従来装置のDPFにおいて、流路全面に多孔質壁を設け、その多孔質壁の数を増やしたり、多孔質壁の細孔の径を小さくしたりすることにより、DPFによるパティキュレートの捕集率が高くなる。しかしながら、この場合、DPFにおける単位体積当たりの多孔質壁の密度が高くなるので、DPFの流路抵抗が大きくなってしまう。
このことは、排気を浄化するための排気浄化触媒であって、触媒金属を担持壁に担持させることにより構成された排気浄化触媒にも当てはまる。即ち、この排気浄化触媒において、流路全面に担持壁を設け、その担持壁の数を増やすことにより担持壁の総表面積を大きくし、より多くの触媒金属を担持壁に担持させることにより、排気浄化触媒による排気の浄化効率が高くなる。しかしながら、この場合、排気浄化触媒における単位体積当たりの担持壁の密度が高くなるので、排気浄化触媒の流路抵抗が大きくなってしまう。
このように、DPF及び排気浄化触媒等の排気浄化装置において、流路全面に設けたDPFにおける多孔質壁及び排気浄化触媒における担持壁等の「排気浄化部材」の密度を高くすれば、排気浄化装置による排気浄化の効率が高くなるが、排気浄化装置の流路抵抗が大きくなってしまう。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、排気浄化装置が配置された領域における排気通路部の流路抵抗を過度に増大させることなく、排気浄化装置により排気を効率的に浄化することができる内燃機関の排気浄化システムを提供することにある。
本発明の排気浄化システムは、タービンホイールと同タービンホイールを収容するハウジングとを含む過給機を備えた内燃機関に適用される。前記ハウジングは、前記タービンホイールの排気吐出部に連接されたタービン出口通路を形成しており、同タービン出口通路の排気出口に排気通路部が連接されている。
更に、本発明において、排気を浄化するための排気浄化装置が前記タービン出口通路の排気出口近傍の「前記排気通路部の部分又は前記タービン出口通路」に配置されている。排気浄化装置は、例えば、「排気浄化触媒」又は「DPF」である。
タービンホイールの排気吐出部から排出される排気は、タービンホイールの回転軸線を中心として旋回しながらタービン出口通路を流れる。特に、タービンホイールを通過する排気の流量が少ないときには、排気は旋回しながらタービン出口通路を流れる傾向が強くなる。従って、排気の流速は、タービン出口通路の中央部よりも周部において大きいので、排気の多くは、タービン出口通路の周部を流れる。その結果、排気の多くは、タービン出口通路の排気出口から排気通路部の周部に流入する。特に、タービンホイールに流入する排気の流速を調整するノズルベーンを過給機が備えている場合、ノズルベーンによりタービンホイールに流入する排気の流速が増速されるほど、排気通路部の周部を流れる排気の流量は多くなる。
このため、排気浄化装置がタービン出口通路近傍の「排気通路部又はタービン出口通路」に配置されている場合、多くの排気が、排気浄化装置の周部に同周部の上流側端部から流入する。従って、排気浄化装置が配置された領域における「排気通路部又はタービン出口通路」の流路抵抗を過剰に増大させずに、排気浄化装置により排気を効率良く浄化させるためには、排気浄化装置において排気の浄化に関与する部材(排気浄化部材)を排気浄化装置の周部において密にすればよい。排気浄化部材は、例えば、「排気浄化触媒において触媒金属を担持する担持壁」又は「DPFにおける多孔質壁」である。
従って、本発明において、前記排気浄化装置において排気の浄化に関与する排気浄化部材は、「前記排気通路部又は前記タービン出口通路」の中央部よりも周部においてより密となり且つ排気流動方向における前記排気浄化部材の単位体積当たりの流路抵抗が前記周部よりも前記中央部においてより小さいように前記排気浄化装置に配設されている。
この結果、本発明によれば、排気浄化装置が配置された領域における「排気通路部又はタービン出口通路」の流路抵抗を過剰に増大させることなく、排気浄化装置により排気を効率良く浄化することができる。
更に、本発明において、排気浄化装置の排気浄化能力は、排気浄化装置の中央部よりも周部において高い。このため、より効率良く排気を浄化するためには、排気浄化装置の周部に同周部の上流側端部から流入した排気が排気浄化装置の全長に亘りその周部を通過することが好ましい。
従って、前記排気通路部は、排気流動方向下流側において前記排気浄化装置の下流側端部の近傍部分から広がる形状を有するように構成されていることが好ましい。「排気浄化装置の下流側端部の近傍部分」には、排気浄化装置の下流側端部よりも「上流の部分及び下流の部分」が含まれるだけでなく、排気浄化装置の下流側端部自体も含まれる。
これによれば、排気浄化装置の周部を流れる排気は、その周部の下流側端部から外方に広がるように流出するので、「排気通路部が排気流動方向下流側において排気浄化装置の下流側端部の近傍部分から狭まる形状を有する場合」又は「排気通路部が排気流動方向において排気浄化装置の下流側端部から一定の形状を有する場合」に比べて、排気浄化装置の周部に同周部の上流側端部から流入した排気は、排気浄化装置の周部の全長に亘り同排気浄化装置を通過し易い。即ち、より多くの排気がより密な排気浄化部材の全体に亘り同周部を通過し易い。従って、排気浄化装置において、より効率良く排気が浄化される。
更に、より効率良く排気を浄化するためには、排気浄化装置の周部に同周部の上流側端部から流入する排気の量が多いこと、或いは、排気が同周部の一部に偏って流入しない(偏流していない)ことが好ましい。従って、前記排気浄化装置よりも上流側の「前記タービン出口通路の部分又は前記排気通路部の部分」は、前記タービンホイールの回転軸線と同軸的に真っ直ぐに延在していることが好ましい。
これによれば、排気浄化装置よりも上流側の「タービン出口通路の部分又は排気通路部の部分」が屈曲している場合に比べて、タービンホイールの排気吐出部から排出された排気の旋回力の低下が小さいので、排気浄化装置の周部に同周部の上流側端部から流入する排気の量が多い。従って、排気浄化装置において、より効率良く排気が浄化される。
更に、前記排気浄化装置は、触媒金属を担持壁の両壁面に担持した触媒装置であり、前記担持壁が前記排気通路部の部分又は前記タービン出口通路の周部のみに配設された中空形状を有していてもよい。
これによれば、多くの排気が触媒装置の内部を流れるだけでなく、排気通路部の中央部側の触媒装置の壁面(触媒装置の中空を形成している壁面)に沿っても流れるので、排気と触媒金属との実質的な接触が増える。従って、触媒装置において、より効率良く排気が浄化される。
本発明の内燃機関の排気浄化システムの実施形態について説明する。図1に示したように、本実施形態の排気浄化システムが適用される内燃機関は、ディーゼルエンジンであり、機関本体10と、吸気系20と、排気系30、過給機40と、を有する。機関本体10のシリンダブロック11には、シリンダボア12が形成されている。シリンダボア12内には、ピストン13が配置されている。このピストン13の冠面と機関本体10のシリンダヘッド14の下壁面とシリンダボア12の内周壁面とにより燃焼室15が形成されている。シリンダヘッド14には、燃焼室15に燃料を直接噴射する燃料噴射弁16が配設されている。更に、シリンダヘッド14には、吸気ポート21及び排気ポート31が形成されている。加えて、シリンダヘッド14には、吸気弁22及び排気弁32が配設されている。
吸気ポート21には、吸気系20が接続されている。吸気系20には、吸気流動方向(吸気系20における空気の流れの方向)とは逆の方向(上流に向かう方向)において順に、燃焼室15に吸入される空気(吸気)の量を調節するためのスロットル弁23、吸気を冷却するためのインタークーラ24、吸気を圧縮するための過給機40のコンプレッサ部41、及び、吸気の量を検出するためのエアフローメータ25が配置されている。
吸気系20は、吸気通路部(吸気管)26〜28を有する。吸気通路部26は、吸気ポート21の吸気入口とインタークーラ24の吸気出口とを互いに接続している。スロットル弁23は、この吸気通路部26に配置されている。吸気通路部27は、インタークーラ24の吸気入口とコンプレッサ部41の吸気出口とを互いに接続している。吸気通路部28は、その一端においてコンプレッサ部41の吸気入口に連接されており、その他端において外気に開放されている。エアフローメータ25は、この吸気通路部28に配置されている。
排気ポート31には、排気系30が接続されている。排気系30には、排気流動方向(排気系30における排気の流れの方向)EXにおいて順に、過給機40のタービン部42、排気中の「HC(炭化水素)並びにCO(一酸化炭素)を部分的に浄化するための酸化触媒(以下「サブ触媒」)50、及び、排気中の残りのHC並びにCOを浄化するための酸化触媒(以下「メイン触媒」)60が配置されている。
排気系30は、排気通路部33及び34(排気管33A及び34A)を有する。排気通路部33は、排気ポート31の排気出口とタービン部42の排気入口とを互いに接続している。排気通路部34は、その一端においてタービン部42の排気出口に連接されており、その他端において外気に開放されている。この排気通路部34は、排気流動方向EXにおいて順に、直線的に延びる直線部分(上流側直線部)34Uと、屈曲した部分(屈曲部)34Bと、直線的に延びる直線部分(下流側直線部)34Dと、を有する。サブ触媒50は上流側直線部34Uに配置されており、メイン触媒60は下流側直線部34Dに配置されている。
過給機40は「可変容量式過給機」又は「可変ノズル式過給機」である。図2に示したように、過給機のタービン部42は、タービンホイール45を収容するハウジング42Hを有する。ハウジング42Hの内部には、スクロール通路43と、タービン出口通路44と、が形成されている。スクロール通路43とタービン出口通路44との間にタービンホイール45が配置されている。従って、タービン出口通路44は、タービンホイール45の排気吐出部49に連接されている。更に、タービン出口通路44は、タービンホイール45の回転軸線RAに沿って同軸的に真っ直ぐに延在している。加えて、排気通路部34の上流側直線部34Uも、タービンホイール45の回転軸線RAに沿って同軸的に真っ直ぐに延在している。
タービンホイール45周りには、同タービンホイール45のタービン羽根46間に流入する排気の流速を調節するためのノズルベーン47が等角度間隔で複数個配置されている。
排気通路部33からタービン部42の排気入口を介してスクロール通路43に流入した排気は、ノズルベーン47間の通路(ノズル)を通り、タービンホイール45のタービン羽根46間の空間に流入する。タービン羽根46間の空間に流入した排気のエネルギによりタービンホイール45が回転せしめられる。これにより、図1に示したように、シャフト48によりタービンホイール45に連結されているコンプレッサ部41のインペラ(図示せず)が回転せしめられる。このインペラの回転により吸気が圧縮される。
タービン羽根46間の空間からタービンホイール45の排気吐出部49を介して流出する排気は、図2及び図3に矢印100で示したように、タービンホイール45の回転軸線RAを中心に旋回しながら、タービン出口通路44を下流へと流れ、タービン出口通路44の排気出口44Oから排気通路部34に排出される。
サブ触媒50は、図2及び図3に示したように、タービン出口通路44に隣接する排気通路部34(より具体的には、上流側直線部34U)の部分に配置されている。図3に示したように、サブ触媒50は、排気通路部34の中央部34Cには配設されておらず、排気通路部34の周部34Pにのみ配設されている。本実施形態において、排気通路部34の中央部34Cは、図3(B)に示した排気通路部34の横断面の中央領域を排気流動方向(排気系30を排気が流れる方向)EXに延在させた部分(空間)である。排気通路部34の周部34Pは、図3(B)に示した排気通路部34の横断面の中央領域の外側の領域を排気流動方向EXに延在させた部分(空間)である。
サブ触媒50は、同触媒50が排気通路部34に配置された状態においてその外形形状が排気流動方向EXにおいて一定である形状(即ち、一定の肉厚を有する円筒形状)を有する。前記外形形状は、図3(B)に示したサブ触媒50の横断面においてその最も外側の部分の外壁面の形状である。
サブ触媒50は、より具体的には、図4に示したように、担持壁51に触媒金属52を担持させることにより構成されている。担持壁51は、図4に示したサブ触媒50の横断面において周方向に沿って波状の形状を有し、その両壁面(「排気通路部34を画成する排気管34Aの内壁面側の担持壁51の壁面51A」及び「排気通路部34の中央部34C側の担持壁51の壁面51B」)に触媒金属52が担持されている。
尚、サブ触媒50は、図5(A)に示したように構成されていてもよい。このサブ触媒50は、複数の平坦な隔壁(触媒金属を担持する担持壁)53により画成された通路54を複数個備えたハニカム構造体を有し、担持壁53に触媒金属(図示せず)を担持させることにより構成されている。担持壁53は、排気通路部34の中央部34Cには配設されておらず、排気通路部34の周部34Pにのみ配設されている。
或いは、サブ触媒50は、図5(B)に示したように構成されていてもよい。このサブ触媒50は、図5(A)に示したサブ触媒50と同様に、ハニカム構造体を有し、担持壁53に触媒金属(図示せず)を担持させることにより構成されているが、図5(A)に示したサブ触媒50とは異なり、排気通路部34の周部34Pだけでなく、排気通路部34の中央部34Cにも担持壁53が配設されている。
但し、本例においては、排気通路部34の周部34Pに配設された担持壁53の単位体積当たりの密度(断面における単位面積あたりの密度)は、排気通路部34の中央部34Cに配設された担持壁53の単位体積当たりの密度(断面における単位面積あたりの密度)よりも大きい。
つまり、担持壁53は、排気通路部34の中央部34Cよりも周部34Pにおいてより密となり且つ排気流動方向における担持壁の単位体積当たりの流路抵抗が排気通路部34の周部34Pよりも中央部34Cにおいてより小さいようにサブ触媒50に配設されている。
尚、図4及び図5(A)に示した例においても、実質的に、担持壁53は、排気通路部34の中央部34Cよりも周部34Pにおいてより密となり且つ排気流動方向における担持壁の単位体積当たりの流路抵抗が排気通路部34の周部34Pよりも中央部34Cにおいてより小さいようにサブ触媒50に配設されている。
更に、サブ触媒50は、図5(C)に示したように構成されてもよい。このサブ触媒50は、その中心軸線に関して放射状にそれぞれ延在する担持壁53Rと、同中心軸線を中心として周方向にそれぞれ延在する担持壁53Cと、により画成された通路54を複数個備え、担持壁53R及び53Cに触媒金属(図示せず)を担持させることにより構成されている。担持壁53R及び53Cは、排気通路部34の中央部34Cには配設されておらず、排気通路部34の周部34Pにのみ配設されている。
メイン触媒60は、図6に示したように、排気通路部34(より具体的には、下流側直線部34D)の中央部34Cにも周部34Pにも配設されている。メイン触媒60は、同触媒60が排気通路部34に配置された状態においてその外形形状が排気流動方向EXにおいて一定である形状(即ち、中実円筒形状)を有する。前記外形形状は、図6(B)に示したメイン触媒60の横断面においてその最も外側の部分の外壁面の形状である。
メイン触媒60は、例えば、図7に示したように、複数の平坦な隔壁(触媒金属を担持する担持壁)61により画成された通路62を複数個備えたハニカム構造体を有し、担持壁61に触媒金属(図示せず)を担持させることにより構成されている。担持壁61は、排気通路部34の中央部34Cにも周部34Pにも配設されている。本例においては、排気通路部34に配設されたメイン触媒60の担持壁61の単位体積当たりの密度は、メイン触媒60の全域において一定(又は略一定)である。
次に、本実施形態の排気浄化システムの作用について述べる。タービンホイール45の排気吐出部49から流出する排気は、図2及び図3に矢印100で示したように、タービンホイール45の回転の影響によりタービンホイール45の回転軸線RAを中心としてタービン出口通路44を旋回しながら流れる。このため、図3に示したように、タービン出口通路44において、その周部44Pの排気の流速は、その中央部44Cの排気の流速よりも高い。従って、排気の多くは、タービン出口通路44の周部44Pを流れるので、タービン出口通路44の排気出口44Oから排気通路部34に排出される排気の多くは、排気通路部34の周部34Pに流入する。つまり、排気の多くは、サブ触媒50の上流側端部50UEから同触媒50に流入する。
尚、タービン出口通路44の中央部44Cは、同通路44の横断面の中央領域を排気流動方向(排気系30を排気が流れる方向)EXに延在させた部分(空間)である。タービン出口通路44の周部44Pは、同通路44の横断面の中央領域の外側の領域を排気流動方向EXに延在させた部分(空間)である。
本実施形態においては、サブ触媒50は、タービン出口通路44に隣接した排気通路部34の部分の周部34Pにのみ配設されており、排気通路部34の中央部34Cにはサブ触媒50が配設されていない。従って、サブ触媒50が排気通路部34に配置されることによる「同触媒50が配置された領域における排気通路部34の流路抵抗」の増大が小さい。
一方、サブ触媒50は、排気通路部34の周部34Pにのみ配設されており、その中央部34Cには配設されていないが、上述したように、タービン出口通路44から排出された排気の多くがサブ触媒50の上流側端部50UEから同触媒50に流入する。サブ触媒50に流入した排気は、図3に矢印101で示したように、サブ触媒50の内部を流れると共に、排気通路部34の中央部34C側のサブ触媒50の壁面50Iに沿って旋回しながら流れる。
このように、多くの排気がサブ触媒50に同触媒50の上流側端部50UEから流入するので、排気通路部34の中央部34Cにサブ触媒50が配設されていないことに起因する排気浄化率の低下は小さい。つまり、サブ触媒50により効率良く排気が浄化される。
その結果、本実施形態によれば、サブ触媒50を排気通路部34に配置したことにより「同触媒50が配置された領域の排気通路部34の流路抵抗」を過剰に増大させることなく、サブ触媒50により排気を効率良く浄化することができる。
加えて、本実施形態によれば、上述したように、サブ触媒50をタービン部42に近接して配置したとしても、流路抵抗を過剰に増大させることなく、排気を効率良く浄化することができるので、タービン部42に近接してサブ触媒50を配置することができる。このため、機関始動時(機関10の運転を始動させたとき)において、サブ触媒50により排気を効率良く浄化することができる。
更に、「サブ触媒50が配置された領域の排気通路部34の流路抵抗を過剰に増大させることなく、サブ触媒50により排気を効率良く浄化する」という観点において、本実施形態のサブ触媒50は、排気通路部34の中央部34Cにも周部34Pと同様に触媒金属を担持した担持壁が配設されている酸化触媒(以下「比較例の酸化触媒」)に比べても有利である。
即ち、排気の多くは排気通路部の周部に流入することから、比較例の酸化触媒において、本実施形態のサブ触媒50と同等に排気を効率良く浄化するためには、排気通路部の周部に配設される比較例の酸化触媒の担持壁の単位体積当たりの密度を、本実施形態の担持壁の単位体積当たりの密度と同程度の密度にする必要がある。しかしながら、この場合、比較例の酸化触媒においては、排気通路部の中央部に配設される担持壁の単位体積当たりの密度も、本実施形態の担持壁の単位体積当たりの密度と同程度の密度になる。このため、比較例の酸化触媒が配置された領域の排気通路部34の流路抵抗が本実施形態における流路抵抗よりも大きくなってしまう。
逆に、比較例の酸化触媒における前記流路抵抗を本実施形態における流路抵抗と同程度の流路抵抗にするためには、比較例の酸化触媒の担持壁の単位体積当たりの密度を、本実施形態の担持壁の単位体積当たりの密度よりも小さくする必要がある。しかしながら、この場合、排気通路部の周部に配設される比較例の酸化触媒の担持壁の単位体積当たりの密度が本実施形態の担持壁の単位体積当たりの密度よりも小さくなる。このため、比較例の酸化触媒により排気を効率良く浄化することができなくなる可能性がある。
こうした理由から、「サブ触媒50が配置された領域の排気通路部34の流路抵抗を過剰に増大させることなく、サブ触媒50により排気を効率良く浄化する」という観点において、本実施形態のサブ触媒50は、比較例の酸化触媒に比べて有利である。勿論、このことは、図5(A)及び図5(B)に示した例にも同様に当てはまる。
更に、本実施形態によれば、多くの排気がサブ触媒50の内部を流れるだけでなく、サブ触媒50の壁面50Iに沿っても流れるので、排気と触媒金属52との実質的な接触が増える。従って、サブ触媒50により排気をより効率良く浄化することができる。
更に、本実施形態においては、タービン出口通路44は、図2に示したように、排気吐出口49から排気出口44Oまで、タービンホイール45の回転軸線RAと同軸的に真っ直ぐに形成されている。従って、タービン出口通路44を流れる排気の旋回力の低下が小さく、多くの排気がサブ触媒50に同触媒50の上流側端部50UEから確実に流入する。このため、排気がより効率良くサブ触媒50により浄化される。
上記実施形態において、サブ触媒50は、その外形形状が排気流動方向EXにおいて一定の形状であり且つその径方向に沿った厚み(図3に示した厚みW)が一定である構成を有しているが、図8〜図13に示した構成を有する酸化触媒であってもよい。ここで、前記外形形状は、図3(B)に示したサブ触媒50の横断面においてその最も外側の部分の外壁面の形状であり、前記径方向に沿った厚みは、サブ触媒50が排気通路部34に配置された状態において排気通路部34の中心軸線を中心として径方向に沿ったサブ触媒50の長さ(幅、即ち、サブ触媒50の肉厚に相当)である。
図8に示したサブ触媒50は、上記実施形態と同様に、タービン出口通路44近傍の排気通路部34の周部34Pに配設されており、サブ触媒50が排気通路部34に配置された状態においてその外形形状が排気流動方向EXにおいて一定の形状であるが、その径方向に沿った厚み(以下単に「厚み」)Wが排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に薄くなる構成を有している。
図9に示したサブ触媒50は、上記実施形態と同様に、タービン出口通路44近傍の排気通路部34の周部34Pに配設されており、サブ触媒50が排気通路部34に配置された状態においてその外形形状が排気流動方向EXにおいて一定の形状であるが、その厚みWが排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に厚くなる構成を有している。
図10に示したサブ触媒50は、上記実施形態と同様に、タービン出口通路44近傍の排気通路部34の周部34Pに配設されており、サブ触媒50が排気通路部34に配置された状態においてその外形形状が排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて広がる形状であるが、その厚みWが排気流動方向EXにおいて一定である構成を有している。
図11に示したサブ触媒50は、上記実施形態と同様に、タービン出口通路44近傍の排気通路部34の周部34Pに配設されており、サブ触媒50が排気通路部34に配置された状態においてその外形形状が排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて狭まる形状であるが、その厚みWが排気流動方向EXにおいて一定である構成を有している。
図12に示したサブ触媒50は、上記実施形態と同様に、タービン出口通路44近傍の排気通路部34の周部34Pに配設されているが、「サブ触媒50が排気通路部34に配置された状態においてその外形形状が排気流動方向EXにおいて一定であり且つその厚みが排気流動方向EXにおいて一定である4つのサブ触媒部分50A〜50D」から構成されている。
これらサブ触媒部分50A〜50Dは、図12(B)に示した排気通路部34の横断面において等角度間隔で排気通路部34の周部34Pに配設されている。つまり、上記実施形態のサブ触媒50は、排気通路部34の横断面においてその周部34Pの全周に亘って配設されているのに対し、図12に示したサブ触媒50は、排気通路部34の横断面においてその周部34Pの全周の一部にのみ配設されている。
更に、図13に示したサブ触媒50は、上記実施形態と同様に、タービン出口通路44近傍の排気通路部34の周部34Pに配設されており、サブ触媒50が排気通路部34に配置された状態においてその外形形状が排気流動方向EXにおいて一定であり且つその厚みWが排気流動方向EXにおいて一定であるが、その厚みWがサブ触媒50の周方向において変化する構成を有している。つまり、図13に示したサブ触媒50は、その中心軸線が排気通路部34の中心軸線からずれた状態で排気通路部34に配置されている。
更に、上記実施形態において、サブ触媒50は、図14に示したように、同触媒50の上流側部分がタービン出口通路44に位置し且つ同触媒50の下流側部分が排気通路部34に位置するように配設されてもよい。勿論、可能であれば、上記実施形態において、サブ触媒50全体をタービン出口通路44に配設してもよい。
更に、上記実施形態において、サブ触媒50は、図15に示したように、タービン出口通路44の排気出口44Oよりも所定距離だけ排気流動方向下流に離れた排気通路部34の部分に配設されてもよい。
ところで、図16(B)に示したように、排気通路部34がサブ触媒50の下流側端部50DEから排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に狭まる場合、サブ触媒50の上流側端部50UEから同触媒50に流入してサブ触媒50の壁面50Iに沿って流れる排気(排気通路部34の周部34Pを流れる排気)がサブ触媒50の下流側端部50DEから流出しづらく、更には、サブ触媒50が配置された領域における排気通路部34の中央部34Cの流路抵抗がその周部34Pの流路抵抗よりも低い。このため、同触媒50の壁面50Iに沿って流れる排気は、矢印104で示したように、排気通路部34の中央部34Cに向けてサブ触媒50の壁面50Iから剥離しやすい。
勿論、サブ触媒50の担持壁が多孔質壁により形成されている場合には、サブ触媒50の内部を流れる排気が多孔質壁の細孔を通って排気通路部34の中央部34Cに流出しやすい。
一方、上記実施形態において、排気通路部34は、図16(A)に示したように、サブ触媒50の下流側端部50DEから排気流動方向EXにおいて一定の形状を有する。このため、サブ触媒50の壁面50Iに沿って流れる排気は、サブ触媒50の下流側端部50DEから流出しやすく、従って、同排気はサブ触媒50の壁面50Iから剥離しづらい。このため、サブ触媒50の壁面50Iに沿って流れる排気は、矢印103で示したように、サブ触媒50の全長に亘り同触媒50の壁面50Iに沿って流れ、サブ触媒50の下流側端部50DEから流出する。従って、排気浄化のためにサブ触媒50を有効に利用することができる。
勿論、サブ触媒50の担持壁が多孔質壁により形成されている場合であっても、サブ触媒50の内部を流れる排気は、多孔質壁の細孔を通って排気通路部34の中央部34Cに流出しづらい。このため、サブ触媒50の内部を流れる排気は、サブ触媒50の全長に亘り同触媒50を流れ、サブ触媒50の下流側端部50Dから流出する。従って、排気浄化のためにサブ触媒50を有効に利用することができる。
更に、このように排気浄化のためにサブ触媒50を有効に利用するという観点から、上記実施形態において、サブ触媒50下流の排気通路部34の構成として、図17〜図20に示した構成の何れかが採用されてもよい。
図17に示した構成においては、排気通路部34は「サブ触媒50の下流側端部50DE」から排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に広がる形状を有している。図18に示した構成においては、排気通路部34は「サブ触媒50の下流側端部50DEよりも下流の部分」から排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に広がる形状を有している。図19に示した構成においては、排気通路部34は「サブ触媒50の下流側端部50DEよりも上流の部分」から排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に広がる形状を有している。
図20に示した構成においては、排気通路部34は「サブ触媒50の下流側端部50DE」からステップ状に広がる形状を有している。図示していないが、図18に示した例と同様に、「サブ触媒50の下流側端部50DEよりも下流の部分」からステップ状に広がる形状を有する排気通路部が採用されてもよいし、図19に示した例と同様に、「サブ触媒50の下流側端部50DEよりも上流の部分」からステップ状に広がる形状を有する排気通路部が採用されてもよい。
このように、上記実施形態において、「サブ触媒50の下流側端部50DEの近傍部分」から「排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に又はステップ状に」広がる形状を有する排気通路部を採用することができる。より広くは、「サブ触媒50の下流側端部50DEの近傍部分」から排気流動方向下流側において広がる形状を有する排気通路部を採用することができる。
この場合、「サブ触媒50の下流側端部50DEの近傍部分」には、「サブ触媒50の下流側端部50DEよりも下流の部分及び上流の部分」に加えて、「サブ触媒50の下流側端部50DE自体」も含まれる。更に、「排気流動方向下流側において広がる形状」には、上述した「排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に或いはステップ状に広がる形状」に加えて、「排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて階段状に広がる形状」等の種々の形状が含まれる。
上述したように、サブ触媒50が配置された領域における排気通路部34の中央部34Cの流路抵抗はその周部34Pの流路抵抗よりも低いので、サブ触媒50の壁面50Iに沿って流れる排気は、排気通路部34の中央部34Cに向けて壁面50Iから剥離しやすい。一方、排気通路部34が「サブ触媒50の下流側端部50DEの近傍部分」から排気流動方向下流側において広がる形状を有する場合、サブ触媒50の下流側端部50DEから排気が流出しやすい。このため、サブ触媒50の壁面50Iに沿って流れる排気は、排気通路部34の中央部34Cに向けて壁面50Iから剥離せずに、サブ触媒50の全長に亘り同触媒50の壁面50Iに沿って可能性が高い。従って、排気浄化のためにサブ触媒50をより有効に利用することができる。
更に、上記実施形態において、タービン出口通路44とサブ触媒50との間の排気通路部34の構成として、図21に示した構成が採用されてもよい。図21に示した構成においては、タービン出口通路44とサブ触媒50との間の排気通路部34は、タービン出口通路44の出口端部44Oからサブ触媒50の上流側端部50UEまで排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に広がる形状を有している。図示していないが、「タービン出口通路44の出口端部44Oよりも下流であってサブ触媒50よりも上流の排気通路部34の部分」からサブ触媒50の上流側端部50UEまで排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に広がる形状を有する排気通路部が採用されてもよい。加えて、「タービン出口通路44の出口端部44O」又は「タービン出口通路44の出口端部44Oよりも下流であってサブ触媒50よりも上流の排気通路部34の部分」からステップ状に広がる形状を有する排気通路部が採用されてもよい。
このように、上記実施形態において、「タービン出口通路44の出口端部44Oの近傍部分」から「排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に又はステップ状に」広がる形状を有する排気通路部を採用することができる。より広くは、「タービン出口通路44の出口端部44Oの近傍部分」から排気流動方向下流側において広がる形状を有する排気通路部を採用することができる。この場合、「タービン出口通路44の出口端部44Oの近傍部分」には、「タービン出口通路44の出口端部44Oよりも下流の部分」に加えて、「タービン出口通路44の出口端部44O自体」も含まれる。更に、「排気流方向下流側において広がる形状」には、上述した「排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて徐々に或いはステップ状に広がる形状」に加えて、「排気流動方向EXにおいて下流側に向かうにつれて階段状に広がる形状」等の種々の形状が含まれる。
或いは、上記実施形態において、図22に示したように、サブ触媒50及び排気通路部34が構成されてもよい。即ち、図2に示した例においては、サブ触媒50は、その上流側端部50UEがタービン出口通路44に露出(対面)するように、排気通路部34内に配置されている。一方、図22に示した例においては、サブ触媒50は、その上流側端部50UEがタービン出口通路44に露出しておらず且つ排気通路部34の中央部34C側のサブ触媒50の壁面50Iがタービン出口通路44の内周壁面44Iに排気流動方向に一致するように、排気通路部34内に配置されている。
尚、本実施形態の排気浄化システムは、タービンホイール45の排気吐出部49から排出された排気が旋回しつつタービン出口通路及び排気通路部を流れることを利用して、効率良く排気を浄化するシリンダであるので、当然のことながら、サブ触媒50が配置される位置は、タービンホイール45の排気吐出部49から排出された排気の旋回が残存する位置に限定される。
上記実施形態のサブ触媒(酸化触媒)の横断面における外形形状は、概ね円形であるが、本発明は、円形以外の外形形状を有する酸化触媒にも適用可能である。加えて、本発明は、サブ触媒(酸化触媒)の代わりに、DPF、NOx触媒、三元触媒等の排気浄化装置を備えた排気浄化システムにも適用可能である。
以上の説明から明らかなように、本発明は、タービンホイール45と同タービンホイールを収容するハウジング42Hとを含む過給機40を備えた内燃機関に適用され、前記ハウジングは、前記タービンホイールの排気吐出部49に連接されたタービン出口通路44を形成しており、同タービン出口通路の排気出口44Oに排気通路部34(上流側直線部34U)が連接されている排気浄化システムに関し、排気を浄化するための排気浄化装置(サブ触媒50)が前記タービン出口通路の排気出口近傍の前記排気通路部の部分又は前記タービン出口通路に配置されている。更に、前記排気浄化装置において排気の浄化に関与する排気浄化部材(担持壁51、53)は、前記排気通路部又は前記タービン出口通路の中央部34C、44Cよりも周部34P、44Pにおいてより密となり且つ排気流動方向における前記排気浄化部材の単位体積当たりの流路抵抗が前記周部よりも前記中央部においてより小さいように前記排気浄化装置に配設されている。
更に、前記排気通路部34(上流側直線部34U)は、排気流動方向EX下流側において前記排気浄化装置(サブ触媒50)の下流側端部50DEの近傍部分から広がる形状を有することが好ましい。
更に、前記排気浄化装置(サブ触媒50)よりも上流側の前記タービン出口通路44の部分又は前記排気通路部34(上流側直線部34U)の部分は、前記タービンホイール45の回転軸線RAと同軸的に真っ直ぐに延在している。
更に、前記排気浄化装置は、触媒金属52を担持壁51の両壁面51A、51Bに担持した触媒装置(サブ触媒50)であり、前記担持壁が前記排気通路部(上流側直線部34U)の部分又は前記タービン出口通路44の周部34P、44Pのみに配設された中空形状を有する。
従って、各実施形態及び各変形例の排気浄化システムは、排気浄化装置(サブ触媒50)が配置された領域における「排気通路部34(上流側直線部34U)又はタービン出口通路44」の流路抵抗を過剰に増大させることなく、排気浄化装置により排気を効率良く浄化することができる。