JP2015199321A - 成形品の製造方法 - Google Patents

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【課題】形状自由度及び外観性と高強度軽量をともに満足できる成形品の製造方法を提供する。【解決手段】強化繊維から成るクロスに熱可塑性樹脂Aを含浸してなる補強シートを成形金型内に挿入し、その後、成形樹脂として熱可塑性樹脂Bを成形金型内に射出し、さらに圧縮工程を経て一体化する成形品の製造方法において、前記補強シートが、厚肉部と薄肉部とを有しており、前記厚肉部の厚みが、成形品の厚みと略同寸法である成形品の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、構造部材に用いられる繊維強化された成形品の製造方法に関する。
構造用部材は、その強度要求に応じて、材質、肉厚が適正に選択される必要があるが、軽量化要求が高い分野では、無駄な重量を省くために部分補強が有効な場合が多い。例えば板金の溶接で構造体を製造する場合は、必要な部分だけ補強するためによりきめ細やかな部品の溶接で軽量化が図られたりすることがある。
一方、形状自由度の高い樹脂成形品の場合、偏肉やリブ補強といった部分補強は容易ではあるが、元の素材強度が低いために更に強度を上げる必要から、補強部材をインサートする工法も取られている。このように軽量化が求められる構造用部材においては部分補強の工夫がされてきており、とりわけ樹脂材料による高強度化が有効なパソコン、家電製品、医療機器、自動車部品等の分野で需要が高い。
従来より、高強度が求められる樹脂製品の場合、一般にガラス、カーボン等の強化繊維を複合させた材料を用い、射出成形、プレス成形等を行うことで製造している。これらに用いられる強化繊維は繊維長が長いほど複合材料の衝撃特性が高いため、特に金属に代替するような高強度分野においては連続強化繊維を用いることがある。しかし、連続強化繊維を用いた成形や加工は不連続の短繊維強化材料に比べて変形自由度が低いために単工程での賦形ができず生産性が低いという問題がある。
そこで連続繊維強化材料に予め樹脂を含浸させた材料(以後補強シートと称する)を補強材とし、この補強シートを金型内に配設し、樹脂材料で射出や圧縮成形を行うことで部分補強の成形品を得るという方法が取られてきた。しかしながら、補強シートの固定、位置決め等、多くの課題があり、効果的な方法がない。射出成形の場合は、高い射出圧力がインサート(金型内に配設した補強材)にかかるために十分な固定がないとインサートの変形、破損、位置ズレなどを発生させてしまう。このためインサートの固定方法として予めインサートに突形状を設けておき、型に設けた凹形状に固定する方法等が特許文献1に開示されている。
特開2012−86556号公報 特開2005−161541号公報 特開2013−6389号公報
しかしながらこの方法では、製品として部分的に突形状が残ったり、孔形状が残ってしまう問題があり、多用することは製品形状の自由度を阻害してしまい実用的ではない。特許文献2においては、開閉する両方の金型面に挟持密着させて固定し成形することが開示されているが、これでは板厚方向に補強シート以外の成形材料を流すのが困難となってしまい、やはり製品形状の自由度が不十分である。
これらの問題点においては樹脂圧力をより低く抑えられる射出圧縮成形が有効と思われるが、一方で、圧縮工程で成形樹脂を流動させる際に補強シートとの隙間が十分に確保されていなければならないという課題がある。特許文献3で示されている方法においては、小さく単純な面形状の場合は低圧の樹脂流動を妨げないが、大きな形状であったり、凹凸形状が大きく補強シートが型形状に正確に嵌合しない場合は、多くの場所で流路を塞いで、流動抵抗を大きくしたり、成形を不安定にしたりする問題がある。
又、上記の例では成形品の板厚方向で見ると片側に補強シートが寄った構成となってしまう。つまり、成形品の補強した部分の片面には補強シートが露出することになり、部分的であれ外観面を設定したい場合には問題となってしまう。この補強シートの表面露出も従来技術の課題である。
本発明の目的は、かかる状況に鑑みなされたもので、形状自由度及び外観性と高強度軽量をともに満足できる成形品の製造方法を提供することである。
本発明は以下に関する。
(1) 強化繊維から成るクロスに熱可塑性樹脂Aを含浸してなる補強シートを成形金型内に挿入し、その後、成形樹脂として熱可塑性樹脂Bを成形金型内に射出し、さらに圧縮工程を経て一体化する成形品の製造方法において、前記補強シートが、厚肉部と薄肉部とを有しており、前記厚肉部の厚みが、成形品の厚みと略同寸法である成形品の製造方法。
(2) 補強シートの薄肉部に貫通空隙が設けられている(1)に記載の成形品の製造方法。
(3) 補強シートの一部が、成形金型の少なくとも片方に圧接可能に設けられた可動部材により、狭持固定された状態になった後、成形樹脂として熱可塑性樹脂Bを射出する(1)又は(2)に記載の成形品の製造方法。
(4) クロスが、強化繊維の絡み織りからなり、直径3mm以上の目開き空隙を有する(2)又は(3)に記載の成形品の製造方法。
(5) 補強シートの含浸樹脂である熱可塑性樹脂Aと、成形樹脂である熱可塑性樹脂Bとが、相溶性を有する(1)〜(4)いずれかに記載の成形品の製造方法。
(6) 補強シートの含浸樹脂である熱可塑性樹脂Aの主成分がポリプロピレン樹脂であり、成形樹脂である熱可塑性樹脂Bがポリプロピレン樹脂とガラス強化繊維を含む複合材である(5)に記載の成形品の製造方法。
本発明より、形状自由度及び外観性と高強度軽量をともに満足できる成形品の製造方法を提供することが可能となる。
本発明に係る厚肉部のある補強シートを使用した射出圧縮成形を示す模式図である。 従来の補強シートを使用した射出圧縮成形を示す模式図である。 本発明に係る貫通空隙のある補強シートを使用した射出圧縮成形を示す模式図である。 本発明に係る圧接固定用可動ピンを使用した射出圧縮成形を示す模式図である。 実施例1に使用した補強シートを示す模式図である。 実施例1の射出圧縮成形を示す断面模式図である。 実施例2に使用した補強シートを示す模式図である。 実施例2の射出圧縮成形を示す断面模式図である。 比較例1の射出圧縮成形を示す断面模式図である。
以下に本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、強化繊維から成るクロスに熱可塑性樹脂Aを含浸してなる補強シートを成形金型内に挿入し、その後、成形樹脂として熱可塑性樹脂Bを成形金型内に射出し、さらに圧縮工程を経て一体化する成形品の製造方法において、前記補強シートが、厚肉部と薄肉部とを有しており、前記厚肉部の厚みが、成形品の厚みと略同寸法である成形品の製造方法である。なお、補強シートの薄肉部とは、厚肉部以外の部分で、補強シートの大部分であり、また、厚肉部とは、補強シートの厚み方向において、薄肉部より厚い部分である。
使用される強化繊維とは、樹脂成形体を補強するものであって、その材質は特に限定されるものではない。繊維状の単線或いは束状態で織り込み、編み込むことでクロス状にすることができるものが用いられる。具体的にはガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維のほかに樹脂材によるものも使用できる。樹脂繊維の場合は、含浸する熱可塑性樹脂の溶融温度で溶融、劣化せずに補強効果をもたらすものであれば良く、含浸樹脂にもよるがパラ系アラミド繊維、ポリアリレート繊維等を用いることも可能である。繊維径は特に限定するものではない。
これらの繊維によるクロスは使用する強化繊維を織り込み又は編み込んだものであり、繊維の使用量によって単位面積当たりの質量が決まり、補強効果も変わる。一般には目付けとして単位面積当たりの質量(kg/m)として表されるが、これを選択することで、要求強度、質量に対応することができる。よって、クロスの目付けとしては、50〜1000g/mが好ましく、200〜800g/mがより好ましい。また、クロスは、目開き空隙を有しており、その直径は、3mm以上が好ましく、要求強度や製品サイズによってそれぞれ選択することが好ましい。
次にクロスの含浸樹脂については、本実施形態では熱可塑樹脂を用いている。目的とする成形品の形状自由度を達成する上では、設計自由度が高いだけでなくコスト的にも有利な熱可塑樹脂を成形材料とすることが好ましい。実際の家電製品、自動車部品を見ても明らかなように、形状を持つ成形品の殆どに熱可塑性樹脂が用いられている。本実施形態では、成形材料を熱可塑樹脂とし、補強シートの含浸樹脂も成形樹脂(射出樹脂)と同等の熱的特性を持つことが好ましいため、同じ熱可塑樹脂としている。また、補強シートの含浸樹脂が熱可塑樹脂であることで成形時の熱により可とう性を持ち、成形樹脂の樹脂圧力により型に密着し転写性を向上させるというメリットもある。樹脂としては、熱可塑樹脂であれば特に限定するものではない。一方で補強シート部と成形樹脂部は線膨張係数が異なるため、成形収縮時、又は、環境下における膨張収縮挙動において所謂熱応力を発生させる。このため、樹脂の伸び特性によっては大きな変形やクラックが発生してしまう問題があることから、成形樹脂(射出樹脂)としてガラス強化繊維を複合させた材料(複合材)を用いることが好ましい。この場合、成形樹脂(射出樹脂)である材料(複合材)において、ガラス強化繊維の含有量(ガラスコンテンツ)は、10〜70質量%が好ましい。更に20〜40質量%がより好ましい。
本実施形態の成形は、補強シートを成形金型内に挿入し、成形樹脂を射出した後に圧縮工程を持って成形を完了させる工程となっている。このため射出時点では金型は型締め完了位置より後退した状態になっており、製品端末部は食いきり構造か加圧可動式の突き当てブロックが設けられていることが好ましい。この射出圧縮化の目的は、射出樹脂圧力を低減し、補強シートの破損、移動を防ぐものである。成形形状やゲート点数にもよるが、樹脂圧力は10MPa以下が好ましい。また、射出後の圧縮工程に関しては、ストロークが長いほど加圧流動に期待できるため射出圧を低減できるが、流動長が長くなる或いは樹脂温降下を招くことから適切な選択が必要となる。よって本実施形態では、圧縮ストロークを3〜15mmとすることが好ましい。また、圧縮工程は射出後の加圧タイミング及び速度が速いほど樹脂圧力上昇を防ぐため、電動によるものが好ましい。
使用される補強シートは部分的に厚肉部を設けている。この厚肉部は成形品の板厚方向での補強シートの位置を保つためのスペーサの役割を持つと同時に位置決めにも利用でき、圧縮時の樹脂流動を制御することも可能となる。また、補強シートに設けられた厚肉部の厚みは、製造される成形品の厚みと略同寸法である。なお、略同寸法とは、例えば、成形品の厚みを100%とした場合、厚肉部の厚みは80〜110%である。
この厚肉部は補強シートを製造する段階で設けることが効果的である。例えば、補強繊維クロスに熱可塑樹脂をプレス含浸させる工程において加圧面に厚肉部形状を用意しておき、含浸と同時に厚肉部を形成する。但し、形状が複雑になる場合などは、部分的な予備賦形が必要となるため、この予備賦形工程で厚肉部を形成することが効果的となる。何れかの方法で補強シートに厚肉部を設けることが好ましく、厚肉部の形状はリブ状でも丸ピン状でも任意に設定できるが、加圧時の樹脂流動を不必要に妨げない形状が好ましい。
補強シートの金型への固定は、金型に設けたピンに対し、補強シートの一部に孔を設けておくことで対応してもよいし、成形品のリブに応じた部分に設けた厚肉部を型に差込むことで対応してもよい。このように、製品外観をできるだけ阻害しないように製品形状を利用することが好ましい。
図1(a)に示すように、補強シート1を成形金型4,5内に挿入(設置)し、所定の位置まで型締めし成形樹脂3を射出する段階で、補強シート1は金型4,5内で成形樹脂(射出樹脂)3により射出ゲート6の対向面に押し付けられるが、厚肉部2により部分的に規制される。つまり、補強シート1の厚肉部2と、補強シート1の位置関係により、補強シート1と金型4,5面との間に最低限のスペースを確保できる。このため、その後の圧縮工程で成形樹脂3が流動する際に、補強シート1の変形により流路が塞がれることを回避することができる。
図1(a)、(b)に補強シート1に厚肉部2がある場合、図2(a)、(b)に補強シート1に厚肉部2がない場合の工程の模式図を示す。圧縮工程の加圧による、成形樹脂3の樹脂流動は、補強シート1に厚肉部2がない場合、従来、補強シート1を押しのけながら進むのに対し、本実施形態のように、補強シート1に厚肉部2がある場合は、型締めと同時に自ら所定の位置に補強シート1が移動する。そのため、厚肉部2の有無により、流動抵抗は大きく異なる。
従来は、この流動抵抗のために、成形品の端末部で図2(b)のような充填不足13や転写性不足を招くと同時に不安定となりがちであったが、本実施形態では、これを解消に安定させることができるようになる。そして、本実施形態において、図1に示すように、補強シート1の厚肉部2高さは成形品の高さと略同寸法に設定しているため、圧縮工程が完了する時点で安定して補強シート1の厚み方向での位置を確保できる。尚、ここでは型締め方向に面直なピンゲートを示しているがサイドゲート等でも流路を確保できれば同様の効果が得られる。
補強シート1の厚肉部2はその設定により、射出ゲート6の対向面にスペースを確保することが可能であるが、この場合、成形樹脂3が補強シート1を貫通する必要があり、図3に示すように補強シート1の薄肉部14に貫通孔(貫通空隙)7が設けてあることが好ましい。
図3(a)、(b)に製造工程の模式図を示す。この貫通孔(貫通空隙)7は前記の厚肉部2形成工程等で同時に形成することが好ましいが、予めクロスに目開きのあるものが好ましく、更には樹脂含浸工程を経ても貫通孔(貫通空隙)7が存在可能なものが好ましく、更には樹脂圧力等で貫通孔(貫通空隙)7は変形しにくいものが好ましい。補強シート1の貫通孔(貫通空隙)7の直径は、好ましくは3mm以上である。貫通孔(貫通空隙)7の直径が3mm以上であることにより、成形樹脂3が補強シート1をスムーズに貫通することができ、成形樹脂3が均一に充填され、外観性と強度に優れた成形品を得ることができる。
よってクロスの織り方は絡み織りによるもので、クロスは、直径3mm以上の目開き空隙を有するものがより好ましい。クロスの目開き空隙が直径3mm以上あることにより、直径が3mm以上の貫通孔(貫通空隙)7を有する補強シート1を得ることができる。
又、図4に示すように、本実施形態では補強シート1の一部が、成形金型の少なくとも片方に圧接可能に設けられた可動部材(圧接固定用可動ピン)8により、狭持固定された状態になった後、成形樹脂3である熱可塑性樹脂を射出することが好ましい。なお、前記の補強シート1の一部としては、厚肉部2でもよい。
補強シート1の一部に当接する箇所で金型に面直方向に可動なピン或いはブロック状の部材を設けておき、圧縮工程を残した型締め状態で成形樹脂3の射出が始まる前に補強シート1の一部を圧接挟持し固定しており、更に圧縮工程でも型動作に応じて可動であることで、連続して固定を保つことができる。
図4(a)、(b)に製造工程の模式図を示す。この可動で圧接可能な部材は部材の後方に作動装置を設けることもできるが、作動装置としてスプリング(ばね構造)9を適切に設定することで押圧を制御することが好ましい。又、この可動で圧接可能な部材(例えば圧接固定用可動ピン)は、金型のコア側4、キャビティ側5の何れか片方でも、両方に設けてもよい。これにより、スペーサの役割をする厚肉部2の上に成形樹脂3が被ることが無くなり、補強シート1はより安定して射出及び圧縮工程で位置を確保できる。尚、可動で圧接可能な部材で狭持固定される補強シートの箇所(一部)は、圧接可能な部位であれば、特に厚みに規制されるものではないが厚肉部2に当接する部位を設けることが好ましい。
図5に示したように補強シート1は、金型の一部に設けた凸部に対し嵌合させるため、貫通穴(位置決め用孔)10を設けてもよい。図6に示すように、金型の一部に設けた凸部とは、例えば、位置決め用可動ピン11であり、スプリング(ばね構造)9等により、作動させることができる。なお、位置決め用可動ピン11は、金型のコア側4、キャビティ側5の何れか片方でも、両方に設けてもよい。補強シート1の貫通穴(位置決め用孔)10に、前記位置決め用可動ピン11を嵌合させることにより、補強シート1の面方向の移動を規制することができる。
図7に示したように補強シート1は、位置決め用孔10及び貫通空隙7の両方を設けてもよい。
図8に示すように、たとえ傾斜部分15を持つ金型を使用したとしても、補強シート1の貫通穴(位置決め用孔)10に、前記位置決め用可動ピン11を嵌合させることにより、補強シート1の面方向の移動を規制することができ、また、補強シート1の厚肉部2を圧接固定用可動ピン8で、狭持固定することにより、補強シート1はより安定して射出及び圧縮工程で位置を確保でき、また、貫通空隙7があることにより、成形樹脂3が補強シート1をスムーズに貫通し、成形樹脂3が均一に充填され、外観性と強度に優れた成形品を得ることができる。そして、補強シート1は、成形品の表面に露出せず、安定して再現性良く、成形できる。
次に、本実施形態において、補強シートの含浸樹脂である熱可塑性樹脂Aと、成形樹脂である熱可塑性樹脂Bとが、相溶性を有することが好ましい。含浸樹脂及び成形樹脂は共に熱可塑性樹脂であれば特に限定しないとしたが、両者は相互に密着していることは強度的、環境信頼性といった面でも重要である。よって、例えば、含浸樹脂がポリアミドであれば、これと相溶性のあるポリアミドの材料が、成形樹脂としては好ましい。この組み合わせは相溶性があれば特に限定されるものではない。
補強シートの含浸樹脂である熱可塑性樹脂Aとしては、特に限定しないとしたが、ポリプロピレン樹脂が好ましく、アルキルフェノール樹脂と反応させ得られる変性ポリプロピレン樹脂がより好ましい。熱可塑性樹脂Aとしては、ポリプロピレン樹脂を主成分とするものがよい。
前記変性ポリプロピレン樹脂としては、ラジカル開始剤の存在下で、ポリプロピレン樹脂とアルキルフェノール樹脂とを反応させ得られたものである。
使用されるポリプロピレン樹脂とは、プロピレンの重合体であるが、本発明においては、他のモノマーとの共重合体も含む。ポリプロピレン樹脂の例には、ホモポリプロピレン、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のαオレフィンとのブロック共重合体(「ブロックポリプロピレン」ともいう)、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のαオレフィンとのランダム共重合体(「ランダムポリプロピレン」ともいう)が含まれる。「ブロックポリプロピレン」と「ランダムポリプロピレン」を合わせて、「ポリプロピレン共重合体」ともいう。
本発明においては、ポリプロピレン樹脂として上記のホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンの1種あるいは2種以上を使用してよい。中でもポリプロピレン樹脂としては、ブロックポリプロピレンが好ましい。
使用されるアルキルフェノール樹脂とは、ノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂をいう。本発明におけるノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を、酸触媒下で縮合させて得られる樹脂である。また、レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を、アルカリ触媒下で縮合して得られる樹脂をいう。ノボラック型フェノール樹脂及びレゾール型フェノール樹脂は、単独又は併用してもよい。
成形樹脂である熱可塑性樹脂Bとしては、ポリプロピレン樹脂とガラス強化繊維を含む複合材であることが好ましい。ガラス強化繊維としては、チョップドガラス繊維、ロービングガラス繊維、ガラスバブルズ等が挙げられ、複合材としては前記ガラス強化繊維と、ポリプロピレン樹脂とを混練したGFPP(ガラスファイバーリンフォーストプラスチック)等が挙げられる。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、家電製品、医療機器、自動車部品等に汎く適用できるものであるが、これらは低コストであることが好ましい。本発明では、樹脂コストが安価で耐薬品性等も良好ですでに汎く普及しているポリプロピレン樹脂を補強シートの含浸樹脂、成形樹脂に適用することが好ましい。更に強化繊維も汎く使われているガラス繊維が好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
強化繊維によるクロスは、ガラス繊維径17μm、本数2000本のストランドを用いたもので目付け400g/mに平織りしたクロスを用いた。含浸樹脂である熱可塑性樹脂は、ラジカル開始剤の存在下で、ポリプロピレン樹脂とアルキルフェノール樹脂とを反応させ得られた変性ポリプロピレン樹脂を用いた。
含浸プレスは30トン熱プレス成形機により、前記ガラスクロスと、前記変性ポリプロピレン樹脂を重ねて220℃で、5分間、面圧0.1〜5MPaの加圧で行い補強シートを作製した。この時、プレス型にて直径6mmで、厚み3mmの厚肉部を100mmピッチで設けた。作製した補強シートを勾配15度の傾斜部分を持つ成形金型にセットして成形品を作製した。
補強シートは、金型の一部に設けた凸部に対し設けた貫通穴(位置決め用孔)を嵌合させ、面方向移動を規制した。成形樹脂は前記変性ポリプロピレン樹脂にチョップドガラス繊維を30質量%混練したGFPP(ガラスファイバーリンフォーストプラスチック)を用いた。片側に補強シートが露出する設定ではあるが、補強シートの位置は安定して再現性良く成形できた。補強シートを図5に、成形工程の断面を図6に示す。
(実施例2)
強化繊維によるクロスは、ガラス繊維径17μm、本数2000本のストランドを用いたもので目付け400g/mに絡み織りしたクロスを用いた(クロスの目開き空隙;直径3mm)。含浸樹脂である熱可塑性樹脂は、ラジカル開始剤の存在下で、ポリプロピレン樹脂とアルキルフェノール樹脂とを反応させ得られた変性ポリプロピレン樹脂を用いた。
含浸樹脂の含浸は、220℃熱ロール間にガラスクロスと変性ポリプロピレン樹脂のフィルムを同時に0.5m/minで通過させ、面圧1〜10MPaを加えて行った。次に30トン熱プレス成形機により、補強シートの上に直径6mmで厚み3mmの厚肉部を100mmピッチで設けた。補強シートには直径3〜4mmの貫通空隙が設けられている。これを勾配15度の傾斜部分を持つ成形金型にセットし、成形品を作製した。
実施例1と同様の位置規制をしている。金型に設けられた可動ピンでコア側から厚肉部をキャビティ側に加圧挟持した状態で成形樹脂が射出され、その後圧縮を経て成形した。成形樹脂は実施例1と同様のGFPPを用いた。
図8に示すような配置としたが、補強シートは成形品の表面には露出せず安定して再現性良く、成形できた。補強シートを図7に、成形工程の断面を図8に示す。
(比較例1)
強化繊維によるクロスは、ガラス繊維径17μm、本数2000本のストランドを用いたもので目付け400g/mに平織りしたクロスを用いた。含浸樹脂である熱可塑性樹脂は、ラジカル開始剤の存在下で、ポリプロピレン樹脂とアルキルフェノール樹脂とを反応させ得られた変性ポリプロピレン樹脂を用いた。
含浸プレスは30トン熱プレス成形機により、前記ガラスクロスと、前記変性ポリプロピレン樹脂を重ねて220℃で、5分間、面圧0.1〜5MPaの加圧で行い補強シートを作製した。厚肉部は設けていない。
これを勾配15度の傾斜部分を持つ成形金型にセットして成形した。補強シートは、金型の一部に設けた凸部に対し設けた貫通穴(位置決め用孔)を嵌合させ、面方向移動を規制した。成形樹脂は前記変性ポリプロピレン樹脂にチョップドガラス繊維を混練したGFPPを用いた。
図9に成形工程の断面を示す。成形品の片側に補強シート1が露出する設定であるが、コーナ部では、不具合である樹脂かぶり12が発生し、その反対側に補強シート1が、予期せず露出してしまった。
本発明による製造方法を用いることで、従来のような形状自由度の低さや補強シートの表面露出を任意に回避することが可能となり、安定した高強度で軽量な成形品を得ることができ、汎く多くの製品分野に適用できる。
1:補強シート、2:厚肉部、3:成形樹脂(射出樹脂)、4:金型(コア側)、5:金型(キャビティ側)、6:射出ゲート、7:貫通空隙又は貫通孔、8:可動部材又は圧接固定用可動ピン、9:スプリング又はばね構造、10:貫通穴又は位置決め用孔、11:位置決め用可動ピン、12:樹脂かぶり、13:充填不足、14:薄肉部、15:金型の傾斜部分。

Claims (6)

  1. 強化繊維から成るクロスに熱可塑性樹脂Aを含浸してなる補強シートを成形金型内に挿入し、その後、成形樹脂として熱可塑性樹脂Bを成形金型内に射出し、さらに圧縮工程を経て一体化する成形品の製造方法において、前記補強シートが、厚肉部と薄肉部とを有しており、前記厚肉部の厚みが、成形品の厚みと略同寸法である成形品の製造方法。
  2. 補強シートの薄肉部に貫通空隙が設けられている請求項1に記載の成形品の製造方法。
  3. 補強シートの一部が、成形金型の少なくとも片方に圧接可能に設けられた可動部材により、狭持固定された状態になった後、成形樹脂として熱可塑性樹脂Bを射出する請求項1又は2に記載の成形品の製造方法。
  4. クロスが、強化繊維の絡み織りからなり、直径3mm以上の目開き空隙を有する請求項2又は3に記載の成形品の製造方法。
  5. 補強シートの含浸樹脂である熱可塑性樹脂Aと、成形樹脂である熱可塑性樹脂Bとが、相溶性を有する請求項1〜4いずれかに記載の成形品の製造方法。
  6. 補強シートの含浸樹脂である熱可塑性樹脂Aの主成分がポリプロピレン樹脂であり、成形樹脂である熱可塑性樹脂Bがポリプロピレン樹脂とガラス強化繊維を含む複合材である請求項5に記載の成形品の製造方法。
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