JP2015193892A - 成形性に優れた高強度冷延薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents

成形性に優れた高強度冷延薄鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】引張強さTS:980MPa以上で、成形性に優れた高強度冷延薄鋼板を提供する。
【解決手段】基板表面に、適正粒径の鉄基粒子を500〜1000℃の作動ガスに混合し、ノズルを用いて吹き付けるコールドスプレー法を用い適正厚さの堆積層を形成した薄鋼板を焼鈍用原板とし、基板部が、質量%で、C:0.10%以上で、Mneqが2.5以上、堆積層が、質量%で、C:0.20%未満で、Mneqが2.5未満を満足する組成を有する薄鋼板とし、この焼鈍用原板に圧下率:20〜90%の冷間圧延、及び700〜900℃で焼鈍する焼鈍処理を施し、基板が冷延鋼板である場合には、焼鈍処理のみを施すことにより、これにより基板部がビッカース硬さで300HV以上の硬さを有し、軟質層がビッカース硬さで300HV未満の硬さを有する層であり、この様な軟質層を適正厚さ存在させた、成形性に優れた高強度冷延薄鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車等、輸送機器の構造部材用として好適な薄鋼板に係り、とくに引張強さTS:980MPa以上の高強度を有しながら、延性や曲げ性などの成形性に優れた高強度冷延薄鋼板を製造するための焼鈍用原板およびそれを利用した高強度冷延薄鋼板およびその製造方法に関する。
近年、地球環境の保全という観点から、自動車の燃費向上が要望され、自動車車体の軽量化が指向されて、自動車部材への高強度鋼板の適用が進められている。さらに最近では、衝突時の乗員の安全性確保という観点から、引張強さTS:980MPa以上と特に高い強度領域で、かつ板厚の薄い高強度鋼板の自動車構造部材への適用が積極的に進められている。
しかしながら、一般的に、鋼板を高強度化すると、延性や曲げ性などの加工性(成形性)が低下する。そのため、高強度と優れた成形性とを兼備する高強度鋼板が強く要望されている。
このような要望に対して、例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.005〜1.0%、Mn:1.0〜3.1%、Al:0.005〜1.2%を含み、P、S、Nを所定値以下に調整し、AlとSiが、0.3≦0.7×[Si]+[Al]≦1.5なる関係を満足する組成を有し、フェライトとマルテンサイトを含む金属組織を有し、ナノインデンターを用いて100箇所以上で測定された硬度に関連する式で定義される平均値Yaveが40以上である成形性に優れた高強度鋼板が記載されている。特許文献1に記載された技術で製造された鋼板は、延性を示す指標である、引張強さTSと全伸びElとの積TS×Elが16000MPa%を超える、優れた成形性を有するとしている。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.1%以下、S:0.03%以下、Al:0.01〜1.0%、N:0.01%以下を含む組成を有し、鋼組織が、面積%で、ベイニティックフェライトと焼戻マルテンサイトの合計で65%以上、フレッシュマルテンサイトを3〜18%、残留オーステナイトを5%以上、およびポリゴナルフェライトを5%以下(0%を含む)を満たし、かつ、平均KAMが1.00°以下で0.50゜以上を満たす、引張強さが980MPa以上である成形性および形状凍結性に優れた高強度冷延鋼板が記載されている。特許文献2に記載された技術で製造された鋼板は、TS×Elが16000MPa%を超える、優れた成形性を有するとしている。
また、特許文献3には、質量%で、C:0.10〜0.3%、Si:1.0〜3%、Mn:1.5〜3%、Al:0.005〜3%、P:0.1%以下、S:0.05%以下を含む組成の鋼材を、Ac3点以上の温度で50s間以上保持して均熱した後、300℃以上400℃未満の温度範囲までを平均冷却速度15℃/s以上で冷却し、300℃以上400℃未満の温度範囲で5〜180s間保持し、次いで400℃以上540℃以下の温度域に加熱し、この温度域で50s間以上保持してから冷却する、加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法が記載されている。得られる高強度鋼板は、20〜80面積%の高温域生成ベイナイト、20〜80面積%の低温域生成ベイナイトと焼戻マルテンサイトを含み、高温域生成ベイナイト、低温域生成ベイナイトと焼戻マルテンサイトの合計で70面積%を満足し、3体積%以上の残留オーステナイトからなる組織を有し、伸び、穴広げ性および曲げ性に優れるとしている。
また、特許文献4には、質量%で、C:0.12〜0.22%、Si:0.8〜1.8%、Mn:2.2〜3.2%を含み、P、S、Nを適正値以下に調整し、Al:0.005〜0.08%、Ti:0.001〜0.040%、B:0.0001〜0.0020%を含む成分組成からなる鋼スラブを、熱間圧延し、酸洗後、350〜650℃の温度域で1回目の焼鈍を施し、ついで冷間圧延後、820〜900℃の温度域で2回目の焼鈍を施し、引続き720〜800℃の温度域で3回目の焼鈍を施したのち、冷却速度:10〜89℃/sで冷却停止温度:300〜500℃まで冷却し、この温度で100〜1000s保持し、再度、100〜300℃の温度域で4回目の焼鈍を施す成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法が記載されている。これにより、金属組織の体積分率の調整や形態の制御ができ、高価な合金元素であるNbやV、Cu、Ni、Cr、Moを含有しない成分系においても、伸びおよび伸びフランジ性、さらには曲げ性が向上した、引張強さTSが1180MPa以上の高強度冷延鋼板が得られるとしている。また、得られた高強度冷延鋼板は、TS×Elが20000MPa%以上であり、成形性に優れる鋼板であるとしている。
また、特許文献5には、質量%で、C:0.16〜0.26%、Si:1.2〜2.2%、Mn:2.6〜3.6%を含み、P、S、Nを調整し、Al:0.005〜0.08%、Ti:0.001〜0.040%、B:0.0001〜0.0020%を含む成分組成からなる鋼スラブを、熱間圧延後、400〜800℃の温度域で1回目の焼鈍を施し、冷間圧延し、ついで、760〜860℃の温度域で2回目の焼鈍を施し、冷却速度:10〜80℃/sで冷却停止温度:300〜500℃まで冷却し、この温度域に100〜1000s保持したのち、冷却しその後、200〜400℃の温度域で3回目の焼鈍を施す加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法が記載されている。これにより、金属組織の体積分率の調整や形態の制御ができ、高価な希少金属を含有させることなく、伸びおよび伸びフランジ性、さらに曲げ性などの加工性が向上した、引張強さTSが1180MPa以上の高強度冷延鋼板が得られるとしている。得られた高強度冷延鋼板は、TS×Elが20000MPa%以上であり、加工性に優れる鋼板であるとしている。
また、特許文献6には、質量%で、C:0.12〜0.3%、Si:0.5%以下、Mn:1.5%未満、Al:0.15%以下を含み、N、P、Sを調整して含む組成と、鋼組織をマルテンサイト単一組織として、かつ、鋼板の表面から(板厚×0.1)深さまでの表層域において、介在物群のサイズや分布を特定範囲に制御した曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板が記載されている。特許文献6に記載された技術では、上記した介在物群の形態は、熱間圧延時における約950℃以下の温度域での圧延時の圧下率および冷間圧延時の圧下率の合計圧下率が97%未満と制御することにより達成できるとしている。
また、特許文献7には、質量%で、C:0.10〜0.3%、Si:1.0〜3%、Mn:1.5〜3%、Al:0.005〜0.2%、P:0.1%以下、S:0.05%以下を含む組成の鋼材を、Ac3点以上の温度に加熱したのち、50s以上均熱する工程と、400〜540℃の温度域の温度まで15℃/s以上で冷却する工程と、400〜540℃の温度域で5〜100s間保持する工程と、200℃以上400℃未満の温度域で200s間以上保持する工程を行う加工性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法が記載されている。得られる高強度冷延鋼板は、20〜80面積%の高温域生成ベイナイト、20〜80面積%の低温域生成ベイナイトと焼戻マルテンサイトを含み、高温域生成ベイナイト、低温域生成ベイナイトと焼戻マルテンサイトの合計で70面積%を満足し、3体積%以上の残留オーステナイトからなる組織を有し、引張強さTSが980MPa以上で、伸び、伸びフランジ性および曲げ性の全てがバランス良く向上した加工性全般に優れた高強度冷延鋼板であるとしている。
また、特許文献8には、質量%で、C:0.07〜0.20%、Si:0.005〜1.5%、Mn:1.0〜3.1%、P:0.001〜0.06%、S:0.001〜0.01%、N:0.0005〜0.01%、Al:0.005〜1.2%を含み、C、Mnと、狙いの強度値TSとが特定の関係を満足し、さらに、ナノインデンターにて100点以上の箇所で硬度測定を行い、硬度分布が特定の関係式を満足し、金属組織がフェライトとマルテンサイトとを含有する、加工性に優れた高強度鋼板が記載されている。特許文献8に記載された技術では、冷間圧延後の連続焼鈍工程での焼鈍処理条件を特定条件に適正化することにより、上記した特性を有する加工性に優れた高強度鋼板が得られるとしている。
また、特許文献9には、質量%で、C:0.12〜0.3%、Si:0.5%以下、Mn:1.5〜3.0%、Al:0.15%以下を含み、N、P、Sを調整して含む組成と、鋼組織をマルテンサイト単一組織として、かつ、鋼板の表面から(板厚×0.1)深さまでの表層域において、介在物群のサイズや分布を制御することによる曲げ加工性に優れた高強度冷延鋼板が記載されている。特許文献9に記載された技術では、上記した介在物群の形態は、熱間圧延時における約950℃以下の温度域での圧延時の圧下率および冷間圧延時の圧下率の合計圧下率が97%未満と制御することにより達成できるとしている。
特許4860784号公報 特開2013-227654号公報 特開2013-227653号公報 特開2013-185196号公報 特開2012-237042号公報 特開2011-246746号公報 特開2011-157583号公報 特開2011-144409号公報 特開2010-236053号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載された技術で、引張強さTS:980MPa以上の超高強度鋼板を得ようとすると、伸び値が低下し、延性を表す強度−伸びバランスTS×Elが、20000MPa%未満となり、成形性に問題を残していた。さらに、特許文献1,2に記載された技術では、超高強度鋼板でとくに重要と考えられている曲げ性については、なんの考慮もなされていない。
また、特許文献3,7に記載された技術では、引張強さTS:980MPa以上の強度を示す980MPa級高強度鋼板で、TS×Elが20000MPa%を超える例が示されているが、1180MPa級では、TS×Elは高々21000MPa%、1270MPa級では20000MPa%未満となり、高強度になるほどTS×Elが低くなるという問題がある。さらには特許文献3,7に記載された技術では、曲げ性の評価を行っているが、JIS規格に準拠した目視による割れ判定になっており、最近、問題になっている、肉眼で認識できない微細割れまでの評価を行っておらず、肉眼で認識できない微細割れまでを防止できるほどの成形性を有しているかは不明である。
また、特許文献4,5に記載された技術では、TS:1180MPa級の高強度で、延性を表すTS×Elが21000MPa%以上を有する高強度鋼板の例が示されているが、得られるTS×Elは高々22000MPa%未満程度までであり、さらに優れた成形性を有する高強度鋼板についての例示はない。また、引張強さも1180MPa級に限定されており、より高い強度の鋼板についてまでの検討はなされていない。さらに、特許文献4,5に記載された技術では、曲げ性の評価を行っているが、JIS規格に準拠した目視による割れ判定になっており、最近、問題になっている、肉眼で認識できない微細割れまでの評価を行っておらず、肉眼で認識できない微細割れまでを防止できるほどの成形性を有しているかは不明である。
また、特許文献6,9に記載された技術では、曲げ性については充分な配慮が成されているが、組織をマルテンサイト単相としており、延性に乏しく、全伸び(El)が10%未満で、延性が非常に乏しいという問題がある。
また、特許文献8に記載された技術で製造された高強度鋼板では、延性を表す強度−伸びバランスTS×Elが、20000MPa%を超える例が示されているが、引張強さTSが980MPa未満の場合に限られ、TS:980MPa以上の高強度領域では、TS×Elは20000MPa%未満となっている。さらに、TS:980MPa以上の高強度領域では、延性(伸び)も低く、成形性が低下している。
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みて、引張強さTS:980MPa以上の高強度を有し、かつ延性や曲げ性などの、成形性に優れた高強度冷延薄鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
なお、ここでいう「成形性に優れた」とは、強度−伸びバランスTS×Elが18000MPa%以上である場合をいうものとする。また、ここでいう「薄鋼板」とは、板厚5mm以下である鋼板をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、引張強さTS:980MPa以上を有する高強度鋼板の成形性に及ぼす各種要因について鋭意検討した。その結果、高強度鋼板を基板にして、該基板の表面に成形性に富む軟質層を形成することにより、すなわち、板厚方向に特性が変化する材料とすることにより、相反する特性である強度と成形性の両立が可能となることに見出した。
本発明者らは、高強度を有する基板部とその表面に形成された軟質層を有する材料(鋼板)では、塑性変形に際し、基板部が軟質層により拘束されながら、変形するため、基板部(鋼板)が単体で塑性変形するのに比較して、格段に延性が改善するものと考えた。
本発明者らは、界面の密着性や、生産性の問題から、従来とは異なる製造プロセスを適用して、上記したような板厚方向に特性が変化する材料を製造することに思い至った。
従来とは異なる製造プロセスとして、本発明者らは、コールドスプレー法に着目した。
コールドスプレー法は、表面改質技術の一つであり、低温の高速作動ガスによって粒子を加速させて、基材表面に皮膜を形成するために利用されている(例えば、榊和彦:表面技術、vol.59、N0.8、2008、p.490〜494)。
本発明者らは、コールドスプレー法の製造条件や、使用する基板、使用する粒子の性質を厳密に制御して、より厚みのある層構造を形成する手段として利用することに思い至った。そして、本発明者らは、低温の高速作動ガスによって粒子を加速させて、基材表面に衝突させ、堆積させるというコールドスプレー法の技術的特徴から、得られる層(堆積層)が、空隙が少なく所望の厚さに制御でき、かつ優れた界面密着性をも実現できることを見出した。
また、本発明者らは、更なる検討により、引張強さTS:980MPa以上の高強度を有しながら、TS×Elが18000MPa%以上を有する薄鋼板とするためには、最終的に、基板部が質量%でC:0.10%以上で、かつビッカース硬さが300HV以上となること、さらに基板表面に形成される堆積層が、C:0.20%未満で、かつビッカース硬さが300HV未満となることが必要であることを知見した。
さらに、本発明者らは、基板表面にコールドスプレー法を用いて堆積層を形成した薄鋼板を焼鈍用原板とし、当該焼鈍用原板に冷間圧延と熱処理(焼鈍処理)を、あるいは熱処理(焼鈍処理)を施して基板部の材質を調整すれば、用途に適応した、高強度と高延性とを兼備した高強度冷延薄鋼板が容易に製造できることを見出した。基板が熱延薄鋼板であれば冷間圧延と熱処理とを、基板が冷延薄鋼板(冷延まま)であれば熱処理のみを、施すことで、基板部の材質を調整することができる。
堆積層を形成したのちに、冷間圧延と熱処理、あるいは熱処理のみを施せば、基板と堆積層との界面近傍で相互拡散が生じ、界面の密着性を効果に高めることができ、また、堆積層では加工(冷間圧延)後の、回復、再結晶によりさらに軟質化が促進され、また、板厚中央の基板部では、加工と熱処理により強度の高い組織に調整することができ、高強度と優れた延性を兼備した高強度冷延薄鋼板とすることができることを知見した。
また、基板を、冷延薄鋼板、とくに冷延圧下率:20〜90%の冷間圧延を施されたままの冷延鋼板とすることにより、焼鈍処理を施すのみで、高強度と優れた延性を兼備した高強度冷延薄鋼板とすることができることを知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、つぎの通りである。
(1)基板部と、該基板部の少なくとも一方側にコールドスプレー法による堆積層を有してなる薄鋼板製焼鈍用原板であって、前記基板部が、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を次(1)式
Mneq=Mn+0.26×Si+1.3×Cr+3.5×P+2.68×Mo+180×B+0.37×Ni+0.46×Cu ‥‥(1)
(ここで、Mn、Si、Cr、P、Mo、B、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%))
で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する熱延薄鋼板からなり、前記堆積層が、質量%で、C:0.20%未満を含み、合金元素を前記(1)式で定義されるMneqが2.5未満を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする焼鈍用原板。
(2)(1)において、前記基板部に代えて、基板部が、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を前記(1)式で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する冷延薄鋼板からなることを特徴とする焼鈍用原板。
(3)基板の少なくとも一方の表面にコールドスプレー法による堆積層を形成してなる薄鋼板製焼鈍用原板の製造方法であって、前記基板を、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を次(1)式
Mneq=Mn+0.26×Si+1.3×Cr+3.5×P+2.68×Mo+180×B+0.37×Ni+0.46×Cu ‥‥(1)
(ここで、Mn、Si、Cr、P、Mo、B、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%))
で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する熱延薄鋼板とし、前記堆積層が、前記基板の少なくとも一方の表面に、質量%でC:0.20%未満で、かつ前記(1)式で定義されるMneqが2.5未満を満足する鉄基粒子を、加熱した作動ガスと混合したのち、スプレーノズルを用いて吹付けるコールドスプレー法で形成してなることを特徴とする焼鈍用原板の製造方法。
(4)(3)において、前記鉄基粒子が、粒子径:1〜100μmであることを特徴とする焼鈍用原板の製造方法。
(5)(3)または(4)において、前記加熱した作動ガスの温度が、500〜1000℃の範囲の温度であることを特徴とすることを特徴とする焼鈍用原板の製造方法。
(6)(3)ないし(5)のいずれかにおいて、前記基板に代えて、基板を、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を前記(1)式で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、冷間圧下率:20〜90%とする冷間圧延を施されてなる冷延薄鋼板とすることを特徴とする焼鈍用原板の製造方法。
(7)(1)に記載の焼鈍用原板に、さらに冷間圧延と、焼鈍処理とを施してなる基板部と該基板部の少なくとも一方の側に軟質層を有する冷延薄鋼板であって、前記基板部が、質量%で、C:0.10%以上を含み、ビッカース硬さで300HV以上の硬さを有し、前記軟質層が、質量%で、C:0.20%未満を含み、ビッカース硬さで300HV未満の硬さを有する層であることを特徴とする成形性に優れた高強度冷延薄鋼板。
(8)(2)に記載の焼鈍用原板に、さらに、焼鈍処理を施してなる基板部と該基板部の少なくとも一方の側に軟質層を有する冷延薄鋼板であって、前記基板部が、質量%で、C:0.10%以上を含み、ビッカース硬さで300HV以上の硬さを有し、前記軟質層が、質量%で、C:0.20%未満を含み、ビッカース硬さで300HV未満の硬さを有する層であることを特徴とする成形性に優れた高強度冷延薄鋼板。
(9)(7)または(8)において、前記軟質層が、表裏面の合計で、前記基板部の厚さに対する比率で0.10〜0.80の厚さを有することを特徴とする高強度冷延薄鋼板。
(10)(7)ないし(9)のいずれかにおいて、前記軟質層が、気孔率:10%未満であることを特徴とする高強度冷延薄鋼板。
(11)(7)ないし(10)のいずれかにおいて、前記基板部が、板厚中央位置で残留γ相を体積率で3%以上含むことを特徴とする高強度冷延薄鋼板。
(12)(7)ないし(11)のいずれかにおいて、前記高強度冷延薄鋼板が、引張強さTS:980MPa以上を有し、かつ強度−伸びバランスTS×Elが18000MPa%以上を有することを特徴とする高強度冷延薄鋼板。
(13)(3)ないし(5)のいずれかに記載の焼鈍用原板の製造方法により製造された焼鈍用原板に、さらに冷延圧下率:20〜90%の冷間圧延と、ついで、焼鈍温度:700〜900℃に加熱する焼鈍処理とを施すことを特徴とする成形性に優れた高強度冷延薄鋼板の製造方法。
(14)(6)に記載の焼鈍用原板の製造方法により製造された焼鈍用原板に、さらに焼鈍温度:700〜900℃に加熱する焼鈍処理を施すことを特徴とする成形性に優れた高強度冷延薄鋼板の製造方法。
本発明によれば、自動車構造部材に適用可能な、引張強さTS:980MPa以上の高強度と、延性や曲げ性などの優れた成形性とを兼備する高強度薄鋼板を容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明高強度冷延薄鋼板を自動車構造部材に適用すれば、より一層の乗員の安全性確保ができるとともに、大幅な車体軽量化が可能で、より一層の燃費向上を図ることが期待できるという効果もある。
本発明高強度冷延薄鋼板は、基板部と、該基板部の少なくとも一方の側に軟質層を有する冷延薄鋼板である。
まず、本発明高強度冷延薄鋼板の製造方法について説明する。
本発明高強度冷延薄鋼板は、焼鈍用原板に、冷間圧延および焼鈍処理、あるいは焼鈍処理、を施して製造される。
そして、焼鈍用原板は、基板の少なくとも一方の表面にコールドスプレー法による堆積層を形成してなる薄鋼板とする。
基板とする薄鋼板は、最終製品の強度に大きく影響するため、最終製品の所望強度に対し十分な強度を保持する熱延薄鋼板、または冷延薄鋼板(未焼鈍板)とする必要がある。なお、基板の板厚は、目的や用途に応じて適宜設定できる。基板とする薄鋼板の製造方法としては、公知の薄鋼板の製造方法がいずれも適用でき、とくに限定する必要はないが、例えば、熱延鋼板では、連続鋳造法、造塊法、薄スラブ鋳造法などにより製造されたスラブを、再加熱して粗圧延および仕上圧延を行う熱間圧延を施し、引続き、ランアウトテーブル上で所定の冷却を施し、巻き取る方法が、また、冷延鋼板では、熱延鋼板にさらに、酸洗によりスケールを除去したのち、冷間圧延を施す方法が、例示できる。
そして、本発明では基板として、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を次(1)式
Mneq=Mn+0.26×Si+1.3×Cr+3.5×P+2.68×Mo+180×B+0.37×Ni+0.46×Cu ‥‥(1)
(ここで、Mn、Si、Cr、P、Mo、B、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%))
で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する熱延薄鋼板、または、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を前記(1)式で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する冷延薄鋼板、を使用する。なお、ここで、基板として使用する冷延薄鋼板は、冷間圧下率:20〜90%とする冷間圧延を施されてなる未焼鈍板とする。なお、(1)式を計算するに際しては、表示された元素のうち、含有しない元素については零として計算するものとする。
つぎに、基板の組成限定理由について説明する。
C:0.10質量%以上
Cは、固溶強化により、さらには焼入れ性の向上を介して、鋼を強化する作用を有する重要な元素で、所望の高強度を確保するために0.10質量%以上の含有を必要とする。Cが0.10%未満では、最終製品(薄鋼板)で引張強さTS:980MPa以上を確保することが困難になる。このため、基板のCを0.10質量%以上に限定した。なお、好ましくは0.15質量%以上である。基板のCの上限はとくに限定しないが、所望の溶接性、靭性を確保する観点から、0.7質量%をその上限とすることが好ましい。より好ましくは0.7質量%未満である。
Mneq:2.5以上
Mneqは、(1)式で定義され、焼入れ性の程度を示す指標であり、Mneq値が大きいほど焼入れ性が高く、焼鈍処理後の冷却で低温変態相を生成しやすく、高強度が得やすくなる。Mneqが2.5未満では、焼鈍処理で軟質な変態相が生成され、最終製品での強度が所望の高強度(TS:980MPa以上)を確保することが困難となる。
C以外の合金元素は、例えば、Si、Mn、P、S、Al、N、Ti、Nb、V、Cr、Mo、Ni、Cu、B、Ca等、上記したMneqを満足する範囲内で、所望の特性(強度)に応じて、適宜含有できる。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
なお、詳しくは具体的に、基板の組成は、質量%で、C:0.10〜0.70%、Si:0.001〜2.0%、Mn:1.0〜5.0%、P:0.001〜0.10%、S:0.0001〜0.005%、Al:0.001〜1.0%、N:0.001〜0.02%、を含み、あるいはさらにCu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、Ti:0.001〜0.2%、Nb:0.001〜0.2%、V:0.001〜0.2%、B:0.0001〜0.005%のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.01%のうちから選ばれた1種または2種、を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する薄鋼板とすることが好ましい。
このようなことから、基板は、C:0.10質量%以上を含み、合金元素をMneqが2.5以上を満足するように含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する熱延薄鋼板、または冷延薄鋼板とした。
本発明では、このような薄鋼板を基板とし、該基板の少なくとも片面に、鉄基粒子を用いたコールドスプレー法で所定厚さの堆積層を形成し、焼鈍用原板とする。
本発明で使用するコールドスプレー法は、鉄基粒子を、所定の温度に加熱した作動ガスと混合して、スプレーノズルから、基板に高速で衝突させて、堆積層を得る方法である。本発明で使用する装置はとくに限定する必要はなく、常用のコールドスプレー装置がいずれも適用できる。
コールドスプレー装置は、例えば、作動ガス供給装置、作動ガス加熱装置(ヒータ)、粒子供給装置、作動ガスと粒子を混合させるスプレーガンおよび粒子を基板に吹き付けるノズル等から構成される。ノズルには、堆積厚さを調整可能なように、走査速度を制御可能な構成が付設されていることはいうまでもない。なお、作動ガスは、通常、ヘリウム、窒素、大気、あるいはそれらの混合ガスを用いる。
本発明では、使用する粒子は鉄基粒子とする。使用する鉄基粒子は、質量%でC:0.20%未満で、かつ次(1)式
Mneq=Mn+0.26×Si+1.3×Cr+3.5×P+2.68×Mo+180×B+0.37×Ni+0.46×Cu ‥‥(1)
(ここで、Mn、Si、Cr、P、Mo、B、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%))
で定義されるMneqが2.5未満を満足する鉄基粒子とする。なお、(1)式を計算するに際しては、表示された元素のうち、含有しない元素については零として計算するものとする。
本発明では最終製品(高強度薄鋼板)が優れた成形性を確保するために、焼鈍用原板に焼鈍処理を施して得られる薄鋼板の軟質層が、基板部に対して充分に高い塑性変形能を有することが要求される。このため、コールドスプレー時に鉄基粒子を基板に衝突させて、高温状態で堆積する際に、あるいはコールドスプレー後の焼鈍処理時に、低温変態相などの硬質な組織が発現することを回避する必要がある。
このようなことから、本発明では、使用する鉄基粉末を、C:0.20質量%未満で、かつMneqが2.5未満の鉄基粉末とした。
上記したように、「Mneq」は、鋼の焼入れ性を示す指標で、この値が大きいほど焼入れ性が高く、コールドスプレー処理あるいは焼鈍処理を施され、冷却された後に、高い硬さを示しやすくなる。
鉄基粉末のC含有量が、0.20質量%以上では、堆積層が硬質化するとともに、焼鈍処理後の冷却で硬質化しやすくなり、軟質層の塑性変形能が低下し、軟質層による成形性向上効果が十分に発現しにくくなる。また、C:0.20質量%未満としても、鉄基粉末のMneqが2.5以上となると、硬化する部分が生じ、延性が著しく低下し、堆積層による成形性向上効果が充分に発揮できない。このようなことから、使用する鉄基粒子は、C:0.20質量%未満で、かつMneqが2.5未満の鉄基粉末とした。なお、鉄基粒子の組成は、粒子全体の平均的な値を用いるものとする。
なお、使用する鉄基粒子は、コールドスプレー法で形成された堆積層が上記した堆積層組成が得られるような組成を有する粒子とする。
好ましい堆積層組成としては、具体的に、質量%で、C:0.20%未満、Si:0.001〜1.0%、Mn:0.01〜2.0%、P:0.001〜0.03%、S:0.0001〜0.003%、Al:0.001〜0.1%、N:0.001〜0.005%を含み、あるいはさらにCu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、Ti:0.001〜0.05%、Nb:0.001〜0.05%、V:0.001〜0.2%、B:0.0001〜0.002%のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.01%のうちから選ばれた1種または2種、を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することが好ましい。
また、使用する鉄基粒子は、粒子径:1〜100μmであるものとする。
使用する粒子の径が100μmを超えて大きい場合には、コールドスプレー法により形成される堆積層中に比較的に大きな空隙を有するようになり、基板部との密着性が低下する。このため、堆積層(その後の焼鈍により軟質層となる)による塑性拘束作用が充分に得られない。粒子径が1μm未満と小さい場合には、スプレーによる直進性が損なわれたり、短時間あたりの堆積量が低下するなど、所望の堆積層が充分に形成されない。このため、使用する鉄基粒子の粒子径を1〜100μmの範囲に限定した。なお、好ましくは10〜80μmである。ここで、「粒子径」とは、例えばレーザ回折・散乱法などを用いて粒度分布測定を行ない、粒径と累積(積算)個数分布の関係で、累積個数が50%となる粒子径(メジアン径:d50)をいう。
つぎに、本発明で適用するコールドスプレー条件について説明する。
本発明で適用するコールドスプレー法は、鉄基粒子を、加熱した作動ガスと混合したのち、スプレーノズルを用いて、基板表面にスプレーして、堆積層を形成する。
使用する作動ガスの温度は、500〜1000℃の範囲の温度とする。
作動ガスの温度が、500℃未満と低いと、粒子に充分な運動エネルギーが付与されず、充分な厚さの堆積層を形成できない。一方、作動ガスの温度が1000℃超と高い場合には、鉄基粒子が過度に軟質化したり、あるいは溶融するため、所望厚さの堆積層が形成できない。このため、作動ガスの温度は500〜1000℃の範囲の温度とする。なお、ここで言う「作動ガス温度」とは、スプレーノズル入口での温度である。
また、作動ガスの圧力は、本発明ではとくに限定する必要はないが、緻密な堆積層を形成するという観点から、1MPa以上とすることが好ましい。なお、ここでいう「作動ガスの圧力」とは、スプレーノズル入口での圧力である。なお、作動ガスの圧力は、粒子の衝突速度が、200〜1000m/s、もしくはそれ以上となるように選定することが好ましい。
コールドスプレー法で形成する堆積層は、最終製品で、表裏面合計で、基板部の厚さに対する比率で0.10〜0.80の厚さとなるように調整して形成することが好ましい。堆積層の厚さが0.10未満では、塑性拘束が不足し、所望の最終製品の成形性を確保することが困難となる。一方、0.80超えでは、軟質な層が多くなりすぎて、所望の最終製品の強度を確保することが困難となる。
上記したように、基板の少なくとも片面に、堆積層を形成された焼鈍用原板には、ついで、基板が熱延鋼板である焼鈍用原板では冷間圧延と焼鈍処理が、または基板が冷延鋼板である焼鈍用原板では焼鈍処理が、施され、高強度冷延薄鋼板とされる。基板として使用する冷延鋼板は、冷延圧下率が20〜90%の冷間圧延を施された鋼板とすることが好ましい。これにより、その後の焼鈍処理で基板部の材質を制御しやすくなるという利点がある。
基板を熱延鋼板として堆積層を形成された焼鈍用原板に、施される冷間圧延は、冷間圧下率:20〜90%の圧延とする。
逆変態や再結晶の促進という観点からは、冷間圧下率は高い方が好ましく、20%以上とする。一方、90%を超えて冷間圧下率が高すぎると、圧延機能力への負荷が高く生産効率が低下するうえ、最終製品の材質が低下する場合がある。このため、冷間圧延の冷間圧下率は20〜90%の範囲とした。なお、好ましくは30〜70%である。
また、焼鈍処理は、焼鈍温度:700〜900℃に加熱する処理とする。
焼鈍処理により、堆積層と基板部の界面付近で原子の相互拡散が行われ、その界面の密着性を効果的に高める。また、焼鈍処理により、基板部では組織制御が可能となり強度を高めることができ、一方、堆積層では、回復、再結晶による軟質化が促進され、軟質層とすることができる。したがって、焼鈍用原板に焼鈍処理を施すことにより、基板部での強度向上と、軟質層による基板部の塑性拘束効果が促進され、高強度と優れた延性とを兼備することが可能となる。
焼鈍温度が700℃未満と低い場合には、堆積層と基板部との界面で十分な拡散が行われず、十分な密着性を確保できないうえ、基板部での逆変態が不十分で、焼鈍処理後の基板部の強度上昇が不十分となる。一方、焼鈍温度が900℃を超えて高い場合には、界面での拡散量が多すぎて、基板部と軟質層との組成差が小さくなり、軟質層の形成による成形性改善効果を十分に確保できなくなる。このため、焼鈍温度は700℃〜900℃の範囲の温度に限定した。なお、焼鈍処理の後に、所望の材質調整を目的とした冷却、保持、再加熱などの熱処理を付加的に行なってもよい。
上記した製造方法で製造された高強度冷延薄鋼板は、基板部と該基板部の少なくとも一方側に軟質層を有する冷延薄鋼板である。本発明高強度冷延薄鋼板は、基板部が高強度で、軟質層が成形性に富み、しかも界面の密着性が高く、塑性変形する際には、延性に乏しい基板部が軟質層により塑性拘束を受けながら塑性変形するため、基板部が単体として塑性変形するのに比較して、格段に延性が改善される。
そして、基板部が、質量%で、C:0.10%以上を含み、ビッカース硬さで300HV以上の硬さを有し、軟質層が、質量%で、C:0.20%未満を含み、ビッカース硬さで300HV未満の硬さを有し、気孔率が10面積%未満を有する層とする。さらに、軟質層は、表裏面合計で基板部の厚さに対する比率で0.10〜0.80の厚さを有する。
基板部のC量が0.10%未満では、引張強さTS :980MPa以上の高強度を確保することが困難になる。このため、基板部のCは0.10%以上とした。なお、より好ましくは0.15%以上である。また、Cの上限は特に限定しないが、溶接性や靭性などの実用性の観点から0.70%以下とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.70%未満である。
基板部では、さらに、上記したC量の限定に加えて、ビッカース硬さで300HV以上の硬さを有することとした。硬さが300HV未満では、引張強さTS :980MPa以上の高強度を確保することが困難となる。基板部の硬さが300HV未満である場合に、所望の高強度を確保するためには、軟質層厚を薄くする必要があり、充分な塑性拘束効果を得ることができない。
なお、基板部では、上記したC量以外の合金元素の含有量はとくに限定しないが、上記した条件を満足するように、例えば、Si、Mn、P、S、Al、N、Ti、Nb、V、Cr、Mo、Ni、Cu、B、Ca等を適宜含有することができる。
本発明高強度薄鋼板の基板部の具体的な組成としては、質量%で、C:0.10〜0.70%、Si:0.001〜2.0%、Mn:1.0〜5.0%、P:0.001〜0.10%、S:0.0001〜0.005%、Al:0.001〜1.0%、N:0.001〜0.02%、を含み、あるいはさらにCu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、Ti:0.001〜0.2%、Nb:0.001〜0.2%、V:0.001〜0.2%、B:0.0001〜0.005%のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.01%のうちから選ばれた1種または2種、を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する薄鋼板とすることが好ましい。なお、コースドスプレー法、焼鈍処理による合金元素量の変化は、C以外は少なく、基板部の組成は、当初の基板の組成とほとんど変化しない。
本発明高強度冷延薄鋼板では、基板部に残留オーステナイト(γ)相を体積率で3%以上含むことが好ましい。
基板部の残留γ量:3%以上
本発明高強度冷延薄鋼板では、基板部に残留オーステナイト(γ)相を含むことにより、成形性が顕著に向上する。高強度を有する基板部に残留γ相が含まれることにより、基板部の塑性歪伝播性が向上し、軟質層の塑性拘束効果と相まって、全体として延性が顕著に向上する。この効果を有効に発現するには、残留γ相を体積率で3%以上の含有することが好ましい。なお、基板部での残留γ量は、基板部の中央位置と端部との中間位置で測定した値とする。なお、基板部での構成相は、残留γ相以外は特に限定しないが、所望の強度に応じて、例えばフェライト相、ベイナイト相、マルテンサイト相などを組み合せることができる。なお、ここでいう「マルテンサイト」は、焼戻マルテンサイト、焼戻されないフレッシュマルテンサイトのいずれも含むものとする。
また、基板部の少なくとも一方の側に形成される軟質層のC含有量が0.20質量%以上では、軟質層が硬化し、所望の成形性を確保することが困難になる。なお、好ましくは0.10質量%未満である。C含有量の下限は、特に限定しないが、溶製技術の観点から0.0005%以上とすることが好ましい。
なお、軟質層では、上記したC量以外の合金元素の含有量はとくに限定しないが、コースドスプレー法ではC以外の組成の変化はほとんどなく、使用する鉄基粒子の組成と略同じ組成を有する。したがって、軟質層の組成は、鉄基粒子における上記した条件、Mneq:2.5%以下を満足するように、例えば、Si、Mn、P、S、Al、N、Ti、Nb、V、Cr、Mo、Ni、Cu、B、Ca等を適宜含有することができる。
また、軟質層の硬さが、300HV以上では、硬くなりすぎて、塑性変形能が低下し、所望の塑性拘束効果を発揮できなくなる。このため、軟質層は、C:0.2質量%未満を含み、ビッカース硬さで300HV未満の硬さを有する層に限定した。なお、軟質層のC含有量は、最表層から内部までの軟質層の平均的な値を示すものとする。硬さは最表層から内部までの軟質層の板厚方向の中間位置での硬さとする。
また、軟質層の気孔率が10面積%以上では、界面の密着性が低下し、軟質層による塑性拘束効果が低下し、所望の延性を確保できなくなる。このため、気孔率は10面積%未満に限定することが好ましい。より好ましくは6面積%以下である。
また、軟質層の厚さが、表裏面合計で基板部の厚さに対する比率で0.10未満では、軟質層による所望の塑性拘束効果を期待できなくなる。一方、0.80を超えると、軟質層の厚さが厚くなりすぎて、薄鋼板として所望の高強度を確保できなくなる。
上記した構成の高強度冷延薄鋼板は、引張強さTS:980MPa以上で、強度−伸びバランスTS×Elが18000MPa%以上となる冷延薄鋼板である。自動車構造部品などへの適用を考えた場合には、高い延性が必要であり、強度−伸びバランスTS×Elで18000MPa%以上を有する必要がある。なお、高強度と優れた成形性をバランスよく確保するためには、強度−伸びバランスTS×Elは、引張強さTSが980 MPa以上1180MPa未満の場合には22000MPa%以上、1180 MPa以上1480MPa未満の場合には20000MPa%以上、1480 MPa以上1780MPa未満の場合には、18000MPa%以上とすることが好ましい。
表1に示す組成の溶鋼を、真空溶解炉で溶製し、鋳造して鋼塊とした。これら鋼塊に表3に示す条件で熱間圧延を施し、表3に示す板厚の熱延板とした。なお、一部では、熱延板に酸洗を施し、さらに表3に示す条件で冷間圧延を施し冷延板とした。これら熱延鋼板、冷延鋼板を基板として、コールドスプレー法を用いて表4に示す条件で、基板の少なくとも片面に堆積層を形成し、焼鈍用原板とした。
なお、コールドスプレー法で使用した粒子は、表2に示す組成の鉄基粒子(ガスアトマイズ製粒子)とした。使用する鉄基粒子は、粉砕、篩いによる分級を繰返して、0.2〜200μm範囲の所定の粒子径となるように調整したものを使用した。
コールドスプレー法では、作動ガスを窒素ガスとし、該作動ガスをコールドスプレー装置のヒータで表4に示す温度に加熱し、加熱した作動ガスに、コールドスプレー装置の粒子供給装置から鉄基粒子を供給して混合し、スプレーノズルで、基板に吹き付け、焼鈍用原板とした。なお、作動ガス圧は3MPa一定とした。また、機械制御でノズルの走査速度を調整して堆積層厚さを調整した。
得られた焼鈍用原板について、堆積層の厚さを測定した。結果を表4に示す。なお、コールドスプレー法では、得られた堆積層の組成は使用した鉄基粒子と略同様であり、ここではとくに分析しなかった。また、基板の組成もとくに分析しなかった。
得られた焼鈍用原板のうち、基板が熱延板の場合には、さらに表4に示す条件で冷間圧延を施したのち、表4に示す条件で焼鈍処理(連続焼鈍処理を模した処理)を施し、高強度薄鋼板とした。なお、得られた焼鈍用原板のうち、基板が冷延板の場合には、表4に示す条件で焼鈍処理を施し、高強度薄鋼板とした。焼鈍処理(連続焼鈍処理)では、連続焼鈍処理を模した処理とし、表4に示す過時効処理を含む処理とした。
Figure 2015193892
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Figure 2015193892
Figure 2015193892
Figure 2015193892
得られた鋼板(薄鋼板)について、組織観察、引張試験、硬さ試験、曲げ試験を実施した。なお、堆積層形成後の鋼板板厚、軟質層厚さ、気孔率についても測定した。なお、基板部、軟質層の組成の分析は、とくに行わず、使用した基板、使用した粒子の組成を代用した。試験方法はつぎのとおりとした。
(1)組織観察
得られた鋼板(薄鋼板)から、組織観察用試験片を採取し、圧延方向断面を研磨、腐食(腐食液:ナイタール液)して、光学顕微鏡(倍率:1000倍)または走査型電子顕微鏡(倍率:3000倍)を用いて、基板部の組織を観察し、基板部の残留オーステナイト相の同定および画像処理を用いて組織分率を算出した。
なお、軟質層については、組織写真から、気孔部を同定し、画像処理で、面積率を求め、気孔率とした。
また、堆積層形成後の板厚は、得られた鋼板の10箇所で代表し、マイクロメータで測定し、その算術平均を当該鋼板の板厚とした。
また、得られた鋼板の軟質層の厚さは、得られた鋼板の10箇所で代表し、その断面を板厚方向に電子線マイクロアナライザーで元素分析を行ない、軟質層の成分組成から基板部の成分組成に変化する遷移領域の中央位置を堆積層と基板の境界と定義し、堆積層の厚さをそれぞれ測定し、その算術平均を当該鋼板の軟質層厚とした。
なお、残留オーステナイト(γ)相の含有量は、基板部板厚方向中央部が観察面となるように、X線回折用試験片を採取し、バフ研磨後に化学研磨を行って、X線回折を行ない、γ相の含有量を測定した。得られた回折結果から、γ相の(200)面、(220)面、(311)面とα鉄の(220)面、(211)面のピークの積分強度を用いて、すべての組合せについて強度比を算出し、これらの平均値を残留γ量とした。なお、得られた残留γ量は面積%に換算した。
(3)引張試験
得られた鋼板(薄鋼板)から、圧延方向と直角方向にJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して、クロスヘッド速度:20mm/minで引張試験を実施し、引張特性(引張強さTS、全伸びEl)を測定した。
(4)硬さ試験
得られた鋼板(薄鋼板)から、硬さ測定用試験片を採取し、ビッカース硬度計(試験力:10N)を用いて、JIS Z 2241に準拠して測定した。なお、測定位置は、基板部では基板(堆積層形成前の状態)の板厚方向1/4位置相当箇所で、軟質部では堆積による板厚増加分の1/2に相当する箇所とした。各箇所でそれぞれ5点、ビッカース硬さHV0.1を測定し、算術平均して当該箇所の硬さとした。
(5)曲げ試験
得られた鋼板(薄鋼板)から、圧延方向と直角方向に短冊状の曲げ試験片(幅30mm×長さ120mm)を採取した。試験片端部を表面粗さRyが1.6〜6.3Sとなるように平滑にした後、JIS Z 2248の規定に準拠してVブロック法により、曲げ角度:90°で、曲げ半径を変えて曲げ試験を行った。亀裂やネッキングの生じない最小の曲げ半径を求め、限界曲げ半径Rとした。なお、亀裂の判定は、極微小の割れを確認するために、曲げ外側表面を拡大鏡(倍率:50倍)で観察することにより行った。限界曲げ半径Rを板厚tで除した、R/tを求め、曲げ性を評価した。
得られた結果を表5に示す。
Figure 2015193892
Figure 2015193892
本発明例はいずれも、引張強さTS:980MPa以上で、かつ強度−伸びバランスTS×Elが18000MPa%を超えており、成形性に優れた高強度薄鋼板となっている。なお、曲げ性は、TSが980MPa以上1180MPa未満では、R/t:1.5以下を満足し、優れた曲げ性を有している。また、TSが1180MPa以上では、R/t:2.7以下であった。
一方、本発明の範囲を外れる比較例では、強度、強度−伸びバランス、曲げ性のいずれかが、所望の値を確保できていない。
使用する鉄基粒子の粒径が粗大である比較例(鋼板No.4)は、TS×Elが18000MPa%未満と成形性が低下している。また、焼鈍処理が好適範囲を高く外れた比較例(鋼板No.6)は、軟質層の硬さが高くなり基板部と軟質層(堆積層)との硬さ差が小さく、所望の強度−延性バランスを確保できていない。また、焼鈍処理が好適範囲を低く外れた比較例(鋼板No.7)は、所望の高強度を確保できていない。また、基板として使用した冷延板の冷間圧下率が好適範囲を低く外れた比較例(鋼板No.11)は、焼鈍処理による堆積層の軟質化が不十分で、所望の強度−伸びバランスを確保できていない。
コールドスプレーにおける作動ガスの温度が本発明の好適範囲より低い比較例(鋼板No.13)は、形成される堆積層の厚さが少なく、所望の強度−伸びバランスを確保できていない。また、コールドスプレーにおける使用する鉄基粒子の粒径が小さすぎた比較例(鋼板No.16)は、形成される堆積層の厚さが少なく、所望の強度−伸びバランスを確保できていない。また、コールドスプレーにおける作動ガスの温度が本発明の好適範囲より高い比較例(鋼板No.22)は、形成される堆積層の厚さが少なく、所望の強度−伸びバランスを確保できていない。また、使用する基板の組成が本発明の好適範囲を低く外れる比較例(鋼板No.24、No.25)は、所望の高強度を確保できていない。また、コールドスプレーにおける使用する鉄基粒子の組成が本発明の好適範囲を高く外れる比較例(鋼板No.26、No.27、No.28)は、所望の強度−伸びバランスを確保できていない。

Claims (14)

  1. 基板部と、該基板部の少なくとも一方側にコールドスプレー法による堆積層を有してなる薄鋼板製焼鈍用原板であって、
    前記基板部が、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を下記(1)式で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する熱延薄鋼板からなり、
    前記堆積層が、質量%で、C:0.20%未満を含み、合金元素を下記(1)式で定義されるMneqが2.5未満を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする焼鈍用原板。

    Mneq=Mn+0.26×Si+1.3×Cr+3.5×P+2.68×Mo+180×B+0.37×Ni+0.46×Cu‥‥(1)
    ここで、Mn、Si、Cr、P、Mo、B、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%)
  2. 前記基板部に代えて、基板部が、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を前記(1)式で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する冷延薄鋼板からなることを特徴とする請求項1に記載の焼鈍用原板。
  3. 基板の少なくとも一方の表面にコールドスプレー法による堆積層を形成してなる薄鋼板製焼鈍用原板の製造方法であって、
    前記基板を、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を下記(1)式で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する熱延薄鋼板とし、
    前記堆積層が、前記基板の少なくとも一方の表面に、質量%でC:0.20%未満で、かつ下記(1)式で定義されるMneqが2.5未満を満足する鉄基粒子を、加熱した作動ガスと混合したのち、スプレーノズルを用いて吹付けるコールドスプレー法で形成してなることを特徴とする焼鈍用原板の製造方法。

    Mneq=Mn+0.26×Si+1.3×Cr+3.5×P+2.68×Mo+180×B+0.37×Ni+0.46×Cu ‥‥(1)
    ここで、Mn、Si、Cr、P、Mo、B、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%)
  4. 前記鉄基粒子が、粒子径:1〜100μmであることを特徴とする請求項3に記載の焼鈍用原板の製造方法。
  5. 前記加熱した作動ガスの温度が、500〜1000℃の範囲の温度であることを特徴とすることを特徴とする請求項3または4に記載の焼鈍用原板の製造方法。
  6. 前記基板に代えて、基板が、質量%で、C:0.10%以上を含み、合金元素を前記(1)式で定義されるMneqが2.5以上を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する冷延薄鋼板であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の焼鈍用原板の製造方法。
  7. 請求項1に記載の焼鈍用原板に、さらに冷間圧延と、焼鈍処理とを施してなる基板部と該基板部の少なくとも一方の側に軟質層を有する冷延薄鋼板であって、前記基板部が、質量%で、C:0.10%以上を含み、ビッカース硬さで300HV以上の硬さを有し、前記軟質層が、質量%で、C:0.20%未満を含み、ビッカース硬さで300HV未満の硬さを有する層であることを特徴とする成形性に優れた高強度冷延薄鋼板。
  8. 請求項2に記載の焼鈍用原板に、さらに、焼鈍処理を施してなる基板部と該基板部の少なくとも一方の側に軟質層を有する冷延薄鋼板であって、前記基板部が、質量%で、C:0.10%以上を含み、ビッカース硬さで300HV以上の硬さを有し、前記軟質層が、質量%で、C:0.20%未満を含み、ビッカース硬さで300HV未満の硬さを有する層であることを特徴とする成形性に優れた高強度冷延薄鋼板。
  9. 前記軟質層が、表裏面の合計で、前記基板部の厚さに対する比率で0.10〜0.80の厚さを有することを特徴とする請求項7または8に記載の高強度冷延薄鋼板。
  10. 前記軟質層が、気孔率:10%未満であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の高強度冷延薄鋼板。
  11. 前記基板部が、板厚中央位置で残留γ相を体積率で3%以上含むことを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の高強度冷延薄鋼板。
  12. 前記高強度冷延薄鋼板が、引張強さTS:980MPa以上を有し、かつ強度−伸びバランスTS×Elが18000MPa%以上を有することを特徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載の高強度冷延薄鋼板。
  13. 請求項3ないし5のいずれかに記載の焼鈍用原板の製造方法により製造された焼鈍用原板に、さらに冷延圧下率:20〜90%の冷間圧延と、ついで、焼鈍温度:700〜900℃に加熱する焼鈍処理とを施すことを特徴とする成形性に優れた高強度冷延薄鋼板の製造方法。
  14. 請求項6に記載の焼鈍用原板の製造方法により製造された焼鈍用原板に、さらに焼鈍温度:700〜900℃に加熱する焼鈍処理を施すことを特徴とする成形性に優れた高強度冷延薄鋼板の製造方法。
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