、第二フェイルシリンダ12−1の段差面12−2jと第一スプリング受け21の受け面21dの間に設けられている。本実施形態では、フェイルスプリング36は、複数のダイヤフラムスプリングである。このような構成によって、フェイルスプリング36は、第二フェイルシリンダ12−2をマスタシリンダ11に対して前方に付勢している。
オペロッド16の前端には、球状の押圧部16aが形成されている。オペロッド16の後端には、ネジ部16bが形成されている。押圧部16aがロッド受け部15aに挿通し、ロッド受け部15aの開口部の一部が内側に変形されて、オペロッド16が入力ピストン15の後端に連結している。なお、オペロッド16の長手方向は、前後方向となっている。オペロッド16は、第一スプリング受け21の挿通穴21mに挿通している。
第二スプリング受け30は、第一スプリング受け21と対向して、第一スプリング受け21の後方に設けられている。第二スプリング受け30は、その後端に形成された底部30aと、底部30aから前方に形成された筒部30bとから構成された有底筒状である。底部30aにはネジ穴30cが形成されている。ネジ穴30cに、オペロッド16のネジ部16bが螺着している。
第一ペダルリターンスプリング27は、第一スプリング受け21のスプリング受け部21nと第二スプリング受け30の底部30aとの間に設けられている。
連結部材31の前端には、ネジ穴31aが形成されている。ネジ穴31aにオペロッド16のネジ部16bが螺着して、連結部材31がオペロッド16の後端に連結されている。第二スプリング受け30の底部30aは、連結部材31の前端と当接している。連結部材31の前後方向中間部分には、軸穴31bが連通形成されている。第二スプリング受け30のネジ穴30cと連結部材31のネジ穴31aがオペロッド16のネジ部16bと螺着している。
ブレーキペダル71(操作部材)は、運転者の踏力(操作力)が伝達されるレーバー状の部材であり、マスタシリンダ11の後方に設けられている。ブレーキペダル71の中間部分には、軸穴71aが形成されている。ブレーキペダル71の上端には、取付穴71bが形成されている。取付穴71bにボルト81が挿通して、取付穴71bを揺動中心として、ブレーキペダル71が車両の取付部99に揺動可能に取り付けられている。軸穴71aと、連結部材31の軸穴31bに、連結ピン82が挿通して、ブレーキペダル71が連結部材31に揺動可能に連結されている。車両の取付部99に取り付けられた第二ペダルリターンスプリング28によって、ブレーキペダル71は、取付穴71b回転中心として、後方に付勢されている。
第一ペダルリターンスプリング27によって、第二スプリング受け30及び連結部材31が後方に付勢され、また、第二ペダルリターンスプリング28によって、ブレーキペダル71が後方に付勢され、ブレーキペダル71が図2に示す原位置に復帰する。
図2や図3に示すように、押圧ピストン33は、第二フェイルシリンダ12−2の内部の前方に(マスタシリンダ11の空間11p内に)前後方向摺動可能に設けられている。押圧ピストン33は、その前部に形成された円柱形状の押圧部33aと、押圧部33aの後方に形成された筒部33bとから構成されている。筒部33bの外径は、押圧部33aの外径よりも大きくなっている。押圧ピストン33の外周側において、押圧部33aと筒部33bの間には、軸線方向と直交する面である押圧面33dが形成されている。
押圧部33aが、第二フェイルシリンダ12−2の第三筒部12−2a内に挿通している。筒部33bが、第二フェイルシリンダ12−2の第四筒部12−2b内に配置されている。押圧部33aの前端面には、保持凹部33cが凹陥形成されている。保持凹部33cには、緩衝部材37が設けられている。緩衝部材37は、本実施形態では、弾性を有する円柱形状のゴムで構成されているが、コイルスプリングやダイヤフラムスプリング等の付勢部材であっても差し支え無い。
移動部材32は、第二フェイルシリンダ12−2内(マスタシリンダ11の空間11p内)に前後方向摺動可能に設けられている。図3に示すように、移動部材32は、その前端部に形成されたフランジ状のフランジ部32aと、フランジ部32aの後方に形成された軸部32bとから構成されている。フランジ部32aを含む移動部材32の前部は、押圧ピストン33の筒部33b内に挿入されている。フランジ部32aの外周面には、全周に渡ってシール保持凹部32iが凹陥形成されている。シール保持凹部32iには、押圧ピストン33の筒部33bの内周面と全周に渡って接触するするシール部材76が取り付けられている。原位置では、移動部材32の前端は押圧ピストン33の押圧部33aの後面と離間している。
フランジ部32aには、フランジ部32a前方と押圧ピストン33間に形成される空間と後述のシミュレータ室10fとを連通する流路32hが形成されている。このため、移動部材32が押圧ピストン33に対して摺動した場合に、前記空間とシミュレータ室10f間においてブレーキフルードが相互に流通し、移動部材32の押圧ピストン33に対する摺動が阻害されない。
図2に示すように、第二フェイルシリンダ12−2、押圧ピストン33、入力ピストン15により囲まれる空間によってシミュレータ室10fが形成されている。シミュレータ室10f内には、ブレーキフルードが満たされている。
シミュレータスプリング26は、シミュレータ室10f内において、移動部材32のフランジ部32aと入力ピストン15のスプリング受け部15bとの間に設けられている。つまり、シミュレータスプリング26は、第二フェイルシリンダ12−2内(マスタシリンダ11の空間11p内)において、入力ピストン15の前方に設けられている。シミュレータスプリング26内に移動部材32の軸部32bが挿通し、シミュレータスプリング26が軸部32bで保持されている。このような構成により、移動部材32の前端が押圧ピストン33の押圧部33aの後面に当接した状態から更に入力ピストン15が前方に移動すると、シミュレータスプリング26がたわみ、シミュレータスプリング26から移動部材32及び押圧ピストン33に操作力が入力される。そして、シミュレータスプリング26によって入力ピストン15が後方に付勢される。
第五ポート11fは、第一フェイルシリンダ12−1の第一筒部12−1bの外周面に向けて開口している。上述したように、第二筒部12−1cの外径cは第一筒部12−1bの外径bよりも大きい。このため、第五ポート11fに「アキュムレータ圧」が作用すると、当該「アキュムレータ圧」及び第一筒部12−1bと第二筒部12−1cとの断面積差により、第一フェイルシリンダ12−1には後方への力が作用して、第二フェイルシリンダ12−2の後端が第一スプリング受け21に押し付けられ、フェイルシリンダ12がその摺動範囲の最後端の原位置に位置される(図2の状態)。
第二インナーポート12−2gは、マスタシリンダ11の第七ポート11hと連通している。このように、シミュレータ室10fとリザーバ19は、第二インナーポート12−2gと第七ポート11hとからなる「リザーバ流路」によって連通し、入力ピストン15の前後方向の摺動に伴い、シミュレータ室10fの容積が変化した場合には、シミュレータ室10f内のブレーキフルードがリザーバ19に戻され、又は、リザーバ19からブレーキフルードがシミュレータ室10fに供給される。このため、入力ピストン15の前後方向の摺動が阻害されない。
図3に示すように、スプールシリンダ24は、第一フェイルシリンダ12−1の第一筒部12−1b内(マスタシリンダ11の空間11p内)の第二マスタピストン14の後方に固定されている。スプールシリンダ24は、円筒形状である。図3に示すように、スプールシリンダ24の外周面には、シール保持凹部24a、24bが凹陥形成されている。シール保持凹部24a、24bには、第一筒部12−1bの内周面と全周に渡って接触するシール部材57、58が保持されている。これらシール部材57、58と第一筒部12−1bの内周面との摩擦力により、スプールシリンダ24の第一筒部12−1bに対する前方への移動が阻止される。スプールシリンダ24の後端は第二フェイルシリンダ12−2の前端面に当接して、スプールシリンダ24の後方への移動が阻止される。
スプールシリンダ24には、スプールシリンダ24の外周面と内周面を連通するスプールポート24cが形成されている。スプールポート24cは、第一インナーポート12−1dと連通している。スプールポート24cよりも後方のスプールシリンダ24の内周面には、第一スプール凹部24dが全周に渡って凹陥形成されている。スプールシリンダ24の内周面の後端には、第二スプール凹部24fが全周に渡って凹陥形成されている。
スプールピストン23は、断面円形状を有する円柱形状である。スプールピストン23は、スプールシリンダ24内に前後方向摺動可能に挿通している。スプールピストン23の後端面は、押圧ピストン33の保持凹部33cに設けられた緩衝部材37と当接している。
スプールピストン23の外周面の前後方向中間位置には、全周に渡って第三スプール凹部23bが凹陥形成されている。第三スプール凹部23bの後方位置のスプールピストン23の外周面には、全周に渡って第四スプール凹部23cが凹陥形成されている。スプールピストン23には、その前端から中間よりもやや後方位置まで、流通穴23eが形成されている。スプールピストン23には、第四スプール凹部23cと流通穴23eを連通する第一流通ポート23d、第二流通ポート23fが形成されている。
図2に示すように、第二マスタピストン14の受け部14cの後方のマスタシリンダ11の空間11p内において、第二マスタピストン14、マスタシリンダ11の空間11p、スプールピストン23の前端、スプールシリンダ24の前端で囲まれる空間が、サーボ室10cである。
図2に示すように、第一スプールスプリング受け38は、受け部38a、取付部38b、とから構成されている。受け部38aは、円板状である。受け部38aは、第一フェイルシリンダ12−1の先端筒部12−1aの開口部を閉塞するように、先端筒部12−1a内の前方に取り付けられている。取付部38bは、円筒形状であり、受け部38aの前面の中心から前方に突出形成されている。取付部38bの内周面には、ネジ溝が形成されている。受け部38aの後面の中心には後方に突出部38cが突出形成されている。受け部38aには、前後方向に連通する流通穴38dが形成されている。
押圧部材40は、棒状である。押圧部材40の後部は、取付部38bのネジ溝に螺着している。
図3に示すように、第二スプールスプリング受け39は、その前端に底部39cを有する有底筒状の本体部39aと、本体部39aの後端に外側に延出形成されたリング状の受け部39bとから構成されている。本体部39aの内周面にスプールピストン23の前端が嵌合して、第二スプールスプリング受け39がスプールピストン23の先端に取り付けられている。底部39cには連通穴39dが形成されている。図2に示すように、第二スプールスプリング受け39は、第一スプールスプリング受け38の突出部38cと所定距離離間して対向している。
図2や図3に示すように、スプールスプリング25は、第一スプールスプリング受け38の受け部38aと、第二スプールスプリング受け39の受け部39bの間に設けられている。スプールスプリング25によって、スプールピストン23はフェイルシリンダ12(マスタシリンダ11)やスプールシリンダ24に対して後方に付勢されている。
シミュレータスプリング26のバネ定数は、スプールスプリング25のバネ定数よりも大きく設定されている。また、シミュレータスプリング26のバネ定数は、第一ペダルリターンスプリング27のバネ定数よりも大きく設定されている。
(シミュレータ)
以下に、シミュレータスプリング26、及び第一ペダルリターンスプリング27から構成される「シミュレータ」について説明する。「シミュレータ」は、ブレーキペダル71のストロークに応じて、ブレーキペダル71に荷重(反力)を発生させ、通常のブレーキ装置の操作感(踏力感)を再現する機構である。
ブレーキペダル71が踏まれると、まず、第一ペダルリターンスプリング27が縮む。この際に、ブレーキペダル71に作用する反力は、第一ペダルリターンスプリング27のセット荷重、第一ペダルリターンスプリング27のバネ定数にブレーキペダル71(連結部材31)のストロークを乗算した値、及び第二ペダルリターンスプリング28の荷重の合成値となる。
更にブレーキペダル71が踏み込まれ、移動部材32が押圧ピストン33に当接すると、第一ペダルリターンスプリング27及びシミュレータスプリング26が縮む。この際にブレーキペダル71に作用する反力は、シミュレータスプリング26、第一ペダルリターンスプリング27、及び第二ペダルリターンスプリング28の発生荷重の合成値となる。このため、移動部材32が押圧ピストン33に当接する前と比較して、ブレーキペダル71のストロークあたりのブレーキペダル71に作用する反力の増加量が大きくなる。
(調圧装置)
調圧装置53は、マスタ室10a、10bから供給されるブレーキフルードを、増圧又は減圧して、ホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrrに供給するものであり、周知のアンチロックブレーキ制御や横滑り防止制御を実現するものである。調圧装置53の具体的な構成については、特開2013−6534号公報や特開2008−87069号公報等に開示されている周知技術であるので、これ以上の説明は省略する。第一マスタ室10aの第一ポート11bには、流路52及び調圧装置53を介してホイールシリンダWCfr、WCflが接続されている。また、第二マスタ室10bの第三ポート11dには、流路51及び調圧装置53を介してホイールシリンダWCrr、WCrlが接続されている。
(ハイドロブースタの動作)
以下に、ハイドロブースタ10の動作について説明する。ブレーキペダル71に入力される操作力(ペダル荷重)やブレーキストロークBsに応じて、スプールシリンダ24及びスプールピストン23からなる「スプール弁」が駆動され、ハイドロブースタ10が「減圧モード」、「増圧モード」、「保持モード」のいずれかに切り替えられる。
[減圧モード]
ブレーキペダル71が踏まれていない状態や、ブレーキストロークBsがマスタ圧発生ストロークSm(図4示)以下の場合には、「減圧モード」となる。図2や図3に示すように、ブレーキペダル71が踏まれていない状態では、つまり、「減圧モード」では、移動部材32の前端と押圧ピストン33の押圧部33aの後面は離間している。
移動部材32の先端と押圧ピストン33の押圧部33aの後面が離間している状態では、スプールスプリング25の付勢力により、スプールピストン23及び押圧ピストン33は、これらの摺動範囲の最後部の「減圧位置」(図3示)に位置している。なお、押圧ピストン33の筒部33bの後端は、Cリング85と当接し、押圧ピストン33の後方への移動が阻止されている。この状態では、図3に示すように、スプールポート24cが、スプールピストン23の外周面によって閉塞されている。つまり、アキュムレータ61からのアキュムレータ圧が、サーボ室10cに作用しない。
また、図3に示すように、スプールピストン23の第四スプール凹部23cはスプールシリンダ24の第二スプール凹部24fと連通している。つまり、サーボ室10cは、流通穴23e、第一流通ポート23d、第四スプール凹部23c、第二スプール凹部24f、第一連通流路12−2p、排出流路12a、第二連通流路12−2q、及び第六ポート11gからなる「減圧流路」を介してリザーバ19に連通している。このため、「減圧モード」では、サーボ室10cは大気圧と同一であり、第一マスタ室10a及び第二マスタ室10bにおいて「マスタ圧」は発生しない。
ブレーキペダル71が踏まれて、移動部材32の先端が押圧ピストン33の押圧部33aの後面に当接し、押圧ピストン33を介してスプールピストン23に前方への入力荷重が作用しても、当該入力荷重が、スプールスプリング25の付勢力よりも小さい場合には、スプールピストン23は、前方に移動することなく「減圧位置」に位置している。なお、上記入力荷重は、ブレーキペダル71の操作により、連結部材31に入力される荷重から、当該操作力により第一ペダルリターンスプリング27が圧縮されるのに必要な荷重を減算した力である。ブレーキストロークBsがマスタ圧発生ストロークSm以下の状態では、ハイドロブースタ10は「増圧モード」とならず、「サーボ圧」及び「マスタ圧」が発生することなく、摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrにおいて摩擦制動力が発生しないように設定されている。
[増圧モード]
ブレーキストロークBsがマスタ圧発生ストロークSmより大きくなると、ハイドロブースタ10は「増圧モード」となる。つまり、ブレーキペダル71に入力される操作力により、押圧ピストン33が移動部材32によって押圧され、スプールピストン23に前方への荷重が作用すると、スプールピストン23がスプールスプリング25の付勢力に抗して、スプールピストン23の摺動範囲の前方の「増圧位置」に移動する(図5の状態)。
図5に示すように、スプールピストン23が「増圧位置」に位置している状態では、第一流通ポート23dはスプールシリンダ24の内周面によって閉塞され、第一流通ポート23dと第二スプール凹部24fは遮断される。このため、サーボ室10cとリザーバ19は遮断される。
また、スプールピストン23が「増圧位置」に位置している状態では、スプールポート24cは、第三スプール凹部23bに連通している。また、第三スプール凹部23b、第一スプール凹部24d、及び第四スプール凹部23cは相互に連通している。このため、アキュムレータ61が、第一インナーポート12−1d、スプールポート24c、第三スプール凹部23b、第一スプール凹部24d、第四スプール凹部23c、第二流通ポート23f、流通穴23e、連通穴39dからなる「増圧流路」を介して、サーボ室10cと連通し、アキュムレータ圧がサーボ室10cに供給され、「サーボ圧」が上昇する。
「サーボ圧」が上昇すると、「サーボ圧」によって第二マスタピストン14が前方に移動し、第二リターンスプリング18によって押圧された第一マスタピストン13も前方に移動する。すると、第二マスタ室10b及び第一マスタ室10aに「マスタ圧」が発生する。「サーボ圧」の上昇に従って、「マスタ圧」が上昇する。
第二マスタ室10b及び第一マスタ室10aで「マスタ圧」が発生すると、第二マスタ室10b及び第一マスタ室10aから流路51、52、調圧装置53を介してホイールシリンダWCfr、WCfl、WCrr、WCrlにブレーキフルードが供給され、ホイールシリンダWCfr、WCfl、WCrr、WCrlにおいてホイールシリンダ圧が発生し、摩擦制動力が発生する。なお、ホイールシリンダ圧は、「マスタ圧」と調圧装置53で発生する後述の加圧量Ppの合計圧となる。
[保持モード]
スプールピストン23が「増圧位置」に位置している状態では、サーボ室10cにアキュムレータ圧が作用し「サーボ圧」が上昇する。すると、スプールピストン23には、「サーボ圧」にスプールピストン23の断面積(シール面積)を乗じた復帰力が後方に作用する。復帰力及びスプールスプリング25の付勢力の合力がスプールピストン23に作用する入力荷重よりも大きくなると、スプールピストン23は、後方に移動し、「減圧位置」と「増圧位置」の間の位置である「保持位置」に位置される(図6の状態)。
図6に示すように、スプールピストン23が「保持位置」に位置している状態では、スプールポート24cは、スプールピストン23の外周面によって閉塞される。このため、スプールポート24cと第二流通ポート23fは遮断され、サーボ室10cとアキュムレータ61は遮断され、サーボ室10cにアキュムレータ圧が作用しない。
また、第一流通ポート23dは、スプールシリンダ24の内周面によって閉塞される。このため、第一流通ポート23dと第二スプール凹部24fは遮断され、サーボ室10cとリザーバ19が遮断される。このため、サーボ室10c密閉状態となり、「増圧モード」から「保持モード」に切り替わる際の「サーボ圧」が維持される。
スプールピストン23に作用する復帰力及びスプールスプリング25の付勢力の合力が、スプールピストン23に作用する入力荷重がつり合うと、「保持モード」が維持される。一方で、ブレーキペダル71への操作力が減少して、スプールピストン23に作用する入力荷重が減少し、スプールピストン23に作用する復帰力及びスプールスプリング25の付勢力の合力が、スプールピストン23に作用する入力荷重よりも大きくなると、スプールピストン23が後方に移動して「減圧位置」(図3示)に位置し「減圧モード」となり、サーボ室10cの「サーボ圧」が減少する。
一方で、スプールピストン23が「保持位置」に位置している状態で、ブレーキペダル71に入力される操作力が増大して、スプールピストン23に作用する操作力が増大し、スプールピストン23に作用する入力荷重が、スプールピストン23に作用する復帰力及びスプールスプリング25の付勢力の合力よりも大きくなると、スプールピストン23が前方に移動して「増圧位置」(図5示)に位置し「増圧モード」となり、サーボ室10cの「サーボ圧」が増大する。
なお、スプールピストン23の外周面とスプールシリンダ24の内周面との摺動抵抗等の抵抗により、スプールピストン23の移動にはヒステリシスが発生し、当該ヒステリシスによってスプールピストン23の前後方向の移動が阻害される。このため、「保持モード」から「減圧モード」、或いは「保持モード」から「増圧モード」に頻繁に切り替わらないようになっている。
(回生制動力と摩擦制動力の関係)
以下に、図4を用いて、回生制動力と摩擦制動力の関係について説明する。図4に示すように、ブレーキストロークBsがマスタ圧発生ストロークSm以下では、ハイドロブースタ10は「減圧モード」から「増圧モード」に切り替わらず、「減圧モード」のままであり、「マスタ圧」による摩擦制動力は発生しない。
図4に示すように、ブレーキストロークBsがマスタ圧発生ストロークSm以下の場合には、ブレーキECU6は、回生制動力と、ポンプ534によって発生するポンプ加圧による摩擦制動力の合計値が「制御制動力」となるように、調圧装置53を制御する。なお、「制御制動力」は、ブレーキECU6によって、ブレーキセンサ72によって検出されたブレーキストロークBsに基づいて演算される。つまり、ブレーキストロークBsが大きくなるに従って、大きい値の「制御制動力」が演算される。
ブレーキストロークBsがマスタ圧発生ストロークSmより大きい場合には、ハイドロブースタ10は「減圧モード」から「増圧モード」に切り替わり、「マスタ圧」による摩擦制動力が発生する。そして、ブレーキECU6は、「制御制動力」として、ブレーキストロークBsがマスタ圧発生ストロークSmである時の「制御制動力」を演算する。つまり、ブレーキストロークBsがマスタ圧発生ストロークSmより大きくなったとしても、ブレーキストロークBsがマスタ圧発生ストロークSmである時の「制御制動力」が最大とされる。ブレーキECU6は、「制御制動力」をハイブリッドECU9に送信する。
ハイブリッドECU9は、車速V、バッテリ507の充電状態、及び「制御制動力」に基づいて、回生ブレーキ装置Aにおいて実際に発生させることができる回生制動力である「実行回生制動力」を演算する。なお、「実行回生制動力」は、「制御制動力」を越えないように演算される。そして、ハイブリッドECU9は、「実行回生制動力」をブレーキECU6に送信する。
ブレーキECU6は、「制御制動力」から「実行回生制動力」を減算することにより、調圧装置53によって発生するポンプ加圧による摩擦制動力を演算する。次に、ブレーキECU6は、摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrにおいて上記演算したポンプ加圧による摩擦制動力が発生する加圧量Ppを演算する。ブレーキECU6は、加圧量Ppが発生するように調圧装置53を制御する。
このようにして、ブレーキECU6は、回生制動力と、ポンプ加圧による摩擦制動力の合計値が「制御制動力」となるように、調圧装置53を制御する。この結果、車両に付与される総制動力は、「制御制動力」と「マスタ圧」によって発生する摩擦制動力の合計となる。
(液圧発生装置故障時のハイドロブースタの動作)
液圧発生装置60の故障により、「アキュムレータ圧」が消失した場合には、フェイルスプリング36の付勢力により、フェイルシリンダ12が前方に付勢されて、当接部12−2hがストッパ部21cに当接する位置まで、フェイルシリンダ12が前方に移動する。この状態では、押圧部材40が第二マスタピストン14の受け部14cとのクリアランスを詰める。第二マスタピストン14及び第一マスタピストン13が僅かに前進する。この状態では、第四ポート11eと流通穴14dとが合致し、第二ポート11cと流通穴13cとが合致している。しかし、第二マスタピストン14及び第一マスタピストン13の前進によって、第四ポート11eと第二ポート11cがマスタピストン14、13によって閉じられるまでの距離が短縮されている。
ブレーキペダル71が踏まれると、ブレーキペダル71に入力された操作力は、連結部材31、オペロッド16、入力ピストン15、シミュレータスプリング26を介して、移動部材32に伝達され(図9の1)、移動部材32の前端が押圧ピストン33の押圧部33aの後面に当接する。なお、シミュレータスプリング26が完全に圧縮されると、入力ピストン15のスプリング受け部15bが移動部材32の後端に当接し(図9の状態)、入力ピストン15に伝達された操作力が、直接移動部材32に伝達される。移動部材32に伝達された操作力は、押圧ピストン33に伝達される(図9の2)。押圧面33dが被押圧面12−2nを押圧することにより、押圧ピストン33に伝達された操作力は、第二フェイルシリンダ12−2に伝達される(図9の3)。
第三筒部12−2aの前端面が第一筒部12−1bの後端面を押圧し(図9の4)、或いは、第五筒部12−2cの前端面が第二筒部12−1cの後端面を押圧して(図9の5)、第二フェイルシリンダ12−2に伝達された操作力が第一フェイルシリンダ12−1に伝達され、第一フェイルシリンダ12−1が前進する。すると、第一フェイルシリンダ12−1に伝達された操作力は、第一スプールスプリング受け38及び押圧部材40を介して、第二マスタピストン14に伝達される。
すると、第二マスタピストン14が前進するとともに、第一マスタピストン13が前進し、第四ポート11eと第二ポート11cがマスタピストン14、13によって閉塞され、第二マスタ室10b及び第一マスタ室10aが密閉状態となり、第二マスタ室10b及び第一マスタ室10aにおいて「マスタ圧」が発生する。
このように、液圧発生装置60が故障したとしても、ブレーキペダル71に入力された操作力が、第二マスタピストン14に伝達されるので、第二マスタ室10b及び第一マスタ室10aで「マスタ圧」を発生させることができ、摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrにおいて摩擦制動力を発生させることができ、車両を安全に減速、停止させることができる。
液圧発生装置60の故障時には、ブレーキペダル71が踏まれると、フェイルシリンダ12が前進するので、第一ペダルリターンスプリング27を保持する第一スプリング受け21も前進し、ブレーキペダル71に入力された操作力は、第一ペダルリターンスプリング27に作用しない。このため、ブレーキペダル71に入力された操作力が、第一ペダルリターンスプリング27が圧縮されることにより減衰すること無く、操作力の減衰に伴う「マスタ圧」の減少が防止される。
ブレーキペダルを踏む力が減少すると、「マスタ圧」による第一マスタ室10a、第二マスタ室10bからの力によりマスタピストン13,14、第二フェイルシリンダ12−2等の部材が、加圧順序の逆に元の位置に向かい移動する。更に、ブレーキペダル71から運転者の足が離されると、第一ペダルリターンスプリング27及び第二ペダルリターンスプリング28の付勢力によって、入力ピストン15が後方に移動し、これにより第一スプリング受け21が後方に移動する。すると、第一スプリング受け21のストッパ部21cと当接部12−2hで係合している第二フェイルシリンダ12−2が後方に移動する。そして、第二フェイルシリンダ12−2と連結されている第一フェイルシリンダ12−1が後方に移動し、フェイルシリンダ12が、ブレーキペダル71が踏まれる前の原位置に復帰される。
(本実施形態の効果)
以上の説明から明らかなように、入力ピストン15を後方に付勢して「シミュレータ」の役割を果たすシミュレータスプリング26(シミュレータ部材)が、ハイドロブースタ10を構成するマスタシリンダ11の空間11p内に設けられている。言い換えると、マスタピストン13、14、「スプール弁」(スプールシリンダ24、スプールピストン23)、シミュレータスプリング26、入力ピストン15が、直列にマスタシリンダ11の空間11p内に設けられている。このように、「シミュレータ」がハイドロブースタ10の内部に設けられているので、摩擦ブレーキユニットB(車両用制動装置)の車両への搭載性が良好となる。
フェイルシリンダ12は、第一フェイルシリンダ12−1と、この第一フェイルシリンダ12の後方に設けられた第二フェイルシリンダ12−2とから構成されている。このように、フェイルシリンダ12は、前後方向(長手方向)に、第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−2に分割されているので、フェイルシリンダ12の内周面側の加工が容易となる。
もし、フェイルシリンダ12が、第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−2に分割されておらず、一体に構成されていれば、フェイルシリンダ12の内周面側の切削や研削等の加工には、当該加工を行うための長い回転工具が必要となる。このため、回転工具の剛性の確保が困難となり、加工時における回転工具のしなりや振動によって、フェイルシリンダ12の内周面の面粗度の確保や、フェイルシリンダ12の外周面と内周面の同軸度の確保が困難となり、フェイルシリンダ12の内周面側の加工が困難となる。しかし、本実施形態では、フェイルシリンダ12は、前後方向に、第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−2に分割されているので、長い回転工具が必要とならないことから、上記した問題が発生せず、フェイルシリンダ12の内周面側の加工が容易となる。
図3や図8に示すように、第三筒部12−2aの内周面には、シール保持凹部12−2kが凹陥形成されている。そして、シール保持凹部12−2kには、押圧ピストン33と第二フェイルシリンダ12−2をシールするシール部材75が取り付けられている。このように、シール部材75が第二フェイルシリンダ12−2側に設けられている。このため、シール部材75と接触するシール面が、押圧ピストン33の押圧部33aの外周面に形成されているので、第二フェイルシリンダ12−2の内周面にシール面を形成するのと比較して、シール面を形成するための切削加工や研削加工が容易となる。また、本実施形態では、フェイルシリンダ12は、前後方向に、第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−2に分割されているので、フェイルシリンダ12の中央部分に形成されているシール保持凹部12−2kの加工が容易であり、シール部材75のシール保持凹部12−2kへの取り付けも容易である。
第二筒部12−1cの外径cは第一筒部12−1bの外径bよりも大きい。そして、第五ポート11f(供給ポート)は、第一フェイルシリンダ12−1の第一筒部12−1bの外周面に向けて開口している。このため、第五ポート11fに「アキュムレータ圧」が作用すると、当該「アキュムレータ圧」及び第一筒部12−1bと第二筒部12−1cとの断面積差により、第一フェイルシリンダ12−1には後方への力が作用して、第二フェイルシリンダ12−2の後端が第一スプリング受け21に押し付けられ、フェイルシリンダ12がその摺動範囲の最後端の原位置に位置される(図2の状態)。
これにより、フェイルシリンダ12に取り付けられているスプールシリンダ24に対するスプールピストン23の前後方向位置が位置決めされる。このため、ブレーキペダル71に入力された操作力に対するスプールピストン23のスプールシリンダ24に対するストローク量がばらつかず安定する。これにより、ブレーキペダル71に入力された操作力に対する「サーボ圧」がばらつかずに安定する。
液圧発生装置60の故障により、「アキュムレータ圧」が消失した場合には、フェイルスプリング36の付勢力により、フェイルシリンダ12が前方に付勢されて、押圧部材40が第二マスタピストン14の受け部14cを押圧し、第二マスタピストン14及び第一マスタピストン13が僅かに前進する。これにより、第二マスタピストン14及び第一マスタピストン13の前進によって、第四ポート11eと第二ポート11cがマスタピストン14、13によって第四ポート11eと第二ポート11cがマスタピストン14、13によって閉じられるまでの距離が短縮される。これにより液圧発生装置60の故障時にブレーキペダル71が踏み込まれた場合に、素早く第二マスタ室10b及び第一マスタ室10aにおいて「マスタ圧」が発生し、早急に摩擦制動力を発生させることができる。
第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−1は、連結部材12−3によって連結されている。これにより、液圧発生装置60の故障し、「アキュムレータ圧」が消失した場合において、ブレーキ作動後、ブレーキペダル71から運転者の足が離されると、第一ペダルリターンスプリング27及び第二ペダルリターンスプリング28の付勢力によって、第二フェイルシリンダ12−2と連結されている第一フェイルシリンダ12−1が、後方に移動して、ブレーキペダル71が踏まれる前の原位置に復帰される。このため、「アキュムレータ圧」が復活した場合に、第一フェイルシリンダ12−1に形成された第一インナーポート12−1dがマスタシリンダ11の内周面で閉塞されず、第一インナーポート12−1dが第五ポート11fに連通した状態となり、「アキュムレータ圧」によって「サーボ圧」、次いで「マスタ圧」を発生させることができる。
また、「アキュムレータ圧」がマスタシリンダ11に作用していない状態で、ブレーキペダル71から運転者の足が離されると、第一フェイルシリンダ12−1が、ブレーキペダル71が踏まれる前の原位置に復帰される。これにより、ブレーキペダル71を繰り返し踏み込むことによって、マスタ室10a、10bとホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrr間におけるエア抜きを行う場合に、第一フェイルシリンダ12−1が原位置に戻らないことに起因するマスタピストン13、14の後方への移動の阻害が防止される。このため、第四ポート11eと第二ポート11cがマスタピストン14、13によって閉塞されること防止され、マスタ室10a、10bとリザーバ19が連通し、リザーバ19からブレーキフルードがマスタ室10a、10bに供給されるので、上記エア抜きを行うことができる。
移動部材32の前端はスプールピストン23を押圧する押圧ピストン33の押圧部33aの後面と離間している。このため、ブレーキペダル71が踏まれても、移動部材32の前端が押圧ピストン33の押圧部33aの後面に当接するまでは、ブレーキペダル71からの操作力がスプールピストン23に伝達されないので、摩擦制動力が発生しない。そして、マスタ圧発生ストロークSm(図4示)を超えた場合には、摩擦制動力が発生する。このように、ブレーキペダル71が踏まれても、移動部材32が押圧ピストン33に当接するまでは、摩擦制動力が発生すること無いので、摩擦ブレーキ装置において車両の運動エネルギーが熱エネルギーとして消散してしまうことを防止して、車両の運動エネルギーをより多く回生ブレーキ装置において回生することができる。
押圧ピストン33と入力ピストン15の間に設けられている移動部材32によって、ブレーキペダル71が踏まれた場合の入力ピストン15の前方への移動が規制され、シミュレータスプリング26の破損が防止される。
ブレーキペダル71からの操作力によって駆動されるスプールピストン23のスプールシリンダ24に対する前後方向の位置によって、「減圧モード」、「増圧モード」、「保持モード」が切り替わり、摩擦制動力が可変とされる。このように、スプールピストン23及びスプールシリンダ24から構成される機械的構成要素である「スプール弁」によって、摩擦制動力が可変とされるので、電磁弁を用いて摩擦制動力を可変とする構造と比べて、摩擦制動力をリニアに可変とさせることができる。
つまり、電磁弁では、弁体が弁座から離れる開弁時に、ブレーキフルードの流れによって弁体を弁座から離す力が発生し、ブレーキフルードが過剰に流出し、圧力の調整が困難であり、この結果摩擦制動力の増減をリニアに制御することが困難である。一方で、本実施形態では、運転者の操作力がスプールピストン23に作用し、この操作力の増減によって、「減圧モード」、「増圧モード」、及び「保持モード」が切り替わり、摩擦制動力が増減するので、運転者の意図に沿った摩擦制動力を発生させることができる。
図3に示すように、押圧ピストン33の保持凹部33cとスプールピストン23の後端面との間には、緩衝部材37が設けられている。これにより、サーボ室10cの圧力の急激な増大に起因するスプールピストン23から押圧ピストン33へ伝達される衝撃が、緩衝部材37の圧縮により減衰して緩和される。このため、ブレーキペダル71に伝達される衝撃が緩和され、運転者が違和感を覚えない。
(第二実施形態のフェイルシリンダ)
第二実施形態のフェイルシリンダ12について、上記説明した実施形態(第一実施形態)のフェイルシリンダ12と異なる点について、図10及び図11を用いて、以下に説明する。第二実施形態のフェイルシリンダ12は、第一実施形態のフェイルシリンダ12と異なり、連結部材12−3を有さない。図10に示すように、第二筒部12−1cの内周面の後端よりも前方には、全周に渡って係合凹部12−1mが凹陥形成されている。図11に示すように、第二筒部12−1cの後端には、当該部分の全周のうち一部が切り欠かれて、係合凹部12−1mに連通する挿入凹部12−1nが形成されている。
図10や図11に示すように、第四筒部12−2bの外周面の後部には、係合突起12−2sが形成されている。係合突起12−2sを挿入凹部12−1nに挿通させたうえで、第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−2を相対回転させると、係合突起12−2sが係合凹部12−1mに係合し、第一フェイルシリンダ12−1と第二フェイルシリンダ12−2が連結される。
(別の実施形態)
以上説明した実施形態では、ブレーキペダル71に入力される操作を検出するブレーキセンサ72は、ブレーキペダル71のストローク量を検出している。しかし、ブレーキセンサ72は、入力ピストン15や、連結部材31、オペロッド16のストローク量を検出するストロークセンサであっても差し支え無い。或いは、ブレーキセンサ72は、ブレーキペダル71や入力ピストン15や、連結部材31、オペロッド16に作用する操作力を検出する荷重センサであっても差し支え無い。
以上説明した実施形態では、液圧発生装置60の故障により、「アキュムレータ圧」が消失した場合には、押圧部材40が第二マスタピストン14の受け部14cに当接する構造である。しかし、液圧発生装置60の故障時に、先端筒部12−1aと第一筒部12−1bの間に形成された段差状の段差面12−1i(図2示)が第二マスタピストン14の第二筒部14bの後端に当接する構造であっても差し支え無い。
以上説明した実施形態では、図3や図8に示すように、第一連通流路12−2pは、第二フェイルシリンダ12−2の第三筒部12−2aの前端に形成されている。しかし、排出流路12aと第一筒部12−1bの内周側とを連通する第一連通流路が、第一筒部12−1bの後端に形成されている実施形態であっても差し支え無い。また、第二連通流路12−2qは、第二フェイルシリンダ12−2の第五筒部12−2cの前端に形成されている。しかし、排出流路12aと第二筒部12−1cの外周側を連通する第二連通流路が、第二筒部12−1cの後端に形成されている実施形態であっても差し支え無い。
また、以上説明した実施形態では、入力ピストン15に運転者の操作力を伝達するブレーキ操作部材は、ブレーキペダル71である。しかし、ブレーキ操作部材は、ブレーキペダル71に限定されず、例えば、ブレーキレバーやブレーキハンドルであっても差し支え無い。そして、本実施形態の車両用制動装置(摩擦ブレーキユニットB)を、自動二輪車やその他車両に適用しても、本発明の技術的思想が適用可能なことは言うまでもない。