JP2015183041A - シリコーン粘着剤用離型フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコーン粘着剤に対する離型性及び密着性に優れ、かつ、強靭で柔軟性が高いシリコーン粘着剤用離型フィルム、並びに、該シリコーン粘着剤用離型フィルムを用いたシリコーン粘着テープを提供する。【解決手段】ポリビニルアセタール樹脂と、フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとを含有するシリコーン粘着剤用離型フィルムであり、一方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度が1.5〜50at%であり、かつ、一方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度と他方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度の差が0.5at%以上であるシリコーン粘着剤用離型フィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、シリコーン粘着剤に対する離型性及び密着性に優れ、かつ、強靭で柔軟性が高いシリコーン粘着剤用離型フィルム、並びに、該シリコーン粘着剤用離型フィルムを用いたシリコーン粘着テープに関する。
シリコーン粘着剤は、耐熱・耐寒性、電気絶縁性、再剥離性等に優れ、種々の基材に塗工された粘着テープが作製されている。更に、シリコーン粘着剤は表面エネルギーが非常に低いため、従来の有機粘着剤では接着の難しいフッ素樹脂やポリオレフィン材料にも粘着することが可能であり、新たな用途への応用が期待されている。
しかしながら、シリコーン粘着剤は、一般的な有機粘着剤の離型剤として使用されるポリジメチルシロキサン系の離型剤に粘着してしまうことから、シリコーン粘着剤に対しては、他の離型剤を用いる必要があった。
しかしながら、シリコーン粘着剤は、一般的な有機粘着剤の離型剤として使用されるポリジメチルシロキサン系の離型剤に粘着してしまうことから、シリコーン粘着剤に対しては、他の離型剤を用いる必要があった。
特許文献1に開示されているように、シリコーン粘着剤を使用したシリコーン粘着テープとしては、ポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム基材に、シリコーン粘着剤が塗布積層されたものが一般的である。
このようなシリコーン粘着テープは、通常、ロール状に巻き取られているが、使用時に巻き戻した場合、シリコーン粘着剤層が基材から剥離してしまうことがあった。このように、従来のプラスチックフィルム等のシート状基材は、シリコーン粘着剤の積層面における密着性、及び、シート状基材の自背面における離型性が不充分であるという問題を有していた。
このようなシリコーン粘着テープは、通常、ロール状に巻き取られているが、使用時に巻き戻した場合、シリコーン粘着剤層が基材から剥離してしまうことがあった。このように、従来のプラスチックフィルム等のシート状基材は、シリコーン粘着剤の積層面における密着性、及び、シート状基材の自背面における離型性が不充分であるという問題を有していた。
これに対して、例えば、特許文献2には、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基少なくとも1個の1価の含フッ素置換基を有するオルガノポリシロキサンと、1分子中に水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、反応制御剤と、白金族金属系触媒とを含有する無溶剤型シリコーン粘着剤用離型剤組成物を塗布した剥離シートが開示されている。
しかしながら、無溶剤型シリコーン粘着剤用離型剤を基材に塗布した剥離シートは、主にPETフィルムに塗布したものであり、柔軟性に乏しく、曲面や凹凸への追従性が低く、硬くて脆いため、強靭性に乏しいといった問題があった。
しかしながら、無溶剤型シリコーン粘着剤用離型剤を基材に塗布した剥離シートは、主にPETフィルムに塗布したものであり、柔軟性に乏しく、曲面や凹凸への追従性が低く、硬くて脆いため、強靭性に乏しいといった問題があった。
また、従来のシリコーン粘着テープの基材として使用されているポリエステルフィルムやポリイミドフィルムは、柔軟性に乏しく、曲面や凹凸への追従性が低く、更に、単体では硬くて脆いため、強靭性が乏しいといった問題があった。
本発明は、シリコーン粘着剤に対する離型性及び密着性に優れ、かつ、強靭で柔軟性が高いシリコーン粘着剤用離型フィルム、並びに、該シリコーン粘着剤用離型フィルムを用いたシリコーン粘着テープを提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂と、フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとを含有するシリコーン粘着剤用離型フィルムであり、一方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度が1.5〜50at%であり、かつ、一方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度と他方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度の差が0.5at%以上であるシリコーン粘着剤用離型フィルムである。
本発明者は、ポリビニルアセタール樹脂に、フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを添加し、主面のフッ素の原子濃度を規定したシリコーン粘着剤用離型フィルムは、シリコーン粘着剤に対する離型性及び密着性に優れるだけでなく、高い強度と柔軟性を実現でき、更に、この離型フィルムは防汚性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムは、ポリビニルアセタール樹脂を含有する。
上記ポリビニルアセタール樹脂を含有することで、シリコーン粘着剤用離型フィルムに高い機械的強度を付与することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂を含有することで、シリコーン粘着剤用離型フィルムに高い機械的強度を付与することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂としては特に限定されないが、重合度600〜5000、ケン化度80モル%以上のポリビニルアルコールをアセタール化することで得られるポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。このようなポリビニルアセタール樹脂を用いることにより、より優れた強靭性と柔軟性を発現することができる。
上記ポリビニルアルコールは、重合度600〜5000であることが好ましい。
上記ポリビニルアルコールの重合度が600未満であると、ポリビニルアセタール系樹脂組成物の強靭性が低下することがある。ポリビニルアルコールの重合度が5000を超えると、シリコーン粘着剤用離型フィルムの柔軟性が低下することがある。ポリビニルアルコールの重合度のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は4500である。
なお、本発明では、ポリビニルアルコールの重合度をポリビニルアセタール樹脂の重合度とする。
上記ポリビニルアルコールの重合度が600未満であると、ポリビニルアセタール系樹脂組成物の強靭性が低下することがある。ポリビニルアルコールの重合度が5000を超えると、シリコーン粘着剤用離型フィルムの柔軟性が低下することがある。ポリビニルアルコールの重合度のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は4500である。
なお、本発明では、ポリビニルアルコールの重合度をポリビニルアセタール樹脂の重合度とする。
上記ポリビニルアルコールは、ケン化度が80モル%以上であることが好ましい。
上記ポリビニルアルコールのケン化度が80モル%未満であると、シリコーン粘着剤用離型フィルムの強靭性が低下することがある。ポリビニルアルコールのケン化度のより好ましい下限は85モル%である。
上記ポリビニルアルコールのケン化度が80モル%未満であると、シリコーン粘着剤用離型フィルムの強靭性が低下することがある。ポリビニルアルコールのケン化度のより好ましい下限は85モル%である。
上記アセタール化の方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、塩酸等の酸触媒の存在下でポリビニルアルコールの水溶液にアルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
上記アルデヒドは特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、生産性、特性バランス等の点で、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、ブチルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アルデヒドは特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、生産性、特性バランス等の点で、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、ブチルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(本明細書中、アセタール基がアセトアセタール基である場合には、アセトアセタール化度ともいい、アセタール基がブチラール基である場合には、ブチラール化度ともいう)は、アルデヒドを単独で用いた場合又は2種以上を併用した場合のいずれであっても、好ましい下限が40モル%、好ましい上限が80モル%である。アセタール化度が40モル%未満であると、ポリビニルアセタール樹脂の分子間での水素結合が強く凝集力が高くなりすぎて、特に低温での柔軟性が低下することがある。アセタール化度が80モル%を超えると、ポリビニルアセタール樹脂の分子間での水素結合が弱くなり凝集力が低くなりすぎて、特に高温での強靭性が低下することがある。アセタール化度のより好ましい下限は55モル%、より好ましい上限は75モル%である。
なお、アセタール化度の計算方法については、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基がポリビニルアルコールの2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用する。
なお、アセタール化度の計算方法については、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基がポリビニルアルコールの2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用する。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の好ましい下限は20モル%、好ましい上限は55モル%である。上記水酸基量が20モル%未満であると、水素結合が弱く凝集力が低くなり、強靭性が低下することがあり、55モル%を超えると、水素結合が強く凝集力が高くなりすぎて、柔軟性が低下することがある。上記水酸基量のより好ましい下限は25モル%であり、より好ましい上限は45モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量の好ましい下限は0.5モル%、好ましい上限は20モル%である。上記アセチル基量が0.5モル%未満であると、水素結合が強く凝集力が高くなりすぎて、柔軟性が低下することがあり、20モル%を超えると、シリコーン粘着剤用離型フィルムの強靭性が低下することがある。上記アセチル基量のより好ましい下限は1.0モル%であり、より好ましい上限は15モル%である。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルム中における上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、50〜99重量%であることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が50重量%未満であると、強靭性を充分に発現できないことがあり、99重量%を超えると、離型性の発現が困難となることがある。より好ましい下限は60重量%、より好ましい上限は80重量%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が50重量%未満であると、強靭性を充分に発現できないことがあり、99重量%を超えると、離型性の発現が困難となることがある。より好ましい下限は60重量%、より好ましい上限は80重量%である。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムは、フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを含有する。
上記ポリビニルアセタール樹脂とは別に、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを含有することで、シリコーン粘着剤用離型フィルムに離型性や防汚性を付与することができる。
また、本発明では、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを含むことで、フルオロアルキル基が、ポリビニルアセタール樹脂のポリマー主鎖骨格中ではなく、別のポリマーに存在することとなる。これにより、上記ポリビニルアセタール樹脂のポリマー主鎖骨格が崩れることがないことから、ポリビニルアセタール樹脂のポリマー構造が維持され、ポリビニルアセタール樹脂本来の優れた強靭性と柔軟性を実現することができる。また、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーによる離型性も併せて実現することができる。
更に、上記ポリビニルアセタール樹脂中に上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを含有することで、親水性基とフルオロ基の両方を有するため、フィルム表面上に存在する親水性基によって、付着した汚れとフィルム表面との間に水滴が入り込みやすくなる。これにより、従来のフッ素樹脂とは異なり、汚れがつきにくいだけでなく、汚れが付着したとしても、水で容易に洗い流すことが可能となる。
上記ポリビニルアセタール樹脂とは別に、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを含有することで、シリコーン粘着剤用離型フィルムに離型性や防汚性を付与することができる。
また、本発明では、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを含むことで、フルオロアルキル基が、ポリビニルアセタール樹脂のポリマー主鎖骨格中ではなく、別のポリマーに存在することとなる。これにより、上記ポリビニルアセタール樹脂のポリマー主鎖骨格が崩れることがないことから、ポリビニルアセタール樹脂のポリマー構造が維持され、ポリビニルアセタール樹脂本来の優れた強靭性と柔軟性を実現することができる。また、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーによる離型性も併せて実現することができる。
更に、上記ポリビニルアセタール樹脂中に上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを含有することで、親水性基とフルオロ基の両方を有するため、フィルム表面上に存在する親水性基によって、付着した汚れとフィルム表面との間に水滴が入り込みやすくなる。これにより、従来のフッ素樹脂とは異なり、汚れがつきにくいだけでなく、汚れが付着したとしても、水で容易に洗い流すことが可能となる。
上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとしては、例えば、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、トリフルオロ酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。なかでも、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
上記フルオロアルキル基としては、アルキル鎖が直鎖又は分枝鎖を有していてもよく、アルキル基の水素の全てがフッ素化されたパーフルオロアルキル基でも、部分的にフッ素化されたフルオロアルキル基でもいずれであってもよい。
また、上記フルオロアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましい。
上記炭素数が上述の範囲内であることで、非フッ素系溶媒に可溶であり、上記ポリビニルアセタール樹脂の強靭性と柔軟性を発現させることが可能となる。
上記フルオロアルキル基の構造としては、鎖状、環状のいずれであってもよく、含フッ素芳香族環を含んでいてもよいが、鎖状構造が特に好ましい。例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基、オクタフルオロペンチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等の直鎖飽和炭化水素基、パーフルオロシクロヘキシル基等の飽和脂環式炭化水素基、パーフルオロベンジル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。フルオロアルキル基中のフッ素原子数は、3〜25であることが好ましく、より好ましくは8〜20である。
また、上記フルオロアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましい。
上記炭素数が上述の範囲内であることで、非フッ素系溶媒に可溶であり、上記ポリビニルアセタール樹脂の強靭性と柔軟性を発現させることが可能となる。
上記フルオロアルキル基の構造としては、鎖状、環状のいずれであってもよく、含フッ素芳香族環を含んでいてもよいが、鎖状構造が特に好ましい。例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基、オクタフルオロペンチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等の直鎖飽和炭化水素基、パーフルオロシクロヘキシル基等の飽和脂環式炭化水素基、パーフルオロベンジル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。フルオロアルキル基中のフッ素原子数は、3〜25であることが好ましく、より好ましくは8〜20である。
上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーは、上記ポリビニルアセタール樹脂の優れた強靭性と柔軟性を低下させることが無く、高い強靭性と柔軟性を発現させるため、重量平均分子量が10000〜1000000であることが好ましい。
上記重量平均分子量が10000未満であると、可塑性が増し、強靭性が低下することがあり、1000000を超えると、柔軟性が低下することがある。
上記重量平均分子量が10000未満であると、可塑性が増し、強靭性が低下することがあり、1000000を超えると、柔軟性が低下することがある。
上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを得るためのモノマーとしては、ガラス転移温度が制御しやすく、非フッ素系溶剤にも可溶なフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーが好ましい。その他、フッ素を有する、エポキシモノマー、ビニルモノマー、ビニルエーテルモノマー、オレフィンモノマー、スチレンモノマー等を用いることもできる。
上記ビニルモノマーとしては、例えば、トリフルオロ酢酸ビニル等が挙げられる。
上記フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーは、フルオロアルキル基がエステル側鎖に存在していることが好ましい。フルオロアルキル基中のフッ素原子数が3以上であることにより、離型性能がより発現する。上記エステル側鎖の構造としては、鎖状、環状のいずれであってもよく、アルキル基や芳香族環を含んでいてもよいが、鎖状構造が特に好ましい。
また、上記フルオロアルキル基中には炭化水素基が含まれていてもよい。上記炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等の直鎖飽和炭化水素基、シクロヘキシル基等の飽和脂環式炭化水素基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基が例示され、好ましくは直鎖飽和炭化水素基であり、中でも炭素数1〜5であるものが好ましい。
上記ビニルモノマーとしては、例えば、トリフルオロ酢酸ビニル等が挙げられる。
上記フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーは、フルオロアルキル基がエステル側鎖に存在していることが好ましい。フルオロアルキル基中のフッ素原子数が3以上であることにより、離型性能がより発現する。上記エステル側鎖の構造としては、鎖状、環状のいずれであってもよく、アルキル基や芳香族環を含んでいてもよいが、鎖状構造が特に好ましい。
また、上記フルオロアルキル基中には炭化水素基が含まれていてもよい。上記炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等の直鎖飽和炭化水素基、シクロヘキシル基等の飽和脂環式炭化水素基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基が例示され、好ましくは直鎖飽和炭化水素基であり、中でも炭素数1〜5であるものが好ましい。
上記フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記フルオロアルキル基を有するモノマーにおけるフッ素の原子濃度(at%)は特に限定されないが、フッ素の原子濃度が1〜60at%であることが好ましい。
上記フッ素の原子濃度が1at%未満であると、離型性の発現が困難となることがあり、60at%を超えると、非フッ素系溶剤に溶解が困難となることがある。より好ましい下限は3at%、更に好ましい下限は5at%である。また、溶剤への溶解性、強靭性と柔軟性の点から、より好ましい上限は55at%、更に好ましい上限は52at%、特に好ましい上限は50at%である。
上記フッ素の原子濃度が1at%未満であると、離型性の発現が困難となることがあり、60at%を超えると、非フッ素系溶剤に溶解が困難となることがある。より好ましい下限は3at%、更に好ましい下限は5at%である。また、溶剤への溶解性、強靭性と柔軟性の点から、より好ましい上限は55at%、更に好ましい上限は52at%、特に好ましい上限は50at%である。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルム中における上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの含有量は、1〜50重量%であることが好ましい。
上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの含有量が1重量%未満であると、離型性の発現が困難となることがあり、50重量%を超えると、強靭性を充分に発現できないことがある。より好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は40重量%である。
上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの含有量が1重量%未満であると、離型性の発現が困難となることがあり、50重量%を超えると、強靭性を充分に発現できないことがある。より好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は40重量%である。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムは、連続相としての上記ポリビニルアセタール樹脂中に、分散相としての上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが分散した構造からなることが好ましい。
なお、本明細書中では、連続相中に、分散相が分散した構造を海島構造ともいう。上記ポリビニルアセタール樹脂とフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとが、海島構造を有することにより、離型性や密着性、高強度、柔軟性を兼ね備えたものとすることができる。
なお、本明細書中では、連続相中に、分散相が分散した構造を海島構造ともいう。上記ポリビニルアセタール樹脂とフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとが、海島構造を有することにより、離型性や密着性、高強度、柔軟性を兼ね備えたものとすることができる。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムがこのような海島構造を有していることは、本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムを得た後、得られたフィルムをカミソリ刃やミクロトーム等を用いて切断し、その切断面を、例えば、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、位相差顕微鏡、偏光顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、顕微ラマン等を用いて観察することにより判断することができる。
上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーは、連続相としての上記ポリビニルアセタール樹脂中に、球状で分散していることが好ましい。
分散相である上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの平均分散径(直径)は、0.01〜10μmであることが好ましい。
上記平均分散径が0.01μm未満のものは、微細すぎるため離型性の効果が出ない場合があり、10μmを超えると、フィルム等に成形した場合に強度が低下することがある。上記平均分散径の、より好ましい下限は0.1μmであり、より好ましい上限は5.0μmである。
本発明において、分散径(直径)は、本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムを得た後、得られたフィルムをカミソリ刃やミクロトーム等を用いて切断し、その切断面に対し、例えば、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、位相差顕微鏡、偏光顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、顕微ラマン等を用いて分散相が撮影された写真を画像解析装置を用いて解析処理することにより測定することができ、平均分散径(直径)は、任意に選ばれた100個の分散相について、分散径(直径)の平均値を求めることにより算出することができる。
分散相である上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの平均分散径(直径)は、0.01〜10μmであることが好ましい。
上記平均分散径が0.01μm未満のものは、微細すぎるため離型性の効果が出ない場合があり、10μmを超えると、フィルム等に成形した場合に強度が低下することがある。上記平均分散径の、より好ましい下限は0.1μmであり、より好ましい上限は5.0μmである。
本発明において、分散径(直径)は、本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムを得た後、得られたフィルムをカミソリ刃やミクロトーム等を用いて切断し、その切断面に対し、例えば、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、位相差顕微鏡、偏光顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、顕微ラマン等を用いて分散相が撮影された写真を画像解析装置を用いて解析処理することにより測定することができ、平均分散径(直径)は、任意に選ばれた100個の分散相について、分散径(直径)の平均値を求めることにより算出することができる。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムにおいて、ポリビニルアセタール樹脂とフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとは、上記ポリビニルアセタール樹脂に上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーがグラフトしたコポリマーとなっていることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂に上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーがグラフトしたコポリマー(本明細書中、グラフトコポリマーともいう)とは、主鎖としての上記ポリビニルアセタール樹脂に、側鎖としての上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが分岐状に結合したポリマーである。
上記ポリビニルアセタール樹脂に上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーがグラフトしたコポリマー(本明細書中、グラフトコポリマーともいう)とは、主鎖としての上記ポリビニルアセタール樹脂に、側鎖としての上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが分岐状に結合したポリマーである。
上記グラフトコポリマーの分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が1000〜3000000であることが好ましい。このような範囲に調整することにより、ポリビニルアセタール系樹脂組成物の機械強度と柔軟性とのバランスをとることができる。また、スラリー粘度が高くなりすぎることを抑制することができる。
より好ましい重量平均分子量は10000〜1000000である。
より好ましい重量平均分子量は10000〜1000000である。
上記グラフトコポリマーのグラフト率(グラフトコポリマー中のポリビニルアセタール樹脂に対するフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの比率)は、用途に応じて設計されるため、特に限定されないが、10〜900重量%が好ましい。グラフト率をこのような範囲に調整することにより、シリコーン粘着剤用離型フィルムの強靭性と柔軟性とのバランスをとることができる。
なお、グラフト率は、グラフトコポリマー中のポリビニルアセタール樹脂に対するフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの比率を表し、単離したグラフトポリマーについてNMR測定を行い、ポリビニルアセタール樹脂の重量とフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの重量とを換算し、下記式を用いて算出することができる。
グラフト率(%)
={(フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの重量)/(ポリビニルアセタール樹脂の重量)}×100
なお、グラフト率は、グラフトコポリマー中のポリビニルアセタール樹脂に対するフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの比率を表し、単離したグラフトポリマーについてNMR測定を行い、ポリビニルアセタール樹脂の重量とフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの重量とを換算し、下記式を用いて算出することができる。
グラフト率(%)
={(フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの重量)/(ポリビニルアセタール樹脂の重量)}×100
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムは、一方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度が1.5〜50at%である。
上記一方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度が上記範囲内であることで、強度の低下を抑制しつつ、一方の主面で充分な離型性、他方の主面で充分な密着性を発現することができる。上記一方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度の好ましい下限は2.5at%、より好ましい下限は3.0at%、好ましい上限は40at%、より好ましい上限は10at%、更に好ましい上限は6at%である。
なお、表面近傍とは、フィルム表面からフィルム全体の厚みの20%の厚みまで領域をいう。また、主面の表面近傍のフッ素の原子濃度は、例えば、ミクロトーム等により精密に切削した試料の断面にカーボンをコーティング後、電界放射型走査電子顕微鏡により得られる二次電子像を、エネルギー分散型X線分析装置を用いて元素マッピングを行うことにより測定することができる。
上記一方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度が上記範囲内であることで、強度の低下を抑制しつつ、一方の主面で充分な離型性、他方の主面で充分な密着性を発現することができる。上記一方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度の好ましい下限は2.5at%、より好ましい下限は3.0at%、好ましい上限は40at%、より好ましい上限は10at%、更に好ましい上限は6at%である。
なお、表面近傍とは、フィルム表面からフィルム全体の厚みの20%の厚みまで領域をいう。また、主面の表面近傍のフッ素の原子濃度は、例えば、ミクロトーム等により精密に切削した試料の断面にカーボンをコーティング後、電界放射型走査電子顕微鏡により得られる二次電子像を、エネルギー分散型X線分析装置を用いて元素マッピングを行うことにより測定することができる。
本発明において、上記他方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度の好ましい下限は0.01at%、より好ましい下限は0.06at%、更に好ましい下限は0.3at%、好ましい上限は30at%、より好ましい上限は3at%、更に好ましい上限は1at%である。上記他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度が上記範囲内であることで、充分な密着性を発現することが可能となる。
本発明において、上記一方の主面の表面近傍と、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度の差は、0.5at%以上である。このような差があることで、一方の主面の表面近傍と他方の主面の表面近傍とで異なる離型性及び密着性を発現することができる。より好ましくは、1.0at%以上であり、更に好ましくは、2.2at%以上である。上限は特に制約は無いが50at%を挙げることができる。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムは、中心部におけるフッ素の原子濃度が、上記一方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度の2/3以下であることが好ましい。上記2/3を超えると、柔軟性が高くなりすぎ、強靭性が低下することがある。
より好ましい上限は1/2である。
なお、上記表面近傍と中心部のフッ素の原子濃度は、本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムを得た後、得られたフィルムをカミソリ刃やミクロトーム等を用いて切断し、そのフィルム断面のフッ素の元素分布を走査電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDS)を用いて観測することにより測定することができる。
より好ましい上限は1/2である。
なお、上記表面近傍と中心部のフッ素の原子濃度は、本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムを得た後、得られたフィルムをカミソリ刃やミクロトーム等を用いて切断し、そのフィルム断面のフッ素の元素分布を走査電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDS)を用いて観測することにより測定することができる。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムの断面拡大写真を図1に示す。
図1は本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムを得た後、得られたフィルムをミクロトームを用いて切断し、フィルム断面を走査電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDS)を用いて観測したフィルム断面図である。
図1に示すように、本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムはフッ素の原子濃度の濃度が一様ではなく、一方の主面の表面近傍により多くのフッ素原子が存在し、中心部、さらに他方の表面近傍にいくにつれ分散相が減少している構造を有する。
これにより、高い機械強度と表裏で異なる離型性、密着性を付与することができる。
図1は本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムを得た後、得られたフィルムをミクロトームを用いて切断し、フィルム断面を走査電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDS)を用いて観測したフィルム断面図である。
図1に示すように、本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムはフッ素の原子濃度の濃度が一様ではなく、一方の主面の表面近傍により多くのフッ素原子が存在し、中心部、さらに他方の表面近傍にいくにつれ分散相が減少している構造を有する。
これにより、高い機械強度と表裏で異なる離型性、密着性を付与することができる。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムを製造する方法は特に限定されず、例えば、ポリビニルアセタール樹脂と、フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーと、有機溶剤を含有するポリビニルアセタール系樹脂組成物を調製した後、フィルム状に成形する方法等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物を作製する方法としては、例えば、ブレンド法、二段反応法等が採用できる。
上記ブレンド法とは、上記ポリビニルアセタール樹脂と、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとを別々に準備した後、両者を混合(ブレンド)する方法である。混合方法は特に限定されず、例えば、溶融混練混合、溶解液混合等が挙げられる。二段反応法とは、まず、上記ポリビニルアセタール樹脂を準備し、上記ポリビニルアセタール樹脂の存在下で上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを構成するモノマーの重合を行う方法である。
上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物を作製する方法としては、例えば、ブレンド法、二段反応法等が採用できる。
上記ブレンド法とは、上記ポリビニルアセタール樹脂と、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとを別々に準備した後、両者を混合(ブレンド)する方法である。混合方法は特に限定されず、例えば、溶融混練混合、溶解液混合等が挙げられる。二段反応法とは、まず、上記ポリビニルアセタール樹脂を準備し、上記ポリビニルアセタール樹脂の存在下で上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを構成するモノマーの重合を行う方法である。
上記二段反応法は、ブレンド法と比較して、分散相である上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの平均分散径(直径)が小さくなる。これは、上記フルオロアルキル基を有するモノマーの重合時に、上記ポリビニルアセタール樹脂に上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーがグラフトしたコポリマーが一部生成し、該コポリマーが、連続相と分散相との両方に対して親和性を有する界面活性作用(相溶化作用)を発揮して、分散相を安定化させるためと考えられる。このような分散相の平均直径が小さいポリビニルアセタール系樹脂組成物は、上述したような海島構造を有するとともに、より優れた機械強度を発現することができる。
従って、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物は、二段反応法を用いて製造することが好ましい。なかでも、上記ポリビニルアセタール樹脂の存在下で、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーの重合を行う方法が特に好ましい。
従って、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物は、二段反応法を用いて製造することが好ましい。なかでも、上記ポリビニルアセタール樹脂の存在下で、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーの重合を行う方法が特に好ましい。
上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物は溶剤を含有する。
上記溶剤としては、特に限定されないが、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの両方に対して良溶媒である溶剤(以下、両樹脂良溶媒性溶剤ともいう)を用いることが好ましい。
上記両樹脂良溶媒性溶剤としては、例えば、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物は、樹脂成分が1〜20重量%であることが好ましい。
上記溶剤としては、特に限定されないが、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの両方に対して良溶媒である溶剤(以下、両樹脂良溶媒性溶剤ともいう)を用いることが好ましい。
上記両樹脂良溶媒性溶剤としては、例えば、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物は、樹脂成分が1〜20重量%であることが好ましい。
上記両樹脂良溶媒性溶剤を用いることにより、強靭性と柔軟性を有し、一方の主面と他方の主面とで異なる離型性及び密着性を有するフィルムを得ることが可能となる。
このように各主面で異なる離型性及び密着性を有するフィルムが得られる理由は以下の通りであると考えられる。
まず、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを両樹脂良溶媒性溶剤に溶解することで、両樹脂間の絡み合いが解けて分子が動きやすくなる。その際、フルオロアルキル基が有する表面自由エネルギーを最小化しようとする作用が働く。その結果、フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが表面付近に移行しようとするため、フィルム表面近傍にフッ素が偏析することとなる。一方で、フィルム状に成形する際には、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物を支持体に塗工、乾燥する方法が一般的に用いられるが、支持体とフルオロアルキル基との相互作用によって、特にフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが支持体側の表面近傍に移行しやすくなる。その結果、一方の主面の表面近傍と、他方の主面の表面近傍とでフッ素の原子濃度が異なるシリコーン粘着剤用離型フィルムが得られる。
このように各主面で異なる離型性及び密着性を有するフィルムが得られる理由は以下の通りであると考えられる。
まず、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーを両樹脂良溶媒性溶剤に溶解することで、両樹脂間の絡み合いが解けて分子が動きやすくなる。その際、フルオロアルキル基が有する表面自由エネルギーを最小化しようとする作用が働く。その結果、フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが表面付近に移行しようとするため、フィルム表面近傍にフッ素が偏析することとなる。一方で、フィルム状に成形する際には、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物を支持体に塗工、乾燥する方法が一般的に用いられるが、支持体とフルオロアルキル基との相互作用によって、特にフルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが支持体側の表面近傍に移行しやすくなる。その結果、一方の主面の表面近傍と、他方の主面の表面近傍とでフッ素の原子濃度が異なるシリコーン粘着剤用離型フィルムが得られる。
一方で、例えば、上記ポリビニルアセタール樹脂には良溶媒性を示すが、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーに対しては良溶媒性を示さない溶剤(例えば、アルコール系溶剤等)を単独で用いた場合、表面近傍のフッ素濃度が低下し、離型性を示さない。これは、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーに対しては良溶媒性を示さない溶剤中では、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが絡み合い、凝集しやすくなる。これに対して、上記溶剤は、ポリビニルアセタール樹脂に対しては良溶媒性であるため、上記ポリビニルアセタール樹脂同士の絡み合いが解け、広がりやすくなる。その結果、絡み合いが解けて大きく広がった上記ポリビニルアセタール樹脂中に凝集体として上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが存在する構成となるため、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの表面近傍への移行が起らないこととなる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物は、海島構造を破壊しない程度であれば、更に、相溶化剤を含有していてもよい。
上記相溶化剤は特に限定されず、例えば、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとのブロックコポリマー又はグラフトコポリマー、イオン的相互作用による相溶化剤(例えば、特定の官能基を有する化合物又はポリマー等)等が挙げられる。
上記相溶化剤は特に限定されず、例えば、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとのブロックコポリマー又はグラフトコポリマー、イオン的相互作用による相溶化剤(例えば、特定の官能基を有する化合物又はポリマー等)等が挙げられる。
上記フィルム状に成形する方法としては、特に限定されず、例えば、溶融押出法、キャスト法等を用いることができる。
なかでも、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物をキャストする方法が好ましい。特に、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物を支持体上に塗工し、乾燥させる方法が好ましい。このような方法とすることで、フィルムの中心部のフッ素濃度よりも片側のフィルム表面近傍のフッ素濃度を高濃度にすることが可能となり、高い強靭性、柔軟性と表裏で異なる離型性、密着性を付与することができる。
なかでも、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物をキャストする方法が好ましい。特に、上記ポリビニルアセタール系樹脂組成物を支持体上に塗工し、乾燥させる方法が好ましい。このような方法とすることで、フィルムの中心部のフッ素濃度よりも片側のフィルム表面近傍のフッ素濃度を高濃度にすることが可能となり、高い強靭性、柔軟性と表裏で異なる離型性、密着性を付与することができる。
上記支持体としては、本発明のポリビニルアセタール系樹脂よりも、表面自由エネルギーの低い支持体が好ましい。表面自由エネルギーの異なる支持体を用いることでフィルム表面近傍のフッ素濃度を制御することができる。
上記表面自由エネルギーの低い支持体としては、シリコーン等で離型処理されたPETフィルムを例示できる。
本発明のポリビニルアセタール系樹脂よりも、表面自由エネルギーの低い支持体を用いると、当該支持体に面している、ポリビニルアセタール系樹脂からなるフィルム表面近傍では、凝集力の低い上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる支持体側の表面近傍に集まりやすくなると考えられる。
一方、表面自由エネルギーの高い支持体を用いた場合、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーは、支持体側の表面近傍への偏りは生じ難いと考えられる。上記表面自由エネルギーが高い支持体としては、シリコーン離型処理等の表面処理がなされていないPETフィルムを例示すことができる。
なお、表面自由エネルギーは、公知の方法で測定することが出来、特に限定されない。
上記表面自由エネルギーの低い支持体としては、シリコーン等で離型処理されたPETフィルムを例示できる。
本発明のポリビニルアセタール系樹脂よりも、表面自由エネルギーの低い支持体を用いると、当該支持体に面している、ポリビニルアセタール系樹脂からなるフィルム表面近傍では、凝集力の低い上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーが上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる支持体側の表面近傍に集まりやすくなると考えられる。
一方、表面自由エネルギーの高い支持体を用いた場合、上記フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーは、支持体側の表面近傍への偏りは生じ難いと考えられる。上記表面自由エネルギーが高い支持体としては、シリコーン離型処理等の表面処理がなされていないPETフィルムを例示すことができる。
なお、表面自由エネルギーは、公知の方法で測定することが出来、特に限定されない。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムは、フレキシブル回路基板、フレキシブルディスプレイ、タッチパネル、有機EL用のシリコーン粘着テープ基材やシリコーン粘着ラベル用の剥離剤用途に好適である。
本発明のシリコーン粘着剤用離型フィルムを用いたシリコーン粘着テープも、本発明の1つである。
本発明によれば、シリコーン粘着剤に対する離型性及び密着性に優れ、かつ、強靭で柔軟性が高いシリコーン粘着剤用離型フィルム、並びに、該シリコーン粘着剤用離型フィルムを用いたシリコーン粘着テープを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート100重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は1.7μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ7.6at%、2.8at%、1.3at%であった。
なお、表面近傍と中心部のフッ素の原子濃度は、以下の方法で測定した。
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート100重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は1.7μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ7.6at%、2.8at%、1.3at%であった。
なお、表面近傍と中心部のフッ素の原子濃度は、以下の方法で測定した。
(フィルム断面におけるフッ素原子濃度測定)
ミクロトームにより精密に切削した試料の断面にカーボンをコーティング後、電界放射型走査電子顕微鏡(日立製 S−4300SE/N)により二次電子像にて観察および分析を行った。得られた二次電子像についてエネルギー分散型X線分析装置(Thermo Fisher製 NORAN SYSTEM7)を用いて元素マッピングを行うことによりフィルム断面における元素分布、フッ素原子の原子濃度を測定した。
ミクロトームにより精密に切削した試料の断面にカーボンをコーティング後、電界放射型走査電子顕微鏡(日立製 S−4300SE/N)により二次電子像にて観察および分析を行った。得られた二次電子像についてエネルギー分散型X線分析装置(Thermo Fisher製 NORAN SYSTEM7)を用いて元素マッピングを行うことによりフィルム断面における元素分布、フッ素原子の原子濃度を測定した。
(実施例2)
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート20重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は0.9μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ4.3at%、2.1at%、0.8at%であった。
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート20重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は0.9μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ4.3at%、2.1at%、0.8at%であった。
(実施例3)
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート1重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は0.4μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ1.6at%、0.3at%、0.1at%であった。
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート1重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は0.4μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ1.6at%、0.3at%、0.1at%であった。
(実施例4)
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート20重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は1.4μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ4.2at%、1.6at%、0.7at%であった。
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート20重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は1.4μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ4.2at%、1.6at%、0.7at%であった。
(実施例5)
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部とトリフルオロ酢酸ビニル20重量部と、重合溶媒としての酢酸ブチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸ブチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は2.0μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ4.4at%、2.2at%、0.6at%であった。
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部とトリフルオロ酢酸ビニル20重量部と、重合溶媒としての酢酸ブチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸ブチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は2.0μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ4.4at%、2.2at%、0.6at%であった。
(比較例1)
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部とベンジルアクリレート100重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.75重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は5.0μmであった。
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部とベンジルアクリレート100重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート0.75重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相として(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は5.0μmであった。
(比較例2)
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート100重量部と重合溶媒としてのメタノール300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液にメタノールを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相としてフッ素原子を有する(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は20μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素濃度はそれぞれ0.8at%、4.9at%、0.7at%であった。
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)100重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート100重量部と重合溶媒としてのメタノール300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液にメタノールを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相としてフッ素原子を有する(メタ)アクリル樹脂が分散した構造が確認できた。分散相の平均分散径は20μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素濃度はそれぞれ0.8at%、4.9at%、0.7at%であった。
(比較例3)
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)70重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート130重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのフッ素原子を有する(メタ)アクリル樹脂に、分散相としてポリビニルアセタール樹脂中が分散している構造が確認できた。分散相の平均分散径は4.5μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ8.2at%、6.6at%、8.0at%であった。
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)70重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート130重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのフッ素原子を有する(メタ)アクリル樹脂に、分散相としてポリビニルアセタール樹脂中が分散している構造が確認できた。分散相の平均分散径は4.5μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ8.2at%、6.6at%、8.0at%であった。
(比較例4)
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)199重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート1重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相としてフッ素原子を有する(メタ)アクリル樹脂が分散し、さらに、分散相がフィルム表面近傍により多く存在し、フィルム内部にいくにつれて分散相が減少する構造が確認できた。分散相の平均分散径は0.2μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ0.5at%、0.3at%、0.1at%であった。
(離型フィルムの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度67.0モル%、水酸基量32.0モル%、アセチル基量1.0モル%)199重量部と1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート1重量部と、重合溶媒としての酢酸エチル300重量部を加え、攪拌しながらポリビニルアセタール樹脂を溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込み、反応容器内を窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。次いで、上記反応器内に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート2.0重量部を4時間かけて滴下添加した。70℃にて、重合開始剤の添加開始から5時間還流させた後、反応液を冷却した。得られた溶液に酢酸エチルを加えて希釈し、固形分20重量%の溶液を得た。
得られた溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥させた後、110℃で20分間加熱し、離型フィルムを得た。
得られたフィルムを、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、連続相としてのポリビニルアセタール樹脂中に、分散相としてフッ素原子を有する(メタ)アクリル樹脂が分散し、さらに、分散相がフィルム表面近傍により多く存在し、フィルム内部にいくにつれて分散相が減少する構造が確認できた。分散相の平均分散径は0.2μmであった。一方の主面の表面近傍と中心部、及び、他方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度はそれぞれ0.5at%、0.3at%、0.1at%であった。
<評価>
実施例及び比較例で得られた離型フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた離型フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)離型性評価
得られた離型フィルムのフッ素の原子濃度が高い主面に幅25mmのシリコーンテープ〔ASF−110FR(中興化成工業社製)〕を2kgのローラーを1往復させて、貼り合わせた後、室温にて1時間放置後に引張試験機を用いて180°の角度で剥離速度0.3m/分でテープを引っ張り、剥離するのに要する力(N)を測定した。得られた剥離力について、以下の基準で評価した。
○:剥離力が4N/25mm未満
△:剥離力が4N/25mm以上6N/25mm未満
×:剥離力が6N/25mm以上
得られた離型フィルムのフッ素の原子濃度が高い主面に幅25mmのシリコーンテープ〔ASF−110FR(中興化成工業社製)〕を2kgのローラーを1往復させて、貼り合わせた後、室温にて1時間放置後に引張試験機を用いて180°の角度で剥離速度0.3m/分でテープを引っ張り、剥離するのに要する力(N)を測定した。得られた剥離力について、以下の基準で評価した。
○:剥離力が4N/25mm未満
△:剥離力が4N/25mm以上6N/25mm未満
×:剥離力が6N/25mm以上
(2)密着性評価
得られた離型フィルムの「離型性評価」を行った面とは反対側の主面に幅25mmのシリコーンテープ〔ASF−110FR(中興化成工業社製)〕を2kgのローラーを1往復させて、貼り合わせた後、室温にて1時間放置後に引張試験機を用いて180°の角度で剥離速度0.3m/分でテープを引っ張り、剥離するのに要する力(N)を測定した。得られた剥離力について、以下の基準で評価した。
○:剥離力がフッ素の原子濃度が高い面における剥離力の2.0倍以上
△:剥離力がフッ素の原子濃度が高い面における剥離力の1.5倍以上2.0倍未満
×:剥離力がフッ素の原子濃度が高い面における剥離力の1.5倍未満
得られた離型フィルムの「離型性評価」を行った面とは反対側の主面に幅25mmのシリコーンテープ〔ASF−110FR(中興化成工業社製)〕を2kgのローラーを1往復させて、貼り合わせた後、室温にて1時間放置後に引張試験機を用いて180°の角度で剥離速度0.3m/分でテープを引っ張り、剥離するのに要する力(N)を測定した。得られた剥離力について、以下の基準で評価した。
○:剥離力がフッ素の原子濃度が高い面における剥離力の2.0倍以上
△:剥離力がフッ素の原子濃度が高い面における剥離力の1.5倍以上2.0倍未満
×:剥離力がフッ素の原子濃度が高い面における剥離力の1.5倍未満
(3)強靭性・柔軟性評価
得られた離型フィルムを10×40mmのサイズに裁断し、引張試験機を用いて引張速度0.1m/分でフィルムを引っ張り、引っ張り強度(N/mm2)を測定した。得られた引張伸度及び破断強度について、以下の基準で評価した。
[強靭性]
○:破断強度が30N/mm2以上
△:破断強度が10N/mm2以上30N/mm2未満
×:破断強度が10N/mm2未満
[柔軟性]
○:引張伸度が150%以上
△:引張伸度が100%以上150%未満
×:引張伸度が100%未満
得られた離型フィルムを10×40mmのサイズに裁断し、引張試験機を用いて引張速度0.1m/分でフィルムを引っ張り、引っ張り強度(N/mm2)を測定した。得られた引張伸度及び破断強度について、以下の基準で評価した。
[強靭性]
○:破断強度が30N/mm2以上
△:破断強度が10N/mm2以上30N/mm2未満
×:破断強度が10N/mm2未満
[柔軟性]
○:引張伸度が150%以上
△:引張伸度が100%以上150%未満
×:引張伸度が100%未満
(4)防汚性評価
得られた離型フィルムを適当なサイズに裁断し、ゼブラ社製の油性マーカー「マッキー極細」(黒,品番MO−120−MC−BK)でマークし、水中に24時間浸漬させ、その後、取り出したフィルムの表面をテッシュペーパーで拭き取った。拭き取り後の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
〇:マークを完全に拭き取れた。
×:マークを完全に拭き取れなかった。
得られた離型フィルムを適当なサイズに裁断し、ゼブラ社製の油性マーカー「マッキー極細」(黒,品番MO−120−MC−BK)でマークし、水中に24時間浸漬させ、その後、取り出したフィルムの表面をテッシュペーパーで拭き取った。拭き取り後の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
〇:マークを完全に拭き取れた。
×:マークを完全に拭き取れなかった。
本発明によれば、シリコーン粘着剤に対する離型性及び密着性に優れ、かつ、強靭で柔軟性が高いシリコーン粘着剤用離型フィルム、並びに、該シリコーン粘着剤用離型フィルムを用いたシリコーン粘着テープを提供することができる。
Claims (6)
- ポリビニルアセタール樹脂と、フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーとを含有するシリコーン粘着剤用離型フィルムであり、
一方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度が1.5〜50at%であり、かつ、
一方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度と他方の主面の表面近傍におけるフッ素の原子濃度の差が0.5at%以上である
ことを特徴とするシリコーン粘着剤用離型フィルム。 - ポリビニルアセタール樹脂の含有量が50〜99重量%であり、フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーの含有量が1〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載のシリコーン粘着剤用離型フィルム。
- フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーは、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載のシリコーン粘着剤用離型フィルム。
- フルオロアルキル基を有するモノマーに由来する構造単位を有するポリマーは、球状で分散しており、平均分散径が0.01〜10μmであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のシリコーン粘着剤用離型フィルム。
- 中心部におけるフッ素の原子濃度が、前記一方の主面の表面近傍のフッ素の原子濃度の2/3以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のシリコーン粘着剤用離型フィルム。
- 請求項1、2、3、4又は5記載のシリコーン粘着剤用離型フィルムを基材として用いてなることを特徴とするシリコーン粘着テープ。
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