JP2015183907A - 熱処理炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電現象が発生しにくい熱処理炉を提供することを課題とする。
【解決手段】熱処理炉1は、導体製のハウジング20と、該ハウジング20の内部に区画され、ワークWを加熱する加熱室R1と、該加熱室R1に上下方向に挿通され、該ハウジング20を介して電気的に接地される発熱体220を有する電熱式のヒータ22と、を備える。このため、煤が堆積しやすいにもかかわらず、発熱体220の下端付近に、放電現象が発生しにくい。
【選択図】図3

Description

本発明は、電熱式のヒータを備える熱処理炉に関する。
特許文献1には、ハイブリッド式加熱炉が開示されている。ハイブリッド式加熱炉は、多数の電熱式のヒータと、マイクロ波発生装置と、を併用して、ワークを加熱している。多数のヒータは、各々、通電により発熱する発熱体を備えている。多数の発熱体は、加熱室に配置されている。多数の発熱体は、ワークを搬送する多数のローラーの上下両側に配置されている。上下二段の多数の発熱体は、各々、ワークの搬送方向に並んでいる。また、下段の方が、上段よりも、発熱体の配置数は多く設定されている。
また、発熱体は、水平方向、かつ搬送方向に対して直交する方向に、延在している。発熱体の水平方向(軸方向)両端は、各々、電源に電気的に接続されている。発熱体は、ハイブリッド式加熱炉のハウジングに対して、電気的に絶縁されている。
特開2011−9164号公報
しかしながら、ワークの成分や加熱室内の雰囲気などによっては、加熱室内に煤(炭素の微粒子)が発生する場合がある。煤は導電性を有している。煤は、発熱体の水平方向両端付近つまり電極付近や、発熱体の外面に堆積しやすい。このため、ヒータ用の電圧により、放電現象が発生するおそれがある。そこで、本発明は、放電現象が発生しにくい熱処理炉を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の熱処理炉は、導体製のハウジングと、該ハウジングの内部に区画され、ワークを加熱する加熱室と、該加熱室に上下方向に挿通され、該ハウジングを介して電気的に接地される発熱体を有する電熱式のヒータと、を備えることを特徴とする。
前述したように、従来、発熱体は、加熱室内における上下方向の温度勾配を小さくするため、上下二段に分かれて水平に配置されていた。これに対して、本発明の熱処理炉の発熱体は、加熱室において、上下方向(詳しくは、水平方向に対して交差する方向)に延在している。煤は、自重により、加熱室の下部に移動しやすい。このため、発熱体の上端付近に、煤が堆積しにくい。したがって、発熱体の上端付近に、放電現象が発生しにくい。また、発熱体は上下方向に延在しているため、発熱体の外面に煤が堆積しにくい。このため、発熱体の外面付近に、放電現象が発生しにくい。
しかしながら、発熱体の下端付近には、自重により、煤が堆積しやすい。この点、発熱体は、ハウジングに対して、電気的に絶縁されていない。すなわち、発熱体は、ハウジングに対して、電気的に接続されている。発熱体は、ハウジングを介して、接地されている。このため、煤が堆積しやすいにもかかわらず、発熱体の下端付近に、放電現象が発生しにくい。このように、本発明の熱処理炉によると、放電現象が発生しにくくなる。
本発明によると、放電現象が発生しにくい熱処理炉を提供することができる。
本発明の熱処理炉の一実施形態となる真空浸炭炉の前後方向断面図である。 同真空浸炭炉の冷却部の左右方向断面図である。 同真空浸炭炉の加熱部の左右方向断面図である。 図3の円IV内の拡大図である。 図3の円V内の拡大図である。 図3の円VI内の拡大図である。 同真空浸炭炉のヒータの配線図である。
以下、本発明の熱処理炉を真空浸炭炉として具現化した実施の形態について説明する。
<真空浸炭炉の構成>
まず、本実施形態の真空浸炭炉の構成について説明する。図1に、本実施形態の真空浸炭炉の前後方向断面図を示す。図2に、同真空浸炭炉の冷却部の左右方向断面図を示す。図3に、同真空浸炭炉の加熱部の左右方向断面図を示す。図4に、図3の円IV内の拡大図を示す。図5に、図3の円V内の拡大図を示す。図6に、図3の円VI内の拡大図を示す。図7に、同真空浸炭炉のヒータの配線図を示す。
図1〜図7に示すように、本実施形態の真空浸炭炉1は、加熱部2と、冷却部3と、基部4と、搬送部5と、アース部6と、前側ドア70と、中間ドア71と、トレイ72と、配管部9と、を備えている。
[基部4、加熱部2]
基部4には、トランス(図略)などの機器が収容されている。加熱部2は、基部4の上側に配置されている。加熱部2においては、ワークWに浸炭処理が施される。加熱部2は、外側ハウジング20と、内側ハウジング21と、複数のヒータ22と、複数のヒータ取付部23と、断熱ドア24と、複数の封止断熱材25と、複数の電極26と、左右一対の炉床27と、加熱ファン28と、複数の熱電対29と、を備えている。外側ハウジング20は、本発明の「ハウジング」の概念に含まれる。
外側ハウジング20は、鋼製であって、箱状を呈している。外側ハウジング20は、導電性を有している。外側ハウジング20の床面には、左右一対のガイドレール200が敷設されている。ガイドレール200は、前後方向(ワークWの搬送方向)に延在している。
内側ハウジング21は、外殻210と、断熱材211と、複数のガス抜き孔212と、前側開口213と、複数の車輪214と、を備えている。内側ハウジング21は、外側ハウジング20に収容されている。外殻210は、パンチングメタル製であって、箱状を呈している。断熱材211は、セラミックファイバー製である。断熱材211は、外殻210の内面に積層されている。断熱材211の内部には、加熱室R1が区画されている。複数のガス抜き孔212は、内側ハウジング21の底壁に穿設されている。前側開口213は、内側ハウジング21の前壁に開設されている。複数の車輪214は、内側ハウジング21の底壁に配置されている。複数の車輪214は、左右一対のガイドレール200に対して、前後方向に転動可能である。このため、内側ハウジング21は、外側ハウジング20に対して、前後方向に移動可能である。
複数のヒータ22は、各々、内側ハウジング21を上下方向(垂直方向)に貫通している。ヒータ22は、通電によって発熱する、いわゆる電熱ヒータである。ヒータ22は、加熱室R1に露出している。ヒータ22は、発熱体220と、保護管221と、を備えている。発熱体220は、再結晶質炭化ケイ素製(つまり非金属製)であって、上下方向に長い丸棒状を呈している。保護管221は、セラミック製であって、上下方向に長い円筒状を呈している。保護管221の径方向内側には、発熱体220が収容されている。なお、図5に示すように、発熱体220の上下方向両端(軸方向両端)は、保護管221の軸方向両端から、上下方向両側に突出している。
複数のヒータ取付部23は、複数のヒータ22の上下方向両端に配置されている。ヒータ取付部23は、ヒータ22を内側ハウジング21に固定している。図5に示すように、ヒータ22の下側のヒータ取付部23は、ホルダ230と、クランプ232と、ヒータ受け233と、を備えている。ホルダ230は、上側に開口するカップ状を呈している。ホルダ230の内部には、保護管221の下端が収容されている。発熱体220の下端は、ホルダ230から下側に突出している。発熱体220の下端は、ヒータ受け233に支持されている。クランプ232は、発熱体220の下端に取り付けられている。
図6に示すように、ヒータ22の上側のヒータ取付部23の構成は、ホルダ230と、耐火断熱煉瓦231と、クランプ232と、を備えている。ホルダ230は、短軸円筒状を呈している。ホルダ230の内部には、保護管221の上端が収容されている。ホルダ230の内部には、絶縁性を有する耐火断熱煉瓦231が配置されている。耐火断熱煉瓦231は、発熱体220を保持している。このため、ホルダ230と発熱体220との絶縁が確保されている。
断熱ドア24は、内側ハウジング21の前側開口213を、前側(外側)から覆っている。断熱ドア24は、左右方向にスライド可能である。封止断熱材25は、内側ハウジング21のガス抜き孔212を、下側(外側)から覆っている。封止断熱材25には、ガス抜き孔250が形成されている。ガス抜き孔250は、ガス抜き孔212に連通している。
複数の電極26は、各々、ヒータ22の上側のヒータ取付部23のクランプ232に、電気的に接続されている。また、電極26は、トランスの二次側に電気的に接続されている。電極26は、複数の発熱体220に、三相(R相、S相、T相)交流電圧を印加している。
左右一対の炉床27は、内側ハウジング21の底壁に配置されている。炉床27は、炉床本体270と、前後一対の支柱271と、を備えている。支柱271は、内側ハウジング21の底壁に固定されている。炉床本体270は、炭化ケイ素質の耐火物製であって、前後方向に長い角柱状を呈している。炉床本体270は、前後一対の支柱271間に架設されている。炉床本体270と支柱271とは、ニクロム線(商標)製のワイヤ272により、固定されている。加熱ファン28は、加熱室R1の上部に配置されている。複数の熱電対29は、加熱室R1の上部に配置されている。
[冷却部3、前側ドア70、中間ドア71]
冷却部3は、基部4および加熱部2の前側に配置されている。冷却部3においては、ワークWに焼入れ処理が施される。冷却部3は、ハウジング30と、冷却ファン31と、オイル槽32と、オイルファン33と、左右一対のオイルヒータ34と、を備えている。ハウジング30は、鋼製であって、箱状を呈している。ハウジング30の前壁には、前側開口300が開設されている。ハウジング30の内部には、冷却室R2が区画されている。冷却ファン31は、冷却室R2の上部に配置されている。オイル槽32は、冷却室R2の下部に配置されている。オイル槽32には、焼入れ用のオイルが貯留されている。オイルファン33は、オイル槽32の内部に配置されている。左右一対のオイルヒータ34は、オイル槽32のオイルを加熱することができる。
前側ドア70は、ハウジング30の前側開口300を、前側(外側)から覆っている。前側ドア70は、上下方向にスライド可能である。加熱部2の外側ハウジング20と、冷却部3のハウジング30と、の間の隔壁73には、中間開口730が開設されている。中間ドア71は、中間開口730を前側(加熱室R1から見て外側)から覆っている。中間ドア71は、左右方向にスライド可能である。
[搬送部5、トレイ72]
搬送部5は、垂直方向搬送部50と、水平方向搬送部51と、を備えている。垂直方向搬送部50は、エレベータ500と、油圧式のシリンダ501と、チェーン502と、可動スプロケット503と、固定スプロケット504と、を備えている。エレベータ500は、冷却室R2の内部に配置されている。シリンダ501は、ハウジング30の後壁後面(外面)に取り付けられている。チェーン502の一端は、ハウジング30の後壁前面(内面)に固定されている。チェーン502の他端は、エレベータ500に固定されている。可動スプロケット503は、シリンダ501のロッド501aの前端に配置されている。固定スプロケット504は、ハウジング30に固定されている。チェーン502は、可動スプロケット503、固定スプロケット504に、巻き架けられている。ロッド501aを前後方向に動かすと、可動スプロケット503と固定スプロケット504との間の距離が変化する。このため、エレベータ500を上下方向に動かすことができる。
図2に示すように、水平方向搬送部51は、左右一対のフォーク510と、左右二対の外側ローラー511と、左右一対の可動ガイドレール512と、左右一対の内側ローラー513と、左右一対の固定ガイドレール514と、を備えている。
水平方向搬送部51の左右両側の構成は同じである。また、水平方向搬送部51の左右両側の配置は、左右対称である。以下、代表して、水平方向搬送部51の右側の構成、配置について説明する。
固定ガイドレール514は、エレベータ500に固定されている。上下一対の外側ローラー511は、固定ガイドレール514に、回転可能に支持されている。可動ガイドレール512は、断面C字状を呈している。上下一対の外側ローラー511は、上下方向外側から、可動ガイドレール512を、挟持している。内側ローラー513は、可動ガイドレール512のC字内部に収容されている。内側ローラー513は、フォーク510に、回転可能に支持されている。
上下一対の外側ローラー511が回転することにより、固定ガイドレール514に対して、可動ガイドレール512は、前後方向に移動可能である。内側ローラー513が回転することにより、可動ガイドレール512に対して、フォーク510は、前後方向に移動可能である。このように、フォーク510は、二段階(一段階目は固定ガイドレール514に対する可動ガイドレール512の移動、二段階目は可動ガイドレール512に対するフォーク510の移動)に前後方向に移動することができる。
トレイ72には、ワークWが搭載されている。ワークWは、鋼材である。トレイ72は、左右一対のフォーク510に載置された状態で、垂直方向搬送部50により、上下方向に搬送される。また、トレイ72は、左右一対のフォーク510に載置された状態で、水平方向搬送部51により、前後方向に搬送される。
[配管部9]
配管部9は、減圧部90と、浸炭ガス供給部91と、冷却室用窒素ガス供給部92と、加熱室用窒素ガス供給部93と、大気/窒素ガス供給部94と、を備えている。減圧部90は、真空ポンプ900と、メカニカルブースターポンプ901と、を備えている。外側ハウジング20の内部、つまり加熱室R1は、真空ポンプ900により、減圧可能である。冷却室R2は、真空ポンプ900により、減圧可能である。真空ポンプ900の二次側(吐出側)には、窒素ガスを供給可能である。このため、排気に、窒素ガスを混合することができる。
浸炭ガス供給部91は、複数のノズル910を備えている。ノズル910は、加熱室R1に挿入されている。ノズル910には、浸炭ガス、窒素ガスを供給可能である。ノズル910の上流側には、浸炭ガスおよび窒素ガスの流量を調整する質量流量計(マスフローメーター)が配置されている。ノズル910の先端(下流端)には、複数の噴射孔910aが開設されている。噴射孔910aは、径方向に延在している。
冷却室用窒素ガス供給部92は、冷却室R2に、窒素を供給可能である。加熱室用窒素ガス供給部93は、加熱室R1に、窒素を供給可能である。図5に示すように、大気/窒素ガス供給部94は、ヒータ受け233の内部空間を経由して、ヒータ22の発熱体220と保護管221との隙間に、大気(空気)および窒素ガスのうち少なくとも一方を供給可能である。
[アース部6]
アース部6は、内側アース線60と、外側アース線61と、を備えている。図5に示すように、内側アース線60は、ヒータ22の下側のヒータ取付部23のクランプ232と、外側ハウジング20と、を電気的に接続している。同様に、ヒータ受け233は、ヒータ22の下端と、外側ハウジング20と、を電気的に接続している。内側アース線60は、外側ハウジング20と電気的に接続されている。このため、三相交流の中性点Oは、外側ハウジング20になる。図3に示すように、外側アース線61は、外側ハウジング20を電気的に接地している。このため、ヒータ22の発熱体220の下端は、内側アース線60(およびヒータ受け233)、外側ハウジング(中性点O)20、外側アース線61を経由して、電気的に接地されている。
<真空浸炭炉の動き>
次に、本実施形態の真空浸炭炉の動きについて説明する。まず、図2に示すように、冷却室用窒素ガス供給部92を介して、冷却室R2に、復圧(圧力を、大気圧未満から大気圧に戻すこと)用の窒素ガスを供給する。次に、冷却室R2の圧力が大気圧に到達したら、図1に示すように、前側ドア70を開ける。続いて、前側開口300を介して、ワークWが搭載されたトレイ72を、冷却室R2に搬入する。すなわち、トレイ72を、左右一対のフォーク510に載置する。それから、前側ドア70を閉める。
続いて、減圧部90を介して、冷却室R2を減圧する。その後、冷却室R2の圧力が、加熱室R1の圧力に到達したら、中間ドア71、断熱ドア24を開ける。そして、中間開口730、前側開口213を介して、水平方向搬送部51により、ワークWが搭載されたトレイ72を、加熱室R1に搬入する。すなわち、トレイ72を、炉床27に載置する。続いて、中間ドア71、断熱ドア24を閉める。
それから、減圧部90を介して、加熱室R1を減圧する。また、加熱室R1を減圧しながら、複数のヒータ22により、ワークWを950℃〜1050℃程度にまで加熱する。なお、加熱室R1の温度は、熱電対29により検出される。続いて、ワークWの温度が均一になったら、図3に示すように、浸炭ガス供給部91を介して、加熱室R1に浸炭ガスを供給する。図4に示すように、浸炭ガスは、ノズル910の先端の噴射孔910aから、加熱室R1内に噴射される。ここで、噴射孔910aは、ノズル910の径方向(上下前後方向)に延在している。このため、加熱室R1に吹き込まれた冷たい浸炭ガスは、ワークWに、直接衝突しない。浸炭ガスは、ヒータ22に沿って、上下方向に加熱室R1内を拡散する。この際、浸炭ガスは、ヒータ22により加熱される。加熱された浸炭ガスは、ワークWに衝突する。このため、ワークWの表面に、温度のばらつきが発生しにくい。所定の時間が経過したら、浸炭ガスの噴射を停止する。そして、加熱室R1を、所定時間だけ、所定温度に保持する。この際、ワークWの表面から内部に、炭素が拡散する。このようにして、加熱室R1では、ワークWに浸炭処理を施す。
続いて、加熱室R1の温度を、850℃程度まで下げる。ワークWの温度が均一になったら、図2に示すように、冷却室用窒素ガス供給部92を介して、冷却室R2に窒素ガスを供給する。冷却室R2は、焼入れ時の減圧値に調整される。図3に示すように、加熱室用窒素ガス供給部93を介して、加熱室R1に、復圧用の窒素ガスを供給する。冷却室R2、加熱室R1の圧力が同圧に到達したら、図1に示すように、中間ドア71、断熱ドア24を開ける。そして、中間開口730、前側開口213を介して、水平方向搬送部51により、ワークWが搭載されたトレイ72を、冷却室R2に搬入する。続いて、中間ドア71、断熱ドア24を閉める。それから、垂直方向搬送部50により、ワークWが搭載されたトレイ72を、エレベータ500ごと下降させる。そして、ワークWを、オイル槽32のオイルに浸漬する。所定時間経過したら、垂直方向搬送部50によりトレイ72を上昇させ、冷却室R2を大気圧にし、前側開口300を介して、トレイ72を取り出す。このようにして、冷却室R2では、ワークWに焼入れ処理を施す。
<作用効果>
次に、本実施形態の真空浸炭炉の作用効果について説明する。図3、図5に示すように、ヒータ22は、加熱室R1において、上下方向(水平方向に対して直交する方向)に延在している。浸炭時に発生する煤は、自重により下側に移動しやすい。このため、発熱体220の上端付近には、煤が堆積しにくい。したがって、発熱体220の上端付近に、放電現象が発生しにくい。また、発熱体220は上下方向に延在しているため、発熱体220の外周面に煤が堆積しにくい。このため、発熱体220の外周面付近に、放電現象が発生しにくい。
また、図7に示すように、全ての発熱体220は、内側アース線60(およびヒータ受け233)、外側ハウジング(中性点O)20、外側アース線61を介して、接地されている。このため、発熱体220の下端付近において、煤が堆積しやすいにもかかわらず、放電現象が発生しにくい。このように、本実施形態の真空浸炭炉1によると、放電現象が発生しにくくなる。
また、図3に示すように、断熱材211はセラミックファイバー製である。また、炉床本体270は、炭化ケイ素質の耐火物製である。また、ヒータ22の発熱体220は、再結晶質炭化ケイ素製である。また、保護管221は、セラミック製である。このため、加熱室R1内に堆積した煤を燃焼させるバーンアウトの際に、これらの部材が酸化しにくい。
また、加熱室R1内において、発熱体220は、保護管221により覆われている。このため、加熱室R1内において、煤が発熱体220に付着しにくい。したがって、加熱室R1内において放電現象が発生しにくくなる。
また、図3に示すように、浸炭時においては、発熱体220と保護管221との隙間に、大気/窒素ガス供給部94を介して、大気と窒素ガスとが導入される。また、発熱体220の上端付近に窒素ガスが導入される。また、図1に示すように、電極26は、加熱室R1の外部に配置されている。このため、加熱室R1内において放電現象が発生しにくくなる。
また、図6に示すように、発熱体220の上端は、耐火断熱煉瓦231により支持されている。このため、絶縁性を確保しながら、ホルダ230に対して、発熱体220を位置決めすることができる。また、発熱体220に印加される電圧は、200V以下に設定されている。このため、放電現象が発生しにくくなる。
また、バーンアウト時においては、大気の導入を、発熱体220に近い位置で行っている。このため、絶縁性の確保が必要な箇所の煤を、確実に燃焼させることができる。また、加熱室R1の内部には、できるだけ金属製の部材を露出させないようにしている。例えば、図1に示すように、支柱271は、断熱材211に埋設されている。このため、金属製の部材の酸化を、抑制することができる。
また、図1に示す炉床本体270とトレイ72とがくっつくと、炉床本体270からトレイ72を搬出する際に、炉床本体270が浮き上がってしまう。この点、炉床本体270は、支柱271に、ワイヤ272で固定されている。また、支柱271は、断熱材211に固定されている。このため、炉床本体270からトレイ72を搬出する際に、炉床本体270が浮き上がりにくい。
また、図3に示すように、加熱室R1には、加熱ファン28が配置されている。このため、ヒータ22からの輻射伝熱に加えて、対流伝熱により、ワークWを迅速に加熱することができる。また、加熱室R1内部の温度制御の精度を向上させることができる。加えて、加熱ファン28は、耐熱鋳鋼製である。このため、加熱ファン28は、耐熱性、耐酸化性が高い。
また、熱電対29は、上側から垂直に加熱室R1に挿入されている。このため、熱電対29を水平方向から加熱室R1に挿入する場合と比較して、熱電対29が、加熱室R1の熱により、変形(例えば湾曲)しにくい。したがって、熱電対29の耐久性を向上させることができる。
また、浸炭ガスの流量は、質量流量計により管理されている。このため、加熱室R1の圧力変動によらず、浸炭ガスの流量を高精度に制御することができる。また、浸炭時における加熱室R1の圧力は、キャパシタンスマノメーター(図略)により、管理されている。このため、浸炭ガスの性質によらず、加熱室R1の圧力を高精度に制御することができる。
また、浸炭ガスは、真空中で、加熱室R1に導入される。このため、浸炭ガスが、加熱室R1内に拡散しやすい。したがって、ノズル910の本数が少なくて済む。また、図1、図3に示すように、ノズル910とは別に、ガス抜き孔212、250が設定されている。このため、加熱室R1内に、浸炭ガスが行き渡りやすい。すなわち、ワークWの表面に浸炭ガスが接触しやすい。
また、図1、図3に示すように、ガス抜き孔212は、封止断熱材25により覆われている。このため、加熱室R1からの熱の漏出を抑制することができる。また、図1に示すように、浸炭時においては、真空ポンプ900の二次側(吐出側)に、窒素ガスが供給される。このため、可燃性のガスを、窒素ガスにより希釈しながら、外部に放出することができる。
また、浸炭時においては、時間の経過と共に、必要な浸炭ガスの流量が減少する。この点、浸炭ガスの流量は、質量流量計により管理されている。このため、時間の経過と共に、浸炭ガスの流量を、自動的に減少させることができる。また、図4に示すように、噴射孔910aは、ノズル910の径方向(上下前後方向)に延在している。このため、加熱室R1に吹き込まれた冷たい浸炭ガスは、ワークWに、直接衝突しない。したがって、ワークWの温度が局所的に低下しにくい。
また、図3に示すように、加熱室R1を復圧する際、ノズル910から窒素ガスを噴出させている。このため、復圧時に、加熱室R1からノズル910に煤が逆流するのを抑制することができる。したがって、質量流量計などのノズル910上流側の機器を、煤から保護することができる。また、ノズル910に煤が詰まるのを抑制することができる。
また、図1に示すように、炉床27は内側ハウジング21と一体化されている。このため、外側ハウジング20から内側ハウジング21を引き出すのと同時に、外側ハウジング20から炉床27を引き出すことができる。したがって、メンテナンスが簡単である。
また、図2に示すように、左右一対のフォーク510は、二段階(一段階目は固定ガイドレール514に対する可動ガイドレール512の移動、二段階目は可動ガイドレール512に対するフォーク510の移動)に前後方向に移動することができる。このため、水平方向搬送部51を小型化することができる。
また、フォーク510の移動速度は調整可能である。このため、ワークWの搬送速度を調整することができる。また、ワークWの荷崩れを抑制することができる。また、冷却室R2の減圧時に、図1に示す前側ドア70は、外部と冷却室R2との圧力差により、前側開口300の周囲に吸着している。このため、前側ドア70の保持機構が不要である。
また、図3に示す内側ハウジング21の外殻210は、パンチングメタル製である。このため、断熱材211を簡単に固定することができる。また、減圧時の風圧による断熱材211の崩れを抑制することができる。また、浸炭時において、図1に示す断熱ドア24は、ローラー(図略)により、前側から押圧されている。このため、加熱室R1からの熱の漏出を抑制することができる。一方、加熱に伴う加熱室R1の体積膨張を、断熱ドア24により吸収することができる。
また、図1に示すように、バーンアウト時の排気配管は、メカニカルブースターポンプ901と真空ポンプ900との間と、外側ハウジング20の内部と、を連通している。このため、高温のガスがメカニカルブースターポンプ901に入るのを抑制することができる。また、バーンアウト時の排気配管は、水冷される。このため、排気配管において、高温のガスを冷却することができる。
また、図1に示すように、エレベータ500用のシリンダ501は、横置き(水平方向置き)されている。このため、真空浸炭炉1を小型化することができる。また、エレベータ500用のチェーン502は、倍速化されている。このため、エレベータ500の移動距離に対するシリンダ501のストロークを小さくすることができる。
また、中間ドア71のシール部分には、水冷ジャケット(図略)が配置されている。このため、シール部分(例えばOリング)の熱による劣化を抑制することができる。また、図2に示すオイル槽32の油面圧は、焼入れ時に制御することができる。このため、焼入れの品質を向上させることができる。
また、外側ハウジング20、内側ハウジング21、ハウジング30は、各々、シンプルな箱状を呈している。このため、これらのハウジングの製造コストを削減することができる。また、トランスは、図1に示す基部4に収容されている。このため、真空浸炭炉1を小型化することができる。また、ヒータ22用の配線を短縮化することができる。
また、浸炭時において、中間ドア71は、冷却室R2側から、フォーク510により押圧されている。このため、別途、中間ドア71を押さえる部材を配置する必要がない。また、加熱室R1内のワークWの確認は、光電スイッチにより行われる。このため、加熱室R1の真空状態を確保しながら、ワークWを確認することができる。また、発熱体220の表面には、非酸化剤がコーティングされている。このため、発熱体220の電気抵抗の変化を抑制しつつ、ヒータ22の寿命を長くすることができる。
<その他>
以上、本発明の熱処理炉の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
浸炭ガスの種類は特に限定しない。例えば、アセチレンガス、プロパンガスなどであってもよい。すなわち、炭化水素ガスであればよい。発熱体220の延在方向は、水平方向に対して90°でなくてもよい。例えば、80°や60°などであってもよい。
復圧時に加熱室R1や冷却室R2に供給するガスの種類は特に限定しない。不活性ガスなどであってもよい。減圧時における加熱室R1や冷却室R2の圧力は特に限定しない。大気圧よりも低い圧力であればよい。冷却室R2におけるワークWの冷却方法は特に限定しない。ガス(窒素ガスなど)によりワークWを冷却してもよい。
浸炭時における加熱室R1の温度は特に限定しない。例えば、950℃から1050℃であってもよい。冷却時における冷却室R2の温度は特に限定しない。例えば、室温(20℃)から150℃であってもよい。熱処理炉の種類は特に限定しない。ロータリーキルン、ローラーハースキルンなど、電熱式のヒータを備えるあらゆる熱処理炉として、本発明の熱処理炉は具現化することができる。
1:真空浸炭炉(熱処理炉)。
2:加熱部、20:外側ハウジング(ハウジング)、200:ガイドレール、21:内側ハウジング、210:外殻、211:断熱材、212:ガス抜き孔、213:前側開口、214:車輪、22:ヒータ、220:発熱体、221:保護管、23:ヒータ取付部、230:ホルダ、231:耐火断熱煉瓦、232:クランプ、233:ヒータ受け、24:断熱ドア、25:封止断熱材、250:ガス抜き孔、26:電極、27:炉床、270:炉床本体、271:支柱、272:ワイヤ、28:加熱ファン、29:熱電対。
3:冷却部、30:ハウジング、300:前側開口、31:冷却ファン、32:オイル槽、33:オイルファン、34:オイルヒータ。
4:基部。
5:搬送部、50:垂直方向搬送部、500:エレベータ、501:シリンダ、501a:ロッド、502:チェーン、503:可動スプロケット、504:固定スプロケット、51:水平方向搬送部、510:フォーク、511:外側ローラー、512:可動ガイドレール、513:内側ローラー、514:固定ガイドレール。
6:アース部、60:内側アース線、61:外側アース線。
70:前側ドア、71:中間ドア、72:トレイ、73:隔壁、730:中間開口。
9:配管部、90:減圧部、900:真空ポンプ、901:メカニカルブースターポンプ、91:浸炭ガス供給部、910:ノズル、910a:噴射孔、92:冷却室用窒素ガス供給部、93:加熱室用窒素ガス供給部、94:大気/窒素ガス供給部。
O:中性点、R1:加熱室、R2:冷却室、W:ワーク。

Claims (1)

  1. 導体製のハウジングと、
    該ハウジングの内部に区画され、ワークを加熱する加熱室と、
    該加熱室に上下方向に挿通され、該ハウジングを介して電気的に接地される発熱体を有する電熱式のヒータと、
    を備える熱処理炉。
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