JP2015182514A - 操舵支援装置 - Google Patents

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Takahiro Koshiro
隆博 小城
洋司 国弘
Yoji Kunihiro
洋司 国弘
鈴木 善昭
Yoshiaki Suzuki
善昭 鈴木
佳夫 工藤
Yoshio Kudo
佳夫 工藤
真生 上山
Masao Kamiyama
真生 上山
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Abstract

【課題】運転者の意思が考慮された操舵操作の支援を行うこと。【解決手段】運転者によるステアリングホイール11の操舵角の変化量に対する車両のヨーモーメントの変化量を変化させる前輪舵角可変装置30及び後輪転舵装置40と、操舵角を検出する操舵角検出部51と、運転者による前記ステアリングホイールに対する操舵トルクを検出する操舵トルク検出部52と、を備え、かつ、前輪舵角可変装置30及び後輪転舵装置40を制御するヨー運動制御部と、操舵角に関するパラメータと操舵トルクに関するパラメータとに基づいて、運転者のステアリングホイール11に対する操舵形態が表された操舵形態判別値を算出する操舵形態判別値算出部と、を操舵ECU1に備え、ヨー運動制御部は、操舵形態判別値に基づいて操舵角の変化量に対するヨーモーメントの変化量を調整すること。【選択図】図1

Description

本発明は、運転者の操舵操作を支援する操舵支援装置に関する。
従来、この種の操舵支援装置としては、ステアリングギヤ比(ステアリングホイールと転舵輪との間のギヤ比)の可変機構や後輪操舵機構等が知られている。例えば、下記の特許文献1には、操舵操作時の操舵角又は操舵角速度に基づいてステアリングギヤ比を可変させる技術が開示されている。この特許文献1の技術では、操舵角が所定角度よりも大きい場合、ステアリングギヤ比の変更により操舵角の変化量に対する転舵輪の転舵角の変化量を大きくして、操舵操作に伴う車両の応答性を高めるが、操舵角が所定角度以下の場合、操舵角の変化量に対する転舵角の変化量を小さくすることで、ステアリングホイールが中立位置付近にあるときの運転者の違和感を抑えている。
特開2008−030721号公報
ところで、運転者の操舵操作の形態は、運転者が自ら積極的に行う操舵形態と、これ以外の例えば保舵のために行われる操舵形態と、に分けられる。上記特許文献1の技術では、操舵角が所定角度以下の場合、後者の操舵形態であれば、操舵角の変化に対する車両の挙動の変化が抑えられるので、運転者の違和感が抑制される。しかしながら、この技術では、前者の操舵形態の場合でも、操舵角が所定角度以下であるならば、操舵角の変化に対する車両の挙動の変化が抑えられてしまうので、積極的に操舵操作を行っている運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。また、この技術では、後者の操舵形態の場合又はステアリングホイールから手を放している場合、例えば転舵輪への大きな外乱の入力によって操舵角が所定角度よりも大きく動かされてしまうと、操舵角に対する車両の応答性が高くなっている分だけ、車両が敏感に動いてしまうので、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、運転者の意思が考慮された操舵操作の支援が可能な操舵支援装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、運転者によるステアリングホイールの操舵角の変化量に対する車両のヨーモーメントの変化量を変化させるヨー運動特性可変部と、前記ヨー運動特性可変部を制御するヨー運動制御部と、前記操舵角を検出する操舵角検出部と、運転者による前記ステアリングホイールに対する操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、前記操舵角に関するパラメータと前記操舵トルクに関するパラメータとに基づいて、運転者の前記ステアリングホイールに対する操舵形態が表された操舵形態判別値を算出する操舵形態判別値算出部と、を備え、前記ヨー運動制御部は、前記操舵形態判別値に基づいて前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を調整することを特徴としている。
ここで、前記ヨー運動制御部は、運転者が意図して能動的に行う能動操舵を前記操舵形態判別値が示している場合と当該能動操舵以外の受動操舵を前記操舵形態判別値が示している場合とで、前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を変更することが望ましい。
また、前記ヨー運動制御部は、前記操舵角の変化が切り込み操舵を示しており、かつ、運転者が意図して能動的に行う能動操舵を前記切り込み操舵時における前記操舵形態判別値が示している場合、前記切り込み操舵時における前記操舵形態判別値が前記能動操舵以外の受動操舵を示している場合と比較して、前記操舵角の増加量に対する前記ヨーモーメントの増加量を大きくすることが望ましい。
また、前記ヨー運動制御部は、前記操舵角の変化が切り戻し操舵を示している場合、該切り戻し操舵時における前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を、該切り戻し操舵の前に行われた前記切り込み操舵時におけるものと同等にすることが望ましい。
また、前記ヨー運動制御部は、前記操舵角の変化が切り戻し操舵を示している場合、該切り戻し操舵時における前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を、前記切り戻し操舵の検知時の前記操舵角と前記ヨーモーメントに基づいて、前記操舵角と前記ヨーモーメントが共に0の原点を通る一次関数又は二次関数で表される変化特性を有するものとすることが望ましい。
また、前記ヨー運動制御部は、前記操舵角の変化が切り戻し操舵を示しており、かつ、運転者が意図して能動的に行う能動操舵を前記切り戻し操舵時における前記操舵形態判別値が示している場合、該切り戻し操舵時における前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を、前記能動操舵の検知時の前記操舵角と前記ヨーモーメントに基づいて、前記操舵角と前記ヨーモーメントが共に0の原点を通る一次関数又は二次関数で表される変化特性を有するものとすることが望ましい。
また、前記ヨー運動制御部は、前記受動操舵が続いている場合、該受動操舵時における前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を前記切り込み操舵時におけるものと同等にすることが望ましい。
また、前記ヨー運動特性可変部は、前記操舵角の変化量に対する前輪の転舵角の変化量を調整することで前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を変化させる前輪舵角可変装置と前記前輪と共に後輪も転舵させることで前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を変化させる後輪転舵装置の内の少なくとも1つであることが望ましい。
本発明に係る操舵支援装置は、操舵形態判別値に基づいて操舵角の変化量に対するヨーモーメントの変化量を調整することで、車両を運転者の操舵形態に応じた(つまり運転者の操舵操作の意思が反映された)挙動変化の応答性に制御することができる。よって、この操舵支援装置によれば、運転者の意思が考慮された操舵操作の支援が行われることになる。
図1は、本発明に係る操舵支援装置が適用される車両の一例を示す図である。 図2は、操舵形態ゲインの一例について説明する図である。 図3は、操舵形態ゲインの他の例について説明する図である。 図4は、操舵形態に応じた定常ステアゲインのマップの一例について説明する図である。 図5は、図4のマップが適用されたときの操舵角に対する目標前輪転舵角のマップの一例について説明する図である。 図6は、操舵形態に応じた微分ステアゲインのマップの一例について説明する図である。 図7は、図6のマップが適用されたときの操舵角に対する目標前輪転舵角のマップの一例について説明する図である。 図8は、ステアリングギヤ比の変更について説明するフローチャートである。 図9は、目標前輪転舵角の算出について説明する図である。 図10は、ギヤ比マップの一例を示す図である。 図11は、ステアリングギヤ比の変更について説明するフローチャートである。 図12は、目標前輪転舵角の算出について説明する図である。 図13は、微分ゲインマップの一例を示す図である。 図14は、操舵角に対する目標前輪転舵角のマップの一例について説明する図である。 図15は、操舵角に対する目標前輪転舵角のマップの一例について説明する図である。 図16は、操舵角に対する目標前輪転舵角のマップの一例について説明する図である。 図17は、操舵角に対する目標前輪転舵角のマップの一例について説明する図である。 図18は、図14のマップが適用されたときのタイムチャートの一例である。 図19は、図15のマップが適用されたときのタイムチャートの一例である。 図20は、図16のマップが適用されたときのタイムチャートの一例である。 図21は、図17のマップが適用されたときのタイムチャートの一例である。 図22は、切り込み操舵中に受動操舵から能動操舵に変化したときのタイムチャートの一例である。 図23は、切り戻し操舵時におけるステアリングギヤ比の変更について説明するフローチャートである。 図24は、目標前輪転舵角の算出について説明する図である。 図25は、ヨーモーメント変化量の特性設定について説明するフローチャートである。 図26は、操舵形態判定の他の例について説明する図である。 図27は、操舵形態判定の他の例について説明する図である。 図28は、操舵形態判定の他の例について説明する図である。
以下に、本発明に係る操舵支援装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係る操舵支援装置の実施例を図1から図13に基づいて説明する。
本実施例の操舵支援装置は、後述する操舵支援制御に関わる演算処理を行う電子制御装置(以下、「操舵ECU」という。)1を備える(図1)。
この操舵支援装置が適用される車両について説明する。
この車両は、操舵装置10と前輪転舵装置20とを備える。
操舵装置10は、この車両の転舵輪を運転者が転舵させる際に使用する装置であり、ステアリングホイール11と、このステアリングホイール11に連結された回転軸(以下、「ステアリングシャフト」という。)12と、を備える。
前輪転舵装置20は、操舵装置10の出力軸13の回転角に応じた転舵角θwfで転舵輪としての前輪Wfを転舵させるものである。その出力軸13は、後述するギヤ比可変部31を介してステアリングシャフト12に連結されている。この前輪転舵装置20は、その出力軸13から伝えられた回転トルクを転舵力(軸力)に変換するギヤ機構21を備える。例えば、そのギヤ機構21は、図示しないラックギヤやピニオンギヤによる所謂ラック&ピニオン機構である。このギヤ機構21は、左右それぞれのタイロッド22を介して転舵力を前輪Wfに伝えることで、この前輪Wfを転舵させる。
更に、この車両には、運転者によるステアリングホイール11の操舵角θsの変化量に対するヨーモーメントの変化量を変化させることで、操舵操作に対する車体のヨー運動特性を変化させるヨー運動特性可変部が設けられている。そのヨー運動特性可変部とは、例えば前輪舵角可変装置30や後輪転舵装置40のことである。車両には、前輪舵角可変装置30と後輪転舵装置40の内の少なくとも1つを設ける。この例示では、前輪舵角可変装置30と後輪転舵装置40とを各々設けている。
前輪舵角可変装置30とは、操舵角θsの変化量に対する前輪Wfの転舵角θwfの変化量(以下、「前輪舵角変化量」という。)の調整が可能な装置であり、操舵角θsの変化量に対する前輪舵角変化量を調整することで、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメントの変化量(以下、「ヨーモーメント変化量」という。)を変化させるものである。後輪転舵装置40とは、後輪Wrを転舵輪として転舵させることが可能な装置であり、前輪Wfと共に後輪Wrも転舵させることで、前輪Wfのみの転舵時と比較して、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を変化させることができる。
具体的に、その前輪舵角可変装置30とは、いわゆるギヤ比可変ステアリング(VGRS:Variable Gear Ratio Steering)システム等で設けられている装置である。この前輪舵角可変装置30には、ステアリングホイール11と前輪Wfとの間のステアリングギヤ比(θs/θwf)を変化させるギヤ比可変部31が設けられている。
そのギヤ比可変部31は、ステアリングホイール11と前輪転舵装置20との間、具体的にはステアリングシャフト12と前輪転舵装置20側の出力軸13との間に配置し、ステアリングシャフト12の回転角(操舵角θs)に対する出力軸13の回転角を変更することで、ステアリングギヤ比を変化させる。このギヤ比可変部31は、例えば図示しない電動機や歯車群等を備えており、その歯車群を介してステアリングシャフト12と出力軸13とを連結させている。このギヤ比可変部31は、その動作が操舵ECU1の前輪舵角制御部によって制御される。
車両においては、例えば今現在と比較して、ステアリングギヤ比を小さくする{操舵角θsに対する車両応答に関しての定常ステアゲイン(1/ステアリングギヤ比)と微分ステアゲインの内の少なくとも一方を大きくする}ことで、操舵角θsの変化量に対する前輪舵角変化量が大きくなるので、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量が大きくなる。例えば、切り込み操舵の場合には、ステアリングギヤ比を小さくすることで、操舵角θsの増加量に対する前輪Wfの転舵角θwfの増加量が大きくなるので、操舵角θsの増加量に対するヨーモーメントの増加量が大きくなり、操舵角θsの増加量に対する車両の回頭性が高くなる。一方、切り戻し操舵の場合には、操舵角θsの減少量に対する前輪Wfの転舵角θwfの減少量が大きくなるので、操舵角θsの減少量に対するヨーモーメントの減少量が大きくなり、操舵角θsの減少量に対する直進状態に向けた車両の挙動変化の応答性が高くなる。
尚、ここでは、ステアリングホイール11の中立位置(操舵角θs=0)から左右何れかへと操舵角θsを増加させていく操舵操作を切り込み操舵といい、その切り込んでいる状態から操舵角θsを中立位置に向けて減少させていく操舵操作を切り戻し操舵という。
これに対して、今現在と比較してステアリングギヤ比を大きくした(定常ステアゲインと微分ステアゲインの内の少なくとも一方を小さくした)場合には、操舵角θsの変化量に対する前輪舵角変化量が小さくなるので、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量が小さくなる。例えば、切り込み操舵の場合には、操舵角θsの増加量に対する前輪Wfの転舵角θwfの増加量が小さくなるので、操舵角θsの増加量に対するヨーモーメントの増加量が小さくなり、操舵角θsの増加量に対する車両の回頭性が低くなる。一方、切り戻し操舵の場合には、操舵角θsの減少量に対する前輪Wfの転舵角θwfの減少量が小さくなるので、操舵角θsの減少量に対するヨーモーメントの減少量が小さくなり、操舵角θsの減少量に対する直進状態に向けた車両の挙動変化の応答性が低くなる。
後輪転舵装置40とは、いわゆる後輪操舵(ARS:Active Rear Steer)システム等で設けられている装置である。この後輪転舵装置40は、転舵力(軸力)を発生させる転舵力発生機構41を備える。その転舵力発生機構41は、例えば、図示しない電動機や歯車群を備えており、電動機の動力で発生させた転舵力(軸力)を左右それぞれのタイロッド42を介して後輪Wrに伝えることで、この後輪Wrを転舵させる。この転舵力発生機構41は、その動作が操舵ECU1の後輪舵角制御部によって制御される。この転舵力発生機構41は、後輪Wrの転舵方向を前輪Wfの転舵方向に対して同位相又は逆位相に切り換えることができる。
車両においては、例えば今現在と比較して、ヨーモーメントが大きくなるように後輪転舵制御量(後輪Wrの転舵角θwrと位相)を調整することで、操舵角θsの変化量に対する車両の回頭性を高めることができる。また、ヨーモーメントが小さくなるように後輪転舵制御量を調整した場合には、操舵角θsの変化量に対する車両の回頭性を低下させることができる。
例えば、切り込み操舵の場合には、今現在と比較して定常ステアゲインと微分ステアゲインの内の少なくとも一方を大きくし、その操舵操作に応じた旋回方向のヨーモーメントが大きくなるように後輪転舵制御量を調整することで、操舵角θsの増加量に対するヨーモーメントの増加量を大きくすることができ、操舵角θsの増加量に対する車両の回頭性が高くなる。また、切り込み操舵の場合には、今現在と比較して定常ステアゲインと微分ステアゲインの内の少なくとも一方を小さくし、その操舵操作に応じた方向のヨーモーメントが小さくなるように後輪転舵制御量を調整することで、操舵角θsの増加量に対するヨーモーメントの増加量を小さくすることができ、操舵角θsの増加量に対する車両の回頭性が低くなる。
一方、切り戻し操舵の場合には、今現在と比較して定常ステアゲインと微分ステアゲインの内の少なくとも一方を大きくし、その操舵操作に応じた方向の後輪Wrの転舵に伴うヨーモーメント(発生中の前輪操舵又は四輪操舵に伴うヨーモーメントとは逆向きのヨーモーメント)が大きくなるように後輪転舵制御量を調整することで、操舵角θsの減少量に対する四輪操舵に伴うヨーモーメントの減少量を大きくすることができ、操舵角θsの減少量に対する直進状態に向けた車両の挙動変化の応答性が高くなる。また、切り戻し操舵の場合には、今現在と比較して定常ステアゲインと微分ステアゲインの内の少なくとも一方を小さくし、その操舵操作に応じた方向の後輪Wrの転舵に伴うヨーモーメント(発生中の前輪操舵又は四輪操舵に伴うヨーモーメントとは逆向きのヨーモーメント)が小さくなるように後輪転舵制御量を調整することで、操舵角θsの減少量に対する四輪操舵に伴うヨーモーメントの減少量を小さくすることができ、操舵角θsの減少量に対する直進状態に向けた車両の挙動変化の応答性が低くなる。
ここで、操舵ECU1には、ヨー運動特性可変部の動作を制御するヨー運動制御部が設けられている。そのヨー運動制御部には、所定条件に基づいて操舵操作に対するヨー運動特性を変化させることで、車両の応答性可変制御を実施させる。
本実施例では、そのヨー運動特性を変化させる際の所定条件の1つとして、運転者の操舵操作時の操舵形態を用いる。運転者の操舵操作は、能動操舵と受動操舵の2つの形態に大別することができる。その能動操舵とは、運転者が意図して積極的(能動的)に行う操舵操作のことである。また、受動操舵とは、能動操舵以外の操舵形態のことである。具体的には、前輪Wfのセルフアライニングトルクによる復元力や路面入力等の外力がステアリングホイール11に伝わっているときに運転者が行う保舵操作のことである。つまり、受動操舵とは、旋回走行中(旋回半径は不変)の操舵角θsを一定に保持するために行われる保舵操作や、直進走行状態を保持するために行われる保舵操作のことである。また、受動操舵には、その外力が伝わっていない状態でのステアリングホイール11の中立位置における保舵形態も含んでいる。
その運転者の操舵形態は、操舵ECU1の操舵形態判定部に判別させる。その操舵形態判定部は、操舵操作の仕事率に関わる値(以下、「操舵仕事率」という。)Pに基づいて判定を行う。その操舵仕事率Pとは、運転者のステアリングホイール11に対する操舵形態が表された操舵形態判別値であり、操舵操作時における操舵角θsに関わるパラメータと操舵トルクTsに関わるパラメータとに基づいて算出する。その操舵角θsに関わるパラメータとは、操舵角θsそのものや、操舵角θsの時間微分値である操舵角速度θs’のことである。操舵トルクTsに関わるパラメータとは、操舵トルクTsそのものや、操舵トルクTsの時間微分値(以下、「操舵トルク微分値」という。)Ts’のことである。
具体的に、本実施例の操舵仕事率Pとは、図2及び下記の式1に示すように、操舵操作時における操舵角速度θs’と操舵トルクTsの積である。操舵角速度θs’は、操舵角検出部51によって検出された操舵操作時の操舵角θsの時間微分値として求めてもよく、操舵角速度検出部(図示略)を設けて検出してもよい。その操舵角検出部51は、ステアリングシャフト12の回転角を操舵角θsとして検出する角度センサである。この操舵角検出部51は、操舵角θsと共にステアリングホイール11の中立位置に対する操舵角θsの向きも検出することができる。操舵トルクTsは、操舵トルク検出部52で検出する。操舵トルク検出部52は、ステアリングシャフト12上に配置された例えばレゾルバセンサ等であり、トルクの大きさと共にステアリングホイール11の中立位置に対するトルクの向きも検出することができる。
P=θs’*Ts … (1)
操舵ECU1の操舵仕事率算出部(操舵形態判別値算出部)は、検出時等のノイズを除去するべく操舵角速度θs’と操舵トルクTsを各々ローパスフィルタ(LPF)に通し、そのノイズ除去後の操舵角速度θs’と操舵トルクTsとを乗算して、操舵仕事率Pを算出する。
操舵形態判定部は、その操舵仕事率Pに基づいて、操舵操作が能動操舵であるのか受動操舵であるのかを判定する。例えば、この例示では、その操舵仕事率Pに応じたゲイン(以下、「操舵形態ゲイン」という。)Gを求め、この操舵形態ゲインGに基づいて、操舵操作が能動操舵であるのか受動操舵であるのかを判定する。その操舵形態ゲインGは、運転者の操舵形態を表した操舵形態判別値であり、操舵角速度θs’と操舵トルクTsとに基づいて算出されている。この操舵形態ゲインGは、操舵ECU1の操舵形態ゲイン算出部(操舵形態判別値算出部)が算出する。
ここでは、操舵仕事率PがPa(<0)以下のときに、操舵形態ゲインGを0にして、操舵操作が受動操舵であると判定させる。また、操舵仕事率PがPb(>0)以上のときには、操舵形態ゲインGを1にして、操舵操作が能動操舵であると判定させる。
更に、「Pa<P<Pb」のときは、操舵形態ゲインGが0に近ければ(例えば0≦G<0.5)、受動操舵であると判定させ、操舵形態ゲインGが1に近ければ(例えば0.5<G≦1)、能動操舵であると判定させればよい。その操舵仕事率Pa,Pbの間における操舵形態ゲインGとの対応関係は、0と1の間で線形変化していくものであってもよく、非線形変化していくものであってもよい。尚、操舵仕事率Pが0のときとは、前述した外力が伝わっていない状態でステアリングホイール11の中立位置において保舵しているときが当て嵌まる。
その操舵仕事率Pと操舵形態ゲインGとの対応関係は、実験やシミュレーションを行い、その結果に基づいて予め設定しておけばよい。ここでは、この対応関係を図2に示すマップとして用意している。また、この対応関係は、走行中における運転者の操舵操作形態の履歴に基づいて、適宜学習し、その運転者に適したものへと変更されるものであってもよい。
また、その操舵形態ゲインGの算出(能動受動判定)は、次のようにして行ってもよい。
ここでは、図3及び下記の式2,3に示すように、第1操舵仕事率P1と第2操舵仕事率P2を用いる。第1操舵仕事率P1とは、操舵操作時における操舵角速度θs’と操舵トルクTsの積であり、式1の操舵仕事率Pと同じものである。また、第2操舵仕事率P2とは、操舵操作時における操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’の積である。
P1=θs’*Ts … (2)
P2=θs*Ts’ … (3)
操舵仕事率算出部は、検出時等のノイズを除去するべく操舵角速度θs’と操舵トルクTsと操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’を各々ローパスフィルタ(LPF)に通す。そして、操舵仕事率算出部は、そのノイズ除去後の操舵角速度θs’と操舵トルクTsとを乗算して、第1操舵仕事率P1を算出すると共に、そのノイズ除去後の操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’とを乗算して、第2操舵仕事率P2を算出する。
操舵形態ゲイン算出部は、その第1操舵仕事率P1に応じた第1操舵形態ゲインG1と第2操舵仕事率P2に応じた第2操舵形態ゲインG2を求める。
第1操舵仕事率P1と第1操舵形態ゲインG1との対応関係は、実験やシミュレーションを行い、その結果に基づいて予め図3に示すマップとして用意している。この対応関係は、走行中における運転者の操舵操作形態の履歴に基づいて、適宜学習し、その運転者に適したものへと変更されるものであってもよい。第1操舵形態ゲインG1は、第1操舵仕事率P1がP1a(<0)以下のときに0となり、第1操舵仕事率P1がP1b(>0)以上のときにG1xとなる。また、「P1a<P1<P1b」のときは、0とG1xとの間で線形変化又は非線形変化させる。
第2操舵仕事率P2と第2操舵形態ゲインG2との対応関係は、実験やシミュレーションを行い、その結果に基づいて予め図3に示すマップとして用意している。この対応関係は、走行中における運転者の操舵操作形態の履歴に基づいて、適宜学習し、その運転者に適したものへと変更されるものであってもよい。第2操舵形態ゲインG2は、第2操舵仕事率P2がP2a(<0)以下のときに0となり、第2操舵仕事率P2がP2b(>0)以上のときにG2xとなる。また、「P2a<P2<P2b」のときは、0とG2xとの間で線形変化又は非線形変化させる。
ここで、G1xとG2xの和については1とする(G1x+G2x=1)。
操舵形態ゲイン算出部は、求めた第1操舵形態ゲインG1と第2操舵形態ゲインG2との和を求め、これを操舵形態ゲインGとする。つまり、その操舵形態ゲインGは、運転者の操舵形態を表した操舵形態判別値であり、操舵角速度θs’と操舵トルクTsと操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’とに基づいて算出されている。操舵形態判定部は、その操舵形態ゲインGが0又は0に近ければ、操舵操作が受動操舵であると判定し、その操舵形態ゲインGが1又は1に近ければ、操舵操作が能動操舵であると判定することができる。
ヨー運動制御部は、能動操舵の場合と受動操舵の場合とで、操舵操作に対するヨー運動特性、即ち操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を変更する。このため、このヨー運動制御部は、能動操舵の場合、能動操舵で目標とするヨー運動特性に応じた操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量の目標値(以下、「目標ヨーモーメント変化量」という。)を算出し、受動操舵の場合、受動操舵で目標とするヨー運動特性に応じた操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量を算出する。
そして、ヨー運動制御部は、そのヨー運動特性を操舵角θsの変化量に対する前輪舵角変化量の調整によって変化させるのであれば、目標とするヨー運動特性(操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量)に応じた操舵角θsの変化量に対する前輪舵角変化量の目標値(以下、「目標前輪舵角変化量」という。)を算出し、この操舵角θsの変化量に対する目標前輪舵角変化量に応じたステアリングギヤ比の目標値(以下、「目標ステアリングギヤ比」という。)を算出して前輪舵角制御部に送信する。また、このヨー運動制御部は、そのヨー運動特性を後輪Wrの転舵によって変化させるのであれば、操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量に応じた後輪転舵制御量の目標値(以下、「目標後輪転舵制御量」という。)を算出し、この目標後輪転舵制御量を後輪舵角制御部に送信する。また、このヨー運動制御部は、そのヨー運動特性を操舵角θsの変化量に対する前輪舵角変化量の調整と後輪Wrの転舵とによって変化させるのであれば、操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量に応じた目標ステアリングギヤ比と目標後輪転舵制御量を算出し、これらを各々前輪舵角制御部と後輪舵角制御部とに送信する。前輪舵角制御部は、目標ステアリングギヤ比を受信した場合、その目標ステアリングギヤ比に応じてギヤ比可変部31を制御する。また、後輪舵角制御部は、目標後輪転舵制御量を受信した場合、その目標後輪転舵制御量に応じて転舵力発生機構41を制御する。
具体的に、能動操舵の場合には、操舵角θsの大小に拘わらず、操舵操作に対する車両挙動の応答性を高めることで、運転者の操舵操作による意思が車両挙動に反映されることになる。一方、受動操舵の場合には、操舵角θsの大小に拘わらず、操舵操作に対する車両挙動の応答性を低下させることで、運転者の操舵操作による意思が車両挙動に反映されることになる。
ヨー運動制御部は、能動操舵の場合、操舵角θsの大きさに拘わらず、受動操舵の場合と比較して、ヨー運動特性可変制御の対象となるヨー運動特性可変部の定常ステアゲインと微分ステアゲインの内の少なくとも一方を大きくして、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を大きくする。一方、ヨー運動制御部は、受動操舵の場合、操舵角θsの大きさに拘わらず、能動操舵の場合と比較して、ヨー運動特性可変制御の対象となるヨー運動特性可変部の定常ステアゲインと微分ステアゲインの内の少なくとも一方を小さくして、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を小さくする。
例えば、切り込み操舵が能動操舵のときは、あらゆる操舵角θsの領域において、切り込み操舵が受動操舵のときと比較して、操舵角θsの増加量に対するヨーモーメントの増加量が大きくなるので、操舵角θsの増加量に対する車両の回頭性が高くなる。このため、本実施例の操舵支援装置は、このときに車両を運転者の積極的な切り込み操舵による意思が反映された応答性の高い挙動に制御することができるので、運転者の操舵操作に対する車両挙動の違和感を抑制することができる。また、切り戻し操舵が能動操舵のときは、あらゆる操舵角θsの領域において、切り戻し操舵が受動操舵のときと比較して、操舵角θsの減少量に対するヨーモーメントの減少量が大きくなるので、操舵角θsの減少量に対する直進状態に向けた車両の挙動変化の応答性が高くなる。このため、本実施例の操舵支援装置は、このときに車両を運転者の積極的な切り戻し操舵による意思が反映された応答性の高い挙動に制御することができるので、運転者の操舵操作に対する車両挙動の違和感を抑制することができる。
一方、例えば、切り込み操舵が受動操舵のとき(例えば保舵のための操舵角θsの増加方向の操舵操作のとき)は、あらゆる操舵角θsの領域において、切り込み操舵が能動操舵のときと比較して、操舵角θsの増加量に対するヨーモーメントの増加量が小さくなるので、操舵角θsの増加量に対する車両の回頭性が低くなる。このため、本実施例の操舵支援装置は、このときに車両を運転者の保舵の意思が反映された応答性の低い挙動に制御することができるので、運転者の操舵操作に対する車両挙動の違和感を抑制することができる。また、切り戻し操舵が受動操舵のとき(例えば保舵のための操舵角θsの減少方向の操舵操作のとき)は、あらゆる操舵角θsの領域において、切り戻し操舵が能動操舵のときと比較して、操舵角θsの減少量に対するヨーモーメントの減少量が小さくなるので、操舵角θsの減少量に対する直進状態に向けた車両の挙動変化の応答性が低くなる。このため、本実施例の操舵支援装置は、このときに車両を運転者の保舵の意思が反映された応答性の低い挙動に制御することができるので、運転者の操舵操作に対する車両挙動の違和感を抑制することができる。
図4には、前輪舵角可変装置30における操舵形態に応じた定常ステアゲインのマップの一例を示している。この図4の例示では、能動操舵の場合、定常ステアゲインを基準定常ステアゲインよりも大きくし、受動操舵の場合、定常ステアゲインを基準定常ステアゲインよりも小さくする。図5には、そのマップが適用されたときの操舵角θsに対する前輪Wfの転舵角θwfの目標値(以下、「目標前輪転舵角」という。)θwftのマップを示している。この図5は、ステアリングホイール11の中立位置に対する一方の操舵領域を一例として挙げたものである。尚、図4では、従来の操舵操作時(能動操舵に相当)の定常ステアゲインを本制御における基準定常ステアゲインとしている。
また、図6には、前輪舵角可変装置30における操舵形態に応じた微分ステアゲインのマップの一例を示している。この図6の例示では、能動操舵の場合、微分ステアゲインを基準微分ステアゲインよりも大きくし、受動操舵の場合、微分ステアゲインを基準微分ステアゲインよりも小さくする。尚、図6では、従来の操舵操作時(能動操舵に相当)の微分ステアゲインを本制御における基準微分ステアゲインとしている。
ここで、操舵操作に対する車両挙動を高応答に設定したいほど、定常ステアゲインの調整のみでは、その応答性に対応しきれず、遅れが大きくなる可能性がある。その一方で、操舵操作に対する車両挙動を低応答に設定したいほど、定常ステアゲインの調整のみでは、その応答性に対応しきれず、遅れが大きくなりすぎてしまう可能性がある。このため、ヨー運動制御部は、そのように適切な応答性が得られないのならば、微分ステアゲインによる調整も併用することで、所望の応答性が得られるようにすればよい(図7)。図7は、その際の操舵角θsに対する目標前輪転舵角θwftのマップであり、ステアリングホイール11の中立位置に対する一方の操舵領域を一例として挙げたものである。
車両の応答性可変制御に関わるステアリングギヤ比の可変制御の具体例について図8及び図9を用いて説明する。
操舵ECU1は、図8のフローチャートに示すように、その可変制御に必要な操舵操作時の情報を取得する(ステップST1)。その操舵操作時の情報とは、少なくとも操舵角θsと操舵角速度θs’と操舵トルクTsと車速Vである。車速Vは、車速検出部53で検出する。車速検出部53には、例えば、動力伝達装置(図示略)における変速機の出力軸の回転を検出する回転センサ、車輪速度を検出する車輪速センサ等を利用する。
操舵形態ゲイン算出部は、先ず、図3又は図4で説明したようにして操舵操作時の操舵形態ゲインGを算出する(ステップST2)。
続いて、ヨー運動制御部は、操舵角θsと車速Vに基づいて、基準となるステアリングギヤ比(以下、「基準ステアリングギヤ比」という。)γgを算出する(ステップST3)。ここでは、能動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgaと受動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgpを能動操舵時のギヤ比マップと受動操舵時のギヤ比マップとに基づいて各々算出する。ここで、能動操舵時のギヤ比マップは、操舵角θsと車速Vに応じた能動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgaを示すものである。受動操舵時のギヤ比マップは、操舵角θsと車速Vに応じた受動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgpを示すものである。図10には、その能動操舵時のギヤ比マップと受動操舵時のギヤ比マップの一例を示している。受動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgpは、同じ車速Vの場合、能動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgaよりも大きくなっている。このため、受動操舵時は、能動操舵時よりも操舵角θsに対する前輪Wfの転舵角θwfがゆっくりと変化する(スロー)。
ヨー運動制御部は、操舵形態ゲインGと能動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgaと受動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgpとに基づいて、下記の式4から目標ステアリングギヤ比γgtを算出する(ステップST4)。
γgt=γga*G+γgp*(1−G) … (4)
この目標ステアリングギヤ比γgtには、能動操舵の場合(G=1)、能動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgaがそのまま適用され、受動操舵時の場合(G=0)、受動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgpがそのまま適用される。つまり、この目標ステアリングギヤ比γgtは、運転者の操舵形態に応じて調整されたものとなる。また、例えば、図2の操舵仕事率P(=θs’*Ts)に基づいて操舵形態ゲインGが算出された場合には、「Pa<P<Pb」のときに操舵形態ゲインGが「0<G<1」となるので、操舵形態ゲインGの値(別の見方をするならば操舵仕事率Pの値)に応じて調整された目標ステアリングギヤ比γgtが算出される。
ヨー運動制御部は、その目標ステアリングギヤ比γgtと操舵操作時の操舵角θsとに基づいて、下記の式5から目標前輪転舵角θwftを算出する(ステップST5)。そして、このヨー運動制御部は、その目標ステアリングギヤ比γgtの情報を前輪舵角制御部に渡し、その前輪舵角制御部に目標ステアリングギヤ比γgtとなるようにギヤ比可変部31を制御させることで、ステアリングギヤ比を変更する(ステップST6)。
θwft=θs/γgt … (5)
また、車両の応答性可変制御に関わる別形態のステアリングギヤ比の可変制御の具体例について図11及び図12を用いて説明する。
操舵ECU1は、先の図8の例示と同じように、その可変制御に必要な操舵操作時の情報を取得する(ステップST11)。そして、操舵形態ゲイン算出部は、先の図8の例示と同じように、操舵操作時の操舵形態ゲインGを算出する(ステップST12)。
更に、ヨー運動制御部は、先の図8の例示と同じように、基準ステアリングギヤ比γg(能動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgaと受動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgp)を算出して(ステップST13)、上記の式4に基づいて目標ステアリングギヤ比γgtを算出する(ステップST14)。そして、ヨー運動制御部は、その目標ステアリングギヤ比γgtと操舵操作時の操舵角θsとに基づいて、下記の式6から仮目標前輪転舵角θwfttを算出する(ステップST15)。
θwftt=θs/γgt … (6)
一方、ヨー運動制御部は、位相補償のための微分ステアゲインの目標値(以下、「目標微分ステアゲイン」という。)θdtを算出する。
その際、ヨー運動制御部は、操舵操作時における操舵角速度θs’と車速Vに基づいて、基準となる微分ステアゲイン(以下、「基準微分ステアゲイン」という。)θdを算出する(ステップST16)。ここでは、能動操舵時の基準微分ステアゲインθdaと受動操舵時の基準微分ステアゲインθdpを能動操舵時の微分ゲインマップと受動操舵時の微分ゲインマップとに基づいて各々算出する。ここで、能動操舵時の微分ゲインマップは、操舵角速度θs’と車速Vに応じた能動操舵時の基準微分ステアゲインθdaを示すものである。受動操舵時の微分ゲインマップは、操舵角速度θs’と車速Vに応じた受動操舵時の基準微分ステアゲインθdpを示すものである。図13には、その能動操舵時の微分ゲインマップと受動操舵時の微分ゲインマップの一例を示している。能動操舵時の基準微分ステアゲインθdaは、同じ車速Vの場合、受動操舵時の基準微分ステアゲインθdpよりも大きくなっている。このため、能動操舵時は、受動操舵時よりも応答性良く前輪Wfを転舵させることができる。
ヨー運動制御部は、操舵形態ゲインGと能動操舵時の基準微分ステアゲインθdaと受動操舵時の基準微分ステアゲインθdpとに基づいて、下記の式7から目標微分ステアゲインθdtを算出する(ステップST17)。
θdt=θda*G+θdp*(1−G) … (7)
そして、ヨー運動制御部は、下記の式8のように、その目標微分ステアゲインθdtを仮目標前輪転舵角θwfttに加算して、位相補償された目標前輪転舵角θwftを算出する(ステップST18)。
θwft=θwftt+θdt … (8)
ヨー運動制御部は、目標ステアリングギヤ比γgtの情報を前輪舵角制御部に渡し、その前輪舵角制御部に目標ステアリングギヤ比γgtとなるようにギヤ比可変部31を制御させることで、ステアリングギヤ比を変更する(ステップST19)。
以上示したように、本実施例の操舵支援装置は、能動操舵の場合、操舵角θsの大きさに拘わらず、受動操舵の場合と比較して、定常ステアゲインと微分ステアゲインの内の少なくとも一方を大きくし、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を大きくすることで、その操舵操作に対する車両挙動の応答性を高めることができる。一方、この操舵支援装置は、受動操舵の場合、操舵角θsの大きさに拘わらず、能動操舵の場合と比較して、定常ステアゲインと微分ステアゲインの内の少なくとも一方を小さくし、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を小さくすることで、その操舵操作に対する車両挙動の応答性を低下させることができる。
[変形例1]
本変形例の操舵支援装置は、能動操舵による切り込み操舵の後で行われる切り戻し操舵時の支援特性の適正化を図ったものである。
下記の何れの支援特性パターンにおいても、ヨー運動制御部は、実施例で説明したように、運転者の切り込み操舵が能動操舵であると判定された時点(A点)で、定常ステアゲインを基準定常ステアゲインよりも大きくする(図14−17)。操舵形態判定部は、その切り込み操舵が終わった後、その位置(B点)で受動操舵と判定する(図14−17)。
図14の支援特性パターンにおいて、ヨー運動制御部は、能動操舵から受動操舵への切り替わりが検知され、かつ、B点で切り戻し操舵が検知された場合、この切り戻し操舵の前に行われた能動操舵による切り込み操舵と同じ定常ステアゲインを目標定常ステアゲインとし、B点からA点までの間、その切り込み操舵時における操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量に設定する。つまり、この支援特性パターンにおいては、能動操舵による切り込み操舵から受動操舵による切り戻し操舵(前輪Wfのセルフアライニングトルクによる復元力を利用した切り戻し操舵)に変化した場合、切り込み操舵時における操舵操作に対する車両応答特性を切り戻し操舵時にも適用する。例えば、この図14の例示におけるB点からA点までの切り戻し操舵時には、切り込み操舵時の操舵角θsの増加量に対する目標前輪転舵角θwftの増加量と同等の勾配となるように、操舵角θsの減少量に対する目標前輪転舵角θwftの減少量が設定され、これに合わせた目標ステアリングギヤ比γgtに調整される。このため、このような支援特性パターンでは、切り込み操舵時に運転者の意思に沿った応答性の良い車両挙動が行われると共に、切り戻し操舵時にも切り込み操舵時と同等の操舵操作に対する車両応答特性になるので、運転者にとって違和感の抑えられた操舵感を得ることができる。
尚、この支援特性パターンにおいて、ヨー運動制御部は、A点まで切り戻し操舵が行われた後、このA点から原点{操舵角θs=0、前輪Wfの転舵角θwf=0(ヨーモーメント0)}までの間、定常ステアゲインをA点までの切り戻し操舵時のものよりも小さくして、操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量をA点までの切り戻し操舵時のものよりも小さくする。例えば、ヨー運動制御部は、A点から原点までの間、実施例で説明したように、定常ステアゲインを基準定常ステアゲインよりも小さくする。
図18には、この支援特性パターンにおける操舵角θsと能動受動判定の判定結果と定常ステアゲインのタイムチャートを示している。
図15の支援特性パターンにおいて、ヨー運動制御部は、能動操舵から受動操舵への切り替わりが検知され、かつ、B点で切り戻し操舵が検知された場合、切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標前輪転舵角θwftの変化量がB点と原点を通る一次関数となるように目標定常ステアゲインを設定し、そのような一次関数に応じた操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量に設定する。つまり、その切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量は、原点(操舵角θs=0、ヨーモーメント0)を通る一次関数で表される変化特性を有する。例えば、ヨー運動制御部は、能動操舵による切り込み操舵から受動操舵による切り戻し操舵に変化した場合、B点と原点とを繋ぐ一次関数に応じた操舵角θsの減少量に対するヨーモーメントの減少量となるように、操舵角θsの減少量に対する目標前輪転舵角θwftの減少量を設定し、これに合わせた目標ステアリングギヤ比γgtに調整する。このため、このような支援特性パターンでは、その切り戻し操舵から左右逆側への切り込み操舵を続けて行う場合に、その切り戻し操舵から切り込み操舵への繋がりが良くなるので、切り返し操舵のような連続的な操舵操作を行う際に有用なものとなる。
図19には、この支援特性パターンにおける操舵角θsと能動受動判定の判定結果と定常ステアゲインのタイムチャートを示している。
図16の支援特性パターンにおいて、ヨー運動制御部は、能動操舵から受動操舵への切り替わりが検知され、かつ、B点で切り戻し操舵が検知された場合、切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標前輪転舵角θwftの変化量がB点と原点を通る二次関数となるように目標定常ステアゲインを設定し、そのような二次関数に応じた操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量に設定する。具体的に、その操舵角θsの変化量に対する目標前輪転舵角θwftの変化量は、B点と原点との間における操舵角θsの大きい領域において、この切り戻し操舵の前に行われた能動操舵による切り込み操舵時のものよりも大きく、かつ、その間の操舵角θsの小さい領域において、その切り込み操舵時のものよりも小さくする。よって、ヨー運動制御部は、切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標前輪転舵角θwftの変化量をB点と原点を通る下に凸の二次関数となるように目標定常ステアゲインを設定する。つまり、その切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量は、原点(操舵角θs=0、ヨーモーメント0)を通る上に凸の二次関数で表される変化特性を有する。その操舵角θsの大きい領域と小さい領域の境界は、例えば、下記のような操舵角θsの大きさに応じた車両特性に基づいて決めればよい。
このような支援特性パターンは、例えば操舵操作時のステアリングホイール11の中立位置への戻り力が大きいために、操舵角θsの大きな領域で小さな領域よりも操舵速度が速くなるような特性を持つ車両が適用対象の場合、切り戻し操舵でステアリングホイール11を中立位置まで戻した直後の操舵速度を遅くすることができる。このため、この場合には、ステアリングホイール11の慣性による切り戻し操舵時のオーバシュートを抑制できるので、ステアリングホイール11を中立位置まで戻したときの無用な車両挙動の変化を抑えることができる。更に、この支援特性パターンでは、その切り戻し操舵から左右逆側への切り込み操舵を続けて行う場合に、その切り戻し操舵から切り込み操舵への繋がりが良くなるので、切り返し操舵のような連続的な操舵操作を行う際に有用なものとなる。
図20には、この支援特性パターンにおける操舵角θsと能動受動判定の判定結果と定常ステアゲインのタイムチャートを示している。
図17の支援特性パターンにおいても、ヨー運動制御部は、能動操舵から受動操舵への切り替わりが検知され、かつ、B点で切り戻し操舵が検知された場合、切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標前輪転舵角θwftの変化量がB点と原点を通る二次関数となるように目標定常ステアゲインを設定する。但し、ここでの操舵角θsの変化量に対する目標前輪転舵角θwftの変化量は、B点と原点との間における操舵角θsの大きい領域において、この切り戻し操舵の前に行われた能動操舵による切り込み操舵時のものよりも小さく、かつ、その間の操舵角θsの小さい領域において、その切り込み操舵時のものよりも大きくする。よって、ヨー運動制御部は、切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標前輪転舵角θwftの変化量をB点と原点を通る上に凸の二次関数となるように目標定常ステアゲインを設定し、そのような二次関数に応じた操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量に設定する。つまり、その切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量は、原点(操舵角θs=0、ヨーモーメント0)を通る下に凸の二次関数で表される変化特性を有する。その操舵角θsの大きい領域と小さい領域の境界は、例えば、下記のような操舵角θsの大きさに応じた車両特性に基づいて決めればよい。
このような支援特性パターンは、例えば操舵操作時のステアリングホイール11の中立位置への戻り力が小さいために、操舵角θsの小さな領域で大きな領域よりもステアリングホイール11を中立位置に戻しにくい特性を持つ車両が適用対象の場合、切り戻し操舵でステアリングホイール11を中立位置まで戻す際に、ステアリングホイール11の慣性を利用して当該ステアリングホイール11を中立位置に近づけることができるので、運転者にとって違和感の抑えられた操舵感を得ることができる。更に、この支援特性パターンでは、その切り戻し操舵から左右逆側への切り込み操舵を続けて行う場合に、その切り戻し操舵から切り込み操舵への繋がりが良くなるので、切り返し操舵のような連続的な操舵操作を行う際に有用なものとなる。
図21には、この支援特性パターンにおける操舵角θsと能動受動判定の判定結果と定常ステアゲインのタイムチャートを示している。
また、運転者は、受動操舵による切り戻し操舵の途中で自ら積極的に切り戻し操舵を行うことによって、受動操舵による切り戻し操舵から能動操舵による切り戻し操舵へと移ることもある(図22のC点)。この場合、ヨー運動制御部は、能動操舵から受動操舵への切り替わりが検知され、かつ、B点で切り戻し操舵が検知された際に、図14及び図18と同じように、この受動操舵による切り戻し操舵の前に行われた能動操舵による切り込み操舵と同じ定常ステアゲインを目標定常ステアゲインとし、その切り込み操舵時における操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量に設定する。また、ヨー運動制御部は、その切り戻し操舵が検知された際に、図15及び図19、図16及び図20又は図17及び図21と同じように、その検知時の操舵角θsとヨーモーメントに基づいて、B点と原点を通る目標定常ステアゲインを設定し、これに応じた操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を切り戻し操舵時における操舵角θsの変化量に対する目標ヨーモーメント変化量に設定してもよい。そして、このヨー運動制御部は、受動操舵による切り戻し操舵の最中にC点で能動操舵による切り戻し操舵への変化が検知された際、図15及び図19、その能動操舵の検知時の操舵角θsとヨーモーメントに基づき、図16及び図20又は図17及び図21と同じようにして、そのC点と原点を通る目標定常ステアゲインを設定する。よって、そのC点から原点までの間における操舵角θsの変化量に対するヨーモーメントの変化量については、操舵角θsとヨーモーメントが共にC点と原点とを通る一次関数又は二次関数で表される変化特性を有するものとなる。図22には、図19のB点から原点までと同等の目標定常ステアゲインの場合を例示している。また、このヨー運動制御部は、切り戻し操舵でA点に戻った際に、目標定常ステアゲインを先の能動操舵による切り込み操舵と同じ定常ステアゲインに設定してもよい(図22)。これにより、その際には、操舵角θsが0のときに前輪Wfの転舵角θwfが0になるので、違和感を抑えた繋がりのよい操舵が可能になる。
ここで、本変形例の車両の応答性可変制御に関わる切り戻し操舵時のステアリングギヤ比の可変制御の具体例について図23及び図24を用いて説明する。尚、切り込み操舵時については、実施例で説明したものと同じなので、ここでの説明を省略する。
操舵ECU1は、実施例と同じように、その可変制御に必要な操舵操作時の情報を取得する(ステップST21)。そして、操舵形態ゲイン算出部は、実施例と同じように、操舵操作時の操舵形態ゲインGを算出する(ステップST22)。
ヨー運動制御部は、切り込み操舵に伴う能動操舵から受動操舵への切り替わりが判定された場合(つまり切り込み操舵が終わった場合)、切り戻し操舵時のギヤ比マップを作成する(ステップST23)。その切り戻し操舵時のギヤ比マップは、操舵角θsと車速Vに応じた切り戻し操舵時の基準ステアリングギヤ比γgrを示すものであり、操舵角θsと車速Vと操舵形態ゲインGに基づいて作成する。このギヤ比マップは、例えば、図14−17で示した操舵角θsに対する目標前輪転舵角θwftの何れかの特性に対応させたものである。ヨー運動制御部は、そのギヤ比マップの作成と共に、切り戻し操舵時の操舵形態ゲインGrを1に設定する(Gr=1)。
ヨー運動制御部は、操舵角θsと車速Vと切り戻し操舵時のギヤ比マップに基づいて、切り戻し操舵時の基準ステアリングギヤ比γgrを算出する(ステップST24)。そして、ヨー運動制御部は、その基準ステアリングギヤ比γgrと操舵形態ゲインGr(=1)とに基づいて、下記の式9から切り戻し操舵時の目標ステアリングギヤ比γgtを算出する(ステップST25)。ここでは、能動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgaや受動操舵時の基準ステアリングギヤ比γgp等から求められる目標ステアリングギヤ比γgtの算出に下記の式10を用いている。このため、ここでは、式9で求められた目標ステアリングギヤ比γgt、つまり切り戻し操舵時の基準ステアリングギヤ比γgrがそのまま目標ステアリングギヤ比γgtとなる。
γgt=γgr*Gr … (9)
γgt=γga*G*(1−Gr)+γgp*(1−G)*(1−Gr)…(10)
ヨー運動制御部は、その目標ステアリングギヤ比γgtと切り戻し操舵時の操舵角θsとに基づいて、実施例の式5から切り戻し操舵時の目標前輪転舵角θwftを算出する(ステップST26)。
ヨー運動制御部は、目標ステアリングギヤ比γgtの情報を前輪舵角制御部に渡し、その前輪舵角制御部に目標ステアリングギヤ比γgtとなるようにギヤ比可変部31を制御させることで、切り戻し操舵時のステアリングギヤ比を調整する(ステップST27)。
ここで、操舵角θsが所定角度以下になった場合又は受動操舵から能動操舵への切り替わりが判定された場合には、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメントの変化量の特性を、切り戻し操舵時の特性から受動操舵時又は能動操舵時の特性に復帰させる。このとき、切り戻し操舵時の操舵形態ゲインGrについては、0に設定する(Gr=0)。
図25は、本変形例の操舵角θsの変化量に対するヨーモーメントの変化量の特性を決める際のフローチャートである。
ヨー運動制御部は、切り込み操舵中であるのか否かを判定する(ステップST31)。
ヨー運動制御部は、切り込み操舵中の場合、その操舵操作が能動操舵であるのか否かを判定する(ステップST32)。そして、ヨー運動制御部は、能動操舵の場合、実施例で説明したように、受動操舵の場合と比較して、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を大きくする(ヨーモーメント変化量大の特性:ステップST33)。一方、ヨー運動制御部は、受動操舵の場合、実施例で説明したように、能動操舵の場合と比較して、操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量を小さくする(ヨーモーメント変化量小の特性:ステップST34)。
これらに対して、ヨー運動制御部は、切り込み操舵中でない場合、切り戻し操舵中であるのか否かを判定する(ステップST35)。
ヨー運動制御部は、切り戻し操舵中でない場合、ステップST34に進む。一方、ヨー運動制御部は、切り戻し操舵中の場合、その操舵操作が能動操舵であるのか否かを判定する(ステップST36)。
ヨー運動制御部は、能動操舵の場合、C点と原点とを通る一次関数又は二次関数の操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量とする(ステップST37)。一方、ヨー運動制御部は、受動操舵の場合、切り込み操舵時と同じ操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量、又は、B点と原点とを通る一次関数若しくは二次関数の操舵角θsの変化量に対するヨーモーメント変化量とする(ステップST38)。
ところで、運転者は、例えば同じ曲率半径の旋回路が続いている場合、能動操舵による切り込み操舵を終えた後、旋回半径を保つための保舵操作を行うことがある。このため、運転者は、B点で保舵を継続してから受動操舵による切り戻し操舵へと移ることもある。この場合、ヨー運動制御部は、B点で受動操舵が続いている間、その前に行われた能動操舵による切り込み操舵と同じ定常ステアゲインを目標定常ステアゲインにして、その切り込み操舵時の操舵角θsに対するヨーモーメント変化量と同等の操舵角θsに対する目標ヨーモーメント変化量を設定してもよい。そして、このヨー運動制御部は、そのB点で保舵から受動操舵による切り戻し操舵への変化が検知された場合、図15−17の支援特性パターンと図22の支援特性パターンの内の何れか1つと同じ操舵角θsに対する目標ヨーモーメント変化量に設定する。これにより、この支援特性パターンでは、運転者に意図的な切り戻し操舵の意思が無ければ(つまり受動操舵による切り戻し操舵と判定されたならば)、例えば、その前の能動操舵による切り込み操舵と同等の操舵操作に対する車両応答特性になっているので、一連の流れに沿った繋がりのある操舵操作を確保することができる。更に、この支援特性パターンでは、その切り戻し操舵から左右逆側への切り込み操舵を続けて行うならば、その切り戻し操舵から切り込み操舵への繋がりが良くなるので、切り返し操舵のような連続的な操舵操作を行う際に有用なものとなる。
[変形例2]
操舵形態判定部は、以下のようにして能動操舵と受動操舵を判定してもよい。
図26において、複数の点線で示す等ドライバ意図線L11は、等ドライバ意図を表す動作点(操舵角速度θs’と操舵トルクTsの組み合わせ)の集合である。その等ドライバ意図を表す動作点とは、実施例で説明した操舵仕事率P(=θs’*Ts)が同等の値となる操舵角速度θs’と操舵トルクTsの組み合わせに相当する。このため、各等ドライバ意図線L11とは、操舵仕事率Pが同等になる操舵角速度θs’と操舵トルクTsの組み合わせの集合のことである。操舵仕事率Pを一定とした場合、θs’=P/Tsと変形できるため、各等ドライバ意図線L11は、直角双曲線となる。例えば、図26の動作点Aと動作点Bとは、ともに同一の等ドライバ意図線L11上に位置している。このため、動作点A,Bにおけるそれぞれの操舵角速度θs’及び操舵トルクTsの組み合わせは、運転者が同等の操舵意図で操舵操作しているものと見ることができる。
例えば、運転者が能動操舵を行った場合、操舵角速度θs’と操舵トルクTsとの組み合わせで定まる動作点は、図26で表す操舵特性図において領域T11の近傍に位置する傾向にある。一方、例えば、運転者が受動操舵を行った場合、その動作点は、図26において領域T12、T13、T14の近傍に位置する傾向にある。より詳細には、運転者により操舵操作自体がなされてないような受動操舵の場合、操舵角速度θs’と操舵トルクTsとの組み合わせで定まる動作点は、図26において領域T12の近傍に位置する傾向にある。また、運転者による保舵操作が受動操舵として行われている場合、その動作点は、図26において領域T13の近傍に位置する傾向にある。また、受動操舵として運転者により手放し操作がなされている場合(又はジャッキアップ時など軸力なしの場合)、操舵角速度θs’と操舵トルクTsとの組み合わせで定まる動作点は、図26において領域T14の近傍に位置する傾向にある。
図26のような各動作点と各領域T11、T12、T13、T14との関係は、実車評価等に応じて予めその傾向を特定することができる。従って、操舵形態判定部は、追加操舵操作時における操舵角速度θs’と操舵トルクTsとを図26の操舵特性図に照らし合わせることで、その追加操舵操作が能動操舵であるのか受動操舵であるのかを判定することができる。尚、その各領域T11、T12、T13、T14は一例であり、その図26の操舵特性図の他の領域についても能動操舵の領域又は受動操舵の領域が設定されていてもよい。
これと同様に、図27において、複数の点線で示す等ドライバ意図線L21は、等ドライバ意図を表す動作点(操舵角θsとトルク微分値Ts’の組み合わせ)の集合である。その等ドライバ意図を表す動作点とは、実施例で説明した第2操舵仕事率P2(=θ*Ts’)が同等の値となる操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’との組み合わせに相当する。このため、各等ドライバ意図線L21とは、その第2操舵仕事率P2が同等になる操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’との組み合わせの集合のことである。第2操舵仕事率P2を一定とした場合、θs=P2/Ts’と変形できるため、各等ドライバ意図線L21は、直角双曲線となる。
例えば、運転者が能動操舵を行った場合、操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’との組み合わせで定まる動作点は、図27で表す操舵特性図において領域T21の近傍に位置する傾向にある。一方、例えば、運転者が受動操舵を行った場合、その動作点は、図27において領域T22、T23、T24の近傍に位置する傾向にある。より詳細には、運転者により操舵操作自体がなされてないような受動操舵の場合、操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’との組み合わせで定まる動作点は、図27において領域T22の近傍に位置する傾向にある。運転者により外乱に対する保舵操作が受動操舵として行われている場合、その動作点は、図27において領域T23の近傍に位置する傾向にある。運転者により旋回時の保舵操作が受動操舵として行われている場合、操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’との組み合わせで定まる動作点は、図27において領域T24の近傍に位置する傾向にある。
図27のような各動作点と各領域T21、T22、T23、T24との関係は、実車評価等に応じて予めその傾向を特定することができる。従って、操舵形態判定部は、追加操舵操作時における操舵角θsと操舵トルク微分値Ts’とを図27の操舵特性図に照らし合わせることで、その追加操舵操作が能動操舵であるのか受動操舵であるのかを判定することができる。尚、その各領域T21、T22、T23、T24は一例であり、その図27の操舵特性図の他の領域についても能動操舵の領域又は受動操舵の領域が設定されていてもよい。
また、図28において、複数の点線で示す等ドライバ意図線L31は、等ドライバ意図を表す動作点(操舵角θsと操舵トルクTsとの組み合わせ)の集合である。その等ドライバ意図を表す動作点とは、操舵角θsと操舵トルクTsの積を操舵仕事率とした場合、その操舵仕事率が同等の値となる操舵角θsと操舵トルクTsとの組み合わせに相当する。このため、各等ドライバ意図線L31は、その操舵仕事率が同等になる操舵角θsと操舵トルクTsとの組み合わせの集合のことである。その操舵仕事率を一定とした場合、θs=W/Tsと変形できるため、各等ドライバ意図線L31は、直角双曲線となる。
例えば、運転者が能動操舵を行った場合、操舵角θsと操舵トルクTsとの組み合わせで定まる動作点は、図28で表す操舵特性図において領域T31の近傍に位置する傾向にある。一方、例えば、運転者が受動操舵を行った場合、その動作点は、図28において領域T32、T33、T34の近傍に位置する傾向にある。より詳細には、運転者により操舵操作自体がなされてないような受動操舵の場合、操舵角θsと操舵トルクTsとの組み合わせで定まる動作点は、図28において領域T32の近傍に位置する傾向にある。また、受動操作として、運転者により保舵操作(例えば操舵意思があるとはいえない操舵角0のとき)が受動操舵として行われている場合、その動作点は、図28において領域T33の近傍に位置する傾向にある。また、ジャッキアップ時など軸力なしの受動操舵の場合、操舵角θsと操舵トルクTsとの組み合わせで定まる動作点は、図28において領域T34の近傍に位置する傾向にある。
図28のような各動作点と各領域T31、T32、T33、T34との関係は、実車評価等に応じて予めその傾向を特定することができる。従って、操舵形態判定部は、追加操舵操作時における操舵角θsと操舵トルクTsとを図28の操舵特性図に照らし合わせることで、その追加操舵操作が能動操舵であるのか受動操舵であるのかを判定することができる。尚、その各領域T31、T32、T33、T34は一例であり、その図28の操舵特性図の他の領域についても能動操舵の領域又は受動操舵の領域が設定されていてもよい。
1 操舵ECU
10 操舵装置
11 ステアリングホイール
20 前輪転舵装置
30 前輪舵角可変装置
40 後輪転舵装置
51 操舵角検出部
52 操舵トルク検出部

Claims (8)

  1. 運転者によるステアリングホイールの操舵角の変化量に対する車両のヨーモーメントの変化量を変化させるヨー運動特性可変部と、
    前記ヨー運動特性可変部を制御するヨー運動制御部と、
    前記操舵角を検出する操舵角検出部と、
    運転者による前記ステアリングホイールに対する操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
    前記操舵角に関するパラメータと前記操舵トルクに関するパラメータとに基づいて、運転者の前記ステアリングホイールに対する操舵形態が表された操舵形態判別値を算出する操舵形態判別値算出部と、
    を備え、
    前記ヨー運動制御部は、前記操舵形態判別値に基づいて前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を調整することを特徴とした操舵支援装置。
  2. 前記ヨー運動制御部は、運転者が意図して能動的に行う能動操舵を前記操舵形態判別値が示している場合と当該能動操舵以外の受動操舵を前記操舵形態判別値が示している場合とで、前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を変更することを特徴とした請求項1に記載の操舵支援装置。
  3. 前記ヨー運動制御部は、前記操舵角の変化が切り込み操舵を示しており、かつ、運転者が意図して能動的に行う能動操舵を前記切り込み操舵時における前記操舵形態判別値が示している場合、前記切り込み操舵時における前記操舵形態判別値が前記能動操舵以外の受動操舵を示している場合と比較して、前記操舵角の増加量に対する前記ヨーモーメントの増加量を大きくすることを特徴とした請求項1又は2に記載の操舵支援装置。
  4. 前記ヨー運動制御部は、前記操舵角の変化が切り戻し操舵を示している場合、該切り戻し操舵時における前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を、該切り戻し操舵の前に行われた前記切り込み操舵時におけるものと同等にすることを特徴とした請求項1,2又は3に記載の操舵支援装置。
  5. 前記ヨー運動制御部は、前記操舵角の変化が切り戻し操舵を示している場合、該切り戻し操舵時における前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を、前記切り戻し操舵の検知時の前記操舵角と前記ヨーモーメントに基づいて、前記操舵角と前記ヨーモーメントが共に0の原点を通る一次関数又は二次関数で表される変化特性を有するものとすることを特徴とした請求項1,2又は3に記載の操舵支援装置。
  6. 前記ヨー運動制御部は、前記操舵角の変化が切り戻し操舵を示しており、かつ、運転者が意図して能動的に行う能動操舵を前記切り戻し操舵時における前記操舵形態判別値が示している場合、該切り戻し操舵時における前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を、前記能動操舵の検知時の前記操舵角と前記ヨーモーメントに基づいて、前記操舵角と前記ヨーモーメントが共に0の原点を通る一次関数又は二次関数で表される変化特性を有するものとすることを特徴とした請求項1,2又は3に記載の操舵支援装置。
  7. 前記ヨー運動制御部は、前記受動操舵が続いている場合、該受動操舵時における前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を前記切り込み操舵時におけるものと同等にすることを特徴とした請求項6に記載の操舵支援装置。
  8. 前記ヨー運動特性可変部は、前記操舵角の変化量に対する前輪の転舵角の変化量を調整することで前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を変化させる前輪舵角可変装置と前記前輪と共に後輪も転舵させることで前記操舵角の変化量に対する前記ヨーモーメントの変化量を変化させる後輪転舵装置の内の少なくとも1つであることを特徴とした請求項1から7の内の何れか1つに記載の操舵支援装置。
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