JP2015197303A - 金属粉末表面の評価方法及びニッケル粉末 - Google Patents

金属粉末表面の評価方法及びニッケル粉末 Download PDF

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【課題】金属粉末表面の反応性を評価する。【解決手段】酸を含む非水溶媒に金属粉末を添加し、金属粉末表面の塩基を非水溶媒溶液中の酸で中和し、中和によって消費した酸量を中和滴定法により検出して、金属粉末の単位表面積当たり、または単位質量当たりの塩基のモル数から、金属粉末表面における有機化合物の分解反応の反応性を評価する。【選択図】なし

Description

本発明は、金属粉末表面と有機化合物との反応性について評価する金属粉末表面の評価方法及びその評価方法の対象となるニッケル粉末に関する。さらに詳しくは、本発明は、金属粉末の表面での有機化合物との反応特性を、表面の塩基を酸で中和滴定し、その塩基度から求める金属粉末表面の評価方法に関する。
銅、ニッケル、銀といった金属を含むペーストは、電子部品の配線材や電極の用途に用いられており、基材が溶液に触れるめっき法にはない特徴を生かすことができる。一般的に金属ペーストは、溶剤、有機樹脂、金属粉末からなる。金属ペーストは、印刷して膜を形成した後に乾燥して溶剤を揮発させ、更に焼結工程により樹脂の分解反応や金属粉末同士の焼結反応を経て配線あるいは電極を形成することができる。このように作製された配線材や電極は電子部品全般に用いられている。
近年、携帯電話やデジタル機器の普及によりこれらの電子機器では、年々、使用される電子部品の軽薄短小化が進んでおり、それに応じて要求事項も年々高度化されている。例えばフィルム上に配線を形成する事例では、フィルム材質等の違いにより、従来よりも低温での加工処理が求められ、ペーストを低温で焼結させる必要が生じている。また、金属ペーストは、形成した電極層が薄くあるいは細くなることで強度が下がり、ペーストを焼結させる際に発生する分解ガスによる割れ、断線の影響を抑えることが求められている。
この両者は相反する場合があるが、目的に応じて金属ペーストに含まれる樹脂を低温で分解させる、あるいは、より高温で穏やかに分解させるように金属ペーストの組成や特性を変えることになる。この特性の一つに、金属が持つ表面反応作用がある。金属ペーストを構成する金属粉末の表面反応性により、含有する有機樹脂の分解を促進したり、または樹脂の分解反応に寄与しない場合がある。したがって、金属粉末表面の反応性を如何に制御するのかが金属ペーストに求められる重要な特性となる。
一般に、金属表面の状態を評価する方法には、X線光電子分光法(XPS)が知られている。この方法は、表面にX線を照射し、発生した光電子の運動エネルギーから表面の化合物形態を知ることができる。この手法を用いると、例えば金属粉末表面の元素の形態が金属状、金属酸化物等の化合物であるのかを判別することが可能となる。
例えば特許文献1には、XPSによるニッケル粉末表面層のニッケルの化学結合状態の解析において、Ni2pスペクトルピーク全体に対するニッケルと水酸基の結合状態に帰属されるピークの面積比が60%以下となるように制御されたニッケル粉末が開示されている。この特許文献1によれば、ニッケル粉末の表面に水酸基が多く結合している場合、焼成初期の比較的低温の段階で水酸基が分解することによって極めて活性の高い微細な酸化ニッケルが生成し、その触媒作用により樹脂は一層激しく燃焼すると推定されるとしている。
特開2007−157563号公報
特定の金属粉末表面の反応性を評価するのにあたり、XPSで評価できる表面の化合物形態をそのまま反応性に反映することが難しい場合がある。それは、XPSは最表面の元素の化合物形態を評価する手法であり、その化合物形態の面方向の分布が分からないことや光電子の運動エネルギーが近い化合物形態では判別が難しいことに起因するためである。化合物形態の面方向の分布が分からないため、金属表面と樹脂等の有機化合物との反応性の強弱を判別するには不十分であった。
また実際の反応において、例えば樹脂の分解反応は、樹脂への求電子反応または求核反応が関与しており、それぞれ反応中間体を経由して分解が進行するものと考えられる。これらの分解挙動は、ラジカル反応も伴って複雑な反応となり、最終的には分解生成物が低分子となる。しかしながら、金属ペーストの焼結反応においては、この分解生成物が揮発除去されることが望ましく、分解生成物あるいは未分解物が残留することは、導電性など金属としての特性を失うために好ましくない。これら分解生成物や未分解物については、XPSによる方法では評価できない項目である。
上述したように、樹脂等の有機化合物の分解に対する金属粉末表面の反応性を評価するために金属ペーストを用いて評価することが望ましいが、金属ペースト作製や評価には時間および労力がかかり、日常の品質管理や開発、改善の妨げとなっていた。
そこで、本発明は、金属ペーストを作製して評価することなく、金属粉末表面における樹脂等の有機化合物の分解反応の反応性を短時間でかつ簡単な操作で評価することができる金属粉末表面の評価方法及びその評価方法の対象となるニッケル粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、金属粉末表面における有機化合物の分解反応の反応性を評価する方法について鋭意研究を重ねた結果、金属粉末表面の反応性と、金属粉末の塩基度との間に相関があり、その塩基度を非水溶媒中の中和滴定法により求めることを見出した。
すなわち、本発明に係る金属粉末表面の評価方法は、酸を含む非水溶媒に金属粉末を添加し、金属粉末表面の塩基を非水溶媒中の酸で中和し、中和によって消費した酸量を滴定法により検出して、金属粉末の単位表面積当たり、または単位質量当たりの塩基のモル数から、金属粉末表面における有機化合物の分解反応の反応性を評価することを特徴とする。
また、本発明に係るニッケル粉末は、単位表面積当りの塩基のモル数である塩基度が0.12μmol/m以下であり、平均粒径が0.01μm〜0.5μmであることを特徴とする。
本発明によれば、酸を含む非水溶媒に金属粉末を分散させ、中和滴定法で求めた金属粉末の塩基度により、金属粉末表面における有機化合物の分解反応の反応性を評価することができる。本発明では、金属粉末をペーストにしてから評価する必要はなく、短時間でかつ簡単な操作で実施できるため、金属粉末の日常の品質管理や開発、改善に極めて有用である。
実験例1〜3で作製したニッケル粉末の単位表面当りの塩基度と、エチルセルロースの最大分解温度との間に相関関係があることを示すグラフである。 実験例1〜3で作製したニッケル粉末の単位質量当りの塩基度と、エチルセルロースの最大分解温度との間に相関関係があることを示すグラフである。
以下に、本発明を適用した金属粉末表面の評価方法及びニッケル粉末について説明する。なお、本発明は、特に限定がない限り、以下の詳細な説明に限定されるものではない。
金属粉末は、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極層等の電子部品の配線材や電極に用いられるものである。積層セラミックスコンデンサの内部電極層に使用する場合には、脱バインダ処理の際に、樹脂の分解を抑制し、更には分解の促進を抑制できる程度の金属粉末表面の反応性とする必要がある。したがって、金属粉末において、樹脂の分解を抑制できる反応性を定量化し、それを基準とすることでその基準以下であれば樹脂の分解を抑えることができる。即ち、予め、樹脂の分解が抑えられる金属粉末表面の反応性を評価できれば、樹脂分解性を測定するためにペースト化する必要がなくなり、金属粉末表面の反応性を評価する時間を短縮することができる。
金属表面における樹脂などの有機化合物の分解反応は、反応中間体を経由して分解が進行する。分解反応の駆動力は、表面自由エネルギー以外に、求核置換反応や求電子置換反応が関与している。
金属表面において分解反応が進行する場合には、求核置換反応であれば金属表面の塩基度が、求電子置換反応であれば金属表面の酸度が影響しており、塩基度あるいは酸度が高い方が分解の反応性も高くなる。
このような有機化合物の分解反応では、金属表面の塩基から電子が、または酸からは電荷が供与されて一旦反応中間体が形成される。そして、反応中間体の中で電子や電荷が移動し、反応中間体が変異して脱離し、次の有機化合物との反応に移行することで、金属表面での触媒作用を発現することになる。しかしながら、反応中間体と金属表面との相互作用が強い場合には、電子や電荷は脱離できず、反応が止まり、金属表面は触媒として作用しなくなる。
金属表面の塩基度が高い(反応に寄与する箇所の個数が多い)ほど、酸性の化合物との反応性が高い関係がある。特に、金属粉末で見られる金属表面と有機化合物との分解反応においては、その分解反応性と金属粉末表面の塩基度との間には相関関係があることを見出した。塩基度の強さは、酸による滴定量に比例している。したがって、塩基度の高さを分析することにより、金属表面と有機化合物、すなわち樹脂との分解反応性を、金属ペーストを作製することなく、評価することが可能となる。
具体的に、本発明を適用した金属粉末表面の評価方法は、金属粉末を量りとり、一定量の酸を含む非水溶媒と混合させて中和する。そして、金属粉末の評価方法では、固液分離したのちに、中和されずに上澄み中に残った酸量を塩基による中和滴定法により求め、添加した酸量から残った酸量を差引いて金属粉末表面で消費した酸の量を求める。金属粉末の評価方法は、消費した酸のモル量を金属粉末表面の塩基のモル量とし、単位表面積当たりまたは単位質量当たりの塩基度を求める。
ここで、金属粉末とは、電子部品の配線や電極に用いられる金属であり、金属状の形態が90質量%以上を占める粉末が好ましい。金属粉末としては、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、アルミニウムのうち、1元素以上の金属又は2元素以上を含む合金から構成されているのが好ましい。これらの元素は、電子部品の配線や電極を形成する金属粉末として使用されることが多く、金属表面と有機化合物との反応性を評価するにあたって有用である。この金属粉末は、金属状の形態のものが90質量%以上を占めていればよく、例えばその金属の表面に、構成している元素の化合物や別の化合物が被覆、付着していたとしてもかまわない。また、金属粉末中には、金属状の形態の金属の他に、金属酸化物や金属水酸化物が含まれていてもよい。金属粉末の量は、使用装置および塩基度に依存するが、0.1gから10gである。
非水溶媒に添加する酸は、非水溶媒中でも作用する酸が適当であり、特に過塩素酸、ジクロロ酢酸、酢酸が適当である。酸の添加量は、金属粉末の塩基量よりも多くする必要があり、酸量を0.1mmol〜1mmolの範囲にすると精度良く測定ができる。
溶媒は、非水溶媒であり、酸の溶解性があることや金属粉末表面と濡れることが必要であり、例えばメチルイソブチルケトン、ベンゼン、メタノールが挙げられる。
金属粉末と酸を含む非水溶媒の混合には、撹拌、超音波によって金属表面に酸を作用させる手法であれば方法は特に限定されない。
固液分離は、遠心分離法、ろ過法を挙げることができ、方法は特に限定されない。固液分離では、金属粉末が残留して、金属粉末と滴定液が反応して正確な値を示さない可能性があるため、金属粉末が上澄み液(ろ液)中に含まれないように固液分離方法を調整することが好ましい。
固液分離した後は、金属表面で消費されなかった酸量を塩基で逆滴定を行い、添加した酸量から消費されなかった酸量を差引いて金属粉体表面で消費された酸量を求める。逆滴定には、例えば水酸化テトラブチルアンモニウム、トリエチルアミン、ピリジン、カルシウムメトキシドの塩基を非水溶媒に溶解して滴定液とする。その濃度は十分検出できれば良く、0.1mmol〜10mmolが適切である。
金属粉末表面の評価方法は、金属表面における樹脂に代表される有機化合物の分解反応の反応性を代替して評価することを目的としているため、有機化合物としては分子量が1000以上の高分子化合物を対象とする。ただし、分子量が1000未満の有機化合物の分解反応性を上述した金属粉末の評価方法により評価することは妨げないが、分子量が小さくなるほど金属粉体表面での吸着性が下がり金属表面の触媒作用の影響が限定的になるため、本発明の効果は乏しくなる。
金属粉末は、表面における樹脂等の有機化合物の分解反応を低下させるために、表面の反応性を低下させる処理が施されるのが一般的である。その処理方法を例示すると、金属粉末を硫黄含有物質、珪素含有物質、チタン含有物質のうち1種以上を溶解させた溶液に添加して表面被覆処理を施す。または、硫黄含有物質、珪素含有物質、チタン含有物質のうち1種以上を含む蒸気、ガスを金属粉末の表面に接触させて表面被覆処理を施す。更には、酸化もしくは還元雰囲気下に金属粉末を晒し、金属粉末表面の酸化状態を制御する等が挙げられる。
以上のような金属粉末表面の評価方法は、金属粉末の塩基度と有機化合物の分解反応との間に相関関係があることを見出し、酸を含む非水溶媒に金属粉末を添加し混合して、金属粉末表面の塩基を酸で中和し、中和によって消費した酸量を中和滴定法で求める。そして、この金属粉末表面の評価方法では、金属粉末の単位表面積当たり、または単位質量当たりの塩基のモル数から、金属粉末表面における有機化合物の分解反応の反応性を評価することができる。金属粉末表面の評価方法では、塩基のモル数が高い、即ち塩基度が高いと有機化合物と反応する箇所が多く、金属粉末表面における有機化合物の分解反応性が高いと評価できる。
したがって、金属粉末表面の評価方法では、金属粉末を含むペーストとしなくても、金属粉末のみで表面における有機化合物の分解反応の反応性を評価することができるため、日常の品質管理や開発、改善の促進に極めて有用である。
上述した金属粉末表面における有機化合物の分解反応の反応性の評価をニッケル粉末に適用すれば、配線材や電極の作製に好適なニッケル粉末を容易に得ることができる。
例えば、樹脂の代表例であるエチルセルロースの分解に関連して説明すると、熱重量測定においてエチルセルロース単独の分解速度が最大を示す温度(以下、エチルセルロース最大分解温度ともいう)は、測定条件により多少前後するが355℃程度である。しかしながら、ニッケル粉末と共存下でエチルセルロース最大分解温度を測定すると低下することがあり、低下量が小さいほど、金属粉末表面における樹脂の分解反応の反応性が低く良好である。
配線材や電極の割れや断線を防止するためには、エチルセルロース最大分解温度がエチルセルロース単独で測定した値より下に40℃以内であることが必要であり、これを単位表面積当り塩基量に当てはめると、0.12μmol/m以下となる。したがって、ニッケル粉末において、単位表面積当り塩基量が0.12μmol/m以下となるように、ニッケル粉末の表面を処理すればよいことがわかる。
したがって、ペーストを作製してエチルセルロースの分解反応を試すことなく、配線材や電極の割れや断線を防止するために必要な表面処理の手段や条件を決めることができる。このように、この金属粉末の評価方法を適用すれば、操作が容易であり、また金属粉末のみで評価可能であるため樹脂と共存させたり、ペーストにする必要はなく、短時間で判断可能である。ニッケル粉末の平均粒径は、配線材や電極に用いるためには、0.01μm〜0.5μmの範囲であることが好ましい。
なお、金属粉末の評価方法は、ニッケル粉末に限定されず、上述したように亜鉛、銅、コバルト、アルミニウム等の金属についても同様に適用でき、樹脂等の有機化合物の分解反応を抑え、それぞれの使用目的における不具合が発生しない塩基量を評価し、算出することができる。
以下、本発明を適用した実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、実験例で用いたニッケル粉末の平均粒径、ニッケル粉末の硫黄含有量、ニッケル粉末の比表面積、ニッケル粉末の塩基度測定、およびニッケル粉末表面における樹脂の分解反応の反応性の評価方法は、以下の通りである。
(1)ニッケル粉末の平均粒径
走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−5510)を用いて、倍率20,000倍の写真(縦19.2μm×横25.6μmの範囲に相当)を撮影し、写真中の粒子形状の全様が見える粒子の面積を測定し、面積から各粒子の直径を求め、その平均値により定めた。
(2)ニッケル粉末の硫黄含有量
炭素、硫黄同時分析装置(LECO社製、CS−600)を用いて、ニッケル粉末の硫黄濃度を測定した。
(3)ニッケル粉末の比表面積
多検体比表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製マルチソープ)を用いてBET法で比表面積を求めた。
(4)ニッケル粉末の塩基度測定
ニッケル粉末2gを30mlの0.01M(mol/L)酢酸のメチルイソブチルケトン溶液に浸し、20℃で1時間超音波分散した後に、上澄み液10mlを採取してメチルイソブチルケトンとメタノールが4:1の混合液で希釈した。0.1Mカリウムメトキシド/ベンゼンメタノール溶液をメチルイソブチルケトンとメタノールが4:1の混合液で希釈し、上澄み液中に残っている酸量を中和滴定法により求め、粉末表面の塩基との中和にて消費した酸量を算出し、その酸量を塩基量として求めた。この塩基量より単位表面積当りの塩基度と単位質量当りの塩基度を求めた。滴定には自動滴定装置(平沼産業株式会社製COM−2500)を用いた。
(5)エチルセルロースの分解温度
ニッケル粉末表面における樹脂の分解反応の反応性の評価として、ニッケル粉末と混合させたエチルセルロースの分解温度を測定した。すなわち、有機バインダであるエチルセルロースをニッケル粉末に対して5質量%物理混合した混合物と、ニッケル粉末のみを、それぞれ熱重量測定装置(ネッチジャパン社製、2000SA)を用いて、窒素ガス中、5℃/分の昇温速度で重量変化を測定した。
その後、エチルセルロースとニッケル粉末を混合したニッケル粉末の重量変化からニッケル粉末のみの重量変化を引き去り、ニッケル粉末中のエチルセルロースの重量変化を求めた。
さらに、ニッケル粉末の触媒活性の評価として、エチルセルロースの重量変化を温度で一次微分して、エチルセルロース分解速度を求めた。エチルセルロースの分解速度が最大を示す温度を、エチルセルロース最大分解温度とした。
[実験例1]
実験例1では、湿式反応にて得られた平均粒径0.2μmのニッケル粉末に、一硫化水素ナトリウムを溶解させた水溶液を用いて表面処理を行った。得られたニッケル粉末の硫黄含有量を測定すると0.3質量%であった。その後、得られたニッケル粉末の比表面積、塩基度、エチルセルロース最大分解温度を評価した。結果を表1に示す。
[実験例2]
実験例2では、表面処理に用いた一硫化水素ナトリウムの濃度を変更した以外は、実験例1と同様の反応にて、ニッケル粉末に対して0.2質量%の硫黄を含有させた。その後、実験例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実験例3]
実験例3では、表面処理に用いた一硫化水素ナトリウムの濃度を変更した以外は、実験例1と同様の反応にて、ニッケル粉末に対して0.05質量%の硫黄を含有させた。その後、実験例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。




Figure 2015197303
表1に示す結果から、図1にエチルセルロースの最大分解温度と、単位表面積あたりの塩基度との関係性を表し、図2にエチルセルロースの最大分解温度と、単位質量当りの塩基度との関係性を表した。図1及び図2より、ニッケル粉末表面における樹脂の分解反応の反応性の指標であるエチルセルロース最大分解温度と、単位面積当たりまたは単位質量当りの塩基度は相関関係にあることが分かる。したがって、金属粉末の塩基度を評価することで、ニッケル粉末表面における樹脂の分解反応の反応性を評価することができる。
さらに、別途、同一の熱重量測定装置、同一の条件を用いてエチルセルロース単独でエチルセルロース最大分解温度を測定すると355℃であった。その温度より40℃低い315℃でエチルセルロース最大分解温度となる条件を単位表面積あたりの塩基度で求めると、0.12μmol/mであり、最大分解温度が355℃よりも下に40℃以内とするには、0.12μmol/m以下であることが図1より分かり、単位質量当たりの塩基度は0.50μmol/g以下であることが図2より分かり、実験例1および実験例2のニッケル粉末は、配線材や電極の作製に用いるのに好適であることが分かる。

Claims (7)

  1. 酸を含む非水溶媒に金属粉末を添加し、該金属粉末表面の塩基を該非水溶媒中の酸で中和し、中和によって消費した酸量を滴定法により検出して、該金属粉末の単位表面積当たり、または単位質量当たりの塩基のモル数から、該金属粉末表面における有機化合物の分解反応の反応性を評価することを特徴とする金属粉末表面の評価方法。
  2. 前記中和後に固液分離を行い、中和によって消費した酸量を滴定法により検出することを特徴とする請求項1に記載の金属粉末表面の評価方法。
  3. 前記酸は、過塩素酸、酢酸、ジクロロ酢酸のうち1種以上を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属粉末表面の評価方法。
  4. 前記酸の量は、0.1mmol〜1mmolであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属粉末表面の評価方法。
  5. 前記非水溶媒は、メチルイソブチルケトン、メタノール、ベンゼンのうち1種以上を含む溶媒であって、前記金属粉末を前記非水溶媒の中で分散させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属粉末表面の評価方法。
  6. 前記金属粉末は、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、アルミニウムのうち1種以上を含み、それらの含有量の合計が90質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の金属粉末表面の評価方法。
  7. 単位表面積当りの塩基のモル数である塩基度が0.12μmol/m以下であり、平均粒径が0.01μm〜0.5μmであることを特徴とするニッケル粉末。
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