JP2015196423A - サスペンション制御装置 - Google Patents

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紀章 板垣
Noriaki Itagaki
紀章 板垣
智博 木下
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智博 木下
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Abstract

【課題】 製造コストの低減が可能なサスペンション制御装置を提供する。
【解決手段】 コントローラ10には、ばね上加速度a2g、ロールレイトωrおよびピッチレイトωpを検出する複合センサ8を取り付ける。コントローラ10は、積分器12によってばね上加速度a2gからばね上速度v2gを算出し、各輪ばね上速度推定部13によってばね上速度v2gから各車輪2ijのばね上速度v2ijを算出する。コントローラ10は、GSH∞制御器15によってばね上速度v2ijに基づいて目標減衰力uijを演算し、オブザーバ17によって、ばね上加速度a2g、ロールレイトωrおよびピッチレイトωpに基づいて、推定ピストン速度vpijを演算する。コントローラ10の減衰力マップ18は、目標減衰力uijと推定ピストン速度vpijとに基づいて、指令電流iijを出力する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば自動車等の車両に搭載され、車両の振動を制御するサスペンション制御装置に関する。
一般に、自動車等の車両に搭載されたサスペンション制御装置として、車体と各車軸との間に介装されて減衰力を調整可能な減衰力調整式緩衝器と、減衰力調整式緩衝器による減衰特性を制御する制御装置とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−216508号公報
ところで、車両の制振を行うときには、ばね上速度をフィードバック信号に用いることが多い。ばね上速度は、各輪に取付けられた加速度センサによってばね上加速度を検出すると共に、このばね上加速度を積分することによって求めている。この場合、車輪毎に加速度センサ用の取付けスペースを確保する必要があると共に、加速度センサと制御装置との間を接続するためのハーネス(信号ケーブル)が必要になる。これに加えて、ハーネス断線に対するフェースセーフ機能も付加する必要があり、製造コストが嵩む傾向がある。
一方、特許文献1には、ばね上加速度推定装置を設けることによって、2個の加速度センサによって4輪のばね上速度を検出する構成が開示されている。しかしながら、この場合でも、複数個所に設けられた加速度センサと制御装置との間をハーネスによって接続するのに加え、ハーネスの断線を考慮する必要があり、製造コストが増加し易いという問題がある。
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、製造コストの低減が可能なサスペンション制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、車体と車輪との間に介装されて外部からの指令により減衰特性が変化する減衰力調整式緩衝器と、前記減衰特性を制御する制御装置とからなるサスペンション制御装置であって、前記制御装置は、前記車体の任意の位置に設定される第1点のばね上加速度、ロールレイトおよびピッチレイトを検出可能な車体挙動検出手段と、前記車体挙動検出手段により検出した前記ばね上加速度を積分してばね上速度を算出するばね上速度算出手段と、前記ばね上速度と、前記ロールレイトと、前記ピッチレイトとに基づいて、各車輪のばね上速度を推定する各輪ばね上速度推定手段とを有することを特徴としている。
本発明によれば、製造コストを低減することができる。
本発明の実施の形態によるサスペンション制御装置が適用された4輪自動車を示す斜視図である。 本発明の実施の形態によるサスペンション制御装置を示すブロック図である。 オブザーバの設計に用いる車両モデルを示す説明図である。 うねり路を80km/hで走行したときのピストン速度の時間変化を示す特性線図である。 うねり路を60km/hで走行したときのピストン速度の時間変化を示す特性線図である。 実際のピストン速度と推定ピストン速度との間のコヒーレンスの周波数特性を示す特性線図である。 ばね上加速度のパワースペクトラム密度の周波数特性を示す特性線図である。 運転席フロアでの上下加速度のパワースペクトラム密度の周波数特性を示す特性線図である。 (a)はフワフワ感領域とヒョコヒョコ感領域との間の上下加速度の二乗平均平方根の関係を示し、(b)は前後加速度の二乗平均平方根と左右加速度の二乗平均平方根の関係を示す説明図である。 ばね上速度の時間変化を示す特性線図である。
以下、本発明の実施の形態によるサスペンション制御装置を例えば4輪自動車に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
なお、説明の煩雑化を避けるために、前,後を示す添字iと左,右を示す添字jとを符号に付して説明する。前,後を総称するときには添字iはそのままとし、前側を示すときには添字iはFとし、後側を示すときには添字iはRとする。また、左,右を総称するときには添字jはそのままとし、左側を示すときには添字jはLとし、右側を示すときには添字jはRとする。従って、右前(FR)、左前(FL)、右後(RR)、左後(RL)を総称するときには符号に添字ijを付して説明する。また、使用する記号の一覧は、以下の表1に示す通りである。
Figure 2015196423
図1は本発明の実施の形態によるサスペンション制御装置が適用された4輪自動車を示している。車体1は車両のボディを構成する。車体1の下側には、前,後,左,右の車輪2ij(左前輪2FL、右前輪2FR、左後輪2RL、左後輪2RR)が設けられ、この車輪2ijはタイヤ3ijを含んで構成されている。このとき、タイヤ3ijは、路面の細かい凹凸を吸収するばねとして作用する。
サスペンション装置4ijは、車体1と車輪2ijとの間に介装して設けられる。このサスペンション装置4ijは、懸架ばね5ij(以下、ばね5ijという)と、ばね5ijと並列になって車体1と車輪2ijとの間に設けられた減衰力調整式緩衝器(以下、ダンパ6ijという)とにより構成されている。
ここで、サスペンション装置4ijのダンパ6ijは、例えばセミアクティブダンパ等の減衰力調整式の油圧緩衝器を用いて構成される。このダンパ6ijには、発生減衰力の特性(減衰力特性)をハードな特性(硬特性)からソフトな特性(軟特性)に調整するため、減衰力調整バルブ等からなるアクチュエータ7が付設されている。
また、ダンパ6ijは、車体1と車輪2ij間の相対速度に応じた推定ピストン速度vpijおよび目標減衰力uijに応じてその減衰力特性が調整される。そして、ダンパ6ijは、後述するGSH∞制御器15から出力される目標減衰力uijに応じた減衰力(実減衰力Fuij)を発生させる。
複合センサ8は、所謂ばね上側となる車体1に設けられ、車体1の挙動を検出する車体挙動検出手段を構成している。この複合センサ8は、車体1の任意の位置に設定される第1点の上下方向のばね上加速度a2gと、ロール方向の角速度であるロールレイトωr(ωr=dθr/dt)と、ピッチ方向の角速度であるピッチレイトωp(ωp=dθp/dt)とを検出し、その検出信号を後述のコントローラ10に出力する。複合センサ8は、例えばコントローラ10に取り付けられる。このため、コントローラ10の位置が複合センサ8の位置となるから、コントローラ10の取付け位置を予め把握しておくことによって、車両運動を把握することができる。即ち、ばね上である車体1を剛体と考えれば、車体1の任意の1箇所で検出されたばね上加速度a2gと、ロールレイトωrと、ピッチレイトωpとに基づいて、各輪のばね上上下絶対速度(ばね上速度v2ij)を幾何学的に算出することができる。
なお、車体1の第1点としては、例えば車体1の重心位置でもよく、重心以外の位置でもよい。また、複合センサ8は、ハーネスが不要になる範囲であれば、必ずしもコントローラ10に直接的に取り付ける必要はなく、例えばコントローラ10のケーシング等に取り付けてもよい。
CAN9(Controller Area Network)は、コントローラ10に接続され、車輪2ijの回転速度(車輪速ωw)と、車両の速度である車速vvとを含む各種の車両情報を伝送する。これにより、コントローラ10は、CAN9を通じて車輪速ωw(ωw=dθw/dt)と車速vvの情報を得ることができる。
コントローラ10は、マイクロコンピュータ等からなり、前述した複合センサ8と共に制御装置を構成している。コントローラ10は、バッテリ11から供給される電力によって駆動し、その入力側が複合センサ8、CAN9等に接続され、出力側がダンパ6ijのアクチュエータ7等に接続されている。
図2に示すように、コントローラ10は、ばね上加速度a2gを積分してばね上速度v2gを算出するばね上速度算出手段としての積分器12と、ばね上速度v2g、ロールレイトωrおよびピッチレイトωpに基づいて各車輪2ijのばね上速度v2ijを推定する各輪ばね上速度推定部13(各輪ばね上速度推定手段)とを有する。
積分器12は、複合センサ8から出力されるばね上加速度a2gの検出信号を積分することによって、複合センサ8の位置におけるばね上速度v2gを算出する。各輪ばね上速度推定部13は、ばね上速度v2g、ロールレイトωrおよびピッチレイトωpと、複合センサ8および各車輪2ijの位置情報とに基づいて、車体運動として、各車輪2ijの位置における車体1のばね上速度v2ijを算出する。このため、複合センサ8、積分器12および各輪ばね上速度推定部13は、車体1の運動を検出する運動検出手段を構成し、フィードバック信号としてのばね上速度v2ijを出力する。
また、コントローラ10は、後述するスケジューリングパラメータ演算器14(以下、SP演算器14という)と、フィードバック制御器となるゲインスケジュールドH∞制御器15(以下、GSH∞制御器15という)と、信号抽出演算器16と、オブザーバ17と、減衰力マップ18とを有している。
SP演算器14は、複合センサ8によって検出されたばね上加速度a2g、ロールレイトωrおよびピッチレイトωpに基づいて路面状態に応じたパラメータpiを算出する変動パラメータ算出手段を構成し、変動パラメータとしてのスケジューリングパラメータpi(以下、パラメータpiという)を演算する。このSP演算器14は、ばね上加速度a2g、ロールレイトωrおよびピッチレイトωpに基づいてばね上共振成分およびロール共振成分を取り出し、これらの共振成分に応じたパラメータpiを算出する。
SP演算器14は、例えば特開2011−240824号公報に開示されたものと同様に構成される。このため、SP演算器14は、バウンスレイトBRに基づく第1のパラメータpbiと、ピッチレイトPRに基づく第2のパラメータppiと、ロールレイトRRに基づく第3のパラメータpriとをそれぞれ演算し、これら第1〜第3のパラメータpbi,ppi,priのうち最大値を抽出し、この最大値をパラメータpiとして出力する。
GSH∞制御器15は、例えば特開2011−240824号公報に開示されたものと同様に構成される。このため、GSH∞制御器15は、各輪ばね上速度推定部13から出力されるばね上速度v2ijと、SP演算器14から出力されるパラメータpiとに基づいて、制御器出力となる目標減衰力uijを演算する。具体的には、GSH∞制御器15は、ばね上共振とロール共振に近い周波数成分に対しては利得が大きく、これら以外の周波数成分に対しては利得が小さくなるような周波数特性をもった目標減衰力uijを出力する。
また、GSH∞制御器15は、パラメータpiが最大値(pi=1)に近付くに従って目標減衰力uijの利得を上昇させ、最小値(pi=0)に近付くに従って目標減衰力uijの利得を低下させる。即ち、GSH∞制御器15は、ばね上共振付近やロール共振付近の振幅が大きいときには利得を上げてダンパ6ijの減衰力をハード特性側にし、ばね上共振付近やロール共振付近の振幅が小さいときには利得を下げてダンパ6ijの減衰力をソフト特性側にする。これにより、GSH∞制御器15は、ばね上の振幅の大きさに応じて利得を調整し、フワフワ感とヒョコヒョコ感の抑制を両立させると共に、左右の振られ感の低減を図っている。
信号抽出演算器16は、例えば特開2009−241813号公報に開示された相対変位抽出部と同様に構成される。このため、信号抽出演算器16は、CAN9から得られた車輪速ωwおよび車速vvに基づいて、車輪2ijの中心(車軸)と路面との間の相対変位(車軸路面間の相対変位)であるタイヤ−路面間変位(z1ij−z0ij)を抽出する。なお、車速vvは、車輪2ijの回転速度である車輪速ωwに基づいて推定することができる。このため、信号抽出演算器16には、少なくとも車輪速ωwが入力されるようにすればよい。
オブザーバ17は、例えばカルマンフィルタによって構成され、ダンパ6ijの非線形ダイナミクスを考慮して減衰特性可変部に対する推定処理を行う。このオブザーバ17は、ばね上加速度a2g、ピッチレイトωpおよびロールレイトωrに基づいて、各輪のばね上とばね下との間の相対速度として推定ピストン速度vpijを出力する。具体的には、オブザーバ17は、ばね上加速度a2g、ピッチレイトωpおよびロールレイトωrに加えて、指令電流iijおよびタイヤ−路面間変位(z1ij−z0ij)に基づいて、推定ピストン速度vpijを演算する。
このとき、推定ピストン速度vpijは、車体1と車輪2ijとの間の上下方向の相対速度に対応している。また、オブザーバ17は、後述するように、ダンパ6ijの動特性を考慮して、オブザーバゲインKが設計されている。
減衰力マップ18は、指令信号出力部を構成し、目標減衰力uijおよび推定ピストン速度vpijに基づいてダンパ6ijの減衰特性を調整する指令信号としての指令電流iijを出力する。この減衰力マップ18は、目標減衰力uijと指令電流iijとの関係を推定ピストン速度vpijに従って可変に設定するもので、発明者等による試験データに基づいて作成されたものである。そして、減衰力マップ18は、GSH∞制御器15から出力される目標減衰力uijと、オブザーバ17から出力される推定ピストン速度vpijとに基づいて、ダンパ6ijのアクチュエータ7に出力すべき指令電流iijを出力する。
次に、3軸複合センサ8を用いた場合のオブザーバ17の構築方法について、図3を参照しつつ説明する。
本実施の形態で用いる3軸複合センサ8は、ばね上加速度a2g、ピッチレイトωp、ロールレイトωrを検出すると共に、コントローラ10と一体となることを想定している。このため、コントローラ10の位置がセンサ位置となり、車両運動を把握するには、その位置が既知である必要がある。ばね上を剛体と考えれば、どの場所でも各輪のばね上上下絶対速度を幾何学的に算出できる。ここでは、一例として車両重心付近にコントローラ10が設置されていると想定する。
また、オブザーバ対象モデルは種々のものが採用可能であるが、ここでは、ばね上の全体の動きを把握できるフルビークルモデル(図3参照)を用いることで、観測量をばね上加速度a2g、ピッチレイトωp、ロールレイトωrの情報を幾何学的な変更なしに直接フィードバックする構成を採用する。但し、このままでは、オブザーバゲインKを求める上での条件の一つである可観測性を満たさないため、これを回避するためにタイヤ−路面間変位(z1ij−z0ij)を観測量に含めている。
図3に示すフルビークルモデルから数1の式に示す状態方程式を導出する。数1中の記号の内容は、数2ないし数4の式に示す通りである。
Figure 2015196423
Figure 2015196423
Figure 2015196423
Figure 2015196423
ここで、数1の状態方程式には、可変減衰ダンパ6ijの動特性を1次遅れで表現した数5の式を含めている。
Figure 2015196423
数1の状態方程式を離散化したものが、数6の式になる。
Figure 2015196423
この系のオブザーバはハット付きのx(k)を推定状態量とすると、数7の式のようになる。
Figure 2015196423
数7の式により、3軸複合センサ8を用いたシステムのオブザーバ17を構築することができる。このとき、オブザーバゲインKは、数8に示すリカッチ方程式の非負定対称行列解Pにより、数9の式によって決定される。
Figure 2015196423
Figure 2015196423
重みQと重みRを以下の数10および数11の式に示すように設定し、例えばMatlab等の設計CADを用いて数5の式を解くことによって、オブザーバゲインKを得ることができる。
Figure 2015196423
Figure 2015196423
求めたオブザーバゲインKを用いて車両状態を推定するときには、タイヤ−路面間変位(z1ij−z0ij)の観測方法として、CAN9から得られる車速vvと車輪速ωwから推定する方法を用いる。
3軸複合センサ8を用いたオブザーバ17は上述のように構築されるものであり、次に、オブザーバ17の有効性を確認した。その結果を図4ないし図9に示す。
図4は、うねり路を80km/hで走行した場合のシミュレーション結果を示している。図4(a),(b)中の破線は、シミュレーションで想定したピストン速度を示している。図4(a)中の実線は、第1の比較例として、3個のばね上上下加速度センサを備えたシステム構成において、オブザーバの推定ピストン速度を示している。図4(b)中の実線は、本実施の形態によるオブザーバ17の推定ピストン速度を示している。第1の比較例と本実施の形態とでは、いずれも低周波の推定精度はよく、高周波の推定精度が低いが、これらはほぼ同等の推定精度であることが分かる。
図5および図6は、テストコースに設けられたうねり路(長波状路)を、実際の車両を用いて60km/hで走行試験した場合の結果を示している。図5(a),(b)中の破線は、実際のピストン速度を示している。図5(a)中の実線は、第1の比較例による推定ピストン速度を示し、図5(b)中の実線は、本実施の形態による推定ピストン速度を示している。図5に示すように、本実施の形態と第1の比較例とでは、ほぼ同等の推定精度であることが分かる。また、本実施の形態による推定値は、第1の比較例による推定値に比べて振動的ではあるが、この推定値の振動は乗り心地に影響がなかった。
また、図6は、実際のピストン速度と推定ピストン速度のコヒーレンスを示している。図6中の破線は、第1の比較例の結果を示し、図6中の実線は、本実施の形態の結果を示している。図6に示すように、本実施の形態では、ばね上共振周波数帯(例えば1〜2Hz付近)でのコヒーレンスは、比較例とほぼ同等であった。また、本実施の形態では、ヒョコヒョコ感の周波数帯(例えば3〜7Hz付近)において第1の比較例に比べて推定精度が高いことが分かる。
図7は、ばね上上下加速度PSD(Power Spectral Density)の結果を示している。図7中の実線は、本実施の形態の結果を示し、図7中の破線は、第1の比較例の結果を示している。また、図7中の一点鎖線は、第2の比較例として、3個のばね上上下加速度センサに4個のばね下上下加速度センサを加えた合計7個の加速度センサを備えたシステム構成での結果を示している。図7中で縦軸の目盛り線の間隔は5dBである。
本実施の形態は、7個の加速度センサを用いる第2の比較例と比べると、概ね同等の性能となっているが、ヒョコヒョコ感の周波数帯において1〜2dB程度劣っている。また、本実施の形態と第1の比較例とを比較すると、両者は全周波数帯で同等の制振性能となっている。従って、使用するセンサを単一の3軸複合センサ8にした場合でも、7個の加速度センサや3個の加速度センサと用いた場合と、ほぼ同程度の制振性能が実現できることが分かる。
また、テストコースの乗り心地路において、本実施の形態による複合センサ8を用いたGSH∞制御器15による制振性能と、第3の比較例として、7個の加速度センサ(3個のばね上上下加速度センサと4個のばね下上下加速度センサ)を用いたスカイフック制御器による制振性能とを比較した。その結果を図8および図9に示す。図8は運転席フロアでの上下加速度PSDを示している。図8中の実線は、本実施の形態の結果を示し、図8中の破線は、第3の比較例の結果を示している。図8中で縦軸の目盛り線の間隔は5dBである。図9(a)はフワフワ感領域での上下加速度RMS(Root Mean Square)とヒョコヒョコ感領域との上下加速度RMSとの関係を示し、図9(b)は左右加速度RMSと前後加速度RMSとの関係を示している。
図8に示すように、本実施の形態では、第3の比較例と比べて、フワフワ感の領域ではほぼ同等の制振性能となっている。一方、ヒョコヒョコ感の領域では、5Hz付近で、本実施の形態の方が、第3の比較例に比べて、PSDが2.5dB程度低減しているが、9Hz付近で、本実施の形態の方が、第3の比較例に比べて、PSDが2.5dB程度増加している。このように、周波数に応じて良好な特性と不良な特性が生じているものの、ヒョコヒョコ感の領域全体ではほぼ同等の制振性能が得られている。また、図9(a)に示すように、本実施の形態では、第3の比較例と比べて、ヒョコヒョコ感の領域ではほぼ同等の制振性能となり、フワフワ感の領域では16%程度の振動低減効果が得られた。図9(b)に示すように、本実施の形態では、第3の比較例と比べて、前後方向で8%程度の振動低減効果が得られ、左右方向で14%程度の振動低減効果が得られた。これらの結果から、単一の複合センサ8を用いる本実施の形態では、7個の加速度センサを用いる第3の比較例に比べて、センサ数等のシステムコストを抑えつつ、ばね上については第3の比較例と同様の制振性能が実現できることが分かる。
かくして、本実施の形態による制御装置は、車体1の任意の位置に設けらればね上加速度a2g、ロールレイトωrおよびピッチレイトωpを検出する複合センサ8と、ばね上加速度a2gを積分してばね上速度v2gを算出する積分器12と、ばね上速度v2gと、ロールレイトωrと、ピッチレイトωpとに基づいて、各車輪2ijのばね上速度v2ijを推定する各輪ばね上速度推定部13とを有する。このため、複合センサ8を車体1の任意の1箇所に配置することによって、各輪ばね上速度推定部13は、各車輪2ijのばね上速度v2ijを幾何学的に算出することができる。従って、複合センサ8を、積分器12および各輪ばね上速度推定部13を含むコントローラ10と同じ基板に実装することができ、別個な取付けスペースを確保する必要がなくなると共に、複合センサ8をコントローラ10に接続するためのハーネスを省くことができる。この結果、ハーネス断線がなくなると共に、製造コストを低下させることができる。
また、コントローラ10は、各車輪2ijの推定ピストン速度vpijを算出するオブザーバ17を有する。このため、オブザーバ17は、複合センサ8により検出した第1点のばね上速度v2g、ロールレイトωrおよびピッチレイトωpに基づいて、各車輪2ijの推定ピストン速度vpijを推定することができる。この結果、オブザーバ17によって推定した各車輪2ijの推定ピストン速度vpijに基づいて、ダンパ6ijの減衰特性を制御することができる。
また、コントローラ10は、車輪速ωwからタイヤ−路面間変位(z1ij−z0ij)を抽出する信号抽出演算器16をさらに有し、オブザーバ17は、ばね上速度v2gと、ロールレイトωrと、ピッチレイトωpとに加えて、タイヤ−路面間変位(z1ij−z0ij)に基づいて、各車輪2ijの推定ピストン速度vpijを算出する。このため、オブザーバ17を構築するときには、ばね上速度v2g、ロールレイトωrおよびピッチレイトωpだけでは、オブザーバゲインKを求めるための可観測性を満たさないときでも、タイヤ−路面間変位(z1ij−z0ij)を観測量に加えることによって、オブザーバゲインKを求めることができる。
さらに、コントローラ10は、各輪ばね上速度推定部13によって推定した推定ピストン速度vpijに基づいて、各輪の目標減衰力uijを出力するGSH∞制御器15と、GSH∞制御器15による目標減衰力uijと、オブザーバ17による推定ピストン速度vpijとに基づいて、ダンパ6ijの減衰特性を調整する指令電流iijを出力する減衰力マップ18とをさらに有する。このため、ダンパ6ijの減衰特性を目標減衰力uijと推定ピストン速度vpijとに応じて変化させることができ、車両の乗り心地や操縦安定性を向上させることができる。
なお、オブザーバ17は、各車輪2ijの推定ピストン速度vpijに加えて、ばね上速度v2ijを推定することもできる。しかしながら、オブザーバ17によって推定したばね上速度v2ij′をGSH∞制御器15に入力したところ、各輪ばね上速度推定部13によって推定したばね上速度v2ijを用いた場合に比べて、制振性能が悪化した。そこで、各輪ばね上速度推定部13によって推定したばね上速度v2ijと、オブザーバ17によって推定したばね上速度v2ij′とを実測値と比較してみた。その結果を、図10(a),(b)に示す。
図10(a)に示すように、各輪ばね上速度推定部13によって推定したばね上速度v2ijは、実測値とほぼ同じ特性となる。これに対し、図10(b)に示すように、オブザーバ17によって推定したばね上速度v2ij′は、実測値に比べて位相が早くなっており、この位相差が制振性能に影響したものと考えられる。この位相差は、オブザーバ17に路面絶対速度成分を入力できていないことによって生じたものと考えられる。これに対し、ピストン速度はばね上とばね下の相対速度であるため、オブザーバ17に路面絶対速度成分が入力できなくても、路面絶対速度成分が打ち消されて推定ピストン速度vpijの推定精度には影響が出ない。以上より、GSH∞制御器15に入力するフィードバック信号には、各輪ばね上速度推定部13によって幾何学的に算出したばね上速度v2ijを用いた。
なお、前記実施の形態では、フィードバックド制御器としてGSH∞制御器15を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばフィードバック制御器は、例えばSP演算器14を省いたH∞制御器でもよく、スカイフック制御理論に基づく制御器でもよい。
前記実施の形態では、オブザーバ17には、車速vvと車輪速ωwを入力するものとしたが、オブザーバ17には、例えば車速vvと車輪速ωwとのうち車輪速ωwだけを入力し、車輪速ωwから車速vvを推定してもよい。さらに、推定ピストン速度vpijの推定精度は低下するものの、このような推定精度の低下が許容可能であれば、オブザーバ17には、車速vvおよび車輪速ωwのいずれも入力しない構成としてもよい。
前記実施の形態では、ダンパ6ijがセミアクティブダンパである場合を例に説明したが、これに代えて、アクティブダンパ(電気アクチュエータ、油圧アクチュエータのいずれか)を用いるようにしてもよい。
次に、前記実施の形態に含まれる発明について記載する。本発明によれば、制御装置は、車体の任意の位置に設定される第1点のばね上加速度、ロールレイトおよびピッチレイトを検出可能な車体挙動検出手段と、前記車体挙動検出手段により検出した前記ばね上加速度を積分してばね上速度を算出するばね上速度算出手段と、前記ばね上速度と、前記ロールレイトと、前記ピッチレイトとに基づいて、各車輪のばね上速度を推定する各輪ばね上速度推定手段とを有する構成とした。これにより、車体挙動検出手段を車体の任意の1箇所に取り付けることによって、各車輪のばね上速度を推定することができる。従って、例えば車体挙動検出手段を、ばね上速度算出手段および各輪ばね上速度推定手段と同じ基板に実装することができ、別個な取付けスペースを確保する必要がなくなると共に、車体挙動検出手段をばね上速度算出手段等と接続するためのハーネスを省くことができる。この結果、ハーネス断線がなくなると共に、製造コストを低下させることができる。
また、本発明によれば、制御装置は、前記ばね上速度と、前記ロールレイトと、前記ピッチレイトとに基づいて、各輪のばね上とばね下との間の相対速度を推定するオブザーバをさらに有する。このため、オブザーバは、車体挙動検出手段により検出した第1点のばね上加速度、ロールレイトおよびピッチレイトに基づいて、各輪のばね上とばね下との間の相対速度を推定することができる。この結果、オブザーバによって推定した各輪のばね上とばね下との間の相対速度に基づいて、減衰力調整式緩衝器の減衰特性を制御することができる。
また、本発明によれば、前記制御装置は、前記車輪の回転速度から車軸路面間の相対変位を抽出する車軸路面間相対変位抽出手段をさらに有し、前記オブザーバは、前記ばね上速度と、前記ロールレイトと、前記ピッチレイトとに加えて、前記車軸路面間の相対変位に基づいて、各輪のばね上とばね下との間の相対速度を推定する。オブザーバを構築するときには、ばね上速度、ロールレイトおよびピッチレイトだけでは、オブザーバゲインを求めるための可観測性を満たさない。これに対し、車軸路面間の相対変位を観測量に加えることによって、オブザーバゲインを求めることができる。
また、本発明によれば、前記制御装置は、前記各輪ばね上速度推定手段によって推定した各車輪のばね上速度に基づいて、各輪の目標減衰力を出力するフィードバック制御器と、前記フィードバック制御器による前記目標減衰力と、前記オブザーバによるばね上とばね下との間の相対速度とに基づいて、前記減衰力調整式緩衝器の減衰特性を調整するための指令信号を出力する指令信号出力部とをさらに有する。このため、フィードバック制御器による目標減衰力と、オブザーバによるばね上とばね下との間の相対速度とに応じて減衰力調整式緩衝器の減衰特性を制御することができ、車両の乗り心地や操縦安定性を向上させることができる。
1 車体
ij 車輪
ij サスペンション装置
ij 減衰力調整式緩衝器(ダンパ)
8 複合センサ
9 CAN
10 コントローラ
12 積分器(ばね上速度算出手段)
13 各輪ばね上速度推定部(各輪ばね上速度推定手段)
14 スケジューリングパラメータ演算器(SP演算器)
15 ゲインスケジュールドH∞制御器(GSH∞制御器)(フィードバック制御器)
16 信号抽出演算器
17 オブザーバ
18 減衰力マップ(指令信号出力部)

Claims (4)

  1. 車体と車輪との間に介装されて外部からの指令により減衰特性が変化する減衰力調整式緩衝器と、前記減衰特性を制御する制御装置とからなるサスペンション制御装置であって、
    前記制御装置は、
    前記車体の任意の位置に設定される第1点のばね上加速度、ロールレイトおよびピッチレイトを検出可能な車体挙動検出手段と、
    前記車体挙動検出手段により検出した前記ばね上加速度を積分してばね上速度を算出するばね上速度算出手段と、
    前記ばね上速度と、前記ロールレイトと、前記ピッチレイトとに基づいて、各車輪のばね上速度を推定する各輪ばね上速度推定手段とを有することを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 前記制御装置は、前記ばね上速度と、前記ロールレイトと、前記ピッチレイトとに基づいて、各輪のばね上とばね下との間の相対速度を推定するオブザーバをさらに有してなる請求項1に記載のサスペンション制御装置。
  3. 前記制御装置は、前記車輪の回転速度から車軸路面間の相対変位を抽出する車軸路面間相対変位抽出手段をさらに有し、
    前記オブザーバは、前記ばね上速度と、前記ロールレイトと、前記ピッチレイトとに加えて、前記車軸路面間の相対変位に基づいて、各輪のばね上とばね下との間の相対速度を推定してなる請求項2に記載のサスペンション制御装置。
  4. 前記制御装置は、前記各輪ばね上速度推定手段によって推定した各車輪のばね上速度に基づいて、各輪の目標減衰力を出力するフィードバック制御器と、
    前記フィードバック制御器による前記目標減衰力と、前記オブザーバによるばね上とばね下との間の相対速度に基づいて、前記減衰力調整式緩衝器の減衰特性を調整するための指令信号を出力する指令信号出力部とをさらに有してなる請求項2または3に記載のサスペンション制御装置。
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