JP2015180795A - 崩壊性のダウンホールツール用シール部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法 - Google Patents

崩壊性のダウンホールツール用シール部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法 Download PDF

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Abstract

【課題】採掘条件が多様となるもと、確実にダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールして坑井処理を容易とし、かつ、その除去や流路の確保が所望に応じて設計可能で、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができるシール部材を提供する。
【解決手段】崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、好ましくは、150℃の水に24時間浸漬後の質量または50%ひずみ圧縮応力の減少率が5%以上/150℃の水に72時間浸漬後の質量減少率が5〜100%/硬度A60〜D80/23℃での曲げ弾性率が0.005〜10GPa/ドライ環境下で安定状態を維持し、66℃以上の流体中で分解可能/又は、66℃での引張破断ひずみ50%以上、圧縮応力10MPa以上かつ圧縮破断ひずみ50%以上である、ダウンホールツール用シール部材、坑井掘削用プラグ等のダウンホールツール及び坑井掘削方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、石油または天然ガス等の炭化水素資源を産出するために行う坑井掘削において使用する坑井掘削用プラグ等のダウンホールツール用の崩壊性を有するシール部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法に関する。
石油または天然ガス等の炭化水素資源は、多孔質で浸透性の地下層を有する井戸(油井またはガス井。総称して「坑井」ということがある。)を通じて採掘され生産されてきた。エネルギー消費の増大に伴い、坑井の高深度化が進み、世界では深度9000mを超える掘削の記録もあり、日本においても6000mを超える高深度坑井がある。採掘が続けられる坑井において、時間経過とともに浸透性が低下してきた地下層や、さらには元々浸透性が十分ではない地下層から、継続して炭化水素資源を効率よく採掘するために、生産層を刺激(stimulate)することが行われ、刺激方法としては、酸処理や破砕方法が知られている。酸処理は、塩酸やフッ化水素等の強酸の混合物を生産層に注入し、岩盤の反応成分(炭酸塩、粘土鉱物、ケイ酸塩等)を溶解させることによって、生産層の浸透性を増加させる方法であるが、強酸の使用に伴う諸問題が指摘され、また種々の対策を含めてコストの増大が指摘されている。そこで、流体圧を利用して生産層に亀裂(フラクチャ、fracture)を形成させる方法(「フラクチャリング法」または「水圧破砕法」ともいう。)が注目されている。
水圧破砕法は、水圧等の流体圧(以下、単に「水圧」ということがある。)により生産層に亀裂を発生させる方法であり、一般に、垂直な孔を掘削し、続けて、垂直な孔を曲げて、地下数千mの地層内に水平な孔を掘削した後、それらの坑井孔(坑井を形成するために設ける孔を意味し、「ダウンホール」ということもある。)内にフラクチャリング流体を高圧で送り込み、高深度地下の生産層(石油または天然ガス等の炭化水素資源を産出する層)に水圧によって亀裂(フラクチャ)を生じさせ、該フラクチャを通して炭化水素資源を採取するための生産層の刺激方法である。水圧破砕法は、いわゆるシェールオイル(頁岩中で熟成した油)、シェールガス等の非在来型資源の開発においても、有効性が注目されている。
フラクチャリング流体等の高圧流体を使用して、高深度地下の生産層(シェールオイル等の石油またはシェールガス等の天然ガスなどの炭化水素資源を産出する層)に水圧によって亀裂(フラクチャ)を生じさせたり、また、穿孔を行ったりするという坑井処理を実施するためには、通常、以下の方法が採用されている。すなわち、地下数千mの地層内に掘削した坑井孔(ダウンホール)に対して、坑井孔の先端部から順次、目止めをしながら、所定区画を部分的に閉塞し、その閉塞した区画内にフラクチャリング流体等の流体を高圧で送入する、またはパーフォレーションガン等の火薬を内蔵したツールを用いて、生産層に亀裂を生じさせたり穿孔したりする。次いで、次の所定区画(通常は、先行する区画より手前、すなわち地上側の区画)を閉塞してフラクチャリング等を行い、亀裂や穿孔を進展させる。以下、この工程を必要な目止めとフラクチャリング等が完了するまで繰り返し実施する。
新たな坑井の掘削だけでなく、既に形成された坑井孔の所望の区画について、再度フラクチャリングによる生産層の刺激を行うこともある。その際も同様に、坑井孔の閉塞及びフラクチャリング等を行う操作を繰り返すことがある。また、坑井の仕上げを行うために、坑井孔を閉塞して下部からの流体を遮断し、その上部の仕上げを行った後、閉塞の解除を行うこともある。
坑井孔の閉塞及びフラクチャリング等を行うために坑井内で使用するツールであるダウンホールツールとしては、種々のものが知られている。例えば、特許文献1〜3には、芯金の周囲に諸部材(諸要素)を配置することにより坑井孔の閉塞や固定を行うプラグ(「フラックプラグ」、「ブリッジプラグ」または「パッカー」等と称することもある。)が開示されている。
特許文献1には、マンドレルの外周面上に金属製のスリップやエラストマー製のシール等が配置された拡張性かつ分解性のプラグが開示されている。特許文献2には、マンドレルの外周面上にスリップ(slip)、円錐状部材(conical member)やエラストマーまたはゴム等から形成される可鍛性要素(malleable element)等が配置され、ボールやフラッパー(flapper)等の障害(impediment)を備える分解性のダウンホールプラグが開示されている。特許文献3には、長尺の筒状本体部材(tubular body member)の外周面上にスリップや、複数のシール要素(sealing element)からなるパッカー要素集合体(packer element assembly)等が配置された生分解性のダウンホールツール(フラックプラグ)が開示されている。
また、特許文献4には、中心部に通路(passageway)を貫通して設けたフラクチャスリーブピストン(fracture sleeve piston。「ピストン」または「ピストンプラグ」という場合もある。)をスリーブの軸方向に移動可能に順次配列し、ボールシーラー(ball sealer。単に「ボール」ということもある。)とボールバルブシート(ball valve seat。「ボールシート」または単に「シート」と称されることもある。)により、順次閉鎖空間を形成するスリーブシステム(「フラックスリーブ」という場合もある。)が開示されている。
坑井掘削用に使用されるダウンホールツールは、坑井が完成するまで順次坑井内に配置され、高圧の流体によるフラクチャリングや穿孔等の坑井処理を実施するために、坑井孔内の所要の区間を流体圧力に抗して閉塞(シール)することができるシール性能が求められる。同時に、何らかの坑井処理が終了し、次の坑井処理を実施しようとするときには、容易にシール解除できることが求められる。さらに、シェールオイル等の石油またはシェールガス等の天然ガス(以下、総称して「石油や天然ガス」または「石油または天然ガス」ということがある。)などの生産が開始される段階では、シールを解除するとともに、使用されたダウンホールツールを除去する必要がある。プラグ等のダウンホールツールは、通常、使用後に閉塞を解除して回収できるように設計されていないため、破砕(mill)、ドリル空け(drill out)その他の方法で、破壊されたり、小片化されたりすることによって除去されるが、破砕やドリル空け等には多くの経費と時間を費やす必要があった。また、使用後に回収できるように特殊に設計されたプラグ(retrievable plug)もあるが、プラグは高深度地下に置かれたものであるため、そのすべてを回収するには多くの経費と時間を要していた。
特許文献1には、スリップやマンドレルを反応性金属等の分解性の金属要素から形成することが開示されている。特許文献2には、予め定められた温度、圧力、pH等により分解するフラッパー、ボール等を備えることが開示されている。特許文献3には、プラグまたはその部材を生分解性の材料から形成される(formed from biodegradable materials)ことが開示されているが、具体的な使用の開示はない。なお、特許文献4には、フラックスリーブを分解性とすることについての開示はない。
エネルギー資源の確保及び環境保護等の要求の高まりのもと、特に、非在来型資源の採掘が広がる中で、一方では、高深度化など採掘条件がますます過酷なものとなり、他方では、採掘条件の多様化、例えば、温度条件としては深度の多様化等に付随して60℃程度から200℃程度など多様な環境条件での採掘が進んでおり、近年は更に25〜40℃程度の低温のダウンホール環境もある。すなわち、フラックプラグ、ブリッジプラグ、パッカーやセメントリテイナー、スリーブシステム(フラックスリーブ)等のダウンホールツールに使用するダウンホールツール部材には、数千mの深度地下に部材を移送することができる機械強度(引張強度や圧縮強度)や、高深度地下のダウンホールの高温かつ高湿度の環境下で、回収対象である炭化水素と接触しても機械強度等が維持される耐油性、耐水性及び耐熱性を有することが求められる。また、ダウンホールツール部材には、穿孔やフラクチャリングを実施するためにダウンホールの所要空間を閉塞するときに、ダウンホールツールと坑井孔の内壁、具体的には、坑井孔の内部に配置されるケーシングとの間の流体をシールすることにより、高圧の水圧によっても閉塞を維持することができるシール性能などの諸特性が求められ、同時に、必要に応じてシールを解除することができる特性が求められる。更に加えて、ダウンホールツール部材には、炭化水素資源回収用の坑井が完成した段階では、その坑井の環境条件下(先に説明したように、深度の多様化等に付随し温度条件その他において多様な環境がある。)において、所望の期間内で、容易に除去することができ、流体のシールを完全に解除して生産効率を向上させることができるという特性を併せ有することが求められるようになってきた。
そこで、高深度化など採掘条件が多様なものとなっているもとで、確実にダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールすることにより、穿孔やフラクチャリングを始めとするシール操作が必要な坑井掘削における種々の坑井処理の実施を容易にするとともに、多様なダウンホール環境下で、所望の期間シール機能を確実に維持し、かつ所望の期間でシールを解除し、その除去や流路の確保ができるよう、所望に応じて設計可能であることによって、経費軽減や工程短縮に寄与し、生産効率の向上に寄与できるダウンホールツール用シール部材が求められていた。
米国特許出願公開2011/0067889号明細書 米国特許出願公開2011/0277989号明細書 米国特許出願公開2005/0205266号明細書 米国特許出願公開2010/0132959号明細書
本発明の課題の第1の側面は、高深度化など採掘条件が多様なものとなっているもとで、確実にダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールすることにより、穿孔やフラクチャリングを始めとするシール操作が必要な坑井掘削における種々の坑井処理の実施を容易にするとともに、多様なダウンホール環境下で、所望の期間シール機能を確実に維持し、かつ所望の期間でシールを解除し、その除去や流路の確保ができるよう、所望に応じて設計可能であることによって、経費軽減や工程短縮に寄与し、生産効率の向上に寄与できるダウンホールツール用シール部材を提供することにある。さらに、本発明の課題の他の側面は、該シール部材を備えるダウンホールツールを提供することにある。また、本発明の課題の更に別の側面は、該ダウンホールツール用シール部材を使用する坑井掘削方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、ダウンホールツール用シール部材を、崩壊性を有する材料を所定量含有する高分子材料から形成することにより、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、(1)崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成されることを特徴とするダウンホールツール用シール部材が提供される。
さらに、本発明の第1の側面によれば、発明の具体的な態様として、以下(2)〜(23)のダウンホールツール用シール部材が提供される。
(2)崩壊性を有する材料は、温度150℃の水に24時間浸漬後の質量または50%ひずみ圧縮応力の、浸漬前の質量または50%ひずみ圧縮応力に対する減少率が5%以上である前記(1)のダウンホールツール用シール部材。
(3)崩壊性を有する材料は、温度150℃の水に72時間浸漬後の質量の、浸漬前の質量に対する減少率が5〜100%である前記(1)または(2)のダウンホールツール用シール部材。
(4)硬度A60〜D80の範囲である前記(1)〜(3)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(5)温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲である前記(1)〜(4)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(6)ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能である前記(1)〜(5)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(7)温度66℃における引張破断ひずみが50%以上、70%ひずみ圧縮応力が10MPa以上かつ圧縮破断ひずみが50%以上である前記(1)〜(6)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(8)崩壊性を有する材料が、高分子化合物、低分子有機化合物及び無機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記(1)〜(7)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(9)崩壊性を有する材料が、分解性高分子材料または分解性エラストマーを含有する前記(8)のダウンホールツール用シール部材。
(10)崩壊性を有する材料が、2種以上の崩壊性を有する高分子化合物を含有する前記(8)または(9)のダウンホールツール用シール部材。
(11)崩壊性を有する材料が、エステル結合、アミド結合またはウレタン結合の少なくとも1つの結合を有する高分子化合物を含有する前記(8)〜(10)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(12)崩壊性を有する材料が、脂肪族ポリエステルを含有する前記(11)のダウンホールツール用シール部材。
(13)脂肪族ポリエステルが、共重合体である前記(12)のダウンホールツール用シール部材。
(14)崩壊性を有する材料が、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリアクリル酸及びポリビニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(13)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(15)ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、分解性高分子材料を含有する前記(1)〜(14)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(16)ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、分解性エラストマーを含有する前記(1)〜(14)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(17)ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、非分解性高分子材料を含有する前記(1)〜(14)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(18)ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、非分解性エラストマーを含有する前記(1)〜(14)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(19)ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、強化材を含有する前記(1)〜(18)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(20)環状の成形体である前記(1)〜(19)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(21)環状の成形体が、ダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれるものである前記(20)のダウンホールツール用シール部材。
(22)ボールまたはボールシートである前記(1)〜(19)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
(23)坑井掘削用プラグに備えられる前記(1)〜(22)のいずれかのダウンホールツール用シール部材。
また、本発明の他の側面によれば、(24)前記(1)〜(23)のいずれかのダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツール、好ましくは(25)坑井掘削用プラグ、より好ましくはフラックプラグまたはブリッジプラグである前記(24)のダウンホールツールが提供される。
本発明の更に別の側面によれば、以下(26)〜(31)の坑井掘削方法が提供される。
(26)前記(1)〜(23)のいずれかのダウンホールツール用シール部材を使用して、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールする坑井掘削方法。
(27)前記(1)〜(23)のいずれかのダウンホールツール用シール部材を使用して、坑井孔の目止め処理を行った後に、ダウンホールツールが崩壊除去される坑井掘削方法。
(28)崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であり、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用シール部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法。
(29)崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であり、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材を備え、
さらに分解性の材料を含有する他のダウンホールツール用部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用シール部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法。
(30)他のダウンホールツール用部材に含有される分解性の材料がポリグリコール酸である前記(29)の坑井掘削方法。
(31)崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であり、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材を備え、該ダウンホールツール用シール部材が、他のダウンホールツール用部材に接するダウンホールツールを使用して、坑井処理を行った後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用シール部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法。
本発明によれば、崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、好ましくは、温度150℃の水に24時間浸漬後の質量または50%ひずみ圧縮応力の減少率が5%以上、温度150℃の水に72時間浸漬後の質量減少率が5〜100%、硬度A60〜D80、温度23℃での曲げ弾性率が0.005〜10GPa、ドライ環境下で安定状態を維持し温度66℃以上の流体中で分解可能、または、温度66℃における引張破断ひずみ50%以上、70%ひずみ圧縮応力10MPa以上かつ圧縮破断ひずみ50%以上であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材であることによって、採掘条件が多様となるもと、所望の期間確実にダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールしてフラクチャリング等の坑井処理を容易とし、かつ、所望の期間でシールを解除し、その除去や流路の確保ができるよう、所望に応じて設計可能であることによって、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができるダウンホールツール用シール部材が提供されるという効果があり、更に、該部材を備えるダウンホールツール、及び坑井掘削方法が提供されるという効果がある。
I.崩壊性のダウンホールツール用シール部材
本発明のダウンホールツール用シール部材は、崩壊性のダウンホールツール用シール部材であり、崩壊性を有する材料を含有する高分子材料から形成されることを特徴とする。
1.崩壊性を有する材料
本発明の崩壊性のダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料とは、ダウンホールツール用シール部材が使用されるダウンホール環境下において、分解したり、溶解したりすることにより、ダウンホールツール部材として消失するもののほか、例えば分解性の樹脂にみられるように、重合度の低下等により本来の樹脂が有した強度が低下して脆くなる結果、極めて小さい機械的な力を加えることによって簡単に崩壊し、当初の形状を失ったりするものでもよい。すなわち、ダウンホールツール用シール部材に、求められたシール機能を、大きな機械的な力によることなく喪失させる機能を発揮できるものであればよい。したがって、従来坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールに備えられるマンドレルとして汎用されているアルミニウム等の金属材料のように、大きな機械的な力を加えることによって、破壊、崩壊等がされて物理的に形状を失う材料は、本発明の崩壊性を有する材料には該当しない。
〔分解性〕
ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の崩壊性として典型的に挙げられる分解性としては、例えば、フラクチャリング流体等の坑井掘削流体が使用される土壌中の微生物によって分解される生分解性、または、フラクチャリング流体等の坑井掘削流体中の溶媒、特に、水によって、更に所望により酸またはアルカリによって分解する加水分解性などがあるが、更に他の何らかの方法によって化学的に分解することができる分解性であってもよい。好ましくは、所定温度以上の水(熱水等)やスチームによって分解する加水分解性である。
〔150℃24時間質量減少率または150℃24時間圧縮応力減少率〕
また、ダウンホール環境において、確実に崩壊性を発揮する観点から、崩壊性を有する材料は、温度150℃の水に24時間浸漬後の質量または50%ひずみ圧縮応力の、浸漬前の質量または50%ひずみ圧縮応力に対する減少率(以下それぞれ、「150℃24時間質量減少率」または「150℃24時間圧縮応力減少率」ということがあり、総称して、「150℃24時間質量または圧縮応力減少率」ということがある。)が5%以上であることが好ましい。
〔150℃24時間質量減少率〕
ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の150℃24時間質量減少率は、所定形状の崩壊性を有する材料から調製した試料(例えば、崩壊性を有する材料を含有するダウンホールツール用シール部材から、厚み、長さ及び幅各20mmに切り出して調製した試料を使用することができる。)を、温度150℃の水(脱イオン水等)400mL中に浸漬し、24時間経過後に取り出した後に測定した試料の質量と、予め温度150℃の水に浸漬する前に測定した試料の質量(以下、「当初質量」ということがある。)とを比較して、当初質量に対する減少率(単位:%)を算出するものである。なお、温度150℃の水に浸漬中に、ダウンホールツール用シール部材が、分解したり溶出したりして形状を失いまたは消失する場合は、前記の質量減少率を100%とする。
ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料が、150℃24時間質量減少率が5%以上であることによって、ダウンホール環境(深度の多様化等に付随し約60℃程度〜200℃程度の温度であり、近年は更に25〜40℃程度の低温のダウンホール環境もある。)において、数時間〜数週間以内で、所定量の崩壊性を有する材料を含有する高分子材料から形成されるダウンホールツール用シール部材が分解または崩壊、更に望ましくは消失(本発明においては、総称して「分解」ということがある。)することにより、ダウンホールツール用シール部材によるシール機能が喪失されるので坑井掘削のための経費軽減や工程短縮に寄与することができる。ダウンホールツール用シール部材には、種々のダウンホールの温度等の環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様なシール機能の機能維持時間及び機能喪失時間が求められるが、本発明のダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料は、150℃24時間質量減少率が、5%以上が好ましいものであり、より好ましくは10%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上、望ましくは上限値である100%であることにより、例えば、温度177℃(350°F)、163℃(325°F)、149℃(300°F)、121℃(250°F)、93℃(200°F)、80℃または66℃、更には25〜40℃などの種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を発揮し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有するものとすることができる。ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の150℃24時間質量減少率を制御する因子や制御できる程度は、ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料、例えば分解性ゴムの種類によって異なるが、例えば、加硫度の調整つまり分子鎖間の架橋の度合いをコントロールすることによる分解速度の制御、加硫方式の変更や架橋剤の種類と比率の変更による分解速度の制御、硬度による分解速度の制御(一般には、硬度を上げると分解が抑制され、硬度を下げると分解が促進される。)、崩壊性を有する材料中の加水分解抑制剤等の配合剤や充填物の種類と量の調整による分解速度の制御、成形条件や硬化条件の変更による分解速度の制御ができる。
〔150℃24時間圧縮応力減少率〕
ダウンホールツール用シール部材に含有される150℃24時間圧縮応力減少率が5%以上であることが好ましい。ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の150℃24時間圧縮応力減少率の測定方法は以下のとおりである。すなわち、所定形状の崩壊性を有する材料から調製した試料(例えば、厚み、長さ及び幅各5mmに切り出した崩壊性を有する材料を含有するダウンホールツール用シール部材の試料を使用することができる。)を、温度150℃の水(脱イオン水等)400mL中に浸漬し、24時間経過後に取り出して、JIS K7181(ISO604準拠)に従って、常温で圧縮応力を測定し、50%ひずみ圧縮応力(「圧縮ひずみ50%における圧縮応力」をいう。以下同様である。単位:MPa)を求める。予め温度150℃の水に浸漬する前に測定した50%ひずみ圧縮応力(「当初の圧縮応力」)の値と比較して、当初の圧縮応力に対する減少率(単位:%)を算出する。なお、温度150℃の水に浸漬中に、ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料が、分解したり溶出したりして形状を失ったり消失したりする場合、または、圧縮応力を測定しているときに50%ひずみ到達前にダウンホールツール用シール部材が崩壊する場合は、前記の減少率を100%とする。
ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の当初の圧縮応力、すなわち、温度150℃の水への浸漬前の50%ひずみ圧縮応力としては、高深度地下にあるダウンホール内において、フラクチャリング等の坑井処理を行うのに要する期間(プラグの所定位置までの搬入・移送、ダウンホールツール用シール部材によるダウンホールの閉塞、及び、穿孔またはフラクチャリングの準備及び実施等を含む時間であり、概ね1〜2日間程度である。)、ダウンホールツール用シール部材の強度が維持され、ダウンホールの閉塞を確実に継続できる限り、特に限定はないが、通常5MPa以上、多くの場合7MPa以上であり、10MPa以上であることが特に好ましい。ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の当初の50%ひずみ圧縮応力は、上限値が特にないが、取扱い性や分解性(または崩壊性)の観点から、通常200MPa以下、多くの場合150MPa以下のものが使用される。
ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料が、150℃24時間圧縮応力減少率が5%以上であることにより、ダウンホール環境(深度の多様化等に付随し60℃程度〜200℃程度の温度であり、近年は更に25〜40℃程度の低温のダウンホール環境もある。)において、数時間〜数週間以内の所望の期間内で、所定量の崩壊性を有する材料を含有する高分子材料から形成されるダウンホールツール用シール部材が分解または崩壊することにより、ダウンホールツール用シール部材によるシール機能が喪失されるため、ダウンホールツール用シール部材は、その回収や物理的な破壊など多くの経費と時間を費やす必要がないので、坑井掘削のための経費軽減や工程短縮に寄与することができる。ダウンホールツール用シール部材には、種々のダウンホールの温度等の環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様なシール機能の機能維持時間及び機能喪失時間が求められるが、本発明のダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料は、150℃24時間圧縮応力減少率が、5%以上が好ましいものであり、より好ましくは20%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上、最も好ましくは100%であることにより、例えば、温度177℃、163℃、149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を発揮し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有するものとすることができる。
ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の150℃24時間圧縮応力減少率を制御する因子や制御できる程度は、先に説明したと同様に、崩壊性を有する材料、例えば分解性ゴムの種類によって異なるが、例えば、加硫度や架橋度の調整による分解速度の制御、加硫方式の変更や架橋剤の種類と比率の変更による分解速度の制御、硬度による分解速度の制御(一般には、硬度を上げると分解が抑制され、硬度を下げると分解が促進される。)、崩壊性を有する材料中の加水分解抑制剤等の配合剤や充填物の種類と量の調整による分解速度の制御、成形条件や硬化条件の変更による分解速度の制御ができる。崩壊性を有する材料の150℃24時間圧縮応力減少率の上限は、100%である。本発明のダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料は必要に応じて、150℃24時間圧縮応力減少率が100%であって、更に異なる温度、例えば、温度93℃、66℃、40℃または25℃などの種々の温度の水に24時間浸漬後の50%ひずみ圧縮応力の当初の圧縮応力に対する減少率が、例えば30%以下、10%以下、8%以下、更には5%未満であるように調製することもできる。
〔150℃72時間質量減少率〕
本発明のダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料は、また、ダウンホール環境において、確実に分解性を発揮する観点から、温度150℃の水に72時間浸漬後の質量の、浸漬前の質量に対する減少率(以下、「150℃72時間質量減少率」ということがある。)が5〜100%であることが好ましい。ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の150℃72時間質量減少率は、先に150℃24時間質量減少率について説明したと同様にして、所定形状の崩壊性を有する材料から調製した試料(例えば、崩壊性を有する材料を含有するダウンホールツール用シール部材から、厚み、長さ及び幅各20mmに切り出して調製した試料を使用することができる。)を、温度150℃の水400mL中に浸漬し、72時間経過後に取り出した後に測定した試料の質量と、当初質量とを比較して、算出するものである。ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料が、150℃72時間質量減少率が5〜100%であることにより、ダウンホール環境において、数時間〜数週間以内で、所定量の崩壊性を有する材料を含有する高分子材料から形成されるダウンホールツール用シール部材が分解または崩壊、更に望ましくは消失することにより、ダウンホールツール用シール部材によるシール機能が喪失されるので坑井掘削のための経費軽減や工程短縮に寄与することができる。ダウンホールツール用シール部材には、種々のダウンホールの温度等の環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様なシール機能の機能維持時間及び機能喪失時間が求められるが、本発明のダウンホールツール用シール部材は、150℃72時間質量減少率が、より好ましくは10〜100%、更に好ましくは50〜100%、特に好ましくは80〜100%、最も好ましくは90〜100%であることにより、例えば、温度177℃、163℃、149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を発揮し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有するものとすることができる。ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の150℃72時間質量減少率を制御する因子や制御できる程度は、先に150℃24時間質量減少率について説明したと同様である。
ダウンホールツール用シール部材には、種々のダウンホールの温度等の環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様なシール機能の機能維持時間及び機能喪失時間が求められるが、本発明のダウンホールツール用シール部材は、該ダウンホールツール用シール部材に含有される崩壊性を有する材料の150℃24時間質量または圧縮応力減少率が、更には150℃72時間質量減少率が、所定の範囲内であることによって、種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を発揮し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有するものとすることができる。したがって、本発明のダウンホールツール用シール部材としては、ダウンホールの環境や工程に応じて、所定の150℃24時間質量または圧縮応力減少率や、150℃72時間質量減少率を有する崩壊性を有する材料と、高分子材料との組み合わせから最適のものを選択することができる。
崩壊性を有する材料としては、所望により分解性や所定の150℃24時間質量または圧縮応力減少率等を有するものを選択することが容易であるなどの観点から、崩壊性を有する材料が、高分子化合物、低分子有機化合物及び無機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。例えば、低分子有機化合物または無機化合物としては、坑井掘削流体中の溶媒、例えば、水や有機溶剤に接触することによって、容易に分解し、溶解したり消失したりするものを選択することができ、炭酸カルシウムや塩化ナトリウム、ダイマー、テトラマー等のオリゴマー類などを例示することができる。崩壊性を有する材料は、1種の単独または2種以上を組み合わせて選択して使用することができる。
また、崩壊性を有する材料が、好ましく選択される高分子化合物である場合、該崩壊性を有する材料が、後に説明する分解性高分子材料または分解性エラストマーを含有するものとすることができ、また、2種以上の崩壊性を有する高分子化合物を含有するものとすることができる。さらに、崩壊性を有する材料として所望される加水分解性を有する観点から、崩壊性を有する材料が、エステル結合、アミド結合またはウレタン結合の少なくとも1つの結合を有する高分子化合物を含有するものとすることができ、また、水溶性の高分子化合物であるポリアクリル酸やポリビニルアルコールとすることができる。
より好ましくは崩壊性を有する材料が、脂肪族ポリエステルを含有するものとすることができ、更に好ましくは脂肪族ポリエステルが、共重合体であるものとすることができる。脂肪族ポリエステルとしては、例えば、オキシカルボン酸及び/またはラクトンの単独重合または共重合により、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応により、或いは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとオキシカルボン酸及び/またはラクトンとの共重合により得られる脂肪族ポリエステルであり、好ましくは脂肪族ポリエステル共重合体であって、また、温度20〜100℃程度の水に速やかに溶解するものがより好ましい。
オキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等の炭素数2〜8の脂肪族ヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。ラクトンとしては、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜10のラクトンなどが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の炭素数2〜8の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の炭素数4〜8の脂肪族不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等の炭素数2〜6のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の炭素数2〜4のポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
脂肪族ポリエステルを形成する成分は、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。また、分解性の樹脂としての性質を失わない限り、テレフタル酸等の芳香族であるポリエステルを形成する成分を組み合わせて使用することもできる。
崩壊性のダウンホールツール用シール部材に適合する特性の調整が比較的容易であり、成形加工性に優れる観点から、特に好ましくは、崩壊性を有する材料が、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸(SCPLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート/アジペート(PBSA)、ポリアクリル酸(PAA)及びポリビニルアルコール(PVA)からなる群より選ばれる少なくとも1種であるものとすることができる。これらの特に好ましい崩壊性を有する材料である高分子化合物は、分解性高分子材料に属するものであり、また、脂肪族ポリエステルに属するものでもある。崩壊性を有する材料として選択される高分子化合物は、1種の単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
2.高分子材料
崩壊性を有する材料を含有して、本発明のダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料としては、従来、ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料として使用されていた高分子材料を使用することができる。すなわち、本発明のダウンホールツール用シール部材は、崩壊性を有する材料を所定量含有する高分子材料から形成されることによって、高分子材料に含有される崩壊性を有する材料が崩壊することにより、ダウンホールツール用シール部材がシール機能を喪失してシールを解除する崩壊性のダウンホールツール用シール部材であるものとすることができるので、必ずしも高分子材料が崩壊性や分解性を有する必要はない。高分子材料は、1種の単独または2種以上を組み合わせて使用することができ、その際、崩壊性や分解性を有する高分子材料(分解性高分子材料)と、ダウンホール環境において崩壊性や分解性を有しない高分子材料(非分解性高分子材料)とを組み合わせて使用することもできる。
〔分解性高分子材料または分解性エラストマー〕
ダウンホールツール用シール部材の崩壊を促進することにより、シール機能の喪失を促進することが所望される場合には、ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、分解性高分子材料を含有するものとすることが好ましく、同様に、分解性エラストマー(広義には、分解性高分子材料に概念上包含される。)を含有するものとすることが好ましい。分解性高分子材料または分解性エラストマー(以下、総称して「分解性高分子材料等」ということがある。)としては、先に特に好ましい崩壊性を有する材料として挙げた、PGA、PLA、SCPLA、PCL、PES、PBS、PBAT、PBSA、PAA及びPVAなどが挙げられ、さらに、分解性エラストマーに属するものとして、天然ゴム、ポリイソプレン、ブチルゴム、スチレンゴム、アクリルゴム、脂肪族ポリエステルゴム、クロロプレンゴム及びウレタンゴムなどが挙げられる。
〔非分解性高分子材料または非分解性エラストマー〕
先に説明したように、ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料としては、非分解性高分子材料を含有するものとすることもでき、同様に非分解性エラストマー(広義には、非分解性高分子材料に概念上包含される。)を含有するものとすることもできる。非分解性高分子材料または非分解性エラストマーとしては、従来、ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料として使用されることがあったニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、シリコーンゴム、フッ素ゴム(FKM、FEPM、FFKM)などを挙げることができる。
3.崩壊性を有する材料を含有する高分子材料
本発明のダウンホールツール用シール部材は、崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成されることによって、崩壊性のダウンホールツール用シール部材とすることができる。崩壊性を有する材料の含有量が少なすぎると、崩壊性を有する材料を含有する高分子材料から形成されるダウンホールツール用シール部材が崩壊性を有しないことがあり、また、多様なダウンホール環境において求められ、または崩壊性の調整が求められる所望の崩壊性を有するものとすることができないことがある。他方、崩壊性を有する材料の含有量が多すぎると、多様なダウンホール環境において所定の期間求められるシール機能を、該所定の期間維持し発揮することができず、不用意にシール機能が減少してしまったり、シール機能が喪失されてしまうおそれがある。崩壊性を有する材料の含有量は、高分子材料100質量部に対して、好ましくは5〜150質量部、より好ましくは7〜120質量部、更に好ましくは10〜100質量部であるが、崩壊性を有する材料と高分子材料との組み合わせにより、特に、高分子材料が分解性であるか非分解性であるかにより、最適の範囲を選択することができる。本発明のダウンホールツール用シール部材を形成する崩壊性を有する材料を含有する高分子材料における崩壊性を有する材料の形状は、崩壊性を有する材料を高分子材料中で均一に分散させることができる限り、特に限定されず、定形のものでもよいし不定形のものでもよい。多くの場合、粒状または粉体状で、高分子材料の中に島状に分散するものとすればよい。
崩壊性を有する材料は、先に説明したように高分子化合物を含有するものとすることができ、更に分解性高分子材料または分解性エラストマー(分解性高分子材料等)を崩壊性を有する材料として含有するものとすることができる。したがって、崩壊性を有する材料とダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料との組み合わせとしては、例えば、分解性高分子材料/分解性高分子材料、分解性高分子材料/非分解性高分子材料、分解性高分子材料/分解性エラストマー、分解性高分子材料/非分解性エラストマー、分解性エラストマー/分解性高分子材料、分解性エラストマー/非分解性高分子材料、分解性エラストマー/分解性エラストマーまたは分解性エラストマー/非分解性エラストマーの組み合わせがあり、これら多様な組み合わせから選択することができる。例えば、崩壊性を有する材料/高分子材料の組み合わせとして、ウレタンゴム/ニトリルゴム、ウレタンゴム/PBSAまたはPBSA/ウレタンゴム等の組み合わせが可能である。さらに、分解性高分子材料等同士の組み合わせとして、分解性が異なる分解性高分子材料等の組み合わせ、例えば、温度60℃の水中で容易に崩壊する分解性高分子材料等と、温度120℃の水中で容易に崩壊する分解性高分子材料等との組み合わせ等の選択が可能である。
崩壊性を有する材料が高分子化合物を含有する場合やその他の場合において、崩壊性を有する材料がダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料の中に分散する海島(うみしま)構造の混合状態となっていることがある。この場合、例えば、海(「マトリックス」ということもある。)である高分子材料の中を浸透してきた水によって、島である崩壊性を有する材料が分解・崩壊することにより、シール部材が崩壊するようになることがある。
〔他の配合成分〕
本発明のダウンホールツール用シール部材は、所定量の崩壊性を有する材料、高分子材料に加えて、本発明の目的を阻害しない範囲で、更に他の配合成分として、他の樹脂材料や、安定剤、分解促進剤または分解抑制剤、強化材等の各種添加剤を含有させ、または配合させることができる。特に。ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料は、強化材を含有するものとしてもよい。
〔強化材〕
強化材としては、従来、機械的強度や耐熱性の向上を目的として樹脂材料等の強化材として使用されている材料を使用することができ、繊維状強化材や、粒状または粉末状強化材を使用することができる。強化材は、高分子材料100質量部に対して、通常150質量部以下、好ましくは10〜100質量部の範囲で含有させることができる。本発明のダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、強化材を含有するものであると、ダウンホール環境が高分子材料の融点に近い環境であっても、処理に必要な期間、シールを行うことが可能となることがある。
繊維状強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維等の無機繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真鍮等の金属繊維状物;アラミド繊維、ケナフ繊維、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂等の高融点有機質繊維状物質;などが挙げられる。繊維状強化材としては、長さが10mm以下、より好ましくは1〜6mm、更に好ましくは1.5〜4mmである短繊維が好ましく、また、無機繊維状物が好ましく使用され、ガラス繊維が特に好ましい。
粒状または粉末状強化材としては、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉(ミルドファイバー等)、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等を用いることができる。強化材は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。強化材は、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により処理されていてもよい。
4.ダウンホールツール用シール部材
崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成される本発明のダウンホールツール用シール部材は、従来、使用されていたダウンホールツール用シール部材と同様の構成、構造、形状を有するものとすることができ、また、従来と同様の機械的特性等を有するものとずることができ、これによって、従来と同様の用途や使用態様に適用することができる。
〔硬度〕
本発明のダウンホールツール用シール部材は、シール機能の観点から、硬度A60〜D80の範囲であることが好ましい。本発明において、ダウンホールツール用シール部材の硬度とは、ISO7619に準拠して測定されるデュロメータ硬度のタイプA(以下、「硬度A」ということがある。)またはタイプD(以下、「硬度D」ということがある。)で表される硬度を意味するものである。デュロメータ硬度としては、一般ゴム等に適合する中硬さ用のタイプA、硬質ゴム等に適合する高硬さ用のタイプD、及びスポンジ等に適合する低硬さ用のタイプEがある(例えば、硬度A100は、概ね硬度D60程度に相当することが多い。)。本発明のダウンホールツール用シール部材は、硬度A60〜D80の範囲であることによって、更に所望によりシール部材の構造等を併せて調整することにより、フラクチャリング等の高圧流体加圧に抗して坑井孔のシールを行うよう構成することができる。ダウンホールツール用シール部材の硬度は、より好ましくは硬度A65〜D78、更に好ましくは硬度A70〜D75の範囲である。
〔曲げ弾性率〕
本発明のダウンホールツール用シール部材は、多様なダウンホール環境において、シール機能を確実に発揮する観点から、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であるものとすることができる。本発明のダウンホールツール用シール部材の温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であれば、ダウンホール環境、例えば、温度177℃、163℃、149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの環境内において坑井孔の閉塞を行う、例えば、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールしようとする場合、該ダウンホール環境内ではダウンホールツール用シール部材の曲げ弾性率が適度に低下するため、ダウンホールツール用シール部材が、ダウンホールツールの形状及びケーシングの形状に確実に係合するように変形することができる。したがって、ダウンホールツール用シール部材とケーシングとの当接面積が大きくなり、閉塞が確実となる。さらに、例えばフラクチャリング等のシールが必要とされる処理を実施するために、流体による極めて高い圧力が負荷されても、流体のシールが破壊されにくい効果がある。温度23℃における曲げ弾性率は、JIS7113(ISO178に相当)に準拠して測定する。
ダウンホール環境内においてシール機能を確実にする変形が容易なものとなる観点から、ダウンホールツール用シール部材の温度23℃における曲げ弾性率は、好ましくは9GPa以下、より好ましくは8GPa以下、更に好ましくは7GPa以下であり、特に厚みが5mmを超えるようなシール部材において有効である。ダウンホールツール用シール部材の温度23℃における曲げ弾性率が小さすぎると、高い流体圧力が負荷されるときに、変形してシールが破壊されてしまう場合があるので、好ましくは0.008GPa以上、より好ましくは0.01GPa以上、更に好ましくは0.02GPa以上とするとよい。
〔ドライ安定性〕
本発明のダウンホールツール用シール部材は、所望により、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能である(以下、「ドライ安定性」ということがある。)ことにより、フラクチャリング等の坑井処理を行うのに要する期間、ダウンホールツール用シール部材の形状及びシール性能が維持され、ダウンホールの閉塞をより確実に実施することができるので好ましい。すなわち、坑井掘削のための採掘条件が多様なものとなっているもとで、本発明のダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールを坑井孔内に配置し、フラクチャリング等の坑井処理を行うに至る前段階において、シール機能を喪失することがなく、かつ、該坑井処理の終了後には、温度66℃以上の流体に接触することにより、所望の短時間でダウンホールツール用シール部材を分解させることを可能とすることができる。なお、本発明のダウンホールツール用シール部材について、「ドライ環境下では安定」とは、温度23℃相対湿度50%の環境下において168時間(7日間)以上、圧縮応力の減少が生じないことをいう。また、「温度66℃以上の流体中で分解可能」とは、温度66℃の水(脱イオン水等)に168時間(7日間)浸漬後の圧縮応力の、浸漬前の圧縮応力に対する減少率が5%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは上限値である100%であることをいう。
〔66℃引張破断ひずみ、70%ひずみ圧縮応力及び圧縮破断ひずみ〕
本発明のダウンホールツール用シール部材は、所望により、ダウンホール環境においてシール機能を確実に発揮する観点から、温度66℃における引張破断ひずみが50%以上、70%ひずみ圧縮応力が10MPa以上かつ圧縮破断ひずみが50%以上であることによって、フラクチャリング等の坑井処理を行うのに要する期間、ダウンホールツール用シール部材の強度が維持され、ダウンホールの閉塞をより確実に継続できるので好ましい。すなわち、ダウンホールツール用シール部材を使用して坑井孔の閉塞(シール)を行う場合に、ダウンホールツール用シール部材が、ダウンホールツールの形状及びダウンホールの形状(ケーシングの形状)に確実に係合するように変形しても、具体的には大きな引張力(及び圧縮力)を受けながら変形しても、破断するおそれがないので、ダウンホールツール用シール部材とケーシングとの当接面積が大きくなり、閉塞が確実となる。さらに、例えばフラクチャリング等のシールが必要とされる処理を実施するために、流体による極めて高い圧力が負荷されることで、大きな引張力(及び圧縮力)を受けることがあっても、流体のシールが破壊されにくい効果がある。
〔66℃引張破断ひずみ〕
ダウンホールツール用シール部材の温度66℃における引張破断ひずみ(以下、「66℃引張破断ひずみ」ということがある。)は、ISO37(JIS K6251)に準拠して、温度66℃で測定するものである。66℃引張破断ひずみは、50%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、更に好ましくは100%以上である。66℃引張破断ひずみは、上限値が特にないが、66℃引張破断ひずみが大きすぎると、所要の坑井処理後にダウンホールツール用シール部材を分解させて強度が失われる際に小片となりにくくなる場合があることから、通常1000%以下、多くの場合900%以下である。なお、ダウンホールツール用シール部材の厚みが小さい、例えば10mm以下である場合は、引張破断ひずみが20%未満、例えば10%以上であっても使用することができる場合がある。
〔66℃圧縮応力〕
ダウンホールツール用シール部材の温度66℃における70%ひずみ圧縮応力(以下、「66℃圧縮応力」ということがある。)は、ISO14126(JIS K7018)に準拠して、温度66℃で測定するものであり、破断までの最大応力値を表す。66℃圧縮応力は、10MPa以上であることが好ましく、より好ましくは20MPa以上、更に好ましくは30MPa以上である。66℃圧縮応力は、上限値が特にないが、通常200MPa以下、多くの場合150MPa以下である。
〔66℃圧縮破断ひずみ〕
ダウンホールツール用シール部材の温度66℃における圧縮破断ひずみ(以下、「66℃圧縮破断ひずみ」ということがある。)は、ISO14126に準拠して、温度66℃で測定するものである。66℃圧縮破断ひずみは、50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上である。66℃圧縮破断ひずみは、上限値が100%であるが、通常99%以下である。
〔ダウンホールツール用シール部材の形状及び大きさ〕
本発明のダウンホールツール用シール部材の形状及び大きさは、特に限定されず、ダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールの種類、形状や大きさに適合するように調製することができる。例えば、シート状(薄いフィルム状、厚板状等)、棒状(丸棒状、角柱状等)、直方体状(立方状を含む)、ボール状、その他の塊状(定形、不定形等)などの形状でもよい。本発明のダウンホールツール用シール部材がシート状であったり、シーリング材またはパッキング材(詰め物様)であったりする場合は、必ずしも所定の形状を有する成形体である必要はない。また、本発明の崩壊性を有するダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、坑井掘削用プラグ等である場合は、環状の成形体であるダウンホールツール用シール部材とすることができ、更に具体的には、環状の成形体がダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれるものであるダウンホールツール用シール部材などとすることができ、フラックプラグまたはブリッジプラグ等の坑井掘削用プラグに備えられるダウンホールツール用シール部材とすることができる。また、本発明のダウンホールツール用シール部材は、ボールまたはボールシートであることができ、この場合には、ボールの崩壊及び/またはボールシートの崩壊によって、ボールとボールシートとの組み合わせによるシールが解除されることとなる。
〔ダウンホール環境内でのシール及びシールの解除〕
本発明のダウンホールツール用シール部材は、崩壊性を有する材料を所定量含有する高分子材料から形成されるものから選択し、好ましくは更に所定の機械特性や分解特性を有するものとすることにより、既に説明したダウンホール環境〔深度の多様化等に付随して、多くは60℃(140°F)〜204℃(400°F)程度の温度であり、近年は更に25〜40℃程度の低温のダウンホール環境もある。〕において、数時間〜数週間以内で、該崩壊性を有する材料の崩壊に由来して、ダウンホールツール用シール部材がシール機能を喪失してシールを解除するものとすることができる。したがって、坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールとケーシングとの間の空間の閉塞(シール)を解除することを目的として、ダウンホールツール用の部材を回収したり物理的に破壊するなどのために、多くの経費と時間を費やす必要がなく、炭化水素資源の回収のための経費軽減や工程短縮に寄与することができる。さらに、ダウンホールツールを、本発明の崩壊性のダウンホールツール用シール部材とともに、分解性材料から形成される他の部材を備えるものとすることにより、ダウンホールツール用の部材を回収したり物理的に破壊する操作を完全に不要とすることができる。本発明のダウンホールツール用シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールには、種々のダウンホールの温度等の環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様な強度等の性能維持時間及び分解時間が求められるが、本発明のダウンホールツール用シール部材は、例えば、温度177℃、163℃、149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を維持し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有することができる。本発明のダウンホールツール用シール部材において、シール機能の維持時間やシール機能を喪失する速度等を制御する因子や制御が可能である程度は、崩壊性を有する材料と高分子材料の種類や組み合わせによっても異なり、種々の手法により調整可能である。
5.ダウンホールツール用シール部材の製造方法
本発明のダウンホールツール用シール部材は、特に製造方法が限定されない。例えば、練り、分出し、成形、加硫、仕上げ等を行う一般的なゴム成形、注型成形(ウレタンゴム等)、射出成形、押出成形(固化押出成形を含む。)、遠心成形、圧縮成形その他の公知の成形方法により、所定量の崩壊性を有する材料、高分子材料、及び所望により含有させる他の配合成分を含有する組成物を成形原料として、所定形状の成形品を成形し、または適宜形状(例えば、棒状体や厚板等)の予備成形品を成形した後、必要に応じて切削加工や穿孔等の機械加工した後に、それ自体公知の方法によって組み合わせて、ダウンホールツール用シール部材を得ることができる。
II.ダウンホールツール
本発明の他の側面によれば、先に説明した本発明のダウンホールツール用シール部材、すなわち崩壊性のダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが提供される。ダウンホールツールの種類、形状や大きさは、特に限定されない。例えば、本発明のダウンホールツール用シール部材は、スリーブシステム(フラックスリーブ)におけるシール部材、ダウンホールツール内におけるボールバルブ、フラッパーバルブ等のシール部材、ダウンホールツールとケーシングの間の開口部に配置されることで一時的に流体を遮断できるシール部材、更に金属等のダウンホールツール部材を覆う形で存在し、これら金属部分等が拡径することで坑井孔をシールするなどの他の多くのシール用途におけるシール部材として使用することができる。本発明のダウンホールツール用シール部材の特性である崩壊性をより有効に発揮することができる観点から、好ましいダウンホールツールとしては、坑井掘削用プラグが挙げられ、より好ましくはフラックプラグまたはブリッジプラグが挙げられる。
〔坑井掘削用プラグ〕
本発明のダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツール(以下、「本発明のダウンホールツール」ということがある。)として、より好ましい坑井掘削用プラグは、通常、マンドレル(中実でも中空部を有するものでもよい。)と、マンドレルの軸方向に直交する外周面上に置かれる種々のダウンホールツール部材とを備える、それ自体周知の構造を備えるものが適合する。ダウンホールツール部材としては、拡径してダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とケーシングとの間の空間を閉塞して流体をシールすることができる拡径可能な環状のシール部材、及び/または、拡径してダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とケーシングとを相互に固定するスリップや、ウエッジ、リングその他の部材が挙げられ、それ自体周知の部材を備えるものとすることができる。
本発明のダウンホールツールは、特に好ましくは環状の成形体であるダウンホールツール用シール部材を備えるものであり、最も好ましくはマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれる環状の成形体であるダウンホールツール用シール部材を備えるものである。
本発明のダウンホールツールが備える他のダウンホールツール部材、例えば、マンドレル、スリップ、ウエッジまたはリングなどは、従来、当該ダウンホールツール部材として使用されてきた材料、形状や大きさ、機械的特性等を有するものの範囲から選択することができる。したがって例えば、マンドレル等としては、分解性材料から形成されるものを使用してもよく、また、強化材を含有する材料から形成されるものを使用してもよく、さらに、他の材料から形成される別部材との複合材から形成されるものを使用してもよい。さらに、マンドレルについていえば、中空部を有してもよいし、軸方向に沿って径が変化するものでもよいし、外表面に固定部、段部、凹部、凸部等を有するものでもよい。
〔ダウンホールツールによるダウンホールのシール〕
ダウンホールツールの流体シールを確実なものとするために、本発明のダウンホールツール用シール部材は、例えば環状の成形体として、好ましくはダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれる環状の成形体として、軸方向に圧縮されて縮径することに伴い軸方向と直交する方向に拡径する部材として、坑井孔のケーシングとダウンホールツールとの間の空間を閉塞し、流体をシールするものとすることができる。
III.坑井掘削方法
本発明の更に別の側面によれば、先に説明した本発明のダウンホールツール用シール部材、すなわち崩壊性のダウンホールツール用シール部材を使用して、具体的にはダウンホールツール用シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールを使用して、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールする坑井掘削方法によって、並びに、先に説明した本発明のダウンホールツール用シール部材を使用して、具体的には崩壊性のダウンホールツール用シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールを使用して、坑井孔の目止め処理を行った後に、該ダウンホールツール用シール部材が、好ましくはダウンホールツール用シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールの一部または全部が崩壊除去される坑井掘削方法によって、所定の諸区画のフラクチャリング等の坑井処理が終了し、または、坑井の掘削が終了して坑井が完成し、石油や天然ガス等の生産を開始するときには、坑井孔を閉塞しているダウンホールツール用シール部材によるシールを、当該のダウンホール環境において所望する期間内に、容易にシール解除することができるように設計することができる。この結果、本発明の坑井掘削方法によれば、従来、坑井処理の終了後または坑井完成後に、シール解除を行うためにシール機能を喪失させる操作のために、更には、坑井内に残置されていた多数の坑井掘削用プラグまたはシール部材等の部材を、破砕、穿孔その他の方法によって破壊したり、小片化したりするために要していた多くの経費と時間が不要となるので、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる。
〔坑井孔の閉塞〕
すなわち、本発明のダウンホールツールは、ダウンホールツール用シール部材に対して、例えば、1対のリングにマンドレルの軸方向の力を加えることにより、ダウンホールツール用シール部材が、軸方向に圧縮されて縮径することに伴い、マンドレルの軸方向と直交する方向に拡径して、軸方向に直交する方向の外方部がダウンホールの内壁と当接するとともに、軸方向に直交する方向の内方部がマンドレルの外周面に当接することにより、ダウンホールツールとダウンホールとの間の空間を閉塞し、流体をシールすることができる。なお、ダウンホールツール用シール部材が短時間で分解してしまうような高温環境にあるダウンホール内において、上記した閉塞(シール)を行う場合には、地上から流体を注入して(cooldown injection)、ダウンホールツール用シール部材の周辺温度を低下させた状態にコントロールすることによって、所望の時間、シール性能(強度等)を維持するような処理方法を採用することができる。
〔ダウンホールツールの崩壊〕
本発明の坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールは、所定の諸区画のフラクチャリング等の坑井処理が終了した後、通常は、坑井の掘削が終了して坑井が完成し、石油や天然ガス等の生産を開始するときに、生分解、加水分解または更に他の何らかの方法による化学的な分解や溶剤への溶解のみならず、崩壊性を有する材料を崩壊させることができる多様な手段により、ダウンホールツール用シール部材のシール機能を喪失させ、更に所望により、分解性を有するマンドレルやスリップ、リング等のダウンホールツール用シール部材以外の他のダウンホールツール部材とともに、容易に崩壊または分解させて除去することができる。すなわち、本発明のダウンホールツール用シール部材を使用して坑井孔の目止め処理を行った後に、ダウンホールツール用シール部材がシール機能を喪失し、更に所望により崩壊除去されることによって、(i)坑井内において流体の移動を妨げるためのシールが所望期間内に解除できる、(ii)生産を妨げる不要なダウンホールツールの除去が容易となる、(iii)ダウンホールツールに備えられる他の部材をPGAやPLA等の分解性の材料、より好ましくはPGAから形成することによれば、生産開始前にダウンホールツールやダウンホールツール部材の破砕処理が全く不要であるダウンホールツールを得ることができる、(iv)フラクチャリング工程に使用されるダウンホールツールに限られることなく、何らかのシールが必要とされる多様な工程において使用される種々のダウンホールツールに適用することができる、などの利点がある。なお、坑井処理が終了した後に残存するダウンホールツール用シール部材は、生産を開始するまでに完全に消失していることが好ましいが、完全に消失していないとしても、強度が低下してダウンホール中の水流等の刺激により崩壊するような状態となれば、崩壊したダウンホールツール用シール部材は、フローバックなどにより容易に回収することができ、ダウンホールやフラクチャに目詰まりを生じさせることがないので、石油や天然ガス等の生産障害となることがない。また通常、ダウンホールの温度が高い方が、短時間でダウンホールツール用シール部材の分解や強度低下が進行する。なお、坑井によっては地層中の含水量が低いことがあり、その場合にはフラクチャリング時に使用した水ベースの流体を、フラクチャリング後に回収することなく坑井中に残留させることで、ダウンホールツール用シール部材の分解を促進させることができる。
本発明の更に他の側面の具体的態様によれば、崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であり、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用シール部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法が提供される。
本発明の更に他の側面の具体的態様によれば、崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であり、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材を備え、さらに分解性材料、好ましくはポリグリコール酸を含有する他のダウンホールツール用部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用シール部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法が提供される。
本発明の更に他の側面の具体的態様によれば、崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であり、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材を備え、該ダウンホールツール用シール部材が、他のダウンホールツール用部材に接するダウンホールツールを使用して、坑井処理を行った後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用シール部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法が提供される。
本発明は、崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成されることを特徴とするダウンホールツール用シール部材であることによって、採掘条件が多様となるもと、所望の期間確実にダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールしてフラクチャリング等の坑井処理を容易とし、かつ、所望の期間でシールを解除し、その除去や流路の確保ができるよう、所望に応じて設計可能であることによって、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができるダウンホールツール用シール部材を提供することができ、更に、該部材を備えるダウンホールツール、及び坑井掘削方法を提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (31)

  1. 崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成されることを特徴とするダウンホールツール用シール部材。
  2. 崩壊性を有する材料は、温度150℃の水に24時間浸漬後の質量または50%ひずみ圧縮応力の、浸漬前の質量または50%ひずみ圧縮応力に対する減少率が5%以上である請求項1記載のダウンホールツール用シール部材。
  3. 崩壊性を有する材料は、温度150℃の水に72時間浸漬後の質量の、浸漬前の質量に対する減少率が5〜100%である請求項1または2記載のダウンホールツール用シール部材。
  4. 硬度A60〜D80の範囲である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  5. 温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  6. ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  7. 温度66℃における引張破断ひずみが50%以上、70%ひずみ圧縮応力が10MPa以上かつ圧縮破断ひずみが50%以上である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  8. 崩壊性を有する材料が、高分子化合物、低分子有機化合物及び無機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  9. 崩壊性を有する材料が、分解性高分子材料または分解性エラストマーを含有する請求項8記載のダウンホールツール用シール部材。
  10. 崩壊性を有する材料が、2種以上の崩壊性を有する高分子化合物を含有する請求項8または9記載のダウンホールツール用シール部材。
  11. 崩壊性を有する材料が、エステル結合、アミド結合またはウレタン結合の少なくとも1つの結合を有する高分子化合物を含有する請求項8乃至10のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  12. 崩壊性を有する材料が、脂肪族ポリエステルを含有する請求項11記載のダウンホールツール用シール部材。
  13. 脂肪族ポリエステルが、共重合体である請求項12記載のダウンホールツール用シール部材。
  14. 崩壊性を有する材料が、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリアクリル酸及びポリビニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至13のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  15. ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、分解性高分子材料を含有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  16. ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、分解性エラストマーを含有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  17. ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、非分解性高分子材料を含有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  18. ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、非分解性エラストマーを含有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  19. ダウンホールツール用シール部材を形成する高分子材料が、強化材を含有する請求項1乃至18のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  20. 環状の成形体である請求項1乃至19のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  21. 環状の成形体が、ダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれるものである請求項20記載のダウンホールツール用シール部材。
  22. ボールまたはボールシートである請求項1乃至19のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  23. 坑井掘削用プラグに備えられる請求項1乃至22のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材。
  24. 請求項1乃至23のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツール。
  25. 坑井掘削用プラグである請求項24記載のダウンホールツール。
  26. 請求項1乃至23のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材を使用して、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールする坑井掘削方法。
  27. 請求項1乃至23のいずれか1項に記載のダウンホールツール用シール部材を使用して、坑井孔の目止め処理を行った後に、ダウンホールツールが崩壊除去される坑井掘削方法。
  28. 崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であり、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用シール部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法。
  29. 崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であり、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材を備え、
    さらに分解性の材料を含有する他のダウンホールツール用部材を備えるダウンホールツールを使用して、坑井孔をシールした後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用シール部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法。
  30. 他のダウンホールツール用部材に含有される分解性の材料がポリグリコール酸である請求項29記載の坑井掘削方法。
  31. 崩壊性を有する材料を高分子材料100質量部に対して5質量部以上含有する高分子材料から形成され、温度23℃における曲げ弾性率が0.005〜10GPaの範囲であり、ドライ環境下では安定状態を維持し、温度66℃以上の流体中で分解可能であることを特徴とするダウンホールツール用シール部材を備え、該ダウンホールツール用シール部材が、他のダウンホールツール用部材に接するダウンホールツールを使用して、坑井処理を行った後に、坑井孔内で該ダウンホールツール用シール部材が分解されることを特徴とする坑井掘削方法。
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