JP2015173273A - 半導体ウエハの製造方法および半導体デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、ある窒化物半導体の成長において金属原料を消費した場合には、次の成長では原料容器内の金属原料上方の空間の体積が前回の成長時よりも大きくなるということが生じる。従来のHVPE装置に用いられる金属塩化物ガスの発生装置の原料容器は、金属塩化物ガスの発生効率が、原料容器内の金属原料上方の空間の体積に依存する場合がほとんどであったため、成長を繰り返すごとに上記体積が大きくなって金属塩化物ガスの発生量が低下し、反応容器の成長部における成長速度が低下するという事態が生じていた。これが、HVPE法において成長速度が安定しない原因である。
ドーピングラインは一般的に細い管(1/4インチ管であれば6mm直径)が用いられるので、上流端から基板(ウエハ)までのガスの通過時間が1秒程度である。一方、III族ラインでは、成長を止めたと思った時点には、原料容器内の空間に多量のGaClガスが残存しており、これを全て追い出すまではGaClの供給が完全には止まらずGaNの成長が継続するため、上記のような状況となるのである。
更に、HVPE法により、テンプレート部分のみならず、その上のInGaN発光層やp型層を成長した場合にも、急峻な原料の切り替えができないために、急峻なヘテロ界面が形成できないため、HVPEを用いて製造したLEDの特性はMOVPEを用いて製造したLEDよりも劣っているのが現状である。
基板を処理する処理室と、
金属塩化物ガスを含む金属塩化物含有ガスを生成し、前記処理室内の基板に供給する金属塩化物ガスの発生装置と、
V族元素含有ガスを前記処理室内の基板に供給するV族元素含有ガス供給装置と、
前記基板上に成膜される膜に不純物をドープするドーピング原料含有ガスを前記処理室内の基板に供給するドーピング原料含有ガス供給装置と、を備え、
前記金属塩化物ガスの発生装置は、
金属原料を収容する原料容器と、
前記原料容器内に塩素系ガスを含む塩素系含有ガスを供給する、前記原料容器に設けられたガス供給口と、
前記塩素系含有ガスに含まれる塩素系ガスと前記金属原料との反応により生成される金属塩化物ガスを含む前記金属塩化物含有ガスを前記原料容器外に排出する、前記原料容器に設けられたガス排出口と、
前記原料容器内の前記金属原料の上方の空間を仕切って、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと続くガス流路を形成する仕切板と、を備え、
前記ガス流路は、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと至り、屈曲部を有する一通りの経路となるように形成され、
前記ガス流路の水平方向の流路幅を5cm以下にすることで、前記原料容器内への前記塩素系含有ガスの供給を停止してから前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めるまでの遅れ時間よりも、前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めてから前記金属塩化物含有ガスの濃度がゼロになるまでの遷移時間の方が短くなるように構成されていることを特徴とするハイドライド気相成長装置である。
金属塩化物ガスの発生装置が備える原料容器に設けられたガス供給口から前記原料容器内に塩素系ガスを含む塩素系含有ガスを供給して、前記原料容器内で、前記塩素系ガスと前記原料容器内に収容された金属原料とを反応させることで金属塩化物ガスを含む金属塩化物含有ガスを生成し、前記原料容器に設けられたガス排出口から前記金属塩化物含有ガスを処理室内の基板に供給し、
V族元素含有ガス供給装置からV族元素含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給し、
ドーピング原料含有ガス供給装置から不純物をドープするドーピング原料含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給し、
前記基板上に、不純物がドープされた半導体膜を形成する工程を有し、
前記半導体膜を形成する工程では、
前記原料容器内を流れるガスのガス流路を、前記原料容器内の前記金属原料の上方の空間を仕切板により仕切って、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと至り、屈曲部を有する一通りの経路となるように形成し、
前記ガス流路の水平方向の流路幅を5cm以下にすることで、前記原料容器内への前記塩素系含有ガスの供給を停止してから前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めるまでの遅れ時間よりも、前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めてから前記金属塩化物含有ガスの濃度がゼロになるまでの遷移時間の方を短くすることを特徴とする半導体ウエハの製造方法である。
図1は、本発明の一実施形態に係る金属塩化物ガスの発生装置を示す。図1(a)は横断面図、図1(b)は側断面図である。
また、上記の原料容器1は、10cm×10cm以上の面積を有しているのが好ましい。この場合の面積とは、原料容器1を上方から見たときの、金属原料Mが収容される原料容器1内の金属収容部の面積(液体状の金属原料Mの場合における液面の面積)のことである。原料容器1の面積が10cm×10cmよりも小さいと、塩素系ガスと液体金属原料Mとの接触面積が減り、金属塩化物ガスの発生効率・変換効率が低下し、また金属原料の補充を頻繁に行う必要が生じる。本実施形態の原料容器1では、10cm×10cm以上の面積を有していても、金属塩化物ガスの濃度変化の遷移時間を、十分に許容できる程度に短縮できる。
本発明の一実施形態に係る金属塩化物ガスの発生方法は、上記実施形態に代表されるような本発明の金属塩化物ガスの発生装置を用い、原料容器1のガス供給口2からガス排出口3までのガス流路Pを流れるガスの滞在時間を5秒以上とした金属塩化物ガスの発生方法である。ここでガスの滞在時間とは、原料容器1内の金属原料M上方の空間Sの体積と、ガス供給口2から原料容器1内に供給するガスの流量と、原料容器1内の温度とから計算した、理論的なガスの通過時間を意味する。
ガス流路Pを流れるガスの滞在時間を5秒以上とすると、塩素系ガスの供給を開始した後に、金属塩化物ガス濃度が一定となった安定時(最大濃度時)の金属塩化物ガス濃度が低下することを抑えることができる。
上記の金属塩化物ガスの発生方法において、上記金属原料MがGaの場合、上記原料容器1の温度は700〜950℃であるのが好ましく、上記ガス供給口2からHCl含有ガスを導入し、上記ガス排出口3からGaCl含有ガスを発生するのが好ましい。
上記の金属塩化物ガスの発生方法において、上記金属原料MがInの場合、上記原料容器1の温度は300〜800℃であるのが好ましく、上記ガス供給口2からHCl含有ガスを導入し、上記ガス排出口3からInCl含有ガスを発生するのが好ましい。また、上記金属原料MがInの場合、上記ガス供給口2から導入するガスはCl2含有ガスでも良い。この場合、上記原料容器1の温度は300〜800℃とし、InCl3含有ガスを発生するのが好ましい。
上記の金属塩化物ガスの発生方法において、上記金属原料MがAlの場合、上記原料容器1の温度は400〜700℃であるのが好ましく、上記ガス排出口3からHCl含有ガスを導入し、記ガス排出口3からAlCl3含有ガスを発生するのが好ましい。金属原料MがAlの場合、原料容器1内のAlは、液体状態ではなく、固体状態の場合もある。
図2に、本発明の一実施形態に係るハイドライド気相成長装置を示す。本実施形態に係るハイドライド気相成長装置は、上記実施形態の金属塩化物ガスの発生装置を備えたハイドライド気相成長装置である。
本発明の一実施形態にかかる窒化物半導体ウエハは、金属塩化物ガスとアンモニアガスを基板に供給して前記基板上にGaN、AlN、InNまたはこれらの混晶からなる膜を形成した窒化物半導体ウエハであって、少なくとも前記膜の上部はキャリア濃度が4×1017〜3×1019の範囲にあって、前記膜の上部の少なくとも表面より60nmの深さから1μmまでの深さにおいては、キャリア濃度分布はキャリア濃度の平均値から±10%以内の範囲にあり且つ偏差(標準偏差)σが5%以内であり、前記膜の最表面の低キャリア濃度層の厚さが60nm以下である窒化物半導体ウエハである。
本実施形態にかかる窒化物半導体ウエハは、上記実施形態に代表されるような本発明のHVPE装置を用いることで実現することができる。金属塩化物ガスの供給を停止してから、金属塩化物ガス濃度が徐々に変化して一定(ゼロ)となるまでの遷移時間を短縮できる上記原料容器1を用いることで、低キャリア濃度層の厚さを60nm以下にすることができる。窒化物半導体ウエハには、例えばサファイア基板上にGaN厚膜を成長した、いわゆるテンプレートが含まれる。
本発明の一実施形態にかかる窒化物半導体デバイスは、上記実施形態の窒化物半導体ウエハ上に半導体機能部となる半導体積層体や電極からなる半導体デバイス構造を形成した窒化物半導体デバイスである。この窒化物半導体デバイスは、上記窒化物半導体ウエハの最表面の低キャリア濃度層が薄いため、従来のHVPE装置によって製造した窒化物半導体ウエハを用いた場合よりも、格段に歩留が高くなる。
本発明の一実施形態にかかる窒化物半導体自立基板の製造方法は、上記実施形態の金属塩化物ガスの発生装置を用い、前記金属塩化物の発生装置から発生した金属塩化物ガスとアンモニアガスとを基板に供給して、前記基板上にGaNなどの窒化物半導体膜を成長し、前記窒化物半導体膜から窒化物半導体自立基板を製造する窒化物半導体自立基板の製造方法である。本実施形態の窒化物半導体自立基板の製造方法によれば、上記実施形態の金属塩化物ガスの発生装置を用いることにより、成長速度を安定的に維持することができ、また、窒化物半導体自立基板の製造にかかる時間を大幅に短縮できる。
実施例1では、図2に示す構成のHVPE装置において、Gaを収容する原料容器の構造を図3(a)〜(f)に示すように様々に変更した場合に、原料容器内へのHClガスの導入をOn/Offしたときに、HVPE装置の成長部でのGaCl濃度の変化を調べた。GaCl濃度の測定は、HVPE装置の反応容器内に下流側から成長部に石英管を挿入し、この石英管から成長部のガスをHVPE装置の外に吸引し、ガスの一部をピンホールを介して四重極質量分析計に導入してGaClガスに起因する信号強度を計測するという方法で行った。
図3(a)の原料容器1aは、原料容器1a内に仕切板が無い従来構造と同様な場合である。また、図3(b)〜(f)に示す原料容器内には様々な仕切板を設けた。図3(b)の原料容器1bは、天井壁から底壁側へと1.5cmの長さの仕切板11を、ガス供給口2からガス排出口3の間に4枚設置した場合である。原料容器1b内には深さ1〜3cmの範囲でGa融液を入れたので、原料容器1bの側断面図である図4に示すように、Ga融液の深さに応じて、仕切板11下端とGa融液の液面との間には0.5〜2.5cmの間隙があり、この間隙をガスが流れる。
また、図3(c)〜(f)に示す原料容器1c〜1fは、図1の原料容器1と同様に、天井壁から底壁近くにまで達する仕切板6を様々な形態で設置したものである。原料容器1c、1e、1fは、図1の原料容器1と同様に、ガス供給口2、ガス排出口3が形成された側壁に平行に、且つガス供給口2とガス排出口3との間を等間隔に分ける仕切板6が設けられている。原料容器1c、1e、1fにおいて、ガス流路の屈曲部における仕切板6と原料容器の側壁との間には、2cmの間隙を形成した。原料容器1cには1枚の仕切板6が、原料容器1eには2枚の仕切板6が、原料容器1fには5枚の仕切板6がそれぞれ設けられており、ガス流路の流路幅Wが原料容器1c、原料容器1e、原料容器1fの順番で狭くなっている。
また、図3(d)の原料容器1dは、ガス排出口3側の角部からガス供給口2側の角部へと対角線上に伸びる仕切板6が設けられた場合である。
原料容器1a〜1fを用い、時刻t=0(秒)以前はIIIラインに水素・窒素の混合ガスのみを800sccm供給しておき、時刻t=0(秒)でIII族ラインへのHCl含有ガス(HCl流量=50sccm、水素・窒素の混合ガス流量=750sccm)の導入を開始し、時刻t=200(秒)でHClガスの導入を終了し、再び水素・窒素の混合のみを800sccm流した。原料容器1aと原料容器1fを用いた場合のGaClに起因する信号強度(GaCl濃度)の変化を図5に示す。
仕切板がGa融液に達していない下開きの仕切板11を用いた原料容器1bの場合、および仕切板がGa融液中に挿入された下閉じの仕切板6を1枚設置した原料容器1cの場合には、遅れ時間が若干のび(それぞれ5秒、7秒)、遷移時間が多少減少した(それぞれ73秒、56秒)。また、最大濃度時(安定時)のGaCl濃度は上昇した(それぞれ7.2、9)。
一方、対角線配置の下閉じ仕切板6を設置した原料容器1dの場合には、遅れ時間が9秒、遷移時間が72秒、最大濃度時のGaCl濃度は、導入したHClが全てGaClに変化したとした値の10であった。
原料容器1cの場合よりも仕切板6の枚数を増やしてガス流路を細く区切った原料容器1e、1fの場合には、遅れ時間はいずれも8秒程度であったが、遷移時間が劇的に短縮し、それぞれ15秒と2秒となった。また、最大濃度時のGaCl濃度はいずれも10であった。
また、特に原料容器1c、1e、1fのように、原料容器内のガス流路が概ね分岐の無い1通りに限定するように下閉じの仕切板を設置し、更に、仕切板を増やしてガス流路の流路幅を狭くしていくと、遷移時間が減少し、安定時のGaCl濃度が増加し、更に遷移時間および安定時のGaCl濃度に対するGa深さの影響を抑制できると言える。
表2及び図9〜図11により、予想した通りに、ガス流路の幅が広い場合には、遷移時間が長く、安定時(最大濃度時)のGaCl濃度が低く、かつ、これらに対するGa深さの影響が大きいことが確認された。また、ガス流路の幅を狭めていくと、遷移時間が短くなり、安定時(最大濃度時)のGaCl濃度が上昇し、更に、これらに対するGa深さの影響が小さくなることも確認された。
一方、遅れ時間に関しては、ガス流路の流路幅Wを狭くした場合に増大する傾向が見られた。これは、ガス流路の流路幅が広い場合に存在した、原料容器内をショートカットしてガスが流れる経路が、新たに追加された仕切り板により断ち切られた効果である。ガス流路の流路幅を狭くした場合に、遅れ時間が長くなることは実用上問題があるようにも思われるが、図9に見られるように成長時のGa深さから遅れ時間を推測できるために、遅れ時間が安定してさえいれば、実用上の深刻な問題とはならない。
安定時のGaCl濃度が10の場合に、GaCl濃度に対するGa深さの影響が小さくなるのは、HClのGaClへの変換効率が100%となっているためである。Ga深さが変わると、原料容器内のガスの流れも変化する。このため、変換効率が100%以下の場合には、Ga深さが安定時のGaCl濃度に影響するのであるが、変換効率が100%という状況であれば、100%以上の変換効率はありえないために、Ga深さの変化がGaCl濃度に影響しなくなるのである。
すなわち、ガスを5cm以下の狭い流路幅の流路に流すことで、原料容器内に高速のガス流が生じる。また、この高速のガス流が屈曲部を通ることで、大きなガス流の乱れが生じ、これがHClと金属Gaとの反応を促進し、安定時のGaCl濃度の増大と、Ga深さのGaCl濃度への影響とを抑制することが考えられる。また、流路幅5cmの原料容器は、仕切板の数が3枚の場合に相当することから、ガス流路の屈曲部の数としては3箇所以上が好ましいということも言える。
次に実施例1と同様の実験を、原料容器内に導入するガスの総流量を100〜2000sccmの間で変えて行った。この場合、添加するHClは50sccmで固定し、水素・窒素の混合ガスの流量により総流量を調整した。
総流量が100sccm以上、1300sccm未満の場合には、実施例1と同様の結果が得られた。総流量が1300sccm以上の場合には、遷移時間については実施例1と同様の結果が得られたものの、安定時のGaCl濃度は実施例1の場合よりも低下し、HClからGaClへの変換効率は最良の場合でも90%程度しか得られなかった。
総流量を1300sccm以上とした場合には、原料容器へ導入したガスがその内部に留まっている時間(滞在時間)は計算上5秒未満と非常に短いものとなる。このことから、原料容器への総流量を大きくしすぎた場合には、滞在時間が短くなり、導入したHClが完全に反応しないうちに外に出てしまうため、HClからGaClへの変換効率が低下するものと考えられる。
次に、実施例2と同様の実験を、原料容器のサイズを変えて行った。
原料容器のサイズが大きい場合には、上記混合ガスの総流量が1300sccm以上であっても、ガスの滞在時間が5秒以上の場合には実施例1と同様の結果が得られた。しかし、原料容器のサイズを小さくして、ガスの滞在時間が5秒未満となると、安定時のGaCl濃度が低下した。これも、実施例2と同様に、原料容器内のガスの滞在時間が短い場合には、導入したHClが完全にGaClに変化できないためと考えられる。
以上の実施例2及び実施例3の結果は、本発明の金属塩化物ガスの発生装置を用いる際の好適な適用範囲を規定する。すなわち、原料容器へのガス流量が大き過ぎる場合やサイズが小さ過ぎる原料容器の場合には、本発明の金属塩化物ガスの発生装置は適しておらず、原料容器内のガスの滞在時間が5秒以上となる、ガス流量および原料容器の大きさの場合に好適であると言える。
次に、実施例1で用いた図3に示す様々な形態の原料容器1a〜1fを備えた、図2に示す構造のHVPE装置を用いて、基板上にGaNバッファ層、アンドープGaN層、n型GaN層を順次積層し、テンプレートを製作した。
基板としては、2〜6インチ径のサファイア基板で、表面がC面からA軸方向に0.3度傾いたものを用いた。このサファイア基板をHVPE装置に導入し、原料容器の温度を850℃、成長部の温度を1100℃として基板の水素クリーニングを行った。その後、成長部の温度を600℃としてGaNバッファ層を30nm成長し、次に成長部の温度を1100℃としてアンドープGaN層を6μmとn型GaN層を2μm成長してテンプレートを完成した。
GaNバッファ層の成長時には、III族ラインにHClを10sccm、水素・窒素の混合ガスを790sccm流し、ドーピングラインには窒素ガスを1slm流し、V族ラインにはNH3を1slm、水素・窒素の混合ガスを2slm流した。これにより、200nm/分の成長速度でアンドープのGaNバッファ層を成長した。
一方、1100℃での成長においては、III族ラインにHClを50sccm、水素・窒素の混合ガスを750sccm流し、ドーピングラインには、アンドープGaN層の成長時は窒素ガスを1slm流し、n型GaN層の成長時はジクロロシランとHCl50sccmを窒素キャリアガスと合計で1slm流し、V族ラインにはNH3を1slm、水素・窒素の混合ガスを2slm流した。これにより、1μm/分の成長速度でGaN層を成長した。
本実施例では、17nmより深い箇所においては、キャリア濃度の平均は7.0×1018/cm3であり、キャリア濃度はキャリア濃度の平均値から±10%以内であった。また、偏差(標準偏差)σを計算したところ、5%内に制御できていた。
次に、ターゲットとするキャリア濃度を4×1017/cm3〜3×1019/cm3まで変更し、試料作製を繰り返し実施した。そして、全ての試料において、目標のキャリア濃度(平均から±10%以内)、かつキャリア濃度の偏差σを5%以下に制御することができた。供給するSi原料(ジクロロシラン)の量を変化させ気相成長中のSi原料濃度を変化させたところ、ターゲットとするGaN膜中のキャリア濃度を上記17乗台から19乗台としても、原料の変化量に応じて安定的にキャリア濃度の調整をすることができた。また、遷移時間の調整・制御が可能になるので、表面の低Siドープ層の厚さを制御することができた。
次に、実施例4で製作した最表面に薄い低Si濃度層を有するテンプレートを用いて、窒化物半導体デバイスとして青色のLED素子を作製した。
低Si濃度層厚とSiの最低濃度は、それぞれ流路幅10cmの原料容器1cでは470nmと8.4×1017/cm3、流路幅6.7cmの原料容器1eでは130nmと1.2×1018/cm3、流路幅5cmの原料容器では60nmと4.0×1018/cm3、流路幅4cmの原料容器では48nmと4.7×1018/cm3、流路幅3.3cmの原料容器1fでは17nmと5.5×1018/cm3、流路幅2cmの原料容器では10nmと6.0×1018/cm3であった。
まず、300Torrの圧力下で、水素、窒素、アンモニアを流しつつテンプレート33の温度を1050℃に昇温する。その後、Ga原料としてトリメチルガリウム(TMG)とともにn型ドーパントとしてシランガスをMOVPE装置に導入し、2μm/時の成長速度で1μmのn型GaN層34を成長した。n型GaN層34のキャリア濃度は、5×1018/cm3であった。
n型GaN層34の成長に引き続き、成長温度は700℃として、窒素、アンモニアガスを流しつつ、6ペアのInGaN/GaN多重量子井戸層35(InGaNの厚さ2nm、GaNの厚さ15nm)を成長した。その上には、成長温度1000℃で、厚さ50nmのp型AlGaN層36(Al組成=0.15)およびp型GaNコンタクト層37(厚さ=0.3μm、キャリア濃度=5×1017/cm3)を成長した。Ga原料としてトリメチルガリウム(TMG)、In原料としてトリメチルインジウム(TMI)、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMA)、p型ドーパントとしてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いた。
上記の積層構造成長後に、基板温度を室温付近に下げ、基板をMOVPE装置より取出した。その後、得られた基板表面の半導体層をRIE(Reactive Ion Etching)により部分的にエッチング除去し、n型GaN層34(またはGaN層32上層のn型GaN層)の一部を露出させてTi/Alのn側電極38を形成した。さらにp型GaNコンタクト層37上にNi/Au半透明電極およびp電極パッド39を形成して、図15に示す構造の青色LEDを作製した。
上記の最表面に薄い低キャリア濃度層を有する窒化物半導体ウエハを用いて、窒化物半導体デバイスとしてショットキーバリアダイオード(SBD)を作製した。SBDの場合、最表面のキャリア濃度が高すぎるとダイオードの逆リーク電流が増え、一方、最表面のキャリア濃度が低すぎるとオーミック抵抗が増えるので、最表面のキャリア濃度は厳密に制御することが必要である。SBDでは、最表面の低キャリア濃度層を60nm以下、好ましくは20nm以下に形成するとよい。本発明では、GaN層中だけでなく、表面近傍の濃度制御も可能なので、SBDの形成にも好適である。
図18に、作製したショットキーバリアダイオード(SBD)41を示す。SBD41は、まず、サファイア基板42上に、本発明のHVPE装置を用いて、n型GaN層(厚さ5〜8μm、キャリア濃度4×1017/cm3)43を形成した窒化物半導体ウエハを作製し、この窒化物半導体ウエハのn型GaN層43上にオーミック電極44とショットキー電極45を形成したものである。この実施例では、n型GaN層43上の中央にショットキー電極45を形成し、ショットキー電極45を囲むようにその外周にオーミック電極44を形成した。本発明のHVPE装置、製法を採用することで、n−GaN層43におけるキャリア濃度分布を、キャリア濃度の平均値から±10%以内、且つ偏差を5%以内で、最表面の低キャリア濃度層を20nm以下に制御することができ、良好な特性のSBDが得られた。
実施例4、5と同様の実験を、原料容器の温度を700〜950℃の間で行ったところ、実施例4,5と同様の結果を得た。
原料容器の温度が700℃未満の場合には、安定時のGaClの濃度が減少し、これに伴いHVPE装置の成長部におけるGaN層の成長速度が低下した。また、GaN層の転位密度も増加した。これらは、原料容器の温度が低すぎたために未反応のHClが発生したためと思われる。一方、原料容器の温度が950℃よりも高い場合には、安定時のGaCl濃度は高い値を維持したが、成長したGaN表面に点状の異常部が高密度に発生し、LEDを成長可能なテンプレートとならなかった。この場合、原料容器の温度が高いため、GaClと同時に蒸気状態のGaも成長部に運ばれ、成長中のGaN表面にGa液滴が発生し、これが核となり異常成長が発生したものと思われる。
実施例1〜実施例4と同様であるが、GaをInに変えて、Inを収容する原料容器の温度を300〜800℃の間とし、発生したInClガスを用い、成長部の温度を500℃としてInNテンプレートを製作したところ、実施例4と同様の結果をえた。
原料容器の温度が300℃未満の場合と、800℃より高い場合には、実施例6と同様に、成長速度の低下と転位密度の増加、あるいは、点状の異常成長が観察された。
実施例7と同様の実験を、HClガスをCl2ガスに変えて行った。この場合には、InClガスだけでなく、InCl3ガスも発生する。この場合にも、実施例7とほぼ同様の結果が得られた。
実施例1〜実施例4と同様であるが、GaをAlに変えて、Al保管室の温度を400〜700℃に加熱し、上記入口からHCl含有ガスを導入することで発生するAlCl3含有ガスを用いてAlNテンプレートを製作したところ、実施例1〜実施例4と同様の結果をえた。
Al保管室の温度が400℃より低い場合には、実施例6と同様に成長速度の低下と転位密度の増加が観察された。また、Al保管室の温度を700℃にすると、AlClが発生し、成長装置を構成する石英を腐食するので、Al保管室の温度は700℃以下とした。
上記の実施例1〜実施例9と同様の実験において、窒素ガスを、他の不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、あるいはこれらの混合ガス)に変えて行ったところ、実施例1〜実施例9とほぼ同様の結果を得た。
図3(a)の原料容器1aを設置したHVPE装置、および実施例に係る流路幅が5cm以下で3つ以上の屈曲を持つ原料容器のいずれかを設置したHVPE装置により、上記特許文献1に記載の方法でGaN自立基板を製作した。すなわち、サファイア基板上にアンドープGaN層を成長し、さらにアンドープGaN層上にTi膜を蒸着した基板を、H2とNH3を混合した気流中で熱処理する。これにより、上記Ti膜は微小な穴が形成されたTiN膜となり、上記アンドープGaN層には多数のボイドが形成される。このボイドが形成されたアンドープGaN層及び微小な穴が形成されたTiN膜を有するサファイア基板をテンプレートとし、その上にGaN自立基板となるGaN層を成長した。
GaN層の成長は、実施例4と同様の条件で、GaN成長中の原料容器へのHCl導入量を200sccmとして成長を行った。この条件で、実験的に数μmのGaN膜をサファイア基板上に成長した場合の成長速度は、図3(a)の原料容器1aの場合は160μm/hrであり、上記実施例の原料容器を用いた場合には240μm/hrであった。
上述した1000μm〜2000μm厚のGaN自立基板の製作を、20回繰り返したところ、本発明の実施例の原料容器を用いた場合、GaN成長中の成長速度の変化は±10%以下であった。また、GaN基板(GaN結晶)の不純物濃度のばらつきが±10%以下であり、かつ偏差が±10%以内にある不純物ドープのGaN自立基板を作製できた。原料容器のサイズを変更した本発明の塩化物発生装置を備えるHVPE装置を用いることで、厚さ2000μmを超えるGaN基板の作製もできる。
図16(a)、(b)および図17に、本発明の金属塩化物ガスの発生装置に用いられる原料容器の変形例を示す。図16(a)の原料容器1gは、図3の原料容器1c、1e、1fと同様の仕切板6が配置された構造であるが、ガス供給口2及びガス排出口3を一方の側壁7に近づけた位置に設け、ガス供給口2の周囲およびガス排出口3の周囲に、袋小路や滞留部となる部分ができるだけ最小限となるようにした原料容器である。
また、図16(b)の原料容器1hは、円形の原料容器であって、原料容器1hの外側のガス供給口2から中心のガス排出口3に向かって、らせん状にガスが流れるガス流路が仕切板12によって形成されている。ガス流路には、3箇所以上の屈曲部Eを有する配置である。この場合、導入されたガスは中心部のガス排出口3から上方あるいは下方に導出されることになる。図16(b)の原料容器1hのような形状の原料容器を用いた場合でも、上記の実施例とほぼ同じ結果が得られている。つまり、本発明にかかる原料容器の要件さえ満たせば、原料容器が円形その他の形状であっても、本発明の効果を得ることができるということである。
また、図17に示す原料容器1iは、図3の原料容器1c、1e、1fと同様の仕切板6が配置された構造において、更にガス流路Pのガス流を乱す構造を付加した例を示す。具体的には、図17に示すように、原料容器内を仕切る仕切板を上記平板状の仕切板6に代えて波板状の仕切板15としたり、仕切板6に突起部16を設けたり、ガス流路P中に棒材17を設けたりしてもよい。
本発明の窒化物半導体ウエハは、使用される窒化物半導体成長用の基板に依存することなく、窒化物半導体膜の最表面の低Si濃度層厚を低減できる。このため、サファイア基板上に窒化物半導体を成長したテンプレートのみならず、GaAs基板、Ga2O3基板、ZnO基板、SiC基板、あるいはSi基板など、サファイア以外の異種基板上にGaN膜を形成したテンプレートにも適用可能である。
更に、本発明は、上述した変形例2と同様の理由から、他の方法で成長したテンプレート上、あるいはGaN、AlN、InN単結晶基板上にGaN膜を形成して、デバイス用の下地を製作する目的にも適用可能である。
本発明に係る上記実施形態あるいは上記実施例などからなる、複数の金属塩化物ガス発生装置を組み合わせて、GaN、InN、AlNの混晶からなるテンプレートや、窒化物半導体膜を形成することも可能である。
また、本発明の金属塩化物ガスの発生装置は、金属塩化物ガスの急峻なOn/Offが必要な用途全般のみならず、金属塩化物ガス濃度を急峻に増減する用途に対しても効果的である。
一例を挙げると、実施例4のテンプレート上に、HVPE法により実施例5−1と同様のLED構造を積層した場合、従来のHVPE法では不可能であった急峻なヘテロ界面を形成できるため、全てMOVPE法により成長したLEDと同等の特性のLEDを実現することができた。
実施例4のテンプレートにおいては、600℃で成長するGaNバッファに代えて、1100℃でAlNバッファを20nm〜100nm成長し、その上に1100℃にてアンドープGaNとn型GaNを形成しても良い。
本明細書に記載した成長温度、ガス流量、基板の面方位などは、実用上の目的のために、適宜変更しても構わない。例えば、上記実施例4ではHVPE成長温度を1100℃と記述したが、実用的な温度範囲としては1000〜1200℃である。
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
金属塩化物含有ガスを生成し、前記処理室内の前記基板に供給する金属塩化物ガスの発生装置と、
V族元素含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給するV族元素含有ガス供給装置と、
前記基板上に成膜される膜に不純物をドープするドーピング原料含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給するドーピング原料含有ガス供給装置と、を備え、
前記金属塩化物ガスの発生装置は、
金属原料を収容する原料容器と、
前記原料容器内に塩素含有ガスを供給する、前記原料容器に設けられたガス供給口と、
前記塩素含有ガスと前記金属原料との反応により生成される前記金属塩化物含有ガスを前記原料容器外に排出する、前記原料容器に設けられたガス排出口と、
前記原料容器内の前記金属原料の上方の空間を仕切って、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと続くガス流路を形成する仕切板と、を備え、
前記ガス流路は、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと至り、屈曲部を有する一通りの経路となるように形成され、
前記ガス流路の水平方向の流路幅を5cm以下にすることで、前記原料容器内への前記塩素含有ガスの供給を停止してから前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めるまでの遅れ時間よりも、前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めてから前記金属塩化物含有ガスの濃度がゼロになるまでの遷移時間の方が短くなるように構成されているハイドライド気相成長装置が提供される。
付記1のハイドライド気相成長装置であって、好ましくは、
前記ガス流路には前記屈曲部が3箇所以上形成されている。
付記1又は2のハイドライド気相成長装置であって、好ましくは、
前記遷移時間が9秒以内である。
付記1ないし3のいずれかのハイドライド気相成長装置であって、好ましくは、
前記ガス供給口から前記ガス排出口までの前記ガス流路を流れるガスの滞在時間が5秒以上である。
付記1ないし4のいずれかのハイドライド気相成長装置であって、好ましくは、
前記金属原料がGaであり、前記塩素含有ガスがHCl含有ガスであり、前記金属塩化物含有ガスがGaCl含有ガスである。
付記1ないし5のいずれかのハイドライド気相成長装置であって、好ましくは、
前記仕切板は、前記原料容器の底壁に非接合である。
本発明の他の態様によれば、
金属塩化物ガスの発生装置が備える原料容器に設けられたガス供給口から前記原料容器内に塩素含有ガスを供給して、前記原料容器内で、前記塩素含有ガスと前記原料容器内に収容された金属原料とを反応させることで金属塩化物含有ガスを生成し、前記原料容器に設けられたガス排出口から前記金属塩化物含有ガスを処理室内の基板に供給する工程と、V族元素含有ガス供給装置からV族元素含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給する工程と、ドーピング原料含有ガス供給装置から不純物をドープするドーピング原料含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給する工程と、を実施することで、前記基板上に、不純物がドープされた半導体膜を形成する工程を有し、
前記金属塩化物含有ガスを供給する工程では、
前記原料容器内を流れるガスのガス流路を、前記原料容器内の前記金属原料の上方の空間を仕切板により仕切って、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと至り、屈曲部を有する一通りの経路となるように形成し、
前記ガス流路の水平方向の流路幅を5cm以下にすることで、前記原料容器内への前記塩素含有ガスの供給を停止してから前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めるまでの遅れ時間よりも、前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めてから前記金属塩化物含有ガスの濃度がゼロになるまでの遷移時間の方を短くする半導体ウエハの製造方法が提供される。
付記7の半導体ウエハの製造方法であって、好ましくは、
前記半導体膜を形成する工程では、
GaN、AlN、InNまたはこれらの混晶からなり、不純物がドープされ、
少なくとも前記半導体膜の上部の不純物濃度が4×1017〜3×1019cm−3の範囲にあって、前記半導体膜の上部の少なくとも表面より60nmの深さから1μmまでの深さの不純物濃度分布が不純物濃度の平均値から±10%以内の範囲にあり且つ偏差σが5%以内であり、前記半導体膜の最表面に位置する低不純物濃度層の厚さが60nm以下である半導体膜を前記基板上に形成する。
本発明のさらに他の態様によれば、
金属塩化物ガスの発生装置が備える原料容器に設けられたガス供給口から前記原料容器内に塩素含有ガスを供給して、前記原料容器内で、前記塩素含有ガスと前記原料容器内に収容された金属原料とを反応させることで金属塩化物含有ガスを生成し、前記原料容器に設けられたガス排出口から前記金属塩化物含有ガスを処理室内の基板に供給する工程と、V族元素含有ガス供給装置からV族元素含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給する工程と、ドーピング原料含有ガス供給装置から不純物をドープするドーピング原料含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給する工程と、を実施することで、前記基板上に、不純物がドープされた半導体膜を形成する工程を有し、
前記金属塩化物含有ガスを供給する工程では、
前記原料容器内を流れるガスのガス流路を、前記原料容器内の前記金属原料の上方の空間を仕切板により仕切って、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと至り、屈曲部を有する一通りの経路となるように形成し、
前記ガス流路の水平方向の流路幅を5cm以下にすることで、前記原料容器内への前記塩素含有ガスの供給を停止してから前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めるまでの遅れ時間よりも、前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めてから前記金属塩化物含有ガスの濃度がゼロになるまでの遷移時間の方を短くすることを特徴とする半導体デバイスの製造方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
金属原料を収容する原料容器と、
前記原料容器内に塩素含有ガスを供給する、前記原料容器に設けられたガス供給口と、
前記塩素含有ガスと前記金属原料との反応により生成される金属塩化物含有ガスを前記原料容器外に排出する、前記原料容器に設けられたガス排出口と、
前記原料容器内の前記金属原料の上方の空間を仕切って、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと続くガス流路を形成する仕切板とを備え、
前記ガス流路は、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと至る一通りの経路となるように形成され、前記ガス流路の水平方向の流路幅が5cm以下であり、且つ前記ガス流路には屈曲部を有する金属塩化物ガスの発生装置が提供される。
付記10の金属塩化物ガスの発生装置であって、好ましくは、
前記ガス流路には前記屈曲部が3箇所以上形成されている。
本発明のさらに他の態様によれば、
付記10又は11の金属塩化物ガスの発生装置を備えたハイドライド気相成長装置が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
付記10又は11の金属塩化物ガスの発生装置を用い、前記ガス供給口から前記ガス排出口までの前記ガス流路を流れるガスの滞在時間を5秒以上とする金属塩化物ガスの発生方法が提供される。
付記13の金属塩化物ガスの発生方法であって、好ましくは、
前記金属原料がGaであり、前記塩素含有ガスがHCl含有ガスであり、前記原料容器を700℃〜950℃に加熱し、前記金属塩化物含有ガスであるGaCl含有ガスを前記ガス排出口から排出する。
本発明のさらに他の態様によれば、
金属塩化物含有ガスとアンモニアガスとを基板に供給して前記基板上にGaN、AlN、InNまたはこれらの混晶からなる膜を形成した窒化物半導体ウエハにおいて、
少なくとも前記膜の上部はキャリア濃度が4×1017〜3×1019の範囲にあって、前記膜の上部の少なくとも表面より60nmの深さから1μmまでの深さにおいては、キャリア濃度分布はキャリア濃度の平均値から±10%以内の範囲にあり且つ偏差σが5%以内であり、前記膜の最表面の低キャリア濃度層の厚さが60nm以下である窒化物半導体ウエハが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
付記15の窒化物半導体ウエハ上に半導体デバイス構造を形成した窒化物半導体デバイスが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
基板と、
前記基板上にHVPE法により形成したn型窒化物半導体膜と、
前記n型窒化物半導体膜上にMOVPE法により形成した窒化物半導体発光構造層とを有し、
前記n型窒化物半導体膜は最表面側に60nm以下の厚さの低キャリア濃度層を備え、
前記n型窒化物半導体膜の最表面側の60nmの深さから1μmまでの深さでは、キャリア濃度が4×1018〜8×1018の範囲にあって、キャリア濃度分布はキャリア濃度の平均値から±10%以内の範囲にあり且つ偏差が5%以内である窒化物半導体発光ダイオード用ウエハが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
付記10又は11の金属塩化物ガスの発生装置を用い、前記金属塩化物ガスの発生装置から発生した金属塩化物含有ガスとアンモニアガスとを基板に供給して、前記基板上に窒化物半導体膜を成長し、前記窒化物半導体膜から窒化物半導体自立基板を製造する窒化物半導体自立基板の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
金属塩化物含有ガスとアンモニアガスとから形成される、GaN、AlN、InNまたはこれらの混晶を含む厚さ1000μm以上の窒化物半導体結晶からなり、前記窒化物半導体結晶の厚さ方向の不純物濃度のばらつきが±10%以下であり、且つ偏差が10%以内である窒化物半導体結晶が提供される。
2 ガス供給口
3 ガス排出口
4 ガス供給管
5 ガス排出管
6 仕切板
7,7a〜7d 側壁
20 反応容器
25 基板
E 屈曲部
G1 塩素系含有ガス
G2 金属塩化物含有ガス
G3 NH3含有ガス
G4 ドーピング原料含有ガス
M 金属原料
P ガス流路
R 経路
S 空間
W 流路幅
Claims (3)
- 金属塩化物ガスの発生装置が備える原料容器に設けられたガス供給口から前記原料容器内に塩素含有ガスを供給して、前記原料容器内で、前記塩素含有ガスと前記原料容器内に収容された金属原料とを反応させることで金属塩化物含有ガスを生成し、前記原料容器に設けられたガス排出口から前記金属塩化物含有ガスを処理室内の基板に供給する工程と、V族元素含有ガス供給装置からV族元素含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給する工程と、ドーピング原料含有ガス供給装置から不純物をドープするドーピング原料含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給する工程と、を実施することで、前記基板上に、不純物がドープされた半導体膜を形成する工程を有し、
前記金属塩化物含有ガスを供給する工程では、
前記原料容器内を流れるガスのガス流路を、前記原料容器内の前記金属原料の上方の空間を仕切板により仕切って、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと至り、屈曲部を有する一通りの経路となるように形成し、
前記ガス流路の水平方向の流路幅を5cm以下にすることで、前記原料容器内への前記塩素含有ガスの供給を停止してから前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めるまでの遅れ時間よりも、前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めてから前記金属塩化物含有ガスの濃度がゼロになるまでの遷移時間の方を短くすることを特徴とする半導体ウエハの製造方法。 - 前記半導体膜を形成する工程では、
GaN、AlN、InNまたはこれらの混晶からなり、不純物がドープされ、
少なくとも前記半導体膜の上部の不純物濃度が4×1017〜3×1019cm−3の範囲にあって、前記半導体膜の上部の少なくとも表面より60nmの深さから1μmまでの深さの不純物濃度分布が不純物濃度の平均値から±10%以内の範囲にあり且つ偏差σが5%以内であり、前記半導体膜の最表面に位置する低不純物濃度層の厚さが60nm以下である半導体膜を前記基板上に形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエハの製造方法。 - 金属塩化物ガスの発生装置が備える原料容器に設けられたガス供給口から前記原料容器内に塩素含有ガスを供給して、前記原料容器内で、前記塩素含有ガスと前記原料容器内に収容された金属原料とを反応させることで金属塩化物含有ガスを生成し、前記原料容器に設けられたガス排出口から前記金属塩化物含有ガスを処理室内の基板に供給する工程と、V族元素含有ガス供給装置からV族元素含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給する工程と、ドーピング原料含有ガス供給装置から不純物をドープするドーピング原料含有ガスを前記処理室内の前記基板に供給する工程と、を実施することで、前記基板上に、不純物がドープされた半導体膜を形成する工程を有し、
前記金属塩化物含有ガスを供給する工程では、
前記原料容器内を流れるガスのガス流路を、前記原料容器内の前記金属原料の上方の空間を仕切板により仕切って、前記ガス供給口から前記ガス排出口へと至り、屈曲部を有する一通りの経路となるように形成し、
前記ガス流路の水平方向の流路幅を5cm以下にすることで、前記原料容器内への前記塩素含有ガスの供給を停止してから前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めるまでの遅れ時間よりも、前記ガス排出口から排出される前記金属塩化物含有ガスの濃度が変化し始めてから前記金属塩化物含有ガスの濃度がゼロになるまでの遷移時間の方を短くすることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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