JP2015184058A - 熱陰極電離真空計 - Google Patents

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【課題】従来例の三極管型の熱陰極電離真空計と同等の感度安定性を有すると共に、従来例のものよりも測定下限値を低くできるようにし、複数本のフィラメント持つことができる構造の熱陰極電離真空計を提供する。【解決手段】熱陰極電離真空計IGは、フィラメント21,22と筒状の輪郭を有するグリッド3とイオンコレクタ41,42とを備える。イオンコレクタが板状部材を備え、板状部材が、グリッドの母線方向の延長上に所定間隔を存して当該グリッドの少なくとも一方の開口を覆うように配置されると共に、グリッド内を挿通する金属製の支柱5で支持され、グリッドの周囲にフィラメントが配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、真空容器等の試験体内の圧力(全圧)を測定するための熱陰極電離真空計に関する。
スパッタリングや蒸着による成膜等、真空処理装置内で実施される真空プロセスにおいては、真空処理装置の真空チャンバ内の圧力が、例えば製品歩留まりに大きな影響を与える場合がある。真空プロセス中、真空チャンバ内の圧力のうち1Pa〜10−5Paの広い圧力範囲を精度よく測定するものとして、(三極管型)熱陰極電離真空計が一般に知られている。
熱陰極電離真空計は、試験体に装着されるガラス製の真空隔壁内に、ヘアピン状に成形されたフィラメントと、フィラメントの周囲に配置される、筒状の輪郭を有するグリッドと、グリッドの周囲に配置される筒状のイオンコレクタとを備える(例えば、特許文献1参照)。そして、フィラメントに通電してこのフィラメントを点灯させて熱電子を放出させ、フィラメントより高い電位をグリッドに付与し、このグリッド周辺で熱電子と衝突して生じた気体原子、分子の正イオンをイオンコレクタで捕集し、このときのイオン電流から試験体内の圧力を検出する。フィラメントの周囲にグリッドを配置するのは、グリッド内の電位を安定させて上記正イオンをイオンコレクタに流れ込み易くするためである。
ここで、イオン電流と圧力との間には、Ii=S ・Ie・P(式1)の関係がある(式1中、Iiはイオン電流、Ieは電子電流、Sは感度係数、Pは圧力である)。そして、熱陰極電離真空計の測定限界(測定下限値)を決定する一要因として軟エックス線効果があることが知られている。つまり、フィラメントから放出された電子がグリッドに捕集されたときに軟エックス線が放出される。この軟エックス線がイオンコレクタを照射すると、光電効果によりイオンコレクタから電子が放出される。その結果、疑似イオン電流がイオンコレクタに流れたことになる。従って、上記式1は、Ii=lip+lix=S・Ie・P +Iix(式2)とあらわされる。この場合、lip=S・Ie・P であり、lixは軟エックス線による疑似イオン電流であり、lix=α・β・Ie(式3)であらわされる。αは電子衝撃によりグリッド表面から軟エックス線が放出される確率であり、βは軟エックス線の照射によりイオンコレクタ表面から電子が放出される確率である。
上記式2から、圧力が十分に低くなっても圧力依存性のない軟エックス線によるイオン電流があるため、このイオン電流に対応する圧力以下の値は示さないこととなる。従って、上記従来例の熱陰極電離真空計は、イオンコレクタの表面積が大きく、軟エックス線の照射面積も広いため、軟エックス線による疑似イオン電流も大きくなり、結果として、測定下限値が高く10−5Pa程度となる。
ところで、軟エックス線による疑似イオン電流を格段に小さくした真空計として、BA真空計が従来から知られている(例えば、特許文献2参照)。BA真空計は、フィラメントをグリッドの外に配置し、イオンコレクタをグリッドの中に配置して構成される。この場合、イオンコレクタを細い線又は針状にすることで、軟エックス線の照射面積を小さくし、軟エックス線による疑似イオン電流を小さくしている。これにより、10−8Pa程度の測定下限値が得られる。
熱陰極電離真空計において測定下限値を下げるためには、イオンコレクタを細くする必要があるが、イオンコレクタの表面積が小さくなると、正イオンを捕集する確率が低くなってしまう。また、熱陰極電離真空計が、炭化水素系の気体やシロキサンなどの気体雰囲気が形成される試験体に使用される場合、これらが絶縁膜として又は高抵抗膜として堆積し、イオンコレクタに入射したイオンがイオン電流として検出できなくなり、感度が低下する。このようにイオンコレクタの面積が小さいと、イオンコレクタ表面に堆積する絶縁層又は高抵抗膜の堆積速度が速くなり、感度低下が速くなる。即ち、イオンコレクタの表面積が大きいほうが、安定性が良い。
そこで、上記従来例の三極管型の熱陰極電離真空計と同等の感度安定性を有すると共に、上記従来例のものよりも測定下限値を低くできるようにした熱陰極電離真空計が例えば特許文献3で知られている。このものは、イオンコレクタが板状部材を備え、グリッドの母線方向の延長上に所定間隔を存して当該グリッドの少なくとも一方の開口を覆うように配置され、フィラメントとグリッドとイオンコレクタとが金属製の真空隔壁内に格納されている。これにより、BA真空計と比較してイオンコレクタの表面積が大きくなって、正イオンを捕集する確率が低くなることが抑制されて感度の低下を防止でき、従来例の熱陰極電離真空計と同等の感度安定性を有し、しかも、従来例の電離真空計に用いられる筒状のイオンコレクタと比較して、その表面積が小さいため、軟エックス線による疑似イオン電流を小さくでき、結果として、上記従来例のものよりも測定下限値を低くできる。
然しながら、上記特許文献3記載のものでは、圧力測定に寄与するエミッション電流(= エミッション電流 − イオン電流の流入)が少なくなってしまい、実際の圧力より低い圧力を指示することが判明した。これは、グリッド周辺で熱電子と衝突して生じた気体原子、分子の正イオンが、グリッドとフィラメントとの電位勾配により、フィラメントに流れ込んでしまうことに起因していると考えられる。このような影響は、比較的イオン電流の生成量が多い高圧力側で表れ易くなり、その結果、0.1Pa以上でリニアリティが悪く、1Paが測定限界の圧力となっている。
特開2006−343305号公報 特開2002−39902号公報 特開2013−72695号公報
本発明は、以上の点に鑑み、従来例の三極管型の熱陰極電離真空計と同等の感度安定性を有すると共に、上記従来例のものよりも測定下限値を低くできるという機能を持ちながら、1Paを超える圧力までリニアリティを持って圧力測定が可能な熱陰極電離真空計を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、フィラメントと筒状の輪郭を有するグリッドとイオンコレクタとを備え、フィラメントに通電してこのフィラメントを点灯させて熱電子を放出させ、フィラメントより高い電位をグリッドに付与し、このグリッド周辺で熱電子と衝突して生じた気体原子、分子の正イオンをイオンコレクタで捕集し、このときのイオン電流から圧力を検出する本発明の熱陰極電離真空計は、イオンコレクタが板状部材を備え、板状部材が、グリッドの母線方向の延長上に所定間隔を存して当該グリッドの少なくとも一方の開口を覆うように配置され、グリッドの周囲にフィラメントが配置され、グリッド及びフィラメントの周囲を囲うようにグランド電位のシールド部材が配置されることを特徴とする。
本発明によれば、グリッドの周囲にフィラメントを配置し、フィラメントの周囲にグランド電位のシールド部材を配置する構成を採用したため、グリッド周辺で熱電子と衝突して生じた気体原子、分子の正イオンは、主としてシールド部材へと流入し、フィラメントに流入することが効果的に抑制される。その結果、1Paを超える圧力までリニアリティを持って圧力測定をすることができる。また、フィラメントをグリッドの周囲に配置するため、上記従来例とは異なり、フィラメントを複数本設ける構成を取ることも可能となり、有利である。シールド部材は、グランド電位にできるものであれば、その材質等は問わない。この場合、内部にフィラメントとグリッドとイオンコレクタとが格納される金属製の真空隔壁を接地してグランド電位のシールド部材として兼用することもできる。なお、イオンコレクタをグリッドの少なくとも一方の開口を覆う面積の板状部材で構成したため、従来例の三極管型の熱陰極電離真空計と同等の感度安定性を有すると共に、上記従来例のものよりも測定下限値を低くできるという機能は従来例と同等のままである。ここで、本発明において、所定間隔は、機械的な精度及びグリッド内で生成されたイオンの飛行距離を考慮して設定され、例えば、1〜5mmの範囲で設定される。この間隔が1mmより小さいと、グリッドとイオンコレクタが接触するという機械的な不具合が生じる虞がある一方で、5mmを超えると、イオンの飛行距離が長くなり、圧力が高いときにイオン一分子間衝突の確率が増えて出力信号対圧力の直線性が失われるという不具合が生じる。
本発明においては、前記イオンコレクタは、グリッド内を挿通する支柱で支持され、イオンコレクタと支柱とをグランド電位とする構成を採用することができる。この場合、前記支柱に、当該支柱を絶縁し、その外表面が導電性を持つ筒体を外挿し、支柱の外表面の電位をフィラメント電位以上で、グリッド電位以下としておけば、グリッド内の電位をより一層安定させることができ、熱電子と衝突して生じた気体原子、分子の正イオンをイオンコレクタへとより流れ込み易くできてよい。他方で、前記イオンコレクタは、グリッド内を挿通する支柱で支持され、この支柱を絶縁物とする構成を採用することもできる。
本発明の実施形態の熱陰極電離真空計の構成を模式的に示す図。 本発明の効果を示す実験結果のグラフ。 本発明の効果を示す他の実験結果のグラフ。 本発明の実施形態の変形例に係る熱陰極電離真空計の構成を模式的に示す図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を三極管型の熱陰極電離真空計を例に説明する。以下においては、図外の試験体に対する後述のセンサ部Sの装着方向を上方として説明する。
図1を参照して、熱陰極電離真空計IGは、センサ部Sと制御部Cとから構成される。センサ部Sは、有底筒状の容器(エンベロープ)としてのセンサ本体1を備え、その縮径させた上部先端に形成したフランジ11(及びOリング)を介して図外の真空チャンバ等の試験体に着脱自在に取り付けられる。センサ本体1は、例えば、ステンレス、ニッケル、ニッケルと鉄との合金、アルミ合金などの金属製のものが用いられ、接地されている。本実施形態では、真空隔壁としてのセンサ本体1が、後述のグリッド3及びフィラメント2,2の周囲を囲うように配置されるグランド電位のシールド部材を兼用する。そして、センサ本体1内には、2本のフィラメント2,2と、筒状の輪郭を有するグリッド3と、イオンコレクタ4,4と、イオンコレクタ4,4を支持する支柱5とが設けられている。
グリッド3としては、タングステン、モリブデン、表面を白金で被覆したモリブデン、タンタル、白金、イリジウム、白金とイリジウムの合金、ニッケル、ニッケルと鉄との合金、ステンレスまたはこれらから選択された少なくとも二種の合金製のものが用いられる。そして、φ0.1〜0.5mmの線材を円筒形状の輪郭を有するようにコイル状に巻回して構成される。なお、グリッド3の形態はこれに限定されるものではなく、上記線材を格子状に組み付けて筒状に成形したものやパンチングメタルまたはフォトエッチングシートを筒状に成形したものであってもよい。グリッド3は、図示省略の絶縁体を介してセンサ本体1内に突設させた支持ピン31aでセンサ本体1内の所定位置に位置決め支持される。この場合、支持ピン31aは、接続端子の役割も果たす。
イオンコレクタ4,4は、グリッド3の母線方向(図1中、上下方向)の延長上に所定間隔を存してグリッド3の上下の開口に平行に夫々配置される、厚さが50〜1000μmの範囲の円板状の板状部材で構成されている。イオンコレクタ4,4のグリッド3との対向面の表面積は、グリッド3の上下方向の開口面積(巻き径から算出される面積)と同等以上に設定されてグリッド3の開口を覆うようになっている。イオンコレクタ4,4は、モリブデン、表面を白金で被覆したモリブデン、タンタル、白金、イリジウム、白金とイリジウムの合金、ニッケル、ニッケルと鉄との合金またはこれらから選択された少なくとも二種の合金製である。
各イオンコレクタ4,4の表面積は、グリッド3の開口面積の1.5倍以下であることが好ましい。1.5倍を超えると、軟エックス線による疑似イオン電流が大きくなり、測定下限値を低くできない。また、上記所定間隔は、機械的な精度やグリッド3内で生成されたイオンの飛行距離を考慮して設定され、例えば、1〜5mmの範囲で設定される。この間隔が1mmより小さいと、グリッド3とイオンコレクタ4,4が接触するという機械的な不具合がある一方で、5mmを超えると、イオンの飛行距離が長くなることで,圧力が高くなると、イオン一分子間衝突の確率が増え、圧力が高くなると出力信号対圧力の直線性が失われるという不具合が生じる。イオンコレクタ4,4の形態は上記に限定されるものではなく、矩形の板材で構成することもでき、また、グリッド3の上側または下側のうち少なくとも一方に配置することもできる。
支柱5は、図示省略の絶縁体を介してセンサ本体1内に突設され、下側のイオンコレクタ4の中央を貫通して上側のイオンコレクタ4の下面中央に連結され、イオンコレクタ4,4をセンサ本体1内の所定位置に位置決め保持するようになっている。支柱5は、イオンコレクタ4,4を保持する機械的強度を持つ1〜3mmの金属製の棒状部材で構成され、例えば、イオンコレクタ4,4と同様の材料で構成することができる。この場合、支柱5は、接続端子の役割も果たし、接地されてイオンコレクタ4,4と支柱5がグランド電位となっている。なお、支柱5は絶縁物で構成することもでき、また、例えば、所謂無機絶縁ケーブルで構成することもできる。
フィラメント2,2は、グリッド3の周囲にて当該グリッド3と同心となる仮想円周上に周方向に180度間隔で二本設けられている。フィラメント2,2としては、表面をイットリアで覆ったイリジウムやタングステンなどの金属製のものが用いられ、例えば、φ0.1〜0.2mmの範囲のものをヘアピン状に成形して設置される。フィラメント2,2は、用途等を考慮して異なる材質のものを用いることができる。そして、各フィラメント2,2の両自由端が、センサ本体1内に突設させた支持ピン21a,21bによりセンサ本体1内の所定位置に位置決め支持される。この場合、支持ピン21a,21bは接続端子(電極)の役割も果たす。
制御部Cは筐体F(図1中、一点鎖線で示す)を備え、筐体F内にはコンピュータ、メモリやシーケンサ等を備えた制御手段Cuが内蔵されている。制御手段Cuは、後述の各電源の作動や後述の電流計Aにて測定されたイオン電流値を処理して例えば図示省略のディスプレイに圧力を表示する等の各種制御を統括して行う。また、筐体F内には、スイッチング素子SWを備えてフィラメント2,2のうちいずれか一方に直流電流を通電してフィラメント2,2を赤熱(点灯)するフィラメント点灯用の電源E1と、グリッド3に対してフィラメント2,2より高い電位を与えるグリッド用の電源E2と、フィラメント2の電位をイオンコレクタ4,4の電位よりも高くする電源E3と、支柱5に接続されてイオンコレクタ4,4を夫々流れるイオン電流を測定する電流計Aとが内蔵されている。なお、本実施形態では、特に図示して説明しないが、筐体Fには上記各電源に導通した出力端子が設けられ、センサ部Sと制御部Cとはコネクタ付きケーブルにて接続される。また、センサ部Sと制御部Cとを同一の筐体に組み込んで構成することもできる。以下に、本実施形態の熱陰極電離真空計IGの使用例を説明する。
センサ部Sを、フランジ部11及び図示省略のOリングを介して図外の試験体のテストポートに装着した後、試験体内を真空ポンプにより真空引きし、所定真空圧に達すると、圧力測定を開始する。先ず、スイッチング素子SWを適宜切り替えてフィラメント2,2のうちいずれか一方に電源E1により直流電流を通電して一方のフィラメント2(2)を点灯させ、熱電子を放出させる。そして、電源E2によりグリッド3とフィラメント2(2)との間の電位差に相当するイオン化電圧で熱電子をグリッド3内に引き込む。このとき、熱電子と衝突したグリッド3周辺の気体原子、分子から正イオンが生じる。そして、生じた気体原子、分子の正イオンがイオンコレクタ4、4及び支柱5で夫々捕集され、このとき、電流計Aで測定したイオン電流から試験体内の圧力が検出される。なお、熱陰極電離真空計IGの制御方法やイオン電流からの圧力の算出方法等については、公知のものを利用できるため、ここでは詳細な説明を省略する。
以上、本実施形態によれば、グリッド3の周囲にフィラメント2,2を配置し、フィラメント2,2の周囲に、グリッド3とフィラメント2,2とを格納するグランド電位のセンサ本体1が位置する構成を採用したため、グリッド3周辺で熱電子と衝突して生じた気体原子、分子の正イオンは、主としてシールド部材としてのセンサ本体1へと流入し、フィラメント2,2に流入することが効果的に抑制される。その結果、1Paを超える圧力までリニアリティを持って圧力測定をすることができる。また、フィラメント2,2をグリッド3の周囲に配置するため、上記従来例とは異なり、フィラメント2,2を2本以上設ける構成を取ることも可能となり、有利である。なお、イオンコレクタ4,4をグリッド3の上下の各開口を覆う面積の板状部材で構成したため、従来例の三極管型の熱陰極電離真空計と同等の感度安定性を有すると共に、上記従来例のものよりも測定下限値を低くできるという機能は従来例と同等のままである。
次に、本発明の効果を確認するために、上記熱陰極電離真空計IGを用いて次の実験を行った。この場合、センサ本体1として内径がφ23mmのステンレス製のものを用い、接地してグランド電位とした。また、グリッド3としては、モリブデン製で直径φ10mmになるように線材をコイル状に成形したものを用いた。また、フィラメント2,2としては、タングステン製のものを用いた。また、イオンコレクタ4、4としては、φ10mmのニッケル製の板材を用い、支柱5としては、φ2mmのタングステン製のものを用いた。
接地電位に対する電源E1の電位を+25V、電源E2の電位を+150V、電源E3の電位を0Vとし、イオン化のための電子電流を1.0E−02Pa以下の圧力では1mAに、また、1.0E−02Pa以上の圧力では10μAに制御することとした。そして、熱陰極電離真空計IGの測定下限値を測定したものを図2に示す。これによれば、上記熱陰極電離真空計IGは、1Pa以下では感度が多少低下しているものの、5Paまでは測定が可能であった。また、1.0E−06Pa〜1.0E+00Paの範囲内においてリニアリティがあることが確認された。
次に、上記と同一の熱陰極電離真空計IGを用いて他の実験を行った。即ち、電離真空計の安定性を示すために、シロキサンに暴露しながら動作させ、その後に窒素に対して校正して感度の変化を測定した。図3には、その測定結果が示されている。図3中、−□−線が上記熱陰極電離真空計IGのものであり、−○−線が従来例に係る熱陰極電離真空計のものであり、−△−線が従来例のBA真空計のものある、これによれば、本実施形態のものは、感度変化が少なく、従来品と同等の安定性を有することが確認された。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。上記実施形態では、センサ本体1を備えたものを例に説明したが、センサ部Sを試験体にそのまま取り付けるような場合にも本発明は適用することができる。また、上記実施形態では、支柱5をグランド電位とするものを例に説明したが、図4に示す変形例のように、金属製の支柱5に、当該支柱5を絶縁し、その外表面が導電性を持つ筒体6を外挿してもよい。この場合、筒体6としては、筒状の碍子の外表面に金属膜が成膜されたものや、筒状に成形した金属板の内側に碍子を設けたり、または、絶縁体層を成膜したものが利用できる。そして、筒体6を支持ピン61aに電気的に接続し、電源E4により筒体6の外表面の電位をフィラメント2,2電位以上で、グリッド3電位以下にする。これによれば、グリッド3内の電位をより一層安定させることができ、熱電子と衝突して生じた気体原子、分子の正イオンをイオンコレクタ4,4へとより流れ込み易くできる。
更に、上記実施形態では、真空隔壁としての金属製のセンサ本体1がシールド部材を兼用するものを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ガラス等の絶縁物製の真空隔壁を用いる場合には、真空隔壁の内周に、シールド部材としての金属製の板材やメッシュ部材を配置した構成を採用することもできる。
IG…熱陰極電離真空計、S…センサ部、C…制御部、1…金属製の容器(真空隔壁)、2,2…フィラメント、3…グリッド、4,4…イオンコレクタ、5…支柱、6…筒体、A…電流計、E1〜E4…電源。

Claims (4)

  1. フィラメントと筒状の輪郭を有するグリッドとイオンコレクタとを備え、フィラメントに通電してこのフィラメントを点灯させて熱電子を放出させ、フィラメントより高い電位をグリッドに付与し、このグリッド周辺で熱電子と衝突して生じた気体原子、分子の正イオンをイオンコレクタで捕集し、このときのイオン電流から圧力を検出する熱陰極電離真空計であって、
    イオンコレクタが板状部材を備え、板状部材が、グリッドの母線方向の延長上に所定間隔を存して当該グリッドの少なくとも一方の開口を覆うように配置されるものにおいて、
    グリッドの周囲にフィラメントが配置され、グリッド及びフィラメントの周囲を囲うようにグランド電位のシールド部材が配置されることを特徴とする熱陰極電離真空計。
  2. 前記イオンコレクタは、グリッド内を挿通する支柱で支持され、イオンコレクタと支柱とをグランド電位としたことを特徴とする請求項1記載の熱陰極電離真空計。
  3. 前記支柱に、当該支柱を絶縁し、その外表面が導電性を持つ筒体を外挿し、支柱の外表面の電位をフィラメント電位以上で、グリッド電位以下としたことを特徴とする請求項2記載の熱陰極電離真空計。
  4. 前記イオンコレクタは、グリッド内を挿通する支柱で支持され、この支柱を絶縁物としたことを特徴とする請求項1記載の熱陰極電離真空計。
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