JP2015195232A - 多波長光源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の光源の出力強度を高精度に制御することが可能な多波長光源装置を提供すること。
【解決手段】発光モジュール1は、複数のLD7a〜7dと、LD7a〜7dの出力光を多重化する光マルチプレクサ11と、光マルチプレクサ11の出力光を検知するPD17と、LD7a〜7dの出力光の強度を制御するコントローラ21と、を備え、コントローラ21は、ディザー信号源29と、LD7a〜7dそれぞれに対応して設けられるAPC回路35a〜35dと、ディザー信号をAPC回路35a〜35dのうちの1つの出力に重畳させる選択回路41と、を有し、コントローラ21は、APC回路35a〜35dのうちの1つによって供給されるバイアス電流にディザー信号を重畳し、PD17から出力されたモニタ信号のディザー信号の成分を抽出し、抽出した信号を基にバイアス電流を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の波長成分を有する光を生成する多波長光源装置に関するものである。
近年では、光通信システムで実現される伝送容量が飛躍的に向上してきている。それに応じて、従来の全二重の通信規格では伝送能力の不足が顕著になってきている。これに対する1つの解決策として、波長多重伝送と呼ばれる方式、すなわち、1本のファイバ中に複数の信号を多重化して送受する方式が一般化されようとしている。例えば、業界規格であるQSFP+(Quadrature Small Form Factor Pluggable)規格においては、1.3μm帯に含まれ互いに20nmの波長間隔で設定されている4つの光信号を多重化して、それぞれの光信号を利用して通信速度10Gbps或いは25Gbpsで通信することにより、全体の伝送速度40Gpbs或いは100Gbpsが達成されている。
上記の波長多重伝送方式で用いられる光トランシーバとしては、下記特許文献1,2のようなものが知られている。これらの光トランシーバには、複数の光源と、それらの光源が出射する複数の光を受光して光源の出力光強度を帰還制御する複数のAPC(Automatic Power Control)回路とが必要とされる。すなわち、TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)等の1つのパッケージ内に複数の光源、及び光源の数分のAPC回路が必要となる。
特開平7−336307号公報 特開2000−151012号公報
しかしながら、波長多重伝送方式を採用する光トランシーバであっても、小型化が要求されるため、複数のAPC回路によって制御される出力光強度の精度が問題となる。すなわち、小型化された同一パッケージ内に内蔵される複数の光源のうちの1つの光源の出力強度をモニタする際に、他の光源の出力の影響を避けることができず、モニタの正確性が損なわれる。その結果、光源の発光強度を精度よく制御することができない傾向にあった。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、複数の光源の出力強度を高精度に制御することが可能な多波長光源装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一側面に係る多波長光源装置は、互いに異なる波長成分の光を生成する複数の発光素子と、複数の発光素子の出力光を多重化する光マルチプレクサと、光マルチプレクサの出力光を検知する受光素子と、複数の発光素子の出力光の強度を制御する制御回路と、を備え、制御回路は、低周波の信号を生成する信号源と、複数の発光素子それぞれに対応して設けられる複数のバイアス制御回路と、低周波の信号を複数のバイアス制御回路のうちの1つの出力に重畳させる出力回路と、を有し、制御回路は、複数のバイアス制御回路のうちの1つによって供給されるバイアス電流に低周波の信号を重畳し、受光素子から出力されたモニタ信号の低周波の成分を抽出し、抽出した信号を基にバイアス電流を制御する。
或いは、本発明の別の側面に係る多波長光源装置は、互いに異なる波長成分の光を生成する複数の発光素子と、複数の発光素子それぞれの出力光を検知し複数のモニタ信号を出力する複数の受光素子と、複数の発光素子それぞれの出力光の強度を制御する複数の制御ユニットを含む制御回路と、を備え、複数の制御ユニットのそれぞれは、低周波の信号を生成する信号源と、バイアス制御回路と、低周波の信号をバイアス制御回路の出力に重畳させる出力回路と、を有し、制御ユニットのそれぞれは、バイアス制御回路によって供給されるバイアス電流に低周波の信号を重畳し、発光素子に対応する受光素子から出力されたモニタ信号の低周波の成分を抽出し、抽出した信号を基にバイアス電流を制御する。
本発明によれば、複数の光源の出力強度を高精度に制御することができる。
本発明の好適な一実施形態に係る発光モジュール1の概略構成を示すブロック図である。 図1の乗算器33に与えられるディザー信号Aを矩形波とし、モニタ出力PDoutとの位相差θを様々変化させた場合の乗算器33の出力波形Yを示す図である。 本発明の変形例に係る発光モジュール1Aの概略構成を示すブロック図である。 本発明の変形例に係る発光モジュール1Bの概略構成を示すブロック図である。 本発明の変形例に係る発光モジュール1Cの概略構成を示すブロック図である。 本発明の変形例に係る発光モジュール1Dの概略構成を示すブロック図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明による多波長光源装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の好適な一実施形態に係る多波長光源装置である発光モジュール1の概略構成を示すブロック図である。この発光モジュール1は、光学ユニット部3と電気ユニット部5とを内蔵している。この光学ユニット部3は、互いに異なる波長成分の光を生成する4個の発光素子であるレーザダイオード(以下、「LD」という)7a,7b,7c,7dと、4個のLD7a,7b,7c,7dのそれぞれを駆動する4個の駆動回路9a,9b,9c,9dと、4個のLD7a,7b,7c,7dから出力された光信号を光学的に多重化する光マルチプレクサ11と、この光マルチプレクサ11の出力光を2つに分岐するビームスプリッタ13と、ビームスプリッタ13の一方の出力光を外部に導く光ファイバ15と、ビームスプリッタ13の他方の出力光を受光することにより光マルチプレクサ11の出力光をモニタ(検知)する受光素子であるフォトダイオード(以下、「PD」という)17とを備える。一方、電気ユニット部5は、PD17の出力信号を処理するパワーモニタ回路19だけをアナログ回路として有し、それ以外に、APC機能及びPD17へのバイアス機能を担うCPUを内蔵するデジタル回路であるコントローラ(制御回路)21を有している。ここで、光ファイバ15は、外部の光ファイバとビームスプリッタ13とを光学的に結合する光学結合系に置換されてもよい。
以下、電気ユニット部5の構成について詳細に説明する。
パワーモニタ回路19は、演算増幅器23と抵抗素子25とを含んだ反転増幅器であるトランスインピーダンスアンプ(TIA:TransImpedance Amplifier)であり、PD17によってモニタされた出力光の強度に対応する信号(モニタ信号)を出力する。詳細には、演算増幅器23の反転入力端子がPD17のカソードに接続され、その非反転入力端子にはバイアス設定電圧VPDが印加され、抵抗素子25は、演算増幅器23の反転入力端子と出力端子との間に接続されている。このパワーモニタ回路19の出力としての抵抗素子25の両端の電圧は、コントローラ21のA/D変換器27に入力されてデジタル信号に変換される。
コントローラ21は、低周波のデジタル信号であるディザー信号を生成するディザー信号源29と、ディザー信号源29の出力に接続された遅延部(位相調整回路)31と、ディザー信号源29の出力及びA/D変換器27の出力に接続された乗算器33と、乗算器33の出力に接続された選択回路(セレクタ)34と、選択回路34の出力に接続され、4個のLD7a,7b,7c,7dのそれぞれに対応して設けられたバイアス制御回路である4個のAPC回路35a,35b,35c,35dと、外部のホスト装置100との間で信号を送受信して発光モジュール1の全体の動作を制御する演算回路37と、ディザー信号源29の出力にD/A変換器39を介して接続された選択回路(出力回路)41とを含んで構成されている。これらのAPC回路35a,35b,35c,35dのそれぞれは、同一の機能構成を有しており、選択回路34の出力に接続されたローパスフィルタ(LPF)45と、LPF45の出力に接続された減算器47と、減算器47の出力にこの順で接続された積分器49、増幅器51、及び加算器53とを含んでいる。そして、加算器53の出力は、APC回路35a,35b,35c,35dのそれぞれに対応して設けられたD/A変換器55a,55b,55c,55d及びインダクタ57a,57b,57c,57dを経由して、LD7a,7b,7c,7dのアノードに接続される。
上記のような電気ユニット部5において、パワーモニタ回路19の出力がA/D変換器27に入力されデジタル信号に変換される。A/D変換器27の出力は、乗算器33に導かれ、ディザー信号との間で積演算処理が為される。この乗算器33により、パワーモニタ回路19の出力からディザー信号の周波数と同一の低周波数の成分だけが選択されて抽出される。乗算器33の出力は、選択回路34によっていずれかのAPC回路35a,35b,35c,35dに選択的に出力され、選択されたAPC回路35a,35b,35c,35dによって処理される。すなわち、乗算器33の出力は、LPF45を経由することにより、PD17に入力する光の強度に相当する直流(DC)信号に変換される。そして、減算器47は、そのDC信号と予め設定されたTarget信号とを比較し、その差をゼロとするように積分器49及びその後段の増幅器51を動作させる。増幅器51の出力は、加算器53により初期設定値Init1が加算された後に、いずれかのD/A変換器55a,55b,55c,55dを介することによりアナログ信号に変換されてから、対応するLD7a,7b,7c,7dに対してバイアス電流として供給される。その結果、LD7a,7b,7c,7dに供給されるバイアス電流が調整されて、それらの出力光の強度が制御される。
コントローラ21内で生成されるディザー信号は、遅延部31を介して乗算器33に与えられると同時に、D/A変換器39によりアナログ信号に変換された上で、選択回路41によって選択された4つのLD7a,7b,7c,7dのうちの1つのバイアス電流に重畳されて供給される。すなわち、ディザー信号は、選択回路34によって選択されているAPC回路35a,35b,35c,35dに対応するいずれかのLD7a,7b,7c,7dのバイアス電流に対して重畳される。このような選択回路41,34による選択動作は、演算回路37によって制御される。このとき、LD7a,7b,7c,7dには、高周波信号を遮断するインダクタ57a,57b,57c,57dを介してバイアス電流が供給される。このようにして、それぞれのLD7a,7b,7c,7dに対応してデジタル回路によるAPC帰還ループが形成されている。
さらに、LD7a,7b,7c,7dは、上記のAPC帰還ループにより、そのバイアス電流が直流的に制御される一方、外部から端子INa,INb,INc,INd,INBa,INBb,INBc,INBdを介して、駆動回路9a,9b,9c,9dに供給される変調信号によっても駆動される。ここで、それぞれの端子INa,INb,INc,INdと、それらに対応するそれぞれの端子INBa,INBb,INBc,INBdとには、相補的な信号、すなわち位相が180度異なる信号が供給される。例えば、LD7aの出力光は、端子INa,INBaに与えられる差動信号から変換された単相信号によって変調される。それぞれのLD7a,7b,7c,7dは、出力光の消光比が所定値に近づくようにその利得が演算回路37によって制御されている。ここで、これらのLD7a,7b,7c,7dは、それぞれの出力光の波長が異なっている。例えば、それぞれの出力波長は、CWCM(Coarse Wavelength Division Multiplexing)規格で規定される波長の一に設定されている。光マルチプレクサ11は、これらの波長の異なる複数の光信号を合成して出力する。
次に、電気ユニット部5によるAPC帰還制御動作の詳細について説明する。
まず、演算回路37は、複数のLD7a,7b,7c,7dに対応するレーンのうちの一のレーンを選択する信号を選択回路34,41に出力する。これにより、ディザー信号源29が生成し、D/A変換器39によってアナログ信号に変換された信号は、D/A変換器55a,55b,55c,55dの電流出力のうち、選択回路41により選択された一の電流出力に重畳されて、LD7a,7b,7c,7dのうちの1つに供給される。ここで、D/A変換器55a,55b,55c,55dの出力とD/A変換器39の出力との比は、以下に説明する乗算器33によるロックイン動作に必要な程度に設定され、好ましくは5〜10%の範囲である。
選択回路34,41によってLD7bのレーンが選択された場合は、重畳信号が供給されたLD7bは、同時に端子INb,INBbに与えられた変調信号によっても駆動されている。ここで、ディザー信号の周波数を、変調信号の周波数とは異なる波長帯域に設定することで両者の干渉を実質的に少なくすることが可能となる。例えば、発光モジュール1の伝送信号の周波数を10Gbpsとすると、ディザー信号の周波数を1KHz程度に設定すれば、ディザー信号の周波数は伝送信号の周波数の10−7倍となり、ディザー信号が伝送信号に与える影響を無視することができる。LD7bは、このディザー信号成分を含んだバイアス電流が供給される一方で、端子INb,INBbに与えられる変調信号によっても変調されて動作する。また、他のLD7a,7c,7dは、ディザー信号が重畳されていないバイアス電流が供給されている。そして、これらのLD7a,7b,7c,7dの出射する光信号は光マルチプレクサ11によって合波されて発光モジュール1外に導かれると同時に、その一部がビームスプリッタ13により分岐されてPD17に入射する。ビームスプリッタ13での分岐比は、それが大きいとモニタ光の信号成分が大きな値となってAPC帰還制御が安定する一方で、外部に取り出される本来の出射光強度が減少するため、適切な値に設定される。
また、本実施形態では、モニタ光の強度を特定するために、いわゆる位相同期アンプ(ロックインアンプ)を採用している。ロックインアンプは、本来雑音に埋もれた信号を検知するためのアンプであり、耐雑音特性が非常に優れている。従って、ビームスプリッタ13の分岐比が小さい場合(外部光出力の割合が大きく設定される場合)であっても、確実に光信号成分を取り出すことが可能である。従って、本実施形態においては、安定な帰還制御のために10%程度の分岐比の値を必要としていた従来のAPC制御に比較して、数%の小さい分岐比であっても安定な帰還制御が可能である。
さらに、PD17が受光する光は、LD7a,7b,7c,7d全ての光信号を含むものとなる。全てのLD7a,7b,7c,7dが等しい出力光強度で動作している場合において、ビームスプリッタ13の分岐比(PD17に向かう光の強度の割合)を10%に設定したとしても、そのモニタ光全体に対するLD7bの寄与分はその1/4の2.5%にまで低下する。かかる微小強度の光信号から特定の周波数成分のみを抽出するにはロックインアンプの構成が非常に効果的となる。
すなわち、PD17はLD7a,7b,7c,7dの生成する光信号の全ての波長を含む分岐光を検知し、その検知した強度に対応した光電流を生成する。この光電流は次段のトランスインピーダンスアンプ(TIA)に入力される。TIAは、いわゆる演算増幅器(Op-Amp:Operational Amplifier)を用いた反転増幅器(Inverting Amplifier)であり、Op-Ampの基本特性として、2つの相補的入力端が仮想接地されるように動作する。すなわち、TIAにおいては、Op-Ampの非反転入力端子にはバイアス設定電圧VPDが印加されており、Op-Ampの反転入力端子の電位がこのバイアス設定電圧VPDに設定される。これにより、PD17にはこのバイアス設定電圧VPDが供給される。一方、PD17で生成された光電流は、Op-Ampの非反転入力の入力インピーダンス及びA/D変換器27の入力インピーダンスが十分に大きい値の場合には、次の条件が満足される。すなわち、光電流の大部分は抵抗素子25を経由してOp-Ampの出力に流れ込み、抵抗素子25の両端に光電流の大きさ(PD17において検知した光強度)に対応した電位を誘起する。そして、A/D変換器27はこの電位を差動検知して対応するデジタル信号に変換する。
コントローラ21内では、デジタル信号に変換されたPD17のモニタ出力に関して以下の処理が施される。まず、モニタ出力のAC成分について、ディザー信号との間で乗算処理が行われる。ここで、ディザー信号の周波数をω(=2πf)とすると、ディザー信号はA=a・sin(ωt)、モニタ出力のAC成分はB=b・sin(ωt+θ)と表される。このように、モニタ出力が必ずしもディザー信号とその位相が一致しているとは限らない。乗算処理後の信号Yは、下記式;
Y={a・sin(ωt)}×{b・sin(ωt+θ)}
=ab・{1−cos(2ωt)}/2 (θ=0の場合)
=ab・sin(2ωt)/2 (θ=π/2の場合)
=ab・{cos(2ωt)−1}/2 (θ=πの場合)
=−ab・sin(2ωt)/2 (θ=3π/2の場合)
のように表される。従って、乗算処理後の信号のDC成分に注目すると、ab/2(θ=0)〜−ab/2(θ=π)で変化する。モニタ出力とディザー信号の位相を一致させると(θ=0)、乗算器33の出力からモニタ出力のAC成分の強度b、すなわち、LD7bの出力が検知されることとなる。そこで、本実施形態では、2つの出力の位相が一致するようにディザー信号の位相の調整を行うために、ディザー信号源29の出力は遅延部31を介して乗算器33に提供されている。
ここで、図2には、乗算器33に与えられるディザー信号Aを矩形波とし、モニタ出力PDoutに対する位相差θを様々変化させた場合の乗算器33の出力波形Yを示している。従って、乗算器33の出力をディザー信号の周波数とその2倍波を遮断するような狭帯域のフィルタLPF45を通過させることによりモニタ出力のうちのディザー信号の周波数と同じ周波数を有する成分、すなわち、LD7bの光出力強度に比例した成分を検知することが可能となる。
上記のような処理によって、LD7bについて現在の光出力強度を検知することが可能となる。そして、APC回路35bは検知された強度と目標値Target1と比較してその差が小さくなるようにLD7bに対するバイアス電流を供給するD/A変換器55bの値を調整する。その結果、LD7bの光出力強度を目標値Target1に実質的に一致させることができる。また、コントローラ21がAPC制御対象のLD7a,7b,7c,7dを選択回路34,41を制御することによって切り替えることで、順次個々のLD7a,7b,7c,7dの光出力強度を個別の目標値に一致させることができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、図3に示す本発明の変形例に係る発光モジュール1Aのような構成を採用してもよい。すなわち、ディザー信号源29、遅延部31、乗算器33、D/A変換器39、及びA/D変換器27が、4レーンそれぞれのLD7a,7b,7c,7dに対応して個別に設けられてもよい。それぞれのAPC回路35a,35b,35c,35dに個別に、ディザー信号源29、遅延部31、乗算器33、D/A変換器39a〜39d、及びA/D変換器27a〜27dが設けられている。ただし、LD7a,7b,7c,7dの発光強度を検知するモニタ用のPD17は発光モジュール1と同様に1個だけ備えられている。
ここで、各APC回路35a,35b,35c,35dに備えられるディザー信号源29の周波数は互いに異なるように設定されている。例えば、LD7aのバイアス電流に重畳されるディザー信号の周波数fはf=1.0kHzであり、LD7bのバイアス電流に重畳されるディザー信号の周波数fはf=1.6kHzであり、LD7cのバイアス電流に重畳されるディザー信号の周波数fはf=2.3kHzであり、LD7dのバイアス電流に重畳されるディザー信号の周波数fはf=3.1kHzである。これらの周波数f〜fは、互いに高調波を含まない周波数に設定されていることが好ましい。
このように異なる周波数のディザー信号が重畳されたバイアス電流が各LD7a,7b,7c,7dに供給される。LD7a,7b,7c,7dは、これらのバイアス電流が供給されるとともに、発光モジュール1Aの外部からの変調信号により駆動され、変調信号に同期した光信号を出力する。4チャネルの光信号は、光マルチプレクサ11により合波され、発光モジュール1Aの外部に光ファイバ15を介して出射される一方、その一部がビームスプリッタ13により分岐されてPD17に入力される。PD17に入力する光は、LD7a,7b,7c,7dが生成する光信号の4つの波長を含む一方、各波長の光信号はそれぞれ対応したディザー信号の周波数f〜fの信号を含んでいる。
PD17で生成された光電流は、TIAに入力され、電圧信号に変換される。この電圧信号は、4チャネルのAPC回路35a,35b,35c,35dのフロントエンドに設けられているA/D変換器27a,27b,27c,27dによってデジタル信号に変換されてからそれぞれのAPC回路35a,35b,35c,35dに入力される。各APC回路35a,35b,35c,35dにおいては、入力されたデジタル信号とディザー信号とが乗算処理される。この乗算処理は、既に述べたように、等価的には極めて通過帯域幅が狭いフィルタリング処理とみなすことができる。ディザー信号と周波数が異なる成分は、結果的に両者の間の位相が一致しない、すなわち、位相差が0〜2πの間で周期的に変化することになり、そのDC成分は現れない。乗算処理後の信号には、ディザー信号と周波数が一致した信号のみDC成分として現れ、さらにその信号は両者の位相差が0度の場合に最大のDC値を持つ。従って、上記のような複数のディザー信号に対して近接した周波数値を設定した場合であっても、その周波数成分を精度よく検知することができる。
このようなロックインアンプに代えて、例えばバンドパスフィルタを介してTIAの出力検知を行う構成も想到され得る。しかしながら、狭帯域のバンドパスフィルタであっても、上記のような近接した周波数を設定した場合には、隣接周波数の影響を被ることが避けられない。その場合には、対象のLDの現在の発光強度を正確に得ることが困難となる。さらに、ディザー信号の周波数の間隔を広くし、かつ、バンドパスフィルタを用いる構成も想定され得る。しかし、その場合は、TIAの帯域を広く設定しなければならず、TIAの高周波特性に各LDの発光強度の検知の精度が左右されてしまう。本実施形態のようにロックインアンプの構成を採ることにより、隣接するディザー信号の周波数が極めて近接している場合であっても、検知精度を損なうことが回避される。
なお、図3に示す構成では、1つのパワーモニタ回路19を含む例を示しているが、4チャネルのAPC回路35a,35b,35c,35dに対応して4個のパワーモニタ回路を含む構成であってもよい。このような構成では、PD17が生成した光電流が4個のパワーモニタ回路に分流される。ただし、発光強度が弱い場合に必然的に対応する光電流が小さい値になってしまう傾向にある。つまり、周囲雑音、特にPD17からTIAに至る電流経路が感知するEMI雑音の影響を受けてしまう。このような場合には、発光モジュール1Aに示す構成のように、PD17の出力を1個のTIAで受ける構成を採用することが好ましい。ただし、この場合は、LD7a,7b,7c,7dの出力が大きく設定された場合に、PD17の出力も大きくなり、その結果TIAが飽和する場合も生じ得る。その際には、TIAのダイナミックレンジを適切に確保する必要がある。
また、図4に示す本発明の変形例に係る発光モジュール1Bのような構成を採用してもよい。すなわち、図3に示した発光モジュール1Aに比較して、LD7a,7b,7c,7dの出射光強度を検知するモニタ用のPDを、LD7a,7b,7c,7dに対応させて4個のPD17a,17b,17c,17dで構成している点が異なっている。これに伴い、ビームスプリッタ13a,13b,13c,13dも、4個のLD7a,7b,7c,7dに対応して設けられ、それぞれが、LD7a,7b,7c,7dの出射光を、光マルチプレクサ11及び各PD17a,17b,17c,17dに向けて2つに分岐する。さらに、4個のパワーモニタ回路19a,19b,19c,19dが設けられ、それぞれが、各PD17a,17b,17c,17dの出力する光電流を電圧信号に変換して、その電圧信号を、各A/D変換器27a,27b,27c,27dを介して、各LD7a,7b,7c,7dの出射光の強度を制御する制御ユニットであるAPC回路35a,35b,35c,35dに入力する。
4チャネルのLD7a,7b,7c,7dが1つの発光モジュールのパッケージに搭載されている場合、特にモニタ用PD或いはLDが近接して配置されている場合には、各PD17a,17b,17c,17dは対応するLD7a,7b,7c,7dの出射光のみを検知するのではなく、隣接するLDの出射光も一部検知してしまう。検知される強度の大部分は対応するLDの出射光の強度に依存するが、100%を保証するのは困難である。そのような場合には、PD17a,17b,17c,17dの出力をベースにLD7a,7b,7c,7dの発光強度を決定すると、その精度を担保することができない。図4に示す構成においては、各PD17a,17b,17c,17dの出力には、LD7a,7b,7c,7dが生成する光信号の4つの波長を含む一方、各波長の光信号はそれぞれ対応したディザー信号の周波数f〜fの信号を含んでいる。そして、各PD17a,17b,17c,17dの出力は、それぞれ、対応するTIAに入力されて電圧値に変換される。さらに、この電圧に対してロックイン操作が行われ、周波数f〜fの成分だけが抽出される。この抽出値は、対応する各LD7a,7b,7c,7dのみの出射光強度を反映しているので、ロックインアンプの出力を基に各LD7a,7b,7c,7dへのバイアス電流を調整することができる。
発光モジュール1A,1Bにおいては、各LD7a,7b,7c,7dへのバイアス電流の調整を同時に行っているのに対して、発光モジュール1ではバイアス電流調整が間欠的に時分割で行われている。従って、同時並行でバイアス電流調整を実行する発光モジュール1A,1Bによれば、バイアス電流の応答性能を向上させることができる。その反面、ロックイン回路がレーン数に対応して必要になり、デジタルコアの回路規模の増大を招いてしまう。その場合は、例えば、2レーンごとに1つのロックイン回路を備えることにより、回路規模を小さくすることも可能である。
また、図5に示す本発明の変形例に係る発光モジュール1Cのような構成を採用してもよい。すなわち、図1に示した発光モジュール1に比較して、ロックイン動作を行うコントローラ21の構成が異なる。発光モジュール1では、ディザー信号源29と乗算器33との間に、TIAの検知信号とディザー信号との間の位相を合せるための遅延素子を必要としていた。本実施形態にかかる発光モジュール1Cでは、PD17の出力がディザー信号に対して大きく位相を異ならせる要素を含んでいないので、検知信号の位相はほぼディザー信号の位相に一致する。しかしながら、検知信号の位相がディザー信号の位相と異なる可能性、特に、ディザー信号をアナログ信号に変換するD/A変換で遅延を生じる可能性が残る。その場合、個々のレーンにおいて位相を一致させるために遅延の調整を行うことは、煩わしい調整が必要となってしまう。
同図に示す発光モジュール1Cは、ディザー信号源29の出力が二分され、一方の出力に接続されて90度の位相遅延を生じさせる遅延部(位相調整回路)31Cと、遅延部31Cの出力に接続される乗算器33gと、ディザー信号源の他方の出力に接続される乗算器33fと、乗算器33fの出力に接続されるLPF45fと、乗算器33gの出力に接続されるLPF45gと、LPF45f,45gの出力を加算する加算器59とを備えている。そして、乗算器33f、33gには、A/D変換器27を介してPD17の生成する光電流に対応する信号が入力され、加算器59の出力は選択回路34を経由していずれかのAPC回路35a,35b,35c,35dに入力される。
このような構成では、ディザー信号源29の出力が二分されて一方の出力と他方の出力との間には90度の位相差が設定される。そして、乗算器33f,33gのそれぞれにおいて、PD17によるモニタ信号とディザー信号源29からの2つの出力との積演算が行われる。ディザー信号源29の一方の出力と積演算した結果は余弦成分(cos成分)となり、90度の位相差を持つ他方の出力と積演算した結果は正弦成分(sin成分)となる。そして、加算器59により2つの演算結果の和をとることにより、モニタ信号の強度をその位相に関係なく検知できる。
また、図5に示した発光モジュール1Cのロックイン回路の構成は、発光モジュール1A,1Bにおいて採用されてもよい。
また、図6に示す本発明の変形例に係る発光モジュール1Dのような構成を採用してもよい。すなわち、図1〜図5に示した発光モジュール1,1A,1B,1Cに比較して、電気ユニット部5の一部或いは全部が、パッケージ上に設けられる入出力端子T1〜T6を経由して発光モジュール1Dの内部と接続されることにより、発光モジュール1Dの外部に設けられるように構成されてもよい。光源が搭載される装置に関する業界規格であるQSFP+規格等では、TOSAのパッケージの小型化が常に要請されており、TOSA内に制御系を搭載することが非常に困難である。そのような要請に応えるために、TOSA内には複数個のLD、これに対応するドライバ回路、及びモニタ用PDのみを搭載して、ディザー信号に関する処理をTOSA外で行うことも有効である。TOSAのパッケージの接続ピン数は増大(少なくともチャネル数の各LDに対するバイアス電流供給用の接続ピン数分は増大)するも、複雑な信号処理系をTOSA外に出すことにより、TOSA内部は非常にコンパクトにすることができる。
上述した発光モジュール1,1A,1B,1C,1Dのように、バイアス電流にAC分を重畳することは、LD出射光の分散の観点からは、チャープによる線幅が増大してしまうため好ましくはない。従って、重畳するAC分は可能な限り小さくすべきである。すなわち、変調度(AC電流/DC電流)は1%或いはそれ以下と設定されることが好ましい。あるいは、LDが直変駆動されているときは、その出射光の消光比、特にオンレベルとオフレベル、特にオンレベルのレベル幅の増大につながる。変調度を小さく設定することは、モニタ光のAC成分も小さくなることを意味する。従って、単にモニタ信号を対象とする高周波信号のみを通過させるバンドパスフィルタを介して検出しただけでは、S/N比が低下してしまい、良好なモニタ信号の再生が実現できない。そこで、ロックインアンプの構成を採用する意義が生じる。ロックインアンプは、等価的には超狭帯域バンドパスフィルタとみなすことができる。すなわち、参照信号に対して周波数が実質一致した周波数成分(厳密には参照信号の位相に一致した成分)の強度のみを検出することができるアンプである。つまり、周波数がシフトしている場合は、両者の位相が一致していないので検知しない。本実施形態によれば、互いに異なる波長で発振するLD光源を有する発光モジュールにおいて、個々のLDの発光強度を精度よく制御することが可能になる。
以上、本発明に係る好適な実施形態について図示し説明してきたが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではない。すなわち、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。
1,1A,1B,1C,1D…発光モジュール、3…光学ユニット部、5…電気ユニット部、7a,7b,7c,7d…LD(発光素子)、11…光マルチプレクサ、17,17a,17b,17c,17d…PD(受光素子)、21…コントローラ(制御回路)、29…ディザー信号源、31,31C…遅延部(位相調整回路)、33,33f,33g…乗算器、41…選択回路(出力回路)、35a,35b,35c,35d…APC回路(制御ユニット)。

Claims (7)

  1. 互いに異なる波長成分の光を生成する複数の発光素子と、
    前記複数の発光素子の出力光を多重化する光マルチプレクサと、
    前記光マルチプレクサの出力光を検知する受光素子と、
    前記複数の発光素子の出力光の強度を制御する制御回路と、を備え、
    前記制御回路は、
    低周波の信号を生成する信号源と、
    前記複数の発光素子それぞれに対応して設けられる複数のバイアス制御回路と、
    前記低周波の信号を前記複数のバイアス制御回路のうちの1つの出力に重畳させる出力回路と、を有し、
    前記制御回路は、前記複数のバイアス制御回路のうちの1つによって供給されるバイアス電流に前記低周波の信号を重畳し、前記受光素子から出力されたモニタ信号の前記低周波の成分を抽出し、抽出した信号を基に前記バイアス電流を制御する、
    多波長光源装置。
  2. 前記出力回路は、前記低周波の信号を前記複数の発光素子のうちの1つに選択的に出力する選択回路であり、
    前記制御回路は、前記選択回路によって選択された前記発光素子に対応する前記バイアス制御回路によって供給されるバイアス電流を制御する、
    請求項1記載の多波長光源装置。
  3. 前記制御回路は、前記低周波の信号の位相を調整する位相調整回路をさらに有し、
    前記モニタ信号と前記位相調整回路の出力信号の積演算を行うことにより、前記低周波の成分を抽出する、
    請求項1又は2に記載の多波長光源装置。
  4. 前記位相調整回路は、前記低周波の信号と前記出力信号との位相差を90度に設定し、
    前記制御回路は、前記モニタ信号と前記低周波の信号及び前記出力信号のそれぞれとの積演算を行い、それぞれの積演算結果を加算することにより前記低周波の成分を抽出する、
    請求項3記載の多波長光源装置。
  5. 互いに異なる波長成分の光を生成する複数の発光素子と、
    前記複数の発光素子それぞれの出力光を検知し複数のモニタ信号を出力する複数の受光素子と、
    前記複数の発光素子それぞれの出力光の強度を制御する複数の制御ユニットを含む制御回路と、を備え、
    前記複数の制御ユニットのそれぞれは、
    低周波の信号を生成する信号源と、
    バイアス制御回路と、
    前記低周波の信号を前記バイアス制御回路の出力に重畳させる出力回路と、を有し、
    前記制御ユニットのそれぞれは、前記バイアス制御回路によって供給されるバイアス電流に前記低周波の信号を重畳し、前記発光素子に対応する前記受光素子から出力されたモニタ信号の前記低周波の成分を抽出し、抽出した信号を基に前記バイアス電流を制御する、
    多波長光源装置。
  6. 前記制御ユニットは、前記低周波の信号の位相を調整する位相調整回路をさらに有し、
    前記モニタ信号の位相と前記低周波の信号の位相を一致させて前記低周波の成分を抽出する、
    請求項5記載の多波長光源装置。
  7. 前記制御ユニットは、前記低周波の信号と位相差が90度に設定された出力信号を出力する位相調整回路をさらに有し、
    前記モニタ信号と前記低周波の信号及び前記出力信号のそれぞれとの積演算を行い、それぞれの積演算結果を加算することにより前記低周波の成分を抽出する、
    請求項5記載の多波長光源装置。
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