JP2015196012A - 比較的小さな力でチャージ操作が可能な生検装置 - Google Patents
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このような生検針が発射可能に生検装置に保持される。すなわち、外針および内針がそれぞれ生検装置に対して、弾性エネルギを蓄えた「チャージ位置」から、弾性エネルギが解放された「突出位置」に向けて発射可能に保持されている。
しかしながら、この生検装置はリンク機構を利用していて構造がやや複雑であり、それ故に部品点数が多く、製造コストが高いという問題があった。
ケーシングと、
内針を保持するとともに、ケーシング内で「チャージ位置」と「突出位置」との間でスライド可能であり、内針用スプリングによって「突出位置」へ向かって付勢されている、内針用スライダと、
内針用スライダを、内針用スプリングの付勢力に抗して「チャージ位置」までスライドさせる内針チャージ操作部と、
外針を保持するとともに、ケーシング内で「チャージ位置」と「突出位置」との間でスライド可能であり、外針用スプリングによって「突出位置」へ向かって付勢されている、外針用スライダと、
外針用スライダを、外針用スプリングの付勢力に抗して「チャージ位置」までスライドさせる外針チャージ操作部と、を備えている。
さらに、当該生検装置は、下記(A)および(B)のいずれか一方、または両方の構成を備える。
内針チャージ操作部には、そのスライド方向に延在するスライド歯車ラックが設けられる一方、ケーシングにも同スライド方向に延在する固定歯車ラックが設けられており、
内針用スライダは、スライド歯車ラックおよび固定歯車ラックの両方に係合するピニオン歯車を回転可能に保持しており、その結果、内針チャージ操作部をスライドさせると、ピニオン歯車が回転しながら同方向にスライドし、したがって内針用スライダも同方向にスライドする。
(B)
外針チャージ操作部には、そのスライド方向に延在するスライド歯車ラックが設けられる一方、ケーシングにも同スライド方向に延在する固定歯車ラックが設けられており、
外針用スライダは、スライド歯車ラックおよび固定歯車ラックの両方に係合するピニオン歯車を回転可能に保持しており、その結果、外針チャージ操作部をスライドさせると、ピニオン歯車が回転しながら同方向にスライドし、したがって外針用スライダも同方向にスライドする。
上記において、「スライド歯車ラック」とは、それ自身がスライド移動する歯車ラックという意味である。また、「固定歯車ラック」とは、それ自身は移動せず固定されている歯車ラックという意味である。
このような構成を採用すると、内針チャージ操作部を操作して、内針用スライダを「チャージ位置」にまで移動させてロックした後に、内針チャージ操作部を解放すると(操作する指を離すと)、スライダ本体が(すなわち、内針が)「チャージ位置」にロックされた状態で留まる一方、スライド部材は、内針チャージ操作部と共に上記スプリングによって引き戻される。すなわち、内針チャージ操作部が元の位置(初期位置)に復帰することができる。
外針用スライダについても、同様の構成を採用することができる。
生検針の外径(外針61の外径)は1.5mm程度であって、生検装置10は片手で持つことができる程度の大きさである。詳しくは後述するが、まず生検装置10の概要を説明する。
ケーシング11内には、内針21を保持する内針用スライダ20と、外針61を保持する外針用スライダ60とがスライド可能に保持されている。内針用スライダ20および外針用スライダ60は、それぞれ、ケーシング11内で「チャージ位置」と「突出位置」との間でスライド可能である。
内針用スライダ20は、ピニオン歯車302を回転可能に保持しており、このピニオン歯車302は装置外側に露出している。内針用スライダ20は、内針用スプリング22によって「突出位置」へ向かって付勢されているが、図1中裏面側に設けた内針チャージ操作部30を図中右側に引いてピニオン歯車302を駆動することで、内針用スライダ20を「チャージ位置」までスライドさせることができる。内針用スライダ20は、ロック機構によって「チャージ位置」にロックされる。
同様に、外針用スライダ60は、ピニオン歯車702を回転可能に保持しており、このピニオン歯車702は装置外側に露出している。外針用スライダ60は、外針用スプリング62によって「突出位置」へ向かって付勢されているが、外針チャージ操作部70を図中右側に引いてピニオン歯車702を駆動することで、外針用スライダ60を「チャージ位置」までスライドさせることができる。外針用スライダ60は、ロック機構によって「チャージ位置」にロックされる。
チャージ後、操作部材1を後方側へ(図1中、矢印A)スライド操作することで、ロック機構が解除され、生検針が「チャージ位置」から「突出位置」へ発射される(厳密には、内針20が最初に発射され、遅れて外針61が発射される)。
次に、図2を参照して、生検針の原理を簡単に説明する(この原理自体は、一般的に知られている)。生検針は、互いに相対スライドする内針21と外針61で構成される。外針61は、筒状であってその先端(および後端)が開口している。内針21は、先端が尖っており、先端よりやや後方位置に凹所21aが設けられている。
内針21および外針61が「チャージ位置」にロックされている状態から、生検装置100の操作部材1を後方へ向かってスライド操作すると(図1中、矢印A)、生検針が発射される(図2中、矢印B)。具体的には、最初に内針21が発射されて臓器に突き刺さる。このとき、臓器の一部が凹所21a上に載る。その後、少し(ほんの一瞬)遅れて外針61が発射されて凹所21aを覆う。外針61の先端にはカッティングエッジ61aが形成されていて、凹所21aに載った組織を臓器から切り取ることができ、その後、組織は生検針とともに体外に取り出される。
次に、生検装置10の内部構造を詳細に説明する。図3は、生検装置10の分解図である。ケーシング11は、上下の2ピース、すなわち、ケーシング上片11aとケーシング下片11bで構成されていて、これらの間に、内針用スライダ20および外針用スライダ60が挟み込むように保持される。図3では、ケーシング上片11aは外面側を示しており、ケーシング下片11bは内面側を示している。
図4は、ケーシング下片11b上に、内針用スライダ20のみを載せた状態を示している。図4を参照して、ケーシング11内で内針用スライダ20がスライドする機構を説明する。
図4(b)は、中間の位置を示している。
図5は、ケーシング下片11b上に、外針用スライダ60のみを載せた状態を示している。図5を参照して、ケーシング11内で外針用スライダ60がスライドする機構を説明する。
図5(b)は、中間の位置を示している。
本発明では、チャージの際に内針チャージ操作部30(あるいは、外針チャージ操作部70)を引くのに要する力を小さくするために、特別の工夫を凝らしている。以下に、この工夫を内針チャージ操作部30に関連して説明するが、外針チャージ操作部70についても同じである。
一方、ケーシング11(詳しくは、ケーシング上片11a)にも同スライド方向に延在する固定歯車ラック303が一体的に形成されている。「固定歯車ラック」とは、それ自身は移動せず固定されている歯車ラックという意味である。
つまり、内針チャージ操作部30をスライドさせると、ピニオン歯車302が回転しながら同方向にスライドし、したがって内針用スライダ20も同方向にスライドし、内針21が「チャージ位置」へと引き込まれる。
ただし、内針チャージ操作部30を引く距離は、内針用スライダ20の実際の移動量(すなわち、内針21の移動量)の2倍必要となるが、それは許容範囲内である。例えば、実際に内針21をスライドさせる距離は、例えば11mm、16mm、22mmであるが、それぞれの場合に、内針チャージ操作部30を引く距離は22mm、32mm、44mmとなる。
以上は、「動滑車を用いて物体を持ち上げる場合に、物体の質量の1/2の力で足りること」と同じ原理である。図9を参照して、この原理を模式的に説明する。
内針チャージ操作部30を図9(b)の中間位置にまで引いたとき、内針チャージ操作部30は既に距離“L”だけ移動しているが、ピニオン歯車302(すなわち、内針21)は、“L/2”しか移動していないことが分かる。
内針チャージ操作部30をさらに引くことで、ピニオン歯車302(すなわち、内針21)を図9(c)の「チャージ位置」にまで引くことができるが、このとき、内針チャージ操作部30の移動量は“2L”となっている。
このように、内針チャージ操作部30を引く距離は実際の内針21の移動量の2倍となるが、必要な力を半分にすることができる。
図示した例では(特に、図3a参照)、内針チャージ操作部30と外針チャージ操作部70の両方にこのような機構を適用している。すなわち、外針チャージ操作部70に対してスライド歯車701を一体的に形成し、ケーシング11に固定歯車ラック703を一体的に形成している。そして、外針用スライダ60は、これら歯車ラック701、703の両方に係合するピニオン歯車702を回転可能に保持している。
図示はしていないが、このような機構を、内針チャージ操作部30と外針チャージ操作部70のいずれか一方にのみ採用することも可能である。
図1〜図5を参照して以上に説明した実施形態では、内針用スライダ20がピニオン歯車302を保持していて、両者が一体的にスライド移動するものであった。
これに対する変形例を図6に示した。この変形例では、内針用スライダ20は、「スライダ本体20a」と「当該スライダ本体に対して相対スライドが可能なスライド部材20b」とで構成されている。
スライド部材20bは、スライダ本体20aに対して相対スライドが可能であるが、ストッパ24に当接した時点で当該相対スライドは禁止される。
内針チャージ操作部30を図1中右方向へスライドさせたとき、これによりピニオン歯車302(およびスライド部材20b)が図7(a)中右側にスライドする。このとき、スライド部材20bは、ストッパ24と当接しているが故に、スライダ本体20aを駆動して(押し動かして)「チャージ位置」まで移動させる。上述した通り、スライダ本体20aはこの「チャージ位置」でロックされる(図7c)。
このロックはスライド部材20bには及ばないので、内針チャージ操作部30を不図示のスプリングで左側へと付勢しておくと(図8の例参照)、内針チャージ操作部30を解放したとき(操作する指を離したとき)、内針チャージ操作部30と共にピニオン歯車302およびスライド部材20bがスプリング72によって引き戻される。一方、スライダ本体20aは、「チャージ位置」にロックされた状態で留まる(図7c)。
仮に、内針用スライダ20がピニオン歯車302と一体にしか移動しない場合には、内針を発射する際に、装置外部に露出する内針チャージ操作部30が一緒に移動することとなる。また、内針チャージ操作部30が装置を持つ手に当たる等、何らかの障害によって停止すると、内針も発射途中で呈ししてしまう。図6で説明した構成によれば、このような不都合はなく、生検装置の操作性を向上させることができる。
図6、図7に示した変形例の場合、内針チャージ操作部30は、スプリングによって「初期位置」(図1に示した操作前の位置)に向かって付勢しておくこと、すなわち、内針21(および内針用スライダ20)の「突出位置」へ向かう方向に付勢しておくことが好ましい。同様に、外針チャージ操作部70もスプリングによって「初期位置」に戻しておくことが好ましい。
その場合、内針チャージ操作部30および外針チャージ操作部70に、それぞれ個別にスプリングを設けてもよいが、図8の変形例のように、内針チャージ操作部30に突出部材35を設けることで、1本のスプリングで共用することができる(すなわち、スプリングを1つ省略してコストダウンを図ることができる)。
10 生検装置
11 ケーシング
11a ケーシング上片
11b ケーシング下片
18、19 係止孔
20 内針用スライダ
21 内針
21a 凹所
22 内針用スプリング
25 内針固定部
26 弾性係合部
30 内針チャージ操作部
31 シャフト
60 外針用スライダ
61 外針
61a カッテイングエッジ
62 外針用スプリング
65 外針固定部
66 弾性係合部
70 外針チャージ操作部
71 シャフト
301、701 スライド歯車ラック
302、702 ピニオン歯車
303、703 固定歯車ラック
Claims (4)
- 相対スライドする内針(21)と外針(61)で構成される生検針を保持し、内針と外針をそれぞれ「チャージ位置」にロックするとともに、当該ロックを解除することで「突出位置」へと発射させる生検装置(10)であって、当該生検装置は、
ケーシング(11)と、
内針(21)を保持するとともに、ケーシング内で「チャージ位置」と「突出位置」との間でスライド可能であり、内針用スプリング(22)によって「突出位置」へ向かって付勢されている、内針用スライダ(20)と、
内針用スライダ(20)を、内針用スプリング(22)の付勢力に抗して「チャージ位置」までスライドさせる内針チャージ操作部(30)と、
外針(61)を保持するとともに、ケーシング内で「チャージ位置」と「突出位置」との間でスライド可能であり、外針用スプリング(62)によって「突出位置」へ向かって付勢されている、外針用スライダ(60)と、
外針用スライダ(60)を、外針用スプリング(62)の付勢力に抗して「チャージ位置」までスライドさせる外針チャージ操作部(70)と、を備えており、
下記(A)および(B)のいずれか一方、または両方の構成を備えた、生検装置。
(A)
内針チャージ操作部(30)には、そのスライド方向に延在するスライド歯車ラック(301)が設けられる一方、ケーシング(11)にも同スライド方向に延在する固定歯車ラック(303)が設けられており、
内針用スライダ(20)は、スライド歯車ラック(301)および固定歯車ラック(303)の両方に係合するピニオン歯車(302)を回転可能に保持しており、その結果、内針チャージ操作部(30)をスライドさせると、ピニオン歯車(302)が回転しながら同方向にスライドし、したがって内針用スライダ(20)も同方向にスライドする。
(B)
外針チャージ操作部(70)には、そのスライド方向に延在するスライド歯車ラック(701)が設けられる一方、ケーシング(11)にも同スライド方向に延在する固定歯車ラック(703)が設けられており、
外針用スライダ(60)は、スライド歯車ラック(701)および固定歯車ラック(703)の両方に係合するピニオン歯車(702)を回転可能に保持しており、その結果、外針チャージ操作部(70)をスライドさせると、ピニオン歯車(702)が回転しながら同方向にスライドし、したがって外針用スライダ(60)も同方向にスライドする。
- 上記構成(A)を備えた請求項1記載の生検装置であって、
上記内針チャージ操作部(30)は、スプリングによって上記「突出位置」へ向かう方向に付勢されており、
上記内針用スライダ(20)は、内針(21)を保持するスライダ本体(20a)と、当該スライダ本体に対して相対スライドが可能なスライド部材(20b)とを備えるとともに、当該スライド部材(20b)が上記ピニオン歯車(302)を回転可能に保持しており、
スライダ本体(20a)にはスライド部材(20b)と当接して上記相対スライドを止めるストッパ(24)が設けられており、
内針チャージ操作部(30)と共にピニオン歯車(302)がスライドするとき、スライド部材(20b)がストッパ(24)と当接して、スライダ本体(20a)を上記「チャージ位置」まで駆動するとともに、
内針チャージ操作部(30)を解放すると、スライダ本体(20a)が上記「チャージ位置」に留まる一方、スライド部材(20b)は、内針チャージ操作部(30)と共に上記スプリングによって引き戻される、生検装置。
- 上記構成(B)を備えた請求項1記載の生検装置であって、
上記外針チャージ操作部(70)は、スプリング(72)によって上記「突出位置」へ向かう方向に付勢されており、
上記外針用スライダ(60)は、外針(61)を保持するスライダ本体(60a)と、当該スライダ本体に対して相対スライドが可能なスライド部材(60b)とを備えるとともに、当該スライド部材(60b)が上記ピニオン歯車(702)を回転可能に保持しており、
スライダ本体(60a)にはスライド部材(60b)と当接して上記相対スライドを止めるストッパ(64)が設けられており、
外針チャージ操作部(70)と共にピニオン歯車(702)がスライドするとき、スライド部材(60b)がストッパ(64)と当接して、スライダ本体(60a)を上記「チャージ位置」まで駆動するとともに、
外針チャージ操作部(70)を解放すると、スライダ本体(60a)が上記「チャージ位置」に留まる一方、スライド部材(60b)は、外針チャージ操作部(70)と共に上記スプリング(72)によって引き戻される、生検装置。
- 上記構成(A)をさらに備えている、請求項3記載の生検装置であって、
上記内針チャージ操作部(30)は、外針チャージ操作部(70)と当接可能な突出部材(35)を備えていて、外針チャージ操作部(70)を介して上記スプリング(72)によって上記「突出位置」へ向かう方向に付勢されており、
内針用スライダ(20)は、内針(21)を保持するスライダ本体(20a)と、当該スライダ本体に対して相対スライドが可能なスライド部材(20b)とを備えるとともに、当該スライド部材(20b)が上記ピニオン歯車(302)を回転可能に保持しており、
スライダ本体(20a)にはスライド部材(20b)と当接して上記相対スライドを止めるストッパ(24)が設けられており、
内針チャージ操作部(30)と共にピニオン歯車(302)がスライドするとき、スライド部材(20b)がストッパ(24)と当接して、スライダ本体(20a)を上記「チャージ位置」まで駆動するとともに、
内針チャージ操作部(30)を解放すると、スライダ本体(20a)が上記「チャージ位置」に留まる一方、スライド部材(20b)は、内針チャージ操作部(30)および外針チャージ操作部(70)と共に上記スプリング(72)によって引き戻される、生検装置。
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