JP2015183815A - 車両用ディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【課題】コストの低減化と組み付け性の向上を図りながら、摩擦パッドの引き摺りを良好に防止することができる車両用ディスクブレーキを提供する。
【解決手段】有底円筒状のピストン7を内挿するシリンダ孔5eを有するキャリパボディ5と、ディスクロータ2を挟んで配置される一対の摩擦パッド6,6とを備えた車両用ディスクブレーキにおいて、摩擦パッド6の裏板6bの反ディスクロータ側面6dに、係合突部6eを形成する。ピストン7は、底部7aを裏板6b側に向けてシリンダ孔5eに内挿すると共に、底部7aに、係合突部6eに係合する係合孔7dを形成する。該係合孔7dに前記係合突部6eを、シール部材11を介して係合させ、ピストン7と摩擦パッド6とを連結する。
【選択図】 図1
【解決手段】有底円筒状のピストン7を内挿するシリンダ孔5eを有するキャリパボディ5と、ディスクロータ2を挟んで配置される一対の摩擦パッド6,6とを備えた車両用ディスクブレーキにおいて、摩擦パッド6の裏板6bの反ディスクロータ側面6dに、係合突部6eを形成する。ピストン7は、底部7aを裏板6b側に向けてシリンダ孔5eに内挿すると共に、底部7aに、係合突部6eに係合する係合孔7dを形成する。該係合孔7dに前記係合突部6eを、シール部材11を介して係合させ、ピストン7と摩擦パッド6とを連結する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車や自動二輪車等の各種の走行車両に用いられる車両用ディスクブレーキに関し、詳しくは、摩擦パッドの引き摺りを防止した車両用ディスクブレーキに関する。
従来、車両用ディスクブレーキでは、摩擦パッドの引き摺りを防止するために、ピストンと摩擦パッドとを連結させて、制動解除時に摩擦パッドをディスクロータの側面から確実に離間させるようにしたものがあり、摩擦パッドの裏板に装着されるシム板に複数の爪片を設け、この係合爪をピストンの内周壁に係着させたもの(例えば、特許文献1参照。)や、摩擦パッドの裏板の反ディスクロータ側面にパッドホールドスプリングを装着し、該パッドホールドスプリングに形成した複数の爪片をピストンの内周壁に係着させたものがあった(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、上述の特許文献1のものでは、シム板に複数の爪片を設けなくてはならず、また特許文献2のものでは、複数の爪片を備えたパッドホールドスプリングを裏板に取り付けなくてはならないことからコストが嵩んでいた。また、ピストン及び摩擦パッドの組み付け時には、狭い作業空間で、複数の爪片をピストンの内周壁に係着させなくてはならないことから、組み付け作業に手間が掛かっていた。
そこで本発明は、コストの低減化と組み付け性の向上を図りながら、摩擦パッドの引き摺りを良好に防止することができる車両用ディスクブレーキを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の車両用ディスクブレーキは、ピストンを内挿するシリンダ孔を有するキャリパボディと、ディスクロータを挟んで配置される一対の摩擦パッドとを備えた車両用ディスクブレーキにおいて、前記摩擦パッドは、裏板の反ディスクロータ側面に、反ディスクロータ方向に突出する係合突部が形成され、前記ピストンは、ディスクロータ側面に前記係合突部に係合する係合孔が形成され、該係合孔に、前記係合突部を弾性部材を介して係合させ、前記ピストンと前記摩擦パッドとを連結したことを特徴としている。また、前記弾性部材は、前記係合孔と前記係合突部とをシールするシール部材、又は、前記係合孔と前記係合突部とを係合させるCクリップであると好適である。さらに、前記ピストンは、有底円筒状に形成されると共に、底部を前記ディスクロータ側に向けて前記シリンダ孔に内挿され、前記底部に前記係合孔が形成されると好ましい。
本発明の車両用ディスクブレーキによれば、裏板の反ディスクロータ側面に設けた係合突部を、ピストンに設けた係合孔に係合させることにより、制動解除時にピストンが後退するのに伴って、摩擦パッドをディスクロータの側面から確実に離間させることができ、摩擦パッドの引き摺りを確実に防止することができる。また、係合突部を弾性部材を介して係合孔に係合させるだけで、摩擦パッドとピストンとを連結できることから、コストの削減化を図ることができると共に、組み付け作業を簡単に行うことができる。さらに、弾性部材をシール部材又はCクリップで形成したことにより、安価な部品を用いて摩擦パッドとピストンとを確実に連結させることができる。また、ピストンを有底円筒状に形成すると共に、底部をディスクロータ側に向けてシリンダ孔に内挿し、底部に係合孔を形成することにより、ピストンの軽量化を図ることができ、さらに、摩擦パッドの引き摺りを確実に防止することができる。
図1乃至図3は本発明の車両用ディスクブレーキの一形態例を示す図で、矢印Aは、車両前進時に車輪と一体に回転するディスクロータの回転方向であり、以下で述べるディスク回出側及びディスク回入側とは車両前進時におけるものとする。本形態例の車両用ディスクブレーキ1は、前記ディスクロータ2と、該ディスクロータ2の一側部で車体に固設されるキャリパブラケット3と、該キャリパブラケット3に一対のスライドピン(図示せず)を介してディスク軸方向へ移動可能に支持されるピンスライド型のキャリパボディ5と、前記ディスクロータ2の両側部に対向配置される一対の摩擦パッド6,6とを備えている。
摩擦パッド6は、ライニング6aと金属製の裏板6bとで形成され、裏板6bの両側部に耳片6c,6cが突設されている。また作用部側の摩擦パッド6の裏板6bには、反ディスクロータ側面6dのディスク周方向中央部に、反ディスクロータ側に突出する円柱状の係合突部6eが設けられている。
キャリパブラケット3は、ディスクロータ2の一側部に沿って配設される板状部3aと、キャリパブラケット3の両側部から、キャリパボディ5のブリッジ部5cの両側を挟みながらディスクロータ2の外縁をディスク軸方向に跨いで、ディスクロータ2の他側方に突出する一対のパッド支持腕3b,3bを備えている。各パッド支持腕3bは、スライドピンを収容するガイド孔がそれぞれ形成され、また、双方のパッド支持腕3bには、ディスクロータ2のそれぞれの側部で互いに向き合う断面コ字状の4つのパッドガイド部3cが設けられている。
キャリパボディ5は、ディスクロータ2の一側部に配設される作用部5aと、ディスクロータ2の他側部に配置される反作用部5bと、これらをディスクロータ2の外側を跨いで連結する前記ブリッジ部5cとを備え、作用部5aのディスク回入側とディスク回出側とには取付腕5d,5dが突設されている。各取付腕5dの先端には前記スライドピンが取り付けられ、該スライドピンをパッド支持腕3bのガイド孔にそれぞれ挿入させることにより、キャリパボディ5がキャリパブラケット3にディスク軸方向に移動可能に支持される。
作用部5aには、ディスクロータ2側が開口したシリンダ孔5eが形成され、反作用部5bには、反力爪5f,5fが設けられている。シリンダ孔5eには有底円筒状のピストン7が、底部7aをシリンダ孔5eの開口側に、開口部7bをシリンダ孔5eの底部7a側に向けて、ピストンシール8とダストシール9とを介して内挿され、シリンダ孔5eの底部5gと、ピストン7の底部7aとの間に液圧室10が画成される。また、該液圧室10には、ユニオン孔5hが開口している。ピストン7は、底部7aのディスクロータ側面7cに、摩擦パッド6の裏板6bに形成した前記係合突部6eを、シール部材11(本発明の弾性部材)を介して係合させる係合孔7dが形成されている。シール部材11は、係合突部6eの外径よりも僅かに小径となる内径を備えたリング状に形成され、係合孔7dは、シール部材11の外径よりも僅かに小径に形成される。
摩擦パッド6,6の組付は、一対の耳片6c,6cを、ディスクロータ2のそれぞれの側部で互いに向き合うパッドガイド部3c,3cに、パッドリテーナ12を介してそれぞれ挿入することにより、ディスク軸方向に移動可能に取り付けられる。作用部5a側の摩擦パッド6は、係合突部6eにシール部材11を嵌入させた状態で、係合突部6eをピストン7の係合孔7dに挿入することにより、係合突部6eと係合孔7dとがシール部材11によりシールされ、作用部5a側の摩擦パッド6とピストン7とが連結される。
上述のように形成された車両用ディスクブレーキ1は、運転者の制動操作によって、図示しない液圧マスタシリンダで昇圧された作動液がユニオン孔5hを介して液圧室10に供給されると、ピストン7がシリンダ孔5eを前進して、作用部5a側の摩擦パッド6をディスクロータ2の一側面に押圧する。次に、この反力によって、キャリパボディ5がスライドピンに案内されながら、作用部5a方向へ移動し、反作用部5bに設けられた反力爪5f,5fが反作用部5b側の摩擦パッド6をディスクロータ2の他側面へ押圧する。また、制動を解除して液圧室10内の液圧が低下すると、ピストン7は、ピストンシール8の復元力により、ピストン7を所定量ロールバックさせる。このとき、ピストン7と作用部5a側の摩擦パッド6とが、係合突部6eと係合孔7dとの係合によって連結されていることから、作用部5a側の摩擦パッド6がピストン7と共に後退し、ディスクロータ2の側面から離間する。
このように、本形態例の車両用ディスクブレーキ1は、裏板6bの反ディスクロータ側面6dに設けた係合突部6eを、ピストン7に設けた係合孔7dに係合させることにより、制動解除時にピストン7が後退するのに伴って、摩擦パッド6をディスクロータ2の側面から確実に離間させることができ、摩擦パッド6の引き摺りを確実に防止することができる。また、係合突部6eをシール部材11を介して係合孔7dに係合させるだけで、摩擦パッド6とピストン7とを連結できることから、コストの削減化を図ることができると共に、組み付け作業を簡単に行うことができる。さらに、リング状のシール部材11を用いたことにより、安価な部品を用いて摩擦パッド6とピストン7とを確実に連結させることができる。
尚、本発明は上述の形態例に限るものではなく、ピストンを2個以上備えたディスクブレーキにも適用でき、係合突部と係合孔とを複数備えたものでも差し支えない。また、係合突部は、例えばハーフピアス加工によって形成することができる。さらに、ピストンは有底円筒状のものに限らず、円柱状に形成したものでもよい。また、ピンスライド型のディスクブレーキに限らず、ディスクロータの両側部に作用部を備えたピストン対向型のディスクブレーキにも適用することができる。さらに、係合突部や係合孔やシール部材の形状は、係合突部が係合孔にシール可能なものであればどのようなものでも差し支えない。また、弾性部材としては、上述の形態例のように、シール部材を用いるものに限らず、係合突部と係合孔とを係合させるCクリップを用いたものでも差し支えない。
1…車両用ディスクブレーキ、2…ディスクロータ、3…キャリパブラケット、3a…板状部、3b…パッド支持腕、3c…パッドガイド部、5…キャリパボディ、5a…作用部、5b…反作用部、5c…ブリッジ部、5d…取付腕、5e…シリンダ孔、5f…反力爪、5g…底部、5h…ユニオン孔、6…摩擦パッド、6a…ライニング、6b…裏板、6c…耳片、6d…反ディスクロータ側面、6e…係合突部、7…ピストン、7a…底部、7b…開口部、7c…ディスクロータ側面、7d…係合孔、8…ピストンシール、9…ダストシール、10…液圧室、11…シール部材、12…パッドリテーナ
Claims (3)
- ピストンを内挿するシリンダ孔を有するキャリパボディと、ディスクロータを挟んで配置される一対の摩擦パッドとを備えた車両用ディスクブレーキにおいて、前記摩擦パッドは、裏板の反ディスクロータ側面に、反ディスクロータ方向に突出する係合突部が形成され、前記ピストンは、ディスクロータ側面に前記係合突部に係合する係合孔が形成され、該係合孔に、前記係合突部を弾性部材を介して係合させ、前記ピストンと前記摩擦パッドとを連結したことを特徴とする車両用ディスクブレーキ。
- 前記弾性部材は、前記係合孔と前記係合突部とをシールするシール部材、又は、前記係合孔と前記係合突部とを係合させるCクリップであることを特徴とする請求項1記載の車両用ディスクブレーキ。
- 前記ピストンは、有底円筒状に形成されると共に、底部を前記ディスクロータ側に向けて前記シリンダ孔に内挿され、前記底部に前記係合孔が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ディスクブレーキ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014063030A JP2015183815A (ja) | 2014-03-26 | 2014-03-26 | 車両用ディスクブレーキ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2014063030A JP2015183815A (ja) | 2014-03-26 | 2014-03-26 | 車両用ディスクブレーキ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Citations (3)
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JP2008275011A (ja) * | 2007-04-26 | 2008-11-13 | Advics:Kk | ディスクブレーキ |
JP2013087839A (ja) * | 2011-10-17 | 2013-05-13 | Nissin Kogyo Co Ltd | 静止用機械式ディスクブレーキ |
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2014
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