JP2015189737A - 鉄代謝改善輸液剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、静脈栄養施行時において、生体内での鉄の再利用が停滞し鉄が過剰に蓄積している患者に対して、鉄の再利用を促進させ、さらに細胞内の自由鉄の濃度を低下させ、ヒドロキシラジカルの産生を抑制し、DNAの損傷やアポトーシスの誘導を抑制する鉄代謝改善高カロリー輸液剤を提供することである。【解決手段】0.3〜0.6mg/Lの銅を配合し、鉄を配合しない鉄代謝改善高カロリー輸液剤を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、生体内での鉄の再利用が停滞している患者に対して使用される鉄代謝改善剤に関する。特に本発明は、静脈栄養施行時において生体内での鉄の再利用が停滞している患者に対して使用される鉄代謝改善輸液剤に関する。より詳細には、血清ヘプシジン-25濃度が高値で網内系マクロファージからの鉄の放出が抑制されている機能性鉄欠乏状態の患者に投与することで、血清ヘプシジン-25濃度を低下させ鉄の再利用を促進させる鉄代謝改善剤に関する。
銅は生体内で約10種類の銅依存性酵素の活性中心に結合して、エネルギー生成や神経伝達物質の産生に関与している(非特許文献1)。さらに、銅は鉄代謝にも関与している。細胞から放出される鉄は二価鉄であるが、そのままの状態ではトランスフェリンと結合できない。銅蛋白であるセルロプラスミンは、二価鉄を三価鉄に酸化するフェロオキシダーゼ活性を有し、三価鉄はトランスフェリンと結合し赤血球合成等に動員される。銅欠乏では鉄がトランスフェリンに結合できないため、赤血球合成に利用できず組織に鉄の過剰蓄積が認められる。銅欠乏症の主な症状としては、血清銅濃度の低下、白血球および好中球の減少などが知られている(非特許文献2、3)。
鉄は生体内で最も多く存在する金属元素であり、ヘモグロビン合成や全身の細胞の酸化還元反応、分裂や増殖に関与する必須の元素である。しかしながら、鉄は過剰になると酸化ストレスの原因となることから、鉄代謝は数多くの関連分子により巧妙に制御されている(非特許文献4、5)。鉄代謝の特徴は積極的な排泄経路を持たず、ほとんどの鉄は再利用される半閉鎖的回路を構築していることである。健常人の体内総鉄量は3〜4gで、その2/3程度は赤血球ヘモグロビン鉄が占める(非特許文献6)。鉄は1日に1mg程度が上部消化管から吸収されて血液中に入り、トランスフェリンと結合して全身に運搬されるが、体内で利用される鉄のほとんどは網内系マクロファージによる赤血球ヘモグロビン鉄の再利用により賄われる。赤血球の寿命は平均120日であり、老廃した赤血球は網内系マクロファージで貪食処理される。マクロファージ内では、貪食された赤血球に由来するヘムから1日あたり20mgの鉄が遊離する。これらの鉄は、生体内で唯一の鉄エクスポーターであるフェロポルチンを介して再び血液中に入り再利用される(非特許文献7)。
ヘプシジン-25は肝臓で産生されるペプチドホルモンで、フェロポルチンを量的に制御することで鉄代謝制御機構の中心的役割を担っている。フェロポルチンは膜貫通型のヘプシジン受容体で、細胞外ループにヘプシジン-25が結合すると、細胞内部へ移行しライソゾームで分解される。フェロポルチンが新たに合成されるまで2〜3日を要するため、その間は膜分布密度が低下し細胞からの鉄放出量は減少し、鉄の利用は抑制され機能性鉄欠乏状態となる(非特許文献7)。ヘプシジン-25誘導は鉄負荷や炎症、骨髄造血機能の低下や小胞体ストレスにより促進され、骨髄造血機能の亢進や出血、組織の低酸素状態により抑制される(非特許文献8)。血清ヘプシジン-25濃度が高値であると鉄の再利用は抑制され、低値であると鉄の再利用は促進すると考えられる。
近年、高カロリー輸液療法施行中に血清ヘプシジン-25濃度が高値を示す患者が少なからず存在するとの報告がある(非特許文献9)。
WO2008/097461号には、ヘプシジン抗体による貧血患者の治療方法が記載されている。しかしながら、抗体療法は発熱、悪寒、頭痛等の副作用を伴うことが多く、またこれらの全身反応がヘプシジン産生を促進する炎症状態を招く危険性がある(特許文献1)。WO2011/009555号には、ヘプシジン吸着剤と装置が記載されているが、体外循環を必要とすることから患者には大きな負担になると考えられる(特許文献2)。現状では、患者に対して負担にならず副作用を伴わない方法で血清ヘプシジン-25濃度を低下させ、網内系マクロファージに過剰に蓄積した鉄の再利用を促進させる解決法は開示されていない。
日本人の食事摂取基準[2010年版].231-233 伊藤由紀:薬局.58(6)、118-123(2007) 明神和紀:医学のあゆみ.197(2)、164-166(2001) 高後裕ほか:Iron Overload と鉄キレート療法.25-35(2007) 生田克哉ほか:血液フロンティア.21(6)、23-30(2011) 加藤淳二ほか:鉄剤の適正使用による貧血治療指針改定[第2版].32-34(2009) 友杉直久:Iron Overload と鉄キレート療法.37-46(2007) 友杉直久:血液フロンティア.21(6)、31-39(2011) 加藤治樹:外科と代謝・栄養.47(3)99(2013)
W02008/097461 W02011/009555
本発明は、このような問題点に鑑みてなされ、生体内での鉄の再利用が停滞し貯蔵鉄が増加している患者に対して、鉄の再利用を促進させ、さらに種々の臓器および組織に蓄積した鉄による酸化ストレスを回避することを目的とする。
このような目的は、下記(1)から(8)の本発明により達成される。
(1)銅を含有し、鉄を含有しない鉄代謝改善剤。
(2)銅が硫酸銅あるいは塩化銅である上記(1)に記載の鉄代謝改善輸液剤。
(3)銅の投与量が1日量として0.4〜1.2mgの範囲である上記(1)または(2)に記載の鉄代謝改善剤。
(4)銅を含有し、鉄を含有しない鉄代謝改善栄養輸液剤。
(5)銅の含有量が0.2〜0.6mg/Lの範囲である上記(4)に記載の鉄代謝改善栄養輸液剤。
(6)糖、電解質、アミノ酸またはビタミンの少なくとも1種を含有する上記(4)または(5)に記載の鉄代謝改善栄養輸液剤。
(7)糖を含有し、糖濃度が70〜250g/Lの範囲であり、糖としてグルコース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトース、グリセロールより選ばれる少なくとも1種類以上を含有する上記(6)に記載の鉄代謝改善栄養輸液剤。
(8)アミノ酸を含有し、アミノ酸濃度が20〜70g/Lの範囲であり、かつ、下記のアミノ酸の遊離型、誘導体または塩を下記の範囲で含有する上記(6)または(7)に記載の鉄代謝改善栄養輸液剤。
イソロイシン 0.5〜6.5g/L
ロイシン 0.5〜10.0g/L
バリン 0.5〜7.5g/L
リジン 0.5〜7.0g/L
メチオニン 0.1〜3.0g/L
フェニルアラニン 0.5〜6.0g/L
スレオニン 0.1〜4.0g/L
トリプトファン 0.1〜2.0g/L
グリシン 0.1〜5.0g/L
アラニン 0.5〜7.5g/L
アルギニン 0.5〜8.5g/L
ヒスチジン 0.5〜6.0g/L
プロリン 0.5〜6.0g/L
セリン 0.5〜4.5g/L
チロジン 0.05〜1.0g/L
システイン 0.05〜2.0g/L
アスパラギン酸 0.05〜4.0g/L
グルタミン酸 0.05〜4.0g/L
以上述べたように、本発明は銅を含有することを特徴とする鉄代謝改善剤であり、本発明の鉄代謝改善剤によれば、体内鉄の再利用が停滞し細胞内に鉄が蓄積している患者に対して鉄の再利用を促進させる効果を有するものである。また、本発明の鉄代謝改善剤は、網内系マクロファージに過剰に蓄積した鉄の再利用を促進させることで細胞内の自由鉄の濃度を低下させ、ヒドロキシラジカルの産生を抑制し、酸化ストレスによるDNAの損傷やアポトーシスの誘導を抑制するものである。
図1は、試験例1の血清ヘプシジン-25濃度の結果を示す図である。 図2は、試験例2の血清ヘプシジン-25濃度の結果を示す図である。
本発明が提供する鉄代謝改善剤は、銅を含有し、鉄を含有しないことからなる鉄代謝改善剤である。より具体的には、銅として、硫酸銅あるいは塩化銅を含有するものである。さらに、銅を含有し、鉄を含有せず、かつ、ブドウ糖、アミノ酸、電解質、ビタミン等の栄養成分を必要に応じ複数種組み合わせて含有する鉄代謝改善栄養輸液剤である。
銅は生体内において必須の微量元素であり、おもな生理作用はセルロプラスミンとしてフェロオキシダーゼ活性を有することが知られている。今回、我々は新たに、銅の生理作用として機能性鉄欠乏における鉄代謝改善作用があることを発見した。すなわち、本発明は、銅を有効成分とする鉄代謝改善剤であり、特に、静脈栄養施行時に血清銅濃度は低値を示さない(銅欠乏症ではない)が、血清ヘプシジン-25濃度が高値で機能性鉄欠乏状態にある患者に投与することにより、血清ヘプシジン-25濃度を低下させ鉄の再利用を促進させることができる。また、過剰に蓄積した鉄を再利用することで、細胞内の自由鉄濃度を減少させヒドロキシラジカルの産生を抑制し、DNAの損傷やアポトーシスの誘導を防ぐことが可能になる。
本発明の鉄代謝改善剤に含有する銅としては、硫酸銅、塩化銅、水酸化銅、硫化銅、酸化銅等が挙げられるが、好ましくは硫酸銅あるいは塩化銅である。
また、本発明が提供する鉄代謝改善栄養輸液剤は、銅を含有し、鉄を含有しないことからなる鉄代謝改善栄養輸液剤である。
本発明の鉄代謝改善栄養輸液剤に含有する銅の含有量は、銅が1日量として0.4〜1.2mg/mLの範囲であることが好ましいこと、栄養輸液剤の1日投与量が2000mL程度であることから、0.2〜0.6mg/Lの範囲であることが好ましい。
本発明の鉄代謝改善栄養輸液剤に糖を含有することが好ましく、糖としては、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マルトース、グリセロールから選ばれる少なくとも1種の糖を用いることが好ましく、糖の含有量は70〜250g/Lの範囲であることが好ましい。
本発明の鉄代謝改善栄養輸液剤に電解質を含有することが好ましく、電解質としては、一般の電解質輸液などに用いられる化合物と同様ものをそれらで通常用いられる量を含有することにより使用できる。電解質としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロル、リンなどが挙げられる。具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、乳酸カリウム、クエン酸カリウム、酢酸カリウム、乳酸カルシウム、グリセロリン酸ナトリウム、グリセロリン酸カリウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、グルコン酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガンなどが使用でき、これらは水和物であってもよい。
本発明の鉄代謝改善栄養輸液剤にアミノ酸を含有することが好ましく、一般のアミノ酸輸液剤などに用いられる化合物と同様のものをそれらで通常用いられる量を含有することにより使用できる。
必須アミノ酸としては、バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジンを、
非必須アミノ酸としては、グリシン、アラニン、セリン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンを、含有することが好ましく、具体的には次の量を含有することが好ましい。すなわち、アミノ酸としては、イソロイシン0.5〜6.5g/L、ロイシン0.5〜10.0g/L、バリン0.5〜7.5g/L、リジン0.5〜7.0g/L、メチオニン0.1〜3.0g/L、フェニルアラニン0.5〜6.0g/L、スレオニン0.1〜4.0g/L、トリプトファン0.1〜2.0g/L、グリシン0.1〜5.0g/L、アラニン0.5〜7.5g/L、アルギニン0.5〜8.5g/L、ヒスチジン0.5〜6.0g/L、プロリン0.5〜6.0g/L、セリン0.5〜4.5g/L、チロジン0.05〜1.0g/L、システイン0.05〜2.0g/L、アスパラギン酸0.05〜4.0g/L、グルタミン酸0.05〜4.0g/Lを含有することが好ましい。
本発明の鉄代謝改善栄養輸液剤にビタミンを含有することが好ましく、一般のビタミン注射剤などに用いられる化合物と同様のものをそれらで通常用いられる量を含有することにより使用できる。ビタミンとしては、水溶性ビタミンとして、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、葉酸、パンテノール、ビオチン、ニコチン酸アミドなどが、脂溶性ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどを用いることができ、これらのビタミンの1種以上のビタミンを含有することが好ましい。
また、本発明の鉄代謝改善栄養輸液剤は、糖、電解質、アミノ酸およびビタミンを配合した高カロリー総合輸液剤であることが好ましい。
以下に本発明を具体的な試験例および実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)表1に記載した割合で各成分を水に溶解し、硫酸銅五水和物1.248mg/L(銅として0.318mg/L)配合輸液剤を調製して1000mLを輸液バッグに充填した。
(比較例1)表1に記載した割合で各成分を水に溶解し、硫酸銅五水和物0.624mg/L(銅として0.159mg/L)配合輸液剤を調製して1000mLを輸液バッグに充填した。
(比較例2)表1に記載した割合で各成分を水に溶解し、微量元素製剤配合輸液剤を調製して1000mLを輸液バッグに充填した。
Figure 2015189737
(試験例1) 実施例1、比較例1、2で調製した静脈栄養用輸液剤を用いて、動物実験を行った。動物は、2週間無蛋白食を摂取させた低栄養モデルラットを用いた。この低栄養モデルラットの網状赤血球は6±4‰(n=5)と、健常ラットの56±11‰(n=5)に比べて有意に低値であった(Student’s-t検定)。また、低栄養モデルラットの血清ヘプシジン-25は95±27ng/mL(n=5)と、健常ラットの21±8ng/mLに比べて有意に高値であった。低栄養モデルラットの血清銅は132±8μg/dLと、健常ラットの90±13μg/dLに比べて有意に高値であった。低栄養モデルラットは血清ヘプシジン-25が高値で小球性低色素性貧血を呈していたことから、体内鉄再利用停滞モデルであるが、血清銅濃度は高値であることから貧血の原因は銅欠乏によるものではないと判断した。
2週間無蛋白食を摂取させた低栄養モデルラットの右外頸静脈にカテーテルを留置して、無拘束下で実施例1、比較例1、2の輸液剤を3日間持続投与した。輸液投与量は406mL/kg/dayとした。3日間の輸液投与終了後、イソフルラン麻酔下で腹大動脈より採血し、血清を分離して血清ヘプシジン-25濃度を測定した。血清ヘプシジン-25はLC-MS/MS法で測定した。図1に血清ヘプシジン-25の結果を示した。実施例1の血清ヘプシジン-25は77.5±21.9ng/mL(n=8)で、比較例1の106.3±16.3ng/m(n=7)L、比較例2の104.2±16.5ng/mL(n=7)に対して有意に低値であった(*、多重比較(Tukey) ,p<0.05)。これらの結果から、実施例1は血清ヘプシジン-25濃度を低下させ、鉄の再利用を促進させると考えられた。
(試験例2)実施例1、比較例1、2で調製した静脈栄養用輸液剤を用いて動物実験を行った。動物は加齢モデルとして8カ月齢雄ラットを用いた。8カ月齢雄ラットの網状赤血球は38±3‰(n=5)であり、10週齢56±11‰(n=5)に対して有意に低値であった(Student’s-t検定)。また、8カ月齢ラットの脾臓赤脾髄へのヘモジデリン沈着は10週齢雄ラットに対して重度であった。さらに、血清銅濃度は142±22μg/dL(n=5)であり、10週齢(成長期)雄ラットの92±10μg/dL(n=5)に対して有意に高値であったことから、8カ月齢ラットは造血能が低下した体内鉄再利用停滞モデルであるが、原因は銅欠乏によるものではないと判断した。
そこで、8カ月齢ラットの右外頸静脈にカテーテルを留置して、無拘束下で実施例1、比較例1、2の輸液剤を7日間持続投与した。輸液投与量は167mL/kg/dayとした。7日間の輸液投与終了後、イソフルラン麻酔下で腹大動脈より採血し、血清を分離して血清ヘプシジン-25濃度を測定した。肝臓を摘出し、20%中性ホルマリンで固定した後、ベルリンブルー染色し間質細胞への鉄沈着を観察した。血清ヘプシジン-25はLC-MS/MS法で測定した。図2に血清ヘプシジン-25、表2に肝臓間質細胞への鉄沈着の結果を示した。実施例1の血清ヘプシジン-25は54.5±22.1ng/mL(n=7)で、比較例1の85.9±15.8ng/mL(n=6)、比較例2の84.0±8.5ng/mL(n=7)に対して有意に低値であった(*、多重比較(Tukey) ,p<0.05)。実施例1の肝臓への間質鉄沈着の結果は、所見なし2例、極軽度5例であった。比較例1では所見なし2例、極軽度2例、軽度2例であった。比較例2では所見なし2例、極軽度3例、軽度2例であり、実施例1は比較例1および2よりも肝臓間質の鉄沈着は少なかった。これらの結果から、実施例1は血清ヘプシジン-25濃度を低下させ、鉄の再利用を促進させると考えられた。また、肝臓間質の鉄沈着を減少させることから、酸化ストレスを軽減させる効果があると考えられた。
Figure 2015189737

Claims (8)

  1. 銅を含有し、鉄を含有しない鉄代謝改善剤。
  2. 銅が硫酸銅あるいは塩化銅である請求項1に記載の鉄代謝改善輸液剤。
  3. 銅の投与量が1日量として0.4〜1.2mgの範囲である請求項1または2に記載の鉄代謝改善剤。
  4. 銅を含有し、鉄を含有しない鉄代謝改善栄養輸液剤。
  5. 銅の含有量が0.2〜0.6mg/Lの範囲である請求項4に記載の鉄代謝改善栄養輸液剤。
  6. 糖、電解質、アミノ酸またはビタミンの少なくとも1種を含有する請求項4または5に記載の鉄代謝改善栄養輸液剤。
  7. 糖を含有し、糖濃度が70〜250g/Lの範囲であり、糖としてグルコース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトース、グリセロールより選ばれる少なくとも1種類以上を含有する請求項6に記載の鉄代謝改善栄養輸液剤。
  8. アミノ酸を含有し、アミノ酸の濃度が20〜70g/Lの範囲であり、かつ、下記のアミノ酸の遊離型、誘導体または塩を下記の範囲で含有する請求項6または7に記載の鉄代謝改善栄養輸液剤。
    イソロイシン 0.5〜6.5g/L
    ロイシン 0.5〜10.0g/L
    バリン 0.5〜7.5g/L
    リジン 0.5〜7.0g/L
    メチオニン 0.1〜3.0g/L
    フェニルアラニン 0.5〜6.0g/L
    スレオニン 0.1〜4.0g/L
    トリプトファン 0.1〜2.0g/L
    グリシン 0.1〜5.0g/L
    アラニン 0.5〜7.5g/L
    アルギニン 0.5〜8.5g/L
    ヒスチジン 0.5〜6.0g/L
    プロリン 0.5〜6.0g/L
    セリン 0.5〜4.5g/L
    チロジン 0.05〜1.0g/L
    システイン 0.05〜2.0g/L
    アスパラギン酸 0.05〜4.0g/L
    グルタミン酸 0.05〜4.0g/L
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