JP2015197489A - 有機膜とその製造方法、光学フィルム、有機半導体、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

有機膜とその製造方法、光学フィルム、有機半導体、偏光板、および液晶表示装置 Download PDF

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【課題】高コントラストな有機膜及びその製造方法、光学フィルム、有機半導体、偏光板並びに液晶表示装置の提供。【解決手段】円盤状化合物を含む有機膜であって、前記円盤状化合物がカラム状集合体を形成した状態で固定化され、かつ一軸配向しており、前記有機膜の微小領域における配向軸分布の半値幅が1?以下である有機膜。【選択図】なし

Description

本発明は、有機膜とその製造方法、光学フィルム、有機半導体、偏光板、および液晶表示装置に関する。
近年、画像を表示する装置として、液晶表示装置が広く普及している。液晶表示装置は位相差を利用して光の制御を行っているため、より高品位の画像表示のために位相差を用いた光学補償が行われている。光学補償の形態としては複屈折性を示すポリマーフィルムを用いる態様が一般的である。
円盤状化合物を用いたポリマーフィルムは報告されている。例えば、特許文献1には、水溶性円盤状化合物のリオトロピック液晶相を利用したせん断配向をした円盤状化合物が記載されている。また、特許文献2及び3には、基板に対して水平に配向する、ホメオトロピック配向した円盤状化合物が記載されている。特許文献4には、カラムナー相を発現させたまま赤外線レーザーを照射することで配向性を誘起した円盤状化合物が記載されている。特許文献5には、可視域に吸収のある多環式有機化合物を、せん断配向によって二色比を発現させ、偏光子として用いる方法が記載されている。特許文献6には、円盤状化合物の進相軸を水平に配向させたいわゆる負のAプレートが記載されている。
特開2007−291060号公報 特開2000−119652号公報 特開平11−338171号公報 特開2007−249107号公報 特表2011−513376号公報 特開平09−292522号公報
円盤状化合物が形成するカラムナー相は、高い秩序度による大きな異方性の発現が期待されるため、光学フィルムへの応用が期待されている。また、一軸に配向したカラムの軸方向に沿った大きな電荷移動度が得られることから、有機半導体など電子材料への応用も期待されている。カラムナー相はディスコティックネマティック相と比較してより高次な秩序を持った相であり、分子間の相互作用が強いことから、弾性率が高く、欠陥を生じやすい。特許文献1〜5に記載の方法によればカラムナー相などを発現した円盤状化合物を一軸に配向させることができるが、ディスプレイ用途のような大面積(数十cm以上、例えば、20cm以上など)で欠陥のない均一配向を実現するには不十分であった。
一方、液晶表示装置において、視野特性の良いIPS(In−Plane Switching)モードやFFS(Fringe Field Switching)モード等の横電界駆動型が注目を集めている。IPSモードやFFSモードの液晶セルにおいては、液晶分子が液晶セル基板面に対し平行に配向しており、斜め方向から観測した場合の色味補償の観点で、特許文献6に記載されているような円盤状化合物の進相軸を水平に配向させたいわゆる負のAプレートを用いることも検討することができる。しかし、円盤状化合物の液晶揺らぎに起因するコントラスト低下が大きく、実用レベルのものではない。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、円盤状化合物のカラムナー相を一軸配向させた有機膜を提供することを課題とする。さらに本発明は、上記有機膜の製造方法、並びに上記有機膜を用いた光学フィルム、有機半導体、偏光板および液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、カラム状に集合体を形成し一軸配向している円盤状化合物を用いて有機膜を形成し、さらに微小領域における配向軸分布の半値幅を所定の範囲に規定することによって、フィルムコントラストが著しく向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1) 円盤状化合物を含む有機膜であって、円盤状化合物がカラム状集合体を形成した状態で固定化され、かつ一軸配向しており、有機膜の微小領域における配向軸分布の半値幅が1°以下である有機膜。
(2) 円盤状化合物の進相軸が面内方向に配向している、(1)に記載の有機膜。
(3) 円盤状化合物が光配向膜上で配向している、(1)または(2)に記載の有機膜。
(4) 円盤状化合物が非水溶性である、(1)から(3)のいずれかに記載の有機膜。
(5) 有機膜が、少なくとも2種以上の円盤状化合物を含み、そのうち少なくとも1種はディスコティックネマティック相を発現する化合物である、(1)から(4)のいずれかに記載の有機膜。
(6) 円盤状化合物が実質的に無色である、(1)から(5)のいずれかに記載の有機膜。
(7) クロロホルム中で測定した吸収スペクトルのλmaxが277nm以下である円盤状化合物を少なくとも1種以上含む、(1)から(6)のいずれかに記載の有機膜。
(8) 円盤状化合物として下記一般式(I)で表される化合物を含む、(1)から(7)のいずれかに記載の有機膜;
Figure 2015197489
式中、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に*−X11−L11−P11または*−X12−Y12を表し、*はトリフェニレン環との結合を表し、X11およびX12はそれぞれ独立に、−O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NH−、−OC(=O)S−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)S−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−、−S−、―SC(=O)−、−SC(=O)O−、−SC(=O)NH−、または―SC(=O)S−を表し、L11は2価の連結基または単結合を表し、P11は重合性基を表し、Y12は高分子化に寄与しない置換基を表す。
(9) 円盤状化合物として下記一般式(II)で表される化合物を含む、(1)から(8)のいずれかに記載の有機膜;
Figure 2015197489
式中、A、AおよびAはそれぞれ独立に−CH=または−N=を表し、R、R、及びRはそれぞれ独立に、*−X211−(Z21−X212n21−L21−P21または*−X211−(Z22−X222n22−Y22を表し、*は中心環との結合を表し、X211、X212、X221およびX222はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NH−、−OC(=O)S−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)S−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−、−S−、−SC(=O)−、−SC(=O)O−、−SC(=O)NH−、または−SC(=O)S−を表し、Z21およびZ22はそれぞれ独立に、5員環もしくは6員環の芳香族基、または5員環もしくは6員環の非芳香族基を表し、L21は、X212とP21を連結する2価の連結基もしくは単結合を表し、P21は重合性基を表し、Y22は高分子化に寄与しない置換基を表し、n21およびn22はそれぞれ独立に、0〜3の整数を表し、n21およびn22が2の場合の複数個あるZ21−X212およびZ22−X222は同一でも異なっていてもよい。
(10) 有機膜が、含フッ素ポリマーを含む、(1)から(9)のいずれかに記載の有機膜。
(11) 有機膜が、高分子マトリックスを含む、(1)から(10)のいずれかに記載の有機膜。
(12) 支持体上に、円盤状化合物を含む組成物を塗布し、円盤状化合物を一軸配向させ、カラム状集合体を形成した状態で固定化することによって製造される、有機膜の微小領域における配向軸分布の半値幅が1°以下である有機膜。
(13) 支持体の塗布面に光配向膜を有する、(12)に記載の有機膜。
(14) 円盤状化合物を含む組成物がある温度領域でディスコティックネマティック相を発現し、その温度で円盤状化合物を一軸配向させた後に、カラムナー相を発現する温度領域まで降温し、その後固定化する、(12)又は(13)に記載の有機膜。
(15) 固定化が、UV照射による重合反応である、(12)から(14)の何れかに記載の有機膜。
(16) 支持体上に、円盤状化合物を含む組成物を塗布する工程、および円盤状化合物を一軸配向させ、カラム状集合体を形成した状態で固定化する工程を含む、(1)から(15)の何れかに記載の有機膜の製造方法。
(17) 円盤状化合物を含む組成物が、高分子マトリックスを形成しうる高分子、または高分子マトリックスを形成しうる高分子の前駆体となる多官能モノマーを含む、(16)に記載の方法。
(18) 支持体の塗布面に光配向膜を有する、(16)又は(17)に記載の方法。
(19) 円盤状化合物を含む組成物がある温度領域でディスコティックネマティック相を発現し、その温度で円盤状化合物を一軸配向させた後に、カラムナー相を発現する温度領域まで降温し、その後固定化する、(16)から(18)の何れかに記載の方法。
(20) 固定化が、UV照射による重合反応である、(16)から(19)の何れかに記載の方法。
(21) (1)から(15)のいずれかに記載の有機膜を含む光学フィルムであって、前記円盤状化合物の進相軸が面内方向に配向しており、負のAプレートとして使用される光学フィルム。
(22) (1)から(15)のいずれかに記載の有機膜を含む有機半導体。
(23) (1)から(15)のいずれかに記載の有機膜と偏光子とを有する偏光板。
(24) (1)から(15)のいずれかに記載の有機膜または(23)に記載の偏光膜を有する液晶表示装置。
本発明によれば、高コントラストな光学フィルムとして利用可能な、円盤状化合物のカラムナー相を一軸配向させた有機膜が提供される。さらに本発明によれば、上記有機膜の製造方法、並びに上記有機膜を用いた光学フィルム、有機半導体、偏光板および液晶表示装置が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
[微小領域における配向軸分布の半値幅]
微小領域における配向軸分布とは、肉眼では観測しにくいμmオーダーでの配向軸分布のことを指し、一見して均一に配向しているように見える有機膜においても、偏光板をクロスニコルにした偏光顕微鏡を用いて観察すると数°の配向軸ずれが起きていることがある。
微小領域における配向軸分布の半値幅は、以下のようにして求めることができる。
作製した有機膜を、偏光板をクロスニコルにした偏光顕微鏡を用いて、400倍の倍率でステージの角度を0.5度ずつ回転させながら、最も暗くなるステージの角度を中心に±10度の範囲でデジタルカメラで撮影する。その後、デジタルカメラ写真で撮影された画像の回転・平行移動処理を行うことにより、画像の位置を画素単位で正確に合わせる。その後、画素ごとに最も暗くなった角度を記録し、横軸に角度を縦軸にその角度で最も暗くなった画素数をプロットしたヒストグラムを作成し、その半値幅を求める。
「微小領域」とは、μmオーダーで囲まれる狭い領域であって、具体的には、0.1μm〜500μm四方程度の領域である。一例としては、直径約500μmの視野範囲における画像の回転・平行移動処理を行うことができる。偏光顕微鏡で400倍の倍率で測定できる他、高分解能の測定装置(例えば、名菱テクニカ株式会社製「LCA-LU4A」)を用いて測定できる領域である。
なお、偏光顕微鏡としては公知のものを用いることができ、例えば、ニコン製エクリプスE600POLを用いることができる。また、上記の画像の回転・平行移動処理は市販のプログラムを用いて行うことが可能である。
[円盤状化合物の進相軸]
円盤状化合物は、通常、円盤平面上にπ共役が広がるため、負の一軸性複屈折を示す。本発明では、円盤状化合物の進相軸が面内方向に配向していることが好ましい。進相軸とはπ共役平面と直交する軸、すなわち円盤平面に対する垂線のことを指す。円盤状化合物の進相軸が面内方向に配向していることにより、面内レターデーションが発現される。
[面内レターデーション]
Re(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、またはWR(王子計測機器社製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルタをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
[膜厚方向のレターデーション]
Rth(λ)は、各々、波長λにおける膜厚のレターデーションを表す。Rth(λ)は、上記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
なお、本明細書では、「可視光」とは、380nm〜780nmのことをいう。また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、およびその関係(例えば「直交」、「平行」、「同一方向」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。この時、許容される誤差としては、例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、具体的に厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。なお微小領域における配向軸分布の半値幅についてはこの限りではない。
[有機膜]
本発明の有機膜は、円盤状化合物を含む有機膜であって、円盤状化合物がカラム状集合体を形成した状態で固定化され、かつ一軸配向しており、有機膜の微小領域における配向軸分布の半値幅が1°以下であることを特徴とする。
本発明では、微小領域における配向軸分布の半値幅は1°以下であり、1.0°未満が好ましく、0.90°以下がより好ましく、0.80°以下がより好ましく、0.70°以下がより好ましく、0.65°以下がより好ましく、0.50°以下がさらに好ましい。下限については特に制限はなく、0°が理想であり、0.01°程度以上でもよい。微小領域における配向軸分布の半値幅が1°を超えるとフィルムコントラストが減少する。
<円盤状化合物>
円盤状化合物とは、芳香環および脂肪族環などで形成される円盤状コアを有する化合物であり、適度な溶解性および固定化などの機能を付与するために放射状に側方置換基を有するものが好ましい。
円盤状コアとしては、多環式芳香族化合物が挙げられ、トリフェニレン、ピレン、ペリレンなどの縮環式炭化水素芳香族化合物のほか、フタロシアニン、ポルフィリン、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンなどの縮環式複素芳香族化合物なども含まれる。また、連結基を介して芳香環および脂肪族環が放射状に連結され、全体として一つの円盤状コアを形成するものも含まれ、さらに1分子としては円盤状の性状を示さなくても、水素結合などの非共有結合を介して円盤状コアを形成するものも含まれる。
本発明で用いる円盤状化合物は、単独、溶液中、または高分子媒体中でカラム状集合体を形成する。
カラム状とは、円盤状分子が軸を揃えて積み重なった形状を意味し、円盤同士の相互作用、排除体積効果、円盤状コア部と側方置換基とのミクロな相分離効果および溶剤やその他媒体との相分離効果により、カラム状の形状を取るものが挙げられる。本発明では、カラム状集合体が一軸配向状態を取っており、このような配向を実現するためには、流動性のある中間相、すなわち液晶相を有するものが好ましい。本明細書において、一軸配向状態とは、カラムの中心軸を対称軸として円盤状化合物が積層された状態を意味する。
液晶相としては、ヘキサゴナルカラムナー相、テトラゴナルカラムナー相もしくはカラムナーネマティック相などのサーモトロピック液晶相や、溶剤を含む状態で液晶性を示すリオトロピック液晶相などが挙げられる。さらに、後述するように、均一配向の観点から、上記カラムナー相よりも高温の領域において、ディスコティックネマティック相のようなより低次な相を示すことが好ましい。ディスコティックネマティック相とは、円盤状化合物が長距離秩序を有さずに、方位角の異方性だけを発現している状態をいう。
円盤状化合物は、有機膜中に1種以上含まれていればよく、2種以上含まれていてもよい。また、有機膜が、少なくとも2種以上の円盤状化合物を有する場合、円盤状化合物の少なくとも1種はディスコティックネマティック相を発現することが好ましい。
円盤状化合物は、耐水性の観点から、非水溶性であることが好ましい。水溶性化合物は、一般的にスルホキシル基やカルボキシル基などのアニオン性置換基、もしくは4級アンモニウム基などのカチオン性置換基を有する場合が多く、本発明の化合物はこれらの置換基を有さないことが好ましい。非水溶性であるとは、円盤状化合物の25℃の水への溶解度が、好ましくは、0.1g/100gHO以下であることを言い、より好ましくは、
0.01g/100gHO以下であることを言う。
円盤状化合物は、光学フィルムとしての色づきを抑えるという観点から、実質的に無色であることが好ましい。実質的に無色とは、任意の可視光を入射したときに、透過光の可視光スペクトルが実質的に変動しないことを意味する。なお、少なくとも2種以上の円盤状化合物を使用する場合には、2種以上の円盤状化合物の混合物が実質的に無色であることが好ましい。
円盤状化合物は、実質的に無色であるという観点から、クロロホルム中で測定した吸収スペクトルの420nm〜750nm(可視光領域)におけるモル吸光係数が、0.1以下が好ましく、0.01以下がより好ましい。
円盤状化合物は、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015197489
式中、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に*−X11−L11−P11または*−X12−Y12を表し、*はトリフェニレン環との結合を表し、X11およびX12はそれぞれ独立に、−O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NH−、−OC(=O)S−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)S−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−、−S−、―SC(=O)−、−SC(=O)O−、−SC(=O)NH−、または―SC(=O)S−を表し、L11は2価の連結基または単結合を表し、P11は重合性基を表し、Y12は高分子化に寄与しない置換基を表す。
11およびX12としては、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NH−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、または−NHC(=O)O−が好ましく、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)NH−、または−C(=O)NH−がより好ましく、−C(=O)O−が特に好ましい。
11は、X11とP11を連結する2価の連結基もしくは単結合を表す。2価の連結基としては、−O−、−OC(=O)−、−C(=O)O−、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6)のアルキレン基、炭素数6〜20(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは炭素数6〜10)のアリーレン基、またはこれらの組み合わせからなる基などが挙げられる。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。炭素数6〜20のアリーレン基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、アントラセニレン基等が挙げられ、1,4−フェニレン基が好ましい。
11は、重合性基を表す。重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、スチリル基、p−(2−フェニルエテニル)フェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のエチレン性不飽和基を有する重合性基、オキセタニル基等が例示される。重合性基としては、光重合させるのに適したラジカル重合性基、カチオン重合性基が好ましく、特に取り扱いが容易な上に製造も容易となる傾向にあることから、アクリロイル基、メタクロイル基、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基が好ましい。
12は高分子化に寄与しない置換基を表す。高分子化に寄与しない置換基としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基などが挙げられる。Y12がアルキル基の場合、隣り合わない任意の炭素は、酸素原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
上記一般式(I)で表される化合物の具体例については、特開平7−281028号公報の段落番号0028〜0036、特開2005−156822号公報の段落番号0016〜0018、特開2006−301614号公報の段落番号0067〜0072、および液晶便覧(平成12年丸善株式会社発刊)330頁〜333頁に記載のものを参照することができる。
また、円盤状化合物としては、上記一般式(I)で表される化合物の他に、下記一般式(II)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2015197489
式中、A、AおよびAはそれぞれ独立に−CH=または−N=を表し、R、R、及びRはそれぞれ独立に、*−X211−(Z21−X212n21−L21−P21または*−X211−(Z22−X222n22−Y22を表し、*は中心環との結合を表し、X211、X212、X221およびX222はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NH−、−OC(=O)S−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)S−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−、−S−、−SC(=O)−、−SC(=O)O−、−SC(=O)NH−、または−SC(=O)S−を表し、Z21およびZ22はそれぞれ独立に、5員環もしくは6員環の芳香族基、または5員環もしくは6員環の非芳香族基を表し、L21は、X212とP21を連結する2価の連結基もしくは単結合を表し、P21は重合性基を表し、Y22は高分子化に寄与しない置換基を表し、n21およびn22はそれぞれ独立に、0〜3の整数を表し、n21およびn22が2の場合の複数個あるZ21−X212およびZ22−X222は同一でも異なっていてもよい。
211、X212、X221およびX222としては、単結合、−OC(=O)−が好ましい。
21およびZ22はそれぞれ独立に、5員環もしくは6員環の芳香族基、または5員環もしくは6員環の非芳香族基を表し、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、複素環基などが挙げられる。
複素環としては、例えば、以下の複素環が挙げられる。
Figure 2015197489
式中、*はX211またはX212に結合する部位を示し、**はX212に結合する部位を示し;A41及びA42はそれぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;X4は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表す。
41及びA42は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。また、X4は酸素原子であるのが好ましい。
21はそれぞれ独立に、X212とP21を連結する2価の連結基もしくは単結合を表し、一般式(I)におけるL11と同義であり、好ましい範囲も同様である。
21はそれぞれ独立に、重合性基を表し、一般式(I)におけるP11と同義であり、好ましい範囲も同様である。
22はそれぞれ独立に、高分子化に寄与しない置換基を表し、一般式(I)におけるY12と同義であり、好ましい範囲も同様である。
21およびn22はそれぞれ独立に、0〜3の整数を表し、1〜3の整数が好ましく、3が特に好ましい。
一般式(I)または一般式(II)で表される化合物としては、水素結合性官能基を有する化合物であることが、電子密度を減らすことでスタッキングを強くし、カラム状集合体を形成しやすくなるという観点から好ましい。水素結合性官能基としては、−OC(=O)NH−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−、または−SC(=O)NH−などが挙げられる。
一般式(II)で表される化合物の詳細、および具体例については、特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0077]記載を参照することができ、その内容は本明細書に組み込まれる。
一般式(I)および一般式(II)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 2015197489
一般式(I)で表される化合物は、特開平7−281028号公報、特開2005−156822号公報、及び特開2006−301614号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
一般式(II)で表される化合物は、特開2010−244038号公報、特開2006−76992号公報、および特開2007−2220号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
円盤状化合物の含有量は、有機膜用塗布液の25℃における固形分質量の50〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。なお、円盤状化合物が有機膜中に2種以上含まれている場合には、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
<添加剤および溶剤>
有機膜には、上記円盤状化合物の他に、必要に応じて、空気界面配向剤、配向膜界面配向剤、光重合開始剤、増感剤、多官能モノマー、および架橋性ポリマーなどの添加剤、並びに溶剤を含んでいてもよい。また、上記の添加剤以外に、表面性状や表面形状を制御するための界面活性剤、配向温度を低下させる添加剤(可塑剤)、重合性モノマー、その他機能性を付与するための薬剤等を含んでいてもよい。
(空気界面配向剤)
円盤状化合物の空気界面における配向を制御することを目的として、空気界面配向剤を添加することが好ましく、空気界面配向剤は、液晶分子の空気界面近傍におけるチルト角を増加させる作用がある。さらに、ムラ、ハジキなどの塗布性も改善される。
空気界面配向剤としては、含フッ素ポリマーが挙げられ、好ましくはフルオロ脂肪族基含有共重合体が挙げられ、本発明に使用可能なフルオロ脂肪族基含有共重合体としては、特開2004−333852号公報、特開2004−333861号公報、特開2005−134884号公報、特開2005−179636号公報、及び特開2005−181977号公報などに記載の化合物の中から選んで用いることができる。特に好ましくは、特開2005−179636号公報、及び特開2005−181977号公報に記載の、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホノキシ{−OP(=O)(OH)}}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを側鎖に含むポリマーである。
フルオロ脂肪族基含有共重合体は、フルオロ脂肪族基の疎水性効果により空気界面への偏在性を高めると共に、空気界面側に低表面エネルギーの場を提供し、液晶、特に円盤状液晶のチルト角を増加させることができる。さらに、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホノキシ{−OP(=O)(OH)}}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基を側鎖に含む共重合成分を有すると、これらのアニオンと液晶のπ電子との電荷反発により液晶化合物の垂直配向を実現することができる。
含フッ素ポリマーなどの空気界面配向剤の添加量は、円盤状化合物の質量に対して2質量%を超えることはなく、好ましくは0.1〜1質量%程度である。
(配向膜界面配向剤)
本発明では、円盤状化合物の垂直配向を実現するために、配向膜界面配向剤を添加することが好ましい。配向膜界面配向剤の好ましい例としては、特開2012−150428号公報の段落番号0115〜0168の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。具体的には、特開2012−150428号公報の段落0116に記載の一般式(1)で表されるオニウム塩を使用することができ、好ましくは特開2012−150428号公報の段落0121〜0122に記載の一般式(2a)で表されるピリジニウム化合物又は一般式(2b)で表されるイミダゾリウム化合物を使用することができる。
配向膜界面配向剤の含有量は、円盤状化合物の質量に対して、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.2〜3質量%である。
(光重合開始剤)
有機膜を形成するために、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤は、液晶化合物が重合性基を有する場合や、後記する多官能モノマーを含む場合に好ましく配合される。重合開始剤の具体例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、米国特許2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、米国特許2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)、オキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)が含まれる。
重合開始剤として、光重合開始剤の具体的な例としてはBASF社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、有機膜形成用組成物の25℃における固形分質量の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
(増感剤)
本発明では、重合効率を上げるために、増感剤を添加することもできる。増感剤の好ましい例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン等が含まれる。市販品としてカヤキュア−DETX(日本化薬(株)製)等を用いることができる。光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよい。
増感剤の使用量は、有機膜形成用組成物の25℃における固形分質量の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
(多官能モノマー)
本発明では、カラムの流動性確保および有機膜全体の硬化という観点から、高分子マトリックスを形成しうる高分子の前駆体となる多官能モノマーを添加することもできる。
円盤状化合物とともに使用する多官能モノマーとしては、円盤状化合物と相溶性を有し、円盤状化合物の配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。
多官能モノマーの具体例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。
多官能モノマーは、有機膜形成用組成物に1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。多官能モノマーの含有量は、円盤状化合物の質量に対して一般に0.5〜50質量%であり、1〜30質量%であることが好ましい。2種類以上の多官能モノマーを使用する場合には、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
(高分子マトリックスを形成しうる高分子)
本発明においては有機膜の形成のためには、有機膜全体の膜強度の向上という点から高分子マトリックスを形成しうる高分子を含有していてもよい。高分子マトリックスを形成しうる高分子としては、特開2004−238431号公報の段落0052〜0082の記載の架橋性ポリマーなどが挙げられる。
高分子マトリックスを形成しうる高分子の含有量は、円盤状化合物に対して0.5〜50質量%が好ましく、1〜30質量%が好ましい。
(溶剤)
有機膜の形成時に粘度を下げる等の製造適性を改良するために、有機膜を形成する組成物に溶剤を加えることができる。
用いることのできる溶剤としては製造適性を落とさない限り、特に限定はされないがケトン、エステル、エーテル、アルコール、アルカン、トルエン、クロロホルム、メチレンクロライドからなる群の少なくとも1種から選択されることが好ましく、ケトン、エステル、エーテル、アルコール、アルカンからなる群の少なくとも1種から選択されることがより好ましく、ケトン、エステル、エーテル、アルコール、からなる群の少なくとも1種から選択されることが特に好ましい。
溶剤の使用量は、重合性組成物中の濃度として一般的には50〜90質量%であるが、特に限定されない。
<支持体>
本発明においては、有機膜を支持するために支持体を用いることができる。支持体は、製造上の観点から、ポリマーフィルムであることが好ましい。ポリマーフィルムとしては、セルロースアシレート系フィルム、環状オレフィン系ポリマーフィルム、又はアクリル系ポリマーフィルムから選択されることが好ましい。また、アクリル系ポリマーフィルムとしては、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、及びグルタル酸無水物単位から選ばれる少なくとも1種の単位を含むアクリル系ポリマーを含有することが好ましい。
支持体の光学特性は、光学フィルムとして用いる場合、透明であることが好ましく、また本発明の有機膜との組み合わせにおいて、所望の光学特性を発現するために、ReやRthなどの複屈折性を有していてもよい。
<配向膜>
本発明の有機膜は、一軸配向した円盤状化合物の進相軸が、支持体平面の垂線に対して平行でない場合、すなわち有機膜が面内異方性を有する場合、有機膜に隣接して配向膜を有しているものが好ましい。配向膜は、円盤状化合物を所望の方向に配向させるために用いられ、既知の材料を任意に用いることができる。例えば、ラビングによる配向規制力を与える材料としては、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が用いられる。また、直線偏光または斜めからの非偏光の照射によって配向規制力を発現する、いわゆる光配向膜も用いることができる。本発明においては、微小領域における配向軸分布の制御の観点から、光配向膜上で配向させることが好ましい。
光配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、またはエステル、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、WO2010/150748号、特開2013−177561号公報、特開2014−12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物、クマリン化合物が挙げられる。特に好ましい例としては、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、エステル、シンナメート化合物、カルコン化合物が挙げられる。
特に好ましい光配向材料の具体例としては、特開2006−285197号公報に記載されている下記式(X)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2015197489
(式中、R及びRは、各々独立して、ヒドロキシ基、又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性基を表す。)
は、Rがヒドロキシ基の場合、単結合を表し、Rが重合性基の場合、−(A−B−で表される連結基を表し、Xは、Rがヒドロキシ基の場合、単結合を表し、R又はRが重合性基の場合、−(A−B−で表される連結基を表す。ここで、AはR又はRと結合し、AはR又はRと結合し、B及びBは各々隣接するフェニレン基と結合する。A及びAは各々独立して単結合、又は二価の炭化水素基を表し、B及びBは各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、又は−O−CO−NH−を表す。m及びnは各々独立して0〜4の整数を表す。但し、m又はnが2以上のとき、複数あるA、B,A及びBは同じであっても異なっていても良い。但し、二つのB又はBの間に挟まれたA又はAは、単結合ではないものとする。RおよびRは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ニトロ基、−OR(ただしRは、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数3〜6シクロアルキル基又は炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、又は−CONR(R及びRは、各々独立して水素原子又は炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、またはメトキシカルボニル基を表す。但し、カルボキシル基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。
およびRは各々独立して、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、又はヒドロキシ基を表す。但し、カルボキシル基、スルホ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。)
[有機膜の製造方法]
本発明の有機膜の製造方法は、支持体上に、円盤状化合物を含む組成物を塗布する工程、および円盤状化合物を一軸配向させ、カラム状集合体を形成した状態で固定化する工程を含む方法である。本発明による有機膜の微小領域における配向軸分布の半値幅が1°以下である有機膜は、好ましくは、上記の通り、支持体上に、円盤状化合物を含む組成物を塗布し、円盤状化合物を一軸配向させ、カラム状集合体を形成した状態で固定化することによって製造される有機膜である。
円盤状化合物を含む組成物は、さらに高分子マトリックスを形成しうる高分子、または高分子マトリックスを形成しうる高分子の前駆体となる多官能モノマーを含有していてもよい。高分子マトリックスを形成しうる高分子、及び高分子マトリックスを形成しうる高分子の前駆体となる多官能モノマーの種類、並びに組成物における含有量は上記した通りである。さらに、上記組成物は、本明細書中上記した添加剤を必要に応じて含有してもよい。
支持体または配向膜の表面に円盤状化合物を含有する組成物を塗布する際の方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の方法が挙げられる。
その他、有機膜の製造方法の詳細は、特開2008−225281号公報や特開2008−026730号公報の記載を参酌でき、本明細書に組み込まれる。
有機膜の膜厚は、上記組成物の塗布量を調節することで調整することができる。有機膜の膜厚は、好ましい光学特性を発現する厚みであれば特に限定はされないが、配向均一性および重合時の膜厚変動の影響を少なくするため、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.3μm〜3μmが最も好ましい。
<円盤状化合物の配向>
上記組成物の固定化(硬化)の前には、上記組成物の塗布層の円盤状化合物を配向させればよい。配向処理は、室温等により乾燥させる、または加熱することにより行うことができる。配向処理で形成される液晶相は、一般に温度または圧力の変化により転移させることができる。リオトロピック性をもつ液晶の場合には、溶剤量によっても転移させることができる。
本発明で用いる円盤状化合物は、カラム状集合体を形成するために、ヘキサゴナルカラムナー相、テトラゴナルカラムナー相もしくはカラムナーネマティック相を発現することが好ましい。さらに均一配向性を考慮した場合、ディスコティックネマティック相を発現することがより好ましい。一般に円盤状化合物がディスコティックネマティック相と、カラムナー相の両方を発現する場合、ディスコティックネマティック相を発現する温度領域の方が、カラムナー相を発現する温度領域よりも高いことが普通である。従って、円盤状化合物がディスコティックネマティック相を発現する温度領域まで加熱し、次に、加熱温度を円盤状化合物がカラムナー相を発現する温度領域まで低下させることにより、円盤状化合物をディスコティックネマティック相からカラムナー相に転移させることが好ましい。
円盤状化合物がディスコティックネマティック相を発現する温度領域では、円盤状化合物がモノドメインを形成するまで一定時間加熱する必要がある。加熱時間は、10秒間〜20分間が好ましく、10秒間〜10分間がさらに好ましく、10秒間〜5分間が最も好ましい。
円盤状化合物がカラムナー相を発現する温度領域では、棒状液晶化合物がスメクチック相を発現するまで一定時間加熱する必要がある。加熱時間は、10秒間〜20分間が好ましく、10秒間〜10分間がさらに好ましく、10秒間〜5分間が最も好ましい。
また、温度が上昇するのに応じて、カラムナー相→ディスコティックネマティック相の順に転移する組成物を用いる場合は、上記組成物を、ディスコティックネマティック相状態になるまで加熱して、その後、所定の速度で、カラムナー相―ディスコティックネマティック相の相転移温度以下に徐々に温度を低下することで、カラムナー相へ転移させることができる。低下後の温度は、カラムナー相―ディスコティックネマティック相の相転移温度より5℃以上低いのが好ましい。冷却速度は1〜100℃/分の範囲内で行うことが好ましく、5〜50℃/分の範囲内であることが好ましい。上記の範囲内にすることにより、配向欠陥を防止しやすくなり、また製造時間の延長も回避できる。
カラムナー相あるいはディスコティックネマティック相の進相軸を面内方向に配向させる場合、適切な配向規制力を付与するために、配向膜が利用される。前述した配向処理方法は、配向膜上で適用可能であり、配向欠陥の少ない均一な有機膜を得ることができる。
<配向状態の固定>
円盤状化合物が重合性基を有している場合、配向状態の固定は、熱重合や活性エネルギー線による重合で行うことができ、その重合に適した重合性基や重合開始剤を適宜選択することで行うことができる。製造適性等を考慮すると紫外線照射による重合反応を好ましく用いることができる。紫外線の照射量が少ないと、未重合の重合性円盤状化合物が残存し、光学特性の温度変化や、経時劣化の起きる原因となる。
そのため、残存する重合性円盤状化合物の割合が5%以下になる様に照射条件を決めることが好ましく、その照射条件は重合性組成物の処方や有機膜の膜厚にもよるが目安として200mJ/cm以上の照射量で行われることが好ましい。
本発明においては、有機膜の微小領域における配向軸分布の半値幅が1°以下であることを達成する具体的手段として、
・円盤状化合物が、カラム状集合体を形成した状態(カラムナー相)で重合させることによって固定化する方法;
・光配向膜を使用する方法;
・ディスコティックネマティック相を発現させ、その状態から降温することで欠陥なく配向させる方法;
・円盤状化合物の均一配向を保ったまま、円盤状化合物の重合性基を紫外線で重合することによって、円盤状化合物を固定化する方法;
・円盤状化合物とともに高分子マトリックスまたは多官能モノマーを併用して、欠陥の発生を抑制する方法:
があることが見いだされた。
[有機膜の用途]
本発明の有機膜は、例えば、光学異方性層として使用することができる。より具体的には、本発明の有機膜は、液晶セルを光学補償するための光学フィルムや、有機EL(有機エレクトロルミネネッセンス)表示装置に用いられる広帯域λ/4板、または、λ/2板やλ/4板の位相差板として有用である。広帯域λ/4板、または、λ/2板やλ/4板の位相差板は有機EL表示装置において偏光膜と組み合わせて反射防止板として用いることができる。さらに本発明の有機膜は有機半導体として使用することもできる。
本発明の有機膜の波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)は、用途によって好ましい範囲が異なる。
例えば、IPSモード用の光学補償フィルムとして作製する場合は、Re(550)が、10〜250nmであることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましく、115〜180nmであることが特に好ましい。
[光学フィルム]
円盤状化合物の進相軸が面内方向に配向している本発明の有機膜は、負のAプレートとして利用することができる。本発明の光学フィルムは負のAプレートになるため、IPS型やFFS型の液晶表示装置の光学補償フィルムとして好ましく用いることもできる。
本発明の光学フィルムは、波長450nm、550nmおよび650nmで測定したレタ−デーション値であるRe(450)、Re(550)およびRe(650)が下記式(1)及び(2)を満足する、負のAプレートであることが好ましく、式(1−1)及び(2−1)を満足する、負のAプレートであることがさらに好ましい。
式(1) 0.7≦Re(450)/Re(550)≦1.2
式(2) 0.8≦Re(650)/Re(550)≦1.3
式(1−1) 0.8≦Re(450)/Re(550)≦1.1
式(2−1) 0.9≦Re(650)/Re(550)≦1.2
[偏光板]
本発明は、偏光子と、本発明の有機膜とを少なくとも有する偏光板にも関する。本発明の偏光板の一態様は、偏光子の一方の表面に本発明の有機膜が積層され、他方の表面に保護フィルムが積層された偏光板である。保護フィルムについては特に制限はなく、上記した支持体として利用可能なポリマーフィルムの例から選択するのが好ましい。保護フィルムの好ましい一例は、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロースアシレートフィルムである。
偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子があり、本発明にはいずれを使用してもよい。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
[液晶表示装置]
本発明は、本発明の有機膜又は上記偏光板を含む、液晶表示装置にも関する。
一般的に、液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、有機膜が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましく、IPSモードであることがより好ましい。光配向を用いたIPSモードであることが特に好ましい。
[有機半導体]
本発明は、本発明の有機膜を含む有機半導体にも関する。本発明の有機膜は電荷移動度の高い有機半導体として使用することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[円盤状化合物の合成例]
円盤状化合物I-1およびII−1はそれぞれ特開平7−281028号公報および特開2010−244038号公報を参照に合成できる。円盤状化合物I−4は、Angew.Chem.Int.Ed.2012,51,7990に記載の方法で合成できる。
合成例1:円盤状化合物I−3の合成
2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン5.0g、ジブチルスズジラウリレート0.49gおよび3,5−ビスt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.34gをジメチルアセトアミド50mL中で0℃で攪拌し、そこにカレンズMOI−EG(昭和電工社製)を30.8g滴下する。その後、反応液を40℃まで昇温し、8時間攪拌した。室温まで降温した後、水と酢酸エチルで抽出操作を行い、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥する。硫酸ナトリウムをろ過で取り除き、有機層を濃縮し、析出した結晶をメタノールで洗浄することで円盤状化合物I−3を4.1g得た。1H−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):1.9(s,18H),3.4−3.5(t,12H),3.6−3.7(t,12H),3.7−3.8(t,12H),4.3−4.4(t,12H),3.6−3.7(t,12H),5.6(s,6H),5.8−6.0(s,6H),6.1−6.2(s,6H),8.1(s,6H)
[実施例1:有機膜1の作製]
<支持体の鹸化>
支持体として、市販されているトリアセチルセルロースフィルム「Z−TAC」(富士フイルム社製)を用いた。Z−TACを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14ml/mで塗布し、110℃に加熱し、(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、純水を3ml/m塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに10秒間搬送して乾燥し、アルカリ鹸化処理したアセチルセルロース透明支持体を作製した。
───────────────────────────────────
アルカリ溶液の組成(質量部)
───────────────────────────────────
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.8質量部
イソプロパノール 63.7質量部
界面活性剤
SF−1:C1429O(CHCHO)20H 1.0質量部
プロピレングリコール 14.8質量部
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<光配向膜の作製>
得られたトリアセチルセルロース透明支持体を用い、下記の組成の光配向膜1形成用塗布液をワイヤーバーで塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、光配向膜1を形成した。
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光配向膜1形成用塗布液の組成
───────────────────────────────────
下記光配向用素材1 1.0質量部
ブトキシエタノール 33質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 33質量部
水 33質量部
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Figure 2015197489
<光配向膜1への偏光照射>
作製した光配向膜1に、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射した。このとき、ワイヤーグリッド偏光子(Moxtek社製、ProFlux PPL02)を光配向膜の面と平行にセットして露光を行った。この際用いる紫外線の照度はUV−A領域(波長380nm〜320nmの積算)において100mW/cm、照射量はUV−A領域において1000mJ/cmとした。
<有機膜1の作製>
下記組成の有機膜形成用組成物1を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、有機膜形成用塗布液として用いた。上記、偏光照射した光配向膜1上に上記有機膜形成用塗布液を塗布し、ディスコティックネマティック液晶相状態になるまで加熱して均一配向させた後、カラムナー液晶相状態になるまで冷却した。その温度を保持したまま、100mW/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を5秒間照射して、その配向状態を固定化することで、カラム状に集合体を形成し一軸配向している円盤状化合物を含む有機膜1を形成した。有機膜1の膜厚は、1.0μmであり、Reは148nmであった。なお、円盤状化合物I−1は、ディスコティックネマティック相を発現する化合物である。
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有機膜形成用組成物1
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円盤状化合物I−1 100質量部
配向膜界面配向剤(A−1) 1.0質量部
空気界面配向剤(含フッ素ポリマーP−1) 0.3質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、BASF製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
メチルエチルケトン 400質量部
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Figure 2015197489
Figure 2015197489
[実施例2:有機膜2の作製]
実施例1において、有機膜形成用組成物1を下記有機膜形成用組成物2に変更した以外は、実施例1と同様にして、カラム状に集合体を形成し一軸配向している円盤状化合物を含む有機膜2を作製した。有機膜2の膜厚は、1.1μmであり、Reは152nmであった。
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有機膜形成用組成物2
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円盤状化合物I−1 80質量部
円盤状化合物II−1 20質量部
配向膜界面配向剤(A−1) 1.0質量部
空気界面配向剤(含フッ素ポリマーP−1) 0.3質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、BASF製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
メチルエチルケトン 400質量部
────────────────────────────────────────
[実施例3:有機膜3の作製]
実施例1において、有機膜形成用組成物1を下記有機膜形成用組成物3に変更した以外は、実施例1と同様にして、カラム状に集合体を形成し一軸配向している円盤状化合物を含む有機膜3を作製した。有機膜3の膜厚は、1.0μmであり、Reは150nmであった。
────────────────────────────────────────
有機膜形成用組成物3
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円盤状化合物I−1 80質量部
円盤状化合物I−3 20質量部
配向膜界面配向剤(A−1) 1.0質量部
空気界面配向剤(含フッ素ポリマーP−1) 0.3質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、BASF製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
メチルエチルケトン 400質量部
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[実施例4:有機膜4の作製]
実施例1において、有機膜形成用組成物1を下記有機膜形成用組成物4に変更した以外は、実施例1と同様にして、カラム状に集合体を形成し一軸配向している円盤状化合物を含む有機膜4を作製した。有機膜4の膜厚は、1.0μmであり、Reは100nmであった。
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有機膜層形成用組成物4
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円盤状化合物I−1 80質量部
円盤状化合物I−4 20質量部
配向膜界面配向剤(A−1) 1.0質量部
空気界面配向剤(含フッ素ポリマーP−1) 0.3質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、BASF製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
メチルエチルケトン 400質量部
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[比較例1:有機膜5の作製]
実施例1において、ディスコティックネマティック相で均一配向させたあと、カラムナー相まで降温することなく、そのまま100mW/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を5秒間照射して、その配向状態を固定化することで有機膜を形成した以外は実施例1と同様にして、有機膜5を作製した。有機膜5の膜厚は、1.0μmであり、Reは100nmであった。
[比較例2:有機膜6の作製]
実施例1において、光配向膜の代わりに下記の方法で作製したポリビニルアルコール(PVA)配向膜を用いた。PVA配向膜の表面をラビング処理した後、実施例1と同様にして有機膜6を作製した。有機膜6の膜厚は、1.0μmであり、Reは145nmであった。
<PVA配向膜の作製>
上記アセチルセルロース透明支持体を用い、下記の組成の配向膜A形成用塗布液を#8のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜Aを形成した。
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配向膜A形成用塗布液の組成
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配向膜用ポリマー材料 4.0質量部
(PVA103、クラレ(株)製ポリビニルアルコール)
メタノール 36質量部
水 60質量部
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[評価]
作製した有機膜のフィルムコントラスト、および微小領域における配向軸分布の半値幅を以下のように測定した。
<フィルムコントラストの測定方法>
テーブル上に、下から順に直下型蛍光管バックライト光源、上側偏光板、各試料(各有機膜1から6)、下側偏光板を各面が水平になるように設置した。この時、各試料と上側偏光板は回転可能とする。光源から出射し、上側偏光板、試料、下側偏光板と順に透過した光を垂直方向からBM−5A(TOPCON製)を用いて輝度を測定した。測定は、まず試料のない状態で上側偏光板を回転させて最も輝度が暗くなる位置に合わせる(クロスニコルの状態)。試料を挿入し、クロスニコル下で試料を回転させて最小となる輝度を測定した。次に上側偏光板と下側偏光板の2枚の偏光板を平行ニコル配置にして、試料を回転させて最大となる輝度を測定する。フィルムコントラストは、(平行ニコル下における最大輝度)/(クロスニコル下における最小輝度)で求めた。
<微小領域における配向軸分布の半値幅>
作製した各有機膜を、偏光板(ニコン製エクリプスE600POLに付属)をクロスニコルにした偏光顕微鏡(ニコン製エクリプスE600POL)を用いて、400倍の倍率でステージの角度を0.5度ずつ回転させながら、最も暗くなるステージの角度を中心に±10度の範囲でデジタルカメラで撮影した。その後、デジタルカメラ写真で撮影された直径約500μmの視野範囲における画像の回転・平行移動処理を行い、画像の位置を画素単位で正確に合わせた。その後、画素ごとに最も暗くなった角度を記録し、横軸に角度を縦軸にその角度で最も暗くなった画素数をプロットしたヒストグラムを作成し、その半値幅を求めた。
Figure 2015197489
Figure 2015197489
上記表から明らかなように、微小領域における配向軸分布の半値幅が1°以下である本発明の有機膜を用いることで、フィルムコントラストが向上することがわかった。
[偏光板の作製]
TD80UL(富士フイルム製)の支持体表面をアルカリ鹸化処理した。1.5モル/L(1.5規定)の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05モル/L(0.1規定)の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、更に100℃の温風で乾燥した。 続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光子を得た。
他方の表面に、上記で準備した光学補償膜を貼合して、偏光子を挟みこみ、TD80ULと光学補償膜が偏光子の保護フィルムとなっている偏光板を作製した。貼合には、ポリビニルアルコール系接着剤水溶液を利用した。また、貼合は、有機膜のカラム軸と偏光子の吸収軸とを平行になるように行った。
[液晶表示装置の作製]
iPad(Apple社製)の液晶セルから視認側の偏光板を剥し、IPSモードの液晶セルとして利用した。
剥がした偏光板の代わりに、上記で作製した偏光板を液晶セルに貼合し、液晶表示装置を作製した。このとき、液晶セル基板面に対して垂直な方向から観察したとき、偏光板の吸収軸と、液晶セル内の液晶層の光軸とが垂直な方向になるように貼りあわせた。

Claims (24)

  1. 円盤状化合物を含む有機膜であって、前記円盤状化合物がカラム状集合体を形成した状態で固定化され、かつ一軸配向しており、前記有機膜の微小領域における配カラム状集合体向軸分布の半値幅が1°以下である有機膜。
  2. 前記円盤状化合物の進相軸が面内方向に配向している、請求項1に記載の有機膜。
  3. 前記円盤状化合物が光配向膜上で配向している、請求項1または2に記載の有機膜。
  4. 前記円盤状化合物が非水溶性である、請求項1から3のいずれか1項に記載の有機膜。
  5. 前記有機膜が、少なくとも2種以上の円盤状化合物を含み、そのうち少なくとも1種はディスコティックネマティック相を発現する化合物である、請求項1から4のいずれか1項に記載の有機膜。
  6. 前記円盤状化合物が実質的に無色である、請求項1から5のいずれか1項に記載の有機膜。
  7. クロロホルム中で測定した吸収スペクトルのλmaxが277nm以下である円盤状化合物を少なくとも1種以上含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の有機膜。
  8. 前記円盤状化合物として下記一般式(I)で表される化合物を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の有機膜;
    Figure 2015197489
    式中、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に*−X11−L11−P11または*−X12−Y12を表し、*はトリフェニレン環との結合を表し、X11およびX12はそれぞれ独立に、−O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NH−、−OC(=O)S−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)S−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−、−S−、―SC(=O)−、−SC(=O)O−、−SC(=O)NH−、または―SC(=O)S−を表し、L11は2価の連結基または単結合を表し、P11は重合性基を表し、Y12は高分子化に寄与しない置換基を表す。
  9. 前記円盤状化合物として下記一般式(II)で表される化合物を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の有機膜;
    Figure 2015197489
    式中、A、AおよびAはそれぞれ独立に−CH=または−N=を表し、R、R、及びRはそれぞれ独立に、*−X211−(Z21−X212n21−L21−P21または*−X211−(Z22−X222n22−Y22を表し、*は中心環との結合を表し、X211、X212、X221およびX222はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NH−、−OC(=O)S−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)S−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−、−S−、−SC(=O)−、−SC(=O)O−、−SC(=O)NH−、または−SC(=O)S−を表し、Z21およびZ22はそれぞれ独立に、5員環もしくは6員環の芳香族基、または5員環もしくは6員環の非芳香族基を表し、L21は、X212とP21を連結する2価の連結基もしくは単結合を表し、P21は重合性基を表し、Y22は高分子化に寄与しない置換基を表し、n21およびn22はそれぞれ独立に、0〜3の整数を表し、n21およびn22が2の場合の複数個あるZ21−X212およびZ22−X222は同一でも異なっていてもよい。
  10. 前記有機膜が、含フッ素ポリマーを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の有機膜。
  11. 前記有機膜が、高分子マトリックスを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の有機膜。
  12. 支持体上に、円盤状化合物を含む組成物を塗布し、前記円盤状化合物を一軸配向させ、カラム状集合体を形成した状態で固定化することによって製造される、有機膜の微小領域における配向軸分布の半値幅が1°以下である有機膜。
  13. 前記支持体の塗布面に光配向膜を有する、請求項12に記載の有機膜。
  14. 前記円盤状化合物を含む組成物がある温度領域でディスコティックネマティック相を発現し、その温度で円盤状化合物を一軸配向させた後に、カラムナー相を発現する温度領域まで降温し、その後固定化する、請求項12又は13に記載の有機膜。
  15. 前記固定化が、UV照射による重合反応である、請求項12から14の何れか1項に記載の有機膜。
  16. 支持体上に、円盤状化合物を含む組成物を塗布する工程、および前記円盤状化合物を一軸配向させ、カラム状集合体を形成した状態で固定化する工程を含む、請求項1から15の何れか1項に記載の有機膜の製造方法。
  17. 円盤状化合物を含む組成物が、高分子マトリックスを形成しうる高分子、または高分子マトリックスを形成しうる高分子の前駆体となる多官能モノマーを含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記支持体の塗布面に光配向膜を有する、請求項16又は17に記載の方法。
  19. 前記円盤状化合物を含む組成物がある温度領域でディスコティックネマティック相を発現し、その温度で円盤状化合物を一軸配向させた後に、カラムナー相を発現する温度領域まで降温し、その後固定化する、請求項16から18の何れか1項に記載の方法。
  20. 前記固定化が、UV照射による重合反応である、請求項16から19の何れか1項に記載の方法。
  21. 請求項1から15のいずれか1項に記載の有機膜を含む光学フィルムであって、前記円盤状化合物の進相軸が面内方向に配向しており、負のAプレートとして使用される光学フィルム。
  22. 請求項1から15のいずれか1項に記載の有機膜を含む有機半導体。
  23. 請求項1から15のいずれか1項に記載の有機膜と偏光子とを有する偏光板。
  24. 請求項1から15のいずれか1項に記載の有機膜または請求項23に記載の偏光膜を有する液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018190361A1 (ja) * 2017-04-11 2018-10-18 富士フイルム株式会社 有機膜の製造方法、有機膜および液晶組成物
WO2022210850A1 (ja) * 2021-03-30 2022-10-06 富士フイルム株式会社 指紋認証センサーおよび光学素子

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