JP2015200379A - 油圧シリンダのクッション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クッションベアリングの偏心にかかわらず一定の絞り機能を確保して、シリンダ部品の破損防止、及び緩衝性能の安定化を実現する。【解決手段】ピストンロッド24の外周に円筒状のクッションベアリング30を、ピストンロッド外周面との間に連通空間31,32が形成される状態で設ける一方、ピストンロッド24の外周に設けられたシール溝27に、オリフィス29を有するフローティング型のシール部材28を設ける。これを前提として、シール部材28の下流側の側面の内周側に全周に亘って凸面部28aを設け、シール部材28がシール溝27における下流側の壁面に当接した状態でシール部材28と壁面との間に全周に亘って油の通過を許容する隙間Aを形成するようにした。【選択図】図1
Description
本発明は油圧シリンダのストロークエンドでの衝撃を緩和するクッション装置に関するものである。
この種の油圧シリンダのクッション装置として、特許文献1に示されたものが公知である。この公知技術を図8〜図10によって説明する。
図8に示すように、シリンダチューブ1の一端部(ヘッド側端部)にエンドカバー2が取付けられ、このエンドカバー2に油の流出、流入口となるポート3が設けられる。
シリンダチューブ1内には、ピストンロッド4とピストン5が図の左右に往復移動可能に設けられる。6はピストン5をピストンロッド4に取付けるナットである。
ピストンロッド4の一端近傍に小径部4aが設けられるとともに、この小径部4aの軸方向中間部にシール溝7が設けられ、このシール溝7にリング状のシール部材8が設けられる。
このシール部材8は、図9に示すように円周方向の一部が切り開かれて、油を通過させるオリフィス9が形成された有端リング状に形成されている。なお、公知技術ではオリフィス9以外の部分にも油の通過を許容する切欠が設けられているが、基本的な機能においてこの切欠がなくても成立するため図示省略する。
また、小径部4aの外周に円筒状のクッションベアリング10が、互いの間にシール部材8が介装される状態で嵌装され、このシール部材8を挟んだ両側において小径部4aとクッションベアリング10の間に連通空間11,12が形成される。
さらに、クッションベアリング10とピストン5との間にピストン側連通路13、クッションベアリング10と小径部4aのポート側(図左側)の段部との間にポート側連通路14が形成される。
こうして、ピストン5とエンドカバー2の間に形成されるクッション室15から、ピストン側連通路13、ピストン側の連通空間11、シール部材8のオリフィス9、ポート側連通路14を経てポート3に至る油通路が形成され、シリンダ縮み側のストロークエンド付近で、この油通路によりクッション室15の油が絞り機能を受けながらポート3に排出されることにより、ストロークエンドでの衝撃が緩和されるように構成されている。
なお、クッションベアリング10におけるポート側半部の外周に、ポート側に向かって漸次深くなる連通溝16が形成され、ストロークエンド手前、すなわち、クッションベアリング10がエンドカバー2内に進入する際に、クッション室15の油がこの連通溝16によりポート3に抜けて緩衝機能が働くように構成されている。
クッションベアリング10は、ピストンロッド4に対してピストンロッド軸方向及び直径方向に移動可能な所謂「フローティング型」として取付けられ、クッションベアリング10がエンドカバー2内に進入する際に、両者の軸心が一致するように自動調心される。
ここで、クッションベアリング10及びエンドカバー2を含めて油圧シリンダを構成する各部品には加工、組み付け精度にばらつきがあるため、上記自動調心作用により、クッションベアリング10がピストンロッド小径部4aに対して偏心する場合がある。
図10(a)は偏心が無い場合の状況、図10(b)は偏心が生じた場合の情況を示し、偏心により、両側連通空間11,12の大きさCが円周方向に不均一となる。
この場合、シール部材8のオリフィス9の有効面積(油を通過させ得る面積。斜線を付した部分以外の部分の面積)が小さくなる方向に偏心すると、図示のようにシール部材8が油の圧力により図左側に加圧されてシール溝7の下流側壁面7aに当接した状態で、オリフィス9の絞り機能が強くなり過ぎて、クッション室15に異常高圧が発生し、シリンダチューブ1やエンドカバー2等のシリンダ部品が破損するおそれがある。
また、偏心具合によってオリフィス9での絞り機能が変動すること、及び図10(b)の状態では両側連通空間11,12でも絞り機能が働いてしまうことから、緩衝性能が不安定となるという問題がある。
そこで本発明は、クッションベアリングの偏心にかかわらず一定の絞り機能を確保し、シリンダ部品の破損を防止できるとともに安定した緩衝性能を得ることができる油圧シリンダのクッション装置を提供するものである。
上記課題を解決する手段として、本発明においては、シリンダチューブ内で往復移動するピストンロッドの外周に、円筒状のクッションベアリングが、ピストンロッド外周面との間に連通空間が形成される状態で設けられる一方、上記ピストンロッドの外周に設けられたシール溝にリング状のシール部材が、シール溝の長さ内で上記ピストンロッドの軸方向に移動可能かつ直径方向に移動可能に設けられ、このシール部材は、円周方向の一部に油を通過させるオリフィスを有し、上記ピストンロッドのストロークエンド付近で上記オリフィスによって緩衝作用が発揮されるように構成された油圧シリンダのクッション装置において、上記シール部材が上記シール溝における油排出時の下流側の壁面に当接した状態でシール部材と上記壁面の間に全周に亘って油の通過を許容する隙間が形成されるように、上記シール部材の下流側側面の内周側に全周に亘る凸面部を設けたものである。
この構成によれば、シール部材がシール溝の下流側壁面に当接した状態で、この当接部分に、シール部材の凸面部による一定の隙間が確保されるため、たとえ偏心によって連通空間の大きさが変動しても、凸面部以外の部分がすべてオリフィスの有効面積となる。
すなわち、偏心にかかわらずオリフィスの有効面積を常に一定に保ち、一定の緩衝可能を確保することができる。
また、凸面部による一定の隙間は全周に亘り連続して形成され、オリフィスを通った油がポート側連通空間の全周部分を通って下流側に流れるため、偏心によって連通空間の大きさが円周方向に不均一となっても、トータルの通過流量は一定に保たれる。すなわち、連通空間で絞り機能が働くおそれがない。
以上の点により、異常高圧によるシリンダ部品の破損を防止できるとともに、安定した緩衝機能を確保することができる。
本発明によると、クッションベアリングの偏心にかかわらず一定の絞り機能を確保し、シリンダ部品の破損を防止できるとともに安定した緩衝性能を発揮させることができる。
本発明の実施形態を図1〜図7によって説明する。
実施形態において、次の点は図8〜図10に示す従来技術と同じである。
(I) 図1に示すように、シリンダチューブ21の一端部(ヘッド側端部)にエンドカバー22が取付けられ、このエンドカバー22に油の流出、流入口となるポート23が設けられる点。
(II) シリンダチューブ21内には、ピストンロッド24と、このピストンロッド24にナット26によって取付けられたピストン25が図の左右に往復移動可能に設けられる点。
(III) ピストンロッド24の一端近傍に小径部24aが設けられるとともに、この小径部24aの軸方向中間部にシール溝27が設けられ、このシール溝27にリング状のシール部材28が設けられる点。
(IV) このシール部材28は、図2、図4〜図7に示すように円周方向の一部が切り開かれて、油を通過させるオリフィス29が形成された有端リング状に形成されている点。
(V) 小径部24aの外周に円筒状のクッションベアリング30が、互いの間にシール部材28が介装される状態で嵌装され、このシール部材28を挟んだ両側において小径部24aとクッションベアリング30の間に連通空間31,32が形成される点。
(VI) クッションベアリング30は、小径部24aに対してピストンロッド軸方向及び直径方向に移動可能な「フローティング型」として取付けられ、クッションベアリング10がエンドカバー2内に進入する際に、両者の軸心が一致するように自動調心される点。
(VII) クッションベアリング30とピストン25との間にピストン側連通路33、クッションベアリング30と小径部24aのポート側(図左側)の段部との間にポート側連通路34が形成される点。
(VIII) ピストン25とエンドカバー22の間に形成されるクッション室35から、ピストン側連通路33、ピストン側の連通空間31、シール部材28のオリフィス29、ポート側連通路34を経てポート23に至る油通路が形成され、ピストン25のストロークエンド付近でこの油通路によりクッション室35の油が絞り機能を受けながらポート23に排出されることにより、ストロークエンドでの衝撃が緩和されるように構成されている点。
(IX) クッションベアリング30におけるポート側半部の外周に、ポート側に向かって漸次深くなる連通溝36が形成され、ストロークエンド手前、すなわち、クッションベアリング30がエンドカバー22内に進入する際に、クッション室35の油がこの連通溝36によりポート3に抜けて緩衝機能が働くように構成されている点。
以上の構成を前提として、シール部材28の両側面のうち、油の流れから見た下流側の側面の内周部に凸面部28aが全周に亘って設けられている。
いいかえれば、シール部材28は、図1,3,5等に示すように下流側の側面の内周側に凸面部28aを備えた断面L字形に形成されている。
この構成によれば、ピストン25のストロークエンド付近で、クッション室35から流出する油の圧力によってシール部材28が図左側に加圧されると、凸面部28aがシール溝27の下流側の壁面27a(図3のみに符号を付している)に当接し、この当接部分の外周側に、全周に亘って油の通過を許容する隙間Aが形成される。
いいかえれば、この隙間Aにより、オリフィス29のうち凸面部28a以外の部分(図4中に太線で囲った部分)が開口状態に保たれる。
この開口部分の面積は、ピストンロッド24に対するクッションベアリング30の偏心量に関係なく一定となるため、オリフィス29の通過流量、つまり、オリフィス29による油の絞り作用も一定となる。
また、凸面部28aによる隙間Aは、シール部材28の全周に亘り連続して形成されるため、図6,7に示すように、オリフィス29を通過した油がポート側連通空間32の全周部分を通って下流側にスムーズに流れる。
このため、図示のように偏心によって連通空間32の大きさが円周方向に不均一となっても、トータルの通過流量は一定に保たれる。すなわち、連通空間32で絞り機能が働くおそれがない。
以上の点により、クッション室35が異常高圧となってシリンダ部品が破損することを防止できるとともに、偏心に左右されない安定した緩衝機能を確保することができる。
ところで、シール部材28のオリフィス29は、安定した緩衝性能を確保する観点から、実施形態のようにシール部材28の円周方向の一部を切り開いて形成するのが望ましいが、円周方向の一部において外周側を切り欠いて形成してもよい。
また、クッションベアリング30がエンドカバー22内に進入する際にクッション室35の油をポート23に抜くための通路(実施形態の連通溝36)等の各通路構造は実施形態以外に種々変更することができる。
21 シリンダチューブ
22 エンドカバー
23 ポート
24 ピストンロッド
24a 小径部
25 ピストン
27 シール溝
27a シール溝の下流側壁面
28 シール部材
28a 凸面部
29 オリフィス
A 隙間
30 クッションベアリング
22 エンドカバー
23 ポート
24 ピストンロッド
24a 小径部
25 ピストン
27 シール溝
27a シール溝の下流側壁面
28 シール部材
28a 凸面部
29 オリフィス
A 隙間
30 クッションベアリング
Claims (2)
- シリンダチューブ内で往復移動するピストンロッドの外周に、円筒状のクッションベアリングが、ピストンロッド外周面との間に連通空間が形成される状態で設けられる一方、上記ピストンロッドの外周に設けられたシール溝にリング状のシール部材が、シール溝の長さ内で上記ピストンロッドの軸方向に移動可能かつ直径方向に移動可能に設けられ、このシール部材は、円周方向の一部に油を通過させるオリフィスを有し、上記ピストンロッドのストロークエンド付近で上記オリフィスによって緩衝作用が発揮されるように構成された油圧シリンダのクッション装置において、上記シール部材が上記シール溝における油排出時の下流側の壁面に当接した状態でシール部材と上記壁面の間に全周に亘って油の通過を許容する隙間が形成されるように、上記シール部材の下流側側面の内周側に全周に亘る凸面部を設けたことを特徴とする油圧シリンダのクッション装置。
- 上記シール部材を、円周方向の一部が切り開かれてオリフィスが形成された有端リング状に形成したことを特徴とする請求項1記載の油圧シリンダのクッション装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014080080A JP2015200379A (ja) | 2014-04-09 | 2014-04-09 | 油圧シリンダのクッション装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014080080A JP2015200379A (ja) | 2014-04-09 | 2014-04-09 | 油圧シリンダのクッション装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015200379A true JP2015200379A (ja) | 2015-11-12 |
Family
ID=54551814
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2014080080A Pending JP2015200379A (ja) | 2014-04-09 | 2014-04-09 | 油圧シリンダのクッション装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015200379A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107420373A (zh) * | 2017-09-03 | 2017-12-01 | 宁波东湖液压传动有限公司 | 密封可靠的活塞杆 |
CN109026901A (zh) * | 2018-09-06 | 2018-12-18 | 泸州市巨力液压有限公司 | 三级缓冲油缸 |
TWI705209B (zh) * | 2019-04-15 | 2020-09-21 | 油順精密股份有限公司 | 具有浮動式緩衝襯套的油壓缸 |
CN113007073A (zh) * | 2021-02-27 | 2021-06-22 | 北京化工大学 | 一种应用于往复式压缩机气量调节的变截面液压双向缓冲装置 |
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2014
- 2014-04-09 JP JP2014080080A patent/JP2015200379A/ja active Pending
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