JP2015172103A - 導電性インキ組成物、導電性パターンの製造方法及び導電性回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】低粘度で印刷適性に優れ、高温高湿の履歴の前後において、高い導電性が変化しない配線パターンを得ることができる導電性インキ組成物を提供することにある。
【解決手段】導電性フィラー、熱硬化性樹脂組成物、有機溶剤を必須成分として含有する導電性インキ組成物において、更に、数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上の(メタ)アクリル系樹脂を含有することを特徴とする配線用導電性インキ組成物及び当該配線用導電性インキ組成物を、非耐熱性基材上に塗布し加熱する配線用導電性パターンの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】導電性フィラー、熱硬化性樹脂組成物、有機溶剤を必須成分として含有する導電性インキ組成物において、更に、数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上の(メタ)アクリル系樹脂を含有することを特徴とする配線用導電性インキ組成物及び当該配線用導電性インキ組成物を、非耐熱性基材上に塗布し加熱する配線用導電性パターンの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、導電性皮膜を形成するための導電性インキ組成物、導電性パターンの製造方法及び導電性回路に関する。
タッチパネル、電子ペーパー、及び各種電子部品に用いられる導電回路、電極等の導電パターン形成方法としては、印刷法またはエッチング法が知られている。
エッチング法により導電パターンを形成する場合、各種金属膜を蒸着した基板上にフォトリソグラフィーによってパターン化されたレジスト膜を形成した後に、不要な蒸着金属膜を化学的あるいは電気化学的に溶解除去し、最後にレジスト膜を除去する必要がありその工程は非常に煩雑で量産性に乏しい。
一方で印刷法では所望のパターンを低コストで大量生産を行うことが可能であり、さらに印刷塗膜を乾燥又は硬化させることによって容易に導電性を付与できる。
これら印刷方式としては形成したいパターンの線幅、厚さ、生産速度に合わせてフレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット等が提案されている。
印刷パターンとしては電子デバイスの小型化、意匠性向上等の観点から線幅50μm以下の高精細な導電パターンの形成が求められている。
また電子デバイスの薄型化、軽量化、フレキシブル化への要求の高まりや、生産性の高いロール・ツー・ロール印刷に対応するために、プラスチックフィルム上に印刷して低温短時間の焼成で高い導電性、基材密着性、膜硬度などが得られる導電性インキが求められている。さらにプラスチックフィルムの中でも、安価で透明性の高いPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムや、PETフィルムの上にITO膜が形成された透明導電フィルムの様な非耐熱性基材上に印刷した際に、前記した物性が得られる導電性インキが求められている。
このような状況の中、銀粉末と、加熱硬化性(熱硬化性樹脂組成物)成分と、溶剤とを含有する加熱硬化型導電性ペースト組成物であって、前記加熱硬化性(熱硬化性樹脂組成物)成分が、ブロック化ポリイソシアネート化合物と熱可塑性樹脂とからなり、この熱可塑性樹脂が、エポキシ樹脂、リニアー状ポリエステル樹脂及び塩化ビニル酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の熱可塑性樹脂である各種導電性インキ組成物が知られている(特許文献1〜6)。
しかしながら、これら導電性インキ組成物は、いずれも粘度が比較的高く、印刷適性に優れるものではなかった。また印刷適性だけを改良するために、導電性インキ組成物に界面活性剤等を添加することは可能ではあるが、印刷適性は改良できても逆に導電性が損なわれる場合が多い。
しかしながら、これら導電性インキ組成物は、いずれも粘度が比較的高く、印刷適性に優れるものではなかった。また印刷適性だけを改良するために、導電性インキ組成物に界面活性剤等を添加することは可能ではあるが、印刷適性は改良できても逆に導電性が損なわれる場合が多い。
本発明が解決しようとする課題は、低粘度で印刷適性に優れ、高温高湿の履歴の前後において、高い導電性が変化しない配線パターンを得ることができる導電性インキ組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意研究の結果、既存の導電性インキ組成物に、数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上の(メタ)アクリル系樹脂を含有させることで、熱硬化後に得られる配線用導電性パターンの高い導電性が高温高湿の履歴の前後においても変化しない、低粘度で印刷適性に優れた導電性パターンを形成できる導電性インキ組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、導電性フィラー、熱硬化性樹脂組成物、有機溶剤を必須成分として含有する導電性インキ組成物において、更に数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上の(メタ)アクリル系樹脂を含有することを特徴とする導電性インキ組成物を提供する。
また、本発明は、上記の導電性インキ組成物を、非耐熱性基材上に塗布し加熱する導電性パターンの製造方法を提供する。
更に、本発明は、上記の導電性インキ組成物の硬化皮膜が非耐熱性基材上に形成された導電性パターンを含む導電性回路を提供する。
本発明の導電性インキ組成物は、数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上の(メタ)アクリル系樹脂を含有することから、高温高湿の履歴の前後においても変化しない、高い導電性を有するという格別顕著な効果を奏する。これにより支持体としてPETフィルム等の非耐熱性基材を用いた場合であっても、信頼性の高い、高導電性の配線用導電性パターンを製造することが可能となった。
(導電性フィラー)
本発明で使用する導電性フィラー(A)としては、公知の物が使用できる。例えば、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、クロム、プラチナ、パラジウム、タングステン、モリブデン等、およびこれら2種以上の合金、混合体、あるいはこれら金属の化合物で良好な導電性を有するもの等が挙げられる。特に、銀粉は、安定した導電性を実現し易く、また熱伝導特性も良好なため好ましい。
本発明で使用する導電性フィラー(A)としては、公知の物が使用できる。例えば、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、クロム、プラチナ、パラジウム、タングステン、モリブデン等、およびこれら2種以上の合金、混合体、あるいはこれら金属の化合物で良好な導電性を有するもの等が挙げられる。特に、銀粉は、安定した導電性を実現し易く、また熱伝導特性も良好なため好ましい。
導電性フィラーとしては、脂肪酸の含有量が少ない、具体的には、遊離の脂肪酸含有量が、100ppm以下である、脂肪酸と金属とが結合した部位を有する金属粒子からなる導電性金属粒子を用いることが、更に導電性に優れた微細配線パターンを形成する上では好ましい。
この際の、炭素原子数6〜24の脂肪酸としては、不飽和(分子内二重結合を含有する)又は飽和の脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、リシノール酸、ステアリン酸、パルシチン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、オクタン酸、ナフテン酸、トール酸、ミリスチン酸、パルチミチン酸等が挙げられる。以下、炭素原子数6〜24の脂肪酸を単に脂肪酸と略記する。
なお、上記導電性金属粒子に含有される遊離脂肪酸量は、以下のように算出できる。
まず、ガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)測定で、予めラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等の各脂肪酸に関し、所定濃度の標準試料液を調製し検量線を作成しておく。次いで、導電性フィラーをテトラヒドロフラン(THF)と混合し、撹拌しながら超音波照射した後、遠心分離して上澄み液を試料とする。この試料を上記と同様にGC−MS測定し、この試料での測定で検出された数値から、THFと混合前の導電性フィラーに含まれている遊離脂肪酸の絶対質量を算出し、その絶対質量をTHFと混合前の導電性フィラーの質量で除する。
まず、ガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)測定で、予めラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等の各脂肪酸に関し、所定濃度の標準試料液を調製し検量線を作成しておく。次いで、導電性フィラーをテトラヒドロフラン(THF)と混合し、撹拌しながら超音波照射した後、遠心分離して上澄み液を試料とする。この試料を上記と同様にGC−MS測定し、この試料での測定で検出された数値から、THFと混合前の導電性フィラーに含まれている遊離脂肪酸の絶対質量を算出し、その絶対質量をTHFと混合前の導電性フィラーの質量で除する。
市販の導電性フィラーが、上記した様な導電性フィラーでない場合には、金属表面にランダムに存在する遊離脂肪酸を低減してから用いる様にする必要がある。このための手段としては、公知慣用の手段を採用し得るが、脂肪酸を溶解する様な有機溶剤で、遊離の脂肪酸と、当該脂肪酸と金属とが結合した部位を有する導電性フィラーとを含有する金属粒子混合物を洗浄する方法に比べて、廃溶剤処理が不要であり簡便である点で、例えば、遊離の脂肪酸と、当該脂肪酸と金属とが結合した部位を有する導電性フィラーとを含有する金属粒子混合物を、加熱して、遊離の脂肪酸を除去する方法を採用することが好ましい。
上記した遊離の脂肪酸を除去する方法としては、脂肪酸処理された導電性フィラーを、当該金属粒子の融点未満、かつ脂肪酸の揮発開始温度以上となる様に加熱すれば良い。尚、発火の危険性を低減するためには、この加熱は引火点未満で行うことが好ましい。
(銀粉)
本発明の導電性フィラーとして銀粉を用いる場合、平均粒子径としてメジアン粒径(D50)が0.1〜10μmである球状銀粉を用いることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましい。この範囲は、後記する数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上の(メタ)アクリル系樹脂との併用において、導電性インキ組成物の流動性の改善効果がより大きく、流動性をより良好とすることができ、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、又はグラビアオフセット印刷といった特定印刷方法において、これら印刷機上での連続的に印刷した場合においても、トラブルが起こり難く安定的に良好な導電性パターンを得やすくなる。
本発明の導電性フィラーとして銀粉を用いる場合、平均粒子径としてメジアン粒径(D50)が0.1〜10μmである球状銀粉を用いることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましい。この範囲は、後記する数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上の(メタ)アクリル系樹脂との併用において、導電性インキ組成物の流動性の改善効果がより大きく、流動性をより良好とすることができ、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、又はグラビアオフセット印刷といった特定印刷方法において、これら印刷機上での連続的に印刷した場合においても、トラブルが起こり難く安定的に良好な導電性パターンを得やすくなる。
このような銀粉としては、例えば、AG2−1C(DOWAエレクトロニクス(株)製、平均粒径D50:0.8μm)、SPQ03S(三井金属鉱山(株)製、平均粒径D50:0.5μm)、EHD(三井金属鉱山(株)製、平均粒径D50:0.5μm)、シルベストC−34((株)徳力化学研究所製、平均粒径D50:0.35μm)、AG2−1(DOWAエレクトロニクス(株)製、平均粒径D50:1.3μm)、シルベストAgS−050((株)徳力化学研究所製、平均粒径D50:1.4μm)などが挙げられる。
上記した様な銀粉を導電性フィラーとして用いる場合には、上記した方法により遊離脂肪酸量を求め、上記遊離脂肪酸を含有している場合には、例えば、110〜150℃にて5〜1時間加熱して、金属粒子に含まれている遊離脂肪酸を低減してから用いることが、より優れた導電性パターンが得られる点で好ましい。
本発明の導電性インキ組成物において、導電性フィラーと後記する熱硬化性樹脂組成物との割合は特に制限されるものではないが、質量換算で導電性フィラー100部当たり熱硬化性樹脂組成物3〜15部となる様に調製することが、得られる導電性パターンの導電性の観点から好ましい。
(熱硬化性樹脂組成物)
また本発明の導電性インキ組成物は、熱硬化性樹脂組成物(B)を含有する。熱硬化性樹脂組成物(B)は、印刷後は、硬化樹脂皮膜を形成し、後記する被印刷物上に、導電性フィラー(A)を固着する。
また本発明の導電性インキ組成物は、熱硬化性樹脂組成物(B)を含有する。熱硬化性樹脂組成物(B)は、印刷後は、硬化樹脂皮膜を形成し、後記する被印刷物上に、導電性フィラー(A)を固着する。
本発明の導電性インキ組成物に用いる熱硬化性樹脂組成物(B)は、主剤と硬化剤(または硬化触媒)とから構成される。主剤としては、それ単独で良好な皮膜を形成でき、後記する様なブランケット上で良好な皮膜を形成すること、および当該インキ組成物の皮膜がブランケットから被印刷物への完全転写することを可能にするものが好ましい。それ自体が50℃において固体であると共に、常圧における沸点が300℃を超え、後記する有機溶剤に可溶で、焼成温度以下で溶融し流動しやすいものが好ましい。
(主剤)
この様な主剤としては、各種の合成樹脂があり、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニルや塩化ビニルと他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体や(メタ)アクリル酸エステルとその他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ポリスチレンやスチレンモノマーとその他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ケトン−ホルムアルデヒド縮合体やその水素添加物、多官能エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリウレタンなどが挙げられる、これらは、単独又はこれらから選ばれる1種以上を併用することが出来る。
この様な主剤としては、各種の合成樹脂があり、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニルや塩化ビニルと他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体や(メタ)アクリル酸エステルとその他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ポリスチレンやスチレンモノマーとその他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ケトン−ホルムアルデヒド縮合体やその水素添加物、多官能エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリウレタンなどが挙げられる、これらは、単独又はこれらから選ばれる1種以上を併用することが出来る。
被印刷物が、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)である場合、この主剤としては、それ自体のPETへの密着性が良好である、ケトン−ホルムアルデヒド縮合体やその水素添加物、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタールからなる群から選ばれる少なくとも一種の50℃において固体である熱可塑性樹脂が好適に使用される。この様なケトン−ホルムアルデヒド縮合体やその水素添加物としては、エボニックデグサジャパン(株)TEGO(登録商標)VariPlusシリーズ(SK,APなど)、ポリエステルとしては、東洋紡株式会社製のバイロン(登録商標)シリーズ(バイロン200など)が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、日信化学工御油株式会社製のソルバイン(登録商標)シリーズ(ソルバインALなど)が、ポリビニルアセタールとしては、積水化学工業株式会社製のエスレック(登録商標)シリーズ(エスレックKS−10など)が挙げられる。
主剤は、後記する硬化剤(または硬化触媒)と反応させ共有結合させることを目的に、硬化剤(または硬化触媒)と反応しうる官能基を含有するものであることが、被印刷物への導電性パターンの固着性や耐熱性の観点から不可欠である。
中でも、主剤としては、水酸基を含有する熱可塑性樹脂、中でも、ケトン−ホルムアルデヒド縮合体の水素添加物、水酸基含有ポリエステル、水酸基含有塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、水酸基含有スチレン系樹脂、水酸基含有アクリル系樹脂、水酸基含有ポリビニルアセタールからなる群から選ばれる少なくとも一種の水酸基を含有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
主剤の不揮発分は、前記導電性フィラー(A)、熱硬化性樹脂組成物(B)及び後記有機溶剤(C)の各成分合計に対し、質量換算で1.0〜3.0%とすることが、後記する好適なグラビアオフセット印刷法によりベゼルパターンの印刷する際には好ましい。直線からなる凹部のみが設けられたグラビア版を用いて印刷する場合に比べ、略L字状や略逆L字状の様な二つの直線が交わった形状や、それらが一対に組み合わさった形状に代表されるベゼルパターンの印刷では、従来適用されている範囲より狭い不揮発分含有率で、初めて優れた印刷適性を得ることが可能となる。上記範囲内であると、ブランケット上で良好なベゼルパターンの導電性ペースト膜を形成することが容易になり、導電性インキ組成物の皮膜がブランケットから被印刷物への完全転写することが容易になるし、導電性インキ組成物の粘度がより適正になり、ベゼル形状の導電性パターンを有するグラビア版に導電性インキ組成物を供給する工程が容易になる。
(硬化剤または硬化触媒)
本発明の導電性インキ組成物に用いる硬化剤(または硬化触媒)は、なかでも、それ自体が50℃において液体であること、常圧における沸点が300℃を超えると共に、後記する有機溶剤(C)に可溶で、流動しやすいものが好ましい。
本発明の導電性インキ組成物に用いる硬化剤(または硬化触媒)は、なかでも、それ自体が50℃において液体であること、常圧における沸点が300℃を超えると共に、後記する有機溶剤(C)に可溶で、流動しやすいものが好ましい。
この様な硬化剤(または硬化触媒)としては、例えば、多官能エポキシ化合物、多官能アルコール、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物などが挙げられる、これらは、単独又はこれらから選ばれる1種以上を併用することが出来る。
この様な多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物の硬化剤(または硬化触媒)としては、必要に応じて、カチオン重合の硬化剤(硬化触媒)に該当しない、公知慣用の硬化剤(硬化触媒)、具体的には、酸無水物、アミン類、イミダゾール類、フェノール樹脂等を用いることが出来る。ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、フェロセン類の様なカチオン重合を生起させる硬化触媒は、酸成分の発生により、導電性フィラー(A)や被印刷物を腐食し、微細配線における優れた導電性の信頼性が低下し得る可能性があるため、好ましくない。
多官能アルコールとしては、低分子ポリオール化合物が挙げられ、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオールの様な2官能アルコールや、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3官能以上のアルコールを挙げることが出来る。一方、高分子ポリオール化合物としては、例えば、分子量800以上の公知慣用のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が、オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
水酸基を含有する熱可塑性樹脂とブロックポリイソシアネート化合物に組み合わせる、多官能エポキシ化合物及び/又は多官能アルコールは、それぞれ単独で用いても両者を併用しても良いが、水酸基を含有する熱可塑性樹脂とブロックポリイソシアネート化合物と多官能エポキシ化合物とを含有する導電性インキ組成物の方が、水酸基を含有する熱可塑性樹脂とブロックポリイソシアネート化合物と多官能アルコール戸を含有する導電性インキ組成物よりは、初期における導電性に優れる(体積抵抗率がより低くなる)傾向にある。中でも、常温において液状の多官能エポキシ化合物及び/又は多官能アルコールは、熱硬化性樹脂組成物の硬化反応前は、有機溶媒として機能し乾燥により除去することも出来るし、一方、硬化後は皮膜に取り込まれたり、反応性希釈剤ともなることから好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環族ジイソシアネート、ジイソシアネートの変性による2または3量体、末端イソシアネート基含有化合物などがある。これらは単独で使用しても併用しても良い。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられ、さらにこれらジイソシアネートの変性による2または3量体が挙げられる。変性の方法としてはビウレット化、イソシアヌレート化等が挙げられる。あるいは前述のジまたはポリイソシアネート化合物と例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアミド等の活性水素化合物を反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物などが挙げられる。
硬化剤(または硬化触媒)は、印刷後の焼成工程における共有結合生成による熱硬化を目的とした、前記主剤と反応しうる官能基を含有するものであることが、被印刷物への導電性パターンの固着性や耐熱性の観点から好ましい。硬化剤(または硬化触媒)は、上記した反応での一体化により、50℃において固体となり、導電性パターンの固着性(接着性、密着性という場合もある)や耐熱性を発現する。
ポリイソシアネート化合物は、イソシアナト基が露出した状態(遊離イソシアナト基のまま)であると吸湿したり、水酸基を含有する有機化合物と共存させるとウレタン化反応が経時的に進行するため、導電性インキ組成物を調製したら直ちに使用する必要がある。
そこで、必要な時期に反応を行うに当たっては、ブロック剤において、その遊離イソシアナト基を封止した、いわゆるブロックポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。後記する通り、主剤と硬化剤(または硬化触媒)との組み合わせで、熱硬化系を選択する場合には、例えば、ブロックポリイソシアネート化合物と、遊離イソシアナト基と反応しうる官能基を含有する有機化合物を用いることで、導電性インキ組成物の保存安定性を向上させることが出来、調製後の必要な時期に加熱により、そのブロック剤を解離させ、両者の間で反応をさせることが可能となる。
ブロック化ポリイソシアネート化合物は、50℃において液体であり、300℃以下での加熱によりブロック剤が解離した後に生成するポリイソシアネート化合物も、常圧における沸点が300℃を超えるので、本発明においては硬化剤(または硬化触媒)に分類する。
ブロック剤としては、例えば、フェノール、メチルエチルケトオキシム、重亜硫酸ソーダ等の公知慣用のブロック剤が挙げられる。本発明の導電性インキ組成物からの導電性パターンを、支持体であるガラス、金属、シリカ或いはセラミックス等の耐熱性基材上に設ける場合には、これらブロック剤としては如何なるものも使用することが出来るが、それを支持体であるPETフィルムや透明ITO電極フィルム等の非耐熱性基材上に設ける場合には、ブロック剤がより低温で解離してイソシアナト基が遊離するブロックポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。特に、プラスチックフィルムとして、PETフィルムを基材に用いる場合には、イソシアナト基が生成する際の温度が70〜125℃となる様なブロック剤を用いたブロックポリイソシアネート化合物を導電性インキ組成物に含有させるようにすれば、PETフィルムに反り等を発生させることなく、その上に導電性パターンを形成させることができる。
この様な、より低温で解離可能なブロック剤としては、活性メチレン化合物又はピラゾール化合物を挙げることが出来る。活性メチレン化合物としては、メルドラム酸、マロン酸ジアルキル、アセト酢酸アルキル、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセチルアセトン、シアノ酢酸エチル等が挙げられ、ピラゾール化合物としては、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−フェニルピラゾール等が挙げられる。中でもマロン酸ジエチル、3,5−ジメチルピラゾール等が好ましい。
ブロック剤が熱解離して遊離イソシアナト基を発生するブロックポリイソシアネート化合物は、遊離イソシアナト基を有するポリイソシアネート化合物に対して、赤外線吸収スペクトルを監視しながら、イソシアナト基に基づく固有吸収スペクトルが消失するまで、ブロック剤を反応させていくことで、容易に得ることができる。
好適なブロックポリイソシアネートの市販品としては、ブロック剤が活性メチレン化合物のものではデュラネート(登録商標)MF−K60B(旭化成ケミカルズ社製)、デスモジュール(登録商標)BL−3475(住化バイエルウレタン社製)が、一方、ブロック剤がピラゾール化合物であるものではTRIXENE BI−7982(バクセンデン社製)、活性メチレン化合物とピラゾール化合物の混合タイプではTRIXENE BI−7992(バクセンデン社製)が挙げられる。
上記した様な、反応による被印刷物上での状態変化及びそれに基づいて得られる皮膜からなる印刷パターンの被印刷物へのより優れた固着性を期待できる点で、具体的に硬化剤(または硬化触媒)としては、ブロックポリイソシアネート化合物と、多官能エポキシ化合物及び/又は多官能アルコールとを含む様にすることが好ましい。
焼成することで導電性を発現する本発明の導電性インキ組成物は、主剤と硬化剤(また硬化触媒)において、共有結合を生成させるための硬化系として、紫外線や電子線の様な活性エネルギー線硬化系よりも、熱硬化系を選択することが好ましい。導電性フィラー(A)自体は、活性エネルギー線に対する光透過性がほとんど無い。従って、導電性フィラー(A)と熱硬化性樹脂組成物(B)とを含有する導電性インキ組成物は、皮膜化しても、活性エネルギー線が膜厚方向の深部までは到達せず、表面を硬化させるにとどまり、皮膜深部まで充分に硬化を行うことが困難となる。一方、熱で硬化させる場合には、硬化に必要なエネルギーが膜厚方向の深部まで到達する。
熱硬化性の導電性インキ組成物は、上記した通り、それだけでは硬化しない主剤と、硬化剤(または硬化触媒)との組み合わせからなる。主剤と、硬化剤(または硬化触媒)とは、両方が混合されていても、常温では反応せずに、加熱することで初めて硬化する様に、上記した各成分がそれぞれ選択される。
この様な熱硬化性の導電性インキ組成物としては、例えば、主剤としての多官能エポキシ化合物と、上記した様な硬化剤(または硬化触媒)との組み合わせ、主剤としての、水酸基を含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、水酸基を含有するポリエステル樹脂、水酸基を含有するアクリル樹脂等の水酸基を含有する皮膜形成性の熱可塑性樹脂と、硬化剤(または硬化触媒)としてブロックポリイソシアネート化合物との組み合わせを挙げることが出来る。勿論、熱硬化性樹脂組成物(B)として、上記水酸基を含有する皮膜形成性の熱可塑性樹脂と、硬化剤(または硬化触媒)として多官能エポキシ化合物とブロックポリイソシアネート化合物とを組み合わせて、本発明の導電性インキ組成物を調製しても良い。
特に、ブロックポリイソシアネート化合物と、水酸基を含有する皮膜形成性の熱可塑性樹脂との組み合わせは、導電性フィラー(A)の分散性に優れより多くのそれをインキ中に含有させることが出来、その結果導電性をより高めることが可能であり、しかも硬化時における被印刷物への密着性に優れるので好ましい。この密着性は、導電性パターンを形成する対象である被印刷物が、フレキシブルな非耐熱性の素材である場合に、導電性回路が設けられた電気電子部品の屈曲性を高められる点、高集積化が可能な点で極めて有利である。
水酸基を含有する皮膜形成性の熱可塑性樹脂と、ブロックポリイソシアネート化合物の様なイソシアネート硬化剤との組み合わせを必須成分とする熱硬化性の導電性インキ組成物においては、質量換算で、ブロック剤を除いたポリイソシアネート化合物の不揮発分100部当たり、水酸基を含有する皮膜形成性の熱可塑性樹脂の不揮発分が5〜50部であることが、印刷適性に優れる点でより好ましい。
本発明で使用するブロックポリイソシアネート化合物には、必要なら硬化触媒を併用することが出来る。この硬化触媒としては、特に限定されるものではないが、有機アンモニウム塩又は有機アミジン塩であることが好ましい。具体的には、有機アンモニウム塩ではテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラアルキルアンモニウム有機酸塩等、有機アミジン塩では1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(以下DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(以下DBN)のフェノール塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩などを使用することができる。中でも、DBU−フェノール塩、DBU−オクチル酸塩、DBN−オクチル酸塩等を使用することが好ましい。市販品としては、有機アンモニウム塩ではTOYOCAT−TR20(東ソー社製)、有機アミジン塩ではU−CAT SA1、U−CAT SA102、U−CAT SA106、U−CAT SA506、U−CAT SA603、U−CAT SA1102(サンアプロ社製)が挙げられる。有機アンモニウム塩又は有機アミジン塩は、ブロックポリイソシアネート化合物のブロック剤解離触媒として作用するのみならず、上記した多官能エポキシ化合物のエポキシ基の開環触媒としても作用する。
ブロックポリイソシアネート化合物の反応触媒は、質量換算で、ブロックポリイソシアネート化合物100部当たり3〜30部であることが、最終的に得られる導電性、耐溶剤性などの導電性パターンの性能を高められる点から好ましい。
本発明の導電性インキ組成物において、導電性フィラー(A)と熱硬化性樹脂組成物(B)との割合は特に制限されるものではないが、不揮発分の質量換算で、前記熱硬化性樹脂組成物(B)の不揮発分使用量をR、前記導電性フィラー(A)の使用量をPとした際の両者の質量比R/Pを、0.07〜0.15となる様に調製することが、得られる導電性パターンの導電性の観点から好ましい。
本発明の導電性インキ組成物においては、熱硬化性樹脂組成物(B)に含有されている、主剤と硬化剤(または硬化触媒)の双方の反応しうる官能基同士が全て消費されることを考慮して、それぞれの当量が化学量論的に等しくなるように、それぞれの不揮発分使用量を選択することが好ましい。
勿論、官能基を化学量論的に当量となる様に、主剤と硬化剤(また硬化触媒)の不揮発分使用量を選択したのでは、反応率の関係で充分な反応が生起し難い場合には、最もこの反応の反応率が高くなる様に、当量を中心に、有機化合物の不揮発分の使用量を増減しても良い。
(有機溶剤)
本発明の導電性インキ組成物は、粘度や塗布性等を調節するために、熱硬化性樹脂組成物(B)を溶解し得る、当該熱硬化性樹脂組成物(B)と反応性を有さない常圧における沸点50〜300℃の有機溶剤(C)を含有することが好ましい。この様な有機溶剤(C)としては、例えば、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、炭化水素系溶剤、脂肪酸系溶剤、公知慣用のものがいずれも使用できる。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶剤が挙げられる。なかでも、より細線で、より導電性に優れた配線パターンを連続的に形成し得る点で、グラビアオフセット印刷法に適した有機溶剤を選択することが好ましい。
本発明の導電性インキ組成物は、粘度や塗布性等を調節するために、熱硬化性樹脂組成物(B)を溶解し得る、当該熱硬化性樹脂組成物(B)と反応性を有さない常圧における沸点50〜300℃の有機溶剤(C)を含有することが好ましい。この様な有機溶剤(C)としては、例えば、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、炭化水素系溶剤、脂肪酸系溶剤、公知慣用のものがいずれも使用できる。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶剤が挙げられる。なかでも、より細線で、より導電性に優れた配線パターンを連続的に形成し得る点で、グラビアオフセット印刷法に適した有機溶剤を選択することが好ましい。
本発明で好適に採用されるグラビアオフセット印刷法では、所望の印刷パターンに対応する凹部が形成されたグラビア版と、ペーストをグラビア版の凹部に充填するドクターと、表面が、例えばシリコーンゴムからなるブランケットとが用いられる。このグラビア版には、導電性ペーストが充填されるベゼルパターンに対応した凹部を有する溝が設けられる。このグラビア版の溝である凹部から導電性ペーストがブランケットに受け渡される。このブランケットに対向させる様に被印刷物を供給して、両者を圧接させて、ブランケット上の微細配線パターンに対応するパターンを被印刷物に印刷することで、印刷パターンが形成される。この印刷パターンは、加熱して焼成することで導電性を有する微細配線パターン(導電性パターン)となる。
すなわち、グラビアオフセット印刷の工程は、大きく分けて、グラビア版の溝である凹部に導電性ペーストを充填するドクタリング工程と、凹部に充填された導電性ペーストをブランケットの表面に転移するオフ工程と、ブランケットに移った導電性ペーストを被印刷物に転写するセット工程とを備える。この印刷法によれば、凹部の形状によって印刷パターンの形状を自在に設定でき、また、ブランケットから被印刷物への導電性インキ組成物の皮膜の転写率も高いため、微細配線パターンに対応する印刷パターンを精度良く形成することが可能である。
グラビアオフセット印刷法では、公知慣用の凹版、ガラス板上の感光性樹脂を露光、現像、洗浄により形成した凹版、ガラス板、金属板、金属ロールをケミカルエッチングおよびレーザーエッチングにより形成した凹版が使用できる。
またグラビア版としては、公知慣用の線幅、深さの、ベゼルパターンに対応する溝に相当する凹部を含む版を用いることが出来るが、より高密度の配線パターンにおいて、より多数の印刷においても優れた直線性が確保でき、かつ断線等の不具合も見られない点で、ベゼルパターンに対応する線幅10〜50μm、深さ5〜20μmの凹部を有するグラビア版を用いることが好ましい。
グラビアオフセット印刷法においては、枚葉の被印刷物を、グラビア版として平面状の版を、ブランケットとして円筒状のブランケットを、それぞれ用いて、ブランケットを被印刷物に圧接して、ブランケット上のパターンを被印刷物に転写印刷する様にしても良いし、ロール状に巻いた長尺の被印刷物を、グラビア版として円筒状の版を、ブランケットとして円筒状のブランケットを、円筒状の圧胴をそれぞれ用いて、ブランケットを被印刷物に圧接して、連続的にブランケット上のパターンを被印刷物に転写印刷する様にしても良い。
また、凹部に充填された導電性インキ組成物をブランケットの表面に転移するオフ工程においては、導電性インキ組成物中に含まれる有機溶剤(C)がブランケットに吸収され、より不揮発分が高まり、それが、セット工程で被印刷物に転写される。従って、印刷サイクルを繰り返すことにより、導電性インキ組成物中の有機溶剤(C)が、印刷毎にブランケットに蓄積することになる。ブランケットが吸収できる有機溶剤(C)の体積はおのずと限界があるため、この限界を超えると、セット工程において被印刷物に適正な転写が行われなくなり、印刷パターンが乱れる等の不具合が生じることがある。よって、一つのブランケットを使って、多数の印刷を行う場合には、被印刷物への印刷後に、有機溶剤(C)を吸収したブランケットを乾燥させる工程を含ませることが好ましい。この乾燥工程は、1回の印刷サイクル毎に行ってもよいし、間隔を開けて、5〜20回の印刷サイクル毎に行っても良い。
本発明で使用される熱硬化性樹脂組成物(B)は、グラビアオフセット印刷法に適する様に、通常は、溶媒に溶解し、かつ導電性金属粒子(A)はこれらの混合物に分散しペースト化した上で、被印刷物上に導電性ペーストの細線パターンを塗布したり印刷したりすることが好ましい。そのため、熱硬化性の導電性インキ組成物を構成する主剤及び硬化剤の選択に当たっては、溶媒への溶解性や溶媒の沸点を考慮することが好ましい。
このような観点から、グラビアオフセット印刷法に適する上記溶媒としては、前記熱硬化性樹脂組成物(B)以外の、前記(B)と反応性を有さない常圧における沸点170〜300℃の有機溶剤(C)を使用することが好ましい。あまり沸点が低い有機溶剤を用いると、ブランケットに吸収された有機溶剤が、直ちに全て揮発し、ブランケットから被印刷物への適正な転写が行われなくなるし、あまり沸点が高い有機溶剤を用いると、転写後の被印刷物上の乾燥及びその後の焼成に時間を要することになるので好ましくない。上記した条件を満たす有機溶剤(C)は、上記を満たす公知慣用の有機溶剤をいずれも使用し得る。有機溶剤(C)は、一種を単独で用いても、二種以上を併用しても良い。
グラビアオフセット印刷法では、ブランケットが用いられる。ブランケットとしては、例えば、シリコーンゴム層、PET層、スポンジ層の様な層構造を有するシートが挙げられる。通常、ブランケット胴と称される剛性のある円筒に巻きつけた状態で使用される。
グラビアオフセット印刷法では、ブランケットが用いられる。ブランケットとしては、例えば、シリコーンゴム層、PET層、スポンジ層の様な層構造を有するシートが挙げられる。通常、ブランケット胴と称される剛性のある円筒に巻きつけた状態で使用される。
本発明では、グラビアオフセット印刷法を採用するため、有機溶剤(C)としては、ブランケット膨潤率が5〜20%である有機溶剤を用いることが好ましい。この様な有機溶剤としては、下表に記載のものが挙げられる。
ここで、表中の沸点は、常圧における沸点であり、一方、ブランケット膨潤率とは、ブランケットを2cm角に切り出し測量しておき、各種有機溶剤にブランケットを浸漬させ、1時間後にブランケットを有機溶剤中から取り出し、再び測量し、浸漬前後における重量増加率を求めたものである。
*1)三協化学(株)製品名
*2)KHネオケム(株)製品名
*3)東邦化学工業(株)製品名
*2)KHネオケム(株)製品名
*3)東邦化学工業(株)製品名
*4)登録商標(株)クラレ製品名
上記した有機溶剤(D)としては、ベゼルパターンの最初の印刷時と、より多数の印刷時とにおいて、いずれも、直線性に優れ断線等が起こり難い印刷パターンが得られる点で、プロピレングリコールジアセテート(PDGA)、3−メトキシ−3−メチルブタノール(ソルフィット)等が好ましく、中でも、ベゼルパターンの最初の印刷時よりも、より多数の印刷を行った際の方が、直線性に優れ断線等が起こり難い印刷パターンが得られる点で、なかでも、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(メチルトリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、二塩基酸エステル(DBE)等が特に好ましい。
勿論、上記した好ましい有機溶剤には、必要に応じて、印刷適性をより向上される等のために、その他の有機溶剤を併用することも出来る。
本発明の導電性インキ組成物中における有機溶剤(C)の含有率は、当該インキ組成物の塗布に採用する印刷法の種類如何を問わず、上記した効果が得られる範囲であれば特に制限は無いが、5〜30質量%であるが好ましく、中でも7〜15質量%であればさらに好ましい。この範囲であると、インキ粘度がより適正になり、特に、グラビアオフセット印刷においては、画線のコーナー部分やマトリックスの交差点にピンホール欠陥を起こすことなく、より高精細な印刷パターンを形成することができる。
本発明の導電性インキ組成物は、上記した様な公知慣用の原料成分の他に、数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上の(メタ)アクリル系樹脂を含有することを最大の特徴とする。アミノ基含有(メタ)アクリル系樹脂は、上記した数平均分子量とアミン価とを兼備することで、初めて、導電性(接触抵抗値)の高温高湿履歴の前後における経時変化を小さくすることが出来る。
ここで、(メタ)アクリル系樹脂とは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを必須成分として重合して得られた合成樹脂をいう。数平均分子量は、ゲルパーミーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の分子量を意味する。また、アミン価は、樹脂不揮発分1gを中和するのに必要なHCl量に対して当量となるKOHのミリグラム数を意味し、日本工業規格(JIS) K7237に記載の方法により測定することができる。以下、数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上である、フリーの(中和されておらず塩となっていない)アミノ基を含有する(メタ)アクリル系樹脂を、アミノ基含有(メタ)アクリル系樹脂と称する。
本発明の導電性インキ組成物では、中でも、数平均分子量5,000〜15,000でありかつアミン価15〜100mgKOH/gのフリーのアミノ基を含有する、アミノ基含有(メタ)アクリル系樹脂を併用することで、今までは実現が困難であった、高温高湿の履歴の前後において、高い導電性、換言すれば低い接触抵抗値の変化が極めて小さい配線パターンを得ることに成功した。
この様なアミノ基含有(メタ)アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを必須成分として、コントロールイオン重合して得られたA−Bブロック共重合体(ここで、Aは顔料吸着基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、Bは(メタ)アクリル酸及び/又は樹脂相溶性基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。)であることが、インキを低粘度化できるだけでなく、導電性の長期間などの経時における変化を小さくできたり、高温多湿などの環境下でも変化を小さくできる点で好ましい。アミノ基含有(メタ)アクリル系樹脂としては、アミノ基を含有するアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸及び/又はアミノ基以外の樹脂相溶性基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体を挙げることが出来る。
アミノ基を含有するアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとしては、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることが出来る。
(メタ)アクリル酸及び/又は樹脂相溶性基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸や、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等の水酸基を含有するアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル等を挙げることが出来る。
上記した単量体に必要に応じて、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等を併用することが出来る。
上記アミノ基含有(メタ)アクリル系樹脂としては、数平均分子量5,000以上、中でも数平均分子量5,000〜20,000であるものが、導電性の経時変化を小さくすることが出来る点で好ましい。
本発明で好適に用いることが出来る、上記数平均分子量かつ上記アミン価を満たすコントロールイオン重合して得られたA−Bブロック共重合体である、アミノ基含有(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ビックケミー社製BYK LPN−21116や、同社製BYK−6919が挙げられる。
本発明で用いるアミノ基含有(メタ)アクリル系樹脂の使用量は、導電性フィラー、熱硬化性樹脂組成物及び有機溶媒の質量換算合計100部当たり、不揮発分で、0.1〜3部とすることが好ましい。
本発明の導電性インキ組成物には、上述の成分以外にも、必要に応じて、分散剤、消泡剤、剥離剤、レベリング剤、可塑剤などの各種添加剤を適宜適量配合することができる。しかしながら、導電性パターンを形成する基材が後記する様な非耐熱性である場合には、導電性フィラーの含有率が低下し焼成インキ膜の導電性が低くくなるばかりでなく、導電性パターンの基材への密着性も低下する場合があることから、導電性フィラーの融点未満で溶融する、ガラスフリットの様な、導電性フィラー以外の無機結着剤は含有させないことが好ましい。
本発明の導電性インキ組成物は、任意の方法で、例えば、プラスチックフィルム、セラミックフィルム、シリコンウエハ、ガラス又は金属プレートの何れかの支持体(基材と称する場合もある)上に、塗布または印刷することで導電性パターン相当を形成することができる。しかしながら、本発明の導電性インキ組成物の真価が如何なく発揮できるのは、支持体として、導電性パターンを得る際に高温に曝すことが出来ない、非耐熱性基材である熱可塑性樹脂フィルム又はそれを支持体とした透明導電性フィルムであり、導電性パターンを得る際に、高温に曝すことが出来ないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム或いはITOフィルムの様な透明導電性フィルムである。
本発明の導電性インキ組成物は、任意の基材に、例えば、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、又はグラビアオフセット印刷の印刷方法にて印刷し、印刷パターンを加熱により硬化し硬化皮膜とすることで、導電性パターンを形成することができる。
本発明の導電性インキ組成物からの導電性パターンの形成方法としては、本発明の導電性インキ組成物を、非耐熱性基材上に転写塗布し加熱する方法があげられる。本発明では導電性インキ組成物に、上記したアミノ基含有(メタ)アクリル系樹脂を含有させることで、より容易に、25℃でのせん断速度1s−1における粘度を300Pa・s以下、かつせん断速度100s−1における粘度を2.0〜10.0Pa・sとすることが出来る。その結果、導電性インキ組成物を凹版に充填し、充填された該インキ組成物をブランケットロールへ転写した後、ブランケットロールから非耐熱性基材へ該インキ組成物を転写塗布することにより、非耐熱性基材の表面に所望のパターンを印刷する、所謂グラビアオフセット印刷を行い、次いで加熱することにより焼成された導電性パターンを形成することが出来る。
この際の凹版印刷版としては、通常のグラビア版、ガラス板上の感光性樹脂を露光、現像、洗浄により形成した凹版、ガラス板、金属板、金属ロールをケミカルエッチングおよびレーザーエッチングにより形成した凹版が使用できる。
また、シリコーンブランケットとしては、シリコーンゴム層、PET層、スポンジ層の様な層構造を有するシートである。通常、ブランケット胴と称される剛性のある円筒に巻きつけた状態で使用できる。
本発明の導電性インキ組成物からの導電性パターン形成方法において、上記グラビアオフセット印刷方法を採用した場合、シリコーンブランケットには、凹版からの転写性、及び、基材への転写性が求められる。基材への十分な転写性を得るためには、ブランケット表面で、導電性インキ組成物中の液体成分を一定割合で吸収することが必要である。吸収が不十分であると基材への転写時に導電性インキ組成物層が層間剥離を起こし易く、逆に、一定割合を超えて吸収するとブランケット表面で導電性インキ組成物が乾燥し、基材への転写不良を起こし易いという問題があった。
導電性インキ組成物の25℃でのせん断速度1s−1における粘度を300Pa・s以下、かつせん断速度100s−1における粘度を2.0〜10.0Pa・sとすることで、グラビアオフセット印刷法を採用して連続的に導電性パターンの印刷を行う場合においては、画線のコーナー部分やマトリックスの交差点にピンホール欠陥を起こし易く、良好な導電性細線パターンを形成することができ、かつ、凹版へのインキング性、凹版からブランケットへの転移性の問題も生じ難くなる。
本発明の導電性インキ組成物は、例えば、線幅10〜150μmの範囲となる様に、基材に転写塗布して印刷パターンとし、それを加熱硬化と共に焼成することで、導電性パターンとすることができる。
こうして基材上に設けられた印刷パターンは、例えば、100〜130℃で20〜5分加熱することで、熱硬化性樹脂組成物が硬化され焼成された皮膜となり、導電性パターンに変換され導電性を発現する。
本発明の導電性インキ組成物から形成させる導電性パターンは、ベタのような太い線幅の画線であっても良いが、本発明の導電性インキ組成物を用いた場合の特徴は、上記した様な従来よりも細い線幅画線を基材上に設ける際に、特に顕著に発揮される。
上記した通り、本発明の導電性インキ組成物からの導電性パターンは、従来より低温かつ短時間で形成できることから、本発明の導電性インキ組成物の特徴は、セラミックフィルム、ガラス又は金属プレートの様な耐熱性の高い基材よりも、耐熱性がより低く熱変形しやすい、非耐熱性基材上に導電性パターンを形成する際に、特に顕著に発揮される。したがって、本発明の導電性インキ組成物の硬化皮膜が非耐熱性基材上に形成された導電性パターンは、非耐熱性基材上に形成された導電性回路として好適に用いることができる。
こうして本発明の導電性インキ組成物を用いて、各種基材上に各種印刷方法にて印刷し加熱することで導電性パターンが設けられた基材は、導電性回路として、必要に応じて配線等を行うことで、各種の電気部品、電子部品とすることができる。具体的に本発明の導電性インキ組成物は、透明ITO電極の様な透明導電フィルムへの密着性にも優れている。
最終製品としては、例えばタッチパネルの取り出し電極やディスプレイの取り出し電極、電子ペーパー、太陽電池、その他の配線品等が挙げられる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。ここで「%」は、特に断らない限り「質量%」である。
各原料を表1に記載の質量部数となるように用いて、これら原料を充分に混合して、実施例である本発明の各導電性インキ組成物及び比較例である従来の各導電性インキ組成物を調製した。
・AG−2−1C:DOWAエレクトロニクス(株)製銀粉、平均粒径D50:0.8μm)
・TEGO(登録商標)VARIPLUS SK:エボニックデグサジャパン(株)の、ケトン−ホルムアルデヒド縮合体の水素添加物。水酸基を含有する。
・BYK LPN−21116:ビックケミー社製分散剤、有効成分は、数平均分子量7,000〜10,000の範囲にあり、アミン価29mgKOH/gのコントロールイオン重合で製造されたA−Bブロック型(メタ)アクリル系樹脂(尚、Aは顔料吸着基、Bは樹脂相溶性基である。)である。
・DISPER BYK−111:ビックケミー社製分散剤。数平均分子量1,000〜10,000の範囲にあるリン酸基含有ポリマー(高分子化合物)。
・TRIXENE BI 7992:バクセンデン社の、ブロック剤が3,5−ジメチルピラゾール及びマロン酸ジエチルのブロックイソシアネート。
・デナコ−ル(登録商標)EX−321:ナガセケムテックス(株)の、グリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ当量141)。
・ハイソルブ(登録商標)MTEM:東邦化学工業(株)製テトラエチレングリコールジメチルエーテル。
・BDGAc:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
・U−CAT SA 102:サンアプロ(株)のDBU−オクチル酸塩。
・TEGO(登録商標)VARIPLUS SK:エボニックデグサジャパン(株)の、ケトン−ホルムアルデヒド縮合体の水素添加物。水酸基を含有する。
・BYK LPN−21116:ビックケミー社製分散剤、有効成分は、数平均分子量7,000〜10,000の範囲にあり、アミン価29mgKOH/gのコントロールイオン重合で製造されたA−Bブロック型(メタ)アクリル系樹脂(尚、Aは顔料吸着基、Bは樹脂相溶性基である。)である。
・DISPER BYK−111:ビックケミー社製分散剤。数平均分子量1,000〜10,000の範囲にあるリン酸基含有ポリマー(高分子化合物)。
・TRIXENE BI 7992:バクセンデン社の、ブロック剤が3,5−ジメチルピラゾール及びマロン酸ジエチルのブロックイソシアネート。
・デナコ−ル(登録商標)EX−321:ナガセケムテックス(株)の、グリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ当量141)。
・ハイソルブ(登録商標)MTEM:東邦化学工業(株)製テトラエチレングリコールジメチルエーテル。
・BDGAc:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
・U−CAT SA 102:サンアプロ(株)のDBU−オクチル酸塩。
これらの各導電性インキ組成物について、以下の測定項目にて、導電性インキ組成物自体の特性及びそれから得られる導電性パターンの特性を評価した。その評価結果も以下の表2にまとめて示した。
(粘度)
回転式レオメータを用いて、25℃で、上記で調製した各導電性インキ組成物の1s−1及び100s−1のシェアレートでの各粘度を測定した。
回転式レオメータを用いて、25℃で、上記で調製した各導電性インキ組成物の1s−1及び100s−1のシェアレートでの各粘度を測定した。
(体積抵抗率)
アプリケーターを用いて2cm×5cmに切り出した透明導電フィルム上(ITO膜面)に、上記で調製した各導電性インキ組成物を乾燥後の膜厚が4μmになるように塗布し120℃で30分乾燥(焼成)させた。当該インキ焼成膜を用いて、ロレスタGP MCP−T610(三菱化学社製)で四端子法にて測定した。体積抵抗率は、導電性の高低の尺度である。
アプリケーターを用いて2cm×5cmに切り出した透明導電フィルム上(ITO膜面)に、上記で調製した各導電性インキ組成物を乾燥後の膜厚が4μmになるように塗布し120℃で30分乾燥(焼成)させた。当該インキ焼成膜を用いて、ロレスタGP MCP−T610(三菱化学社製)で四端子法にて測定した。体積抵抗率は、導電性の高低の尺度である。
(接触抵抗値)
体積抵抗率の測定と同様の条件で、アプリケータに代えて、導電性インキ組成物を凹版に充填し、充填された該インキ組成物をブランケットロールへ転写した後、ブランケットロールから支持体へ該インキ組成物を転写塗布することにより、支持体表面に所望のパターンを印刷する機構を有するグラビアオフセット印刷機を用いて、印刷と焼成を行って、接触抵抗測定用治具(膜厚30μm)を得た。
次に、左右2対ある配線の、両内側の黒丸だけが覆われ、両外側の黒丸が覆われないようにDIC株式会社製OCA(Optical Clear Adhesive Tape、光学用透明接着テープ)を貼り付け、OCAで覆われていない、両外側の各黒丸に抵抗計の端子を押し当て、日置電機株式会社社製RESISTANCE HiTESTER 3541.を用いて初期の接触抵抗値を測定した。図1は、接触抵抗測定用治具にOCAテープを貼りつけた際の上面から見た透視図である。左右2対ある、二つの黒丸で表示された内側の端部と外側の端部の間を結ぶ線が導電性パターンからなる配線に相当している。両内側の黒丸はOCAテープで覆われ、両外側の黒丸はOCAテープで覆われていないことから、OCAテープで覆われた部分の配線は、覆われていない配線部分に比べて、図1では薄く表示してある。
次に、エスペック株式会社製小型環境試験機SH-661を用いて、60℃×90%の高温高湿下に上記接触抵抗測定用治具を曝して、加速試験(高温高湿の履歴)前後における接触抵抗値の経時変化を240時間まで確認し、下記の基準で評価した。
○:初期値から±5%以内
△:初期値から±10%未満
×:初期値から±10%以上
体積抵抗率の測定と同様の条件で、アプリケータに代えて、導電性インキ組成物を凹版に充填し、充填された該インキ組成物をブランケットロールへ転写した後、ブランケットロールから支持体へ該インキ組成物を転写塗布することにより、支持体表面に所望のパターンを印刷する機構を有するグラビアオフセット印刷機を用いて、印刷と焼成を行って、接触抵抗測定用治具(膜厚30μm)を得た。
次に、左右2対ある配線の、両内側の黒丸だけが覆われ、両外側の黒丸が覆われないようにDIC株式会社製OCA(Optical Clear Adhesive Tape、光学用透明接着テープ)を貼り付け、OCAで覆われていない、両外側の各黒丸に抵抗計の端子を押し当て、日置電機株式会社社製RESISTANCE HiTESTER 3541.を用いて初期の接触抵抗値を測定した。図1は、接触抵抗測定用治具にOCAテープを貼りつけた際の上面から見た透視図である。左右2対ある、二つの黒丸で表示された内側の端部と外側の端部の間を結ぶ線が導電性パターンからなる配線に相当している。両内側の黒丸はOCAテープで覆われ、両外側の黒丸はOCAテープで覆われていないことから、OCAテープで覆われた部分の配線は、覆われていない配線部分に比べて、図1では薄く表示してある。
次に、エスペック株式会社製小型環境試験機SH-661を用いて、60℃×90%の高温高湿下に上記接触抵抗測定用治具を曝して、加速試験(高温高湿の履歴)前後における接触抵抗値の経時変化を240時間まで確認し、下記の基準で評価した。
○:初期値から±5%以内
△:初期値から±10%未満
×:初期値から±10%以上
表2の評価結果からわかる通り、分散剤として、数平均分子量7,000〜20,000の範囲にあり、アミン価15mgKOH/g以上のコントロールイオン重合で製造されたA−Bブロック型(メタ)アクリル系樹脂(尚、Aは顔料吸着基、Bは樹脂相溶性基である。)を用いて調製された実施例1の導電性インク組成物から得られた焼成インキ皮膜における加速後における接触抵抗は、初期に対して変化が極めて小さいのに対して、分散剤として、リン酸エステル基を含有するポリマーを用いて調製された比較例1の導電性インク組成物から得られた焼成インキ皮膜における加速後における接触抵抗は、かなり大きいことが明らかである。
また、実施例2と1の結果からわかる通り、水酸基を含有する熱可塑性樹脂とブロックポリイソシアネート化合物と多官能アルコールとを含有する熱硬化性樹脂組成物を用いた実施例2の導電性インキ組成物に比べて、水酸基を含有する熱可塑性樹脂とブロックポリイソシアネート化合物と多官能エポキシ化合物とを含有する実施例1の導電性インキ組成物の方が、より体積抵抗率が小さい(より導電性に優れる)ことが明らかである。
尚、実施例1における銀粉AG2−1Cに代えて、110〜150℃にて5〜1時間加熱したAG2−1C(遊離の炭素原子数6〜24の脂肪酸含有量が、100ppm以下の銀粉)の同量を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性インキ組成物を調製して、上記同様に評価したところ、体積抵抗率は、10−5Ω・cmオーダーまで低下し、より優れた導電性が発現されることが明白となった。また、実施例1と同様に、加速後における接触抵抗は、初期に対して変化が極めて小さかった。
尚、上記実施例の導電性インキ組成物は、いずれもブロックイソシアネートのブロック剤が低温解離性の活性メチレン化合物及び/又はピラゾール化合物であることから、透明導電フィルムやPETフィルムの様な非耐熱性基材上にでも、反り等なく低温短時間で硬化皮膜からなる導電性パターンを形成できた。
また、グラビアオフセット印刷法にて上記で作製された膜厚保4μmかつ線幅30μmのインキ焼成膜からなる導電性パターンのうち、TD方向を顕微鏡で観察し、細線再現性を評価する(初期)と共に、100回印刷後の導電性パターンも同様に評価を行った。その結果、100回印刷の前後で、いずれも、線の直線性に優れ、かつ断線箇所は存在しないことが確認できた。これらで得られた導電性パターンは、導電性、基材密着性でも充分に満足いくものであった。
本発明の導電性インキ組成物は、各種の電気部品・電子部品の導電性パターン形成用の導電性銀ペーストとして利用することができる。
1 焼成インキ膜からなる導電性パターン
2 導電性パターンの、光学用透明接着テープで覆われていない外側の端部(黒丸)
3 光学用透明接着テープ
2 導電性パターンの、光学用透明接着テープで覆われていない外側の端部(黒丸)
3 光学用透明接着テープ
Claims (9)
- 導電性フィラー、熱硬化性樹脂組成物、有機溶剤を必須成分として含有する導電性インキ組成物において、更に、数平均分子量5,000〜20,000でありかつアミン価15mgKOH/g以上の(メタ)アクリル系樹脂を含有することを特徴とする配線用導電性インキ組成物。
- 25℃でのせん断速度1s−1における粘度を300Pa・s以下、かつせん断速度100s−1における粘度を2.0〜10.0Pa・sとした請求項1〜5のいずれか一項記載の配線用導電性インキ組成物。
- 熱硬化性樹脂組成物が、水酸基を含有する熱可塑性樹脂を含む請求項1または2記載の配線用導電性インキ組成物。
- 熱硬化性樹脂組成物が、水酸基を含有する熱可塑性樹脂と、ブロックポリイソシアネート化合物と、多官能エポキシ化合物及び/又は多官能アルコールとを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の配線用導電性インキ組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の配線用導電性インキ組成物を、非耐熱性基材上に塗布し加熱する配線用導電性パターンの製造方法。
- 非耐熱性基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はそれを支持体とした透明導電性フィルムである請求項5記載の配線用導電性パターンの形成方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性インキ組成物を凹版に充填し、充填された該インキ組成物をブランケットロールへ転写した後、ブランケットロールから非導電性支持体へ該インキ組成物を転写塗布することにより、非耐熱性基材表面に所望のパターンを印刷し、次いで加熱する請求項6記載の配線用導電性パターンの製造方法。
- 非耐熱性基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はそれを支持体とした透明導電性フィルムである請求項7記載の配線用導電性パターンの形成方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載の配線用導電性インキ組成物の焼成インキ皮膜が非耐熱性基材上に形成された導電性パターンを含む導電性回路。
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-
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- 2014-03-11 JP JP2014047521A patent/JP2015172103A/ja active Pending
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