JP2015200800A - 波長変換素子および光周波数コム発生装置 - Google Patents

波長変換素子および光周波数コム発生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、非線形光学媒質からなる波長変換素子とそれを用いた光周波数コム発生装置に関し、安定した光周波数コムを発生させることを目的とする。【解決手段】本発明は、第1及び第2の分極反転領域を備えた二次非線形光学媒質からなる波長変換素子であって、第1の分極反転領域は1オクターブ未満の広がりをもった光周波数コムに含まれる光周波数f1、f2、f3の光に対して、第2高調波発生によりf1の光を2f1の第1の変換光に変換し、第2高調波発生によりf3の光を2f3の第2の変換光に変換し、f2の光と第1の変換光との和周波発生により2f1+f2の第3の変換光に変換するようにΛ1が設定され、第2の分極反転領域は光周波数コム中の光の第2高調波発生により発生した第2高調波の波長が第3の変換光の帯域内に存在するようにΛ2が設定されている。【選択図】図4

Description

本発明は、光の周波数を測定するためなどに用いる光周波数コム発生装置を安定化するための波長変換素子および安定化された光周波数コム発生装置に関するものである。
等しい周波数間隔の離散的なスペクトルを有する光は、光周波数コムと呼ばれており、2005年に光周波数コム技術などのレーザを用いた精密な分光法の発展への貢献によりジョン・ホール博士にノーベル物理学賞が与えられ世界に注目されている。光周波数コムは、一定の周波数間隔で現れる複数の線スペクトルを櫛目と見立てており、この櫛目の間隔が光パルスの繰り返し周波数であり、各櫛目の光周波数は隣り合う櫛目の間隔の周波数の整数倍にオフセット光周波数を加えたものとなる。したがって、光周波数コムでは、櫛目の間隔の周波数と整数値とにより各線スペクトルの光周波数が決定できる。すなわち、光周波数コムを構成する各光周波数は以下の(式1)で与えられる。
n=f0+nfrep (式1)
ここで、frepは隣り合う櫛目の光周波数間隔、nは整数、f0は光周波数の余りの部分あり、0≦f0<frepの関係がある。光周波数コムは様々な整数nのfnの光周波数波長の集合体とみなすことができる。
光周波数コム光源としては、例えば非特許文献1又は非特許文献2に示されるような光周波数コム光源があるが、どちらの光周波数コム光源も高非線形ファイバの出力は1.0μm〜2.1μmの波長域に広がっている。これらの光源は、少なくとも2波長のレーザ光を含む等間隔の周波数差をもったレーザ光の集団をEr添加ファイバ増幅器にて増幅し、高非線形ファイバ中における4光波混合によってその周波数差をもった光が長波長側および短波長側に次々と発生していくことにより、発生する光の波長幅が広がっていく。非特許文献2に示されるように、Er添加ファイバ増幅器内の励起光強度により光周波数コムの発生波長範囲は変化するが、現在存在するEr添加ファイバ増幅器を用いれば十分に波長1.0μm〜2.1μmの波長域に広がる光周波数コムは得られる。
ここで、非特許文献1又は非特許文献2に示されるように、波長2μm付近の光が二次非線形光学効果により半分の波長(光周波数では2倍)の1μm付近の光に変換され、当該変換光と元々光周波数コムを構成していた波長1μm付近の光とを干渉させ、当該干渉光を受光器により光電変換することにより、電気スペクトル上にビート信号が得られる。これにより、光周波数コムの光周波数のf0およびfrepが安定化できる。
図1を用いて以上の現象を説明する。図1に、光周波数に対する光周波数コムのスペクトルを示す。図1中矢印で示される各光は、点線上の周波数、すなわち上記(式1)で示される関係を持っている。図1に示されるように、一番左の低周波数側の光の周波数がf0、点線の間隔がfrepで一定である。図1において、横軸は光周波数で表しているため、波長の長いものは左側で右側に行くほど短波長になる。波長2μm付近の光の周波数fを、aを整数として以下の(式2)で表す。
=f0+afrep (式2)
(式2)で示されるfは、二次非線形光学効果の1つである第2高調波発生(SHG)により以下の(式3)で表される光周波数fSHGに変換される。
SHG=2f=2f0+2afrep (式3)
(式3)で示される波長1μm付近の光のfSHGとほぼ同じ光周波数fbを、整数bを用いて以下の(式4)で表す。
b=f0+bfrep (式4)
SHGとfbがほぼ同じ光周波数すなわち2a=bのとき、その差はf0のみであり、ビート信号としてf0が得られる。実際には、frep毎の周波数間隔で光が存在し、b=2a+1などの時に(式4)から(式3)を引いた値であるfrep−f0や(式4)でbがたとえば2aと2a+1の様に1違いの場合の光も同時に存在するので(式4)同士でbが1違いの場合の差の周波数frepのビート信号も得られる。ビート信号の中からf0、frep、frep−f0などの必要なビート信号をフィルタにより分離することができ、その分離した信号により光周波数コムの励起光などにフィードバックを行うことにより、光周波数コムの光周波数を安定化することができる。この安定化手法は、2fとfとを干渉させていることから、f−2f干渉法と呼ばれている。
ここで、光周波数コムはfrepごとに光周波数が存在するため、実際には、二次非線形光学効果の1つである和周波発生(SFG)により、整数aとほぼ同じ値の、擬似位相整合条件から大きく離れない範囲の整数c及びdの組み合わせから、以下の(式5)で表されるfSFGを有する和周波光も発生する。
SFG=fc+fd=2f0+(c+d)frep (式5)
(式5)に示されるように、c=a−1、d=a+1などのときはc+d=2aとなり、当該和周波光により、同様に前述のような整数b=2aの光周波数fbの光と光周波数f0のビート信号とを得ることができ、第2高調波以外にも安定化信号を得るのに寄与している。また、(式5)において、c=a、d=a+1などのときは、b=2a+1の光周波数の光と光周波数f0のビート信号とを観測することができる。そのため、f−2f干渉法では、実際には2f0の項が生成される二次非線形光学効果による波長変換が有ればよい。
このような波長変換を起こすものとして、周期分極反転ニオブ酸リチウムが良く知られている。図2に導波路型の周期分極反転ニオブ酸リチウムからなる波長変換素子の模式図を示す。図2には、周期分極反転ニオブ酸リチウム201と、周期分極反転ニオブ酸リチウム201上に設けられた導波路202とを備えた波長変換素子200が示されている。二次非線形効果による波長変換には、第2高調波発生、和周波発生、差周波発生があるが、ここでは第2高調波発生及び和周波発生について説明をする。
図2に示されるように、波長λ1及びλ2の光が波長変換素子200の導波路202にそれぞれ入力すると、和周波発生により導波路202内で以下の(式6)を満たす波長λ3を有する変換光が発生する。
1/λ3=1/λ1+1/λ2 (式6)
上記(式6)は、波長の逆数の次元、つまり周波数に比例する次元であり、2つの入力光の周波数の和を取った和周波の変換光が発生する。入力される2つの波長が同じ(すなわちλ1=λ2の時)、変換光の光周波数は入力光の2倍になり、この光学非線形過程を第2高調波発生と呼ぶ。すなわち、第2高調波発生は和周波発生の特別な形と言える。
ここで、波長λ1、λ2、λ3の3つの光の伝搬する速度が異なるため、以下の(式7)で表される位相不整合量Δβが発生する。ここで、n1、n2及びn3は、それぞれ、媒体内における波長λ1、λ2、λ3の光の屈折率を示す。
Δβ=2π(n3/λ3−n1/λ1−n2/λ2) (式7)
高い変換効率を得るためには、このΔβを補償する必要がある。ニオブ酸リチウムのような強誘電体では、分極の向きを周期的に反転することによりΔβを補償できる。分極反転周期をΛとすると、Δβ=2π/Λを満たすΛを設定することによりΔβの補償を達成することができる。
さて、このf−2f干渉法を用いる場合には、光周波数コムの広がりは1オクターブ以上広がっていることが必要である。非特許文献1に示されるように、高非線形ファイバに入力する光の増幅強度を強くすることにより、光周波数コムの広がりは大きくなる。すなわち、1オクターブ以上に広げるためには、高い増幅強度が必要である。
しかし、光周波数コム発生装置では装置の低エネルギー化が要求される。そこで、装置の低エネルギー化を図り、1オクターブも光周波数帯域を広げることなく低い増幅強度によりビート信号を得るため、非特許文献3に示される2f−3f干渉法がある。
図3に、非特許文献3に示されるような2f−3f干渉法を利用する従来の光周波数コム発生装置の構成を示す。図3には、光周波数コム光源301と、分波器302と、ニオブ酸リチウムからなる導波路型の第1及び第2の非線形光学媒質303及び308と、第1及び第2のミラー304及び307と、合波器305と、受光器306と、制御手段309と、を備えた光周波数コム発生装置300が示されている。
図3に示されるように、2f−3f干渉型の光周波数コム発生装置300は、光周波数コム光源301から出力された光を分波器302で波長1.2μm付近の光と波長1.8μmの光との2光路に分け、その波長1.2μm付近の光を単一の分極反転周期を有する第1の非線形光学媒質303に入力し、波長1.8μmの光を第2のミラー307を介して2種類の分極反転周期がタンデムに構成された第2の非線形光学媒質308に入力する。
第1の非線形光学媒質303では入力された波長1.2μm付近の光が第2高調波発生により波長0.6μmの第2高調波に変換され(光周波数2f0の項が存在)、当該第2高調波が第1のミラー304及び合波器305を介して受光器306に入力される。第2の非線形光学媒質308では入力された波長1.8μm付近の光が前段の分極反転領域で第2高調波発生により波長0.9μmの第2高調波に変換され(光周波数2f0の項が存在)、後段の分極反転領域において前段の分極反転領域で発生した波長0.9μmの第2高調波と元の波長1.8μmの光との和周波発生により波長0.6μm付近の和周波光に変換し(光周波数2f0の項が存在する光と光周波数f0の項が存在する光との和を取っているためその合計3f0の項が存在)、当該和周波光が合波器305を介して受光器306に入力される。
受光器306では、第1及び第2の非線形光学媒質303及び308の各々から出力された波長0.6μmの第2高調波及び和周波光を受光・干渉することにより、光周波数f0のビート信号を得ることができる。受光器306は、得られた光周波数f0のビート信号を光電変換して電気信号として制御手段309に出力する。制御手段309は、電気周波数軸上においてf0成分が一定になるようにフィードバック信号を光周波数コム光源301に出力する。それにより、光周波数コム発生装置300では光周波数の安定化が図られている。
このように、2f−3f干渉型の光周波数コム発生装置300では、1オクターブも光周波数帯域を広げることなく光周波数コムで安定化信号を得ている。ここで、2f−3f干渉法では、干渉させる2つの光の中に2f0項と3f0項が有ればよく、各第2高調波発生時に和周波発生光が混ざっていてもよい。
A. Ishizawa, T. Nishikawa, A. Mizutori, H. Takara, S. Aozasa, A. Mori, H. Nakano, A. Takada, M. Koga, "Octave-spanning frequency comb generated by 250 fs pulse train emitted from 25 GHz externally phase-modulated laser diode for carrier-envelope-offset-locking", 2010年, Electronics Letters, Vol.46, No.19, p.1343-1344. K. Iwakuni, H. Inaba, Y. Nakajima, T. Kobayashi, K. Hosaka, A. Onae, F-L. Hong, "Narrow linewidth comb realized with a mode-locked fiber laser using an intra-cavity waveguide electro-optic modulator for high-speed control", 2012年, OPTICS EXPRESS, Vol.20, No.13, p.13769-13776. K. Hitachi, A. Ishizawa, T. Nishikawa, M. Asobe, and T. Sogawa, "Carrier-envelope offset locking with a 2f-to-3f self-referencing interferometer using a dual-pitch PPLN ridge waveguide," 2014年, OPTICS EXPRESS, Vol.22, No. 2, p. 1629-1635.
しかしながら、非特許文献3に示される従来の2f−3f干渉法では、図3に関連して説明したように、光周波数コムを波長1.2μm光と波長1.8μm光との2光路に分けることが必要であり、部品が多数であって光学系が複雑である。また、2光路に分波した光路を再び合波するMach−Zender型を使用する場合には、系の不安定さがあるという問題があった。さらに、非線形光学結晶が、波長1.2μm光に対する1領域と、波長1.8μm光に対する2領域とで、合計3領域必要であり、非線形光学結晶の点数が多いという問題もあった。
光を2光路に分けないために、この非線形領域の3領域を縦続接続することが容易に推測される。しかしながら、変換効率を高く維持するには各非線形領域を長く設定する必要があるが、非線形光学結晶の実質的な大きさが結晶成長技術により限定されているので、領域数を多く設定すればするほど、各領域の長さが短くなって効率低下を招くという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、光周波数コムを1オクターブ以上に広げることなく安定化信号を得ることができる2f−3f干渉法を利用する波長変換素子において、光周波数コムを2光路に分けることなく光周波数2fを含む光と光周波数3fを含む光とを得ることができ、且つ2つの非線形光学領域により2f−3f干渉を行う波長変換素子を実現することにある。また、この波長変換素子を用いた光周波数コム発生装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の波長変換素子は、第1の分極反転周期Λを有する第1の分極反転領域と、第2の分極反転周期Λを有する第2の分極反転領域とを備えた二次非線形光学媒質からなる波長変換素子であって、前記第1の分極反転領域は、30dB幅として1オクターブ未満の広がりをもった光周波数コムを入力し、前記光周波数コムに含まれる光周波数f、f、fの光に対して、1次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光を第2高調波発生により光周波数2fの第1の変換光に変換し、3次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光を第2高調波発生により光周波数2fの第2の変換光に変換し、3次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光と前記第1の変換光との和周波発生により光周波数2f+fの第3の変換光に変換するように、前記第1の分極反転周期Λが設定され、前記第2の分極反転領域は、少なくとも前記第1の分極反転領域を透過した前記光周波数コムを入力し、前記光周波数コム中の光が1次の擬似位相整合条件により第2高調波発生を起こし、当該第2高調波の波長が前記第1の分極反転領域で発生した前記第3の変換光の帯域内に存在するように、前記第2の分極反転周期Λが設定されていることを特徴とする。
請求項2に記載の波長変換素子は、第1の分極反転周期Λを有する第1の分極反転領域と、第2の分極反転周期Λを有する第2の分極反転領域とを備えた二次非線形光学媒質からなる波長変換素子であって、前記第1の分極反転領域は、30dB幅として1オクターブ未満の広がりをもった光周波数コムを入力し、前記光周波数コムに含まれる光周波数f、f、fの光に対して、1次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光を第2高調波発生により光周波数2fの第1の変換光に変換し、3次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光を第2高調波発生により光周波数2fの第2の変換光に変換し、3次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光と前記第1の変換光との和周波発生により光周波数2f+fの第3の変換光に変換するように、前記第1の分極反転周期Λが設定され、前記第2の分極反転領域は、少なくとも前記第1の分極反転領域において発生した前記第1の変換光と前記第1の分極反転領域を透過した前記光周波数コムとを入力し、前記光周波数コム中の光と前記第1の変換光との1次の擬似位相整合条件により和周波発生を起こし、当該和周波発生光の波長が前記第1の分極反転領域で発生した前記第2の変換光の帯域内に存在するように、前記第2の分極反転周期Λが設定されていることを特徴とする。
請求項3に記載の波長変換素子は、請求項1又は2に記載の波長変換素子であって、前記二次非線形光学媒質は、LiNbOまたはLiNbOにMg、Zn、Sc、およびInからなる群から選ばれた少なくとも一種が添加物として含有された材料から成ることを特徴とする。
請求項4に記載の波長変換素子は、請求項1乃至3のいずれかに記載の波長変換素子であって、前記非線型光学媒質は、光導波路構造を有することを特徴とする。
請求項5に記載の光周波数コム発生装置は、前記光周波数コムを出力する光周波数コム光源と、前記光周波数コム光源から出力された前記光周波数コムを入力する請求項1乃至4のいずれかに記載の波長変換素子と、前記波長変換素子の出力光の一部又は全部を受光して光電変換することによって得られた電気信号を出力する光受光器と、前記光受光器から出力された前記電気信号を入力し、前記電気信号の周波数成分に基づいて、前記電気信号におけるビート周波数が一定になるようにフィードバック信号を前記光周波数コム光源に出力する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、光周波数コムを2つに分離することなく1つの波長変換素子に入力し、2f−3f干渉を行うことによりビート信号を得ることができるため、光学系が簡便になる。
また、本発明によれば、2f信号と3f信号が同一直線上に出てくるコリニアな系であるので、光のパスを2光路に分けるMach−Zehnder型と比べると、干渉計自身の揺らぎを抑えることができる。
さらに、本発明によれば、前段の非線形光学領域で3f信号を得る2つの非線形光学過程、もしくは前段の非線形光学領域で2f信号を得る非線形光学過程と3f信号を得るための途中段階の非線形光学過程を同時に起こすことが可能となるため、3つの過程からなる2f−3f干渉を行うための非線形光学過程を2領域で達成できる。そのため、各領域の相互作用長を長くとることができ、変換効率が良い。
さらに、本発明によれば、非線形光学領域を従来の3領域から2領域に減らすことができるので、素子全体の長さを短くすることができる。そのため、たとえ結晶成長に制限される全長に届かない短い素子で十分効率が得られるとしても、その分素子収容効率が上がるという利点が発生する。
さらに、本発明によれば、第2の分極反転領域の分極反転周期は、独立に設計することができるため、第1の分極反転領域から発生する3f光と同じ波長を第2の領域での2f過程で出す、もしくは第1の分極反転領域から発生する2f光と同じ波長を第1の領域と独立に設定できる第2領域で3f光の波長を出せるように設計できる。そのため、確実にビート干渉を起こすことができる。
光周波数コムのf−2f干渉法の光周波数と光強度の関係を示す図である。 導波路型の周期分極反転構造を有する従来の波長変換素子を示す図である。 2f−3f干渉法を利用する従来の光周波数コム発生装置を示す図である。 本発明に係る波長変換素子の構造を示す図である。 1次の擬似位相整合と3次の擬似位相整合の電界強度を示す図である。 導波路型のニオブ酸リチウムの場合における、分極反転周期に対する第2高調波発生と和周波発生とを起こす基本波の関係を示す図である。 図6に示す3次SFG変換光603及び3次SHG変換光606の波長と分極反転周期との詳細な関係を示す図である。 図6に示す3次SFG変換光603及び3次SHG変換光606の波長と規格化変換効率との関係を示す図である。 本発明に係る波長変換素子の他の例を示す図である。 導波路型のニオブ酸リチウムの場合における、分極反転周期に対する第2高調波発生と和周波発生とを起こす基本波の関係を示す図である。 本発明の実施例5に係る光周波数コム発生装置を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の各実施例について説明する。
(実施例1)
まず、図5を用いて周期分極反転構造での一般的な波長変換の様子を説明する。図5中の横軸は光の伝搬方向を示し、縦軸は変換光の電界強度を示す。図5において、1次の擬似位相整合の光の電界強度を実線で示し、3次の擬似位相整合の光の電界強度を一点鎖線で示す。
図5に示されるように、光が1周期分の分極反転領域の半分の距離を進むと、後の領域において分極が反転されていない場合、図5中の点線で示されるように、変換光の電界強度は低下し、1周期分が終わるところで0に戻る。一方で、後の領域において分極が反転されている場合、光が1周期分の分極反転領域の半分を進んだ距離をさらに伝搬しても、図5中の実線で示すように、変換光の電界強度が増強される。分極反転が周期的に幾周期も連なっていると、さらに変換光の電界強度が増強される。
一方、図5中の一点鎖線で示されるように、1周期分の分極反転領域の半分の入射側の領域において光が3分の1進んだところで、入射側の領域において電界強度が一旦最大値を迎えるような波長変換では、後の3分の1で減少して0に戻り、さらに3分の1進むと1周期分の分極反転領域の半分の位置となって再び最大値を迎える。この再び最大値となった位置から分極の方向が反転されると、出射側の領域においてさらに3分の1進む時に電界強度が減少せず増強される方向に進んで最大値を迎え、次の3分の2の領域で1往復し再度最大値を迎える。分極反転が周期的に幾周期も連なっているとさらに増強される。このような1次の擬似位相整合の領域の3分の1周期で電界強度が増減し増強されていくものを3次の擬似位相整合と呼ぶ。すなわち、1次の擬似位相整合を発生する領域の分極反転周期の3分の1の分極反転周期の分極反転領域を作製すると、1次の擬似位相整合として変換光の増強を図ることができる。
次に、図6に、分極反転周期に対する、1次の擬似位相整合による第2高調波発生と3次の擬似位相整合による波長変換とを起こす基本波及び変換光の波長の関係を示す。図6では、非線形光学媒質としてバルクのニオブ酸リチウムを使用し、分極反転周期20μmの場合を例に説明する。
図6に示されるように、波長約1.5876μmの1次SHG基本波601を入力すると、第2高調波発生が起こり、その半波長である波長約0.7938μmの1次SHG変換光604が発生する。分極反転周期20μmと交差する波長約1.058μmの3次SHG基本波605を入力すると、3次の擬似位相整合により第2高調波発生が起こり、その半波長である波長約0.529μmの3次SHG変換光606が発生する。また、1次の擬似位相整合で発生した波長0.7938μmの1次SHG変換光604と波長1.4768μmの3次SFG基本波602との和周波発生が3次の擬似位相整合により1次の擬似位相整合と同時に起こる。ここでいう3次SFG基本波602は、当該波長の3倍波が出るという意味ではなく、当該分極反転周期で3次の擬似位相整合により1次SHG変換光604と和周波発生が起こる入力光の事である。この和周波光である3次SFG変換光603の波長は0.5163μmである。
以上のように、1つの分極反転周期について2つの波長域で第2高調波発生が可能であり、さらに一方の第2高調波を利用した和周波発生も起こる。また、図6中の1次SHG基本波601、3次SFG基本波602及び3次SHG基本波605は、30dB幅として1オクターブより狭い周波数範囲に収まっている。
図7に、図6に示す3次SFG変換光603及び3次SHG変換光606の波長と分極反転周期との詳細な関係を示す。また、図8に、図6に示す3次SFG変換光603及び3次SHG変換光606の波長と規格化変換効率との関係を示す。
図6では、3次SFG変換光603及び3次SHG変換光606はほぼ同じ波長に見えるが図7で詳細に見ると、例えば分極反転周期20μmの場合はその波長差は10nm以上の間隔があることが分かる。この間隔であっても変換光同士の波長の重なりがあればよい。しかし、図8に示すように、素子長25mmの場合の規格化変換効率の波長依存性を見ると、3次SFG変換光603及び3次SHG変換光606において変換効率が高い変換光波長幅は狭く、変換効率が高い変換光波長においては変換光同士の波長の重なりが大きくとれないことが分かる。
そこで、図4に示すような周期分極反転領域が2領域ある本発明に係る波長変換素子400を考える。図4には、分極反転周期Λを有する第1の分極反転領域410と分極反転周期Λを有する第2の分極反転領域420とを含む波長変換素子400が示されている。図4に示される波長変換素子400は、例えば非線形光学媒質であるニオブ酸リチウムからなり、分極反転が第1の分極反転領域410及び第2の分極反転領域420の2領域に分かれて周期的に施されているバルク型波長変換素子である。図4中矢印は、分極反転の向きを示し、図4中点線は波長変換素子400を伝搬する光の軌跡の外形を示している。
波長変換素子400において、入力光である光周波数コムが第1の分極反転領域410に入射して第1の分極反転領域410中を進む場合、第1の分極反転領域410中には変換光に変換されずに透過する光周波数コム自体が存在する。
ここで、変換されずに残存した光周波数コムを用いてビート信号を得る方法として、3次の擬似位相整合により発生した3f成分を持つ和周波光の光波長と一致する波長を有する2f成分を持つ第2高調波を発生させる第1の方法と、又は3次の擬似位相整合で発生した2f成分を持つ第2高調波の光波長と一致する波長を有する3f成分を持つ和周波光を発生させる第2の方法との2種の方法をとることができる。
そこでまず、3次の擬似位相整合により発生した3f成分を持つ和周波光波長と一致する波長を有する2f成分を持つ第2高調波を発生させる第1の方法を示す。
図6中の3次SFG変換光603に示される場合、分極反転周期Λ=20μmでは、和周波光の波長は0.5163μmである。3次の擬似位相整合は、分極反転周期20μmの3分の1である約6.667μmの周期で1次の擬似位相整合が起こるとみなせる。これは分極反転周期Λ=20μmの時の1次SHG基本波光601の波長と1次SHG変換光604の波長との関係が、分極反転周期Λ=6.667μmの時の3次SHG基本波光605の波長と3次SHG変換光606の波長との関係が同じということである。図6に示す1次SHG基本波601及び1次SHG変換光604を示す曲線を参照すると、1次SHG基本波601及び1次SHG変換光604は分極反転周期Λが短くなるにつれて短波長化しているため、分極反転周期Λ=6.667μmの時に0.529μmの第2高調波である1次SHG変換光604が発生している条件よりも短い分極反転周期Λをもたせることにより、波長0.5163μmの和周波光と同じ波長の第二高調波の発生を達成できる。本実施例1では、分極反転周期Λ=6.17μmとした場合に、第1の分極反転領域410で変換されずに透過した光周波数コムにおける波長1.0326μmの基本波光が一次の擬似位相整合条件により第二高調波である0.5163μmに変換される。それにより、第1の分極反転領域410で発生する和周波光の波長と第2の分極反転領域420で発生する第2高調波の波長が0.5163μmで一致する。
以上から、本実施例1では、図4に示される波長変換素子400において、光の入射側である第1の分極反転領域410の分極反転周期Λは20μmとし、出力側の第2の分極反転領域420の分極反転周期Λは6.17μmとし、素子の厚みは1mmとし、素子長は2領域合わせて2.5cmとした。本実施例1に係る波長変換素子の第1の分極反転領域では、分極反転周期Λ=20μmであるため、図6を参照して説明した分極反転周期Λ=20μmの場合と同様の非線形過程が起こる。
ここで、実施例1に係る波長変換素子に、1.0μmから1.7μmまで広がった繰り返し周波数100MHzの光周波数コムを入力し、その出力光を光受光器で受光して電気スペクトルアナライザーで周波数特性を観測したところ、20MHzのビート信号が観測された。
上記のように、第2の分極反転領域420で発生した2f成分の第2高調波の波長が第1の分極反転領域410で発生した3f成分を持つ和周波光の帯域内となり、特に、3f成分の和周波光の波長と2f成分を持つ第2高調波の波長とを一致させることができるため、強いビート信号を得ることが可能である。
(実施例2)
以下、本発明の実施例2に係る波長変換素子を説明する。本発明の実施例2に係る波長変換素子では、3次の擬似位相整合により発生した2f成分を持つ第2高調波と一致する波長を有する3f成分を持つ和周波光波長を発生させる第2の方法を示す。本発明の実施例2に係る波長変換素子においては、図4に示されるバルク型の波長変換素子400を用い、光の入射側である第1の分極反転領域410の分極反転周期Λを20μmとし、出力側の第2の分極反転領域420の分極反転周期Λを7.32μmとした。
本実施例2では、分極反転周期Λが実施例1と同様の20μmであるため、第1の分極反転領域410では実施例1と同様の非線形過程が起こる。すなわち、波長約1.5876μmの1次SHG基本波601が第1の分極反転領域410に入力されると、1次の擬似位相整合により半波長の波長約0.7938μmの第2高調波である1次SHG変換光604が発生する。また、波長約1.058μmの3次SHG基本波605が第1の分極反転領域410に入力されると、3次の擬似位相整合により第2高調波である波長約0.529μmの3次SHG変換光606が発生する。また、1次の擬似位相整合により発生した波長0.7938μmの1次SHG変換光604と波長1.4768μmの3次SFG基本波602との和周波発生が3次の擬似位相整合により1次の擬似位相整合と同時に起こる。この和周波光である3次SFG変換光603の波長は0.5163μmである。
第1の分極反転領域410で発生する波長0.529μmの第2高調波(3次SHG変換光606)の方が波長0.5163μmの和周波光(3次SFG変換光603)より長波長であるため、本実施例2に係る波長変換素子では、第2の分極反転領域420で発生させる和周波光の波長を長波長化させる必要がある。そこで、第2の分極反転領域420について分極反転周期Λを約6.667μmより長い7.32μmに設定して和周波光波長を長波長化する。すなわち第1の分極反転領域410で発生した1次SHG変換光である波長0.7938μmの光と第1の分極反転領域410で変換されずに透過した光周波数コムにおける波長1.5858μmの基本波光との和周波を第2の分極反転領域420で発生させることにより、第1の分極反転領域410において3次の擬似位相整合で発生した2f成分を持つ第2高調波の光波長と一致する波長0.529μmを有する3f成分を持つ和周波光を第2の分極反転領域420で発生させることができる。
本実施例2に係る波長変換素子に、1.0μm〜1.7μmまで広がった繰り返し周波数100MHzの光周波数コムを入力し、その出力光を光受光器で受光して電気スペクトルアナライザーで周波数特性を観測したところ、20MHzのビート信号が観測された。
上記のように、第2の分極反転領域420で発生した3f成分の和周波発生光の波長が第1の分極反転領域410で3次の擬似位相整合により発生した2f成分を持つ第2高調波の帯域内となり、特に、2f成分を持つ光の波長と3f成分の光の波長とを一致させることができるため、強いビート信号を得ることが可能である。
(実施例3)
以下、本発明の実施例3に係る波長変換素子を説明する。本発明の実施例3に係る波長変換素子では、図4に示されるバルク型の波長変換素子400を用い、光の入射側である第1の分極反転領域410の分極反転周期Λを25.0μmとし、出力側の第2の分極反転領域420の分極反転周期Λを7.9μmとした。
第1の分極反転領域410では、波長1.781μmの1次SHG基本波601が1次の擬似位相整合により波長0.8905μmの第2高調波である1次SHG変換光604に変換され、この第2高調波と波長1.5015μmの3次SFG基本波602が3次の擬似位相整合による和周波発生により波長0.559μmの和周波光である3次SFG変換光603に変換される。また、波長1.138μmの3次SHG基本波605が3次の擬似位相整合により0.569μmの第2高調波である3次SHG変換光606に変換される。
出力側の第2の分極反転領域420では、Λ=7.9μmにおいて波長1.118μmの基本波光が1次の擬似位相整合により波長0.559μmの第2高調波に変換される。
本実施例3に係る波長変換素子に1.1μm〜1.8μmまで広がった光周波数コムを入力し、その出力光を光受光器で受光して電気スペクトルアナライザーで周波数特性を観測したところ、20MHzのビート信号が観測された。上記のように2f成分を持つ光の波長と3f成分の光の波長とを波長0.559μmで一致させることができるため、強いビート信号を得ることが可能である。
入力光としての光周波数コムにおいて、主にEr添加ファイバ増幅器の帯域に合わせて1.55μm帯を中心に広がる光周波数コムを考えると、波長1.1μm〜1.95μmの広がりの中に光周波数コムが有ることが好ましく、かつその中に図6中に1次SHG基本波601、3次SFG基本波602、及び3次SHG基本波605で示した光の波長が含まれることが必要であり、その入力側の第1の分極反転周期Λが22μm以上28μm未満であることが適当である。
また、入力光としての光周波数コムをYb添加ファイバ増幅器の帯域に合わせて1.05μm帯を中心に広がる光周波数コムを考えると、0.8μm〜1.3μmの広がりの中に光周波数コムが有ることが好ましく、かつその中に図6中に1次SHG基本波601、3次SFG基本波602、及び3次SHG基本波605で示した光の波長が含まれることが必要であり、その入力側の第1の分極反転周期Λは8μm以上10μm未満が適当である。
実施例1乃至3に係る波長変換素子において、図6を用いて波長変換特性を示したが、3f成分を持つ光の生成は第1の分極反転領域410で達成されているため、3f成分を持つ光を発生させるためには、第1の分極反転領域410は少なくとも1周期だけの分極反転周期を有すれば良いことが分かる。また、特別な場合として図6中の1次SHG基本波601と3次SFG基本波602が交差する点、すなわち分極反転周期15μm付近において、波長1.4μm付近の光が丁度3倍波として発生することを意味しており、非常に有用である。
(実施例4)
以下、本発明の実施例4に係る波長変換素子を説明する。図9は、本発明に係る波長変換素子の他の例を示す。図9には、分極反転周期Λを有する第1の分極反転領域910の第1の導波路911と、分極反転周期Λを有する第2の分極反転領域920の第2の導波路921とを含む導波路型の波長変換素子900が示されている。光周波数コムの入力光は、入力端912から入力されて、変換光として出力端913から出力される。
本発明の実施例4に係る波長変換素子では、図9に示される導波路型の波長変換素子900を用い、光の入射側である第1の分極反転領域910の分極反転周期Λを25.0μmとし、出力側の第2の分極反転領域920の分極反転周期Λを8.08μmとした。波長変換素子の長さは2領域各2.5cm合わせて5cmとし、コア厚は7μmとし、コア幅は10μmに設定した。
図9に示す波長変換素子における導波路作製方法としては、非特許文献3に示される素子を作成する方法と同様の方法を用いることができる。図9に示す波長変換素子では、コア層となるニオブ酸リチウムに分極反転を施し、その後、本ニオブ酸リチウム基板とクラッド層となるタンタル酸リチウムに直接接合し、その後コア層を薄膜化しダイシングソーにより導波路構造としている。
導波路型の場合、ニオブ酸リチウムとしての材料分散に加えて、導波路構造を取ることによる構造分散を加味しなくてはならず、その波長変換特性はバルク型のものと異なる。今回のコアサイズにおける反転周期に対する波長変換特性を図10に示す。
入力された光は導波路伝搬中に導波の横モードとしてマルチモードではあるが、基本モードが最大結合となるように選択的に励振することができ、図10中では全て基本モード間の波長変換特性に関して示している。図10中の1001が各反転周期に対する1次の擬似位相整合の第2高調波発生が起こる基本波波長を示し、1002がその対応する第2高調波の波長を示す。
図10に示されるように、分極反転周期Λ=25.0μmのとき、第1の分極反転領域910では、波長1.889μmの1次SHG基本波1001が、1次の擬似位相整合で第2高調波発生が起こり、波長0.9445μmの第2高調波である1次SHG変換光1002に変換される。また、3次の擬似位相整合により、この波長0.9445μmの第2高調波と波長1.41845μmの3次SFG基本波1005との和周波発生により波長0.567μmの3次SFG変換光1006が発生する。さらに、波長1.1458μmの3次SHG基本波1003が3次の擬似位相整合により第2高調波発生を起こし、波長0.5729μmの第2高調波である3次SHG変換光1004が発生する。
分極反転周期Λの8.08μmの出力側の第2の分極反転領域920では、波長1.134μmの1次SHG基本波1001が、1次の擬似位相整合で第2高調波発生が起こり、波長0.567μmの第2高調波である1次SHG変換光1002を発生する。
ここで、実施例4に係る導波路型の波長変換素子に、1.1μm〜1.9μmに広がった光周波数コムを入力して、基本モードに選択的に励振を行った。その出力光を光受光器で受光し電気スペクトルアナライザーで周波数特性を観測したところ、10MHzのビート信号が観測された。上記のように、2f成分を持つ光と3f成分の光の波長を0.567μmに一致させることができるため、強いビート信号を得ることが可能である。
入力する光としての光周波数コムでは、主にEr添加ファイバ増幅器の帯域に合わせて1.55μm帯を中心に広がるコムを考えると、1.1μm〜1.95μmの広がりの中に光周波数コムが有ることが好ましく、かつその中に図10中の1001、1003、1005で示した波長が含まれることが必要で、その入力側の分極反転周期Λは22μm以上26μm未満が適当である。
また、入力する光としての光周波数コムをYb添加ファイバ増幅器の帯域に合わせて1.05μm帯を中心に広がるコムを考えると、0.8から1.3μmの広がりの中に光周波数コムが有ることが好ましくかつその中に図10中の1001、1003、1005で示した波長が含まれることが必要で、その入力側の分極反転周期Λは8μm以上9μm未満が適当である。
実施例4においては、出力側の第2の分極反転領域920において第2高調波を発生し、当該第2高調波と入力側の第1の分極反転領域910において発生した3次の擬似位相整合での和周波光と波長を一致させたが、上記第2の方法のように、出力側の第2の分極反転領域920での和周波発生により、入力側の第1の分極反転領域910で発生した3次の擬似位相整合での第2高調波光と同じ波長の光を発生させても良いことは言うまでもない。
実施例4において、3f成分を持つ光は入力側の第1の分極反転領域で発生しており、3f成分を持つ光を発生させるためには1周期だけの分極反転周期で良いことが分かる。また、特別な場合として図10中の1001と1005が交差する点、すなわち周期13.5μm付近において、1.37μm付近の光が丁度3倍波として発生することを意味しており、非常に有用である。
(実施例5)
図11に、本発明の実施例5に係る光周波数コム装置1100を示す。図11には、光周波数コム光源1109と、光周波数コム光源1109と光学的に接続された導波路型の波長変換素子1105と、ミラー1108を介して波長変換素子1105からの出力光を受光する受光器1106と、受光器1106からの電気信号を受信する制御手段1107と、を備えた光周波数コム装置1100が示されている。光周波数コム光源1109は、1.55μm帯の一波長を発振するレーザであるLD1101と、変調手段1102と、Er添加ファイバ増幅器1103と、高非線形ファイバ1104とを含む。本実施例5では、波長変換素子1105として実施例4に係る導波路型の波長変換素子900を用いた。
LD1101から出力されたレーザ光は変調手段1102に入力され、変調手段1102においてレーザ光が変調周波数に従って変調されることにより、光周波数上で等間隔の複数のレーザ光が生成される。この等しい周波数間隔を持った複数のレーザ光は、Er添加ファイバ増幅器1103に入力され、Er添加ファイバ増幅器1103により光強度が増強され、高非線形ファイバ1104に入力される。高非線形ファイバ1104では、高非線形ファイバ1104中の非線形効果により等間隔の複数の光が長波長側及び短波長側に順次発生し、広いスペクトル幅を持つ等しい光周波数間隔の光の集団ができる。本実施例5におけるスペクトルは、高非線形ファイバ1104から出力された時点で1.1μm〜1.9μmまで広がっていた。
波長変換素子1105は、光周波数コム光源1109から出力された光周波数コムを入力して、第2高調波及び和周波光を含む出力光を出力する。ミラー1108は0.7μm以下の光を分離するように構成されており、それにより受光器1006では波長変換素子1105からの出力光のうち0.7μm以下の光が受光されている。
受光器1106は、波長変換素子1105からの出力光中の第2高調波及び和周波光を受光・干渉することにより、光周波数f0のビート信号を得て、得られた光周波数f0のビート信号を光電変換して電気信号として出力する。受光器1106で光電変換された電気信号の中には、(式1)中のfに相当するビート信号とそれ以外にfrep、frep−fなどの信号が得られた。
制御手段1107は、受光器1106からの電気信号に基づいて、ビート周波数fが一定になるようにLD1101の駆動条件を制御し、かつfrepを用いて変調周波数の安定化を図るように変調手段1102を制御するように、LD1101及び変調手段1102にフィードバック信号を出力する。本実施例5では、電気信号がf、frep、frep−f共に1kHz以内の変動幅の中に収まる安定した周波数特性を示した。
本実施例5では、変調手段1102を用いた光周波数コム発生器を用いたが、非特許文献2に示されるようなファイバループ型のレーザ光源を用いてもよい。また、本実施例5では、高非線形ファイバ1104から出力される光周波数コムを直接波長変換素子1105に入力し、波長変換素子1105からの出力光をミラー1108で分離することにより光周波数コムを取り出す構成としたが、高非線形ファイバ1104の後にカプラ等の分波器を用いて取り出して利用してもよい。また、本実施例5では、実施例4に係る波長変換素子を用いた例を示したが、実施例1−3に示される波長変換素子を用いて光周波数コム発生装置を構成してもよい。
また、上記各実施例では、二次非線形光学媒質としてLiNbOを用いることを例示したが、LiNbOにMg、Zn、Sc、およびInからなる群から選ばれた少なくとも一種が添加物として含有された材料から成る二次非線形光学媒質を使用してもよい。
波長変換素子 200、400、900、1105
周期分極ニオブ酸リチウム 201
導波路 202
光周波数コム発生装置 300、1100
光周波数コム光源 301、1109
分波器 302
非線形光学媒質 303、308
ミラー 304、307、1108
合波器 305
受光器 306、1106
制御手段 309、1107
第1の分極反転領域 410、910
第2の分極反転領域 420、920
第1の導波路 911
第2の導波路 921
入力端 912
出力端 913
LD 1101
変調手段 1102
Er添加ファイバ増幅器 1103
高非線形ファイバ 1104

Claims (5)

  1. 第1の分極反転周期Λを有する第1の分極反転領域と、第2の分極反転周期Λを有する第2の分極反転領域とを備えた二次非線形光学媒質からなる波長変換素子であって、
    前記第1の分極反転領域は、30dB幅として1オクターブ未満の広がりをもった光周波数コムを入力し、前記光周波数コムに含まれる光周波数f、f、fの光に対して、
    1次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光を第2高調波発生により光周波数2fの第1の変換光に変換し、
    3次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光を第2高調波発生により光周波数2fの第2の変換光に変換し、
    3次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光と前記第1の変換光との和周波発生により光周波数2f+fの第3の変換光に変換する
    ように、前記第1の分極反転周期Λが設定され、
    前記第2の分極反転領域は、少なくとも前記第1の分極反転領域を透過した前記光周波数コムを入力し、前記光周波数コム中の光が1次の擬似位相整合条件により第2高調波発生を起こし、当該第2高調波の波長が前記第1の分極反転領域で発生した前記第3の変換光の帯域内に存在するように、前記第2の分極反転周期Λが設定されていることを特徴とする波長変換素子。
  2. 第1の分極反転周期Λを有する第1の分極反転領域と、第2の分極反転周期Λを有する第2の分極反転領域とを備えた二次非線形光学媒質からなる波長変換素子であって、
    前記第1の分極反転領域は、30dB幅として1オクターブ未満の広がりをもった光周波数コムを入力し、前記光周波数コムに含まれる光周波数f、f、fの光に対して、
    1次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光を第2高調波発生により光周波数2fの第1の変換光に変換し、
    3次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光を第2高調波発生により光周波数2fの第2の変換光に変換し、
    3次の擬似位相整合条件により、前記光周波数コムに含まれる光周波数fの光と前記第1の変換光との和周波発生により光周波数2f+fの第3の変換光に変換する
    ように、前記第1の分極反転周期Λが設定され、
    前記第2の分極反転領域は、少なくとも前記第1の分極反転領域において発生した前記第1の変換光と前記第1の分極反転領域を透過した前記光周波数コムとを入力し、前記光周波数コム中の光と前記第1の変換光との1次の擬似位相整合条件により和周波発生を起こし、当該和周波発生光の波長が前記第1の分極反転領域で発生した前記第2の変換光の帯域内に存在するように、前記第2の分極反転周期Λが設定されていることを特徴とする波長変換素子。
  3. 前記二次非線形光学媒質は、LiNbOまたはLiNbOにMg、Zn、Sc、およびInからなる群から選ばれた少なくとも一種が添加物として含有された材料から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換素子。
  4. 前記非線型光学媒質は、光導波路構造を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の波長変換素子。
  5. 前記光周波数コムを出力する光周波数コム光源と、
    前記光周波数コム光源から出力された前記光周波数コムを入力する請求項1乃至4のいずれかに記載の波長変換素子と、
    前記波長変換素子の出力光の一部又は全部を受光して光電変換することによって得られた電気信号を出力する光受光器と、
    前記光受光器から出力された前記電気信号を入力し、前記電気信号の周波数成分に基づいて、前記電気信号におけるビート周波数が一定になるようにフィードバック信号を前記光周波数コム光源に出力する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする光周波数コム発生装置。
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