JP2015190292A - 樹脂組成物、被覆粒子、注入剤および注入剤を亀裂に注入する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】地下層に形成された亀裂に充填され、耐圧性に優れる被覆粒子、この被覆粒子の表面層を形成するのに用いられる樹脂組成物、被覆粒子を含む注入剤、およびそれを亀裂に注入する方法を提供すること。
【解決手段】地下層中に形成された亀裂に充填される複数の被覆粒子であって、外表面を有するコア粒子と、コア粒子の外表面の少なくとも一部を被覆する表面層とを備え、表面層は熱硬化性樹脂を含み、熱硬化性樹脂はオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含むことを特徴とする被覆粒子、この被覆粒子の表面層を形成するのに用いられる樹脂組成物、この被覆粒子を含む注入剤、およびそれを亀裂に注入する方法。
【選択図】 図1
【解決手段】地下層中に形成された亀裂に充填される複数の被覆粒子であって、外表面を有するコア粒子と、コア粒子の外表面の少なくとも一部を被覆する表面層とを備え、表面層は熱硬化性樹脂を含み、熱硬化性樹脂はオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含むことを特徴とする被覆粒子、この被覆粒子の表面層を形成するのに用いられる樹脂組成物、この被覆粒子を含む注入剤、およびそれを亀裂に注入する方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、樹脂組成物、被覆粒子、注入剤および注入剤を亀裂に注入する方法に関する。
在来型のガスやオイルは垂直井戸を掘って採掘されてきた。これに対し、近年、水平に掘り進める水平抗井技術の発達により、地下深くの頁岩(シェール)層に閉じ込められている非在来型のオイル状またはガス状の炭化水素(流体)などを取り出す技術が発達してきた。この頁岩層に含まれる資源を取り出すために、井戸から粘性の流体(フラクチャリング流体)を地下に注入し、高圧をかけ人工的に頁岩層に亀裂を生じさせる(水平水圧破砕)。これにより、シェールガスやシェールオイルなどが割れ目から自然に流れ出る状態になる。
この水圧破砕によって造られた亀裂の閉塞を防ぐために粒子状物質などを詰めて隙間を保つ必要がある。この亀裂を埋めるために使われている粒子状物質(支持体)はプロパントと呼ばれ、一般的に砂、 ガラスビーズ、またはセラミック粒子砂などが使われる。こ
れらの粒子状物質は、そのままでは地下の圧力で破砕されやすいため、粒子表面をコートしている。この被覆粒子は、コア粒子が樹脂などで覆われているため、仮に地中の圧力によってコア粒子が破壊しても、その破片が散逸することが阻止される。そのため、被覆粒子同士の間の空間が破片により閉塞するのを防止することができ、ガスやオイルの通り道を確保することができる。亀裂の閉塞を防止する観点から、砂を保護する被覆粒子の開発が求められている。
れらの粒子状物質は、そのままでは地下の圧力で破砕されやすいため、粒子表面をコートしている。この被覆粒子は、コア粒子が樹脂などで覆われているため、仮に地中の圧力によってコア粒子が破壊しても、その破片が散逸することが阻止される。そのため、被覆粒子同士の間の空間が破片により閉塞するのを防止することができ、ガスやオイルの通り道を確保することができる。亀裂の閉塞を防止する観点から、砂を保護する被覆粒子の開発が求められている。
またフラクチャリング流体を使う場合には大量の水が使用されるが、コスト面からも水圧破砕に使用した水を回収して再利用する(フローバック)ことが行われる。回収された水にはコア粒子やその破片などができるだけ少ないことが望ましい。このような粒子として、例えば、特許文献1は、シリカサンドやガラスビーズのようなコア粒子を、エポキシ樹脂等で被覆した被覆粒子を開示(第3欄、第7〜第21行目参照)し、特許文献2は、シリカサンドのようなコア粒子を、フェノール樹脂等で被覆した被覆粒子を開示(第2欄、第55行目〜第3欄、第52行目参照)している。
かかる被覆粒子は、コア粒子が樹脂で被覆されているため、仮に地中の圧力によってコア粒子が崩壊しても、その破片が散逸することが阻止される。このため、被覆粒子同士の間の空間が破片により閉塞するのを防止することができ、地下層の流体浸透性を確保することができる。しかしながら、これらの従来技術においては被覆層が脆く割れやすい欠点があり、炭化水素の回収量を向上させる観点からは、さらに高い耐圧性に優れた被覆粒子の開発が求められている。
本発明の目的は、地下層に形成された亀裂に充填され、耐圧性に優れる被覆粒子、この被覆粒子の表面層を形成するのに用いられる樹脂組成物、被覆粒子を含む注入剤、および
それを亀裂に注入する方法を提供することにある。
それを亀裂に注入する方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(23)に記載の本発明により達成される。
(1) 地下層中に形成された亀裂に充填される粒子の外表面の少なくとも一部を被覆する表面層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、当該樹脂組成物は熱硬化性樹脂を含み、前記熱硬化性樹脂はオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2) 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂に用いられるオイルは、カシューナット油、アマニ油、桐油、ヒマシ油、及び、トール油からなる群から選ばれる1種以上のオイルである、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂は、オイル変性率が1質量%以上、70質量%以下である、(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4) 当該樹脂組成物中に含まれる前記熱硬化性樹脂の量は、70質量%以上、99質量%以下である、(1)から(3)のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
(5) 当該樹脂組成物は、さらに滑剤を含む、(1)から(4)のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
(6) 前記滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属石鹸である、(5)に記載の樹脂組成物。
(7) 当該樹脂組成物中に含まれる前記滑剤の量は、0.1質量%以上、10質量%以下である、(5)又は(6)に記載の樹脂組成物。
(8) 地下層中に形成された亀裂に充填される複数の被覆粒子であって、各被覆粒子は、外表面を有するコア粒子と、該コア粒子の前記外表面の少なくとも一部を被覆する表面層とを備え、前記表面層は熱硬化性樹脂を含み、前記熱硬化性樹脂はオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含むことを特徴とする被覆粒子。
(9) 前記表面層の平均厚さは、0.5μm以上、20μm以下である、(8)に記載の被覆粒子。
(10) 前記表面層は、前記コア粒子の前記外表面の50%以上、100%以下を被覆する、(8)又は(9)に記載の被覆粒子。
(11) 前記複数のコア粒子は、砂粒子およびセラミックス粒子のうちの少なくとも1種を含む、(8)から(10)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(12) 前記複数のコア粒子の平均粒子サイズは、100μm以上、3,000μm以下である、(8)から(11)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(13) 前記熱硬化性樹脂は、硬化状態または未硬化状態である(8)から(12)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(14) 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂に用いられるオイルは、カシューナット油、アマニ油、桐油、ヒマシ油、及び、トール油からなる群から選ばれる1種以上のオイルである、(8)から(13)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(15) 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂は、オイル変性率が1質量%以上、70質量%以下である、(8)から(14)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(16) 前記表面層中に含まれる前記熱硬化性樹脂の量は、70質量%以上、99質量%以下である、(8)から(15)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(17) 前記表面層は、さらに滑剤を含む、(8)から(16)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(18) 前記滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属石鹸である、(17)に記載の被覆粒子。
(19) 前記表面層中に含まれる前記滑剤の量は0.1質量%以上、10質量%以下である、(17)又は(18)に記載の被覆粒子。
(20) 地下層中に形成された亀裂に注入される注入剤であって、(8)から(19)のいずれか一項に記載の被覆粒子と、該被覆粒子を分散し、前記被覆粒子を前記亀裂に移送するための流体とを含むことを特徴とする注入剤。
(21) 前記流体は、溶媒、粘度調整剤、界面活性剤、ブレーカー、粘度安定剤、ゲル化剤および安定剤のうち少なくとも1つを含む(20)記載の注入剤。
(22) 当該注入剤中に含まれる前記の被覆粒子の量は、1質量%以上、99質量%以下である、(20)又は(21)に記載の注入剤。
(23) (20)から(22)のいずれか一項に記載の注入剤を地下層中に形成された亀裂に、前記地下層に至る掘削穴を介して移送し、前記注入剤を前記亀裂に注入する方法。
(1) 地下層中に形成された亀裂に充填される粒子の外表面の少なくとも一部を被覆する表面層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、当該樹脂組成物は熱硬化性樹脂を含み、前記熱硬化性樹脂はオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2) 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂に用いられるオイルは、カシューナット油、アマニ油、桐油、ヒマシ油、及び、トール油からなる群から選ばれる1種以上のオイルである、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂は、オイル変性率が1質量%以上、70質量%以下である、(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4) 当該樹脂組成物中に含まれる前記熱硬化性樹脂の量は、70質量%以上、99質量%以下である、(1)から(3)のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
(5) 当該樹脂組成物は、さらに滑剤を含む、(1)から(4)のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
(6) 前記滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属石鹸である、(5)に記載の樹脂組成物。
(7) 当該樹脂組成物中に含まれる前記滑剤の量は、0.1質量%以上、10質量%以下である、(5)又は(6)に記載の樹脂組成物。
(8) 地下層中に形成された亀裂に充填される複数の被覆粒子であって、各被覆粒子は、外表面を有するコア粒子と、該コア粒子の前記外表面の少なくとも一部を被覆する表面層とを備え、前記表面層は熱硬化性樹脂を含み、前記熱硬化性樹脂はオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含むことを特徴とする被覆粒子。
(9) 前記表面層の平均厚さは、0.5μm以上、20μm以下である、(8)に記載の被覆粒子。
(10) 前記表面層は、前記コア粒子の前記外表面の50%以上、100%以下を被覆する、(8)又は(9)に記載の被覆粒子。
(11) 前記複数のコア粒子は、砂粒子およびセラミックス粒子のうちの少なくとも1種を含む、(8)から(10)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(12) 前記複数のコア粒子の平均粒子サイズは、100μm以上、3,000μm以下である、(8)から(11)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(13) 前記熱硬化性樹脂は、硬化状態または未硬化状態である(8)から(12)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(14) 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂に用いられるオイルは、カシューナット油、アマニ油、桐油、ヒマシ油、及び、トール油からなる群から選ばれる1種以上のオイルである、(8)から(13)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(15) 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂は、オイル変性率が1質量%以上、70質量%以下である、(8)から(14)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(16) 前記表面層中に含まれる前記熱硬化性樹脂の量は、70質量%以上、99質量%以下である、(8)から(15)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(17) 前記表面層は、さらに滑剤を含む、(8)から(16)のいずれか一項に記載の被覆粒子。
(18) 前記滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属石鹸である、(17)に記載の被覆粒子。
(19) 前記表面層中に含まれる前記滑剤の量は0.1質量%以上、10質量%以下である、(17)又は(18)に記載の被覆粒子。
(20) 地下層中に形成された亀裂に注入される注入剤であって、(8)から(19)のいずれか一項に記載の被覆粒子と、該被覆粒子を分散し、前記被覆粒子を前記亀裂に移送するための流体とを含むことを特徴とする注入剤。
(21) 前記流体は、溶媒、粘度調整剤、界面活性剤、ブレーカー、粘度安定剤、ゲル化剤および安定剤のうち少なくとも1つを含む(20)記載の注入剤。
(22) 当該注入剤中に含まれる前記の被覆粒子の量は、1質量%以上、99質量%以下である、(20)又は(21)に記載の注入剤。
(23) (20)から(22)のいずれか一項に記載の注入剤を地下層中に形成された亀裂に、前記地下層に至る掘削穴を介して移送し、前記注入剤を前記亀裂に注入する方法。
本発明によれば、柔軟性に優れた特定の熱硬化性樹脂の作用によりコア粒子の破片の散逸を防止する効果が発揮され、これにより被覆粒子の充填部位(地下層の亀裂)の流体浸透性が高まる。
以下、本発明の樹脂組成物、被覆粒子、注入剤、および注入剤を亀裂に注入する方法について、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の被覆粒子の実施形態を示す部分断面図、および、図2は、図1に示す被覆粒子に圧力が付与された状態を示す部分断面図である。
図1は、本発明の被覆粒子の実施形態を示す部分断面図、および、図2は、図1に示す被覆粒子に圧力が付与された状態を示す部分断面図である。
本発明の被覆粒子は、地下層中に形成された亀裂に充填され、この亀裂が閉塞するのを防止するとともに、地下層の被覆粒子の充填部位(地下層の亀裂)の流体浸透性を確保する。これにより、地下層が含有する炭化水素の地下層に形成された掘削穴への流入効率を高めることができる。図1に示すように、各被覆粒子1は、コア粒子2と、コア粒子2の外表面の少なくとも一部を被覆する表面層3とを有する。
コア粒子2は、被覆粒子1が亀裂に充填された際に、亀裂内で支持材として機能する。このコア粒子2には、比較的高い機械的強度を有する種々の粒子を用いることができ、特定の種類に限定されない。コア粒子2の具体例としては、例えば、砂粒子、セラミックス粒子、シリカ粒子、金属粒子、有機物粒子等が挙げられる。
これらの中でも、複数のコア粒子2は、砂粒子およびセラミックス粒子のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。砂粒子およびセラミックス粒子は、高い機械的強度を有するとともに、比較的安価かつ容易に入手可能である。
複数のコア粒子2の平均粒子サイズは、100μm以上、3,000μm以下程度であることが好ましく、150μm以上、1,200μm以下程度であることがより好ましい。このようなサイズのコア粒子2を用いることにより、得られた被覆粒子1同士の凝集を防止することができる。また、被覆粒子1を充填した亀裂の流体浸透性を十分に確保することができる。
なお、複数のコア粒子2は、粒子サイズにバラつきが存在し、10倍程度粒子サイズが
異なる粒子を含んでいてもよい。すなわち、複数のコア粒子2の粒度分布を測定したとき、山形関数で表される粒度分布曲線のピークの半値幅が比較的大きな値であってもよい。
異なる粒子を含んでいてもよい。すなわち、複数のコア粒子2の粒度分布を測定したとき、山形関数で表される粒度分布曲線のピークの半値幅が比較的大きな値であってもよい。
なお、図1では、コア粒子2の断面形状は、ほぼ円形状として示されているが、楕円形状、多角形状、異形状等であってもよい。これらの場合、コア粒子2の粒子サイズは、横断面における最大長として規定される。
コア粒子2としてセラミックス粒子を用いる場合、断面形状ができる限り円形状に近いことが好ましい。かかるセラミックス粒子は、特に高い機械的強度を有する。また、かかるセラミックス粒子を用いて被覆粒子1を製造することにより、製造された被覆粒子1の真球度を高めることができる。したがって、被覆粒子1を亀裂に充填した際に、被覆粒子1同士は、点接触するようになる。このため、それらの間に形成される空間(流路)の容積を増大させることもできる。
また、コア粒子2としては、自然に産出される砂粒子をそのまま用いることもできる。かかる砂粒子を用いることにより、被覆粒子1の生産性の向上とコスト削減とを図ることができる。さらに、コア粒子2として、セラミックス粒子と砂粒子との混合物を用いてもよい。この場合、セラミックス粒子と砂粒子との混合比は、質量比で好ましくは1:9〜9:1程度、より好ましくは3:7〜7:3程度とされる。
各コア粒子2の外表面の少なくとも一部が、表面層3で被覆されている。この表面層3は、図2に示すように、地下層の亀裂に充填されたコア粒子2が地中の圧力で仮に崩壊した場合でも、コア粒子2の破片が散逸するのを防止するよう機能する。このため、被覆粒子1同士の間の空間(流路)が、コア粒子2の破片により閉塞するのを防止することができる。これにより、被覆粒子1を充填した亀裂の流体浸透性をより確実に確保することができる。
表面層3は、コア粒子2の外表面の全体を被覆するのが好ましい。しかしながら、表面層3は、コア粒子2が地中の圧力で仮に崩壊した場合でも、コア粒子2の破片が散逸することを防止することができるのであれば、コア粒子2の外表面の一部のみを被覆してもよい。このようなことから、表面層3は、コア粒子2の外表面の50%以上、100%以下程度を被覆することが好ましく、70%以上、100%以下程度を被覆することがより好ましく、90%以上、100%以下程度を被覆することがさらに好ましい。
また、表面層3の平均厚さは、特定の値に限定されないが、0.5μm以上、20μm以下程度であることが好ましく、1μm以上、10μm以下程度であることがより好ましい。表面層3の平均厚さを、上記数値範囲内の値に設定することにより、被覆粒子1のサイズが不要に大きくなるのを抑制しつつ、コア粒子2の破片の散逸防止効果が十分に発揮される。
このような表面層3は、熱硬化性樹脂を含んでいることが好ましい。熱硬化性樹脂は硬化することにより表面層3に高い機械的強度を付与し、コア粒子2の破片の散逸を確実に防止することができる。
このような熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレア樹脂、フラン樹脂、キシレン型ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。なお、熱硬化性樹脂には、これらの樹脂の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中でも、フェノール樹脂を含む熱硬化性樹脂が特に好ましく用いられる。フェノール樹脂は、熱硬化することにより、表面層3に特に高い機械的強度を付与することができるためである。
フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、フェノール型フラン樹脂等が挙げられる。なお、フェノール樹脂には、これらの樹脂の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、フェノール樹脂には、オイル変性ノボラック型フェノール樹脂を用いるのが好ましい。オイル変性ノボラック型フェノール樹脂は、表面層3の柔軟性を向上させることができ、コア粒子2の破片の散逸をより確実に防止することができるためである。オイル変性ノボラック型フェノール樹脂のオイル変性率は、特に限定されるものではないが、1質量%以上、70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、50質量%以下であることがより好ましい。オイル変性率が上記下限値以上であれば、表面層3の柔軟性を向上させる効果を得ることができる。また、オイル変性率が上記上限値以下であれば、表面層3に必要な物性を具備することができる。なお、オイル変性率については、樹脂の収得量に対する仕込みで使用したオイル量の割合により求めることができる。
かかるオイル変性ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、フェノール系化合物とオイルとアルデヒド系化合物とを酸性触媒下で重縮合することによって得られたフェノール樹脂が好ましく用いられる。
ここで、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、o−クレゾール,m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、p−ターシャリーブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール、カテコール、レゾルシン、ビスフェノール、カシューナッツシェルリキッド(CNSL)またはこれらの混合物等が挙げられる。
また、オイル変性ノボラック型フェノール樹脂に用いるオイルとしては、例えば、カシューナット油(カルドール、カルダノール、アナカルド酸等)、亜麻仁油、エノ油、桐油、ゴマ油、ナタネ油、綿実油、大豆油、ツバキ油、オリーブ油、ヒマシ油、トールオイル(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸等)等の植物油、ロジン(アビエチン酸、ピマール酸等)を含む各種テルペン類、各種変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらのオイル類の中でも、植物油が好ましく、特に、カシューナット油、アマニ油、桐油、ヒマシ油、及び、トール油から選ばれるものが好適である。
一方、アルデヒド系化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサール等が挙げられる。また、酸性触媒としては、例えば、蓚酸、硫酸、酢酸、蟻酸、フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スルホン酸、ホスフォリン酸等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、等が挙げられる。なお、エポキシ樹脂には、これらの樹脂の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、熱硬化性樹脂は、地下層の亀裂に被覆粒子1が充填された状態で硬化していればよい。したがって、被覆粒子1を亀裂へ充填する前において、熱硬化性樹脂は、硬化状態または未硬化状態のいずれであってもよい。未硬化状態の熱硬化性樹脂は、地下層の亀裂
に被覆粒子1が充填された際に、地中の熱によって硬化する。
に被覆粒子1が充填された際に、地中の熱によって硬化する。
表面層3中に含まれる熱硬化性樹脂の量は、特定の値に限定されないが、70質量%以上、99質量%以下程度であることが好ましく、85質量%以上、90質量%以下程度であることがより好ましい。表面層3中の熱硬化性樹脂の量が前記範囲であれば、表面層3の厚さを比較的薄くしても、熱硬化性樹脂の硬化により表面層3に十分な機械的強度を付与することができる。
このような表面層3は、さらに滑剤(ワックス)を含んでいることが好ましい。滑剤は、被覆粒子1同士の滑り性を向上させることができ、これにより被覆粒子1にかかる応力を分散し、コア粒子2の破壊を抑制する効果を得ることができる。また、滑剤は、流体と樹脂(表面層3)とのなじみ性を向上させる機能を有する。滑剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、エチレンビスステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、オキシステアリン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、メチロールステアリン酸アマイド、炭化水素ワックス、ステアリン酸等が挙げられる。これらのうちでは、滑り性の観点からステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛等の金属石鹸が特に好ましい。
表面層3中に含まれる滑剤の量は、特定の値に限定されないが、0.1質量%以上、10質量%以下程度であることが好ましく、1質量%以上、5質量%以下程度であることがより好ましい。表面層3中の滑剤の量が前記範囲であれば、被覆粒子1同士の滑り性を向上させ、被覆粒子1にかかる応力を分散し、コア粒子2の破壊を抑制する効果をより確実に得ることができる。
表面層3は、前述の成分以外に、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、硬化剤、カップリング剤、強化剤等が挙げられる。硬化剤は、熱硬化性樹脂を硬化させる機能を有する。硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。カップリング剤は、コア粒子2と表面層3との密着性を向上させる機能を有する。カップリング剤としては、例えば、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシランのようなシランカップリング剤、チタネイトカップリング剤、等が挙げられる。
なお、図1では、コア粒子2と表面層3とが直接接触するように示されている。しかしながら、コア粒子2と表面層3との間には、任意の機能を有する少なくとも1層を設けるようにしてもよい。かかる機能としては、例えば、コア粒子2と表面層3との密着性を向上する機能、等が挙げられる。
このような被覆粒子1は、例えば、前述したオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含む熱硬化性樹脂、滑剤、硬化剤等の成分を含む樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)を用意し、この樹脂組成物のコア粒子2との混練、樹脂組成物のコア粒子2の外表面への塗布、噴霧等の作業により、コア粒子2の外表面の少なくとも一部を樹脂組成物で被覆して製造することができる。また、かかる作業は、複数回繰り返し行ってもよい。この場合、複数回の作業において、樹脂組成物の組成は、同一であっても異なっていてもよい。なお、各成分については、前述した通りである。
樹脂組成物において、オイル変性ノボラック型フェノール樹脂のオイル変性率は、特に限定されるものではないが、1質量%以上、70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、50質量%以下であることがより好ましい。オイル変性率が上記下限値以上であれば、表面層3の柔軟性を向上させる効果を得ることができる。また、オイル変性率が上記上限値以下であれば、表面層3に必要な物性を具備することができる。また、樹脂
組成物において、オイル変性ノボラック型フェノール樹脂の分子量については、特に限定されない。被覆粒子を製造するときの作業性、被覆粒子の保存性や硬化性を考慮すると、本発明においては、樹脂の分子量より軟化点が重要である。このような観点から、オイル変性ノボラック型フェノール樹脂の軟化点としては、70℃以上、150℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上、140℃以下である。軟化点が上記下限値より低いと、樹脂あるいは被覆粒子がブロッキングを生じるなどの問題が生じることがある。軟化点が上記上限値を越えると、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを用いる場合等では、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミンの分解温度より高くなるため、加熱時にオイル変性ノボラック型フェノール樹脂が溶融する以前にヘキサメチレンテトラミンが分解し硬化剤として機能しない場合がある。
組成物において、オイル変性ノボラック型フェノール樹脂の分子量については、特に限定されない。被覆粒子を製造するときの作業性、被覆粒子の保存性や硬化性を考慮すると、本発明においては、樹脂の分子量より軟化点が重要である。このような観点から、オイル変性ノボラック型フェノール樹脂の軟化点としては、70℃以上、150℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上、140℃以下である。軟化点が上記下限値より低いと、樹脂あるいは被覆粒子がブロッキングを生じるなどの問題が生じることがある。軟化点が上記上限値を越えると、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを用いる場合等では、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミンの分解温度より高くなるため、加熱時にオイル変性ノボラック型フェノール樹脂が溶融する以前にヘキサメチレンテトラミンが分解し硬化剤として機能しない場合がある。
樹脂組成物中に含まれる熱硬化性樹脂の量は、表面層3における熱硬化性樹脂の目的とする量に応じて設定されるため、特定の値に限定されないが、70質量%以上99質量%以下程度であることが好ましく、85質量%以上90質量%以下程度であることがより好ましい。
樹脂組成物中に含まれる滑剤の量は、特定の値に限定されないが、0.1質量%以上、10質量%以下程度であることが好ましく、1質量%以上、5質量%以下程度であることがより好ましい。樹脂組成物中の滑剤の量が前記範囲であれば、被覆粒子1同士の滑り性を向上させ、被覆粒子1にかかる応力を分散し、コア粒子2の破壊を抑制する効果をより確実に得ることができる。
なお、オイル変性ノボラック型フェノール樹脂中のオイル変性量、ならびに、樹脂組成物中の熱硬化性樹脂と滑剤の量を前記範囲内の値に設定することにより、樹脂組成物の粘度が高くなることを防止することができる。その結果、樹脂組成物を容易に取り扱うことができる。
樹脂組成物は、前記成分を溶解または分散可能な液剤を含んでいてもよい。これにより、樹脂組成物の粘度を容易に調整することができる。樹脂組成物が液剤を含む場合、コア粒子2の外表面の少なくとも一部を樹脂組成物で被覆した後、例えば、風乾等により樹脂組成物から液剤を除去することが好ましい。これにより、樹脂組成物(表面層3)のコア粒子2からの脱落を防止することができるとともに、表面層3の厚さを均一にすることもできる。
かかる液剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール系液剤、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン系液剤、酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル系液剤、等が挙げられる。なお、液剤には、これらの化合物の1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
以上説明したような複数の被覆粒子1は、地下層中に形成された亀裂に充填する際に、被覆粒子1を亀裂に移送するための流体に分散され、注入剤が調製される。かかる注入剤は、地下層に至る掘削穴を介して移送され、亀裂に注入される。
注入剤を調製するために用いられる流体としては、地下層に亀裂を形成する際に用いられるのと同一の流体が好ましい。かかる流体の25℃における粘度は、10mPa・s以上、500mPa・s以下程度であることが好ましく、15mPa・s以上、300mPa・s以下程度であることがより好ましく、20mPa・s以上、100mPa・s以下程度であることがより好ましい。このような粘度の流体を用いることにより、亀裂を確実に形成することができる。また注入剤中における被覆粒子1の分散性を高め、被覆粒子1を効率よく亀裂にまで移送および充填することができる。
このような流体は、水を主成分とし、溶媒、粘度調整剤、界面活性剤、ブレーカー、粘度安定剤、ゲル化剤および安定剤のうちの少なくとも1つの化合物を含むことが好ましい。このような化合物を用いることにより、液体の粘度を前述のような範囲の値に容易かつ確実に調製することができる。
注入剤中に含まれる被覆粒子1の量は、1質量%以上、99質量%以下程度であることが好ましく、5質量%以上、90質量%以下程度であることがより好ましい。かかる量の被覆粒子1を含む注入剤では、流体の粘度に係らず、被覆粒子1を安定的に分散させることができる。
次に、地下層から炭化水素を回収する方法について説明する。
図3は、地下層から炭化水素を回収する方法を説明するための概念図である。
[1]まず、図3に示すように、地表Sから、炭化水素を含有する目的の地下層Lにまで、鉛直方向に掘削穴91を掘り進める。その後、掘削穴91が地下層Lに到達したら、掘削方向を変更して、掘削穴91を地下層L内の水平方向に、所定の距離で堀り進める。
図3は、地下層から炭化水素を回収する方法を説明するための概念図である。
[1]まず、図3に示すように、地表Sから、炭化水素を含有する目的の地下層Lにまで、鉛直方向に掘削穴91を掘り進める。その後、掘削穴91が地下層Lに到達したら、掘削方向を変更して、掘削穴91を地下層L内の水平方向に、所定の距離で堀り進める。
[2]次に、流体を、所定の速度および圧力で掘削穴91を介して地下層Lに注入する。このとき、流体が地下層Lの脆弱な部分を徐々に破壊し、掘削穴91に連通する複数の亀裂92が地下層L中に形成される。
[3]続いて、流体に代えて、注入剤を所定の速度および圧力で掘削穴91を介して地下層Lに注入する。このとき、注入剤が各亀裂92に注入され、各亀裂92に複数の被覆粒子1が充填される。すなわち、本工程[3]が、本発明の注入剤を亀裂92に注入する方法に相当する。
なお、この工程[3]は、注入剤中の被覆粒子1の量を徐々に増加させて行うことが好ましい。これにより、被覆粒子1を各亀裂92に確実かつ高密度で充填することができる。
なお、この工程[3]は、注入剤中の被覆粒子1の量を徐々に増加させて行うことが好ましい。これにより、被覆粒子1を各亀裂92に確実かつ高密度で充填することができる。
このように、各亀裂92に被覆粒子1を充填することにより、各亀裂92が地中の圧力により閉塞することを防止することができる。特に、本発明では、被覆粒子1の表面層3がオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含む熱硬化性樹脂を含むことにより、表面層3の柔軟性を向上させることができ、コア粒子2の破片の散逸をより確実に防止することができるため、被覆粒子1を充填した各亀裂の流体浸透性を確保することができる。このため、地下層Lからの掘削穴91への炭化水素の流入効率を格段に高め、炭化水素の回収効率を向上させることができる。
[4]次に、地表Sに設置されたポンプPにより各亀裂92および掘削穴92を介して、地下層Lから炭化水素を回収する。
以上、本発明の樹脂組成物、被覆粒子、注入剤および注入剤を亀裂に注入する方法を実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
1.被覆粒子の製造
(実施例1)
(オイル変性ノボラック型フェノール樹脂の製造)
冷却機および撹拌装置を備えた反応容器に、フェノール1000質量部、濃度25%の硫酸10質量部を加え、100℃に昇温後、濃度37%ホルマリン587質量部を1時間
かけて逐次添加し、さらに1時間反応させた。その後、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が100℃に達したところでカシューナット油133質量部を1時間かけて逐次添加し、さらに1時間反応させた。その後、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が200℃に達したところで反応装置から取り出し、冷却して、オイル変性率が10質量%のオイル変性ノボラック型フェノール樹脂1333質量部を得た。
1.被覆粒子の製造
(実施例1)
(オイル変性ノボラック型フェノール樹脂の製造)
冷却機および撹拌装置を備えた反応容器に、フェノール1000質量部、濃度25%の硫酸10質量部を加え、100℃に昇温後、濃度37%ホルマリン587質量部を1時間
かけて逐次添加し、さらに1時間反応させた。その後、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が100℃に達したところでカシューナット油133質量部を1時間かけて逐次添加し、さらに1時間反応させた。その後、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が200℃に達したところで反応装置から取り出し、冷却して、オイル変性率が10質量%のオイル変性ノボラック型フェノール樹脂1333質量部を得た。
(被覆粒子の製造)
次に、コア粒子として、平均粒子サイズが400μmのフラクタリーサンド(砂粒子)を用意した。このフラクタリーサンド500質量部を160℃に加熱して、ミキサーに投入した後、上記で得られたオイル変性ノボラック型フェノール樹脂15質量部を添加し、120秒間混錬して混練物を得た。次いで、2.25質量部のヘキサメチレンテトラミンを水5.25質量部に溶解したヘキサメチレンテトラミン水溶液を混練物に添加し、300秒間混錬を行った。最後に、ステアリン酸カルシウムを0.5質量部添加混合し、被覆粒子を得た。
次に、コア粒子として、平均粒子サイズが400μmのフラクタリーサンド(砂粒子)を用意した。このフラクタリーサンド500質量部を160℃に加熱して、ミキサーに投入した後、上記で得られたオイル変性ノボラック型フェノール樹脂15質量部を添加し、120秒間混錬して混練物を得た。次いで、2.25質量部のヘキサメチレンテトラミンを水5.25質量部に溶解したヘキサメチレンテトラミン水溶液を混練物に添加し、300秒間混錬を行った。最後に、ステアリン酸カルシウムを0.5質量部添加混合し、被覆粒子を得た。
なお、表面層は、フラクタリーサンドの各粒子の外表面の全体(100%)を覆っており、表面層の平均厚さは3μmであった。この被覆粒子の表面の状態(表面層の状態)は、光学顕微鏡により測定した。
(実施例2)
カシューナットオイルの含有量を400質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
カシューナットオイルの含有量を400質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
(実施例3)
カシューナットオイルの含有量を667質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
カシューナットオイルの含有量を667質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
(実施例4)
カシューナットオイルの含有量を933質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
カシューナットオイルの含有量を933質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
(比較例1)
ノボラック型フェノール樹脂へのカシューナットオイルの添加を省略した以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
ノボラック型フェノール樹脂へのカシューナットオイルの添加を省略した以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
(比較例2)
平均粒子サイズが400μmのフラクタリーサンド(砂粒子)をそのまま樹脂による被覆なしで使用した。
平均粒子サイズが400μmのフラクタリーサンド(砂粒子)をそのまま樹脂による被覆なしで使用した。
2.評価
2−1.クラッシュテスト
各実施例および比較例で得られた被覆粒子又は被覆なしの粒子40gを図4に示す砂破壊金型(有限会社 オクヤマ金型製作所製)の雌型内に投入した後、雄型を挿入し、1分かけて昇圧し、圧力97MPaで2分間保圧することにより、クラッシュテストを行った。その後、金型から被覆粒子又は被覆なしの粒子を取り出し、篩試験を実施し、36メッシュ(目開き425μm、ワイヤー径0.280mm)を通過した微粉の量を定量した。
2−1.クラッシュテスト
各実施例および比較例で得られた被覆粒子又は被覆なしの粒子40gを図4に示す砂破壊金型(有限会社 オクヤマ金型製作所製)の雌型内に投入した後、雄型を挿入し、1分かけて昇圧し、圧力97MPaで2分間保圧することにより、クラッシュテストを行った。その後、金型から被覆粒子又は被覆なしの粒子を取り出し、篩試験を実施し、36メッシュ(目開き425μm、ワイヤー径0.280mm)を通過した微粉の量を定量した。
2−2.粉体特性評価(見掛け密度、安息角)
各実施例および比較例で得られた被覆粒子又は被覆なしの粒子を用いて粉体特性評価装
置パウダーテスタ(ホソカワミクロン株式会社製)で、見掛け密度、安息角を評価した。
各実施例および比較例で得られた被覆粒子又は被覆なしの粒子を用いて粉体特性評価装
置パウダーテスタ(ホソカワミクロン株式会社製)で、見掛け密度、安息角を評価した。
(圧縮試験片の製造)
被覆粒子製造例で得られた被覆粒子又は被覆なしの粒子を用いて、100mm×25mm×15mmの大きさで、かさ比重2.0となるように、被覆粒子を金型内に投入して、97MPaの圧力をかけた状態で200℃で12時間プレス成形を行い、成形物をステンレス製の鉄板に載せた。その後、25mm×25mm×15mmの試験片に切り出して、圧縮試験片とした。
被覆粒子製造例で得られた被覆粒子又は被覆なしの粒子を用いて、100mm×25mm×15mmの大きさで、かさ比重2.0となるように、被覆粒子を金型内に投入して、97MPaの圧力をかけた状態で200℃で12時間プレス成形を行い、成形物をステンレス製の鉄板に載せた。その後、25mm×25mm×15mmの試験片に切り出して、圧縮試験片とした。
2−3.圧縮試験
各実施例および比較例で得られた圧縮試験片を用いてJIS K 6911に従い圧縮試験を行った。これらの結果を表1に示す。
各実施例および比較例で得られた圧縮試験片を用いてJIS K 6911に従い圧縮試験を行った。これらの結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜4で得られた被覆粒子では、比較例で得られた被覆粒子又は被覆なしの粒子と比較して、クラッシュテストによる微粉発生量は明らかに低減できていることが明らかとなった。また、圧縮強度も向上していることが明らかとなった。
本発明に従うと、被覆粒子同士の間の空間が破片により閉塞するのを防止することができ、地下層の亀裂の流体浸透性を高めることができる被覆粒子を得ることができるため、地下深くの頁岩(シェール)層に閉じ込められている非在来型のオイル状またはガス状の炭化水素(流体)などを取り出す技術に好適に用いることができる。
1 被覆粒子
2 コア粒子
3 表面層
91 掘削穴
92 亀裂
L 地下層
P ポンプ
S 地表
101 クラッシュテスト用砂破壊金型
102 クラッシュテスト用砂破壊金型の雌型
103 クラッシュテスト用砂破壊金型の雄型
2 コア粒子
3 表面層
91 掘削穴
92 亀裂
L 地下層
P ポンプ
S 地表
101 クラッシュテスト用砂破壊金型
102 クラッシュテスト用砂破壊金型の雌型
103 クラッシュテスト用砂破壊金型の雄型
Claims (23)
- 地下層中に形成された亀裂に充填される粒子の外表面の少なくとも一部を被覆する表面層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物は熱硬化性樹脂を含み、
前記熱硬化性樹脂はオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含むことを特徴とする樹脂組成物。 - 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂に用いられるオイルは、カシューナット油、アマニ油、桐油、ヒマシ油、及び、トール油からなる群から選ばれる1種以上のオイルである、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂は、オイル変性率が1質量%以上、70質量%以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 当該樹脂組成物中に含まれる前記熱硬化性樹脂の量は、70質量%以上、99質量%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 当該樹脂組成物は、さらに滑剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属石鹸である、請求項5に記載の樹脂組成物。
- 当該樹脂組成物中に含まれる前記滑剤の量は、0.1質量%以上、10質量%以下である、請求項5又は6に記載の樹脂組成物。
- 地下層中に形成された亀裂に充填される複数の被覆粒子であって、
各被覆粒子は、外表面を有するコア粒子と、該コア粒子の前記外表面の少なくとも一部を被覆する表面層とを備え、
前記表面層は熱硬化性樹脂を含み、
前記熱硬化性樹脂はオイル変性ノボラック型フェノール樹脂を含むことを特徴とする被覆粒子。 - 前記表面層の平均厚さは、0.5μm以上、20μm以下である、請求項8に記載の被覆粒子。
- 前記表面層は、前記コア粒子の前記外表面の50%以上、100%以下を被覆する、請求項8又は9に記載の被覆粒子。
- 前記複数のコア粒子は、砂粒子およびセラミックス粒子のうちの少なくとも1種を含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の被覆粒子。
- 前記複数のコア粒子の平均粒子サイズは、100μm以上、3,000μm以下である、請求項8から11のいずれか一項に記載の被覆粒子。
- 前記熱硬化性樹脂は、硬化状態または未硬化状態である請求項8から12のいずれか一項に記載の被覆粒子。
- 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂に用いられるオイルは、カシューナット油、アマニ油、桐油、ヒマシ油、及び、トール油からなる群から選ばれる1種以上のオイルである、請求項8から13のいずれか一項に記載の被覆粒子。
- 前記オイル変性ノボラック型フェノール樹脂は、オイル変性率が1質量%以上、70質量%以下である、請求項8から14のいずれか一項に記載の被覆粒子。
- 前記表面層中に含まれる前記熱硬化性樹脂の量は、70質量%以上、99質量%以下である、請求項8から15のいずれか一項に記載の被覆粒子。
- 前記表面層は、さらに滑剤を含む、請求項8から16のいずれか一項に記載の被覆粒子。
- 前記滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属石鹸である、請求項17に記載の被覆粒子。
- 前記表面層中に含まれる前記滑剤の量は0.1質量%以上、10質量%以下である、請求項17又は18に記載の被覆粒子。
- 地下層中に形成された亀裂に注入される注入剤であって、請求項8から19のいずれか一項に記載の被覆粒子と、該被覆粒子を分散し、前記被覆粒子を前記亀裂に移送するための流体とを含むことを特徴とする注入剤。
- 前記流体は、溶媒、粘度調整剤、界面活性剤、ブレーカー、粘度安定剤、ゲル化剤および安定剤のうち少なくとも1つを含む請求項20記載の注入剤。
- 当該注入剤中に含まれる前記の被覆粒子の量は、1質量%以上、99質量%以下である、請求項20又は21に記載の注入剤。
- 請求項20から22のいずれか一項に記載の注入剤を地下層中に形成された亀裂に、前記地下層に至る掘削穴を介して移送し、前記注入剤を前記亀裂に注入する方法。
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JP2014070747A JP2015190292A (ja) | 2014-03-31 | 2014-03-31 | 樹脂組成物、被覆粒子、注入剤および注入剤を亀裂に注入する方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114199510A (zh) * | 2021-12-06 | 2022-03-18 | 西南石油大学 | 一种一体式支撑剂平板输送实验装置及其制备方法 |
-
2014
- 2014-03-31 JP JP2014070747A patent/JP2015190292A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
CN114199510A (zh) * | 2021-12-06 | 2022-03-18 | 西南石油大学 | 一种一体式支撑剂平板输送实验装置及其制备方法 |
CN114199510B (zh) * | 2021-12-06 | 2024-04-12 | 西南石油大学 | 一种一体式支撑剂平板输送实验装置及其制备方法 |
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