JP2015198373A - 通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、および、送信方法 - Google Patents

通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、および、送信方法 Download PDF

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Takanori Onishi
孝典 大西
雄也 上野
Takeya Ueno
雄也 上野
晶夫 吉永
Akio Yoshinaga
晶夫 吉永
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Abstract

【課題】伝送路のインピーダンスの変化に対応することができ、かつ、消費電力も抑制することができる通信装置を提供する。【解決手段】通信部13(23)において、受信信号の振幅を検出して平均値を算出し、算出された平均値に基づいて、増加信号または減少信号を出力する通信制御部51と、通信制御部51より入力される信号に基づいて増幅率を変化させて、送信信号を増幅する可変増幅部53とを設けた。受信信号の振幅の平均値に応じて送信信号の振幅を調整することができるので、伝送路のインピーダンスの変化に応じて送信信号の振幅を変化させることで、受信側の受信成功率が低下することを抑制することができる。また、消費電力を抑制することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、および、送信方法に関する。
消耗電極式の溶接装置は、通常、重量があるために移動させない溶接電源装置と、溶接位置の移動に伴って作業者が持ち運びするワイヤ送給装置とに分離されている。溶接電源装置とワイヤ送給装置とは、パワーケーブルで接続されている。
このパワーケーブルを介して、溶接電源装置とワイヤ送給装置との間で通信を行う溶接システムが開発されている。例えば、特許文献1には、直接スペクトル拡散(Direct Sequence Spread Spectrum:DSSS)通信方式を用いて、パワーケーブルを介して通信を行う溶接システムが記載されている。
溶接電源装置とワイヤ送給装置とを接続するパワーケーブルは、溶接電源装置とワイヤ送給装置とが離れている状態では伸ばした状態になっており、溶接電源装置とワイヤ送給装置とが近い状態では例えば巻いた状態になっている。また、溶接電源装置と作業場所との距離に応じたパワーケーブルに取り換える場合がある。パワーケーブルの長さまたは引き回し方が異なると、通信のための伝送路のインピーダンスが変わってくる。
伝送路のインピーダンスが大きくなって通信信号の減衰が大きくなると、受信側で通信信号を正しく受信できず、受信成功率が低くなる。しかし、送信電力を大きくしていた場合、伝送路のインピーダンスが小さくなって通信信号の減衰が小さくなると、受信した通信信号の振幅が受信可能な最大電圧を超えてしまう場合がある。この場合も、通信信号を正しく受信できず、受信成功率が低くなる。例えば、特許文献2には、送信機が信号の振幅を昇圧して送信し、受信機が受信した信号の振幅を減衰させて参照電圧と比較し、比較結果によって減衰した信号と減衰前の信号とを切り替えて用いる伝送システムが記載されている。
特開2003−191075号公報 WO2011/074094号公報
しかしながら、通信信号の振幅を常に昇圧して送信する場合、消費電力が必要以上に増大してしまうという問題が生じる。
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、伝送路のインピーダンスの変化に対応することができ、かつ、消費電力も抑制することができる通信装置を提供することをその目的としている。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面によって提供される通信装置は、受信信号を受信する受信手段と、送信信号を送信する送信手段と、前記受信信号の振幅を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された振幅の平均値を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された平均値に基づいて、前記送信信号の振幅を調整する調整手段とを備えていることを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記調整手段は、前記平均値が第1の所定値より大きい場合には前記送信信号の振幅を小さくし、前記平均値が第2の所定値より小さい場合には前記送信信号の振幅を大きくする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1の所定値と前記第2の所定値とは同じ値である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記調整手段は、前記送信信号を増幅する増幅手段を備えており、前記増幅手段の増幅率を増減させることで前記送信信号の振幅を変化させる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記調整手段は、トランスを備えており、前記トランスの変圧比を増減させることで前記送信信号の振幅を変化させる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記調整手段は、前記算出手段によって算出された平均値に基づいて、さらに、前記受信信号の振幅も調整する。
本発明の好ましい実施の形態においては、電力伝送線を介して通信を行う。
本発明の第2の側面によって提供される溶接電源装置は、本発明の第1の側面によって提供される通信装置を備えており、前記電力伝送線を介して、ワイヤ送給装置との間で通信を行う。
本発明の第3の側面によって提供されるワイヤ送給装置は、本発明の第1の側面によって提供される通信装置を備えており、前記電力伝送線を介して、溶接電源装置との間で通信を行う。
本発明の第4の側面によって提供される溶接システムは、本発明の第1の側面によって提供される通信装置を備えている溶接電源装置と、本発明の第1の側面によって提供される通信装置を備えているワイヤ送給装置とを備えており、前記電力伝送線を介して、前記溶接電源装置と前記ワイヤ送給装置との間で通信を行う。
本発明の第5の側面によって提供される送信方法は、通信装置の送信信号を送信する方法であって、受信信号を受信する第1の工程と、前記受信信号の振幅を検出する第2の工程と、検出された振幅の平均値を算出する第3の工程と、算出された平均値に基づいて、前記送信信号の振幅を調整して送信する第4の工程とを備えていることを特徴とする。
本発明によると、受信信号の振幅の平均値に応じて送信信号の振幅を調整することができる。したがって、伝送路のインピーダンスが大きくなって受信信号の振幅の平均値が小さくなると、送信信号の振幅を大きくすることで受信側の受信成功率が低下することを抑制し、伝送路のインピーダンスが小さくなって受信信号の振幅の平均値が大きくなると、送信信号の振幅を小さくすることで受信側の受信成功率が低下することを抑制することができる。また、送信信号の振幅を必要に応じて変化させるので、送信信号の振幅を常に大きくしておく場合と比べて、消費電力を抑制することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
第1実施形態に係る溶接システムを説明するための図である。 第1実施形態に係る通信部の内部構成を説明するための図である。 通信制御部が行う増幅率調整処理を説明するためのフローチャートである。 第1実施形態に係る可変増幅部の一例を示す図である。 第1実施形態に係る通信部の他の実施例を説明するための図である。 第2実施形態に係る溶接システムを説明するための図である。 第3実施形態に係る溶接システムを説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態を、本発明に係る通信装置を溶接システムに用いた場合を例として、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、第1実施形態に係る溶接システムAを説明するための図であり、溶接システムAの全体構成を示している。
図1に示すように、溶接システムAは、溶接電源装置1、ワイヤ送給装置2、溶接トーチ3、および、パワーケーブル41,42を備えている。溶接電源装置1の一方の出力端子aは、パワーケーブル41を介して、ワイヤ送給装置2に接続されている。ワイヤ送給装置2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出して、ワイヤ電極の先端を溶接トーチ3の先端から突出させる。溶接トーチ3の先端に配置されているコンタクトチップにおいて、パワーケーブル41とワイヤ電極とは電気的に接続されている。溶接電源装置1の他方の出力端子bは、パワーケーブル42を介して、被加工物Wに接続される。溶接電源装置1は、溶接トーチ3の先端から突出するワイヤ電極の先端と、被加工物Wとの間に発生させたアークに電力を供給する。溶接システムAは、当該アークの熱で被加工物Wの溶接を行う。
溶接電源装置1は、アーク溶接のための直流電力を溶接トーチ3に供給するものである。溶接電源装置1は、電源部11、制御部12、および、通信部13を備えている。
電源部11は、電力系統から入力される三相交流電力をアーク溶接に適した直流電力に変換して出力するものである。電源部11に入力される三相交流電力は、整流回路によって直流電力に変換され、インバータ回路によって交流電力に変換される。そして、トランスによって降圧(または昇圧)され、整流回路によって直流電力に変換されて出力される。なお、電源部11の構成は、上記したものに限定されない。
制御部12は、溶接電源装置1の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部12は、溶接電源装置1から出力される溶接電圧や溶接電流が設定電圧や設定電流になるように、制御を行う。また、制御部12は、溶接条件の変更や電源部11の起動、異常の検出などを行う。また、制御部12は、ワイヤ送給装置2に対する送給指令などのための信号を通信部13に出力させる。
通信部13は、パワーケーブル41,42を介して、ワイヤ送給装置2との間で通信を行うためのものである。通信部13は、ワイヤ送給装置2から受信した通信信号を復調して、制御部12に出力する。ワイヤ送給装置2から受信する通信信号には、例えば、溶接条件を設定するための信号や、電源部11の起動を指示する起動信号などがある。また、通信部13は、制御部12から入力される信号を変調して、通信信号としてワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2に送信する通信信号には、例えば、検出された溶接電圧または溶接電流の検出信号や、異常発生を示す信号、送給指令のための信号などがある。なお、ワイヤ送給装置2との間で送受信される通信信号は、上記したものに限定されない。
通信部13は、直接スペクトル拡散通信方式を用いて通信を行う。直接スペクトル拡散通信方式では、送信側は、送信する通信信号に対して拡散符号による演算を行い、元の信号のスペクトルをより広い帯域に拡散して送信する。受信側は、受信した通信信号を共通する拡散符号を用いて逆拡散することで、元の信号に戻す。通信信号にノイズが重畳された場合でも、逆拡散によってノイズのスペクトルが拡散されるので、フィルタリングによって元の通信信号を抽出することができる。また、溶接システムA毎に異なる拡散符号を用いていれば、別の溶接システムAで送受信される通信信号を誤って受信したとしても、当該通信信号は異なる拡散符号で逆拡散されて、ノイズとして除去される。したがって、高い通信品質で通信を行うことができる。
通信部13は、結合回路を備えている。当該結合回路は、通信部13の入出力端に接続されたコイルと、パワーケーブル41,42が接続された出力線に並列接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、通信部13が出力する通信信号をパワーケーブル41,42に重畳し、また、パワーケーブル41,42に重畳された通信信号を検出する。
図2は、通信部13の内部構成を説明するための図である。通信部13は、通信制御部51、D/A変換部52、可変増幅部53、送信BPF54、受信BPF55、可変増幅部56、および、A/D変換部57を備えている。結合回路に接続する伝送路は分岐されており、一方はD/A変換部52に接続し、他方はA/D変換部57に接続している。D/A変換部52に接続する伝送路には可変増幅部53および送信BPF54が配置されており、A/D変換部57に接続する伝送路には可変増幅部56、受信BPF55が配置されている。
通信制御部51は、制御部12より入力される信号に応じてキャリア信号をBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調し、変調信号にスペクトル拡散を行って、D/A変換部52に出力する。なお、変調方法はBPSK変調に限られず、ASK変調やFSK変調を行うようにしてもよい。また、スペクトル拡散は直接拡散方式に限られず、周波数ホッピング方式を用いてもよい。なお、本実施形態では、スペクトル拡散を行っているが、これに限定されず、スペクトル拡散を行わないようにしてもよい。また、通信制御部51は、A/D変換部57より入力されるデジタル信号に、逆拡散および復調を行って、制御部12に出力する。
また、通信制御部51は、A/D変換部57より入力されるデジタル信号(受信信号をデジタル化した信号)に基づいて、可変増幅部53および可変増幅部56の増幅率を調整する。具体的には、通信制御部51は、受信信号の振幅の平均値Xを算出して、算出された平均値Xが所定値X0より大きい場合は増幅率を減少させるための信号(以下では、「減少信号」とする)を可変増幅部53および可変増幅部56に出力し、算出された平均値Xが所定値X0より小さい場合は増幅率を増加させるための信号(以下では、「増加信号」とする)を可変増幅部53および可変増幅部56に出力する。
図3は、通信制御部51が行う、可変増幅部53および可変増幅部56の増幅率を調整する処理(以下では、「増幅率調整処理」とする)を説明するためのフローチャートである。通信制御部51は、通信を開始するときに当該処理を開始する。
まず、受信信号の振幅の平均値Xが算出される(S1)。例えば、受信信号の振幅が検出され、所定期間の移動平均値が平均値Xとして算出される。次に、平均値Xが所定値X0より大きいか否かが判別される(S2)。所定値X0は、例えば、A/D変換部57の許容最大電圧の半分の電圧値が設定される。
平均値Xが所定値X0より大きいと判別された場合(S2:YES)、可変増幅部53および可変増幅部56に減少信号が出力されて(S3)、ステップS1に戻る。一方、ステップS2において、平均値Xが所定値X0以下と判別された場合(S2:NO)、平均値Xが所定値X0より小さいか否かが判別される(S4)。平均値Xが所定値X0より小さいと判別された場合(S4:YES)、可変増幅部53および可変増幅部56に増加信号が出力されて(S5)、ステップS1に戻る。平均値Xが所定値X0以上であると判別された場合(S4:NO)、すなわち、平均値Xが所定値X0に等しい場合、可変増幅部53および可変増幅部56に信号を出力せずに、ステップS1に戻る。
なお、通信制御部51が行う増幅率調整処理は、上述したものに限定されない。例えば、平均値Xを上限値X1および下限値X2(X1>X2)と比較するようにしてもよい。すなわち、平均値Xが上限値X1より大きい場合に減少信号を出力し、平均値Xが下限値X2より小さい場合に増加信号を出力するようにしてもよい。
D/A変換部52は、通信制御部51より入力されるデジタル信号をアナログ信号に変換して、可変増幅部53に出力する。
可変増幅部53は、D/A変換部52より入力されるアナログ信号を増幅して、送信BPF54に出力する。可変増幅部53は、通信制御部51より入力される信号に基づいて、増幅率を変化させる。すなわち、減少信号が入力された場合には、増幅率を減少させて、送信信号の振幅を小さくする。また、増加信号が入力された場合には、増幅率を増加させて、送信信号の振幅を大きくする。
本実施形態では、可変増幅部53として、図4に示す可変ゲインアンプを用いている。なお、可変増幅部53はこれに限られず、増幅率を変化させることができる増幅器であればよい。
送信BPF54は、送信信号を通過させるための帯域通過型フィルタ(バンドパスフィルタ)である。本実施形態では、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に送信する通信信号と、ワイヤ送給装置2から溶接電源装置1に送信する通信信号とで、異なる周波数帯域を利用している。送信BPF54は、送信信号が利用する周波数帯域の周波数成分のみを通過させるように設計されており、受信信号やノイズを遮断する。送信信号は、送信BPF54を通過し、結合回路によってパワーケーブル41,42に重畳される。
受信BPF55は、受信信号を通過させるための帯域通過型フィルタである。受信BPF55は、受信信号が利用する周波数帯域の周波数成分のみを通過させるように設計されており、送信信号やノイズを遮断する。パワーケーブル41,42に重畳された信号のうち、受信信号だけが受信BPF55を通過し、可変増幅部56に出力される。
可変増幅部56は、可変増幅部53と同様のものであり、受信BPF55より入力されるアナログ信号を増幅して、A/D変換部57に出力する。可変増幅部56は、通信制御部51より入力される信号に基づいて、増幅率を変化させる。すなわち、減少信号が入力された場合には、増幅率を減少させて、受信信号の振幅を小さくする。また、増加信号が入力された場合には、増幅率を増加させて、受信信号の振幅を大きくする。
A/D変換部57は、可変増幅部56より入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して、通信制御部51に出力する。
ワイヤ送給装置2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出すものである。ワイヤ送給装置2は、制御部21、送給機構22、および、通信部23を備えている。なお、ワイヤ送給装置2は、ガスタンクのシールドガスを溶接トーチ3の先端に供給するためのガス電磁弁などを備えているが、記載を省略している。
制御部21は、ワイヤ送給装置2の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部21は、溶接トーチ3に設けられている図示しないトーチスイッチより入力される起動のための操作信号に応じて、溶接電源装置1の電源部11を起動するための起動信号を通信部23に出力する。また、図示しない操作部より入力される溶接条件を変更するための操作信号に応じて、図示しない記憶部に記憶されている溶接条件を変更する。制御部21は、あらかじめ設定された送信周期ごとに、記憶部に記憶されている溶接条件を読み出して、通信部23に出力する。また、制御部21は、通信部23より入力される溶接電圧または溶接電流の検出値を、図示しない表示部に出力して表示させたり、通信部23より入力される異常発生を示す信号に基づいて、図示しない報知部に異常の報知(例えば、スピーカによる警告音や振動による報知)をさせたりする。また、制御部21は、通信部23から送給指令を入力されている間、送給機構22にワイヤ電極の送給を行わせて、溶接トーチ3にワイヤ電極を送り出す。
送給機構22は、溶接トーチ3にワイヤ電極の送給を行うものである。送給機構22は、制御部21からの送給指令に基づいて、モータによって送給ローラを回転させて、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出す。
通信部23は、パワーケーブル41,42を介して、溶接電源装置1との間で通信を行うためのものである。通信部23は、溶接電源装置1から受信した通信信号を復調して、制御部21に出力する。溶接電源装置1から受信する通信信号には、例えば、溶接電源装置1においてセンサで検出された溶接電圧または溶接電流の検出信号や、異常発生を示す信号、送給指令のための信号などがある。また、通信部23は、制御部21から入力される信号を変調して、通信信号として溶接電源装置1に送信する。溶接電源装置1に送信する通信信号には、例えば、溶接条件を設定するための信号や、電源部11の起動を指示する起動信号などがある。なお、溶接電源装置1との間で送受信される通信信号は、上記したものに限定されない。通信部23も、通信部13と同様に、直接スペクトル拡散通信方式を用いて通信を行う。
通信部23は、結合回路を備えている。当該結合回路は、パワーケーブル41,42に並列接続されたコイルと通信部23の入出力端に接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、通信部23が出力する通信信号をパワーケーブル41,42に重畳し、また、パワーケーブル41,42に重畳された通信信号を検出する。通信部23の内部構成は、通信部13の内部構成と同様である(図2参照)。
次に、通信部13および23の作用および効果について説明する。
通信制御部51は、受信信号の振幅の平均値Xが所定値X0より大きい場合に、可変増幅部53に減少信号を出力し、平均値Xが所定値X0より小さい場合に、可変増幅部53に増加信号を出力する。可変増幅部53は、減少信号が入力された場合には増幅率を減少させて、送信信号の振幅を小さくし、増加信号が入力された場合には増幅率を増加させて、送信信号の振幅を大きくする。したがって、伝送路のインピーダンスが大きくなって受信信号の振幅の平均値が小さくなると、送信信号の振幅が大きくなり、伝送路のインピーダンスが小さくなって受信信号の振幅の平均値が大きくなると、送信信号の振幅が小さくなる。パワーケーブル41および42の長さが変化したり、引き回し方が変化したことで伝送路のインピーダンスが変化しても、それに応じて送信信号の振幅を変化させるので、受信側の受信成功率が低下することを抑制することができる。また、送信信号の振幅を必要に応じて変化させるので、送信信号の振幅を常に大きくしておく場合と比べて、消費電力を抑制することができる。
また、通信制御部51は、平均値Xが所定値X0より大きい場合に、可変増幅部56に減少信号を出力し、平均値Xが所定値X0より小さい場合に、可変増幅部56に増加信号を出力する。可変増幅部56は、減少信号が入力された場合には増幅率を減少させて、受信信号の振幅を小さくし、増加信号が入力された場合には増幅率を増加させて、受信信号の振幅を大きくする。したがって、通信部13(23)は、伝送路のインピーダンスが大きくなって受信信号の振幅の平均値が小さくなると、受信信号の振幅を大きくし、伝送路のインピーダンスが小さくなって受信信号の振幅の平均値が大きくなると、受信信号の振幅を小さくすることができる。パワーケーブル41および42の長さが変化したり、引き回し方が変化したことで伝送路のインピーダンスが変化しても、それに応じて受信信号の振幅を変化させるので、受信成功率が低下することを抑制することができる。また、受信信号の増幅率を必要に応じて変化させるので、受信信号の増幅率を常に大きくしておく場合と比べて、消費電力を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、コイルによる磁気結合を利用して、通信部13,23が通信信号をパワーケーブル41,42に重畳し、パワーケーブル41,42に重畳された通信信号を検出する場合について説明したが、これに限られない。例えば、コンデンサによる電界結合を利用するようにしてもよい。また、パワーケーブル41,42に並列に通信信号を入力するのではなく、パワーケーブル41または42に直列に通信信号を入力するようにしてもよい。
本実施形態においては、A/D変換部57によってデジタル信号に変換された受信信号に基づいて受信信号の振幅を検出する場合について説明したが、これに限られない。例えば、A/D変換部57に入力されるアナログ信号に基づいて受信信号の振幅を検出するようにしてもよい。
本実施形態においては、通信制御部51が可変増幅部53および可変増幅部56の両方の増幅率を調整する場合について説明したが、これに限られない。通信制御部51が可変増幅部53の増幅率のみを調整するようにしてもよい。この場合は、可変増幅部56に代えて、増幅率が固定された増幅部を用いればよい。
本実施形態においては、通信制御部51が可変増幅部53の増幅率を調整することで、送信信号の振幅を調整する場合について説明したが、これに限られない。例えば、通信制御部51がD/A変換部52に出力する信号の振幅を調整するようにしてもよい。また、通信部13(23)の、結合回路の高周波トランスの変圧比を調整するようにしてもよい。
図5は、第1実施形態に係る通信部13(23)の他の実施例を説明するための図である。図5において、図2に示す通信部13(23)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図5に示す通信部13(23)は、送信信号用と受信信号用の2つの高周波トランス58a,58bが設けられており、増幅率を調整する代わりに変圧比を調整する点で、図2に示す通信部13(23)と異なる。
高周波トランス58aは、一次側コイルが送信BPF54の出力端に接続されており、二次側コイルがパワーケーブル41,42に並列接続されている。高周波トランス58bは、二次側コイルが受信BPF55の入力端に接続されており、一次側コイルがパワーケーブル41,42に並列接続されている。
通信制御部51’は、A/D変換部57より入力されるデジタル信号に基づいて、高周波トランス58a,58bの変圧比を調整する。具体的には、通信制御部51’は、受信信号の振幅の平均値Xを算出して、算出された平均値Xが所定値X0より大きい場合は二次側の電圧を減少させるための信号(以下では、「減少信号」とする)を高周波トランス58a,58bに出力し、算出された平均値Xが所定値X0より小さい場合は二次側の電圧を増加させるための信号(以下では、「増加信号」とする)を高周波トランス58a,58bに出力する。
高周波トランス58aは、減少信号が入力された場合には、二次巻数を減少(または、一次巻数を増加)させることで変圧比を増加させて、送信信号の振幅を小さくする。また増加信号が入力された場合には、二次巻数を増加(または、一次巻数を減少)させることで変圧比を減少させて、送信信号の振幅を大きくする。高周波トランス58bは、減少信号が入力された場合には、二次巻数を減少(または、一次巻数を増加)させることで変圧比を増加させて、受信信号の振幅を小さくする。また増加信号が入力された場合には、二次巻数を増加(または、一次巻数を減少)させることで変圧比を減少させて、受信信号の振幅を大きくする。
なお、増幅率を変化させる必要がないので、可変増幅部53,56に代えて、増幅率が固定された増幅部53’,56’を用いている。
本実施例の場合でも、受信信号の振幅の平均値Xが大きくなると送信信号および受信信号の振幅が小さくなり、平均値Xが小さくなると送信信号および受信信号の振幅が大きくなる。したがって、伝送路のインピーダンスの変化に応じて送信信号および受信信号の振幅を変化させることで、受信成功率が低下することを抑制することができ、消費電力を抑制することができる。
上記第1実施形態においては、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが、パワーケーブル41,42を介して通信を行う場合について説明したが、これに限られない。例えば、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが、専用の通信線で通信を行うようにしてもよい。また、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが、無線通信を行うようにしてもよい。溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが無線通信を行う場合を、第2実施形態として、以下に説明する。
図6は、第2実施形態に係る溶接システムA2を説明するための図である。図6において、第1実施形態に係る溶接システムA(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図6に示す溶接電源装置1は、通信部13に代えて、無線通信を行う通信部13’を備えている点で、第1実施形態に係る溶接電源装置1と異なる。また、図6に示すワイヤ送給装置2は、通信部23に代えて、無線通信を行う通信部23’を備えている点で、第1実施形態に係るワイヤ送給装置2と異なる。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
上記第1ないし第2実施形態においては、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間で通信を行う場合について説明したが、これに限られない。例えば、非消耗電極式の溶接装置の場合、ワイヤ送給装置2は用いられず、溶接電源装置1と溶接トーチ3に接続されたリモコンとの間で、通信を行う。この場合、リモコンに通信のための構成を設け、溶接電源装置1との間で通信を行うようにすればよい。溶接電源装置1とリモコンとが通信を行う場合を第3実施形態として、以下に説明する。
図7は、第3実施形態に係る溶接システムA3を説明するための図である。図7において、第1実施形態に係る溶接システムA(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図7に示す溶接システムA3は、ワイヤ送給装置2に代えて、リモコン2’を備えている点で、第1実施形態に係る溶接システムAと異なる。リモコン2’は、パワーケーブル41,42を介して、溶接電源装置1との間で通信を行う。通信部23は、第1実施形態におけるワイヤ送給装置2の通信部23と同様の構成で同様の機能を有する。したがって、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、溶接トーチ3にリモコン2’を取り付けるのではなく、溶接トーチ3自体に制御部21および通信部23を設けて、溶接電源装置1と溶接トーチ3との間で通信を行うようにしてもよい。
上記第1ないし第3実施形態においては、本発明に係る通信装置を溶接システムに用いた場合について説明したが、これに限られない。本発明に係る通信装置は、他のシステムにおいても用いることができる。また、本発明は、通信のみを行う通信装置においても適用することができる。
本発明に係る通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、および、送信方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、および、送信方法の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A,A2,A3 溶接システム
1 溶接電源装置
11 電源部
12 制御部
13,13’ 通信部(通信装置)
2 ワイヤ送給装置
2’ リモコン
21 制御部
22 送給機構
23,23’ 通信部(通信装置)
3 溶接トーチ
41,42 パワーケーブル(電力伝送線)
51,51’ 通信制御部(送信手段、受信手段、検出手段、算出手段、調整手段)
52 D/A変換部(送信手段)
53 可変増幅部(送信手段、調整手段、増幅手段)
53’ 増幅部
54 送信BPF(送信手段)
55 受信BPF(受信手段)
56 可変増幅部(受信手段、調整手段)
56’ 増幅部
57 A/D変換部(受信手段)
58a,58b 高周波トランス
W 被加工物

Claims (11)

  1. 受信信号を受信する受信手段と、
    送信信号を送信する送信手段と、
    前記受信信号の振幅を検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出された振幅の平均値を算出する算出手段と、
    前記算出手段によって算出された平均値に基づいて、前記送信信号の振幅を調整する調整手段と、
    を備えていることを特徴とする通信装置。
  2. 前記調整手段は、前記平均値が第1の所定値より大きい場合には前記送信信号の振幅を小さくし、前記平均値が第2の所定値より小さい場合には前記送信信号の振幅を大きくする、
    請求項1に記載の通信装置。
  3. 前記第1の所定値と前記第2の所定値とは同じ値である、
    請求項2に記載の通信装置。
  4. 前記調整手段は、
    前記送信信号を増幅する増幅手段を備えており、
    前記増幅手段の増幅率を増減させることで前記送信信号の振幅を変化させる、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の通信装置。
  5. 前記調整手段は、
    トランスを備えており、
    前記トランスの変圧比を増減させることで前記送信信号の振幅を変化させる、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の通信装置。
  6. 前記調整手段は、前記算出手段によって算出された平均値に基づいて、さらに、前記受信信号の振幅も調整する
    請求項1ないし5のいずれかに記載の通信装置。
  7. 電力伝送線を介して通信を行う、
    請求項1ないし6のいずれかに記載の通信装置。
  8. 請求項7に記載の通信装置を備えており、
    前記電力伝送線を介して、ワイヤ送給装置との間で通信を行う、
    ことを特徴とする溶接電源装置。
  9. 請求項7に記載の通信装置を備えており、
    前記電力伝送線を介して、溶接電源装置との間で通信を行う、
    ことを特徴とするワイヤ送給装置。
  10. 請求項7に記載の通信装置を備えている溶接電源装置と、
    請求項7に記載の通信装置を備えているワイヤ送給装置と、
    を備えており、
    前記電力伝送線を介して、前記溶接電源装置と前記ワイヤ送給装置との間で通信を行う、
    ことを特徴とする溶接システム。
  11. 通信装置の送信信号を送信する方法であって、
    受信信号を受信する第1の工程と、
    前記受信信号の振幅を検出する第2の工程と、
    検出された振幅の平均値を算出する第3の工程と、
    算出された平均値に基づいて、前記送信信号の振幅を調整して送信する第4の工程と、
    を備えていることを特徴とする送信方法。
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