JP2015182155A - 断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents

断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】ステンレス鋼のフライス加工等の断続切削加工で、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。
【解決手段】工具基体表面に、少なくとも、TiC層とWC層との交互積層構造からなる平均層厚2〜10μmの硬質被覆層を蒸着形成し、あるいは、上部層として平均層厚0.5〜1.0μmの酸化アルミニウム層をさらに蒸着形成し、TiC層とWC層は、いずれも一層層厚が0.5〜1.0μmであって、また、工具基体表面直上のTiC層には、工具基体表面との界面からTiC層の内部深さ0.2μmまでの範囲において、5〜10原子%の平均Co含有量のCo含有領域が形成されている。
【選択図】なし

Description

この発明は、工具基体表面に、交互積層からなる硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆切削工具に関し、特に、鋼やステンレス鋼のフライス加工等の厳しい切削条件においても、すぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
従来、一般に、炭化タングステン基(以下、WC基で示す)超硬合金または炭窒化チタン基(以下、TiCN基で示す)サーメットで構成された基体(以下、これらを総称して工具基体という)の表面に、少なくとも、Ti化合物層と酸化アルミニウム層からなる硬質被覆層を蒸着形成した被覆工具が知られており、そしてこの被覆工具は、通常条件の切削加工ではすぐれた耐摩耗性を発揮することが知られている。
しかし、この被覆工具を、重切削、断続切削等に用いた場合には、切れ刃に作用する高負荷によって、チッピング等の異常損傷が発生しやすくなる。
そこで、耐チッピング性、耐摩耗性を改善するために、数多くの提案がなされている。
例えば、引用文献1には、WC基超硬合金からなる工具基体の表面に、TiCNの単層または2層以上の積層からなる下部層と、TiC,TiN,TiCN,TiCO、およびTiCNO、並びにAlのうちの1種の単層または2種以上の複層からなる上部層で構成された硬質被覆層を形成するに際して、上記下部層の構成層のいずれもが、(a)粒状結晶組織から縦長成長結晶組織へ変る結晶構造、(b)粒状結晶組織から縦長成長結晶組織へ、さらにこの縦長成長結晶組織から粒状結晶組織へ変る結晶構造、(c)縦長成長結晶組織から粒状結晶組織へ変る結晶構造のうちのいずれか、または2種以上の結晶構造からなると硬質被覆層の組織構造を規定することによって、耐チッピング性の向上を図ることが提案されている。
また、例えば、引用文献2には、工具基体の表面に、(a) 下部層として、窒化チタン層及び縦長成長結晶組織を有する炭化チタン層、(b)密着性層として、微粒縦長成長結晶組織を有する炭化チタン層、(c)中間層として、上記密着性層に隣接して形成された縦長成長結晶組織を有する炭窒化チタン層、及び、炭窒化チタン層に挟まれた状態で存在し、かつ、微粒縦長成長結晶組織を有する少なくとも一層または複数層の炭化チタン層を含むTi化合物層、(d)上部層として、酸化アルミニウム層、上記(a)〜(d)で構成された硬質被覆層を15〜30μmの全体平均層厚で形成することによって、高速高送り切削加工における硬質被覆層の耐摩耗性を改善することが提案されている。
特開平6−8010号公報 特開2010−207930号公報
近年の切削装置の高性能化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は一段と過酷な条件下で行われる傾向にあるが、上記の従来被覆工具においては、これを各種鋼、ステンレス鋼等の通常条件の切削加工に用いた場合には問題はないが、特にこれを、断続的・衝撃的な高負荷が切刃部に作用する高速高送りの断続切削加工に用いた場合には、チッピング、欠損等が発生しやすく、これらを原因として比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、断続的・衝撃的な高負荷が切刃部に作用する断続切削加工、例えば、ステンレス鋼の高速高送りのフライス加工に用いた場合でも、チッピングの発生を抑制し、すぐれた耐摩耗性を長期にわたって発揮する硬質被覆層の構造について鋭意研究を行ったところ、以下の知見を得た。
チッピング発生の原因はいくつかあるが、本発明者は、硬質皮膜層におけるクーリングクラックの存在に着眼し、硬質被覆層の下部層を構成するTi化合物層におけるクーリングクラックを低減することによって、耐チッピング性を向上させることができること、一方、これによって生じる耐摩耗性の低下は、下部層を交互積層構造として構成することによって抑制し、さらに、工具基体直上のTi化合物層を強靭化することによって補えることを見出したのである。
より具体的に言えば、化学蒸着法によって硬質被覆層を蒸着形成するに際し、下部層を0.5〜1μmのTiC層と、0.5〜1.0μmのWC層の交互積層構造として構成するとともに、成膜後、熱処理を行うことによって、工具基体の成分であるCoを工具基体直上のTiC層(交互積層の第一層目のTiC層)中に拡散させ、所定のCo濃度とすることによって、TiC層(交互積層の第一層目のTiC層)を強靭化し得ることを見出したのである。
そして、上記の層構造を有する本発明の被覆工具は、硬質被覆層中のクーリングクラックが極めて少ないこと、また、硬質被覆層の下部層は、TiC層とWC層との交互積層として構成されていることによって耐摩耗性の低下はなく、さらに、成膜後の熱処理によって、工具基体と硬質被覆層の下部層は、すぐれた付着強度を有し、かつ、下部層自体も強靭化されていることにより、切刃部に断続的・衝撃的な高負荷が作用する断続切削加工に供した場合でも、チッピングが発生することはなく、長期の使用にわたって、すぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、平均層厚2〜10μmの硬質被覆層を化学蒸着で形成してなる表面被覆切削工具において、
(a)前記硬質被覆層は、0.5〜1.0μmのチタン炭化物層と0.5〜1.0μmのタングステン炭化物層との交互積層構造からなり、
(b)前記交互積層を構成する工具基体表面直上のチタン炭化物層には、工具基体表面との界面から該チタン炭化物層の内部深さ0.2μmまでの範囲において、5〜10原子%の平均Co含有量のCo含有領域が形成されていることを特徴とする表面被覆切削工具。
(2)前記硬質被覆層の表面に、上部層として、平均層厚0.5〜1.0μmの酸化アルミニウム層が蒸着形成されていることを特徴とする(1)に記載の表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
以下に、この発明の被覆工具の硬質被覆層の構成層に関し、詳細に説明する。
硬質被覆層は、チタン炭化物(以下、「TiC」で示す。)層とタングステン炭化物(以下、「WC」で示す。)層の交互積層構造として蒸着形成する。
化学蒸着法によりTi化合物層を蒸着する場合、通常、室温まで冷却する過程で、工具基体と蒸着膜との熱膨張差を原因として、Ti化合物層にクーリングクラックが発生し、これがチッピング発生の起点となることがあるが、本発明によれば、TiC層及びWC層の化学蒸着による成膜厚さを1μm以下とした場合には、化学蒸着後の冷却によるクーリングクラックの発生は認められないことから、TiC層及びWC層それぞれの一層層厚を、1μm以下とすることによって、クーリングクラックのない膜を形成し、耐チッピング性を向上させることができる。
ただ、TiCの層厚が1.0μmを超えた場合には、前記のとおり層中にクーリングクラックが発生することからTiC層の一層層厚は、1.0μmとするが、TiCの層厚が0.5μm未満となると、耐摩耗性向上効果を期待することはできないことから、TiC層の一層層厚は、0.5〜1.0μmとする。
しかし、TiC層が一層のみで層厚が0.5〜1.0μmであると、硬質被覆層厚が薄いために所望の耐摩耗性を得ることができない。
そこで、WC層との交互積層構造を構成することによって、クーリングクラックを発生させずに硬質被覆層全体の層厚を厚くすることが可能となり、所望の耐摩耗性を確保することができる。
この場合、WC層の一層層厚が0.5μm未満であると、TiC層に発生するクーリングクラックを抑制することができず、一方、WC層の一層層厚が1.0μmを超えると、TiCより硬さの低いWC層が全膜中に占める割合が大きくなることから耐摩耗性が低下するようになるので、WC層の一層層厚は0.5〜1.0μmと定めた。
なお、WC層は、TiC層に比して熱伝導性が優れるため、切削加工時の発熱の放散効果があるため、より一層耐摩耗性向上に寄与することとなる。
上記のとおり、各層の一層層厚を定めることによって、クーリングクラックのない硬質被覆層を蒸着形成することができる。
本発明では、前記のとおり、TiC層とWC層との交互積層により硬質被覆層を構成するが、硬質被覆層の平均層厚が2μm未満では、耐摩耗性の向上は望めず、一方、硬質被覆層の平均層厚が10μmを超えると、切刃部に高負荷が作用する断続切削加工では、チッピング、欠損等が発生しやすくなるので、硬質被覆層の平均層厚は2〜10μmと定めた。
本発明におけるTiC層は、例えば、以下の方法で形成することができる。
即ち、通常の化学蒸着装置を使用して、
反応ガス組成(容量%):TiCl 1〜3%、CH 0.5〜1.5%、H残り、
反応雰囲気温度:900〜950℃、
反応雰囲気圧力:26〜40kPa
の条件で化学蒸着することによって、クーリングクラックのない柱状結晶組織を有するTiC層を蒸着形成することができる。
また、本発明におけるWC層は、例えば、以下の方法で形成することができる。
即ち、通常の化学蒸着装置を使用して、
反応ガス組成(容量%):WF 0.5〜5%、C 0.5〜10%、H 10〜35%、Ar:残り、
反応雰囲気温度:500〜900℃、
反応雰囲気圧力:5〜30kPa、
の条件で化学蒸着することによって、クーリングクラックのないWC層を蒸着形成することができる。
前記蒸着条件で、TiC層及びWC層の交互積層からなる硬質被覆層を蒸着形成して、クーリングクラックのない硬質被覆層を得た後、反応雰囲気: H、 反応雰囲気圧力: 26〜40kPaの熱処理炉中で、反応温度:1050〜1100℃、反応時間:30〜80分の熱処理を施すことによって、工具基体の構成成分元素であるCoを、工具基体表面直上のTiC層(交互積層の第一層目のTiC層)中に拡散させ、該TiC層の強靭化を図ることができる。
第一層目のTiC層中に拡散したCoは、主として、TiC結晶粒界に濃化し、粒界強度の向上に寄与し、工具基体表面直上のTiC層の強靭化が図られる。
第一層目のTiC層中に拡散したCoの濃度は、オージェ電子分光分析により測定することができるが、工具基体表面と交互積層の第一層目のTiC層との界面から、TiC層の深さ0.2μmまでの範囲における平均Co含有量が5〜10原子%の場合に、TiC層の強靭化が図られる。
第一層目のTiC層の深さ0.2μmまでの範囲における平均Co含有量が5原子%未満である場合には、所望の強靭化効果を期待することはできず、一方、平均Co含有量が10原子%を超えると、TiC層の耐摩耗性が低下することから、工具基体表面と交互積層の第一層目のTiC層との界面から、TiC層の深さ0.2μmまでの範囲における平均Co含有量は5〜10原子%とすることが必要である。
このためには、工具基体中のCo成分含有量ばかりか、前記熱処理条件(特に、熱処理温度、熱処理時間)の管理が必要である。
本発明では、硬質被覆層を、前記TiC層とWC層との交互積層構造として構成したが、必要に応じ、前記硬質被覆層の表面に、上部層として、平均層厚0.5〜1.0μmの酸化アルミニウム層を蒸着形成することもできる。
上部層としての酸化アルミニウム層は、すぐれた高温硬さと耐熱性を備えることから、上部層を形成することにより、一段とすぐれた耐摩耗性が発揮される。
ただ、酸化アルミニウム層の平均層厚が0.5μm未満では、耐摩耗性の向上効果は少なく、一方、酸化アルミニウム層の平均層厚が1.0μmを超えると、切刃部に高負荷が作用する断続切削加工では、チッピング、欠損等が発生しやすくなるので、上部層としての酸化アルミニウム層の平均層厚は0.5〜1.0μmとすることが望ましい。
この発明の被覆工具は、工具基体表面に、所定の一層層厚を有するTiC層とWC層が交互積層されて、2〜10μmの平均層厚を有する硬質被覆層が構成され、該硬質被覆層にはクーリングクラックがなく、さらに、工具基体表面直上の第一層のTiC層には、所定量のCoが含有されて強靭化されていることから、切刃部に高負荷が作用する断続切削加工に供された場合であっても、チッピング、欠損等を発生することはなく、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
また、硬質被覆層表面に、0.5〜1.0μmの平均層厚の酸化アルミニウム層を上部層としてさらに蒸着形成した場合には、一段とすぐれた耐摩耗性を発揮するものである。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr32粉末、TiN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・SPMN120308に規定するインサート形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜Cをそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比で、TiC/TiN=50/50)粉末、Mo2 C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1540℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・SPMN120308のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体a、bを形成した。
(a) ついで、これらの工具基体A〜Cおよび工具基体a、bのそれぞれを、通常の化学蒸着装置に装入し、表3に示される条件にて、表6に示される一層目標層厚のTiC層を蒸着形成する。
(b) ついで、同じく表4に示される条件にて、表6に示される一層目標層厚のWC層を蒸着形成する。
(c) 上記TiC層及びWC層の蒸着形成を、表6に示す目標平均層厚になるまで交互に繰り返し行い、表6に示す目標平均層厚の硬質被覆層を形成する。
なお、いくつかのものについては、さらに、表6に示す目標平均層厚になるように酸化アルミニウム層を上部層として蒸着形成する。
(d) 次いで、上記硬質被覆層を形成した被覆工具(酸化アルミニウム層を上部層として形成したものを含む)を、表5に示す条件で熱処理して、交互積層の第一層であるTiC層にCoを拡散含有させた。
上記工程(a)〜(d)によって、表6に示す本発明の被覆工具(以下、本発明被覆工具という)1〜13を作製した。
また、比較の目的で、前記工具基体に対して、表3に示される条件にて、表7に示される一層目標層厚のTiC層を蒸着形成し、ついで、表4に示される条件にて、表7に示される一層目標層厚のWC層を蒸着形成し、TiC層及びWC層の蒸着形成を、表7に示す目標平均層厚になるまで交互に繰り返し行い、いくつかのものについては、さらに、表7に示す目標平均層厚になるように酸化アルミニウム層を上部層として蒸着形成し、ついで、表5に示す条件で熱処理を行い、あるいは、行わずに、表7に示す比較例の被覆工具(以下、比較例被覆工具という)1〜13を作製した。
ついで、上記の本発明被覆工具1〜13および比較例被覆工具1〜13の工具基体表面直上のTiC層について、界面からTiC層の内部深さ0.2μmまでの範囲において、オージェ電子分光分析器を用いて、複数箇所(10箇所)におけるCo成分の濃度を測定し、得られた複数の測定値(10箇所の測定値)を平均することによって、平均Co含有割合を求めた。
表6、表7に、平均Co含有割合(原子%)の値を示す。
また、上記の本発明被覆工具1〜13および比較例被覆工具1〜13の硬質被覆層を構成するTiC層、WC層あるいはさらに酸化アルミニウム層について、その平均層厚を走査型電子顕微鏡を用いて測定(縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
つぎに、上記の本発明被覆工具1〜13および比較例被覆工具1〜13を、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、以下の切削条件A、Bにより、単刃での乾式高速ミーリング切削加工試験を実施し、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
≪切削条件A≫
被削材:JIS・SCM440のブロック材
切削速度:400m/min(通常の切削速度は、200m/min)、
切り込み: ae95mm(センターカット)、ap3.0mm、
一刃送り量:0.2mm/刃、
切削時間:5分、
≪切削条件B≫
被削材:JIS・SUS304のブロック材
切削速度:300m/min(通常の切削速度は、200m/min)、
切り込み: ae20mm(ダウンカット)、ap5mm、
一刃送り量:0.15mm/刃、
切削時間:10分、
上記いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表8に示した。
表6〜8に示される結果から、本発明被覆工具は、硬質被覆層を、クーリングクラックのないTiC層とWC層の交互積層構造として形成し(あるいは、上部層としてさらに酸化アルミニウム層を形成し)、また、工具基体表面直上のTiC層を強靭化したことにより、切刃部に高負荷が作用する断続切削加工において、チッピング、欠損等を発生することはなく、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮した。
これに対して、本発明で規定する範囲外の交互積層構造からなる比較例被覆工具、あるいは、工具基体表面直上のTiC層が強靭化されていない比較例被覆工具は、切刃部に高負荷が作用する断続切削加工において、チッピング、欠損等の発生により、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆工具は、各種の鋼や鋳鉄などの通常条件での切削加工は勿論のこと、切刃部に高負荷が作用する鋼やステンレス鋼の断続切削加工においても、チッピング、欠損等を発生することはなく、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するものであるから、切削装置の高性能化並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。

Claims (2)

  1. 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、平均層厚2〜10μmの硬質被覆層を化学蒸着で形成してなる表面被覆切削工具において、
    (a)前記硬質被覆層は、0.5〜1.0μmのチタン炭化物層と0.5〜1.0μmのタングステン炭化物層との交互積層構造からなり、
    (b)前記交互積層を構成する工具基体表面直上のチタン炭化物層には、工具基体表面との界面から該チタン炭化物層の内部深さ0.2μmまでの範囲において、5〜10原子%の平均Co含有量のCo含有領域が形成されていることを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記硬質被覆層の表面に、上部層として、平均層厚0.5〜1.0μmの酸化アルミニウム層が蒸着形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。













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* Cited by examiner, † Cited by third party
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