JP2015184427A - 反射防止物品、画像表示装置、反射防止物品の製造方法、反射防止物品の賦型用金型、及び賦型用金型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モスアイ構造に係る反射防止物品に関して、耐擦傷性を向上する。
【解決手段】表面の微細凹凸形状により反射防止を図る反射防止物品5において、表面に、微小突起15と、微小突起15に比して形状の大きな大型突起16とが配置され、大型突起16は、離散したランダムな配置により作製され、微小突起15高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である。微小突起15は、大型突起16間に、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下により密接して配置される。
【選択図】図2
【解決手段】表面の微細凹凸形状により反射防止を図る反射防止物品5において、表面に、微小突起15と、微小突起15に比して形状の大きな大型突起16とが配置され、大型突起16は、離散したランダムな配置により作製され、微小突起15高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である。微小突起15は、大型突起16間に、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下により密接して配置される。
【選択図】図2
Description
本発明は、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で多数の微小突起を密接配置して反射防止を図る反射防止物品に関するものである。
近年、フィルム形状の反射防止物品である反射防止フィルムに関して、透明基材(透明フィルム)の表面に多数の微小突起を密接して配置することにより、反射防止を図る方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。この方法は、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用したものであり、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。
このモスアイ構造に係る反射防止物品では、隣接する微小突起の間隔dが、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるように、微小突起が密接して配置される。また各微小突起は、透明基材に植立するように、さらに透明基材より先端側に向かうに従って徐々に断面積が小さくなるように(先細りとなるように)作製される。
かかる反射防止物品には各種用途が提案されている。例えば、各種画像表示装置の出光面上に配置して画面における日光等の外光反射を低減して画像視認性を向上させたり、シート又は板状の透明基材上に該微小突起群を形成し、更に該微小突起群上にITO(酸化インジウム錫)等の透明導電膜を形成した電極を用いてタッチパネルを構成することにより、該タッチパネル電極とこれと隣接する各種部材との間の光反射を防止して、干渉縞、ゴースト像等の発生を低減させること等が提案されている。また特許文献4には、タッチパネルの画像表示パネル側面に微小突起を作製し、画像表示パネルからの出射光の反射を低減し、視認性、光の利用効率を向上する方法が提案されている。
また特許文献5には、この種の反射防止物品に関して、賦型処理時の樹脂の充填不良により微小突起の頂部に複数の頂点が作製される場合であっても、十分に反射防止機能を確保できることが記載されている。
また特許文献6には、微細穴を密接して配置した賦型用金型を使用した賦型処理により反射防止物品を作製する方法が開示されており、さらにこの微細穴の一部を深穴とすることにより微小突起の配列ムラを低減する方法が提案されている。この方法の場合、賦型処理により作製される微小突起は、高さが異なることになり、反射防止物品の耐擦傷性を向上することができる。
ところでこの種のモスアイ構造に係る反射防止物品では、耐擦傷性に実用上未だ不十分な問題がある。すなわち反射防止物品は、例えば他の物体が接触等した場合に、反射防止機能が局所的に劣化し、また接触個所に白濁、傷等が発生して外観不良が発生する。
特に、反射防止物品をフィルム形状により作製して、他の光学フィルムと積層する場合、さらには同種のフィルム形状による反射防止物品と積層する場合等にあっては、耐擦傷性が実用上未だ不十分な問題があり、これにより、これらの場合、局所的に微小突起が磨耗したり、反射防止物品が接触対象に密着してしまう場合があった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、モスアイ構造に係る反射防止物品に関して、従来に比して耐擦傷性を向上することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、モスアイ構造に係る微小突起に比して形状の大きな大型突起を設け、この大型突起によりモスアイ構造に係る微小突起に対する他の部材の接触を防止する、との着想に至り、本発明を完成するに至った。なお以下において、頂点を複数有する微小突起を多峰性微小突起と呼び、この多峰性微小突起との対比により、頂点が1つのみの微小突起を単峰性微小突起と呼ぶ。また多峰性微小突起、単峰性微小突起に係る各頂点を形成する各凸部を、適宜、峰と呼ぶ。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する
(1) 表面の微細凹凸形状により反射防止を図る反射防止物品において、
前記表面に、微小突起と、前記微小突起に比して形状の大きな大型突起とが配置され、
前記大型突起は、
離散したランダムな配置により作製され、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広であり、
前記微小突起は、
前記大型突起間に、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下により密接して配置された。
前記表面に、微小突起と、前記微小突起に比して形状の大きな大型突起とが配置され、
前記大型突起は、
離散したランダムな配置により作製され、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広であり、
前記微小突起は、
前記大型突起間に、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下により密接して配置された。
(1)によれば、大型突起をスペーサとして機能させて、他の部材の微小突起への接触を低減することができる。その結果、微小突起の損傷を有効に回避して耐擦傷性を向上することができる。
(2) (1)において、
前記大型突起は、
1個/cm2以上、30個/cm2以下の密度により配置される。
前記大型突起は、
1個/cm2以上、30個/cm2以下の密度により配置される。
(2)によれば、微小突起による反射防止機能を損なうことなく、十分に、他の部材の微小突起への接触を低減することができる。
(3) (1)又は(2)において、
前記大型突起は、
高さが5μm以上、100μm以下である。
前記大型突起は、
高さが5μm以上、100μm以下である。
(3)によれば、各種の作製手法により大型突起を所望する大きさで簡易かつ確実に作製することができる。
(4) (1)、(2)、又は(3)において、
前記大型突起は、
付け根部分の幅が、5μm以上、100μm以下である。
前記大型突起は、
付け根部分の幅が、5μm以上、100μm以下である。
(4)によれば、各種の作製手法により大型突起を所望する大きさで簡易かつ確実に作製することができる。
(5) (1)、(2)、(3)、又は(4)において、
前記大型突起は、
前記微小突起に係る欠陥の箇所に作製される。
前記大型突起は、
前記微小突起に係る欠陥の箇所に作製される。
(5)によれば、欠陥の箇所を有効利用して大型突起を配置することができる。
(6) (1)、(2)、(3)、(4)、又は(5)において、
前記反射防止物品が、
フィルム形状であり、画像表示パネルの出射面側に配置され、
前記大型突起は、
前記画像表示パネルの出射面側に配置した際に、前記画像表示パネルの画素間の遮光部と重なり合う箇所に配置される。
前記反射防止物品が、
フィルム形状であり、画像表示パネルの出射面側に配置され、
前記大型突起は、
前記画像表示パネルの出射面側に配置した際に、前記画像表示パネルの画素間の遮光部と重なり合う箇所に配置される。
(6)によれば、大型突起が目立たないようにすることができる。
(7) (1)、(2)、(3)、(4)、(5)、又は(6)の反射防止物品が、画像表示パネルの出射面側及び又は入射面側に配置された画像表示装置。
(7)によれば、例えば画像表示パネルの出射面にタッチパネル用センサーフィルムを配置する場合、及び又は画像表示パネルの入射面にバックライト装置を配置する場合等に反射防止物品を配置して視認性、光の利用効率を向上する場合に、反射防止物品に設けられた微小突起が損傷しないようにすることができる。その結果、微小突起が磨耗しないようにし、反射防止物品が接触対象に密着しないようにすることができる。
(8) 微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起の間隔が、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下である反射防止物品の製造方法において、
前記反射防止物品は、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である大型突起が、離散したランダムな配置により設けられ、
前記微小突起が、前記大型突起間に設けられ、
前記反射防止物品の製造方法は、
基材の表面に、賦型樹脂層を作成する賦型樹脂層作成工程と、
賦型用金型を使用した前記賦型樹脂層の賦型処理により、前記基材に前記微小突起を作成する賦型工程と、
前記微小突起を作成した前記基材の表面に、前記大型突起を作成する大型突起作製工程とを備える。
前記反射防止物品は、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である大型突起が、離散したランダムな配置により設けられ、
前記微小突起が、前記大型突起間に設けられ、
前記反射防止物品の製造方法は、
基材の表面に、賦型樹脂層を作成する賦型樹脂層作成工程と、
賦型用金型を使用した前記賦型樹脂層の賦型処理により、前記基材に前記微小突起を作成する賦型工程と、
前記微小突起を作成した前記基材の表面に、前記大型突起を作成する大型突起作製工程とを備える。
(8)によれば、微小突起を作成した後の後加工により、大型突起を作成するようにして、この大型突起をスペーサとして機能させて、他の部材の微小突起への接触を防止することができる。その結果、微小突起の損傷を有効に回避して耐擦傷性を向上することができる。また微小突起を作成した後の後加工により、大型突起を作成することにより、大型突起の配置等に係る変更に柔軟に対応することができる。
(9) 微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起の間隔が、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下である反射防止物品の製造方法において、
前記反射防止物品は、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である大型突起が、離散したランダムな配置により設けられ、
前記微小突起が、前記大型突起間に設けられ、
前記反射防止物品の製造方法は、
陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、賦型用金型に前記微小突起に対応する微小凹部を作成する微小凹部の作成工程と、
前記微小凹部を作成してなる前記賦型用金型に前記大型突起に対応する大型凹部を作成する後加工工程と、
基材の表面に、賦型樹脂層を作成する賦型樹脂層作成工程と、
前記賦型用金型を使用した前記賦型樹脂層の賦型処理により、前記基材に前記微小突起及び前記大型突起を作成する賦型工程とを備える。
前記反射防止物品は、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である大型突起が、離散したランダムな配置により設けられ、
前記微小突起が、前記大型突起間に設けられ、
前記反射防止物品の製造方法は、
陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、賦型用金型に前記微小突起に対応する微小凹部を作成する微小凹部の作成工程と、
前記微小凹部を作成してなる前記賦型用金型に前記大型突起に対応する大型凹部を作成する後加工工程と、
基材の表面に、賦型樹脂層を作成する賦型樹脂層作成工程と、
前記賦型用金型を使用した前記賦型樹脂層の賦型処理により、前記基材に前記微小突起及び前記大型突起を作成する賦型工程とを備える。
(9)によれば、ロール版等の賦型用金型を使用して微小突起及び大型突起を作成することができ、大型突起を設けない場合と同様の工程により基材を処理して、大型突起を備えた反射防止物品を作成することができる。
(10) 微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起の間隔が、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下である反射防止物品の生産に使用する反射防止物品の賦型用金型において、
前記微小突起に対応する微小凹部と、前記微小突起に対して形状の大きな大型突起に対応する大型凹部とが作成され、
前記大型凹部は、
離散したランダムな配置により作製され、
前記微小凹部より深さが深く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より表面側が幅広であり、
前記微小凹部は、
前記大型凹部間に、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下により密接して配置された。
前記微小突起に対応する微小凹部と、前記微小突起に対して形状の大きな大型突起に対応する大型凹部とが作成され、
前記大型凹部は、
離散したランダムな配置により作製され、
前記微小凹部より深さが深く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より表面側が幅広であり、
前記微小凹部は、
前記大型凹部間に、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下により密接して配置された。
(10)によれば、微小突起と大型突起とが混在した反射防止物品を賦型処理により作製することができ、この反射防止物品では、大型突起をスペーサとして機能させて、他の部材の微小突起への接触を防止することができる。その結果、微小突起の損傷を有効に回避して耐擦傷性を向上することができる。
(11) 微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起の間隔が、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下である反射防止物品の生産に使用する賦型用金型の製造方法において、
前記反射防止物品は、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である大型突起が、離散したランダムな配置により設けられ、
前記微小突起が、前記大型突起間に設けられ、
前記賦型用金型の製造方法は、
陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、賦型用金型に前記微小突起に対応する微小凹部を作成する微小凹部の作成工程と、
前記微小凹部を作成してなる前記賦型用金型に前記大型突起に対応する大型凹部を作成する後加工工程とを備える。
前記反射防止物品は、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である大型突起が、離散したランダムな配置により設けられ、
前記微小突起が、前記大型突起間に設けられ、
前記賦型用金型の製造方法は、
陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、賦型用金型に前記微小突起に対応する微小凹部を作成する微小凹部の作成工程と、
前記微小凹部を作成してなる前記賦型用金型に前記大型突起に対応する大型凹部を作成する後加工工程とを備える。
(11)によれば、賦型処理により、微小突起と大型突起とが混在した反射防止物品を作製することができ、この反射防止物品では、大型突起をスペーサとして機能させて、他の部材の微小突起への接触を防止することができる。その結果、微小突起の損傷を有効に回避して耐擦傷性を向上することができる。
モスアイ構造に係る反射防止物品に関して、従来に比して耐擦傷性を向上することができる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置を示す図である。この画像表示装置1は、液晶表示パネルによる画像表示パネル2の背面側(入射面側)にバックライト装置3が配置され、このバックライト装置3の出射光を画像表示パネル2に入射して所望の画像を表示する。画像表示装置1は、この画像表示パネル2の出射面側にタッチパネル用センサーフィルム4が配置される。ここでタッチパネル用センサーフィルム4は、タッチパネルを構成するフィルム材であり、この画像表示装置1ではこのタッチパネル用センサーフィルム4に設けられた電極を図示しない駆動回路により駆動してタッチパネルを構成する。なおタッチパネル用センサーフィルム4には、静電容量型、抵抗型等、種々の構成を広く適用することができる。画像表示装置1では、このタッチパネル用センサーフィルム4を画像表示パネル2の出射面に載置して配置し、これによりこの画像表示パネル2の出射面とタッチパネル用センサーフィルム4の画像表示パネル2側面との間に空気層が介在することになる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置を示す図である。この画像表示装置1は、液晶表示パネルによる画像表示パネル2の背面側(入射面側)にバックライト装置3が配置され、このバックライト装置3の出射光を画像表示パネル2に入射して所望の画像を表示する。画像表示装置1は、この画像表示パネル2の出射面側にタッチパネル用センサーフィルム4が配置される。ここでタッチパネル用センサーフィルム4は、タッチパネルを構成するフィルム材であり、この画像表示装置1ではこのタッチパネル用センサーフィルム4に設けられた電極を図示しない駆動回路により駆動してタッチパネルを構成する。なおタッチパネル用センサーフィルム4には、静電容量型、抵抗型等、種々の構成を広く適用することができる。画像表示装置1では、このタッチパネル用センサーフィルム4を画像表示パネル2の出射面に載置して配置し、これによりこの画像表示パネル2の出射面とタッチパネル用センサーフィルム4の画像表示パネル2側面との間に空気層が介在することになる。
そこでこの実施形態では、タッチパネル用センサーフィルム4の画像表示パネル2側面に、反射防止フィルム5が配置される。ここで反射防止フィルム5は、モスアイ構造によるフィルム状の反射防止物品である。これにより画像表示装置1は、タッチパネル用センサーフィルム4の入射面における反射を低減し、視認性を向上すると共に光の利用効率を向上する。ここで反射防止フィルム5は、タッチパネル用センサーフィルム4と別体に作製した後、タッチパネル用センサーフィルム4に貼り付けるようにしてもよく、またタッチパネル用センサーフィルム4の画像表示パネル2側透明フィルム材に微細凹凸形状を作製することにより、タッチパネル用センサーフィルムと一体に作製してもよい。
なお符号5Aにより示すように、反射防止フィルムは、タッチパネル用センサーフィルム4の画像表示パネル2側面に代えて、又はタッチパネル用センサーフィルム4の画像表示パネル2側面に加えて、画像表示パネル2の出射面に設けるようにしてもよい。またこの場合、画像表示パネル2と別体に作製して画像表示パネル2の出射面に貼り付けるようにしてもよく、画像表示パネル2の出射面を構成する部材(例えば直線偏光板の基材である)のタッチパネル用センサーフィルム4側面に微細凹凸形状を作製することにより、画像表示パネル2と一体に作製してもよい。
これらによりこの画像表示装置1では、画像表示パネル1の出射面側の構成に関して、画像表示装置1の内部反射を低減して視認性を向上し、さらには光の利用効率を向上する。
図2は、反射防止フィルム5の詳細構成を、画像表示パネル2側より見て示す斜視図である。反射防止フィルム5は、透明フィルムによる基材11の表面に、モスアイ構造に係る微小突起15と、この微小突起15に比して形状の大きな大型突起16とが配置される。反射防止フィルム5は、離散したランダムな配置により大型突起16が配置され、この大型突起16間にモスアイ構造に係る多数の微小突起15、15A、15Bが密接して不規則に配置される。これにより反射防止フィルム5は、この大型突起16をスペーサとして機能させて微小突起15への他の部材の接触を防止する。これにより反射防止フィルム5は、モスアイ構造に係る微小突起15の損傷を有効に回避して耐擦傷性を向上する。
〔大型突起〕
ここで大型突起16は、平面視した場合に略円形形状となる形状により形成され、例えば頂点の側が丸まった円錐形状、頂点の側が平坦な円錐台形状、半円球形状等により形成される。大型突起16は、スペーサとして機能して他の部材と微小突起15との接触を防止することにより、図3に示すように、微小突起15より高さH16が高くなるように作製される。ここでこの微小突起15の高さHは、後述するようにばらつくことにより、大型突起16は、このばらつきを考慮して、最も高さの高い微小突起15より高さH16が高なるように作製される。ここで十分な反射防止機能を確保する観点より、微小突起15は、反射防止を図る最長波長λmaxに対して、高さの平均値HAVGがHAVG≧0.2×λmaxの関係を満足することが必要である。これによりλmax=780nmとして、微小突起15の高さの平均値HAVGは156nm以上となる。また後述するように単峰性微小突起と多峰性微小突起とを混在させる場合には、微小突起15の高さの標準偏差σは30nm程度となる(図9参照)。これらにより大型突起16は、300nm以上の高さH16により作製して微小突起15への他の部材の接触を概ね防止することができる。しかしながら後述するような各種の作製手法によりこの大型突起16を所望する大きさで簡易かつ確実に作製する観点から、大型突起16は、高さH16が1μm以上により作製されることが好ましく、さらにより好ましくは5μm以上により作製されることが好ましい。
ここで大型突起16は、平面視した場合に略円形形状となる形状により形成され、例えば頂点の側が丸まった円錐形状、頂点の側が平坦な円錐台形状、半円球形状等により形成される。大型突起16は、スペーサとして機能して他の部材と微小突起15との接触を防止することにより、図3に示すように、微小突起15より高さH16が高くなるように作製される。ここでこの微小突起15の高さHは、後述するようにばらつくことにより、大型突起16は、このばらつきを考慮して、最も高さの高い微小突起15より高さH16が高なるように作製される。ここで十分な反射防止機能を確保する観点より、微小突起15は、反射防止を図る最長波長λmaxに対して、高さの平均値HAVGがHAVG≧0.2×λmaxの関係を満足することが必要である。これによりλmax=780nmとして、微小突起15の高さの平均値HAVGは156nm以上となる。また後述するように単峰性微小突起と多峰性微小突起とを混在させる場合には、微小突起15の高さの標準偏差σは30nm程度となる(図9参照)。これらにより大型突起16は、300nm以上の高さH16により作製して微小突起15への他の部材の接触を概ね防止することができる。しかしながら後述するような各種の作製手法によりこの大型突起16を所望する大きさで簡易かつ確実に作製する観点から、大型突起16は、高さH16が1μm以上により作製されることが好ましく、さらにより好ましくは5μm以上により作製されることが好ましい。
しかしながら高さH16が余りに高くなると、十分な強度を確保するために大型突起16の付け根部分を充分に大きくせざるを得ず、その結果、微小突起15による反射防止機能が局所的に劣化したり、画質劣化が知覚される等の恐れがある。そこでこの実施形態において、大型突起16は、高さH16が100μm以下により作製される。
また大型突起16は、他の部材の接触により損傷してスペーサとしての機能が損なわれることが無いように、付け根部分の幅D16が十分な大きさにより作製される。具体的に大型突起16は、反射防止を図る波長帯域の最長波長λmaxより、付け根部分の幅D16が大きくなるように作製される。しかしながら後述するような各種の作製手法により大型突起16を所望する大きさで簡易かつ確実に作製する観点から、大型突起16は、付け根部分の幅D16が1μm以上により作製されることが好ましく、さらにより好ましくは5μm以上により作製されることが好ましい。
しかしながら余りに付け根部分の幅D16が大きくなると、画質劣化が知覚される等の恐れがあることにより、幅D16は、100μm以下により作製される。
また大型突起16は、配置密度を高くすることにより、より確実に微小突起への他の部材の接触を防止できるものの、余りに配置密度が高くなると、これによっても反射防止機能が損なわれ、画質劣化が知覚される。また規則正しく配置した場合には、干渉縞等が発生する恐れがある。これにより大型突起16は、1個/cm2以上、30個/cm2以下の密度により、また離散したランダムが配置により作製される。
また後述するロール版の周側面に作製された微細凹凸形状を転写して反射防止フィルムを作製する場合には、このロール版の微細凹凸形状が局所的に損なわれる場合も発生し、その結果、反射防止物品に正常に微小突起15が作製されていない欠陥の部位が発生する。そこでこの実施形態では、上述した配置密度の範囲で、欠陥が存在する場合には、欠陥の部位に大型突起16が設けられ、これにより欠陥の箇所を有効利用して大型突起16を配置する。
また図4に示すように、画像表示パネル2の画素間に設けられた遮光部であるブラックマトリックスBM上となるように、大型突起16を配置し、これにより大型突起を一段と目立たなくする。なおこれにより反射防止フィルム5は、ブラックマトリックスと大型突起16とが重なり合うように設定されて画像表示パネル2に配置される。
なおこれらによりこの実施形態では、図4において一点鎖線により示すように、例えば、上述した配置密度により大型突起16を配置する場合の、大型突起16の1個に割り当てられる面積(配置密度の逆数である)による矩形の領域により、反射防止フィルム5の全面を区分し、各区分した領域に1個づつ大型突起16を配置する。この配置の際に、欠陥が存在する領域では、この欠陥の箇所に大型突起16を配置する。また欠陥が複数存在する場合、形状の大きな欠陥の側に大型突起を配置する。これに対して欠陥が存在しない場合、ブラックマトリックスBMの上であって、当該領域内のランダムな位置に大型突起16を配置する。なおこれにより図4の例は、約1個/mm2の密度により大型突起16を配置する場合の例である。
これによりこの実施形態では、欠陥の箇所を優先するようにして、ブラックマトリックスBM上に、上述した配置密度によるランダムな配置により大型突起16を配置する。
〔微小突起〕
微小突起15は、隣接する微小突起15の間隔dが、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるように、大型突起16間に不規則な配置により密接して配置される。この実施形態では、画像表示パネル2に配置して視認性を向上させることを目的とするため、この最短波長は、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(380nm)に設定され、間隔dは、ばらつきを考慮して100〜300nmとされる。またこの間隔dに係る隣接する微小突起15は、いわゆる隣り合う微小突起15であり、基材11側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。反射防止フィルム5では微小突起15が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作製すると、平面視において各微小突起15を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起15は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
微小突起15は、隣接する微小突起15の間隔dが、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるように、大型突起16間に不規則な配置により密接して配置される。この実施形態では、画像表示パネル2に配置して視認性を向上させることを目的とするため、この最短波長は、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(380nm)に設定され、間隔dは、ばらつきを考慮して100〜300nmとされる。またこの間隔dに係る隣接する微小突起15は、いわゆる隣り合う微小突起15であり、基材11側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。反射防止フィルム5では微小突起15が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作製すると、平面視において各微小突起15を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起15は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
なお微小突起15に関しては、より詳細には以下のように定義される。モスアイ構造による反射防止では、透明基材表面とこれに隣接する媒質との界面における有効屈折率を、厚み方向に連続的に変化させて反射防止を図るものであることから、微小突起に関しては一定の条件を満足することが必要である。この条件のうちの1つである微小突起の間隔に関して、例えば特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報等に開示のように、微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、隣接する微小突起の間隔dは、突起配列の周期P(d=P)となる。これにより可視光線帯域の最長波長をλmax、最短波長をλminとした場合に、最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxであるため、P≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、P≦λminとなる。
なお波長λmax、λminは、観察条件、光の強度(輝度)、個人差等にも依存して多少幅を持ち得るが、標準的には、λmax=780nm及びλmin=380nmとされる。これらにより可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、d≦300nmであり、より好ましい条件は、d≦200nmとなる。なお反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、周期dの下限値は、通常、d≧50nm、好ましくは、d≧100nmとされる。これに対して微小突起の高さHは、十分な反射防止効果を発現させる観点より、H≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。
しかしながらこの実施形態のように、微小突起が不規則に配置されている場合には、隣接する微小突起間の間隔dはばらつきを有することになる。より具体的には、図5に示すように、基材の表面又は裏面の法線方向から見て平面視した場合に、微小突起が一定周期で規則正しく配列されていない場合、微小突起の繰り返し周期Pによっては隣接突起間の間隔dは規定し得ず、また隣接突起の概念すら疑念が生じることになる。そこでこのような場合、以下のように算定される。
(1)すなわち先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて微小突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。なお図5は、実際に原子間力顕微鏡により求められた拡大写真である。
(2)続いてこの求められた面内配列から各微小突起の高さの極大点(以下、単に極大点と呼ぶ)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。図6は、図5に示した拡大写真に係る画像データの処理による極大点の検出結果を示す図であり、この図において黒点により示す個所がそれぞれ各微小突起の極大点である。なおこの処理では4.5×4.5画素のガウシアン特性によるローパスフィルタにより事前に画像データを処理し、これによりノイズによる極大点の誤検出を防止した。また8画素×8画素による最大値検出用のフィルタを順次スキャンすることにより1nm(=1画素)単位で極大点を求めた。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作製する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図7は、図6から求められるドロネー図(白色の線分により表される図である)を図6による原画像と重ね合わせた図である。ドロネー図は、ボロノイ図(Voronoi diagram)と双対の関係に有る。またボロノイ分割とは、各隣接母点間を結ぶ線分(ドロネー線)の垂直2等分線同士によって画成される閉多角形の集合体からなる網状図形で平面を分割することを言う。ボロノイ分割により得られる網状図形がボロノイ図であり、各閉領域がボロノイ領域である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(以下、隣接突起間距離と呼ぶ)の度数分布を求める。図8は、図7のドロネー図から作製した度数分布のヒストグラムである。なお図5において符号15A及び15Bにより示すように、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作製する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している多峰性微小突起に係る微細構造においては、このような微細構造を備えてい無い単峰性微小突起の場合の数値範囲から、隣接極大点間距離が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば図5に示すような微小突起群の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性微小突起を選んで、その隣接極大点間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接極大点間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。図8の例では、隣接極大点間距離が56nm以下のデータ(矢印Aにより示す左端の小山)を除外する。なお図8は、このような除外する処理を行う前の度数分布を示すものである。因みに上述の極大点検用のフィルタの設定により、このような除外する処理を実行してもよい。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離dの度数分布から平均値dAVG及び標準偏差σを求める。ここでこのようにして得られる度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求めると、図8の例では、平均値dAVG=158nm、標準偏差σ=38nmとなった。これにより隣接突起間距離dの最大値を、dmax=dAVG+2σとし、この例ではdmax=234nmとなる。
なお同様の手法を適用して微小突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。図9は、このようにして求められる突起付け根位置を基準(高さ0)とした微小突起高さHの度数分布のヒストグラムを示す図である。このヒストグラムによる度数分布から微小突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。ここでこの図9の例では、平均値HAVG=178nm、標準偏差σ=30nmである。これによりこの例では、微小突起の高さは、平均値HAVG=178nmとなる。なお図9に示す微小突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性微小突起の場合は、頂点を複数有していることにより、1つの微小突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。そこでこの場合は麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂点の中から高さの最も高い頂点を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
なお上述した微小突起の高さを測る際の基準位置は、隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合は、(1)先ず、基材11の表面又は裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が收束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを持ち、基材11の表面又は裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
微小突起が不規則に配置されている場合には、このようにして求められる隣接突起間距離の最大値dmax=dAVG+2σ、微小突起の高さの平均値HAVGが、規則正しく配置されている場合の上述の条件を満足することが必要であることが判った。具体的には、反射防止効果を発現する微小突起間距離の条件は、dmax≦Λminとなる。最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最短限の条件は、Λmin=λmaxであるため、dmax≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、dmax≦λminとなる。そして、可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、dmax≦300nmであり、更に好ましい条件は、dmax≦200nmである。また反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、通常、dmax≧50nmであり、好ましくは、dmax≧100nmとされる。また微小突起高さについては、十分な反射防止効果を発現する為には、HAVG≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。
因みに、図5〜図9の例により説明するとdmax=234nm≦λmax=780nmとなり、dmax≦λmaxの条件を満足して十分に反射防止効果を奏し得ることが判る。また可視光線帯域の最短波長λminが380nmであることから、可視光線の全波長帯域において反射防止効果を発現する十分条件dmax≦λminも満たすことが判る。また平均突起高さHAVG=178nmであることにより、平均突起高さHAVG≧0.2×λmax=156nmとなり(可視光波長帯域の最長波長λmax=780nmとして)、十分な反射防止効果を実現するための微小突起の高さに関する条件も満足していることが判る。なお標準偏差σ=30nmであることから、HAVG−σ=148nm<0.2×λmax=156nmとの関係式が成立することから、統計学上、全微小突起の50%以上、84%以下が、突起の高さに係る条件(178nm以上)の条件を満足していることが判る。
〔多峰性微小突起〕
反射防止フィルム5は、単峰性微小突起と多峰性微小突起とが混在して設けられる。ここで多峰性微小突起は、頂点を複数有する微小突起であり、微小突起を先端側より平面視した場合に、ほぼ中央より外方に向かって形成された溝により複数の領域に分割され、この複数の領域の各領域が、それぞれ各頂点に係る峰であるように形成される。多峰性微小突起は、対応する形状を備えた微細穴の賦型処理により作製され、微小突起を先端側より平面視した場合の形状等が、特開2012−037670号公報に開示の、賦型処理時の樹脂の充填不良により生じるような多峰性微小突起とは異なる特徴を備える。単峰性微小突起は、頂点が1つのみの微小突起である。このように単峰性微小突起と多峰性微小突起との混在により、反射防止フィルム5は、仮に大型突起16が損傷等して他の部材が接触した場合でも、微小突起15の損傷を低減して反射防止機能の局所的な劣化、傷付き等を防止することができ、これにより反射防止フィルム5は、一段と耐擦傷性を向上することができる。
反射防止フィルム5は、単峰性微小突起と多峰性微小突起とが混在して設けられる。ここで多峰性微小突起は、頂点を複数有する微小突起であり、微小突起を先端側より平面視した場合に、ほぼ中央より外方に向かって形成された溝により複数の領域に分割され、この複数の領域の各領域が、それぞれ各頂点に係る峰であるように形成される。多峰性微小突起は、対応する形状を備えた微細穴の賦型処理により作製され、微小突起を先端側より平面視した場合の形状等が、特開2012−037670号公報に開示の、賦型処理時の樹脂の充填不良により生じるような多峰性微小突起とは異なる特徴を備える。単峰性微小突起は、頂点が1つのみの微小突起である。このように単峰性微小突起と多峰性微小突起との混在により、反射防止フィルム5は、仮に大型突起16が損傷等して他の部材が接触した場合でも、微小突起15の損傷を低減して反射防止機能の局所的な劣化、傷付き等を防止することができ、これにより反射防止フィルム5は、一段と耐擦傷性を向上することができる。
図10は、多峰性微小突起の説明に供する断面図(図10(a))、斜視図(図10(b))、平面図(図10(c))である。なおこの図10は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、図10(a)は、連続する微小突起の頂点を結ぶ折れ線により断面を取って示す図である。この図10(b)及び(c)において、xy方向は、基材11の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。反射防止フィルム5において、多くの微小突起15は、基材11より離れて頂点に向かうに従って徐々に断面積(高さ方向に直交する面(図10においてXY平面と平行な面)で切断した場合の断面積)が小さくなって、頂点が1つにより作製される。しかしながら中には、複数の微小突起が結合したかのように、先端部分に溝gが形成され、頂点が2つになったもの(15A)、頂点が3つになったもの(15B)、さらには頂点が4つ以上のもの(図示略)が存在した。なお単峰性微小突起15の形状は、概略、回転放物面の様な頂部の丸い形状、或いは円錐の様な頂点の尖った形状で近似することができる。一方、多峰性微小突起15A、15Bの形状は、概略、単峰性微小突起15の頂部近傍に溝状の凹部を切り込んで、頂部を複数の峰に分割したような形状で近似される。多峰性微小突起15A、15Bの形状は、或いは、複数の峰を含み高さ方向(図10ではZ軸方向)を含む仮想的切断面で切断した場合の縦断面形状が、極大点を複数個含み各極大点近傍が上に凸の曲線になる代数曲線Z=a2X2+a4X4+・・+a2nX2n+・・で近似されるような形状である。
このような頂点を複数有する多峰性微小突起は、単峰性微小突起に比して、頂点近傍の寸法に対する裾の部分の太さが相対的に太くなる(周囲長が長くなる)。これにより、多峰性微小突起は、単峰性微小突起に比して機械的強度が優れていると言える。これにより頂点を複数有する多峰性微小突起が存在する場合、反射防止フィルム5では、単峰性微小突起のみによる場合に比して耐擦傷性が向上する。具体的に、反射防止フィルム5の表面に外力が加わった場合、単峰性微小突起のみの場合に比して、外力をより多くの頂点で分散して受ける為、各頂点に加わる外力を低減し、微小突起が損傷し難いようにすることができ、これにより反射防止機能の局所的な劣化を低減し、さらに外観不良の発生を低減することができる。また仮に微小突起が損傷した場合でも、その損傷個所の面積を低減することができる。更に、多峰性微小突起は、外力を先ず各峰部分が受止めて犠牲的に損傷することによって、該多峰性微小突起の峰より低い本体部分、及び該多峰性微小突起よりも高さの低い微小突起の損耗を防ぐ。これによっても反射防止機能の局所的な劣化を低減し、さらに外観不良の発生を低減することができる。
さらにこのような多峰性微小突起15A、5Bを含む微小突起群(5、5A、5B、・・)を有する反射防止フィルム5を詳細に検討したところ、各微小突起の高さが種々に異なることが判った(図9、参照)。すなわちこのように微小突起の高さが種々に異なる場合には、例えば大型突起が損なわれて他の部材が接触し、その結果、高さの高い微小突起の形状が損なわれた場合でも、高さの低い微小突起においては、形状が維持されることになる。これによっても反射防止物品では、反射防止機能の局所的な劣化を低減し、さらには外観不良の発生を低減することができ、その結果、耐擦傷性を向上することができる。
また反射防止フィルム5の微小突起群と物体との間に塵埃が付着すると、当該物品が反射防止物品に対して相対的に摺動した際に、該塵埃が研磨剤として機能して微小突起(群)の磨耗、損傷が促進されることになる。この場合に、微小突起群を構成する各微小突起間に高低差が有ると、塵埃は高さの高い微小突起に強く接触し、これを損傷させる。一方で高さの低い微小突起との接触は弱まり、高さの低い微小突起については損傷が軽減され、無傷ないしは軽微な傷で残存した高さの低い微小突起によって反射防止性能が維持される。
またこれに加えて、各微小突起の高さに分布(高低差)の有る微小突起群は、反射防止性能が広帯域化され、白色光のような多波長の混在する光、あるいは広帯域スペクトルを持つ光に対して、全スペクトル帯域で低反射率を実現するのに有利である。これは、かかる微小突起群によって良好な反射防止性能を発現し得る波長帯域が、隣接突起間距離dの他に、突起高さにも依存する為である。
またこの場合には、多数の微小突起のうちの高さの高い微小突起のみが、例えば反射防止フィルム5と対向するように配置された各種の部材表面と接触することになる。これにより高さが同一の微小突起のみによる場合に比して格段的に滑りを良くすることができ、製造工程等における反射防止物品の取り扱いを容易とすることができる。なおこのように滑りを良くする観点から、高さのばらつきは、標準偏差により規定した場合に、10nm以上必要であるものの、50nmより大きくなると、このばらつきによる表面のざらつき感が感じられるようになる。従ってこの高さのばらつきは、10nm以上、50nm以下であることが好ましい。
またこのように多峰性微小突起が混在する場合には、単峰性微小突起のみによる場合に比して反射防止の性能を向上することができる。すなわち多峰性微小突起15A、15Bは、隣接突起間距離が同じ場合であっても、また突起高さが同じ場合であっても、単峰性微小突起と比べて、より光の反射率が低減することになる。その理由は、多峰性微小突起15A、15Bは、頂部より下(中腹及び麓)の形状が同じ単峰性微小突起よりも、頂部近傍における有効屈折率の高さ方向の変化率が小さくなる為である。
すなわち図10において、z=0を高さH=0とおき、高さ方向(Z軸方向)に直交する仮想的切断面Z=zで微小突起15、15A等を切断したと仮定した場合の面Z=zにおける微小突起と周辺の媒質(通常は空気)との屈折率の平均値として得られる有効屈折率nefは、切断面Z=zにおける周辺媒質(ここでは空気とする)の屈折率をnA=1、微小突起15、15A、・・の構成材料の屈折率をnM>1とし、又周辺媒質(空気)の断面積の合計値をSA(z)、微小突起15、5A、・・の断面積の合計値をSM(z)としたとき、
nef(z)=1×SA(z)/(SA(z)+SM(z))+nA×SM(z)/(SA(z)+SM(z))(式1)
で表される。これは、周辺媒質の屈折率nA及び微小突起構成材料の屈折率nMを、各々周辺媒質の合計断面積SA(z)及び微小突起の合計断面積の合計値SM(z)で比例配分した値となる。
nef(z)=1×SA(z)/(SA(z)+SM(z))+nA×SM(z)/(SA(z)+SM(z))(式1)
で表される。これは、周辺媒質の屈折率nA及び微小突起構成材料の屈折率nMを、各々周辺媒質の合計断面積SA(z)及び微小突起の合計断面積の合計値SM(z)で比例配分した値となる。
ここで、単峰性微小突起15を基準にして考えたときに、多峰性微小突起15A、15B、・・は、頂部近傍が複数の峰に分裂している。そのため、頂部近傍を切断する仮想的切断面Z=zにおいて、多峰性微小突起15A、15B、・・は、単峰性微小突起15、・・に比べて相対的に低屈折率である周辺媒質の合計断面積SA(z)の比率が、相対的に高屈折率である微小突起の合計断面積SM(z)の比率に比べて、より増大することになる。
その結果、仮想的切断面Z=zにおける有効屈折率nef(z)は、多峰性微小突起15A、15B、・・の方が単峰性微小突起15、・・に比べて、より周辺媒質の屈折率nAに近くなる。面Z=zにおける多峰性微小突起の有効屈折率と周辺媒質の屈折率との差を|nef(z)−nA(z)|multi、単峰性微小突起の有効屈折率と周辺媒質の屈折率との差を|nef(z)−nA(z)|monoとすると、
|nef(z)−nA(z)|multi<|nef(z)−nA(z)|mono(式2)
となる。ここでnA(z)=1とすると、
|nef(z)−1|multi<|nef(z)−1|mono(式2A)
となる。
|nef(z)−nA(z)|multi<|nef(z)−nA(z)|mono(式2)
となる。ここでnA(z)=1とすると、
|nef(z)−1|multi<|nef(z)−1|mono(式2A)
となる。
これにより頂部近傍において、多峰性微小突起を含む微小突起群(各微小突起間に周辺媒質を含む)については、単峰性微小突起のみからなる突起群に比べて、その有効屈折率と周辺媒質(空気)の屈折率との差、より詳細に言えば、微小突起の高さ方向の単位距離当たりの屈折率の変化率をより低減化すること、換言すれば、屈折率の高さ方向変化の連続性をより高めることが可能になることが判る。
一般に、隣接する屈折率n0の媒質と屈折率n1の媒質との界面に光が入射する場合に、該界面における光の反射率Rは、入射角=0として、
R=(n1−n0)2/(n1+n0)2(式3)
となる。この式より界面両側の媒質の屈折率差n1−n0が小さいほど界面での光の反射率Rは減少し、(n1−n0)が値0に近づけばRも値0に近づくことになる。
R=(n1−n0)2/(n1+n0)2(式3)
となる。この式より界面両側の媒質の屈折率差n1−n0が小さいほど界面での光の反射率Rは減少し、(n1−n0)が値0に近づけばRも値0に近づくことになる。
(式2)、(式2A)及び(式3)より、多峰性微小突起15A、15B、・・を含む微小突起群(各微小突起間に周辺媒質を含む)については、単峰性微小突起15、・・のみからなる突起群に比べて光の反射率が低減する。
なお単峰性微小突起15のみからなる微小突起群を用いても、隣接突起間距離の最大値dmaxを反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長λmin以下の十分小さな値にすることによって、十分な反射防止効果を発現することは可能である。但し、その場合、隣接峰間の距離と隣接微小突起間距離とが同一となる為、隣接微小突起間が接触、一体複合化する現象(いわゆるスティッキング)が発生し易くなる。スティッキングを生じると、実質上の隣接突起間距離dは一体複合化した微小突起数の分だけ増加する。
例えば、d=200nmの微小突起が4個スティッキングすると、実質上、スティッキングして一体化した突起の大きさは、d=4×200nm=800nm>可視光線帯域の最長波長(780nm)となり、これにより局所的に反射防止効果を損なうことになる。
一方、多峰性微小突起15A、15B、・・からなる微小突起群の場合、頂部近傍の各峰間の隣接突起間距離dPEAKは、麓から中腹にかけての微小突起本体部の隣接突起間距離dBASEよりも小さくなり(dPEAK<dBASE)、通常、dPEAK=dBASE/4〜dBASE/2程度である。その為、各峰間の隣接突起間距離dPEAK≪λminとすることで十分な反射防止性能を得ることができる。但し、多峰性微小突起の各峰部は、麓部の幅に対する峰部の高さの比が小さく、単峰性微小突起の麓部の幅に対する頂点の高さの比の1/2〜1/10程度である。従って、同じ外力に対して、多峰性微小突起の峰部は単峰性微小突起に比べての変形し難い。且つ、多峰性微小突起の本体部自体は峰部よりも隣接突起間距離は大であり、且つ強度も大である。その為、結局、多峰性微小突起からなる微小突起群は、単峰性微小突起からなる突起群に比べて、スティッキングの生じ難さと低反射率とを容易に両立させることができる。
なお可視光の反射防止用途の他の用途であっても、又は可視光環境下であっても、当該反射防止材料が設置、使用される環境条件に応じて、想定する反射防止波長に応じたモスアイ構造を形成し、高さ分布を持たせる事により、前記の通り、従来のものより耐擦性があり、かつ、プロセス要件などで低硬度の材料を使用した場合においても互いのスティッキングを防止し、光学的必要性能を合わせ持つ反射防止材料を作製する事が可能となる。例えば、380nm前後の紫外領域について反射防止性能を得たい場合は微小突起の高さが約50μmでも可能であり、同様に700nm前後の赤外領域については約150μm(実用上を考慮すると400μm程度)であれば可能である。なお、前記の通り微小突起の配置ピッチについては高さについて飽和するような製作条件を見出し、モスアイの反射率を効果的に操作する事が可能である。さらに、モスアイの頂部構造についても、従来の単峰から改良を加える事で高さと反射率を両立し、かつ物理的にスティッキングを起こしにくく、効果的に反射率を低減する事が可能となっている。
またさらに反射防止物品の反射防止機能は、微小突起の間隔だけでなく、アスペクト比にも依存し、アスペクト比が一定であると、例えば可視光域では十分に小さな反射率を確保できる場合でも、紫外線域では可視光域に比して反射率が増大して反射防止機能が不足する。なおこのような場合において、微小突起のピッチを一段と小さくして紫外線域で十分な反射防止機能を確保できるように設定することも考えられるものの、この場合は、赤外線域で高さが不足して反射率が増大することになる。
しかしながらこの実施形態のように、単峰性の微小突起と多峰性微小突起とを混在させる場合には、多峰性微小突起により隣接突起間間隔を低下させたと等価な反射防止機能を確保することができ、これによりアスペクト比の異なる単峰性の微小突起を混在させた場合と同様に、広い波長帯域で反射率を低減することができる。なお可視光域を中心にした広い波長帯域で十分に小さな反射率を確保する場合、可視光域に係る波長480〜660nmに対応する480〜660nmの隣接突起間間隔による微小突起において、多峰性微小突起と単峰性微小突起とを混在させることが望ましい。
なお図11は、頂点が複数の微小突起を示す写真であり、図11(a)は、AFMによるものであり、図11(b)及び(c)は、SEMによるものである。図11(a)では、溝g及び3つの頂点を有する微小突起、及び溝g及び2つの頂点を有する微小突起を見て取ることができ、図11(b)では、溝g及び4つの頂点を有する微小突起、及び溝g及び2つの頂点を有する微小突起を見て取ることができ、図11(c)では、溝g及び3つの頂点を有する微小突起、溝g及び2つの頂点を有する微小突起を見て取ることができる。
〔各部の構成〕
反射防止フィルム5(図2)において、基材11は、TAC(Triacetylcellulose)等のセルロース(纖維素)系樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のアクリル系樹脂、PET(Polyethylene terephthalate)等のポリエステル系樹脂、PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)等のビニル系樹脂、PC(Polycarbonate)等の各種透明樹脂フィルムを適用することができる。また上述したようにタッチパネル用センサーフィルム4の透明フィルム材に微細凹凸形状を作製してタッチパネル用センサーフィルム4と一体に作製する場合、基材11は、このタッチパネル用センサーフィルム4に適用される透明フィルム材である。
反射防止フィルム5(図2)において、基材11は、TAC(Triacetylcellulose)等のセルロース(纖維素)系樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のアクリル系樹脂、PET(Polyethylene terephthalate)等のポリエステル系樹脂、PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン系樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)等のビニル系樹脂、PC(Polycarbonate)等の各種透明樹脂フィルムを適用することができる。また上述したようにタッチパネル用センサーフィルム4の透明フィルム材に微細凹凸形状を作製してタッチパネル用センサーフィルム4と一体に作製する場合、基材11は、このタッチパネル用センサーフィルム4に適用される透明フィルム材である。
反射防止フィルム5は、基材11上に、微細な凹凸形状の受容層となる未硬化状態の樹脂層(賦型処理に供する賦型樹脂層であり、以下、適宜、受容層と呼ぶ)17を形成し、該受容層17を賦型処理して硬化せしめ、これにより基材11の表面に微小突起15が密接して配置される。この実施形態では、この受容層17に、賦型処理に供する賦型用樹脂の1つであり、親水性樹脂であるアクリレート系紫外線硬化性樹脂が適用され、基材11上に紫外線硬化性樹脂層により受容層17が形成される。反射防止フィルム5は、微小突起15を作成した後、ディスペンサによりアクリレート系紫外線硬化性樹脂を滴下して硬化させることにより、大型突起16が作製される。
しかしてこのようにして作成される反射防止フィルム5は、微小突起及び大型突起が、親水性樹脂であるアクリレート系樹脂により作製されることにより、この実施形態のように画像表示装置の内部に配置する場合にあっても、結露による水滴を薄く引き伸ばし、上記画面の曇りを防止することができる。これにより結露による視認性の劣化を有効に回避することができる。
〔製造工程〕
図12は、反射防止フィルム5の製造工程を示す図である。反射防止フィルム5は、ロール材により基材11が提供され、賦型樹脂層作製工程SP2において、この基材11に、受容層17係る塗工液をダイ等により塗布して乾燥することにより、受容層17である賦型樹脂層を作製する。また続く賦型工程SP3において、賦型用金型であるロール版を使用した賦型処理により、このロール版の周側面に作製された微細凹凸形状を転写して微小突起15が作製される。これらによりこの実施形態において、賦型樹脂層作製工程SP2及び賦型工程SP3は、透明フィルム材である基材11の表面に、微小突起を作成する微小突起の作成工程を構成する。
図12は、反射防止フィルム5の製造工程を示す図である。反射防止フィルム5は、ロール材により基材11が提供され、賦型樹脂層作製工程SP2において、この基材11に、受容層17係る塗工液をダイ等により塗布して乾燥することにより、受容層17である賦型樹脂層を作製する。また続く賦型工程SP3において、賦型用金型であるロール版を使用した賦型処理により、このロール版の周側面に作製された微細凹凸形状を転写して微小突起15が作製される。これらによりこの実施形態において、賦型樹脂層作製工程SP2及び賦型工程SP3は、透明フィルム材である基材11の表面に、微小突起を作成する微小突起の作成工程を構成する。
この製造工程は、続く大型突起作製工程SP4において、ロール版の事前検査等により事前に設定された箇所に、ディスペンサにより紫外線硬化性樹脂を滴下して硬化させることにより、大型突起16が作製される。反射防止フィルム5は、その後、必要に応じて粘着層等を作製した後、所望の大きさに切断して作製される。これにより反射防止フィルム5は、ロール材による長尺の基材11に、賦型用金型であるロール版23の周側面に作製された微細形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。なおディスペンサにより紫外線硬化性樹脂を滴下して大型突起16を作成する代わりに、例えばスクリーン印刷により紫外線硬化性樹脂を付着して大型突起16を作製する場合等、大型突起16に係る紫外線硬化性樹脂の塗布方法にあっては、種々の手法を適用することができる。さらに大型突起16の作製については、その径に対する高さの比を0.5以上(高さ/径≧0.5)を確保する場合は、同一箇所に複数回のディスペンサ塗布および硬化処理、あるいはスクリーン印刷および硬化処理を行ない、積層により高さを得る事が好ましい。また紫外線硬化性樹脂に代えて、熱硬化性樹脂を適用する場合等、大型突起16に係る樹脂にあっては、必要に応じて種々の材料を適用することができる。
図13は、賦型樹脂層作製工程SP2、賦型工程SP3の詳細説明に供する図である。この製造工程は、ダイ22により基材11に塗工液を塗布した後、押圧ローラ24により、ロール版13の周側面に基材11を加圧押圧し、これにより基材11に塗布した紫外線硬化性樹脂をロール版23の周側面に密着させ、ロール版23の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に紫外線硬化性樹脂を充分に充填する。この製造工程は、この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂を硬化させ、これにより基材11の表面に微小突起群を作製する。この製造工程は、続いて剥離ローラ25を介してロール版23から、硬化した紫外線硬化性樹脂と一体に基材11を剥離する。
図14は、ロール版23の構成を示す斜視図である。ロール版23は、円筒形状の金属材料である母材の周側面に、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が作製され、この微細な凹凸形状が上述したように基材11に賦型される。ここでこの微細な凹凸形状は、微小突起15に対応する微小凹部(微細穴)が密接配置されたものである。このため母材は、少なくとも周側面に純度の高いアルミニウム層が設けられた円柱形状又は円筒形状の部材が適用される。より具体的に、この実施形態では、母材に、円筒形状によるアルミニウム材が適用されるものの、ステンレス、銅等による金属パイプに、直接に又は各種の中間層を介して、純度の高いアルミニウム層を設けたものを適用してもよい。
ロール版23は、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、母材の周側面に微細穴が密に作製され、この微細穴を掘り進めると共に、開口部に近付くに従ってより大きな径となるようにこの微細穴の穴径を徐々に拡大して凹凸形状が作製される。これによりロール版23は、反射防止フィルム5の微小突起に対応する微小凹部を密接配置してなる微細凹凸形状が作製される。
〔陽極酸化処理、エッチング処理〕
図15は、ロール版23の製造工程を示す図である。この製造工程は、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の周側面を超鏡面化する(電解研磨)。続いてこの工程は、陽極酸化工程A1、…、AN、エッチング工程E1、…、ENを交互に繰り返して母材を処理し、ロール版23を作製する。
図15は、ロール版23の製造工程を示す図である。この製造工程は、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の周側面を超鏡面化する(電解研磨)。続いてこの工程は、陽極酸化工程A1、…、AN、エッチング工程E1、…、ENを交互に繰り返して母材を処理し、ロール版23を作製する。
この製造工程において、陽極酸化工程A1、…、ANでは、陽極酸化法により母材の周側面に微細な穴を作製し、さらにこの作製した微細な穴を掘り進める。ここで陽極酸化工程では、例えば負極に炭素棒、ステンレス板材等を使用する場合のように、アルミニウムの陽極酸化に適用される各種の手法を広く適用することができる。また溶解液についても、中性、酸性の各種溶解液を使用することができ、より具体的には、例えば硫酸水溶液、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等を使用することができる。この製造工程A1、…、ANは、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な穴をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製する。
続くエッチング工程E1、…、ENは、金型をエッチング液に浸漬し、陽極酸化工程A1、…、ANにより作製、掘り進めた微細な穴の穴径をエッチングにより拡大し、深さ方向に向かって滑らか、かつ徐々に穴径が小さくなるように、これら微細な穴を整形する。なおエッチング液については、この種の処理に適用される各種エッチング液を広く適用することができ、より具体的には、例えば硫酸水溶液、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等を使用することができる。これらによりこの製造工程では、陽極酸化処理とエッチング処理とを交互にそれぞれ複数回実行することにより、賦型に供する微細穴を母材の周側面に作製する。
この実施形態では、このようにして繰り返す陽極酸化処理における印加電圧の制御により、単峰性微小突起と多峰性微小突起が混在するようにロール版23を作成するようにし、さらに微小突起の高さの分布を制御する。反射防止物品は、微小突起の高さ分布の制御により、例えば反射防止機能を果たす視野角方向の特性を制御することができる。
〔高さ分布の制御〕
ここで陽極酸化処理により微細穴を作製する場合、陽極酸化時の印加電圧と微細穴のピッチとは、比例する関係にある。これによりこのように陽極酸化処理、エッチング処理との繰り返しにおいて、陽極酸化処理の印加電圧を可変すれば、深さ方向に掘り進める時間が異なる微細穴を混在させてその比率を制御することができ、これにより微小突起の高さの分布を制御することができる。
ここで陽極酸化処理により微細穴を作製する場合、陽極酸化時の印加電圧と微細穴のピッチとは、比例する関係にある。これによりこのように陽極酸化処理、エッチング処理との繰り返しにおいて、陽極酸化処理の印加電圧を可変すれば、深さ方向に掘り進める時間が異なる微細穴を混在させてその比率を制御することができ、これにより微小突起の高さの分布を制御することができる。
またこのように陽極酸化処理における印加電圧を可変する場合にあっては、太さの大きな微細穴の底面に、複数の微細穴を作製して多峰性微小突起に係る微細穴とすることも可能であり、この太さの太い微細穴の高さの制御、底面に作製する微細穴の深さの制御等により、多峰性微小突起についても、高さの分布を制御することができる。
図16は、このような高さの分布の制御の説明に供する模式図であり、賦型用金型の製造工程における陽極酸化工程とエッチング工程とにより作製される微細穴を示す図である。陽極酸化処理の印加電圧と作製される微細穴のピッチとは比例関係である。しかしながら実際上、処理に供するアルミニウムの粒界等により微細穴のピッチは種々にばらつく。しかしながらこの図16においては、このようなばらつきが無いものとして、微細穴が規則正しい配列により作製されるものとして説明する。なお図16(a)〜(e)は、それぞれ各工程により作製される微細穴を平面視した図、及びa−a線により切り取って示す対応する断面図である。
ここで始めにこの実施形態では、低い印加電圧V1により第1の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理(以下、適宜、第1工程と呼ぶ)を実行し、これにより図16(a)に示すように、この低い印加電圧V1に係る基本ピッチによる微細穴f1を作製する。ここでこの第1の陽極酸化処理は、アルミニウムのフラット面に、後続する陽極酸化のきっかけを作製するものである。なおこの場合、必要に応じてこの第1工程のエッチング処理を省略してもよい。
続いてこの実施形態では、第1の陽極酸化時より高い印加電圧V2(V2>V1)により第2の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理を実行する(以下、適宜、第2工程と呼ぶ)。ここでこの場合、図16(b)に示すように、印加電圧を上昇させたことにより、第1の陽極酸化処理により作製された微細穴f1のうち、この第2の陽極酸化処理に係る印加電圧に対応する微細穴のみ深さ方向に掘り進められ(符号f2により示す)、エッチング処理されることになる。これによりこの第2の工程により、例えば2段階により印加電圧を可変すれば、深さの異なる分布を呈する微細穴を混在させることができる。
続いてこの実施形態では、第2の陽極酸化時より高い印加電圧V3(V3>V2)により第3の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理を実行する(以下、適宜、第3工程と呼ぶ)(図16(c))。ここでこの第3工程は、ピッチの異なる微細穴を作製するための工程である。このためこの工程では、第2の陽極酸化工程における印加電圧V2から徐々に印加電圧を上昇させる。ここでこの印加電圧の上昇を離散的に(段階的に)実行すると、微小突起の高さ分布を離散的に設定することができ、深さの分布が異なる微細穴を混在させることができる。またこの印加電圧の上昇を連続的に変化させると、深さ分布を正規分布に設定することができる。
さらにこの第3の工程において、陽極酸化に係る特定電圧の印加時間、エッチング処理の時間が、第1、第2工程よりも長く設定され、これにより符号f3により示すように、第1工程、第2工程で作製された微細穴f1、f2を飲み込むように、これら微細穴f1、f2と合体して底部の略平坦な微細穴が作製される。
続いてこの実施形態では、第3の陽極酸化時より高い印加電圧V4(V4>V3)により第4の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理を実行する(以下、適宜、第4工程と呼ぶ)(図16(d))。ここでこの第4工程は、目的とする突起間間隔によるピッチにより微細穴を作製するための工程であり、これによりこの印加電圧V4はこのピッチに対応する電圧である。この第4工程において、印加電圧を徐々に上昇させることにより、第3工程により大きく掘り進められた微細穴の一部がさらに一段と掘り進められて、この掘り進められた微細穴が単峰性の微小突起に対応する微細穴f4となる。
続いてこの実施形態では、第1工程における印加電圧V1により第5の陽極酸化処理を実行した後、エッチング処理を実行する(図16(e))。ここでこの第5の工程において、第3工程により底面が平坦面とされた微細穴であって、第4の工程の陽極酸化処理の影響を受けていない微細穴について、底面に微細な穴が複数個形成され、これにより多峰突起用の微細穴f5が作製される。ここでこの第5工程の印加電圧V1の大きさを調整することによって、底面に形成される微細な穴f5の数を増やしたり、減らしたりすることができる。
ここでこの一連の工程では、第1及び第2の工程により作製された深さの異なる微細穴f1、f2を、第3の工程で掘り進めて底面の略平坦な微小突起f3を作製し、第4の工程において、単峰性微小突起に係る微細穴を作製し、また第5の工程において、底面が平坦な微小突起f3の底面を加工して単峰性微小突起に係る微細穴を作製していることにより、これら第1〜第4の工程に係る陽極酸化処理の印加電圧、処理時間、エッチング処理の処理時間等を制御して各工程で作製される微細穴の深さ等を制御することにより、微小突起の高さの分布、多峰性微小突起の高さの分布を制御することができる。なおこれら第1〜第5の工程は、必要に応じて省略したり、繰り返したり、工程を一体化してもよいことは言うまでも無い。
図17及び図18は、この第1〜第5の工程により作製されたロール版を使用して生産された微小突起の高さの分布を示す図である。
図17は、第2工程、第3工程、第4工程で陽極酸化処理の印加電圧を連続的に変化させたものであり、また第4工程では、第3工程の印加電圧から印加電圧を低下させたものである。この図17に示す反射防止物品では、微小突起の高さ分布が正規分布を示しており、微小突起が作製されてなる面の鉛直線を中心とした比較的狭い範囲で、良好な反射防止物品防止機能を確保することができる。またこのときこのような高さ分布において、多峰性微小突起(頂点数が2つ及び3つのものをそれぞれ二峰、三峰により示す)についても、ほぼ高さの平均値が一致した正規分布とすることができ、これにより効率良く多峰性微小突起の耐擦傷性の機能を発揮させることができ、また可視光域を中心とした広い波長帯域で十分に反射率を低減する等の、光学特性の機能向上を図ることができる。。
なおこの図17の例では、微小突起の高さhの平均値mが145.7nmであり、その標準偏差δが22.1nmであった。またこの平均値m及び標準偏差δにより低高度領域をh<m−σ、中高度領域をm−σ≦h≦m+σ、高高度領域をh>m+σを定義したとき、総数Nt(263個)の微小突起のうち、多峰性微小突起は、中高度領域、中高度領域、高高度領域にそれぞれ2個、23個、5個の分布が得られ、これによっても多峰性微小突起が概ね微小突起全体と同一の高さ分布を示していることが判る。
図18は、上述の第1〜第5の工程のうちで、第2工程では段階的に電圧を上昇させて第3工程の処理を併せて実行し、第4工程では、図17の例による最高電圧に比して一段とより高い電圧により陽極酸化処理を実行して深さの深い微細穴を作製し、またさらにこの第4工程に対応して第5工程を2回繰り返したものである。
この図18の例では、高さの高い側と低い側とに分布のピークを有する双方性の特性による度数分布が得られ、高さの高い微小突起の分布を増大させることができ、さらに各分布に対応して多峰性微小突起の分布を形成することができる。これにより斜め方向からの光学特性を向上して広い視野角特性を向上することができる。また可視光域を中心とした広い波長帯域で十分に反射率を低下させることができる。
〔第1実施形態の効果〕
この実施形態によれば、微小突起に比して形状の大きな大型突起を設けることにより、耐擦傷性を向上することができる。特にこの大型突起にあっては、スペーサとして機能させることができることにより、画像表示パネルの出射面側に配置して視認性、光の利用効率を向上する場合に、この出射面側の他の部材との接触による微小突起の損傷を有効に回避することができ、これにより局所的に微小突起が磨耗したり、反射防止物品が接触対象に密着してしまう等の事故を有効に回避することができる。
この実施形態によれば、微小突起に比して形状の大きな大型突起を設けることにより、耐擦傷性を向上することができる。特にこの大型突起にあっては、スペーサとして機能させることができることにより、画像表示パネルの出射面側に配置して視認性、光の利用効率を向上する場合に、この出射面側の他の部材との接触による微小突起の損傷を有効に回避することができ、これにより局所的に微小突起が磨耗したり、反射防止物品が接触対象に密着してしまう等の事故を有効に回避することができる。
またこのときこの大型突起を、1個/cm2以上、30個/cm2以下の密度により配置することにより、反射防止機能を損なくことなく、また画質劣化を知覚させることなく、確実に他の部材の接触を防止することができる。またこの大型突起が、高さが5μm以上、100μm以下であることであることにより、反射防止機能を損なくことなく、また画質劣化を知覚させることなく、確実に他の部材の接触を防止することができる。またさらに各種の作製手法により大型突起を所望する大きさで簡易かつ確実に作製することができる。
またこの大型突起が、付け根部分の幅が、5μm以上、100μm以下であることによっても、反射防止機能を損なくことなく、また画質劣化を知覚させることなく、確実に他の部材の接触を防止することができる。またさらに各種の作製手法により大型突起を所望する大きさで簡易かつ確実に作製することができる。またこの大型突起を、微小突起に係る欠陥の箇所に作製することにより、欠陥の箇所を有効に利用して大型突起を配置することができる。
また大型突起を、画像表示パネルの遮光部であるブラックマトリックスと重なり合う箇所に配置することにより、大型突起を一段と目立たなくすることができる。また微小突起を作成した後の後加工により大型突起を作成することにより、例えば後発的に欠陥が発生した場合に、この欠陥の箇所に大型突起の作成箇所を変更したり、同一のロール版を使用して大型突起の密度の異なる反射防止フィルムを作成したり、大型突起の大きさを異ならせる等の、大型突起の配置等に関して柔軟に対応することができ、その結果、生産性を向上することができる。
〔第2実施形態〕
図19は、図15との対比により本発明の第2実施形態に係るロール版の製造工程を示す図である。この実施形態では、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより微小突起15に対応する微小凹部を母材に作製した後、後加工工程において、大型突起16に対応する大型凹部を作成してロール版を作成する。この実施形態では、この大型突起に対応する大型凹部を備えたロール版を使用して大型突起を備えた反射防止フィルムを作成する点を除いて、第1実施形態と同一に構成される。なおこれによりこの実施形態では、反射防止フィルムの後加工により大型突起を作成する代わりに、ロール版に作製された対応する凹部により大型突起を作成することになるものの、これらを併せて実行するようにして、ロール版より作製された大型突起と反射防止フィルムの後加工により作製された大型突起とを混在させるようにしてもよい。
図19は、図15との対比により本発明の第2実施形態に係るロール版の製造工程を示す図である。この実施形態では、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより微小突起15に対応する微小凹部を母材に作製した後、後加工工程において、大型突起16に対応する大型凹部を作成してロール版を作成する。この実施形態では、この大型突起に対応する大型凹部を備えたロール版を使用して大型突起を備えた反射防止フィルムを作成する点を除いて、第1実施形態と同一に構成される。なおこれによりこの実施形態では、反射防止フィルムの後加工により大型突起を作成する代わりに、ロール版に作製された対応する凹部により大型突起を作成することになるものの、これらを併せて実行するようにして、ロール版より作製された大型突起と反射防止フィルムの後加工により作製された大型突起とを混在させるようにしてもよい。
ここで図19に示す後加工工程は、上述した大きさの大型突起に対応する大型凹部を作成可能な種々の手法を広く適用することができる。具体的に、ドリルを使用した切削加工により大型凹部を作成してもよく、またレーザービーム(例えば波長532nm)の照射により大型凹部を作成してもよい。ここで、ドリルやレーザービームを用いる場合には発生する削り屑の処理のため真空吸引等の集塵手段を併用することが望ましい。
これによりこの実施形態において、ロール版は、微小突起に対応する微小凹部と、微小突起に対して形状の大きな大型突起に対応する大型凹部とが作成され、大型凹部は、離散したランダムな配置により作製され、微小凹部より深さが深く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より表面側が幅広に作製される。微小突起に係る微小凹部は、大型凹部間に、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下により密接して配置されることになる。
この実施形態のように、ロール版に対応する大型凹部を作成して大型突起を作成するようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。またこの場合、大型突起を作成するための反射防止フィルムの後加工を省略できることにより、制御工程を簡略化することができる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を組み合わせ、上述の実施形態の構成を種々に変更し、さらには従来構成と組み合わせることができる。
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を組み合わせ、上述の実施形態の構成を種々に変更し、さらには従来構成と組み合わせることができる。
すなわち上述の実施形態では、画像表示パネルの出射面とタッチパネル用センサーフィルムとの間に反射防止フィルムを配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、タッチパネル用センサーフィルムの内部に設ける場合、さらには画像表示パネルの出射面に配置される他の部材に反射防止フィルムを設ける場合等にも広く適用することができる。
具体的に、タッチパネル用センサーフィルムの内側に配置する場合、透明フィルムによる基材の微小突起群を形成し、この微小突起群の上にITO(酸化インジウム錫)等の電極を作成して電極フィルムを作成する場合に、この微小突起群に大型突起を混在させる。タッチパネル用センサーフィルムは、この電極フィルムを積層して作成されることにより、微小突起により視認性、光の利用効率を向上するようにし、大型突起をスペーサとして機能させることにより指等による押圧操作により、電極フィルムの微小突起が損傷しないようにすることができる。また画像表示パネルの出射面に配置される他の部材にあっては、例えば視野角特性を補正する光学フィルムを例示することができる。
また上述の実施形態では、画像表示パネルの出射面側に反射防止フィルムを配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、入射面側に配置して視認性、光の利用効率を向上する場合にも広く適用することができる。具体的に、画像表示パネルの入射面に配置することにより、画像表示パネルでの光の反射を低減する場合、バックライト装置の出射面に配置して、この出射面における光の反射を低減する場合に適用することができる。なお像表示パネルの入射面に配置する場合は、反射防止フィルムを別体により作製して画像表示パネルの入射面に貼り付けて保持するようにしてもよく、また画像表示パネルの入射面側の部材(この場合は直線偏光版の基材である)に一体に作製しても良い。またバックライト装置の出射面に配置する場合、反射防止フィルムを別体により作製してバックライト装置の出射面に貼り付けるようにしてもよく、バックライト装置の出射面に配置される光学フィルム(例えば指向性を補正するプリズムシート等である)に一体に作製しても良い。
また上述の実施形態では、画像表示装置の内部に反射防止フィルムを配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像表示装置の最表面に配置してもよい。この場合、例えば指等の接触による微小突起の損傷を低減することができる。なおこの場合、反射防止フィルムの表面には、撥水処理により撥水樹脂層を設けることが好ましく、撥水樹脂層を設けることにより、撥水性を確保して汚れが付着し難くすることができる。なおこのような撥水樹脂層は、例えばフッ素系樹脂を含有する樹脂組成物を用いて、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート等のコーティング法でコーティングして作成することができる。
なお上述の実施形態では、フィルム形状による反射防止物品である反射防止フィルムに本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、反射防止物品は、その形状を平坦なフィルム形状とする場合に限らず、平坦なシート形状、平板形状(相対的に厚みの薄い順に、フィルム、シート、板と呼称する)とすることもでき、また平坦な形状に代えて、湾曲形状、立体形状を呈したフィルム形状、シート形状、板形状とすることもでき、さらには各種レンズ、各種プリズム等の立体形状のものを用途に応じて適宜採用することができる。
なおこれらの場合において、基材11は、反射防止物品の形状に応じて、シート材、板材の他に、例えばソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、螢石等の各種透明無機材料等を適用することができる。
また上述の実施形態では、賦型用樹脂にアクリレート系の紫外線硬化性樹脂を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、エポキシ系、ポリエステル系等の各種紫外線硬化性樹脂、或いはアクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電子線硬化性樹脂、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用する場合にも広く適用することができ、さらには例えば加熱した熱可塑性の樹脂を押圧して賦型する場合等にも広く適用することができる。
また、上述の実施形態では、図2について上述したように、基材11の一方の面上に作製した受容層17に微小突起群15、15A、15B、・・を賦形し、該受容層17を硬化せしめて反射防止物品を形成しており、基材と受容層との2層構造により反射防止フィルムが構成されている。しかしながら、本発明は、かかる形態のみに限定される訳では無い。本発明の反射防止物品は、基材11の一方の面上に、他の層を介さずに直接、微小突起群15、15A、15B、・・を賦形した単層構成であっても良い。また基材11の一方の面に1層以上の中間層(層間の密着性、塗工適性、表面平滑性等の基材表面性能を向上させる層。プライマー層、アンカー層等とも呼称される。)を介して受容層17を形成し、該受容層表面に微小突起群15、15A、15B、・・を賦形した3層以上により構成してもよい。
更に、上述の実施形態では、図2示すように、基材11の一方の面上にのみ微小突起群15、15A、15B、・・を形成しているが、本発明はかかる形態には限定され無い。基材11の両面上に(直接或いは他の層を介して)各々微小突起群15、15A、15B、・・を作成する場合にも広く適用することができる。
また、上述の実施形態では、図2に示すように、各隣接微小突起間の谷底(高さの極小点)を連ねた面は高さが一定な平面であったが、本発明はこれに限らず、図20に示すように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、可視光線帯域の最長波長λmax以上の周期D(すなわちD>λmaxである)でうねった構成としてもよい。又該周期的なうねりは、基材11の表裏面に平行なXY平面(図20参照)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いはXY平面における2方向(X方向及びY方向)共にうねりを有していても良い。D>λmaxを満たす周期Dでうねった凹凸面20が多数の微小突起からなる微小突起群に重畳することによって、微小突起群で完全に反射防止し切れずに残った反射光を散乱し、殘留反射光、とくに鏡面反射光を更に視認し難くし、以って、反射防止効果を一段と向上させることができる。
また上述の実施形態では、ロール版を使用した賦型処理によりフィルム形状による反射防止物品を生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、反射防止物品の形状に係る透明基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による賦型用金型を使用した枚葉の処理により反射防止物品を作製する場合等、賦型処理に係る工程、金型は、反射防止物品の形状に係る透明基材の形状に応じて適宜変更することができる。
また上述の実施形態では、画像表示パネルに反射防止フィルムによる反射防止物品を配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の用途に適用することができる。具体的には、店舗のショウウインドウや商品展示箱、美術館の展示物の展示窓や展示箱等に使用する硝子板表面(外界側)、或いは表面及び裏面(商品又は展示物側面)の両面に配置するようにしても良い。なおこの場合、該硝子板表面の光反射防止による商品、美術品等の顧客や観客に対する視認性を向上することができる。
また眼鏡、望遠鏡、写真機、ビデオカメラ、銃砲の照準鏡(狙撃用スコープ)、双眼鏡、潜望鏡等の各種光学機器に用いるレンズ又はプリズムの表面に配置する場合にも広く適用することができる。この場合、レンズ又はプリズム表面の光反射防止による視認性を向上することができる。またさらに書籍の印刷部(文字、写真、図等)表面に配置する場合にも適用して、文字等の表面の光反射を防止し、文字等の視認性向上することができる。また看板、ポスター、其の他各種店頭、街頭、外壁等における各種表示(道案内、地図、或いは禁煙、入口、非常口、立入禁止等)の表面に配置して、これらの視認性を向上することができる。またさらに白熱電球、発光ダイオード、螢光燈、水銀燈、EL(電場発光)等を用いた照明器具の窓材(場合によっては、拡散板、集光レンズ、光学フィルタ等も兼ねる)の入光面側に配置するようにして、窓材入光面の光反射を防止し、光源光の反射損失を低減し、光利用効率を向上することができる。またさらに時計、其の他各種計測機器の表示窓表面(表示観察者側)に配置して、これら表示窓表面の光反射を防止し、視認性を向上することができる。
またさらに、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の乗物の操縦室(運転室、操舵室)の窓の室内側、室外側、あるいはその両側の表面に配置して窓における室内外光を反射防止して、操縦者(運転者、操舵者)の外界視認性を向上することができる。またさらに、防犯等の監視、銃砲の照準、天体観測等に用いる暗視装置のレンズないしは窓材表面に配置して、夜間、暗闇での視認性を向上することができる。
またさらに、住宅、店舗、事務所、学校、病院等の建築物の窓、扉、間仕切、壁面等を構成する透明基板(窓硝子等)の表面(室内側、室外側、あいはその両側)の表面に配置して、外界の視認性、あるいは採光効率を向上することができる。またさらに、温室、農業用ビニールハウスの透明シート、ないしは透明板(窓材)の表面に配置して、太陽光の採光効率を向上することができる。さらにまた、太陽電池表面に配置して、太陽光の利用効率(発電効率)を向上することができる。
またさらに、上述の実施形態においては、反射防止を図る電磁波の波長帯域を、専ら、可視光線帯域(の全域又は一部帯域)としたが、本発明はこれに限らず、反射防止を図る電磁波の波長帯域を赤外線、紫外線等の可視光線以外の波長帯域に設定しても良い。その場合は前記の各条件式中において、電磁波の波長帯域の最短波長Λminを、それぞれ、赤外線、紫外線等の波長帯域における反射防止効果を希望する最短波長に設定すれば良い。例えば、最短波長Λminが850nmの赤外線帯域の反射防止を希望する場合は、隣接突起間距離d(乃至は其の最大値dmax)を850nm以下、例えば、d(dmax)=800nmと設計すれば良い。尚、この場合は、可視光線帯域(380〜780nm)に於いては反射防止効果は期待し得ず、專ら波長850nm以上の赤外線に対しての反射防止効果を奏する反射防止物品が得られる。
以上例示の各種実施形態において、硝子板等の透明基板の表面、裏面、或いは表裏両面に本発明のフィルム状の反射防止物品を配置する場合、該透明基板の全面に亙って配置、被覆する以外に、一部分の領域にのみ配置することも出来る。かかる例としては、例えば、1枚の窓硝子について、其の中央部分の正方形領域において、室内側表面にのみフィルム状の反射防止物品を粘着剤で貼着し、その他領域には反射防止物品を貼着し無い場合を挙げることが出来る。透明基板の一部分の領域にのみ反射防止物品を配置する形態の場合は、特別な表示や衝突防止柵等の設置無しでも、該透明基板の存在を視認し易くして、人が該透明基板に衝突、負傷する危険性を低減する効果、及び室内(屋内)の覗き見防止と該透明基板の(該反射防止物品の配置領域における)透視性とが両立出来ると言う効果を奏し得る。
1 画像表示装置
2 画像表示パネル
3 バックライト装置
4 タッチパネル用センサーフィルム
5、5A 反射防止フィルム
11 基材
15、15A、15B 微小突起
16 大型突起
17 受容層、賦型樹脂層
20 凹凸面
22 ダイ
23 ロール版
24、25 ローラ
BM ブラックマトリックス
g 溝
2 画像表示パネル
3 バックライト装置
4 タッチパネル用センサーフィルム
5、5A 反射防止フィルム
11 基材
15、15A、15B 微小突起
16 大型突起
17 受容層、賦型樹脂層
20 凹凸面
22 ダイ
23 ロール版
24、25 ローラ
BM ブラックマトリックス
g 溝
Claims (11)
- 表面の微細凹凸形状により反射防止を図る反射防止物品において、
前記表面に、微小突起と、前記微小突起に比して形状の大きな大型突起とが配置され、
前記大型突起は、
離散したランダムな配置により作製され、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広であり、
前記微小突起は、
前記大型突起間に、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下により密接して配置された
反射防止物品。 - 前記大型突起は、
1個/cm2以上、30個/cm2以下の密度により配置された
請求項1に記載の反射防止物品。 - 前記大型突起は、
高さが5μm以上、100μm以下である
請求項1又は請求項2に記載の反射防止物品。 - 前記大型突起は、
付け根部分の幅が、5μm以上、100μm以下である
請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載の反射防止物品。 - 前記大型突起は、
前記微小突起に係る欠陥の箇所に作製された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の何れかに記載の反射防止物品。 - 前記反射防止物品が、
フィルム形状であり、画像表示パネルの出射面側に配置され、
前記大型突起は、
前記画像表示パネルの出射面側に配置した際に、前記画像表示パネルの画素間の遮光部と重なり合う箇所に配置された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5の何れかに記載の反射防止物品。 - 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6の何れかに記載の反射防止物品が、画像表示パネルの出射面側及び又は入射面側に配置された
画像表示装置。 - 微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起の間隔が、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下である反射防止物品の製造方法において、
前記反射防止物品は、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である大型突起が、離散したランダムな配置により設けられ、
前記微小突起が、前記大型突起間に設けられ、
前記反射防止物品の製造方法は、
基材の表面に、賦型樹脂層を作成する賦型樹脂層作成工程と、
賦型用金型を使用した前記賦型樹脂層の賦型処理により、前記基材に前記微小突起を作成する賦型工程と、
前記微小突起を作成した前記基材の表面に、前記大型突起を作成する大型突起作製工程とを備える
反射防止物品の製造方法。 - 微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起の間隔が、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下である反射防止物品の製造方法において、
前記反射防止物品は、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である大型突起が、離散したランダムな配置により設けられ、
前記微小突起が、前記大型突起間に設けられ、
前記反射防止物品の製造方法は、
陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、賦型用金型に前記微小突起に対応する微小凹部を作成する微小凹部の作成工程と、
前記微小凹部を作成してなる前記賦型用金型に前記大型突起に対応する大型凹部を作成する後加工工程と、
基材の表面に、賦型樹脂層を作成する賦型樹脂層作成工程と、
前記賦型用金型を使用した前記賦型樹脂層の賦型処理により、前記基材に前記微小突起及び前記大型突起を作成する賦型工程とを備える
反射防止の製造方法。 - 微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起の間隔が、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下である反射防止物品の生産に使用する反射防止物品の賦型用金型において、
前記微小突起に対応する微小凹部と、前記微小突起に対して形状の大きな大型突起に対応する大型凹部とが作成され、
前記大型凹部は、
離散したランダムな配置により作製され、
前記微小凹部より深さが深く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より表面側が幅広であり、
前記微小凹部は、
前記大型凹部間に、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下により密接して配置された
反射防止物品の賦型用金型。 - 微小突起が密接して配置され、隣接する前記微小突起の間隔が、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下である反射防止物品の生産に使用する賦型用金型の製造方法において、
前記反射防止物品は、
前記微小突起より高さが高く、かつ反射防止を図る波長帯域の最長波長より付け根部分が幅広である大型突起が、離散したランダムな配置により設けられ、
前記微小突起が、前記大型突起間に設けられ、
前記賦型用金型の製造方法は、
陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、賦型用金型に前記微小突起に対応する微小凹部を作成する微小凹部の作成工程と、
前記微小凹部を作成してなる前記賦型用金型に前記大型突起に対応する大型凹部を作成する後加工工程とを備える
賦型用金型の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014060007A JP2015184427A (ja) | 2014-03-24 | 2014-03-24 | 反射防止物品、画像表示装置、反射防止物品の製造方法、反射防止物品の賦型用金型、及び賦型用金型の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014060007A JP2015184427A (ja) | 2014-03-24 | 2014-03-24 | 反射防止物品、画像表示装置、反射防止物品の製造方法、反射防止物品の賦型用金型、及び賦型用金型の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015184427A true JP2015184427A (ja) | 2015-10-22 |
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ID=54351036
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JP (1) | JP2015184427A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113056617A (zh) * | 2019-03-27 | 2021-06-29 | 住友理工株式会社 | 电子照相设备用显影辊以及电子照相设备用显影辊的制造方法 |
-
2014
- 2014-03-24 JP JP2014060007A patent/JP2015184427A/ja active Pending
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