JP2015172495A - 空間伝播超音波を用いた管検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】減肉検査などの管壁自体の検査を、接触媒質を不要とする空気空間やガス空間を伝播する超音波を用いて良好に行なう管検査装置が望まれている。【解決手段】空間伝播超音波を用いた管検査装置は、検査対象管の管壁の内周面に空間伝播を通じて超音波を斜角入射させる送信探触子1Aと、管壁を伝播して前記内周面から出てきた超音波を、空間伝播を通じて受信する受信探触子1Bと、送信探触子から出て空間伝播で受信探触子に向かう超音波を遮断するために送信探触子1Aと受信探触子1Bとの間に配置された音波遮蔽体28と、管壁に入射された超音波の横波屈折角が90度以下で60度以上となるように送信探触子1Aの姿勢を保持する探触子保持部と、受信探触子1Bからの受信信号を評価して前記管壁における欠陥を判定する評価部100とを備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、伝播路程の一部が空間となる超音波を用いた管検査装置に関する。
埋設配管では、外面の腐食減肉を計測することが保全上重要であるが、減肉を外面から直接検査するためには地面を掘削して配管を露出させる必要があるため、コストがかかる。そのような配管露出作業を避けるため、管の内周面から腐食減肉を検査することが提案されている。例えば、特許文献1による自走式鋼管検査装置では、超音波探触子から管壁の内周面に垂直に超音波を入射させ、管壁の底面から戻ってくるまでの伝播時間を計測することで、減肉部が検査される。しかしながら、このような超音波肉厚測定法では、管壁の肉厚が小さい場合、入射表面で生じる反射波が底面からの反射波に干渉して肉厚測定の障害となる。さらに、一般的に超音波検査では、管の内周面から超音波を効率よく入射させるためには、超音波を送信する超音波探触子と管の内周面との間に水や油等の接触媒質(カップリング剤)が必要である。しかしながら、管内を移動しながら超音波探触子と管の内周面との隙間に接触媒質を供給して検査を行い、さらにその後に供給した接触媒質を除去するためには、大掛かりな装置が要求され、コスト的に問題となる。
超音波検査において、接触媒質を用いずに、超音波探触子から出た超音波を空気伝播させて検査材表面に入射させ、検査材の裏面で反射してから再び検査材の表面から出てきた超音波を評価することで、検査材の裏面に張り付けられた部材の剥離を検出する超音波試験装置が、特許文献2から知られている。しかしながらこのような空気伝播超音波検査では、空気と検査材との音響インピーダンスの違いから、管の内周面から反射する反射波(表面反射波)のエネルギーが極めて大きく、管に入る入射波のエネルギーが極めて小さくなるので、減肉検査などの管壁自体の検査は困難であると見なされていた。
上記実情から、減肉検査などの管壁自体の検査を、接触媒質を不要とする空気空間やガス空間を伝播する超音波を用いて良好に行う管検査装置が望まれていた。
本発明による、空間伝播超音波を用いた管検査装置は、検査対象管の管壁の内周面に空間伝播を通じて超音波を斜角入射させる送信探触子と、管壁を伝播して前記内周面から出てきた超音波を、空間伝播を通じて受信する受信探触子と、前記送信探触子から出て空間伝播で前記受信探触子に向かう超音波を遮断するために前記送信探触子と受信探触子との間で前記内周面から隙間をあけて配置された音波遮蔽体と、前記管壁に入射された超音波の横波屈折角が90度以下で60度以上となるように前記送信探触子の姿勢を保持する探触子保持部と、前記受信探触子からの受信信号を評価して前記管壁における欠陥を判定する評価部とを備えている。なお、本発明において用いられている「空間」なる語句は、主に空気が詰まった空気空間やガス(都市ガスなど)が詰まったガス空間を意味している。
この構成によれば、検査対象となる管に対して空間伝播を通じて超音波の送受信を行うので、接触媒質が不要となり、検査の前作業及び後作業が簡単となる。また、検査対象となる管の一方の表面から超音波を斜め入射させ、その入射点から距離をあけた点から出てくる超音波を受信する斜角透過法を採用しているので、超音波評価系において入射点で生じる大きな表面反射波の悪影響を避けることができる。但し、送信探触子から空間伝播によって直接受信探触子に入る超音波や管壁内周面で表面反射して受信探触子に入る超音波による悪影響は、送信探触子と受信探触子との間に配置された音波遮蔽体によって阻止することができる。また、揺動横波屈折角が90度以下で60度以上となるような送信探触子の姿勢(つまり入射角の設定)を採用することで、これまで不可能とされていた管壁に生じている欠陥を透過超音波の評価で検出することが可能となった。しかも、一方側の内周面から入って同じ側の内周面から出てくる超音波を用いることから、管の内側からしか検査できない埋設管などの管壁検査に、特に好都合である。
欠陥を検出するための透過超音波の評価方法としては、受信信号としての透過超音波波形の振幅、積分値、周波数、波形時間長さなどがあるが、実験を通じての本願発明者の知見によれば、透過超音波の振幅評価で管壁に生じている減肉部が検出可能であることがわかった。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、評価部は、前記管壁を伝播して前記受信探触子に入る超音波の減衰に基づいて前記管壁における減肉部を判定するように構成されている。つまり、健全部域において受信探触子に入る超音波の振幅、つまり基準透過振幅より所定量の低下が発生した箇所を減肉部の存在箇所として判定する。
管壁に斜角で入射する超音波によって生じる、縦波・横波のモード変換を通じての超音波の拡がりや、管壁を伝播する超音波による板波及び表面波の発生などを伴いながら、管の内周面を超音波が伝播しているので、管の内周面の状態の変動が透過超音波の評価に悪影響を与えることがある。このことから、送信探触子と受信探触子との間に配置される音波遮蔽体の先端は、管の内周面に接触させずに、管の内周面との間に隙間を設けることが好ましい。また管の内周面を移動しながら連続する場合には、音波遮蔽体を管の内周面に接触させないことは、移動時の引っ掛かりなどが回避できるので好都合である。
上述したように、縦波・横波のモード変換を通じての超音波の拡がりや板波及び表面波の発生などの検査に対する影響は、管壁の肉厚や管壁中の音速、さらには超音波周波数によっても異なる。受信信号の低下を監視する斜角透過法による、5mm〜7mmの肉厚を有する金属管の減肉部の検出には、定格周波数が400kHzから700kHzの範囲内の超音波探触子が適切であることが判明した。従って、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記検査対象管が5mm〜7mmの肉厚を有する金属管であり、前記送信探触子から送信される超音波の定格周波数が400kHzから700kHzである。このことを、金属管以外の材質を有する管も含めて考察すれば、前記送信探触子として、前記管壁における横波波長が前記管壁の肉厚の0.5倍から1.5倍となる定格周波数を有するものを用いることが好適である。
空間伝播超音波を用いた本発明による管検査装置で採用されている斜角透過法の基本原理を説明する。図1は、この斜角透過法の基本構成が模式的に示している。
図1では模式的に示されているだけであるが、超音波斜角透過法で駆動される送信探触子1Aと受信探触子1Bとは、超音波制御ユニットUに接続されている。この超音波制御ユニットUは、それ自体公知であり、詳しい説明は省略するが、発信器、受信機、増幅器などの有する信号処理部101と、信号処理された受信信号から欠陥を評価する評価部100が含まれている。
ここでの空間伝播超音波を用いた斜角透過法は、送信探触子1Aから送信され、空間伝播を経て管壁に入射し、管壁を伝播して再び管壁から出て、空間伝播を経て受信探触子1Bに達する超音波の透過波を信号処理部101で評価しやすいように信号処理したのちに、評価部100が評価して、管壁の状態、特に管外周面に生じる減肉の存在を検出するものである。例えば、管外周面に腐食凹みが生じていた場合、その腐食凹みによって超音波の伝播が妨害されることで透過波の振幅が低下するので、透過波の振幅低下に基づいて減肉を判定する。その際、空中伝播を用いているので、送信探触子1Aの斜め姿勢、つまり入射角θiの設定に注意が必要である。超音波の管壁における入射角と屈折角との関係は、その境界を作り出す2つの媒体、ここでは気体(空気や都市ガスなどのガス)と管壁(一般に鉄、鋼、ポリエステルなど)における音速に基づくことから、大きな音速差がある気体と管壁との境界では、入射角が1°異なると屈折角が10°単位で異なるからである。なお、管壁では縦波と横波が伝播するので、例えば、縦波音速が約5920m/sである鋼製の管の場合、タンデム透過法(片面斜角透過法)のために入射角を傾ける必要があるが、わずかに傾けても縦波は実質的に全反射するので、実質的に管壁に入るのは横波(空気中横波音速:約3240m/s)となる。しかも、計算上では、縦波入射角θiが6°で、横波の屈折角θは85°となり、縦波入射角θiが7°で、横波も全反射する。しかしながら、超音波は拡散し、ビーム幅を有するので、縦波入射角θiが7°でも、それなりの超音波成分は横波として管壁を伝播する。また、鋼管も品種によって音速が異なり、ポリエチレン管などの合成樹脂管ではその音速は鋼管の半分程度となる。このことから、ここでは、送信探触子1Aの傾斜姿勢の設定条件は、入射角θiではなく横波屈折角θに基づいて決めることにし、良好な斜角透過法での結果が得られる横波屈折角θとして、基本的には60度以上で90度未満となる範囲としている。したがって、検査対象が鋼管の場合、入射角θiは計算上では、約5°〜6°となるが、鋼種による音速の違いや超音波のビーム幅を考慮すれば、入射角θiは約5°〜7°が好適である。
ここでの空間伝播超音波を用いた斜角透過法は、送信探触子1Aから送信され、空間伝播を経て管壁に入射し、管壁を伝播して再び管壁から出て、空間伝播を経て受信探触子1Bに達する超音波の透過波を信号処理部101で評価しやすいように信号処理したのちに、評価部100が評価して、管壁の状態、特に管外周面に生じる減肉の存在を検出するものである。例えば、管外周面に腐食凹みが生じていた場合、その腐食凹みによって超音波の伝播が妨害されることで透過波の振幅が低下するので、透過波の振幅低下に基づいて減肉を判定する。その際、空中伝播を用いているので、送信探触子1Aの斜め姿勢、つまり入射角θiの設定に注意が必要である。超音波の管壁における入射角と屈折角との関係は、その境界を作り出す2つの媒体、ここでは気体(空気や都市ガスなどのガス)と管壁(一般に鉄、鋼、ポリエステルなど)における音速に基づくことから、大きな音速差がある気体と管壁との境界では、入射角が1°異なると屈折角が10°単位で異なるからである。なお、管壁では縦波と横波が伝播するので、例えば、縦波音速が約5920m/sである鋼製の管の場合、タンデム透過法(片面斜角透過法)のために入射角を傾ける必要があるが、わずかに傾けても縦波は実質的に全反射するので、実質的に管壁に入るのは横波(空気中横波音速:約3240m/s)となる。しかも、計算上では、縦波入射角θiが6°で、横波の屈折角θは85°となり、縦波入射角θiが7°で、横波も全反射する。しかしながら、超音波は拡散し、ビーム幅を有するので、縦波入射角θiが7°でも、それなりの超音波成分は横波として管壁を伝播する。また、鋼管も品種によって音速が異なり、ポリエチレン管などの合成樹脂管ではその音速は鋼管の半分程度となる。このことから、ここでは、送信探触子1Aの傾斜姿勢の設定条件は、入射角θiではなく横波屈折角θに基づいて決めることにし、良好な斜角透過法での結果が得られる横波屈折角θとして、基本的には60度以上で90度未満となる範囲としている。したがって、検査対象が鋼管の場合、入射角θiは計算上では、約5°〜6°となるが、鋼種による音速の違いや超音波のビーム幅を考慮すれば、入射角θiは約5°〜7°が好適である。
本発明の超音波検査では、図1で示すような、内周面に入射させた超音波が同じ内周面の異なる箇所から出てくる透過超音波を評価する片面斜角透過法を採用しているので、受信探触子1Bは、送信探触子1Aの傾き(入射角θi)と同じ傾き(受信角θr)で向き合うように配置するのが基本である。しかしながら、その傾きを調整するキャリブレーション作業で、最大振幅が得られる配置(姿勢)を採用してもよい。
超音波探傷の場合、適切な超音波周波数の選択が重要であるが、これは検査対象管の材質及び肉厚に依存する。本発明では、材質が鋼で肉厚が5mm〜7mmの場合、実験上かつ計算上から、送信探触子1A及び受信探触子1Bの定格周波数(中心周波数)が400kHz〜700kHzの範囲内が好適であることが判明している。また、同様に、実験上かつ計算上から、送信探触子1Aとして、検査対象管の管壁を伝播する横波の波長が検査対象管肉厚(mm)の0.5倍〜1.5倍となる定格周波数を有する探触子を選択することが適切であることも判明している。
図1でも示されているが、送信探触子1Aと受信探触子1Bとの間には、板状の音波遮蔽体28が配置されている。これは、送信探触子1Aから空間伝播によって直接受信探触子Bとに入る超音波や管壁内周面で表面反射して受信探触子Bとに入る超音波を遮断する。移動しながらの連続検査などでは、管名周面と音波遮蔽体28の先端との接触により、引っ掛かりや管の内周面の状態変動による透過超音波のぶれを避けるため、管の内周面との間に数ミリ程度の隙間が設定されている。
次に、図面を用いて、本発明による管検査装置の具体的な実施形態の1つである管内走行超音波検査装置を説明する。この管内走行超音波検査装置は、管内を自走しながら、図1で説明された超音波の空間伝播を用いて、片面斜角透過法で管壁の検査を行う。図2は、管内走行超音波検査装置の管内走行アッセンブリの斜視図である。この管内走行アッセンブリは、管内を自走する走行台車ユニット6と超音波検査ユニット1とから構成される。走行台車ユニット6は、先頭を走行する前側走行台車6Aと後尾を走行する後側走行台車6Bとからなり、互いにロッド状の連結部材72によって連結されている。超音波検査ユニット1は、前側走行台車6Aと後側走行台車6Bとの間に中間部で連結部材72に支持されている。前側走行台車6Aと後側走行台車6Bとは、台車本体7から放射状に延びたアームユニット8の先端設けられた駆動車輪5が管の内周面を転動することで管内を走行する。直線走行時には、台車本体7と、この台車本体7と連結している連結部材72とは、ほぼ管軸中心に位置することになる。超音波検査ユニット1は、ここでは図示されていない、外部の検査評価装置とケーブル等でデータ伝送可能に接続されている。
この管内走行超音波検査装置では、送信探触子1Aと受信探触子1Bとを用いた片面斜角透過法(斜角タンデム透過法とも呼ばれる)で管壁の減肉状態を管内走行しながら検査するため、超音波検査ユニット1は、図2、図3、図4に示すように、管軸芯に対して対向配置される2組の送信探触子1Aと受信探触子1Bとを支持するために、管軸芯から管径方向両側に二股状に延びたアームベース20として構成されている基台2を備えている。アームベース20は、連結部材72に固定されているベースブラケット23と、このベースブラケット23から管径方向両側に直線状に延びる第1アーム部21及び第2アーム部22とからなる。さらに、第1アーム部21及び第2アーム部22の両端部には、スライド機構24によって管径方向に変位可能に可動台30が取り付けられている。
図3と図4から理解できるように、スライド機構24は、第1アーム部21及び第2アーム部22の下面に設けられたレール241と、可動台30の上面に設けられた摺動体242と含み、摺動体242がレール241に係合して摺動することで可動台30は管径方向に移動する。さらに、可動台30の管径方向の両側面に接当するようにスプリングプランジャ243が第1アーム部21及び第2アーム部22に設けられている。つまり、可動台30は、摺動方向の両側に配置されたスプリングプランジャ243によって押し引き付勢されているので、可動台30に管径方向の力(変位)が加わった際にスプリングプランジャ243のストローク範囲で、可動台30はベースブラケット23に対して変位可能である。なお、両スプリングプランジャ243の付勢力の関係は、常時、可動台30が管の内周面に向かうように、設定されている。また、スプリングプランジャ243は螺合調整によって管径方向の位置が設定されるように取り付けられているので、スプリングプランジャ243は所定の調整範囲内において任意の位置に設定される。
さらに、この可動台30は、ケース体31と旋回体32とから構成されている。スライド機構24の摺動体242はケース体31の上面に固定されており、この上面に対して垂直に延びている旋回軸P1周りに旋回体32が旋回する。旋回体32の先端側(管の内周面を向いた側)には、案内部4と送信探触子保持部(探触子保持部の一例)11または受信探触子保持部12が設けられている。送信探触子保持部11は、第1アーム部21に支持されている旋回体32に設けられ、受信探触子保持部12は第2アーム部22に支持されている旋回体32に設けられている。片面斜角透過法で用いられる1組の送信探触子1Aと送信探触子保持部11は、管の内周面に対して正確に斜め姿勢をとる必要がある。このため、旋回体32には、旋回軸P1の径方向に突き出した突起33が形成されており、ケース体31には、この突起33を接当して旋回体32を旋回させる調整ねじ34が突起33の両側に設けられている。この調整ねじ34による旋回体32の微旋回で、送信探触子1A及び受信探触子1Bが管の内周面に対する所望の傾斜角度に設定される。
案内部4は、この実施形態では、回転ボール41を管の内周面に向かって露出させるように保持しているボール保持体42として形成されている。このボール保持体42はアームベース20に取り付けられた可動台30に支持固定されているので、中心軸P0に対して対称配置された回転ボール41が管の内周面に接触することによってアームベース20は、管の内周面に対して突っ張り状態を保持する。より詳しくは、ベースブラケット23は、一方では第1アーム部21からケース体31と旋回体32とボール保持体42とを介して回転ボール41によって管の内周面に対して突っ張り支持され、他方では第1アーム部21からケース体31と旋回体32とボール保持体42とを介して回転ボール41によって管の内周面に対して突っ張り支持される。これにより、ベースブラケット23は管軸方向で前と後とで突っ張り支持されることになり、結果的に超音波検査ユニット1の走行安定性が確保される。
片面斜角透過法として一対の使用される送信探触子1Aと受信探触子1Bとは、超音波を空間伝播させるので、送信探触子1Aから出た超音波が空間伝播だけで直接受信探触子1Bに入る可能性がある。これを避けるために、第1アーム部21と第2アーム部22との間、及び送信探触子1Aと受信探触子1Bとの間を通って管の内周面の手前まで達する薄板状の音波遮蔽体28がベースブラケット23に取り付けられている。
図2及び、図5、図6、図7に示されているように、前側走行台車6Aと後側走行台車6Bとは、実質的に同じ構造であるので、以下、走行台車ユニット6として共通的に説明する。走行方向に延びた台車本体7と、この台車本体7に走行方向に間隔をあけて配置された前側アームユニット8Aと後側アームユニット8Bを備えている。前側アームユニット8Aと後側アームユニット8Bとは実質的には同じように構成されているので、特別に区別する必要がない場合には、単にアームユニット8と称する。アームユニット8は、走行すべき配管の周方向において120°間隔で分布するように台車本体7に配置された3つのアームモジュール80を備えている。アームモジュール80は、走行台車ユニット6の中心軸P0の方向である走行方向(配管の管軸方向)に対する横断方向(配管の断面方向である管径方向)に延びた揺動軸心Pa周りで揺動変位するように、取り付けられている(図6参照)。
アームモジュール80の先端部には、走行すべき管の内周面の段差より大きな半径を有する球状駆動車輪5が取り付けられている。駆動車輪5の駆動構造は、後で詳しく説明する。アームモジュール80が揺動することにより、球状駆動車輪5は配管の内周面に対して遠近変位する。3つのアームモジュール80の揺動変位が一致するように、ギヤ式の揺動同期機構9が備えられている。この揺動同期機構9は、アームモジュール80の揺動変位と相互連動して回転するベベルギヤ90を相互にかみ合わせることで3つのアームモジュール80の揺動変位を同期させている。
前側アームユニット8Aのアームモジュール80と後側アームユニット8Bのアームモジュール80とを相互連動させるために付勢手段として、前側アームユニット8Aのアームモジュール80と後側アームユニット8Bのアームモジュール80とを接続するコイルばね91が備えられている。このコイルばね91が、前側アームユニット8Aのアームモジュール80に取り付けられた球状駆動車輪5と後側アームユニット8Bのアームモジュール80に取り付けられた球状駆動車輪5とが配管の内周面に近づくように互いのアームモジュール80を近接させる。これにより、球状駆動車輪5は配管の内周面に接当し、その駆動回転により走行台車ユニット6が管内走行する。
走行台車ユニット6の台車本体7の中核部材である基台70は、長方形の板材からなる、断面三角形上の中空体である。図6から理解できるように、基台70の放射状に延びた板状のアームブラケット710を挟むように、左側と右側のハーフモジュール80aを背中合わせで連結することで、アームモジュール80が作り出されている。その際、3つのアームモジュール80の対応するベベルギヤ90が互いにかみ合うことになる。これにより、前側アームユニット8Aのアームモジュール80同士、及び後側アームユニット8Bのアームモジュール80同士は確実に連動して、揺動する。
アームモジュール80の取付座84に固定される球状駆動車輪5は、図7で示されているように、車輪本体50と駆動ユニット56とからなる。図7の上側には、組み付けられた状態の球状駆動車輪5が示されており、図7の下側には、車輪本体50と駆動ユニット56とが分解された状態の球状駆動車輪5が示されている。車輪本体50は、中空状の左半球状車輪51と中空状の右半球状車輪52とに分割されている。左半球状車輪51と右半球状車輪52の中心部には、それぞれの車軸54aと54bを固定するボスが形成されている。左半球状車輪51と右半球状車輪52の周縁領域には、配管の内周面との間の摩擦を高めるラバーリング53が外嵌している。左半球状車輪51と右半球状車輪52とによって境界づけられる空間内に車輪本体50を駆動する駆動ユニット56が収納される。図7から明らかなように、ラバーリング53の外径は、左半球状車輪51及び右半球状車輪52の外径より大きい。このように構成することで曲面走行に良好に対応できる。
駆動ユニット56は、共通のユニットケース55に取り付けられた第1駆動部56aと第2駆動部56bとを備えている。第1駆動部56aと第2駆動部56bは、それぞれモータとギヤ式の減速機構58とを有し、第1駆動部56aは左半球状車輪51の車軸54aを駆動し、第2駆動部56bは右半球状車輪52の車軸54bを駆動する。ユニットケース55は、それぞれの車軸54aと54bを介して左半球状車輪51と右半球状車輪52とを支持している。ユニットケース55は、対応するアームモジュール80の取付座84に着脱可能に装着される。その際、球状駆動車輪5、つまりラバーリング53を含む左半球状車輪51と右半球状車輪52の半径は、管の内周面の段差を乗り越えるために、管の内周面の段差の高さより大きくする必要があるので、走行すべき配管によって、特にその段差に応じて選択される。
〔実験結果〕
上述した構成からなる超音波検査ユニット1を走行台車ユニット6ではなく、定置型の移動機構を用いて管内に挿入して得られた実験結果を示すCスキャン画像が図8に示されている。この実験結果は、肉厚が5.8mm、内径(外径)が204.7(216.3)mmの鋼管に設けられた、深さ肉厚の30%、50%、70%、100%(貫通孔)である4つの10mm径の孔、及び深さ肉厚の30%、50%、70%、100%(貫通孔)である4つの5mm径の孔を人工欠陥として行われたものである。このことから、かなり局所的な減肉部の検出が本発明による、空間伝播超音波を用いた管検査装置によって可能であることが理解できる。
上述した構成からなる超音波検査ユニット1を走行台車ユニット6ではなく、定置型の移動機構を用いて管内に挿入して得られた実験結果を示すCスキャン画像が図8に示されている。この実験結果は、肉厚が5.8mm、内径(外径)が204.7(216.3)mmの鋼管に設けられた、深さ肉厚の30%、50%、70%、100%(貫通孔)である4つの10mm径の孔、及び深さ肉厚の30%、50%、70%、100%(貫通孔)である4つの5mm径の孔を人工欠陥として行われたものである。このことから、かなり局所的な減肉部の検出が本発明による、空間伝播超音波を用いた管検査装置によって可能であることが理解できる。
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、1つの超音波検査ユニット1に、送信探触子1Aと受信探触子1Bと音波遮蔽体28とからなる検査ヘッドを2組、管壁周方向に180°ピッチで配置されていたが、3組の検査ヘッドを管壁周方向に120°ピッチで配置してもよい。また、それ4組以上の検査ヘッドを配置してもよいし、必ずしも等ピッチで配置しなくてもよい。
(2)上述した実施形態では、2つの走行台車ユニット6の間に1台の超音波検査ユニット1が連結されていたが、複数の超音波検査ユニット1が連結されてもよし、走行台車ユニット6が1台であってもよい。
(3)また、走行台車ユニット6においても、上述した実施形態では、前側アームユニット8Aと後側アームユニット8Bのそれぞれに、120°間隔で3つのアームモジュール80が配置されていたが、2つのアームモジュール80または4つ以上のアームモジュール80の配置を採用してもよい。
(4)上述した実施形態では、本発明による管検査装置は、管内を自走する管内走行超音波検査装置として構成されていたが、自走ではなく、チェーンやケーブルによって牽引されるような構成を採用してもよい。また人間が入れるような大径の管の場合、手押し式の装置として構成することも可能である。
(1)上述した実施形態では、1つの超音波検査ユニット1に、送信探触子1Aと受信探触子1Bと音波遮蔽体28とからなる検査ヘッドを2組、管壁周方向に180°ピッチで配置されていたが、3組の検査ヘッドを管壁周方向に120°ピッチで配置してもよい。また、それ4組以上の検査ヘッドを配置してもよいし、必ずしも等ピッチで配置しなくてもよい。
(2)上述した実施形態では、2つの走行台車ユニット6の間に1台の超音波検査ユニット1が連結されていたが、複数の超音波検査ユニット1が連結されてもよし、走行台車ユニット6が1台であってもよい。
(3)また、走行台車ユニット6においても、上述した実施形態では、前側アームユニット8Aと後側アームユニット8Bのそれぞれに、120°間隔で3つのアームモジュール80が配置されていたが、2つのアームモジュール80または4つ以上のアームモジュール80の配置を採用してもよい。
(4)上述した実施形態では、本発明による管検査装置は、管内を自走する管内走行超音波検査装置として構成されていたが、自走ではなく、チェーンやケーブルによって牽引されるような構成を採用してもよい。また人間が入れるような大径の管の場合、手押し式の装置として構成することも可能である。
本発明は、空間伝播する超音波を用いた片面斜角透過法によって管壁を検査する超音波検査装置に適用される。
1 :超音波検査ユニット
1A :送信探触子
1B :受信探触子
10 :台車本体
11 :送信探触子保持部(探触子保持部)
12 :受信探触子保持部(探触子保持部)
2 :基台
24 :スライド機構
243 :プランジャバネ
244 :バネストッパ
28 :音波遮蔽体
30 :可動台(基台)
4 :案内部
6 :走行台車ユニット
100 :評価部
101 :信号処理部
U :超音波制御ユニット
1A :送信探触子
1B :受信探触子
10 :台車本体
11 :送信探触子保持部(探触子保持部)
12 :受信探触子保持部(探触子保持部)
2 :基台
24 :スライド機構
243 :プランジャバネ
244 :バネストッパ
28 :音波遮蔽体
30 :可動台(基台)
4 :案内部
6 :走行台車ユニット
100 :評価部
101 :信号処理部
U :超音波制御ユニット
Claims (5)
- 検査対象管の管壁の内周面に空間伝播を通じて超音波を斜角入射させる送信探触子と、
管壁を伝播して前記内周面から出てきた超音波を、空間伝播を通じて受信する受信探触子と、
前記送信探触子から出て空間伝播で前記受信探触子に向かう超音波を遮断するために前記送信探触子と受信探触子との間に配置された音波遮蔽体と、
前記管壁に入射された超音波の横波屈折角が90度以下で60度以上となるように前記送信探触子の姿勢を保持する探触子保持部と、
前記受信探触子からの受信信号を評価して前記管壁における欠陥を判定する評価部と、
を備えた空間伝播超音波を用いた管検査装置。 - 前記評価部が、前記管壁を伝播して前記受信探触子に入る超音波の減衰に基づいて前記管壁における減肉部を判定する請求項1に記載の空間伝播超音波を用いた管検査装置。
- 前記音波遮蔽体の先端が前記内周面から隙間を形成するように、前記音波遮蔽体が配置されている請求項1または2に記載の空間伝播超音波を用いた管検査装置。
- 前記検査対象管が5mm〜7mmの肉厚を有する金属管であり、前記送信探触子から送信される超音波の定格周波数が400kHzから700kHzの範囲内に選択してある請求項1から3のいずれか一項に記載の空間伝播超音波を用いた管検査装置。
- 前記送信探触子は、前記管壁における横波波長が前記管壁の肉厚の0.5倍から1.5倍となる定格周波数を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の空間伝播超音波を用いた管検査装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014047836A JP2015172495A (ja) | 2014-03-11 | 2014-03-11 | 空間伝播超音波を用いた管検査装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014047836A JP2015172495A (ja) | 2014-03-11 | 2014-03-11 | 空間伝播超音波を用いた管検査装置 |
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JP2014047836A Pending JP2015172495A (ja) | 2014-03-11 | 2014-03-11 | 空間伝播超音波を用いた管検査装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2015172495A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018091548A1 (de) * | 2016-11-18 | 2018-05-24 | NDT Global Corporate Ltd. Ireland | Verfahren und vorrichtung zur prüfung eines objekts auf fehlstellen |
-
2014
- 2014-03-11 JP JP2014047836A patent/JP2015172495A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018091548A1 (de) * | 2016-11-18 | 2018-05-24 | NDT Global Corporate Ltd. Ireland | Verfahren und vorrichtung zur prüfung eines objekts auf fehlstellen |
US11067540B2 (en) | 2016-11-18 | 2021-07-20 | NDT Global Corporate Ltd. Ireland | Method and device for checking an object for flaws |
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