JP2015185212A - 導電性パターン形成方法および導電性パターン形成用筆記具 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、導電性パターンを簡便に作製することができる導電性パターン形成方法およびそれに用いる導電性パターン形成用筆記具を提供することにある。【解決手段】イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物を含有する多孔質基材に、該多孔質基材の吸収容量を超えない量の導電性水性インクを付与することを特徴とする導電性パターン形成方法およびそれに用いる導電性パターン形成用筆記具。【選択図】なし
Description
本発明は、導電性パターン形成方法およびそれに用いる導電性パターン形成用筆記具に関する。
近年、機器の試作を迅速に行うラピッドプロトタイピングが注目されており、その中にはインクジェット印刷や、3Dプリンター技術が用いられている。例えば3Dプリンターを用いるとCADで作製された3次元データを迅速に立体物として出力することが可能であり、機器中の機構部品をオンデマンドで作製することが出来る。一方機器中の電子回路においては、回路シミュレータで検討した回路をCADで基板データへ変換し、インクジェット印刷によりフィルムマスクを作製し、レジストを塗布した銅張基板上に焼き付け、現像、エッチング、乾燥等の工程を経て導電性パターンを有するプリント基板を作製し、部品を実装する必要があるため、作製の工数は非常に多く、ラピッドプロトタイピングとは言い難いものであった。
そのため、金属超微粒子を含んだインクをインクジェット技術により基材上に印刷し、基板データ通りの導電性パターンをオンデマンドで作製する検討が行われており、例えば特開2008−4375号公報(特許文献1)に開示されているイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物を有する導電性部材形成用基材や、特開2010−165997号公報(特許文献2)に開示されている支持体上に微粒子と樹脂バインダーからなる多孔質層と該多孔質層の上に樹脂を主成分とする層を有する多孔質基材を用い、金属超微粒子を含んだインクをインクジェット技術により印刷し、非常に簡便に導電性パターンを作製する検討が行われている。
このように、非常に簡便に導電性パターンを作製することが可能となったが、より簡便に導電性パターンを作製する方法が求められていた。
本発明の目的は、多孔質基材上に導電性パターンを簡便に作製するための導電性パターン形成方法およびそれに用いる導電性水性インクが充填された筆記具を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1.イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物を含有する多孔質基材に、該多孔質基材の吸収容量を超えない量の導電性水性インクを付与することを特徴とする導電性パターン形成方法。
2.上記1に記載の導電性パターン形成方法に用いる導電性水性インクが充填された筆記具であって、該多孔質基材に描画した際に、ペン先からの導電性水性インクの吐出量が、該多孔質基材の吸収容量を超えないことを特徴とする導電性パターン形成用筆記具。
1.イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物を含有する多孔質基材に、該多孔質基材の吸収容量を超えない量の導電性水性インクを付与することを特徴とする導電性パターン形成方法。
2.上記1に記載の導電性パターン形成方法に用いる導電性水性インクが充填された筆記具であって、該多孔質基材に描画した際に、ペン先からの導電性水性インクの吐出量が、該多孔質基材の吸収容量を超えないことを特徴とする導電性パターン形成用筆記具。
本発明によれば、多孔質基材上に導電性パターンを簡便に作製することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における多孔質基材とは、少なくとも多孔質層部分を有する基材であり、基材全体が多孔質であってもよいし、支持体上に多孔質層を有する構成であってもよい。支持体上に多孔質層を有する構成の場合は、該多孔質層は少なくとも無機微粒子と無機微粒子に対し80質量%以下のバインダー、およびイオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物から構成されることが好ましい。このような基材としては、特開2008−4375号公報、特開2010−165997号公報、特開2013−203008号公報に記載されている導電性部材形成用基材を挙げることができる。
本発明における多孔質基材が有する吸収容量とは、多孔質基材の導電性パターン形成面に対しJIS P8140に記載される方法に準じて測定される接触時間15秒でのコッブ値(g/m2)として規定され、この値は前記多孔質層の種類や厚みによって大きく変化し、本願においてはコッブ値として1以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、特に好ましくは20以上である。1より小さいと導電性パターンを形成するための充分な導電性水性インクを付与することが出来ず本発明には適さない。1以上になると導電性パターンを形成するために充分な導電性水性インクを付与することができ、10以上になると低い抵抗値の導電性パターンを形成することができるためより好ましい。
本発明においては多孔質基材が有する吸収容量を超えない量の導電性水性インクを筆記具により付与する。導電性水性インクの付与量は多孔質基材が有する吸収容量の85%以下であることがより好ましい。なお、導電性水性インクを多量に付与する必要がある場合には、多孔質基材の吸収容量を増やす、あるいは導電性パターンを形成後、多孔質基材に吸収されている溶媒を蒸発させ、再度導電性水性インクを付与すれば良い。
筆記具の種類と描画速度によっては、多孔質基材の吸収容量を超える量の導電性水性インクが付与されてしまうが、得られる導電性パターンの抵抗値が高くなるため配線として適さない。これは、詳細は不明だが、多孔質基材上に多孔質基材の吸収容量を超える量の導電性水性インクが付与された場合、導電性水性インクの溶剤が多孔質基材の表面に残留するため、多孔質基材の表面に堆積している導電性水性インクに含まれる金属超微粒子同士の間隔が広くなり、イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物の作用があっても導電性水性インクに含まれる金属超微粒子が結合しにくくなる、あるいは結合しても島状の分布となり導電性パターン全体にわたる金属箔を形成しないためだと考えられる。
なお、筆記具が多孔質基材へ付与する導電性水性インクの量は、描画された線幅と長さ、導電性水性インクの固形分率、多孔質基材の重量変化より計算により求めることができる。例えば固形分率15質量%、比重1.2の導電性水性インクを用い線幅5mm長さ10cmの線を描画した場合における多孔質基材の重量変化が、2.25mgであった場合、筆記具が多孔質基材へ付与した導電性水性インクの量は25ml/m2となる。
本発明における導電性水性インクとは、水を媒体とし、平均粒子径が1〜100nmの金属超微粒子、糖類、多価アルコールおよび/またはその誘導体を含有する金属超微粒子含有組成物であることが好ましい。
本発明の金属超微粒子含有組成物が含有する金属超微粒子の平均粒子径は、金属超微粒子の分散安定性の観点から、また得られる導電性の観点から、1〜100nmであることが好ましく、より好ましくは2〜50nmである。なお、金属超微粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡下での観察により求めることが出来る。詳細にはポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、金属超微粒子分散液を塗布、乾燥させ、走査型電子顕微鏡にて観察し、一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として求め、更にこれを平均し求める。
金属超微粒子の金属種としては、金、銀、銅、白金、鉄、亜鉛、ニッケル、アルミニウム等を例示することが出来る。特に高い導電性、価格、生産性、扱いやすさ等の点から、銀を主成分とすることが好ましい。銀を主成分とするとは、全金属超微粒子中において、銀の占める割合が少なくとも50質量%以上であることを意味し、より好ましくは銀の占める割合が70質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。銀以外に含まれる金属としては、金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、ニッケル、ビスマス等を挙げることが出来る。銀以外の金属は銀を主成分とする金属超微粒子中に含まれていても良く、銀を主成分とする金属超微粒子と銀以外の金属の超微粒子が混合されていても良い。
金属超微粒子としては、不活性ガス中で金属を蒸発させガスとの衝突により冷却・凝縮し回収するガス中蒸発法、レーザー照射のエネルギーにより液中で蒸発・凝縮し回収するレーザーアブレーション法、水溶液中で溶液中金属イオンを還元し生成・回収する化学還元法、有機金属化合物の熱分解による方法、金属塩化物の気相中での還元による方法、酸化物の水素中還元法等、公知の種々の方法により製造されたものを好ましく用いることが出来る。上記の製造方法の内、化学還元法は水溶液中で金属超微粒子を製造するため、必然的に金属超微粒子の分散媒に水を含有することになる。そのため本発明では生産性の観点から化学還元法で製造された金属超微粒子を用いることが特に好ましい。
化学還元法にて金属超微粒子を製造する際に用いる還元剤としては特に限定されず、金属イオンを還元することが出来る公知の還元剤を選択すれば良い。具体的にはハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルフォネートカリウム塩、アスコルビン酸またはその塩、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン化合物、ホルマリン、ホスフィン酸またはその塩、酒石酸またはその塩、および後述する糖類などを挙げることができる。
化学還元法にて金属超微粒子を製造する際に糖類を還元剤として用いた場合、金属超微粒子製造後に残留する糖類を分散助剤として兼用することができるため好ましい。また金属超微粒子含有組成物に対し分散助剤を別途添加せずに済むため好ましい。糖類を還元剤および分散助剤として兼用する場合、その添加量は、金属イオン1モルに対して、10〜200gが好ましく、より好ましくは30〜110gである。
本発明において糖類以外の物質を還元剤として用い、化学還元法により金属超微粒子を製造した場合、または化学還元法以外の方法にて金属超微粒子を製造した場合、金属超微粒子含有組成物に対し糖類を別途添加することが望ましい。糖類の添加量は金属超微粒子含有組成物に含まれる金属超微粒子の金属原子1モルに対して、5〜100gが好ましく、より好ましくは15〜55gである。
本発明に用いることの出来る糖類は特に限定されないが、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類、マルトース、スクロース、セロビオース、ラクトース、トレハロース、イルマルトース、ゲンチオビース等の二糖類、ゲンチアノース、ラフィノース、パノース等の三糖類、セルロース、デンプン、キチン、キトサン、デキストリン、シクロデキストリン、マンナン、ガラクタン、フカン、フルクタン、イヌリン、レバン、キシラン、アラビナン、グルコマンナン、ガラクトグルコマンナン、ガラクトマンナン、アラビノガラクタン、ペクチン、プルラン、アルギン酸、ヘミセルロース、ヒアルロン酸、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、グアーガム、キサンタンガム、ジェランガム等の多糖類を例示できる。上記多糖類は化学修飾したものであっても差し支えない。化学修飾の方法としては、例えば、メチル化、エチル化、アルキル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチル化、硫酸化、硝酸化等が挙げられる。これらの糖類の中でも、分散助剤としての性能の観点から多糖類が好ましく、水溶性であり還元剤としての取り扱いが容易であることからアルギン酸、デキストリン、カラギーナン、プルラン、グアーガムが更に好ましく、導電性の観点からデキストリンが特に好ましい。
化学還元法にて金属超微粒子を製造する際に多糖類を還元剤として用いた場合、還元反応が終了した段階で1,4−α−結合を不規則に切断するα−アミラーゼを作用させ、還元反応が終了した段階において残留している過剰な多糖類を低分子化することは、導電性の観点から好ましい。α−アミラーゼは、例えば天野エンザイム(株)よりビオザイムF10SD、ビオザイムAとして市販されているα−アミラーゼを用いることが出来る。α−アミラーゼ添加前の金属超微粒子分散液は、α−アミラーゼに適したpH4〜10、20〜50℃に調整されることが好ましい。pHの調整には、酢酸等のカルボン酸類や硝酸を用いることが好ましい。α−アミラーゼの添加量は、用いる多糖類の質量に対し0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%である。多糖類を低分子化した後は、遠心分離により金属超微粒子を沈降・分離し、低分子化した多糖類を不要な塩類と共に金属超微粒子分散液から分離除去することも、導電性の観点から好ましい態様の1つである。
多価アルコールとは、分子中に水酸基を2個以上含むアルコールを意味し、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価アルコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価アルコール、ジグリセリン等の4価アルコール、キシリトール等の5価アルコール、ソルビトール等の6価アルコール等を例示できる。前記多価アルコールの誘導体としては、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体が例示でき、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。多価アルコールとその誘導体は単独で用いても構わず、2種類以上併用しても構わず、また多価アルコールとその誘導体を併用しても構わない。印刷安定性の観点からエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンが好ましく、導電性の観点からエチレングリコール、グリセリンが特に好ましい。なお、本発明においては他の公知の有機溶媒が含まれていても良い。具体的にはメタノール、エタノール、2−プロパノール等の1価アルコール、アセトン、イソホロン、γ−ブチルラクトン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系有機溶媒、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジオキソラン、テレピン油、α−テルピネオール、ミネラルスピリット等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明における導電性水性インクにおける金属超微粒子の含有量は、得られる導電性の観点から、1〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。多価アルコールおよび/またはその誘導体の含有量は乾燥防止の観点から1〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。
本発明における導電性水性インクは、水、金属超微粒子、糖類、多価アルコールおよび/またはその誘導体の他に、必要に応じ公知の増粘剤、紫外線吸収剤、湿潤剤、界面活性剤、高分子バインダー等の各種添加剤を添加してもよい。なお、界面活性剤はペン先に対する濡れ性が向上するため添加することが好ましく、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム類、アルキル硫酸ナトリウム類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム類を例示することができる。
本発明における筆記具としては、上述の導電性水性インクが充填されており、多孔質基材上に描画した際に、多孔質層が有する吸収容量を超える導電性水性インクを吐出することが無ければ、その形状、吐出機構はなんら制限されるものではない。多孔質層と接触するペン先端部分へ導電性水性インクを供給する方法としては、毛細管現象を利用するもの、重力による降下と毛細管現象を併用するもの、重力により降下させボール等の付着用機構を介するものに大別することが出来る。またペン先の材質としては、樹脂・繊維系と金属系に大別することが出来る。
一般的に水性インクを充填して用いる筆記具において、毛細管現象を利用する筆記具としては、引抜成形したポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維類、羊毛や合成繊維、熱融着繊維を不織布化したフェルト類、連続気孔を有する多孔体とした各種合成樹脂等からなるペン先を有するフェルトペンやラインマーカー類、ポリアセタール樹脂等を微細流路が束ねられた形で押出成型した線幅1mm以下のプラスチックペン先を有するミリペン、ドローイングペン、ゴム様の弾力性を有するエラストマー樹脂とナイロン繊維を組み合わせたしなやかなペン先を有する筆ペンを例示することができる。また、重力による降下と毛細管現象を併用するものとしては、インク流路となるスリットが形成された金属製ペン先を有する万年筆類、管と針の間から一定量のインクが出る中空パイプ式万年筆(例えば製図用のロットリング社製イソグラフIPL)を例示することができる。また、重力により降下させボール等の付着用機構を介するものとしては、先端にボールが装着された水性ボールペンを例示することができる。
本発明における筆記具として、多孔質層が毛細管現象を利用し導電性水性インクを吸収するため、同様の毛細管現象を利用する筆記具が好ましく、引抜成形したポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維類、羊毛や合成繊維、熱融着繊維を不織布化したフェルト類、連続気孔を有する多孔体とした各種合成樹脂等からなるペン先を有するフェルトペンやラインマーカー類がより好ましい。中でも引抜成形したポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維類が好ましい。更に導電性水性インクを多孔質基材へ均一に付与するという観点から、ペン先を構成する繊維径が40μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましい。導電性水性インクを多孔質基材へ供給し易いという観点から、空隙率((1−(質量/(体積×繊維を構成する材質の密度))×100)%)は40%以上であることが好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
重力による降下と毛細管現象を併用するものである、インク流路となるスリットが形成された金属製ペン先を用いる万年筆類、管と針の間から一定量のインクが出る中空パイプ式万年筆(例えば製図用のロットリングペン)は導電性水性インクが過剰に供給され、多孔質層の吸収容量以上に導電性水性インクが付与される場合がある。またペン先の材質としては、多孔質層を傷つけにくいという観点から、樹脂・繊維系が好ましい。
引抜成形したポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維類からなるペン先は、例えばテイボー株式会社のAEシリーズやオーベクス株式会社のNAシリーズ、VAシリーズ等として入手することが出来る。羊毛や合成繊維、熱融着繊維を不織布化したフェルト類からなるペン先は、テイボー株式会社のFWシリーズやFMシリーズ、オーベクス株式会社のFシリーズとして入手することが出来る。連続気孔を有する多孔体とした各種合成樹脂等からなるペン先は、理研化学工業株式会社やPorex社より入手することが出来る。これらの中から、本発明の吐出量を有するものを適宜選択すればよい。
ペン先の形状は作製したい導電性パターンの幅にあわせて選べば良いが、所謂マーカーペンのペン先として用いられることの多いチーゼル形状が扱いやすさの点から好ましい。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
<多孔質基材の作製>
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30質量%の無機微粒子分散液を得た。無機微粒子分散液中に分散しているアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。この無機微粒子分散液を用い、下記組成の多孔質層形成塗液を作製した。
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30質量%の無機微粒子分散液を得た。無機微粒子分散液中に分散しているアルミナ水和物の平均二次粒子径は160nmであった。この無機微粒子分散液を用い、下記組成の多孔質層形成塗液を作製した。
<多孔質層形成塗液>
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 12g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.5g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が16質量%になるように水で調整した。
無機微粒子分散液(アルミナ水和物固形分として) 100g
ポリビニルアルコール 12g
(ケン化度88%、平均重合度3,500、分子量約150,000)
ホウ酸 0.5g
ノニオン性界面活性剤 0.3g
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が16質量%になるように水で調整した。
支持体として、易接着処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製)を用い、支持体上に上記多孔質層形成塗液をアルミナ水和物の固形分として30g/m2となるようにスライドビード方式を用いて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、多孔質層を形成した。
上記多孔質層上に、下記組成のオーバーコート液を、斜線グラビアロールを用いた塗布方式を用いて塗布を行い、乾燥機により乾燥し、多孔質基材を得た。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110μmのグラビアロールであり、リバース回転で用いた。オーバーコート液の湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/m2に設定した。得られた多孔質基材は210mm×297mmのシート状に加工した。
<オーバーコート液>
エチレン塩化ビニル樹脂微粒子水分散体(濃度50質量%) 1.0g
(スミエリート1010、住友化学(株)製、平均粒子径200nm、Tg0℃)
塩化ナトリウム 0.5g
水 98.5g
エチレン塩化ビニル樹脂微粒子水分散体(濃度50質量%) 1.0g
(スミエリート1010、住友化学(株)製、平均粒子径200nm、Tg0℃)
塩化ナトリウム 0.5g
水 98.5g
得られた多孔質基材をJIS P8140に記載される方法に準じて測定された接触時間15秒でのコッブ値は30であり、吸収容量は30g/m2であった。
<導電性水性インクの作製>
10Lのステンレスビーカーに焙焼デキストリン(日澱化学(株)製、デキストリンNo.3)653gと純水5772gを加え、約30分間撹拌し溶解した。その後、硝酸銀1582gを加え、約30分間撹拌し溶解した。この液を氷浴中にて約5℃まで冷却し、水酸化カリウム730gを純水1007gに溶解した10℃の液を添加し、氷浴中で撹拌しながら1時間の還元反応を行った。得られた溶液に酢酸を添加し、pH=5.6に調整後、恒温水槽を用いて45℃に昇温し、ビオザイムF10SD(天野エンザイム(株)製)を3.0g添加し1時間撹拌した。得られた液を遠心分離法により精製した後、全銀超微粒子分散液中に占める銀固形分の割合が50質量%になるように純水を加え再分散し、銀超微粒子分散液を得た。含まれる銀超微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡下での観察により求めたところ23nmであり、収率は91%であった。銀超微粒子分散液を10g取り、120℃で1時間乾燥させたところ、重量減少率は42質量%であり、ここから全銀超微粒子分散液中に占める水の割合は42質量%と推定した。またフェノール硫酸法により、全銀超微粒子分散液中に占める糖類の割合はグルコース換算値で5.0質量%と定量された。差分の3.0質量%については硝酸カリウム等の不要な塩類等と推定される。銀超微粒子分散液を30g取り、エチレングリコールを20g、アニオン性界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸ナトリウムを0.10g加え、全銀超微粒子含有組成物中に占める銀固形分の割合が15質量%となるよう純水で調整し導電性水性インクを作製した。得られた導電性水性インクの比重は1.2、固形分率は17.4質量%であった。
10Lのステンレスビーカーに焙焼デキストリン(日澱化学(株)製、デキストリンNo.3)653gと純水5772gを加え、約30分間撹拌し溶解した。その後、硝酸銀1582gを加え、約30分間撹拌し溶解した。この液を氷浴中にて約5℃まで冷却し、水酸化カリウム730gを純水1007gに溶解した10℃の液を添加し、氷浴中で撹拌しながら1時間の還元反応を行った。得られた溶液に酢酸を添加し、pH=5.6に調整後、恒温水槽を用いて45℃に昇温し、ビオザイムF10SD(天野エンザイム(株)製)を3.0g添加し1時間撹拌した。得られた液を遠心分離法により精製した後、全銀超微粒子分散液中に占める銀固形分の割合が50質量%になるように純水を加え再分散し、銀超微粒子分散液を得た。含まれる銀超微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡下での観察により求めたところ23nmであり、収率は91%であった。銀超微粒子分散液を10g取り、120℃で1時間乾燥させたところ、重量減少率は42質量%であり、ここから全銀超微粒子分散液中に占める水の割合は42質量%と推定した。またフェノール硫酸法により、全銀超微粒子分散液中に占める糖類の割合はグルコース換算値で5.0質量%と定量された。差分の3.0質量%については硝酸カリウム等の不要な塩類等と推定される。銀超微粒子分散液を30g取り、エチレングリコールを20g、アニオン性界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸ナトリウムを0.10g加え、全銀超微粒子含有組成物中に占める銀固形分の割合が15質量%となるよう純水で調整し導電性水性インクを作製した。得られた導電性水性インクの比重は1.2、固形分率は17.4質量%であった。
<筆記具1の作製>
ポリプロピレンの中綿を有する直径5mm、全長10cmのインク吸収体に導電性水性インクを1.5ml吸収させ、これを筆記具の外装に入れ、引抜成形されたポリエステル繊維からなるオーベックス株式会社製VA374型ペン先(先端はチーゼル形状)を差し込み筆記具1とした。VA374型ペン先は繊維径が約20μmのポリエステル繊維より構成され、空隙率は61%である。
ポリプロピレンの中綿を有する直径5mm、全長10cmのインク吸収体に導電性水性インクを1.5ml吸収させ、これを筆記具の外装に入れ、引抜成形されたポリエステル繊維からなるオーベックス株式会社製VA374型ペン先(先端はチーゼル形状)を差し込み筆記具1とした。VA374型ペン先は繊維径が約20μmのポリエステル繊維より構成され、空隙率は61%である。
<筆記具2の作製>
ロットリング社製イソグラフIPL線幅1.4mmに導電性水性インクを充填し筆記具2とした。
ロットリング社製イソグラフIPL線幅1.4mmに導電性水性インクを充填し筆記具2とした。
<導電性パターンの作製>
温度23℃相対湿度50%の環境下において、筆記具1および筆記具2をモーター駆動のリニアステージに固定し、多孔質基材上に長さ10cmの直線を描画した。筆記具が多孔質基材へ付与する導電性水性インクの量(ml/m2)を表1に示された値となるようにリニアステージの速度を調節した。なお筆記具1においては、描画速度を遅くしても多孔質基材が有する吸収容量を超える量の導電性水性インクを付与することは出来なかった。なお、筆記具が多孔質基材へ付与される導電性水性インクの平米あたりの付与量は、描画された線幅と長さ、導電性水性インクの固形分率(17.4質量%)、多孔質基材の重量変化より計算により求めた。
温度23℃相対湿度50%の環境下において、筆記具1および筆記具2をモーター駆動のリニアステージに固定し、多孔質基材上に長さ10cmの直線を描画した。筆記具が多孔質基材へ付与する導電性水性インクの量(ml/m2)を表1に示された値となるようにリニアステージの速度を調節した。なお筆記具1においては、描画速度を遅くしても多孔質基材が有する吸収容量を超える量の導電性水性インクを付与することは出来なかった。なお、筆記具が多孔質基材へ付与される導電性水性インクの平米あたりの付与量は、描画された線幅と長さ、導電性水性インクの固形分率(17.4質量%)、多孔質基材の重量変化より計算により求めた。
<導電性評価>
描画された直線の線幅、長さおよび両端の抵抗値から算出されるシート抵抗値Aと、導電性水性インクの平米あたりの銀付与量から計算されるシート抵抗値Bから、抵抗倍率として定義される数値(A/B)を求め、以下の基準に従い評価を実施しその結果を表1に示した。
○:抵抗倍率が10倍未満
△:抵抗倍率が10倍以上20倍未満
×:抵抗倍率が20倍以上
描画された直線の線幅、長さおよび両端の抵抗値から算出されるシート抵抗値Aと、導電性水性インクの平米あたりの銀付与量から計算されるシート抵抗値Bから、抵抗倍率として定義される数値(A/B)を求め、以下の基準に従い評価を実施しその結果を表1に示した。
○:抵抗倍率が10倍未満
△:抵抗倍率が10倍以上20倍未満
×:抵抗倍率が20倍以上
なお、導電性水性インクの平米あたりの銀付与量から計算されるシート抵抗値の算出の例を挙げると、導電性水性インクの付与量が20ml/m2の場合、銀量は3.6g/m2であり、計算上の厚みは比重の10.5で除して3.43×10−5cmとなる。シート抵抗値は銀の体積抵抗値1.59×10−6Ω・cmをこの厚みで除して得られ、その値は0.0464Ω/□と算出される。
<傷評価>
描画された直線を観察し、多孔質基材上に傷が無く、均一な面を有する場合には○、多孔質基材上に窪みが観察された場合には△とし、その結果を表1に示した。
描画された直線を観察し、多孔質基材上に傷が無く、均一な面を有する場合には○、多孔質基材上に窪みが観察された場合には△とし、その結果を表1に示した。
表1の結果より明らかなように、本発明により、多孔質基材上に簡便に導電性パターンを形成することができる。
Claims (2)
- イオン結合により分子内にハロゲンを有する化合物を含有する多孔質基材に、該多孔質基材の吸収容量を超えない量の導電性水性インクを付与することを特徴とする導電性パターン形成方法。
- 請求項1に記載の導電性パターン形成方法に用いる導電性水性インクが充填された筆記具であって、該多孔質基材に描画した際に、ペン先からの導電性水性インクの吐出量が、該多孔質基材の吸収容量を超えないことを特徴とする導電性パターン形成用筆記具。
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JP2014057651A JP2015185212A (ja) | 2014-03-20 | 2014-03-20 | 導電性パターン形成方法および導電性パターン形成用筆記具 |
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JP2018030288A (ja) * | 2016-08-24 | 2018-03-01 | 三菱鉛筆株式会社 | 筆記具 |
JP2019195018A (ja) * | 2018-05-01 | 2019-11-07 | 億奇生物科技責任有限公司Aidmics Biotechnology(Hk) Co., Limited | 手作りの回路基板 |
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KR20230057113A (ko) * | 2021-10-21 | 2023-04-28 | 주식회사 티엘비 | 비접촉식 프린팅 펜을 이용한 무전해 도금 기반의 미세 패턴 제조 방법 |
-
2014
- 2014-03-20 JP JP2014057651A patent/JP2015185212A/ja active Pending
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