JP2015191702A - 電池用正極板、アルカリ蓄電池、及び電池用正極板の製造方法 - Google Patents

電池用正極板、アルカリ蓄電池、及び電池用正極板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】その目的は、電池の出力特性を向上させることができる電池用正極板、アルカリ蓄電池、及び電池用正極板の製造方法を提供する。
【解決手段】三次元多孔体からなる基材25に活物質を含む充填材26が充填された正極板15について、正極板15をその厚み方向に5等分した中央の層の三次元多孔体の骨格密度が、最も外側に位置する2つの最表層のうち少なくとも一方における三次元多孔体の骨格密度に対して、1.5倍以上3倍以下である。
【選択図】図3

Description

本発明は、電池用正極板、アルカリ蓄電池、及び電池用正極板の製造方法に関する。
従来から、電子機器の電源や、電気自動車やハイブリッド自動車等の電源等に、二次電池であるアルカリ蓄電池が用いられている。このアルカリ蓄電池のなかには、発泡金属等の三次元多孔体が電池用正極板の基材として用いられたものがある。このような電池用正極板は、三次元多孔体からなる基材に、活物質や導電剤等を含むスラリーを充填するとともに、その基材を乾燥及び圧延することによって製造される。
例えば、特許文献1には、発泡金属板を用いた電池用正極板において、厚み方向の中央部における骨格部の密度を、厚み方向の両側に位置する両側部の密度よりも大きくしたものが提案されている。この電池用正極板は、製造段階において、スラリー(ペースト状活物質)が充填されない部分である未充填部分(空孔部分)が多く残る中央部を、加圧圧縮することによって大きく潰すことで、その中央部の骨格部の密度を大きくしている。
この電池用正極板では、厚み方向の中央部が補強部として機能するために、その強度が高められている。このため、電池用正極板が、当該極板を渦巻き状に捲回する捲回形電池に用いられても、骨格部の剥がれが抑制されて電池の短絡が低減される。また、厚み方向の中央部における発泡金属の細孔部が圧縮されて小さくなるために、電池の充放電が繰り返されて活物質が膨張収縮しても、当該中央部では極板の厚み方向の変動が小さく、活物質保持能力が高くなる結果、電池のサイクル寿命を延ばすことができると記載されている。
特開平8−329954号公報
ここで、上述した電池用正極板は、厚み方向の中央部における骨格部の密度が大きくされることで、その強度が高められるとともに、サイクル寿命が改善されているが、電池の出力特性に与える影響については考慮されていない。このため、三次元多孔体を用いたアルカリ蓄電池の出力特性については、なお改善の余地を残すものとなっている。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、電池の出力特性を向上させることができる電池用正極板、アルカリ蓄電池、及び電池用正極板の製造方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する電池用正極板は、三次元多孔体からなる基材に活物質を含む充填材が充填された電池用正極板において、当該電池用正極板をその厚み方向に5等分したとき、中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度が、最も外側に位置する2つの最表層のうち少なくとも一方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して、1.5倍以上3倍以下である。
上記課題を解決するアルカリ蓄電池は、三次元多孔体からなる基材に活物質を含む充填材が充填された正極板、負極板及びそれらの間に介装されるセパレータを備える極板群と、電解液とが収容容器に封入されたアルカリ蓄電池において、前記正極板は、当該正極板を厚み方向に5等分した中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度が、最も外側に位置する2つの最表層のうち少なくとも一方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して、1.5倍以上3倍以下である。
上記課題を解決する電池用正極板の製造方法は、三次元多孔体からなる基材に活物質を含む充填材が充填された電池用正極板の製造方法において、前記基材に前記充填材を充填する際に、当該電池用正極板をその厚み方向に5等分した中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度を、最も外側に位置する2つの最表層のうち少なくとも一方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して、1.5倍以上3倍以下とする。
出力特性等の電池性能を良好にするためには、スラリーを均一に充填する(骨格密度が均一に存在する)ことが望ましいと考えられていたが、発明者らは鋭意研究の結果、スラリーが均一でない(骨格密度が均一でない)ほうが、電池性能も向上することを発見し、本発明に至った。上記構成又は方法では、電池用正極板の中央の層の三次元多孔体の骨格密度を、最表層の三次元多孔体の骨格密度に対して上記範囲内とすることによって、電池の内部抵抗を低下させることができる。これにより、電池の出力特性が向上する。なお、従来知られている技術(例えば特許文献1)では、スラリーの充填を加圧ローラを用いたロール充填法で行っているが、このロール充填法でスラリーを充填した場合、表面に多くのスラリーが充填される。本発明者らの経験では、そのロール充填法を用いた方法では、骨格密度比率Rが3以上になり、内部抵抗は大きくなっていると考えられる。
この電池用正極板について、前記中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度が、前記各最表層のうち少なくとも一方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して、1.7倍以上2.8倍以下であることが好ましい。
上記構成では、電池用正極板の中央の層の三次元多孔体の骨格密度を、最表層の三次元多孔体の骨格密度に対して上記範囲内とすることによって、電池の内部抵抗をさらに低下させることができる。このため、電池の出力特性をさらに向上させることができる。
この電池用正極板において、前記中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度が、2つの前記最表層の両方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して1.5倍以上3倍以下であることが好ましい。
上記構成では、電池用正極板の中央の層の三次元多孔体の骨格密度を、2つの最表層の骨格密度の両方に対して上記範囲内にすることによって、充填材及び基材の割合の好適なバランスを保ちつつ、電池の内部抵抗を低下させることができる。
この電池用正極板の製造方法について、前記基材の前記各最表層に対向する1対の吐出部から、前記充填材の前駆体を前記各最表層の表面に向かってそれぞれ吐出することが好ましい。
上記方法では、電池用基材の中央の層の三次元多孔体の骨格密度が、2つの最表層の骨格密度の両方に対して上記範囲内に調整されやすくなる。
本発明によれば、出力特性を向上させることができる電池用正極板、アルカリ蓄電池、及び電池用正極板の製造方法が提供される。
アルカリ蓄電池をニッケル水素蓄電池に具体化した一実施形態について、ニッケル水素蓄電池の概略を示す斜視図。 同実施形態におけるニッケル水素蓄電池を構成する電池セルの断面図。 同実施形態の電池セルを構成する正極板の断面を示す模式図。 同実施形態の正極板の断面を、厚さ方向に5等分した状態を示す模式図。 同実施形態における正極板を製造する製造装置を示す模式図。 実施例及び比較例に基づく最表層の骨格密度に対する中央の層の骨格密度の比率と、ニッケル水素蓄電池の内部抵抗との関係を示すグラフ。
以下、電池用正極板、アルカリ蓄電池、及び電池用正極板の製造方法について、その一実施形態を説明する。本実施形態では、アルカリ蓄電池を、ニッケル水素蓄電池に具体化して説明する。
図1に示すように、本実施形態におけるニッケル水素蓄電池11は、角形の密閉式電池であって、直列接続された複数の電池セル12を有している。ニッケル水素蓄電池11は、各電池セル12を収容可能な一体電槽13と、一体電槽13の開口部を封止する蓋体14とを備えている。一体電槽13及び蓋体14は、収容容器を構成する。
一体電槽13の内部空間は、図示しない隔壁によって6つの空間に区画されている。それらの空間の各々には、電池セル12が収容されている。本実施形態では、一体電槽13内に6個の電池セル12が収容されている。各電池セル12は、集電板21,22の上部に突設されている接合突部(図示略)同士が接続されることで、直列に接続されている。これらの電池セル12の電力は、一体電槽13に設けられた端子13a,13bから取り出される。
図2に示すように、電池セル12は、板状の正極板15及び負極板16がセパレータ17を介して積層された極板群20と、電解液(図示略)と、集電板21,22とを備えている。正極板15及び負極板16の端部には、リード部15a,16aがそれぞれ形成されている。正極板15のリード部15aは、溶接等の接合方法によって、正極の集電板21の接合面に対して垂直に接合されている。負極板16のリード部16aもまた、溶接等によって、負極の集電板22の接合面に対して垂直に接合されている。
負極板16は、芯材と、当該芯材に担持された水素吸蔵合金を備えている。水素吸蔵合金の種類は特に限定されないが、例えば、希土類元素の混合物であるミッシュメタルとニッケルとの合金や、当該合金の一部を、アルミニウム、コバルト、マンガン等に置換したものである。この負極板16は、水素吸蔵合金に、カーボンブラック等の増粘剤、スチレン‐ブタジエン共重合体等の結着剤を添加して、ペースト状に加工したものを、パンチングメタル等の芯材に充填した後、乾燥、圧延、切断することによって製造される。
図3に示すように、正極板15は、三次元多孔体からなる基材25、基材25に担持された充填材26を有している。基材25は、充填材26を担持する担体の機能と、集電体の機能とを有する。充填材26は、水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質、導電剤等を有する。なお、図3では、便宜上、発泡ニッケルの骨格の断面を模式的に示しており、その大きさや密度を実際のものに合わせて図示したものではない。
基材25は、発泡金属からなることが好ましく、本実施形態では、発泡金属の一つである発泡ニッケルを用いている。発泡ニッケルは、内部に多数の細孔を有し、容易に圧縮することが可能である。発泡ニッケルの製造方法は特に限定されないが、例えば、発泡ウレタンの骨格表面にニッケルメッキを施した後、発泡ウレタンを焼失させることによって製造される。上述したリード部15aは、基材25の端部が圧縮され、その圧縮した箇所に鉄材等の金属材が溶接されることによって形成されている。このリード部15aは、基材25の厚みDに沿った方向である厚み方向の中央部に設けられている。
また、正極板15の基材25は、発泡ニッケルの骨格の密度が、厚み方向の中央に偏在している。
図4を参照して、発泡ニッケルの骨格密度が中央に偏在する状態について説明する。正極板15をその厚み方向に5等分し、仮想的に第1層L1〜第5層L5に分割すると、中央の層、即ち、最も外側に位置する2つの最表層である第1層L1及び第5層L5の両方の発泡ニッケルの骨格密度に対する第3層L3における発泡ニッケルの骨格密度の比率である骨格密度比率Rは、1.5以上3以下になっている。即ち、第3層L3においては、最表層に比べ、発泡ニッケルの割合が相対的に多く、充填材26の割合が相対的に少ない。なお、図4では、図3と同様に、発泡ニッケルの骨格を模式的に示している。また、図示の便宜上、第2層L2及び第4層L4の発泡ニッケルの骨格密度を、最表層である第1層L1及び第5層L5の発泡ニッケルの骨格密度とほぼ同じにしているが、第2層L2及び第4層L4の発泡ニッケルの骨格密度の平均は、最表層の骨格密度の平均と同等でもよく、異なっていてもよい。
また、骨格密度比率Rは、第1層L1及び第5層L5のいずれか一方ではなく、両方に対して上記範囲内とすることが好ましい。この場合には、発泡ニッケルの割合、又は充填材26の割合が、極端に正極板15の厚み方向の片側に偏ることがないため、電池全体として発泡ニッケル及び充填材26の好適なバランスを維持できる。このため、電池容量等の電池性能を適切な範囲に維持することができる。
このように骨格密度比率Rを上記範囲内にすることによって、ニッケル水素蓄電池11の内部抵抗の一つである直流電流抵抗が低下し、電池の出力が高められる。直流電流抵抗が低下する理由の一つを、発明者は次のように想定している。正極活物質に比べ、導電性が高い発泡ニッケルの骨格を第3層L3に集めることで、電流の経路が太くなり、正極板15の厚み方向において第3層L3と同じ中央部に設けられたリード部15aから、電流の経路を通じて流れる電流を取り出しやすくなる。一方、上記骨格密度比率Rが1.5倍未満であると、ニッケル骨格の密度が小さいために電流の経路が細くなるか又は形成されにくくなる。また、上記骨格密度比率Rが3を超えると、第3層L3における充填材26が不足して、電池反応を通じて得られる電流量が小さくなる。なお、従来知られている技術(例えば特許文献1)では、スラリーの充填を加圧ローラを用いたロール充填法で行っているが、このロール充填法でスラリーを充填した場合、表面に多くのスラリーが充填される。本発明者らの経験では、そのロール充填法を用いた方法では、骨格密度比率Rが3以上になり、直流電流抵抗は大きくなっていると考えられる。
次に、正極板15の製造方法について説明する。
まず、基材25に充填するスラリーを作製する。スラリーは、上述した充填材26の前駆体であり、正極活物質、導電剤、増粘剤、及び結着剤等を混練することにより作製される。上述したように正極活物質は、水酸化ニッケルを主成分とする。導電剤には、例えば、水酸化コバルト、金属コバルト粉末等が用いられる。増粘剤には、例えば、カルボキシメチルセルロース等が用いられる。結着剤には、例えば、ポリテトラフルオラエチレン等が用いられる。
次に、上述したように調整したスラリーを、基材25にダイ塗工方式により充填する。ダイ塗工方式は、吐出口を有するダイから塗布液を吐出することによりコーティング等を行う方式であって、本実施形態では、スラリーを基材25の両側の表面に吐出することにより、基材25の細孔にスラリーを充填する。
例えば上記特許文献1に記載のロール充填法は、スラリーが基材表面に塗られるだけであるため、スラリーが基材表面に多く充填され、骨格密度比率Rは大きく(3以上)になりやすい。また、吹き付け充填法は、基材25の一方面からスラリーを吹き付けるため、基材厚み方向の中央部のスラリーが少なくなるということがなく、一般的には均一に充填されるので、骨格密度比率Rは1付近になる。
一方、ダイ塗工方式では、塗布液(スラリー)が基材両側に吐出されるため、中央に空気が適度に存在し、スラリーが充填されにくい状態となる。その分、正極板15としては、中央の骨格の密度が高くなるので、骨格密度比率Rを1.5以上3以下とするには、ダイ塗工方式が好ましい。
図5を参照して、ダイ塗工方式によってスラリーを充填する製造装置30について説明する。製造装置30は、スラリーが充填される前の基材25が巻回された基材搬送部31と、基材25の両側からスラリーを吐出する、吐出部としての一対のダイ33と、充填材26が吐出された基材25を乾燥させる乾燥装置34と、その基材25を圧延する圧延装置35とを備える。
各ダイ33は、吐出口をそれぞれ有し、基材25の搬送経路の両側に設けられている。ダイ33は、吐出口に連通する管路36を介してスラリーが貯留されたタンク38にそれぞれ接続されている。管路36の途中に設けられたポンプ37が駆動することによって、タンク38からダイ33にスラリーが供給される。
乾燥装置34は、ヒータ等を備え、スラリーの液体部分を揮発させて、充填材26とする。圧延装置35は、一対の圧延ローラ35aを備え、圧延ローラ35aの間に、充填材26が充填された基材25を挟みながら搬送することで、基材25内に存在する空隙の大部分を消失させる。
次に、製造装置30の動作について説明する。基材搬送部31に巻回された基材25は、搬送ローラ32によって、一対のダイ33に搬送される。ダイ33は、吐出口を基材25に圧接させた状態で、吐出口から基材25の表面に向かってスラリーを吐出する。2つのダイ33のスラリーの吐出圧及び吐出流量は同じになるように調整されている。吐出されたスラリーは、基材25の表面から内部の細孔に入り込む。なお、この段階では、上述した第3層L3には、第1層L1及び第5層L5といった最表層よりも、スラリーが充填されていない未充填部分が多く存在している。
スラリーが吐出された基材25は、乾燥装置34に搬送される。乾燥装置34を通過することによって乾燥された基材25は、圧延装置35によって圧延される。この際、第1層L1及び第5層L5は、第3層L3に比べて充填材26の量が多いため、発泡ニッケルの細孔内に充填材26が介在することによって、第3層L3よりも圧縮の度合いが小さい。一方、第3層L3は、最表層に比べ充填材26の量が少なく、空隙も多いため、最表層よりも圧縮の度合いが大きい。その結果、第3層L3における発泡ニッケルの密度が大きくなり、骨格密度比率Rが上記範囲内とされる。圧延された基材25は、所定の大きさに切断されるとともに、リード部15aが溶接されることにより正極板15となる。
このような方法で正極板15が製造されるとき、スラリーの粘度が過大であると、スラリーをダイ33から吐出する際に第3層L3にスラリーが行き渡りにくくなるため、上記骨格密度比率Rが上記範囲を超えやすく、スラリーの粘度が過小であると、第3層L3までスラリーが十分行き渡る結果、骨格密度比率Rが上記範囲を下回りやすい。さらに、圧縮前の基材25の厚みが過大であると、第3層L3にスラリーが行き渡りにくくなるため、上記骨格密度比率Rが上記範囲を超えやすく、圧縮前の基材25の厚みが過小であると、第3層L3までスラリーが十分行き渡る結果、骨格密度比率Rが上記範囲を下回りやすい。
このように、スラリーの粘度や、基材25の厚み等が調整され、且つ、ダイ33が基材25に接する際の圧力、圧延装置35によって印加される圧力が調整されることによって、発泡ニッケルの骨格の偏在度を示す骨格密度比率Rが上記範囲内とされる。
また、本実施形態のダイ塗工方式では、基材25の両側からスラリーを吐出することにより、第3層L3の発泡ニッケルの骨格密度比率Rを、第1層L1及び第5層L5に相当する最表層の両方に対して、上記範囲内に調整しやすい。
次に、正極板15の骨格密度比率Rを変更した実施例及び比較例に基づき、当該発明の効果を検証する。
実施例1〜4では、スラリーの粘度を、0.4Pa・s以上1Pa・s以下に調整した。また、ダイ33に搬送される前の基材25の厚みを、0.5mm以上0.7mm以下とした。発泡ニッケルは、細孔の大きさの平均が400μm以上500μm以下のものを用いた。また、発泡ニッケルは、その空孔率が90%以上であるものを用い、高い骨格密度比率Rを得る場合には92%以上97%以下のものを用いた。
さらに、各実施例1〜4の間で異なる骨格密度比率Rを得るために、スラリーの粘度、基材25の厚みを変更した。そして、ダイ塗工方式でスラリーを充填させることによって正極板を作製し、この正極板を用いてニッケル水素蓄電池を得た。
(実施例1)
スラリーの粘度、基材25の厚みを調整することにより、骨格密度比率Rが1.6の正極板を作製した。なお、両方の最表層の発泡ニッケルの骨格密度はほぼ同一であるため、骨格密度比率Rを、2つの最表層のうち一方の発泡ニッケルの骨格密度と、第3層L3の発泡ニッケルの骨格密度とに基づき算出した。また、骨格密度比率Rは、正極板15の断面積を撮影した電子顕微鏡写真において、第3層L3の断面において観察される発泡ニッケルの骨格の断面積の総和を、最表層の断面において観察される発泡ニッケルの骨格の断面積の総和で除算することによって算出した。この正極板12枚と、水素吸蔵合金からなる負極板13枚とを、水酸化カリウム水溶液からなる電解液を浸したセパレータを介して積層して、ニッケル水素蓄電池を作製した。このニッケル水素蓄電池の直流電流抵抗を計測したところ、2.82mΩであった。
(実施例2)
骨格密度比率Rが2.1の正極板を作製し、この正極板を用いて実施例1と同様に、ニッケル水素蓄電池を作製した。このニッケル水素蓄電池の直流電流抵抗を計測したところ、2.77mΩであった。
(実施例3)
骨格密度比率Rが2.3の正極板を作製し、この正極板を用いて実施例1と同様に、ニッケル水素蓄電池を作製した。このニッケル水素蓄電池の直流電流抵抗を計測したところ、2.75mΩであった。
(実施例4)
骨格密度比率Rが2.9の正極板を作製し、この正極板を用いて実施例1と同様に、ニッケル水素蓄電池を作製した。このニッケル水素蓄電池の直流電流抵抗を計測したところ、2.82mΩであった。
次に、スラリーの粘度、基材25の厚みを変更することによって、正極板の骨格密度比率Rが1.5以上3以下の範囲から外れる比較例1〜3のニッケル水素蓄電池を作製した。
(比較例1)
骨格密度比率Rが0.76の正極板を作製し、この正極板を用いて実施例1と同様に、ニッケル水素蓄電池を作製した。このニッケル水素蓄電池の直流電流抵抗を計測したところ、2.93mΩであった。
(比較例2)
骨格密度比率Rが1.4の正極板を作製し、この正極板を用いて実施例1と同様に、ニッケル水素蓄電池を作製した。このニッケル水素蓄電池の直流電流抵抗を計測したところ、2.85mΩであった。
(比較例3)
骨格密度比率Rが3.3の正極板を作製し、この正極板を用いて実施例1と同様に、ニッケル水素蓄電池を作製した。このニッケル水素蓄電池の直流電流抵抗を計測したところ、2.87mΩであった。
図6に、実施例1〜4及び比較例1〜3の骨格密度比率R及び直流電流抵抗の各数値にフィッティングさせた曲線を示す。グラフの横軸は、最表層に対する第3層L3の発泡ニッケルの骨格密度の比率である骨格密度比率Rを示す。縦軸は、ニッケル水素蓄電池11の直流電流抵抗を示す。グラフに示されるように、直流電流抵抗は、骨格密度比率Rが「1」から「2」に向かうにつれて低下し、骨格密度比率Rが「2」付近のときを極小値として、骨格密度比率Rが「2」付近から「3」に向かうにつれて上昇する。
また、グラフに示されるように、骨格密度比率Rが1.5以上3以下である場合には、直流電流抵抗が2.85mΩを下回る。また骨格密度比率Rが1.7以上2.8以下である場合には、直流電流抵抗が2.8mΩ以下となる。一方、骨格密度比率Rが1.5未満である場合、及び骨格密度比率Rが3を超える場合、直流電流抵抗が2.85mΩを超える。この場合であっても、製品として十分な電池出力が得られるが、骨格密度比率Rが1.5以上3以下である場合には、よりよい電池出力を得ることができる。なお、直流電流抵抗は、正極板15や負極板16の枚数等、電池の構造や組成によってその大きさが変わるため、上記した骨格密度比率Rの好適な範囲は、直流電流抵抗が必ずしも2.85mΩや2.8mΩを下回ることを目安に設定したものではない。
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)正極板15をその厚み方向に5等分したとき、第3層L3における発泡ニッケルの骨格密度を、最も外側に位置する2つの最表層の発泡ニッケルの骨格密度に対して、1.5倍以上3倍以下とした。このため、ニッケル水素蓄電池11の直流電流抵抗を低下させ、電池出力を高めることができる。また、第3層L3における発泡ニッケルの骨格密度を、2つの最表層の両方に対して上記範囲内としたので、正極板15全体として、基材25の密度及び充填材26の密度の好適なバランスを保ちつつ、直流電流抵抗を低下させることができる。このため、電池容量等といった直流電流抵抗以外の電池性能も好適に維持することができる。
(2)正極板15を製造する際、ダイ33からスラリーを吐出するダイ塗工方式によって、基材25の両側からスラリーを充填した。また、スラリーを充填した基材25を乾燥し、圧延して、基材25に充填材26を充填した。例えば、基材25の表面の一方からスラリーを充填する場合は、スラリーの充填量が片面側に偏り、正極板15全体として、スラリーの充填量に過不足が生じやすい。上記実施形態のように、基材25の両側からスラリーを充填すると、第3層L3における発泡ニッケルの骨格密度比率Rを上記範囲内にとするとともに、正極板15全体として、基材25の密度及び充填材26の密度の好適なバランスを保つことができる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・正極板15のリード部15aは、発泡ニッケルを圧縮した箇所に金属板を溶接することにより形成したが、正極板15の本体からの電力を取り出すことができれば、他の構成であってもよい。例えば、リード部15aは、基材25の端部を圧縮しない状態で、当該端部に金属板を溶接した構成であってもよい。
・上記実施形態では、三次元多孔体として、発泡ニッケルを例示したが、例えば、多孔質のアルミニウム、多孔質のコバルト、多孔質のチタン等、他の多孔質の金属でもよい。また、発泡金属は、発泡ウレタンを用いる製法以外の製法によって作製されたものであってもよい。また、三次元多孔体は、例えば、カーボンナノチューブ等の空孔率の大きい炭素、発泡金属以外の導電性を有する材料からなるものであってもよい。
・ダイ塗工方式を用いた製造装置30は、上述した構成以外の装置であってもよい。例えば、ダイ33毎にタンク38を設けてもよい。
・上記実施形態では、スラリーを基材25に充填する方法として、1対のダイ33によってスラリーを吐出する方法を用いたが、骨格密度比率Rを上記範囲内に調整できるのであれば、これ以外の方法を用いてもよい。
・第3層L3の骨格密度比率Rは、2つの最表層の両方に対して上記範囲内とされることが好ましいが、2つの最表層のうち一方のみについて上記範囲内とされてもよい。この場合であっても、中央層(第3層L3)において少なくとも一方の最表層より発泡ニッケルの骨格密度が大きくなるので、直流電流抵抗を低下し、電池出力を高めることができる。
・上記実施形態では、ニッケル水素蓄電池11を6個の電池セル12から構成したが、6個以外の複数個の電池セル12から構成されていてもよい。また、ニッケル水素蓄電池11は、1つの電池セル12から構成されていてもよい。
・上記実施形態では、本発明のアルカリ蓄電池を、板状の正極板15及び負極板16がセパレータ17を介して積層された極板群20を有する構成にしたが、これ以外の構成を有する電池にしてもよい。例えば、正極板15及び負極板16を渦巻状に巻回して電解液とともにケース内に収容する筒型のアルカリ蓄電池にしてもよい。
・上記実施形態では、本発明のアルカリ蓄電池を、ニッケル水素蓄電池に具体化して説明したが、他のアルカリ蓄電池に具体化してもよい。例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル亜鉛蓄電池等に具体化してもよい。この場合であっても、電池用正極板の三次元多孔体の骨格密度比率を上記範囲内にすることで、同様の効果を得ることができる。
11…ニッケル水素蓄電池、12…電池セル、13…一体電槽、13a…端子、13b…端子、14…蓋体、15…正極板、15a…リード部、16…負極板、16a…リード部、17…セパレータ、20…極板群、21,22…集電板、25…基材、26…充填材、30…製造装置、31…基材搬送部、32…搬送ローラ、33…ダイ、34…乾燥装置、35…圧延装置、35a…圧延ローラ、36…管路、37…ポンプ、38…タンク。

Claims (6)

  1. 三次元多孔体からなる基材に活物質を含む充填材が充填された電池用正極板において、
    当該電池用正極板をその厚み方向に5等分した中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度が、最も外側に位置する2つの最表層のうち少なくとも一方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して、1.5倍以上3倍以下であることを特徴とする電池用正極板。
  2. 前記中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度が、前記各最表層のうち少なくとも一方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して、1.7倍以上2.8倍以下である請求項1に記載の電池用正極板。
  3. 前記中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度が、2つの前記最表層の両方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して1.5倍以上3倍以下である請求項1又は2に記載の電池用正極板。
  4. 三次元多孔体からなる基材に活物質を含む充填材が充填された正極板、負極板及びそれらの間に介装されるセパレータを備える極板群と、電解液とが収容容器に封入されたアルカリ蓄電池において、
    前記正極板は、当該正極板を厚み方向に5等分した中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度が、最も外側に位置する2つの最表層のうち少なくとも一方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して、1.5倍以上3倍以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
  5. 三次元多孔体からなる基材に活物質を含む充填材が充填された電池用正極板の製造方法において、
    前記基材に前記充填材を充填する際に、当該電池用正極板をその厚み方向に5等分した中央の層の前記三次元多孔体の骨格密度を、最も外側に位置する2つの最表層のうち少なくとも一方における前記三次元多孔体の骨格密度に対して、1.5倍以上3倍以下とすることを特徴とする電池用正極板の製造方法。
  6. 前記基材の前記各最表層に対向する1対の吐出部から、前記充填材の前駆体を前記各最表層の表面に向かってそれぞれ吐出する請求項5に記載の電池用正極板の製造方法。
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