JP2015192133A - 有機トランジスタ - Google Patents

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Akihiro Sano
彰洋 佐野
重昭 舟生
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重昭 舟生
哲司 加藤
Tetsuji Kato
哲司 加藤
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Abstract

【課題】本発明は、塗布プロセスを用いた有機トランジスタに関して、耐溶性を確保し、かつ、駆動電圧を低減できる有機トランジスタを提供することを目的とする。【解決手段】本発明の有機トランジスタは、電極、絶縁体及び硬化樹脂を有し、前記硬化樹脂は、共役性高分子主鎖を架橋基で結合したものであり、かつイオン重合開始剤の対アニオンを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、硬化樹脂を電荷注入層として用いた有機トランジスタに関する。
有機トランジスタは、厚さ数十nm〜数百μmの有機固体材料を積層した電子素子であり、薄型、軽量、フレキシブル性に優れる。例えば、ディスプレイや照明のスイッチング素子として使用することで、ディスプレイや照明を駆動回路ごとシート化できる素子して注目されている。
有機トランジスタは、主として、電極と半導体と絶縁膜及び封止膜からなる。このうち、半導体、絶縁膜、封止膜の材料として、有機固体を用いて、積層する。
使用する有機固体材料は、低分子系と高分子系に大別される。低分子系材料は、主として、真空蒸着法により素子を形成するのに向いている。一方、高分子系有機材料は、印刷法・インクジェット法等の湿式プロセスに向いており、量産性、製造プロセスの低コスト化の観点から、期待されている。
真空蒸着を用いた有機トランジスタでは、ペンタセン等の分子固体を純度の高い単結晶を有機半導体として用いる。電極としては、ソース、ゲート、ドレイン電極を用いる。ゲート電極と有機半導体の間には、ゲートの絶縁膜が配置される。ソースとドレイン間では、有機半導体を解して、電流が流れる。しかし、高抵抗な有機半導体膜を導通化させるためには、外部から高電界を印可する必要があり、駆動電圧が上昇する。更に、高純度を要するために、製造方法や意図しない不純物の影響により、特性がばらつきやすい。
一方、塗布法を用いた場合、有機半導体を塗布した後で、他の膜(封止膜や絶縁膜)を塗布すると、下地の有機半導体が溶解する。このため、トランジスタの加工精度が劣る。
上記課題を解決するため、有機発光素子の積層構造として、特許文献1では、シクロペンタジエン架橋基で、塗布後に、有機物を架橋することで、他の材料を塗布した後の残膜率が向上できるとしている。特許文献2では、ソース及びドレイン電極とゲート電極の間に、イオン性ポリマーを電荷注入層として、設けることで、駆動電圧を低減できるとしている。特許文献3では、半導体に金属錯体の陰イオンを含有させ、陰イオンの解離定数を所定の値とすることで、半導体の移動度を向上できるとしている。特許文献4では、導電性に寄与する共役結合群と、アニオンを含有する側鎖とを含む導電性高分子を用いることで、電気回路の導電性を長期安定化できるとしている。
特開2011-149013号公報 特開2012-54325号公報 特開2004-158669号公報 特開2006-310023号公報
上記のように、有機電子素子の積層構造の安定化や駆動電圧の低減方法に関する開発がなされている。しかし、上記特許文献1では、塗布時の残膜率は向上するが、キャリアは、外部電極から注入する必要があり、駆動電圧は高いままである。
上記特許文献2−4にみられるような、イオンドープによる有機半導体にキャリアの導入で低駆動電圧化が見込まれるが、他の層を同一の溶媒で塗布すると溶解し、加工精度が劣る。
本発明は、塗布プロセスを用いた有機トランジスタに関して、耐溶性を確保し、かつ、駆動電圧を低減できる有機トランジスタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の有機トランジスタは、電極、絶縁体及び硬化樹脂を有し、前記硬化樹脂は、共役性高分子主鎖を架橋基で結合したものであり、かつイオン重合開始剤の対アニオンを含むことを特徴とする。
本発明により、塗布プロセスで積層構造形成する有機トランジスタの耐溶性と駆動電圧の低減を両立できる。
硬化性重合体及びイオン重合開始剤の塗布後、及び硬化後の状態の概念図である。 有機トランジスタ構造(I)である。 有機トランジスタ構造(II)である。 有機トランジスタ構造(III)である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1. 有機トランジスタに用いる硬化樹脂>
本明細書において、「硬化性重合体」は、熱又は光のような硬化処理によって、重合体分子内に結合された架橋基の架橋反応を開始させて、分子間及び/又は分子内架橋を形成させることにより、硬化した樹脂(以下「硬化樹脂」と記載する)を形成することのできる重合体を意味する。
更に、「カチオン重合性のイオン重合開始剤」(以下、イオン重合開始剤と呼ぶ場合がある)は、プラスに荷電したカチオン分子とマイナスに荷電した対アニオン分子の組合せからなる。カチオン分子は、硬化処理によって活性化され、架橋基の架橋反応を促進する化合物である。対アニオン分子は、カチオン分子のプラス電荷を中性に保つために添加するもので、マイナスに荷電した状態が安定な分子である。
図1に、硬化性重合体10、イオン重合開始剤の対アニオン分子13及びイオン重合開始剤のカチオン分子14、を基板に塗布後、硬化処理前の状態(左図)及び硬化処理後の状態(右図)の概念図を示す。硬化処理を施す前の硬化性重合体10は導電性の高分子主鎖11と架橋性の官能基側鎖12からなる。左図が、硬化性重合体10、イオン重合開始剤の対アニオン分子13及びイオン重合開始剤のカチオン分子14を溶媒に溶かした溶液を基板に塗布した後の状態である。これに、熱又は光のような硬化処理などを施すことで、イオン重合開始剤のカチオン分子14が架橋性の官能基を活性化して、別の架橋性の官能基と結合が生じ、右図の架橋構造15を有する硬化樹脂が形成される。この硬化樹脂の高分子鎖11は、主として、共役性モノマーが重合した共役性高分子とすることで、より高い移動度を発現でることができる。図1では、架橋性の官能基が回環して、重合する場合を記載したが、架橋基の結合は必ずしも回環重合によらなくてもよい。カチオン分子14は、硬化反応過程において、中性の安定分子となって、一部もしくはほとんどが加熱処理によって、溶媒と共に揮発すると考えられている。一方、イオン重合開始剤の対アニオン分子13は、硬化樹脂内に残存する。このように作成された硬化樹脂に別の層(例えば、絶縁層や封止層)を塗布しても、本硬化樹脂は溶けない。
更に、以下で示す硬化性重合体とイオン重合体を組合せることによって、カチオン分子が有していたプラス電荷は、導電性の高分子主鎖の正孔16として導入される。通常の有機トランジスタの有機層は絶縁性の樹脂であり、外部電圧によって、電極から正孔が注入される。これに対して、本樹脂では、電圧を印可していない状態でも、正孔が硬化樹脂中に予め導入されているので、低抵抗である。更に、イオン重合開始剤の濃度を高くすると、正孔密度が高くなり、上記硬化樹脂は低抵抗となる。
本発明者らは、本樹脂を有機トランジスタに発揚することで、溶媒耐性を保ったまま、トランジスタの駆動電圧を低減できることを見出した。
<2.硬化性重合体の導電性の高分子主鎖>
本発明の硬化性重合体の導電性の高分子主鎖に含まれる正孔輸送性モノマは、有機トランジスタや有機発光素子の電荷輸送層や発光層を形成する樹脂を製造するために使用される公知のモノマであればよい。正孔輸送性モノマは、隣接するモノマと2カ所以上で結合する。2カ所で結合する正孔輸送性モノマは直鎖状となり、2カ所以上で結合する正孔輸送モノマは分岐状となる。
正孔輸送性モノマとしては、限定するものではないが、例えば、アリールアミン、スチルベン、ヒドラゾン、カルバゾール、アニリン、オキサゾール、オキサジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾキノン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、チアジアゾール、ベンゾジアゾール、ベンゾチアジアゾール、トリアゾール、ペリレン、キナクリドン、ピラゾリン、アントラセン、ルブレン、クマリン、ナフタレン、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、アントラセン、テトラセン、フルオレン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ピリジン、ピラジン、アクリジン、フェナントロリン、フラン及びピロール、並びにこれらの誘導体を骨格として有する化合物を挙げることができる。
好ましくは、直鎖状及び分岐状共役モノマは、式I〜III:
で表される骨格を有する化合物から選択される。
式中、
R1〜R7は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、炭素数1〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル、炭素数2〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル、炭素数2〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルキニル、炭素数6〜21のアリール、炭素数12〜20のヘテロアリール、炭素数7〜21のアラルキル及び炭素数13〜20のヘテロアリールアルキルからなる群より選択されることが好ましく、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、炭素数1〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル、炭素数6〜21のアリール、炭素数12〜20のヘテロアリール及び炭素数7〜21のアラルキルからなる群より選択されることがより好ましく、水素、ハロゲン、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル及び炭素数6〜10のアリールからなる群より選択されることがさらに好ましく、水素、臭素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル及びフェニルからなる群より選択されることが特に好ましい。
上記の基は、非置換又は1若しくは複数のハロゲンで置換されていることが好ましく、非置換であることがより好ましい。
m1及びm2は、互いに独立して、0〜5の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
n1及びn2は、互いに独立して、0〜4の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
本明細書において、「アラルキル」は、アルキルの水素原子の1個がアリールに置換された基を意味する。好適なアラルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル及び2-フェネチル等を挙げることが出来る。
本明細書において、「アリールアルケニル」は、アルケニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルケニルは、限定するものではないが、例えばスチリル等を挙げることが出来る。
本明細書において、「ヘテロアリール」は、アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素原子(N)、硫黄原子(S)及び酸素原子(O)から選択される複素原子に置換された基を意味する。例えば、「炭素数12〜20のヘテロアリール」及び「(環の)員数12〜20のヘテロアリール」は、少なくとも12個且つ多くても20個の炭素原子を含む芳香族基の1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して上記の複素原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等を挙げることが出来る。本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、アルキルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。本明細書において、「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
特に好ましくは、正孔輸送性モノマは、トリフェニルアミン、N-(4-ブチルフェニル)-N’,N’’-ジフェニルアミン、9,9-ジオクチル-9H-フルオレン、N-フェニル-9H-カルバゾール、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン及びN,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス(2-ナフチル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、並びにこれらの誘導体を骨格として有する化合物から選択される。
<3.硬化性重合体の架橋性の官能基側鎖>
本発明の硬化性重合体の側鎖に含まれる「架橋性の官能基」は、カチオン重合によって、重合できる公知の官能基であれば良い。例えば、エポキシ基やオキセタン基に代表される環状エーテル基や公知の芳香族架橋基であればよく、これらを複数の組合せても良い。
芳香族基の架橋基としては、限定するものではないが、例えば、チオフェン、スチレン、ピロール及びベンゾシクロブテンを骨格として有する基を挙げることができる。
好ましくは、芳香族基の架橋基は、式IV〜VI:
で表される骨格を有する基から選択される。環状エーテルの架橋基は硬化反応が進行しやすく、より低温で硬化処理可能である。芳香族系の架橋基を用いて硬化させた樹脂の移動度が高い傾向がある。
上記の骨格を有する正孔輸送性モノマの主鎖と架橋性の官能基側鎖からなる硬化性重合体を用いて作成した樹脂は、結果として得られる樹脂の硬化性を向上させ、且つ電荷輸送能力を向上させることが可能となる。
主鎖は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよく、直鎖状と分岐状のモノマの両方も用いる場合の構成比率は、硬化性重合体に付与すべき特性に応じて適宜設定すればよい。例えば、硬化性向上のためには、本発明の有機トランジスタの導電性有機半導体層として用いる硬化性重合体は、直鎖状モノマよりも、分岐状モノマを多く含む形態が望ましい。導電性の向上のためには、直鎖状モノマを多く含む形態が望ましい。
<4.イオン重合開始剤>
本明細書において、「カチオン重合性のイオン重合開始剤」は、プラスに荷電したカチオン分子とマイナスに荷電した対アニオン分子の組合せからなる。カチオン分子は、硬化処理によって活性化され、架橋基の架橋反応を促進する化合物である。対アニオン分子は、カチオン分子のプラス電荷を中性に保つために添加するもので、マイナスに荷電した状態が安定な分子である。
例えば、カチオン分子としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びフェロセン誘導体を挙げることができる。上記のカチオンは、カチオン重合を開始させる反応性が高いことから好ましい。
特に好ましくは、カチオン重合性のイオン重合開始剤は、下記化学式XII〜XIIIIで表される化合物から選択される。
11〜R15は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、炭素数2〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルキニル基、炭素数6〜21のアリール基、炭素数12〜20のヘテロアリール基、炭素数7〜21のアラルキル基及び炭素数13〜20のヘテロアリールアルキル基からなる群より選択されることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜21のアリール基、炭素数12〜20のヘテロアリール基及び炭素数7〜21のアラルキル基からなる群より選択されることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
s1、s2、t1、t2及びt3は、互いに独立して、0〜5の整数であることが好ましい。
Xは、対アニオンであり、いずれもマイナスに荷電した状態が安定な分子である。
<5.硬化性重合体の製造>
本発明の架橋性重合体は、上記で説明した正孔輸送性モノマの少なくともいずれか、及び架橋基を含むモノマを、当該技術分野で公知の方法によって重合させることにより、製造することができる。例えば、架橋基を含むモノマが芳香族そのものであるか、架橋基が芳香族基と結合したモノマであれば、全てのモノマが芳香環を有する。この場合、例えば、各モノマに含まれる芳香環同士をクロスカップリングさせて、該モノマを重合させるには、様々な方法を用いることができるが、特にスズキの方法を用いることが好ましい。スズキの方法は、芳香族ボロン酸(boronic acid)誘導体と芳香族ハロゲン化物との間で、Pd触媒クロスカップリング反応(以下「鈴木反応」とも記載する)を起こさしめるものである。鈴木反応を用いて、正孔輸送性モノマの少なくともいずれか、並びに架橋基と芳香族基が結合したモノマの芳香環同士を結合させることにより、該モノマを重合させて本発明の重合性塗布液に含まれる重合性架橋基を有する高分子組成物を製造することが可能となる。
鈴木反応は、通常、Pd(II)塩又はPd(0)錯体の形態の可溶性Pd化合物を触媒として必要とする。鈴木反応の基質となる芳香族化合物、すなわち上記で説明した架橋性モノマを基準として、0.01〜5モルパーセントのPd(Ph3P)4、3級ホスフィンリガンドとのPd(OAc)2錯体又はPdCl2(dppf)錯体をPd触媒として用いることが好ましい。鈴木反応はまた、塩基も必要とする。水性アルカリカーボネート又はバイカーボネートを用いることが好ましく、炭酸カリウムを用いることがより好ましい。溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、トルエン、アニソール、ジメトキシエタン又はテトラヒドロフラン等を用いることが好ましく、トルエンを用いることがより好ましい。トルエンのような非極性溶媒を用いる場合、トリスカプリリルメチルアンモニウムクロリド(Aliquat336(登録商標))のような相間移動触媒を用いて反応を促進することが好ましい。
上記の条件で各架橋性モノマを重合させることにより、高収率で本発明の硬化性重合体を製造することが可能となる。
<6.塗布液の溶媒>
上記のような塗布方法は、通常、−20〜+300℃の温度範囲、好ましくは10〜100℃、特に好ましくは15〜50℃で実施することができ、また、上記溶液に用いる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、キシレン、メシチレン、アニソール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート等を挙げることができる。
<7.硬化性重合体とイオン開始剤によって形成される樹脂>
本発明の有機トランジスタに用いる導電性硬化樹脂は、硬化性重合体とイオン開始剤とを有機溶媒に溶かした溶液を基板に塗布後、硬化処理することにより、イオン開始剤に含まれるカチオン分子が架橋性の官能基側鎖を回環し、硬化性重合体に含まれる架橋基同士が高分子間及び/又は高分子内架橋を形成して硬化樹脂を得ることができる。本発明の重合性塗布液を用いて製造される硬化樹脂は、高分子間及び/又は高分子内架橋が形成されることにより、網目構造で強固となり、別の層を塗布しても溶けない。更に、カチオンが有していたプラス電荷は、導電性の高分子主鎖の正孔として導入される。通常の有機トランジスタの有機層は絶縁性の樹脂であり、外部電圧によって、電極から正孔が注入される。これに対して、本発明の硬化樹脂では、電圧を印可していない状態でも、正孔が硬化樹脂中に予め導入されているので、低抵抗である。
本明細書において、「硬化処理」は、上記で説明した架橋基を反応させて、分子間及び/又は分子内架橋を形成させる処理を意味する。本発明の硬化性重合体に適用される硬化処理としては、例えば、加熱、並びに光、マイクロ波、放射線及び電子線等の照射を挙げることができる。加熱処理が好ましい。
特に好ましくは、本発明の硬化性重合体と上記で説明した架橋開始剤とを混合した混合物を加熱処理することによって架橋基を反応させて、分子間及び/又は分子内架橋を形成させる。この場合、加熱処理の温度は、100〜250℃の範囲であることが好ましい。また、加熱処理の時間は、10〜180分の範囲であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタに用いられる硬化樹脂は、通常、仕事関数が3〜7eVの範囲であり、典型的には4.0〜6.0eVの範囲である。この仕事関数は、本発明の硬化性重合体に含まれるモノマの構成比率を適宜設定することによって調整することが出来る。例えば、本発明の硬化樹脂の仕事関数が、酸化インジウムスズ(ITO、Indium Tin Oxide)電極の仕事関数に近い場合、本発明のトランジスタに用いる導電性硬化樹脂と有機発光素子の透明電極であるITOを接続することで、本トランジスタで、有機発光素子をスイッチングできる。
なお、本発明の硬化樹脂の仕事関数は、限定するものではないが、例えば、理研計器製表面分析装置AC−1を用い、照射光量50nWの条件で、仕事関数を測定することができる。
<8.硬化樹脂の作成例>
[硬化重合体作成例1]
直鎖状トリフェニルアミンモノマ(1)、分岐状トリフェニルアミンモノマ(2)、オキセタン架橋モノマ(3)を、鈴木反応で重合して、硬化性重合体を合成した。架橋性の直鎖状トリフェニルアミンモノマ(1)及び分岐トリフェニルアミンモノマ(2)は、鈴木反応の反応点をそれぞれ2及び3個有しており、重合によって主鎖を形成する。架橋性のオキセタン架橋モノマ(3)は、いずれも鈴木反応の反応点を1個有しており、重合によって側鎖を形成する。架橋性のオキセタン架橋モノマ(3)は、フェニレン及びオキシメチレンの組み合わせからなる二価の架橋基に、1-エチルオキセタン-1-イル基が結合した構造を有するモノマである。
丸底フラスコに、4,4’-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-4’’-n-ブチルトリフェニルアミン(1)(0.4 mmol)、4,4’,4’’-トリブロモトリフェニルアミン(2)(1.0 mmol)、3-(4-ブロモフェノキシメチル)3-エチルオキセタン(3)(1.2 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.008 mmol)、2 M炭酸カリウム水溶液( 5.3 mmol)、Aliquat336(商標)(0.4 mmol)及びアニソール(4 ml)を入れ、窒素雰囲気下、90℃で2時間撹拌した。
上記の方法で、架橋性の直鎖状トリフェニルアミンモノマ(1):架橋性の分岐トリフェニルアミンモノマ(2):架橋性のオキセタン架橋モノマ(3)=20:50:40のモル比で合成したところ、分子量40 kDaの架橋基を有する高分子組成物Aを得た。分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算で測定したときの数平均で決定した。本硬化性重合体を硬化性重合体Aとする。
[硬化性重合体作成例2]
硬化性重合体作成例1で説明した手順において、直鎖状トリフェニルアミンモノマ(1)を、2,7-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-9,9-ジオクチル-9H-フルオレン(4)に変更した他は、上記と同様の手順で分子量が約40 kDaの架橋基を有する硬化性重合体Bを得た。
[硬化性重合体作成例3]
硬化性重合体作成例1で説明した手順において、架橋性の直鎖状トリフェニルアミンモノマ(1)を、2,7-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-N-フェニル-9H-カルバゾール(6)に変更した他は、上記と同様の手順で分子量が約40 kDaの架橋基を有する硬化性重合体Cを得た。
[硬化性重合体作成例4]
硬化性重合体作成例1で説明した手順において、架橋性のオキセタン架橋モノマ(3)を以下の芳香族系架橋基(6)(7)(8)のいずれかに変更し他は、上記と同様の手順で分子量が約40 kDaの架橋基を有する硬化性重合体D、E、Fを得た。
[塗布液の調製]
上記硬化性重合体A、B、Cのいずれか(4.2mg)、式(XI)で表される開始剤(式中、カチオンのR11、R12はHであり、s1、s2=1、対アニオンX=(C6F5)4B)を0.04、、0.12、0.42mg(硬化性重合体に対して、それぞれz=1、3、10wt%に対応する)のいずれかの濃度(硬化性重合体Aのみ0wt%条件も実施)を1.2mlのトルエンに溶解させ、塗布液を作成した。本塗布液を塗布液A(z)、B(z)、C(z)とする。
[硬化性重合体を用いた樹脂の形成]
酸化インジウムスズ(ITO、Indium Tin Oxide)を、1.6 mm幅でガラス基板上にパターンニングした。このITOガラス基板上に、上記で調整した塗布液を300回転/分の条件でスピンコートした。その後、重合性塗布液をコートしたITOガラス基板を、硬化性重合体A、B、Cのいずれかを含む塗布液に対しては、ホットプレート上で180℃、硬化性重合体Dを含む塗布液に対しては、ホットプレート上で250℃、60分間加熱することで硬化処理して、硬化性重合体を加熱重合させて、樹脂を形成させた。樹脂をそれぞれ、硬化樹脂A(z)、B(z)、C(z)、D(z)とする。
[残膜率の評価]
残膜率の評価は、例えば以下の手順で実施することができる。ガラス基板上に、本発明の硬化性重合体によって形成される樹脂を用いて導電性硬化樹脂を作製する。導電性硬化樹脂が形成されたガラス基板を、有機溶媒(例えばトルエン)に20〜250℃、10〜60秒間の条件で浸漬させる。その後、ガラス基板を有機溶媒中から取り出し、浸漬前後の薄膜の吸光度を測定した。吸光度の比より薄膜の残存率(残膜率)を求めた。吸光度は、膜厚に比例するので、吸光度の比(浸積あり/浸積なし)は、導電性硬化樹脂の残膜率(浸積あり浸積なし)に一致する。残膜率が高い程、有機溶媒耐性が高いと評価される。
硬化樹脂A(z)、B(z)、C(z)、D(z)の薄膜をガラス板ごとトルエン中でリンスし、リンス前後の薄膜の吸光度を測定し、リンス前後の吸光度の比より薄膜の残存率(残膜率)を求めた。いずれの樹脂薄膜も残膜率は90%以上で、十分な耐溶性を有している。
[仕事関数の評価]
光電子収量分光装置(理研計器製表面分析装置AC−1を用い、照射光量50nWとした)を用いて、硬化樹脂の仕事関数を決定した。
硬化樹脂A(z)の仕事関数は5.0 eVであったのに対し、硬化樹脂B(z)及びC(z)の仕事関数は、それぞれ5.2及び5.3 eVであった。この結果から、硬化性重合体を合成する際に使用される正孔輸送性モノマの種類を変更することにより、所望の仕事関数を有する樹脂を作成して、有機トランジスタ素子の作成に使用できると考えられる。硬化樹脂D(z)、E(z)、F(z)の仕事関数は、導電性高分子の形態が同一である硬化樹脂Aと同じ5.0eVであった。
[樹脂性能の評価]
上記の方法で作成した導電性硬化樹脂の性能を評価した。硬化樹脂を金電極で挟んだ素子にて、硬化樹脂の導電性を評価した。
評価素子は以下の手順で作成する。硬化性重合体A、B、C(20mg)のトルエン(440μL)溶液に、前記イオン重合開始剤0.2、0.6.2mg(硬化性重合体に対してz=1、3、10wt%)のトルエン(10μL)溶液を加えて塗布溶液を調整した。金を1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、前記塗布溶液を2000/minでスピン塗布し、硬化性重合体A、B、Cのいずれかを含む塗布液に対しては、ホットプレート上で120℃、10分間加熱し、硬化樹脂A(z)、B(z)、C(z)を形成する。硬化性重合体D、E、Fを含む塗布液に対しては、ホットプレート上で200℃、10分間加熱し、硬化樹脂D(z)、E(z)、F(z)を形成する。次に得られたガラス基板を真空蒸着機中に移し、金(膜厚30nm)を蒸着した。
硬化樹脂A(z)、B(z)、C(z)、D(z) 、E(z)、F(z)を用いて形成したホールオンリー素子にて、印可電圧1V時の電流密度は、いずれの硬化樹脂においてもzが増加するとともに増加した。これは、イオン重合性開始剤の対アニオンの濃度が増加するほど、導入される正孔が増加することを示す。従って、本導電性硬化樹脂では、アニオンがアクセプターとして作用する半導体であることが判る。
硬化樹脂A(z)の、[塗布液の調製]において、式(XI)で表される開始剤のカチオン(式中、カチオンのR11、R12はHであり、s1、s2=1)と対アニオンX=SbF6、CF3SO3、PF6、BF4、C4F9SO3及びCH3C6H4SO3のいずれかを0.04、、0.12、0.42mg(硬化性重合体に対して、それぞれz=1、3、10wt%に対応する)添加した場合においても、印可電圧1V時の電流密度は、いずれの硬化樹脂においてもzが増加するとともに増加した。
硬化樹脂A(z)の、[塗布液の調製]において、式(XII)(式中、カチオンのR11、R12はHであり、t1、t2、T3=1)又はXIIIで表される開始剤のカチオンと対アニオンX=(C6F5)4Bを0.04、、0.12、0.42mg(硬化性重合体に対して、それぞれz=1、3、10wt%に対応する)添加した場合においても、印可電圧1V時の電流密度は、いずれの硬化樹脂においてもzが増加するとともに増加した。
<8. 有機トランジスタ>
本発明の重合性塗布液を用いて製造される樹脂は、有機トランジスタ素子の有機材料として好ましい硬化性及び導電性を有する。それ故、本発明は、本硬化性重合体によって形成される樹脂を用いて製造される有機トランジスタに関する。
図2は、本発明の有機トランジスタの一実施形態を示す断面図である。有機トランジスタ201は、基板21、ゲート電極22、ゲート絶縁膜23、有機半導体層24、導電性有機半導体層25、ソース電極26、ドレイン電極27、封止膜28からなる。基板21は、例えばガラス基板が素子の評価用の素子として扱いやすい。プラスチックに代表されるフレキシブル基板やフィルムであると、素子全体をフレキシブル化できる。また、透明なガラス基板やフレキシブル基板、フィルムを用いると、有機発光素子と基板を共通化できる。
ゲート電極22は、導電性材料もしくは半導体を用いることができる。半導体を用いる場合は、シリコンに代表されるn型もしくは、p型半導体を用いることが好ましく、低抵抗であることがより好ましい。この場合は、半導体シリコンを酸化もしくは窒化することで、酸化シリコンもしくは窒化シリコンのゲート絶縁膜23を形成することができる。
ゲート電極22に導電性材料を用いる場合は、導電性を有する範囲では、特に限定するものではなく、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、I T O およびグラファイト等であればよい。もしくは、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェンを用いても良い。ゲート電極23を塗布で形成する場合には、ゲート電極として、本樹脂を用いることができる。ゲート絶縁膜23としては、上記の酸化シリコンに代表される無機絶縁物を用いてもよい。ゲート絶縁膜23として、有機化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレートを用いても良い。有機化合物からなるゲート絶縁膜23の形成法としては、塗布プロセスで形成することが好ましい。
ゲート電極の厚みは、一般に、50nm〜100μmである、ゲート絶縁膜23の膜厚は、一般に5 0 n m 〜 3 μ m 、好ましくは、1 0 0 n m 〜 1 μ m である。
有機半導体層24及び導電性有機半導体層25は、本樹脂(A)−(D)のいずれかを用いる。有機半導体層24は、ゲート電圧の印可していないときに高抵抗とするため、イオン開始剤の濃度は0wt%が望ましい。ゲート電圧印可のオンオフ比を高く保つ範囲では、イオン開始剤を添加してもよく、駆動電圧を低減できる。
「イオン開始剤の濃度は0wt%」ということは、「対アニオン濃度は0wt%」ということを意味する。従って、有機半導体層24の対アニオン濃度は0wt%であり、導電性有機半導体層25の対アニオン濃度は所定量を有するので、2つの硬化樹脂で、対アニオン濃度が異なるものが存在することとなる。なお、有機半導体層24に微量に対アニオンをドープすることで、抵抗を下げることがありえるが、その場合でも有機半導体層24と導電性有機半導体層25の間で対アニオン濃度が異なる。
有機半導体層24及び導電性有機半導体層25の形成方法としては、湿式プロセスを用いる。
ソース電極26及びドレイン電極27の材料としては、上記ゲート電極22と同様に、導電性を有する範囲で特に限定するものではなく、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、I T O およびグラファイトや導電性ポリマーであっても良い。
電極、有機半導体、導電性有機半導体の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよい。または、塗布膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。
封止膜28としては、紫外線(UV)硬化樹脂、熱硬化樹脂を塗布する方法や無機のSiONx膜等でカバーする方法、ガラス板やフィルムをUV硬化樹脂、熱硬化樹脂等で張り合わせる方法等が挙げられる。封止膜28によって、外気から遮断され、空気による酸化劣化を防ぐ。
図3、4は、他の有機トランジスタの構造の例であり、ゲート、ソース、ドレイン電極の配置が異なる。本樹脂は、耐溶性が高いので、絶縁樹脂を塗布する場合にも、溶けず、これらのトランジスタも上記と同じ方法で作成することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1:硬化樹脂を導電性有機半導体層として用いた有機トランジスタ>
(ゲート電極及びゲート絶縁膜の作成)
ゲート電極として、高濃度にドーピングされたn−型シリコン基板(厚さ300μm)を用いた。表面を熱酸化し、シリコン酸化膜を形成し、ゲート絶縁層(50nm)とした。
(有機半導体及び導電性有機半導体の作成)
前記[硬化重合体作成例1]、[塗布液の調製]、[硬化性重合体を用いた樹脂の形成]の方法を用いて、ゲート絶縁膜上に、硬化樹脂を形成する。ここでは、有機半導体層として、硬化樹脂A0(イオン重合開始剤無添加)、更に、硬化樹脂A3(イオン重合開始剤3wt%添加)積層した。有機半導体層の厚みを100nm、導電性有機半導体層の厚みは40nmとした。
(ソース及びドレイン電極の作成)
ソース−ドレイン電極間の長さは、100μm、奥行きは、500μmとした。ゲート絶縁層の上に、有機半導体層を塗布した後に、有機半導体層を硬化する。さらに、導電性有機半導体層を積層する。導電性有機半導体層を硬化する前に、レジスト膜をスピンコートし、ソース及びドレイン部以外の導電性有機膜上のレジスト膜を除去する。この基板をトルエンに浸すことにより、レジスト膜が除去された導電性有機半導体膜のみが溶解する。その後、加熱することで、導電性有機半導体を硬化する。更に、マスキングスパッタ法により、金をソース及びドレイン電極部に蒸着する。
<比較例1:導電性有機半導体層として用いない有機トランジスタ>
実施例1で説明した手順において、導電性有機半導体を積層せずに、有機トランジスタを作製した。
実施例1の有機トランジスタ素子の場合、ソース−ドレイン電極間の印可電圧10Vの条件で、1μAのドレイン電流を得るためのゲート電圧は8.0Vであったのに対して、比較例1の有機トランジスタでは10Vであった。
以上から、本導電性硬化樹脂を導電性有機半導体層に用いることで、駆動電圧を低減できることが示された。
本発明による有機トランジスタは、耐溶性に優れた塗布プロセスを用いた作成と低駆動電圧化を両立できる。
10…硬化性重合体、11…高分子主鎖、12…官能基側鎖、13…対アニオン分子、14…カチオン分子、
15…架橋構造、16…正孔、201…有機トランジスタ、21…基板、22…ゲート電極、23…ゲート絶縁層、
24…有機半導体層、25…導電性有機半導体層、26…ソース電極、27…ドレイン電極、28…封止膜、
301…有機トランジスタ、31…基板、32…ゲート電極、33…ゲート絶縁層、
34…有機半導体層、35…導電性有機半導体層、36…ソース電極、37…ドレイン電極、38…封止膜、
401…有機トランジスタ、41…基板、42…ゲート電極、43…ゲート絶縁層、
44…有機半導体層、45…導電性有機半導体層、46…ソース電極、47…ドレイン電極、48…封止膜、

Claims (8)

  1. 電極、絶縁体及び硬化樹脂を有する有機トランジスタにおいて、
    前記硬化樹脂は、共役性高分子主鎖を架橋基で結合したものであり、かつイオン重合開始剤の対アニオンを含むことを特徴とする有機トランジスタ。
  2. 請求項1に記載の有機トランジスタにおいて、
    硬化樹脂を複数有し、第1の硬化樹脂の対アニオンの濃度と、第2の硬化樹脂の対アニオン濃度とが異なることを特徴とする有機トランジスタ。
  3. 請求項1または2に記載の有機トランジスタにおいて、
    前記共役性高分子主鎖が、正孔輸送性モノマを主鎖に有し、架橋性官能基を側鎖に有する硬化性重合体とであることを特徴とする有機トランジスタ
  4. 請求項3に記載の有機トランジスタにおいて、
    前記正孔輸送性モノマが以下の式I〜IIIのいずれかで表される骨格を有する化合物であることを特徴とした有機トランジスタ
    (式中、
    R1〜R7は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、炭素数1〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル、炭素数2〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル、炭素数2〜22の直鎖状、分岐状又は環状のアルキニル、炭素数6〜21のアリール、炭素数12〜20のヘテロアリール、炭素数7〜21のアラルキル及び炭素数13〜20のヘテロアリールアルキルからなる群より選択され(上記の基は、非置換又は1若しくは複数のハロゲンで置換されている)、
    m1及びm2は、互いに独立して、0〜5の整数であり、
    n1及びn2は、互いに独立して、0〜4の整数である)
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の有機トランジスタにおいて、
    前記架橋性官能基が環状エーテル基であることを特徴とする有機トランジスタ。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の有機トランジスタにおいて、
    前記架橋性官能基が芳香族であることを特徴とする有機トランジスタ
  7. 請求項6に記載の有機トランジスタにおいて、
    前記芳香族が以下の式IV〜VIのいずれかであることを特徴とする有機トランジスタ。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の有機トランジスタにおいて、
    前記対アニオンが以下の式XII〜XIIIIのいずれかであることを特徴とする有機トランジスタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018225640A1 (ja) * 2017-06-06 2018-12-13 日立化成株式会社 硬化性重合体、重合液、導電性膜及び有機発光素子

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