JP2015178862A - 摩擦係合装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】解放状態における第一摩擦板や第二摩擦板の冷却性能を適切に確保しつつ、引き摺りトルクの低減を図ることが可能な摩擦係合装置を実現する。【解決手段】摩擦係合装置10は、第一摩擦板11及び第二摩擦板12に対して径方向Rの内側から油を供給する油供給部と、油供給部が供給した油を貯留する油貯留部70と、油貯留部70に対して開口する開口部61を有して油貯留部70の油を排出する油排出部60とを備える。外側支持部材20が、第一摩擦板11の径方向外側端11aを、径方向Rの外側及び軸方向Lの両側から囲む壁面部を有する。油貯留部70が、当該壁面部によって形成されていると共に、開口部61の径方向外側端61aが、第一摩擦板11の径方向外側端11aよりも径方向Rの内側であって、第二摩擦板12の径方向外側端12aよりも径方向Rの外側に配置されている。【選択図】図2
Description
本発明は、第一摩擦板と、第二摩擦板と、第一摩擦板を径方向外側から支持する外側支持部材と、第二摩擦板を径方向内側から支持する内側支持部材と、ピストンと、を備え、第一摩擦板と第二摩擦板とが軸方向に並べて配置されていると共に、第一摩擦板の径方向外側端が第二摩擦板の径方向外側端よりも径方向外側に配置され、ピストンが第一摩擦板及び第二摩擦板を軸方向に押圧できるように配置された摩擦係合装置に関する。
上記のような摩擦係合装置として、特開2013−155810号公報(特許文献1)や特開平10−9287号公報(特許文献2)に記載されたものが知られている。特許文献1には、第一摩擦板や第二摩擦板を効果的に冷却すべく、摩擦係合装置の係合の状態にかかわらず、第一摩擦板や第二摩擦板の収容空間を基本的に油で満たす構成が記載されている。また、特許文献2の図4には、第一摩擦板や第二摩擦板に対して径方向外側から油を供給する構成において、油の粘性に起因して発生する引き摺りトルクを小さくすべく、摩擦係合装置の解放状態における第一摩擦板や第二摩擦板に対する油の供給を抑制可能な構成が記載されている。
しかしながら、特許文献1の構成では、摩擦係合装置の解放状態においても第一摩擦板や第二摩擦板の周囲に多量に油が存在するため、引き摺りトルクの低減が困難になる場合がある。一方、特許文献2の構成では、引き摺りトルクの低減は容易であるものの、摩擦係合装置の解放状態においては第一摩擦板や第二摩擦板に対する油の供給が抑制されるため、摩擦係合装置の解放状態において第一摩擦板や第二摩擦板を積極的に冷却することはできない。
そこで、解放状態における第一摩擦板や第二摩擦板の冷却性能を適切に確保しつつ、引き摺りトルクの低減を図ることが可能な摩擦係合装置の実現が望まれる。
本発明に係る、第一摩擦板と、第二摩擦板と、前記第一摩擦板を径方向外側から支持する外側支持部材と、前記第二摩擦板を径方向内側から支持する内側支持部材と、ピストンと、を備え、前記第一摩擦板と前記第二摩擦板とが軸方向に並べて配置されていると共に、前記第一摩擦板の径方向外側端が前記第二摩擦板の径方向外側端よりも径方向外側に配置され、前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧できるように配置された摩擦係合装置の特徴構成は、前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板に対して径方向内側から油を供給する油供給部と、前記油供給部が供給した油を貯留する油貯留部と、前記油貯留部に対して開口する開口部を有して当該油貯留部の油を排出する油排出部と、を更に備え、前記外側支持部材が、前記第一摩擦板の径方向外側端を、径方向外側及び軸方向の両側から囲む壁面部を有し、前記油貯留部が、前記壁面部によって形成されていると共に、前記開口部の径方向外側端が、前記第一摩擦板の径方向外側端よりも径方向内側であって前記第二摩擦板の径方向外側端よりも径方向外側に配置されている点にある。
上記の特徴構成によれば、油排出部の開口部の径方向外側端が、第一摩擦板の径方向外側端よりも径方向内側であって第二摩擦板の径方向外側端よりも径方向外側に配置される。そのため、解放状態において油供給部によって第一摩擦板及び第二摩擦板に対して径方向内側から油を供給している状態においても、油貯留部における油面の位置を、油貯留部内の油が第一摩擦板及び第二摩擦板の内の第一摩擦板のみに接触するような位置とすることが容易となる。すなわち、油貯留部における油面の位置を、第一摩擦板と第二摩擦板との間に存在する油の量が少なくなる位置とすることが容易となる。よって、第一摩擦板や第二摩擦板に対して油を供給することでこれらの摩擦板を適切に冷却しつつ、摩擦板に供給された後の油に起因する引き摺りトルクの低減を図ることができる。その上で、油貯留部内の油を利用して、第一摩擦板を径方向外側から冷却することもできる。以上のように、上記の特徴構成によれば、解放状態における第一摩擦板や第二摩擦板の冷却性能を適切に確保しつつ、引き摺りトルクの低減を図ることが可能となる。
ここで、前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧している押圧状態における前記油供給部と前記油貯留部との間の油の流通経路の中の最小流路断面積が、前記油排出部における最小流路断面積よりも小さく、前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧していない非押圧状態における前記油供給部と前記油貯留部との間の油の流通経路の中の最小流路断面積が、前記油排出部における最小流路断面積よりも大きい構成とすると好適である。
この構成によれば、押圧状態における油供給部と油貯留部との間の油の流通経路の中の最小流路断面積が、油排出部における最小流路断面積よりも小さいため、押圧状態においては、油貯留部に対する油の供給量を制限して、油貯留部よりも径方向の内側の部分に油を溜めることが容易となる。よって、押圧状態において、第一摩擦板や第二摩擦板における油が浸漬される領域を広く確保して、これらの摩擦板を効率的に冷却することができる。なお、押圧状態においては第一摩擦板と第二摩擦板とが係合しているため、引き摺りトルクが基本的に発生せず、このような構成としても問題は生じ難い。
一方、非押圧状態における油供給部と油貯留部との間の油の流通経路の中の最小流路断面積は、油排出部における最小流路断面積よりも大きいため、非押圧状態においては、油貯留部よりも径方向の内側の部分に油が溜まることを抑制して、引き摺りトルクの低減を効果的に図ることができる。
一方、非押圧状態における油供給部と油貯留部との間の油の流通経路の中の最小流路断面積は、油排出部における最小流路断面積よりも大きいため、非押圧状態においては、油貯留部よりも径方向の内側の部分に油が溜まることを抑制して、引き摺りトルクの低減を効果的に図ることができる。
また、前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧している押圧状態では、前記油供給部から前記油排出部までの油の流通可能量が、前記油供給部からの油の供給量より少なく、前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧していない非押圧状態では、前記油供給部から前記油排出部までの油の流通可能量が、前記油供給部からの油の供給量より多い構成とすると好適である。
この構成によれば、押圧状態では、油供給部から油排出部までの油の流通可能量が、油供給部からの油の供給量より少ないため、押圧状態においては、油排出部からの油の排出量を制限して、油貯留部よりも径方向の内側の部分に油を溜めることが容易となる。この結果、押圧状態において、第一摩擦板や第二摩擦板における油が浸漬される領域を広く確保して、これらの摩擦板を効率的に冷却することができる。
一方、非押圧状態では、油供給部から油排出部までの油の流通可能量が、油供給部からの油の供給量より多いため、非押圧状態においては、油貯留部よりも径方向の内側の部分に油が溜まることを抑制して、引き摺りトルクの低減を効果的に図ることができる。
一方、非押圧状態では、油供給部から油排出部までの油の流通可能量が、油供給部からの油の供給量より多いため、非押圧状態においては、油貯留部よりも径方向の内側の部分に油が溜まることを抑制して、引き摺りトルクの低減を効果的に図ることができる。
また、前記外側支持部材は、前記ピストンに対して軸方向一方側である軸第一方向側において径方向に延びる径方向延在部を備え、軸方向における前記ピストンと前記径方向延在部との間に、当該ピストンを軸方向に移動させるためのシリンダ室が形成され、前記開口部が、前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧している押圧状態における前記ピストンと前記第一摩擦板又は前記第二摩擦板との接触部よりも前記軸第一方向側であって、前記シリンダ室よりも径方向外側に配置されている構成とすると好適である。
本願において、部材の形状に関し、ある方向に「延びる」とは、当該方向を基準方向として、部材の延在方向が前記基準方向に平行な形状に限らず、部材の延在方向が前記基準方向に交差する方向であっても、その交差角度が所定範囲内(例えば45度未満)である形状も含む概念として用いている。
この構成によれば、押圧状態においては、基本的に、第一摩擦板及び第二摩擦板よりも軸第二方向側(軸第一方向側とは反対側)の部分を介してのみ、第一摩擦板や第二摩擦板に供給された油が油排出部まで流通可能となる。そのため、押圧状態における油供給部と油貯留部との間の油の流通経路の中の最小流路断面積の設定や、押圧状態における油供給部から油排出部までの油の流通可能量の設定が容易となり、上記の各構成を適切に実現することができる。
上記のように、前記開口部が、前記押圧状態における前記ピストンと前記第一摩擦板又は前記第二摩擦板との接触部よりも前記軸第一方向側であって、前記シリンダ室よりも径方向外側に配置されている構成において、前記ピストンの押圧力に抗して前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を前記軸第一方向側とは反対側である軸第二方向側から支持する軸方向支持部を更に備え、前記径方向延在部を第一径方向延在部として、前記外側支持部材は、前記軸方向支持部よりも前記軸第二方向側において径方向に延びる第二径方向延在部を備え、前記第二径方向延在部と前記軸方向支持部との隙間を介して径方向に延びる径方向油路が形成されていると共に、前記外側支持部材における前記第一摩擦板の支持部と前記第一摩擦板との隙間を介して軸方向に延びる軸方向油路が形成され、前記径方向油路と前記開口部とが、前記軸方向油路を介して連通している構成とすると好適である。
この構成によれば、押圧状態において、第一摩擦板や第二摩擦板に供給された油を、径方向油路及び軸方向油路を介して油排出部まで適切に流通させることができる。そして、径方向油路の流路断面積が軸方向油路の流路断面積よりも小さい場合には、比較的容易に調整できる第二径方向延在部と軸方向支持部との隙間によって、押圧状態における油供給部と油貯留部との間の油の流通経路の中の最小流路断面積を設定し、或いは、押圧状態における油供給部から油排出部までの油の流通可能量を設定することができる。
上記の各構成の摩擦係合装置において、前記外側支持部材は、前記第一摩擦板、前記第二摩擦板、及び前記内側支持部材の収容空間の、径方向外側及び軸方向の両側を区画するように形成されている構成とすると好適である。
この構成によれば、外側支持部材によって摩擦係合装置のハウジングを適切に形成して、油供給部により供給された油を第一摩擦板や第二摩擦板に対して効率良く供給することが可能となる。また、外側支持部材における上記収容空間に対して軸方向の両側に分かれて配置された部分のそれぞれを有効に利用して、外側支持部材が軸方向の両側においてケースに対して回転可能に支持される構成を実現することができる。
また、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路に回転電機を備えた車両用駆動装置における、前記入力部材と前記回転電機との間の動力伝達経路に設けられている構成とすると好適である。
本願において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等が含まれていてもよい。
また、本願において、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
また、本願において、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
この構成によれば、摩擦係合装置が、ハイブリッド車両において、車輪及び回転電機等から内燃機関を切り離す用途に用いられる。このような場合、回転電機のトルクのみにより車両を走行させる電動走行モードを実行する際のエネルギ効率の向上のために、引き摺りトルクの低減が要求される。また、回転電機のトルクにより停止状態にある内燃機関を始動させる際や、内燃機関のトルクによって車両を発進させる際には、摩擦係合装置を滑り係合状態に制御する必要があり、摩擦係合装置の冷却性能を適切に確保することが要求される。この点に関し、上記のとおり、本発明に係る摩擦係合装置は、解放状態における第一摩擦板や第二摩擦板の冷却性能を適切に確保しつつ、引き摺りトルクの低減を図ることが可能である。従って、上述したような本発明の構成は、車輪及び回転電機等から内燃機関を切り離す用途に用いられる摩擦係合装置に特に適している。
本発明に係る摩擦係合装置の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、図1に示すように、摩擦係合装置(以下、単に「係合装置10」という。)は、内燃機関Eに駆動連結される入力軸Iと車輪Wに駆動連結される出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路に回転電機MGを備えた車両用駆動装置1における、入力軸Iと回転電機MGとの間の動力伝達経路に設けられている。本実施形態では、入力軸Iが本発明における「入力部材」に相当し、出力軸Oが本発明における「出力部材」に相当する。
以下の説明では、特に区別して明記している場合を除き、「軸方向L」、「径方向R」、及び「周方向」は、係合装置10の軸心X(図3参照)を基準として定義している。係合装置10の軸心Xは、係合装置10が備える回転部材(後述する入力側係合部材10aや出力側係合部材10b)の回転軸心である。「軸第一方向L1」は、軸方向Lにおける一方側へ向かう方向を表し、「軸第二方向L2」は、軸方向Lにおける他方側へ向かう方向(軸第一方向L1とは反対方向)を表す。本実施形態では、軸第一方向L1は、軸方向Lに沿って内燃機関E側から回転電機MG側へ向かう方向である。また、本明細書では、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語(例えば、平行、直交、同軸等)は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態も含む概念として用いている。
1.車両用駆動装置の全体構成
初めに、本実施形態に係る係合装置10が備えられる車両用駆動装置1の全体構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、ハイブリッド車両用の駆動装置である。ハイブリッド車両とは、車輪Wの駆動力源として内燃機関E及び回転電機MGの双方を備えた車両であり、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方のトルクを車輪Wに伝達させて車両を走行させる。本実施形態に係るハイブリッド車両は、内燃機関E及び回転電機MGが係合装置10を介して互いに直列に駆動連結される、1モータパラレル方式のハイブリッド車両である。なお、内燃機関Eは、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。また、図示は省略するが、車両には、回転電機MGに電力を供給するための蓄電装置が備えられている。
初めに、本実施形態に係る係合装置10が備えられる車両用駆動装置1の全体構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、ハイブリッド車両用の駆動装置である。ハイブリッド車両とは、車輪Wの駆動力源として内燃機関E及び回転電機MGの双方を備えた車両であり、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方のトルクを車輪Wに伝達させて車両を走行させる。本実施形態に係るハイブリッド車両は、内燃機関E及び回転電機MGが係合装置10を介して互いに直列に駆動連結される、1モータパラレル方式のハイブリッド車両である。なお、内燃機関Eは、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。また、図示は省略するが、車両には、回転電機MGに電力を供給するための蓄電装置が備えられている。
車両用駆動装置1は、図1に示すように、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路に、入力軸Iの側から順に、係合装置10、回転電機MG、及び変速装置TMを備えている。これらの係合装置10、回転電機MG、及び変速装置TMは、図2及び図3に一部を示すケース90の内部に収容されている。内燃機関Eに駆動連結される入力軸Iは、例えば、内燃機関Eの出力軸と一体回転するように駆動連結され、或いは、ダンパ等を介して内燃機関Eの出力軸に駆動連結される。係合装置10は、図1に示すように、入力側係合部材10aと出力側係合部材10bとの2つの係合部材を備える。入力側係合部材10aは、出力側係合部材10bを介することなく入力軸Iに駆動連結され、本実施形態では、入力側係合部材10aは、入力軸Iと一体回転するように駆動連結されている。出力側係合部材10bは、入力側係合部材10aを介することなく回転電機MGのロータRo(図2参照)に駆動連結され、本実施形態では、出力側係合部材10bは、回転電機MGのロータRoと一体回転するように駆動連結されている。係合装置10が係合した状態では、内燃機関E(入力軸I)と回転電機MGとの間での連結が維持され、係合装置10が解放した状態では、内燃機関E(入力軸I)と回転電機MGとの間での連結が解除される。すなわち、係合装置10は、車輪W及び回転電機MG等から内燃機関Eを切り離す機能を有する。
回転電機MGと変速装置TMとを結ぶ動力伝達経路には、中間部材としての中間軸Mが設けられている。本実施形態では、回転電機MGのロータRoは、中間軸Mと一体回転するように駆動連結されており、中間軸Mは、トルクコンバータ(図示せず)を介して変速装置TMの入力軸(変速入力軸)に駆動連結されている。中間軸Mがトルクコンバータを介さずに変速入力軸に駆動連結される構成、例えば、中間軸Mが変速入力軸と一体回転するように駆動連結される構成とすることも可能である。変速装置TMは、変速比を段階的に或いは無段階に変更可能な機構(例えば、自動有段変速機構等)により構成され、変速入力軸の回転速度を現時点の変速比で変速して、変速出力軸としての出力軸Oへ伝達する。変速装置TMの側から出力軸Oに伝達されたトルクは、差動歯車装置DFを介して左右2つの車輪Wに分配されて伝達される。本実施形態では、入力軸I、回転電機MG、中間軸M、変速装置TM、及び出力軸Oが、係合装置10と同軸に配置されている。
2.係合装置の構成
次に、本実施形態に係る係合装置10の構成について説明する。係合装置10は湿式の摩擦係合装置であり、係合部材間(入力側係合部材10aと出力側係合部材10bとの間)に発生する摩擦力により、係合部材間でトルクを伝達する。係合装置10が係合した状態(係合状態)には、滑り係合状態と直結係合状態とが含まれる。滑り係合状態とは、係合装置10の係合部材間に回転速度差がある係合状態であり、滑り係合状態では、伝達トルク容量の大きさのトルク(スリップトルク)が動摩擦により係合部材間で伝達される。また、直結係合状態とは、係合装置10の係合部材間に回転速度差がない係合状態であり、直結係合状態では、伝達トルク容量の大きさを上限とするトルクが係合部材間で伝達される。なお、伝達トルク容量とは、係合装置10が摩擦により伝達することができる最大のトルクの大きさである。
次に、本実施形態に係る係合装置10の構成について説明する。係合装置10は湿式の摩擦係合装置であり、係合部材間(入力側係合部材10aと出力側係合部材10bとの間)に発生する摩擦力により、係合部材間でトルクを伝達する。係合装置10が係合した状態(係合状態)には、滑り係合状態と直結係合状態とが含まれる。滑り係合状態とは、係合装置10の係合部材間に回転速度差がある係合状態であり、滑り係合状態では、伝達トルク容量の大きさのトルク(スリップトルク)が動摩擦により係合部材間で伝達される。また、直結係合状態とは、係合装置10の係合部材間に回転速度差がない係合状態であり、直結係合状態では、伝達トルク容量の大きさを上限とするトルクが係合部材間で伝達される。なお、伝達トルク容量とは、係合装置10が摩擦により伝達することができる最大のトルクの大きさである。
係合装置10が解放した状態(解放状態)では、基本的に、伝達トルク容量は生じない。但し、係合装置10に伝達トルク容量を生じさせる指令が係合装置10の制御装置(図示せず)によって出されていない場合でも、係合部材同士の引き摺りによって伝達トルク容量が生じる場合がある。本明細書では、このような引き摺りによって伝達トルク容量が生じている状態を、解放状態に含める。
係合装置10は、図2及び図3に示すように、第一摩擦板11(本例では、複数枚の第一摩擦板11)と、第二摩擦板12(本例では、複数枚の第二摩擦板12)と、外側支持部材20と、内側支持部材30と、ピストン13と、を備えている。ピストン13は、第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸方向Lに押圧できるように配置されており、係合装置10は、ピストン13を軸方向に移動させるためのシリンダ室14を備えている。本実施形態では、ピストン13は、軸第二方向L2側を向く押圧面13aを有し、第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸第一方向L1側から押圧するように構成されている。外側支持部材20は、第一摩擦板11(本例では、複数枚の第一摩擦板11)を径方向Rの外側から支持する部材であり、内側支持部材30は、第二摩擦板12(本例では、複数枚の第二摩擦板12)を径方向Rの内側から支持する部材である。本実施形態では、内側支持部材30及びそれに支持された第二摩擦板12が、入力側係合部材10aを構成し、外側支持部材20及びそれに支持された第一摩擦板11が、出力側係合部材10bを構成する。
本例では、第一摩擦板11及び第二摩擦板12のそれぞれは、円環板状の部材である。また、第一摩擦板11と第二摩擦板12とは、軸方向Lに並べて配置されており、本例では、第一摩擦板11と第二摩擦板12とは、軸方向Lに沿って交互に配列されている。本実施形態では、第一摩擦板11と第二摩擦板12とが、1枚ずつ軸方向Lに沿って交互に配列されている。第一摩擦板11と第二摩擦板12とは、同軸上(軸心X上)に配置され、それぞれの摩擦当接面(軸方向Lの端面)同士が軸方向Lに当接可能に配置されている。第一摩擦板11の径方向外側端11aは、第二摩擦板12の径方向外側端12aよりも径方向Rの外側に配置されている。本実施形態では、第一摩擦板11の径方向外側端11aは、第一摩擦板11の外周部に形成されたスプライン歯の径方向Rの外側の端部により構成される。また、本実施形態では、第二摩擦板12の径方向外側端12aは、軸方向視で真円状に形成される第二摩擦板12の外周面により構成される。
図2及び図3に示す例では、第一摩擦板11はセパレートプレートであり、第二摩擦板12の摩擦当接面に、紙や合成樹脂等を基材とする摩擦材が固着されている。図示は省略するが、第一摩擦板11及び第二摩擦板12の少なくとも一方の摩擦当接面に、径方向Rに延びる溝状部が形成された構成とすることができる。例えば、第二摩擦板12の摩擦当接面に溝状部が形成される場合には、当該摩擦当接面に固着される摩擦材間の隙間により溝状部が形成される構成とすることができる。
内側支持部材30は、図2に示すように、第二摩擦板12を径方向Rの内側から支持する内側支持部33と、内側支持部33から径方向Rの内側に延びる径方向延在部32とを備えている。本実施形態では、内側支持部33は、軸心Xと同軸の円筒状に形成され、内側支持部33の外周部には、軸方向Lに延びるスプライン歯が形成されている。第二摩擦板12の内周部にも軸方向Lに延びるスプライン歯が形成されており、内側支持部33及び第二摩擦板12のそれぞれに形成されたスプライン歯が係合された状態で、第二摩擦板12が内側支持部材30によって径方向Rの内側から支持されている。すなわち、第二摩擦板12は、内側支持部材30に対して相対回転が規制された状態で軸方向Lに摺動可能に支持されている。そして、本実施形態では、内側支持部33には、当該内側支持部33を径方向Rに貫通する貫通孔31が形成されている。
径方向延在部32は、軸方向Lに見て軸心Xと同軸の円環状に形成され、図3に示すように、その径方向Rの内側の端部において、入力軸Iのフランジ部2に連結(本例では、溶接による接合)されている。本実施形態では、径方向延在部32は、内側支持部33の軸第二方向L2側の端部に連結されると共に、径方向Rの内側に向かうに従って軸第一方向L1側に向かうように形成されている。すなわち、径方向延在部32は、径方向Rの内側の部分が径方向Rの外側の部分よりも軸第一方向L1側にオフセットされた形状を有する。
外側支持部材20は、図2に示すように、第一摩擦板11を径方向Rの外側から支持する外側支持部23と、外側支持部23から径方向Rの内側に延びる径方向延在部とを備えている。本実施形態では、外側支持部材20は、第一径方向延在部21と第二径方向延在部22との2つの径方向延在部を備えている。そして、外側支持部23と第一径方向延在部21と第二径方向延在部22とは、軸心X周りに一体的に回転するように構成されている。また、本実施形態では、外側支持部材20は、図3に示すように、第一摩擦板11、第二摩擦板12、及び内側支持部材30の収容空間の、径方向Rの外側及び軸方向Lの両側を区画するように形成されている。具体的には、外側支持部23が当該収容空間の径方向Rの外側を区画するように形成され、第一径方向延在部21が当該収容空間の軸第一方向L1側を区画するように形成され、第二径方向延在部22が当該収容空間の軸第二方向L2側を区画するように形成されている。本実施形態では、第一径方向延在部21が本発明における「径方向延在部」に相当する。
外側支持部23は、外側支持部材20における第一摩擦板11の支持部である。本実施形態では、外側支持部23は、軸心Xと同軸の円筒状に形成され、外側支持部23の内周部には、軸方向Lに延びるスプライン歯が形成されている。第一摩擦板11の外周部にも軸方向Lに延びるスプライン歯が形成されており、外側支持部23及び第一摩擦板11のそれぞれに形成されたスプライン歯が係合された状態で、第一摩擦板11が外側支持部材20によって径方向Rの外側から支持されている。すなわち、第一摩擦板11は、外側支持部材20に対して相対回転が規制された状態で軸方向Lに摺動可能に支持されている。
第一径方向延在部21は、ピストン13に対して軸第一方向L1側において径方向Rに延びるように形成されている。そして、第一径方向延在部21は、その径方向Rの内側の端部(本実施形態では、後述する第二突出部25の内周部)において、中間軸Mのフランジ部3に連結(本例では、スプライン連結)されている。本実施形態では、図2に示すように、第一径方向延在部21は、後述する油貯留部70の軸第一方向L1側を区画する貯留部区画部21aと、シリンダ室14の軸第一方向L1側を区画するシリンダ室区画部21bとを備えている。貯留部区画部21a及びシリンダ室区画部21bのそれぞれは、軸方向Lに見て軸心Xと同軸の円環状に形成されている。本実施形態では、貯留部区画部21aは、径方向Rの内側に向かうに従って軸第一方向L1側に向かうように形成されている。すなわち、貯留部区画部21aは、径方向Rの内側の部分が径方向Rの外側の部分よりも軸第一方向L1側にオフセットされるように、軸方向Lに沿う断面において径方向Rに対して傾斜した方向に延びるように形成されている。一方、本実施形態では、シリンダ室区画部21bは、円環板状に形成されており、軸方向Lに沿う断面において径方向Rに平行に延びるように形成されている。
貯留部区画部21aの径方向Rの外側の端部は、外側支持部23の軸第一方向L1側の端部に連結されており、シリンダ室区画部21bは、貯留部区画部21aを介して外側支持部23に連結されている。本実施形態では、貯留部区画部21aの径方向Rの内側の端部には、軸方向Lに延びる軸方向延在部21cが連結されている。軸方向延在部21cは、軸心Xと同軸の円筒状に形成され、軸方向延在部21cの軸第二方向L2側の端部に、貯留部区画部21aの径方向Rの内側の端部(本例では、軸第一方向L1側の端部と一致)が連結されている。そして、軸方向延在部21cの軸第一方向L1側の端部に、シリンダ室区画部21bが連結されている。本実施形態では、外側支持部23と貯留部区画部21aと軸方向延在部21cとが一体的に形成されており、シリンダ室区画部21bが軸方向延在部21cに対して接合(本例では、溶接による接合)されている。
図2及び図3に示すように、軸方向Lにおけるピストン13と第一径方向延在部21との間に、油密状に区画されたシリンダ室14が形成されている。シリンダ室14は、軸方向Lに見て円環状に形成されている。本実施形態では、図3に示すように、第一径方向延在部21には、軸第二方向L2側に突出する第二突出部25が連結されている。本例では、第二突出部25は、第一径方向延在部21(具体的にはシリンダ室区画部21b、図2参照)の径方向Rの内側の端部から軸第二方向L2側に突出するように形成されている。第二突出部25は、軸心Xと同軸の円筒状に形成されている。そして、軸第一方向L1側をシリンダ室区画部21bにより区画され、径方向Rの外側を軸方向延在部21cにより区画され、更に、径方向Rの内側を第二突出部25により区画される空間に、ピストン13が軸第二方向L2側から油密状に嵌合されている。ピストン13が嵌合されるこの空間は、軸第二方向L2側に開口すると共に軸方向Lに見て円環状に形成されている。これにより、本実施形態では、シリンダ室14は、軸第一方向L1側をシリンダ室区画部21bにより区画されると共に軸第二方向L2側をピストン13により区画され、更に、径方向Rの外側を軸方向延在部21cにより区画されると共に径方向Rの内側を第二突出部25により区画されている。
係合装置10の係合の状態は、シリンダ室14の油圧を制御してピストン13を軸方向Lに摺動させることで制御される。詳細は省略するが、本実施形態では、シリンダ室14には、車両用駆動装置1に備えられた油圧制御装置(図示せず)による制御後の油圧が供給される。本実施形態では、ピストン13は、付勢部材17(例えばスプリング等)によって軸第一方向L1側に付勢されている。付勢部材17は、軸第二方向L2側への移動が規制された軸方向Lに見て円環状の保持部材18と、ピストン13との、軸方向Lにおける間に配置されている。そして、シリンダ室14に供給される油圧による軸第二方向L2側へのピストン13の押圧力(以下、「第一押圧力」という。)と、付勢部材17による軸第一方向L1側へのピストン13の押圧力(以下、「第二押圧力」という。)とのバランスにより、係合装置10が係合又は解放される。すなわち、第一押圧力が第二押圧力より大きい場合には、ピストン13の軸方向Lの位置は、第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸第二方向L2側に向けて押圧する位置に制御される(図4参照)。このようにピストン13が第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸方向Lに押圧している押圧状態では、係合装置10の係合の状態が、滑り係合状態又は直結係合状態に制御される。一方、第一押圧力が第二押圧力より小さい場合(シリンダ室14から油が排出された場合を含む)には、ピストン13の軸方向Lの位置は、第一摩擦板11及び第二摩擦板12を押圧しない位置に制御される(図2、図3参照)。このようにピストン13が第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸方向Lに押圧していない非押圧状態では、係合装置10の係合の状態が、解放状態に制御される。
第一摩擦板11及び第二摩擦板12よりも軸第二方向L2側には、軸第一方向L1側から順に、支持板15と軸方向支持部16とが配置されている。支持板15は、ピストン13が第一摩擦板11及び第二摩擦板12を押圧する際の押さえ部材として機能する。支持板15の軸第二方向L2側への移動は、軸方向支持部16によって規制されている。よって、ピストン13が第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸方向Lに押圧している押圧状態において、軸方向支持部16は、ピストン13の押圧力に抗して第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸第二方向L2側から支持する。本実施形態では、軸方向支持部16は、外側支持部23の内周部に係止されるスナップリングにより構成されている。なお、支持板15(バッキングプレート)は、厚み(軸方向Lの幅)を除いて第一摩擦板11と同様に形成され、外側支持部材20によって径方向Rの外側から支持されている。支持板15の厚みは、例えば第一摩擦板11や第二摩擦板12の厚みのばらつき等に応じて設定され、支持板15の厚みを、第一摩擦板11と同一の厚みに設定することも可能である。
第二径方向延在部22は、軸方向支持部16よりも軸第二方向L2側において径方向Rに延びるように形成されている。また、第二径方向延在部22は、内側支持部材30よりも軸第二方向L2側において径方向Rに延びるように形成されている。第二径方向延在部22は、軸方向Lに見て軸心Xと同軸の円環状に形成されている。そして、第二径方向延在部22の中心部に形成される軸方向Lに延びる貫通孔に、入力軸Iが挿通されている。本実施形態では、第二径方向延在部22は、径方向Rの内側に向かうに従って軸第一方向L1側に向かうように形成されている。また、本実施形態では、図2に示すように、第二径方向延在部22は、外側支持部23の軸第二方向L2側の端部に、スプライン係合により連結されている。
図3に示すように、第一径方向延在部21及び第二径方向延在部22のそれぞれは、軸受によって、ケース90に対して回転可能な状態で径方向Rに支持されている。具体的には、第一径方向延在部21には、軸第一方向L1側に突出する第一突出部24が連結されている。第一突出部24は、第一径方向延在部21(具体的にはシリンダ室区画部21b、図2参照)の径方向Rの内側の端部から軸第一方向L1側に突出するように形成されている。第一突出部24は、軸心Xと同軸の円筒状に形成されている。そして、第一突出部24の外周面と、ケース90の第一支持部91の内周面との間に、第一径方向延在部21をケース90に対して支持するための第一軸受81が配置されている。なお、第一支持部91は、係合装置10に対して軸第一方向L1側においてケース90の壁部(図示せず)から軸第二方向L2側に突出するように形成される、軸心Xと同軸の円筒状部である。
また、第二径方向延在部22は、径方向Rの内側の端部から軸第二方向L2側に突出する突出部を備え、この突出部の外周面と、ケース90の第二支持部92の内周面との間に、第二径方向延在部22をケース90に対して支持するための第二軸受82が配置されている。なお、第二支持部92は、係合装置10に対して軸第二方向L2側において径方向Rに延びるように形成される壁部であり、当該壁部から軸第一方向L1側に突出するように形成された軸心Xと同軸の円筒状部の内周面に、第二軸受82が配置されている。第一軸受81及び第二軸受82のそれぞれは、径方向Rの荷重を受けることが可能なラジアル軸受であり、本例では、ボールベアリングを用いている。
本実施形態では、図2及び図3に示すように、外側支持部材20は、回転電機MGのロータRoを支持するロータ支持部材40に連結されている。なお、本実施形態に係る回転電機MGはインナロータ型の回転電機であり、ロータRoは、ケース90に固定されたステータ(図示せず)の径方向Rの内側に配置されている。そして、本実施形態では、係合装置10は、ロータRoよりも径方向Rの内側であって、径方向Rに見てロータRoと重複する位置に配置されている。ここで、2つの部材の配置に関して、「ある方向に見て重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線に直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの部材の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
ロータ支持部材40は、ロータRoを径方向Rの内側から支持するように構成されている。具体的には、ロータ支持部材40は、軸方向Lに延びる円筒状部を有し、当該円筒状部が、径方向Rの内側から接する状態でロータRoを支持している。そして、ロータ支持部材40は、当該円筒状部から径方向Rの内側に延びる径方向延在部を備え、当該径方向延在部と第一径方向延在部21のシリンダ室区画部21bとが連結されている。本実施形態では、ロータ支持部材40の当該径方向延在部は、円環板状に形成されている。また、本実施形態では、ロータ支持部材40とシリンダ室区画部21bとが一体的に形成されている。一方、第二径方向延在部22は、外側支持部23との係合部よりも径方向Rの外側において、ロータ支持部材40における軸第二方向L2側の部分の内周面に嵌合されている。この嵌合は、例えば、スプライン嵌合や圧入等とされる。以上のような構成を備えるため、本実施形態では、ロータ支持部材40のケース90に対する径方向Rの支持構造と、外側支持部材20のケース90に対する径方向Rの支持構造とが、共用されている。
3.係合装置における油の流通構造
次に、本実施形態に係る係合装置10における油の流通構造について説明する。係合装置10は、図3に示すように、第一摩擦板11及び第二摩擦板12に対して径方向内側から油を供給する油供給部50と、油供給部50が供給した油を貯留する油貯留部70と、油貯留部70の油を排出する油排出部60とを備えている。
次に、本実施形態に係る係合装置10における油の流通構造について説明する。係合装置10は、図3に示すように、第一摩擦板11及び第二摩擦板12に対して径方向内側から油を供給する油供給部50と、油供給部50が供給した油を貯留する油貯留部70と、油貯留部70の油を排出する油排出部60とを備えている。
油供給部50は、本実施形態では、入力軸Iの回転に伴う遠心力を利用して、第一摩擦板11及び第二摩擦板12に対して径方向内側から油を供給するように構成されている。具体的には、図3に示すように、入力軸Iの軸第一方向L1側の端部は円筒状に形成され、当該円筒状部の内周面によって、軸第一方向L1側に開口する軸内空間が形成されている。また、入力軸Iの円筒状部には、当該円筒状部を径方向Rに貫通する第一貫通孔51が形成されている。そして、これらの軸内空間及び第一貫通孔51を備えた油供給部50は、供給油路6を介して当該軸内空間に供給された油を、遠心力を利用して、第一貫通孔51を介して入力軸Iの外周部に供給するように構成されている。入力軸Iの外周部に供給された油は、遠心力により径方向外側へ向かい、入力軸Iのフランジ部2と中間軸Mのフランジ部3との間の隙間を介して、内側支持部33(図2参照)の内周部に供給される。そして、内側支持部33の内周部に供給された油は、内側支持部33に形成された貫通孔31を介して内側支持部33の外周部に供給された後、第一摩擦板11及び第二摩擦板12に対して径方向内側から供給される。なお、入力軸Iのフランジ部2と中間軸Mのフランジ部3との間の隙間には、軸方向Lの荷重を受けることが可能な第三軸受83(本例ではスラスト軸受)が配置されており、第三軸受83の内部や周辺の隙間を介して、入力軸Iのフランジ部2と中間軸Mのフランジ部3との間の隙間を油が径方向Rの外側に向けて流動する。
本実施形態では、油供給部50は、第一貫通孔51よりも軸第二方向L2側に、入力軸Iの上記円筒状部を径方向Rに貫通する第二貫通孔52を備えている。そして、油供給部50は、入力軸Iの上記軸内空間に供給された油を、遠心力を利用して、第二貫通孔52を介して入力軸Iの外周部に供給するように構成されている。入力軸Iの外周部に供給された油は、遠心力により径方向外側へ向かい、入力軸Iのフランジ部2と第二径方向延在部22との間の隙間と、内側支持部材30と第二径方向延在部22との間の隙間とを介して、第一摩擦板11や第二摩擦板12の配置領域に対して径方向内側から供給される。なお、入力軸Iのフランジ部2と第二径方向延在部22との間の隙間には、軸方向Lの荷重を受けることが可能な第四軸受84(本例ではスラスト軸受)が配置されており、第四軸受84の内部や周辺の隙間を介して、入力軸Iのフランジ部2と第二径方向延在部22との間の隙間を油が径方向Rの外側に向けて流動する。なお、本実施形態では、供給油路6には、油圧制御装置による調圧後の油圧が供給される。そして、油供給部50による油の供給量は、供給油路6に供給される油圧の大きさ、第一貫通孔51や第二貫通孔52の断面積、入力軸Iの回転速度等に応じて定まる。また、本実施形態では、供給油路6はケース90の壁部に形成されている。
油貯留部70は、外側支持部材20によって形成される係合装置10のハウジング内の、径方向Rの外側部分に形成される。具体的には、外側支持部材20は、第一摩擦板11の径方向外側端11aを、径方向Rの外側及び軸方向Lの両側から囲む壁面部を有する。この壁面部は、第一摩擦板11の配置領域における少なくとも径方向外側部分を、径方向Rの外側及び軸方向Lの両側から囲むように形成される。そして、この壁面部によって油貯留部70が形成されている。本実施形態では、外側支持部材20が備える外側支持部23、第一径方向延在部21、及び第二径方向延在部22により、油貯留部70を形成する壁面部が構成される。
図2に示すように、油貯留部70の内部には、外側支持部23と第一摩擦板11との隙間を介して軸方向Lに延びる軸方向油路5が形成されている。本実施形態では、外側支持部23と第一摩擦板11とはスプライン係合しており、スプライン係合部の隙間、具体的には、外側支持部23のスプライン歯と第一摩擦板11のスプライン歯との間の隙間を介して軸方向Lに延びるように、軸方向油路5が形成されている。外側支持部23と第一摩擦板11との隙間の大きさは、スプラインの寸法(例えば、スプライン歯の高さ)を変更することや、一部のスプライン歯を欠如すること等によって調整することが可能である。
油排出部60は、油貯留部70に対して開口する開口部61を有する。そして、開口部61の径方向外側端61aが、第一摩擦板11の径方向外側端11aよりも径方向内側であって第二摩擦板12の径方向外側端12aよりも径方向外側に配置されている。本実施形態では、複数の開口部61が、同じ径方向Rの位置において周方向Cに沿って分散配置されている。軸方向L視における開口部61の形状は、例えば、径方向Rに幅を有して周方向Cに沿って延びる円弧状とされ、或いは、円形状(楕円形状を含む)とされる。
本実施形態では、開口部61は、第一径方向延在部21の貯留部区画部21aを軸方向Lに貫通する貫通孔の、軸第二方向L2側の端部により形成されている。本実施形態では、軸方向Lに沿う断面におけるこの貫通孔の延在方向は、軸第一方向L1側に向かうに従って径方向Rの外側に向かうように、軸方向Lに対して傾斜した方向に設定されている。具体的には、本実施形態では、軸方向Lに沿う断面におけるこの貫通孔の延在方向は、貯留部区画部21aの当該断面の延在方向に対して直交する方向に設定されている。
本実施形態では、図4に示すように、開口部61は、ピストン13が第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸方向Lに押圧している押圧状態におけるピストン13と第一摩擦板11又は第二摩擦板12との接触部よりも軸第一方向L1側であって、シリンダ室14よりも径方向外側に配置されている。本実施形態では、押圧状態において、ピストン13は第一摩擦板11と接触する。なお、押圧状態におけるピストン13が第二摩擦板12と接触する構成としても良く、或いは、押圧状態においてピストン13が第一摩擦板11又は第二摩擦板12に対して、間に他の部材を介して間接的に接触する構成とすることもできる。後者の場合には、ピストン13と第一摩擦板11又は第二摩擦板12との接触部の位置を、ピストン13の押圧面13a(図2参照)の位置とすることができる。本実施形態では、図3に示すように、開口部61は、ピストン13が第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸方向Lに押圧していない非押圧状態におけるピストン13の押圧面13aよりも軸第一方向L1側に配置されている。
更に、本実施形態では、図2に示すように、第二径方向延在部22は、軸方向支持部16に対して軸第二方向L2側に間隔を空けて配置されており、これにより、第二径方向延在部22と軸方向支持部16との隙間を介して径方向Rに延びる径方向油路4が形成されている。そして、径方向油路4と開口部61とが、軸方向油路5を介して油貯留部70内において連通している。
図3に示すように、ピストン13が第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸方向Lに押圧していない非押圧状態においては、油供給部50から供給された油は、第一摩擦板11と第二摩擦板12との間をこれらの摩擦板を冷却しながら径方向Rの外側へ流動して、油貯留部70に供給される。また、油供給部50から供給された油の一部は、径方向油路4(図2参照)を介して油貯留部70に供給される。そして、油貯留部70に供給された油は、軸方向油路5(図2参照)を介して軸方向Lに流動可能であるため、図3に模式的に示すように、外側支持部材20の回転状態においては、油貯留部70内の径方向Rの外側部分に油が貯留される状態となる。
ここで、本実施形態では、非押圧状態では、油供給部50から油排出部60までの油の流通可能量が、油供給部50からの油の供給量より多くなるように構成される。よって、図3に示すように、非押圧状態では、油貯留部70の油面の径方向Rの位置は、開口部61の径方向外側端61aの径方向Rの位置に応じた位置となる。上記のように、開口部61の径方向外側端61aは、第一摩擦板11の径方向外側端11aよりも径方向内側であって第二摩擦板12の径方向外側端12aよりも径方向外側に配置されているため、非押圧状態における油貯留部70の油面を、第一摩擦板11の径方向外側端11aよりも径方向内側であって第二摩擦板12の径方向外側端12aよりも径方向外側に形成することができる。すなわち、非押圧状態において、油貯留部70内の油が、第一摩擦板11及び第二摩擦板12の内の第一摩擦板11のみに接触する状態、すなわち、第一摩擦板11と第二摩擦板12との間に存在する油の量が少ない状態を実現することができる。この結果、油の撹拌抵抗により発生する引き摺りトルクの低減を図りつつ、油貯留部70の油によって第一摩擦板11を冷却することができる。
上記のように、非押圧状態において油供給部50から油排出部60までの油の流通可能量が油供給部50からの油の供給量より多くなる構成の実現を容易にすべく、例えば、非押圧状態における油供給部50と油貯留部70との間の油の流通経路の中の最小流路断面積を、油排出部60における最小流路断面積よりも大きく設定する構成とすることができる。なお、本実施形態では、非押圧状態における油供給部50と油貯留部70との間の油の流通経路には、第一摩擦板11と第二摩擦板12との間の隙間と、径方向油路4(図2参照)とが含まれる。すなわち、油供給部50と油貯留部70との間の油の流通経路には、複数の分岐経路が含まれる。このように複数の分岐経路からなる油の流通経路の中の最小流路断面積は、当該複数の分岐経路を全体として1つの経路とみなした場合の当該経路中の最小流路断面積であり、例えば、各分岐経路のそれぞれにおける最小流路断面積の総和とすることができる。
一方、図4に示すように、ピストン13が第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸方向Lに押圧している押圧状態においては、油供給部50から供給された油は、実質的に、径方向油路4(図2参照)を介してのみ油貯留部70に供給される。なお、第一摩擦板11及び第二摩擦板12の少なくとも一方の摩擦当接面に、径方向Rに延びる溝状部が形成される場合には、押圧状態においても第一摩擦板11と第二摩擦板12との間に油の流通経路が形成されるが、この流通経路における油の流通可能量は、径方向油路4における油の流通可能量に比べて非常に少ない。このような溝状部が形成される場合でも、油供給部50から供給された油が径方向油路4を介してのみ油貯留部70に供給されるとみなすことができる。
そして、本実施形態では、押圧状態では、油供給部50から油排出部60までの油の流通可能量(本例では、実質的に径方向油路4の流路断面積に応じて定まる。)が、油供給部50からの油の供給量より少なくなるように構成される。よって、図4に示すように、押圧状態では、油供給部50から供給された油の内、径方向油路4の流通可能量を上回る分の油が、径方向油路4よりも径方向Rの内側に貯留される状態となる。このように、押圧状態において油供給部50から油排出部60までの油の流通可能量が油供給部50からの油の供給量より少なくなる構成の実現を容易にすべく、例えば、押圧状態における油供給部50と油貯留部70との間の油の流通経路の中の最小流路断面積を、油排出部60における最小流路断面積よりも小さく設定する構成とすることができる。
本実施形態では、油排出部60を介して油貯留部70から排出された油が、回転電機MGに冷却のために供給されるように構成されている。具体的には、図2に示すように、ロータ支持部材40における第一径方向延在部21(シリンダ室区画部21b)との連結部よりも軸第二方向L2側の部分に、回転電機MGの冷却油路に連通する第三貫通孔53が形成されている。第三貫通孔53は、上記冷却油路との連通部とは反対側の端部(本例では径方向Rの内側の端部)において、ロータ支持部材40と貯留部区画部21aとの間に形成された空間(すなわち、油排出部60によって油が排出される空間)に開口するように形成されている。そして、第三貫通孔53のこの開口部は、油排出部60の開口部61における径方向外側端61aよりも径方向Rの外側に配置されている。よって、図3及び図4に示すように、油排出部60を介して油貯留部70から排出された油を効率的に第三貫通孔53に導いて、回転電機MGを冷却することが可能となっている。なお、本例では、第三貫通孔53の上記開口部は、第一摩擦板11の径方向外側端11aよりも径方向内側であって第二摩擦板12の径方向外側端12aよりも径方向外側に配置されている。
4.その他の実施形態
最後に、本発明に係るその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
最後に、本発明に係るその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、ロータ支持部材40と第一径方向延在部21のシリンダ室区画部21bとが連結された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、図5に示すように、外側支持部材20の外側支持部23が、径方向Rの内側から接する状態でロータRoを支持する構成、すなわち、外側支持部23が、上記実施形態におけるロータ支持部材40としても機能する構成とすることも可能である。図5においては、簡素化のため、上記実施形態の構成において対応する部分(機能が同一の部分)と同一の符号を付している。図5に示す例では、上記実施形態とは異なり、貯留部区画部21aは、軸方向Lに沿う断面において径方向Rに平行に延びるように形成されており、軸方向Lに沿う断面における開口部61を形成する貫通孔の延在方向は、軸方向Lに平行な方向に設定されている。また、図5に示す例では、貯留部区画部21aとシリンダ室区画部21bとが直接連結されており、貯留部区画部21aにおけるシリンダ室区画部21bよりも軸第二方向L2側の部分が、シリンダ室14の径方向Rの外側を区画するように構成されている。更に、図5に示す例では、油排出部60によって油が排出される空間に開口する第三貫通孔53の開口部が、第一摩擦板11の径方向外側端よりも径方向外側に配置されている。
(2)上記の実施形態では、ロータ支持部材40のケース90に対する径方向Rの支持構造と、外側支持部材20のケース90に対する径方向Rの支持構造とが、共用されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、上記の実施形態の例において、第一径方向延在部21や第二径方向延在部22をロータ支持部材40に直接連結させない構成としても良い。
(3)上記の実施形態では、開口部61が、ピストン13が第一摩擦板11及び第二摩擦板12を軸方向Lに押圧している押圧状態におけるピストン13と第一摩擦板11又は第二摩擦板12との接触部よりも軸第一方向L1側に配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、開口部61が、軸方向支持部16よりも軸第二方向L2側に配置される構成とすることもできる。すなわち、第二径方向延在部22に開口部61が形成される構成とすることもできる。
(4)上記の実施形態では、内側支持部33に、当該内側支持部33を径方向Rに貫通する貫通孔31が形成された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、内側支持部33に貫通孔31が形成されない構成とすることも可能である。この場合であっても、内側支持部33と第二摩擦板12との間の隙間を軸方向Lに流動した油を、第一摩擦板11と第二摩擦板12との間に径方向内側から供給することができる。
(5)上記の実施形態では、内側支持部材30及びそれに支持された第二摩擦板12が、入力側係合部材10aを構成し、外側支持部材20及びそれに支持された第一摩擦板11が、出力側係合部材10bを構成する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、外側支持部材20及びそれに支持された第一摩擦板11が、入力側係合部材10aを構成し、内側支持部材30及びそれに支持された第二摩擦板12が、出力側係合部材10bを構成するように、係合装置10が構成されても良い。
(6)上記の実施形態では、係合装置10が、内燃機関Eに駆動連結される入力軸Iと車輪Wに駆動連結される出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路に回転電機MGを備えた車両用駆動装置1における、入力軸Iと回転電機MGとの間の動力伝達経路に設けられた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、変速装置TMに備えられる摩擦係合装置や、車輪Wの駆動力として内燃機関E及び回転電機MGの一方のみを備える車両用駆動装置の摩擦係合装置に、本発明を適用することも可能である。
(7)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、第一摩擦板と、第二摩擦板と、第一摩擦板を径方向外側から支持する外側支持部材と、第二摩擦板を径方向内側から支持する内側支持部材と、ピストンと、を備え、第一摩擦板と第二摩擦板とが軸方向に並べて配置されていると共に、第一摩擦板の径方向外側端が第二摩擦板の径方向外側端よりも径方向外側に配置され、ピストンが第一摩擦板及び第二摩擦板を軸方向に押圧できるように配置された摩擦係合装置に利用することができる。
1:車両用駆動装置
4:径方向油路
5:軸方向油路
10:係合装置(摩擦係合装置)
11:第一摩擦板
11a:径方向外側端
12:第二摩擦板
12a:径方向外側端
13:ピストン
14:シリンダ室
16:軸方向支持部
20:外側支持部材
21:第一径方向延在部(径方向延在部)
22:第二径方向延在部
23:外側支持部(支持部)
30:内側支持部材
50:油供給部
60:油排出部
61:開口部
61a:径方向外側端
70:油貯留部
E:内燃機関
I:入力軸(入力部材)
L:軸方向
L1:軸第一方向
L2:軸第二方向
MG:回転電機
O:出力軸(出力部材)
R:径方向
W:車輪
4:径方向油路
5:軸方向油路
10:係合装置(摩擦係合装置)
11:第一摩擦板
11a:径方向外側端
12:第二摩擦板
12a:径方向外側端
13:ピストン
14:シリンダ室
16:軸方向支持部
20:外側支持部材
21:第一径方向延在部(径方向延在部)
22:第二径方向延在部
23:外側支持部(支持部)
30:内側支持部材
50:油供給部
60:油排出部
61:開口部
61a:径方向外側端
70:油貯留部
E:内燃機関
I:入力軸(入力部材)
L:軸方向
L1:軸第一方向
L2:軸第二方向
MG:回転電機
O:出力軸(出力部材)
R:径方向
W:車輪
Claims (7)
- 第一摩擦板と、第二摩擦板と、前記第一摩擦板を径方向外側から支持する外側支持部材と、前記第二摩擦板を径方向内側から支持する内側支持部材と、ピストンと、を備え、前記第一摩擦板と前記第二摩擦板とが軸方向に並べて配置されていると共に、前記第一摩擦板の径方向外側端が前記第二摩擦板の径方向外側端よりも径方向外側に配置され、前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧できるように配置された摩擦係合装置であって、
前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板に対して径方向内側から油を供給する油供給部と、前記油供給部が供給した油を貯留する油貯留部と、前記油貯留部に対して開口する開口部を有して当該油貯留部の油を排出する油排出部と、を更に備え、
前記外側支持部材が、前記第一摩擦板の径方向外側端を、径方向外側及び軸方向の両側から囲む壁面部を有し、
前記油貯留部が、前記壁面部によって形成されていると共に、前記開口部の径方向外側端が、前記第一摩擦板の径方向外側端よりも径方向内側であって前記第二摩擦板の径方向外側端よりも径方向外側に配置されている摩擦係合装置。 - 前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧している押圧状態における前記油供給部と前記油貯留部との間の油の流通経路の中の最小流路断面積が、前記油排出部における最小流路断面積よりも小さく、
前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧していない非押圧状態における前記油供給部と前記油貯留部との間の油の流通経路の中の最小流路断面積が、前記油排出部における最小流路断面積よりも大きい請求項1に記載の摩擦係合装置。 - 前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧している押圧状態では、前記油供給部から前記油排出部までの油の流通可能量が、前記油供給部からの油の供給量より少なく、
前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧していない非押圧状態では、前記油供給部から前記油排出部までの油の流通可能量が、前記油供給部からの油の供給量より多い請求項1又は2に記載の摩擦係合装置。 - 前記外側支持部材は、前記ピストンに対して軸方向一方側である軸第一方向側において径方向に延びる径方向延在部を備え、
軸方向における前記ピストンと前記径方向延在部との間に、当該ピストンを軸方向に移動させるためのシリンダ室が形成され、
前記開口部が、前記ピストンが前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を軸方向に押圧している押圧状態における前記ピストンと前記第一摩擦板又は前記第二摩擦板との接触部よりも前記軸第一方向側であって、前記シリンダ室よりも径方向外側に配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の摩擦係合装置。 - 前記ピストンの押圧力に抗して前記第一摩擦板及び前記第二摩擦板を前記軸第一方向側とは反対側である軸第二方向側から支持する軸方向支持部を更に備え、
前記径方向延在部を第一径方向延在部として、
前記外側支持部材は、前記軸方向支持部よりも前記軸第二方向側において径方向に延びる第二径方向延在部を備え、
前記第二径方向延在部と前記軸方向支持部との隙間を介して径方向に延びる径方向油路が形成されていると共に、前記外側支持部材における前記第一摩擦板の支持部と前記第一摩擦板との隙間を介して軸方向に延びる軸方向油路が形成され、
前記径方向油路と前記開口部とが、前記軸方向油路を介して連通している請求項4に記載の摩擦係合装置。 - 前記外側支持部材は、前記第一摩擦板、前記第二摩擦板、及び前記内側支持部材の収容空間の、径方向外側及び軸方向の両側を区画するように形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の摩擦係合装置。
- 内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路に回転電機を備えた車両用駆動装置における、前記入力部材と前記回転電機との間の動力伝達経路に設けられている請求項1から6のいずれか一項に記載の摩擦係合装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014056589A JP2015178862A (ja) | 2014-03-19 | 2014-03-19 | 摩擦係合装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014056589A JP2015178862A (ja) | 2014-03-19 | 2014-03-19 | 摩擦係合装置 |
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JP2015178862A true JP2015178862A (ja) | 2015-10-08 |
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ID=54263048
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JP2014056589A Pending JP2015178862A (ja) | 2014-03-19 | 2014-03-19 | 摩擦係合装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020094615A (ja) * | 2018-12-11 | 2020-06-18 | 株式会社ジェイテクト | クラッチ装置 |
WO2020145292A1 (ja) * | 2019-01-09 | 2020-07-16 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | ハイブリッド駆動装置 |
JP2020173017A (ja) * | 2019-04-15 | 2020-10-22 | トヨタ自動車株式会社 | 油圧クラッチ |
-
2014
- 2014-03-19 JP JP2014056589A patent/JP2015178862A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111306218A (zh) * | 2018-12-11 | 2020-06-19 | 株式会社捷太格特 | 离合器装置 |
CN111306218B (zh) * | 2018-12-11 | 2023-07-04 | 株式会社捷太格特 | 离合器装置 |
WO2020145292A1 (ja) * | 2019-01-09 | 2020-07-16 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | ハイブリッド駆動装置 |
CN113329899A (zh) * | 2019-01-09 | 2021-08-31 | 株式会社爱信 | 混合驱动装置 |
JP2020173017A (ja) * | 2019-04-15 | 2020-10-22 | トヨタ自動車株式会社 | 油圧クラッチ |
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