JP2015170525A - 非水電解液及びこれを含む蓄電デバイス - Google Patents

非水電解液及びこれを含む蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】蓄電デバイスの容量維持率や充放電効率の低下抑制に優れた効果を発揮する非水電解液及びこれを備えた蓄電デバイスの提供。
【解決手段】一般式(1):[Cat]n+{[N(X1SO2)(FSO2)]-n([Cat]n+は有機カチオン又は無機カチオン;X1はFo、C1〜6のアルキル基又はC1〜6のフルオロアルキル基;nは1〜3の整数)で表されるイオン性化合物と、下記一般式(2)で表される化合物を含む非水電解液。

(X2及びX3は独立して置換基を有していてもよいC1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基又はアリールオキシ基を表し、mは1〜10の整数)
【選択図】図1

Description

本発明は非水電解液及びこれを含む蓄電デバイスに関する。
携帯電話、パーソナルコンピューター用の電源、さらには自動車用電源等として、リチウムイオン二次電池等の電池が用いられている。また、斯かる用途に使用される電池では、高エネルギー密度化、サイクル特性やレート特性の改善といった各種特性の向上を目的とした研究が重ねられている。
例えば、特許文献1〜3には、添加剤を使用して非水系電解液の各種特性を向上させる技術が開示されている。より詳細には、特許文献1、2には、添加剤としてメチレンビススルホネート誘導体を使用することで、電池の初期特性や高温保存安定性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献3には、添加剤として炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンビススルホネート誘導体と環状ジスルホン酸エステルを併用することにより、電解液の分解が抑制し、二次電池の放電容量及びサイクル特性を向上させる技術が開示されている。
国際公開第2012/017998号 国際公開第2012/017999号 国際公開第2013/137351号
特許文献1〜3のように添加剤を使用することで蓄電デバイス特性のある程度の向上は認められる。しかしながら、蓄電デバイス用途の拡がりにしたがって、その特性向上に対する期待はますます高まる傾向にある。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、蓄電デバイスの容量維持率の低下抑制に優れた効果を発揮する非水電解液及びこれを備えた蓄電デバイスを提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の非水電解液とは、下記一般式(1)で表されるイオン性化合物と、下記一般式(2)で表される化合物を含むところに特徴を有する。
[Cat]n+{[N(X1SO2)(FSO2)]-n (1)
(一般式(1)中、[Cat]n+は有機カチオン又は無機カチオンを表し、X1はフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
(一般式(2)中、X2及びX3はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基又はアリールオキシ基を表し、mは1〜10の整数を表す。)
本発明の非水電解液は、下記一般式(7)、一般式(8)で表されるリチウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種のリチウム塩を含むものであるのが好ましい。
LiPFa(Ct2t+16-a (0≦a≦6、1≦t≦4) (7)
LiBFb(Cu2u+14-b (0≦b≦4、1≦u≦4) (8)
本発明においては、上記一般式(1)で表される化合物としてビス(フルオロスルホニル)イミド塩を用いるのが好ましく、また、上記一般式(2)で表される化合物としてはメチレンビス(ベンゼンスルホネート)を用いるのが好ましい。
また、本発明には、上記非水電解液を備えた蓄電デバイスも含まれる。
本発明によれば、蓄電デバイスの容量維持率や充放電効率の低下抑制に優れた効果を発揮する非水電解液及びこの非水電解液を備えた蓄電デバイスを提供できる。
実施例で作製した電池1〜4のサイクル時の充放電効率の結果を示す図である。
本発明の非水電解液とは、下記一般式(1)で表されるイオン性化合物と(以下「イオン性化合物(1)」と称する場合がある)、下記一般式(2)で表される化合物(以下「化合物(2)」と称する場合がある)を含むところに特徴を有している。
[Cat]n+{[N(X1SO2)(FSO2)]-n (1)
(一般式(1)中、[Cat]n+は有機カチオン又は無機カチオンを表し、X1はフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
(一般式(2)中、X2及びX3は独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基又はアリールオキシ基を表し、mは1〜10の整数を表す。)
本発明者は、蓄電デバイスのサイクル特性の劣化を一層効果的に抑制すべく検討を重ねたところ、電解質塩としてイオン性化合物(1)を使用すると共に、添加剤として化合物(2)を使用することで、蓄電デバイスのサイクル特性の劣化が一層抑制されることを見出し、本発明を完成した。
イオン性化合物(1)と化合物(2)の併用により蓄電デバイスのサイクル特性の劣化が抑制される理由について、本発明者は次のように考えている。非水電解液がイオン性化合物(1)と化合物(2)とを含む場合には、電極表面上にこれら2種類の化合物の分解生成物に由来する成分を含む複合被膜が形成される。これにより、非水電解液に含まれる溶媒の電極活物質との直接的な接触が防止されて溶媒の分解が抑制される結果、蓄電デバイスの各種特性の低下が抑制される。
本発明の非水電解液の使用により電極表面に形成される被膜は、イオン性化合物(1)又は化合物(2)を単独で使用した場合に形成される被膜とは異なるものであり、イオン性化合物(1)又は化合物(2)単独では成し得なかった特殊な複合被膜が形成されるため、サイクル特性や充放電効率に優れた蓄電デバイスを実現できるものと考えられる。
より詳細には、特許文献2に記載されているように、非水電解液にメチレンビススルホネート誘導体を単独で添加する場合には、1サイクル目の充放電効率の向上やサイクル特性の向上に効果が見られるものの、添加量が2質量%超になると蓄電デバイス特性が低下する虞がある。メチレンビススルホネート誘導体の添加量が多い場合に上記不具合が生じる原因としては、メチレンビススルホネート誘導体に由来する成分からなる単独被膜が高い抵抗を有することが考えられるが、被膜が高抵抗である場合には、たとえメチレンビススルホネート誘導体の添加量が2質量%以下であっても繰り返し使用時の充放電効率が悪化してしまう可能性がある。
一方、本発明に係る非水電解液の必須成分の一つであるイオン性化合物(1)は、これを電解質塩として使用する場合には、電極表面への被膜形成によるサイクル特性の向上に効果がある事が報告されており、イオン性化合物(1)は電解質塩として有用な化合物である。
本発明は、イオン性化合物(1)の有効な使用法を見出したものであり、非水電解液を構成する成分としてイオン性化合物(1)と共に化合物(2)を使用することにより、電極表面にイオン性化合物(1)と化合物(2)に由来する成分を含む複合被膜を形成させる事で、意外にも化合物(2)を単独で添加する場合の被膜の抵抗上昇が抑制され、これにより化合物(2)の効果が十分に活用できるようになり、繰り返し使用時の充放電効率に優れた蓄電デバイスが実現できたものと考えられる。また、電解質塩としてイオン性化合物(1)を非水溶媒に溶解させた非水電解液は、従来の電解質塩(例えばLiPF6、LiBF4等)を使用した非水電解液に比べて粘度が低くなるため、電極内の細孔にも非水電解液が含浸し易くなり、リチウムイオンが拡散し易くなるものと考えられる。さらに、従来の電解質塩に比べてイオン性化合物(1)のイオン伝導度が高いことも、リチウムイオンの拡散に有利に働く。これらイオン性化合物(1)の特性の相乗効果により、化合物(2)を単独で添加した場合と比較してより容量の高い蓄電デバイスが得られるものと考えられる。
まず、本発明の非水電解液に含まれる電解質塩について説明する。
1.電解質塩
本発明の非水電解液は上記一般式(1)で表されるイオン性化合物を含む。
1−1.イオン性化合物(1)
イオン性化合物(1)は、一般式(1);[Cat]n+{[N(X1SO2)(FSO2)]-nで表され、スルホニルイミドアニオン[N(X1SO2)(FSO2)]-と、有機又は無機カチオン[Cat]n+とから構成される。
1−1−1.スルホニルイミドアニオン
一般式(1)中、X1はフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であるのが好ましく、直鎖状のアルキル基であるのがより好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。これらの中でもX1としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。
1−1−2.カチオン
一般式(1)中、[Cat]n+は有機カチオン又は無機カチオンを表す。本発明に係るイオン性化合物(1)を構成する有機カチオンとしては、一般式(3):L+−Rs(式中、Lは、C、Si、N、P、S又はOを表し、Rは、同一若しくは異なる有機基であり、互いに結合していてもよい。sはLに結合するRの数を表し、3又は4である。なお、sは、元素Lの価数及びLに直接結合する二重結合の数によって決まる値である)で表されるオニウムカチオンが好適である。
上記Rで示される「有機基」としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素原子を少なくとも1個有する基を意味する。上記「炭素原子を少なくとも1個有する基」は、炭素原子を少なくとも1個有してさえいればよく、また、ハロゲン原子やヘテロ原子等の他の原子や、置換基等を有していてもよい。置換基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、エーテル結合を有する基、チオエーテル結合を有する基、エステル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ジスルフィド基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホニル基等が挙げられる。
一般式(3)で表されるオニウムカチオンとしては、たとえば、下記一般式で表されるものが挙げられる。

(式中のRは、一般式(3)と同様)
上記一般式で表される6つのオニウムカチオンの中でも、LがN、P、S又はOであるものがより好ましく、さらに好ましいのはLがNのオニウムカチオンである。上記オニウムカチオンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。具体的に、LがNであるオニウムカチオンとしては、下記一般式(4)〜(6)で表されるものが好ましいオニウムカチオンとして挙げられる。
一般式(4):

で表される10種類の複素環オニウムカチオンの内の少なくとも一種。
上記有機基R1〜R8は、一般式(3)で例示した有機基Rと同様のものが挙げられる。より詳しくは、R1〜R8は、水素原子、フッ素原子又は有機基であり、有機基としては、直鎖、分岐鎖又は環状(但し、R1〜R8が互いに結合して環を形成しているものを除く)の炭素数1〜18の炭化水素基、あるいは炭化フッ素基であるのが好ましく、より好ましいものは炭素数1〜8の炭化水素基、炭化フッ素基である。また、有機基は、上記一般式(3)に関して例示した置換基や、N、O、S等のヘテロ原子及びハロゲン原子を含んでいてもよい。
一般式(5):

(式中、R1〜R12は、一般式(4)のR1〜R8と同様)
で表される3種類の飽和環オニウムカチオンの内の少なくとも一種。
一般式(6):
(式中、R1〜R4は、一般式(4)のR1〜R8と同様)
で表される鎖状オニウムカチオン。
例えば、一般式(6)で表される鎖状オニウムカチオンとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラヘプチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、メトキシエチルジエチルメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム、2−メトキシエトキシメチルトリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロエチル)アンモニウム、N−メトキシトリメチルアンモニウム、N−エトキシトリメチルアンモニウム及びN−プロポキシトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類;トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム等の第3級アンモニウム類;ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム等の第2級アンモニウム類;メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム等の第1級アンモニウム類;及びNH4で表されるアンモニウム化合物等が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)のオニウムカチオンの中でも、さらに好ましいものとしては、下記一般式;

(式中、R1〜R12は、一般式(4)のR1〜R8と同様である。)
で表される6種類のオニウムカチオンの少なくとも1種が挙げられる。
上記6種類のオニウムカチオンの中でも、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム及びトリエチルメチルアンモニウム等の鎖状第4級アンモニウム;トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム及びジメチルエチルアンモニウム等の鎖状第3級アンモニウム;1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及び1,2,3−トリメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム;N,N−ジメチルピロリジニウム及びN−エチル−N−メチルピロリジニウム等のピロリジニウムは入手容易であるためより好ましい。さらに好ましいものとしては、第4級アンモニウム、イミダゾリウムが挙げられる。なお、耐還元性の観点からは、上記鎖状オニウムカチオンに分類されるテトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム及びトリエチルメチルアンモニウム等の第4級アンモニウムがさらに好ましい。
無機カチオンとしては、Li+、Na+、K+、Cs+、Pb+等の1価の無機カチオンCat1+;Mg2+、Ca2+、Zn2+、Pd2+、Sn2+、Hg2+、Rh2+、Cu2+、Be2+、Sr2+、Ba2+等の2価の無機カチオンCat2+;及びGa3+等の3価の無機カチオンCat3+が挙げられる。これらの中でもアルカリ金属カチオン及びアルカリ土類金属カチオンが好ましく、Li+、Na+、Mg2+及びCa2+はイオン半径が小さく電池等に利用し易いためより好ましく、特にLi+が好ましい。
1−1−3.イオン性化合物(1)の具体例
具体的なイオン性化合物(1)としては、トリエチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、トリエチルメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、テトラエチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド等の有機カチオンの塩や、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドといったビス(フルオロスルホニル)イミド塩;リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(メチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(エチルスルホニル)イミド等の無機カチオンの塩が挙げられる。より好ましくはリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドであり、さらに好ましくはリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドである。
イオン性化合物(1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、イオン性化合物(1)は、市販品を使用してもよいし、従来公知の方法により合成した物を用いてもよい。
非水電解液中のイオン性化合物(1)の濃度は0.01mol/L以上であるのが好ましく、より好ましくは0.1mol/L以上であり、さらに好ましくは0.3mol/L以上であり、2.5mol/L以下であるのが好ましく、より好ましくは2.0mol/L以下であり、さらに好ましくは1.0mol/L以下である。イオン性化合物(1)の量が少なすぎるとサイクル特性の劣化抑制といったイオン性化合物(1)による効果が得られ難くなる虞があり、一方多すぎると、非水電解液の粘度が上昇してイオン伝導度が低下する虞や、化合物(1)に起因して正極集電体に腐食が生じる虞がある。
1−2.他の電解質塩
本発明の非水電解液は、上記イオン性化合物(1)とは異なる電解質塩を含むことが好ましい。イオン性化合物(1)とは異なる電解質塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、フルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、フルオロ硼酸イオン、フルオロ砒酸イオン、AlCl4 -、C[(CN)3-、N[(CN)2-、C[(CF3SO23-、SbF6 -およびジシアノトリアゾレートイオン(DCTA)等をアニオンとする無機又は有機カチオン塩等の従来公知の電解質塩が使用できる。
上記電解質塩の中でも、一般式(7):LiPFa(Ct2t+16-a(0≦a≦6、1≦t≦4)で表されるリチウム塩、一般式(8):LiBFb(Cu2u+14-b(0≦b≦4、1≦u≦4)で表されるリチウム塩よりなる群から選択される1種以上のリチウム塩が好ましい。これらのリチウム塩を併用することでイオン性化合物(1)に起因する正極集電体の腐食が抑制される。
一般式(7)で表されるリチウム塩(以下、リチウム塩(7)と称する場合がある)としては、LiPF6、LiPF3(CF33、LiPF3(C253、LiPF3(C373、LiPF3(C493等が好ましいものとして挙げられる。より好ましくはLiPF6、LiPF3(C253であり、さらに好ましくはLiPF6である。
一般式(8)で表されるリチウム塩(以下、リチウム塩(8)と称する場合がある)としては、LiBF4、LiBF(CF33、LiBF(C253、LiBF(C373等が好ましいものとして挙げられ、LiBF4、LiBF(CF33がより好ましく、LiBF4がさらに好ましい。
イオン性化合物(1)と併用する電解質塩は、上記例示のリチウム塩を1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましいリチウム塩としては、LiPF6、LiPF3(C253、LiBF4、LiBF(CF33が挙げられ、より好ましくはLiPF6、LiPF3(C253であり、さらに好ましくはLiPF6である。
上記リチウム塩を併用した本発明の非水電解液をリチウムイオン二次電池に使用する場合、非水電解液に含まれるリチウム塩の濃度の合計量が、0.5mol/L以上、飽和濃度以下となる範囲で使用するのが好ましい。より好ましくは0.8mol/L以上、より一層好ましくは1.0mol/L以上であり、より好ましくは2.5mol/L以下であり、より一層好ましくは2.0mol/L以下であり、さらに好ましくは1.5mol/L以下である。
なお、上記「リチウム塩の濃度の合計量」とは、非水電解液に含まれる全てのリチウム塩の濃度の総和を意味し、例えば、2種以上のリチウム塩を使用する場合は全てのリチウム塩の濃度の合計量であり、また、イオン性化合物(1)のカチオンとしてリチウムが含まれる場合はリチウムカチオンを有するイオン性化合物(1)の濃度と、併用する電解質塩中のリチウム塩の濃度との合計量とする。イオン性化合物(1)にリチウムカチオンが含まれない場合は、併用する電解質塩中のリチウム塩の濃度の総和を上記リチウム塩濃度と考えればよい。
リチウム塩(リチウム塩(7)及び/又はリチウム塩(8))の使用量は、非水電解液中のリチウム塩濃度の総和(リチウム塩とリチウムカチオンを含むイオン性化合物(1)の濃度の合計)が上記範囲内である限り特に限定はされないが、リチウム塩の濃度が高すぎると粘度の上昇によりイオン電導度が減少する虞があり、一方、リチウム塩の濃度が低すぎると、イオン性化合物(1)に起因する正極集電体の腐食が生じる虞がある。したがって、イオン性化合物(1)に対するリチウム塩(リチウム塩(7)及び/又はリチウム塩(8))の使用量は1:50〜5:1(イオン性化合物(1):リチウム塩、モル比)の範囲内とするのが好ましい。より好ましくは1:10〜3:1であり、さらに好ましくは1:2〜2:1である。
2.化合物(2)
本発明の非水電解液は、下記一般式(2)で表される化合物を含有する。
一般式(2)中、X2及びX3は、独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基又は複素環基を表し、mは1〜10の整数を表す。また、上述の基においては、これらの基が有する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよく、また、これらの基が有する炭素原子の一部がヘテロ原子(O、N、S、Si等)で置換されていてもよい。上述の基が有する置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、スルホニル基等が挙げられる。
アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状、環状のいずれの構造を有するものであってもよく、これらの内2以上の構造を有するものであってもよい。好ましくは直鎖状または環状のアルキル基である。アルキル基の炭素数は1〜10であるのが好ましく、より好ましくは1〜4である。
具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基等が挙げられる。これらの中でも炭素数1〜4のアルキル基又はハロアルキル基が好ましい。
アルケニル基としては、直鎖状、分枝鎖状、環状のいずれの構造を有するものであってもよく、これらの内2以上の構造を有するものであってもよい。また、アルケニル基の炭素数としては2〜4が好ましい。具体的なアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、メチルシクロヘキセニル基、エチルシクロヘキセニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、直鎖状、分枝鎖状、環状のいずれの構造を有するものであってもよく、これらの内2以上の構造を有するものであってもよい。また、アルケニル基の炭素数としては2〜4が好ましい。具体的なアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基、シクロヘキシルエチニル基、フェニルエチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、直鎖状、分枝鎖状、環状のいずれの構造を有するものであってもよく、これらの内2以上の構造を有するものであってもよい。アルコキシ基の炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜4である。具体的なアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロエトキシ基、トリフルオロエトキシ基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、メシチル基、ナフチル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。
複素環基は、N、O、Sなどのヘテロ原子を含む2種以上の原子から構成される飽和又は不飽和の環状の基であり、環を構成する原子数は3以上10以下であるのが好ましい。本発明に係る複素環基は環を構成する原子数が5以上、7以下の不飽和複素環基であるのが好ましい。具体的な複素環基としては、チエニル基、ピリジル基、イミダゾリル基、フリル基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、トリメチルフェニルオキシ基、フルオロフェニルオキシ基、トリフルオロメチルフェニルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でもアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基がX2及びX3として好ましく、より好ましくはアルキル基、アリール基であり、さらに好ましくはアリール基である。
一般式(2)においてmはスルホニルオキシ基(−SO2−O−)で挟まれたメチレン基の個数(アルキレン基の炭素数)を表す。mは1〜6であるのが好ましく、より好ましくは1〜5であり、さらに好ましくは1〜4である。
具体的な化合物(2)としては、下記化学式(2−1)〜(2−22)で示されるものが挙げられる。これらの中でも、化合物(2−1)、化合物(2−3)、化合物(2−5)、化合物(2−6)、化合物(2−7)、化合物(2−8)、化合物(2−10)、化合物(2−11)、化合物(2−13)、化合物(2−16)、化合物(2−21)、化合物(2−22)が好ましく、化合物(2−5)、化合物(2−6)、化合物(2−7)、化合物(2−8)、化合物(2−10)、化合物(2−11)、化合物(2−13)がより好ましい。
化合物(2)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
非水電解液中の化合物(2)の濃度は0.01質量%以上であるのが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上であり、2質量%以下であるのが好ましく、より好ましくは1質量%以下である。化合物(2)を多量に使用しても使用量に見合う効果は得られず、むしろ、蓄電デバイスを高温環境下で使用する場合に化合物(2)が分解してガスを発生し、蓄電デバイスの膨れを生じさせる虞があり、一方、化合物(2)の濃度が低過ぎると、サイクル特性の劣化抑制といった所期の効果が得られ難くなる虞がある。
3.溶媒
本発明の非水電解液は溶媒を含んでいてもよい。本発明の非水電解液に用いることのできる溶媒としては、イオン性化合物(1)、上記リチウム塩及び化合物(2)を溶解、分散させられるものであれば特に限定されず、非水系溶媒、溶媒に代えて用いられるポリマー、ポリマーゲル等の媒体等、蓄電デバイスに用いられる従来公知の溶媒はいずれも使用できる。
非水系溶媒としては、誘電率が大きく、電解質塩(イオン性化合物(1)及び上記リチウム塩)の溶解性が高く、沸点が60℃以上であり、且つ、電気化学的安定範囲が広い溶媒が好適である。より好ましくは、含有水分量が低い有機溶媒(非水系溶媒)である。このような有機溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,6−ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、クラウンエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル(エチルメチルカーボネート)、炭酸ジエチル(ジエチルカーボネート)、炭酸ジフェニル、炭酸メチルフェニル等の鎖状炭酸エステル類;炭酸エチレン(エチレンカーボネート)、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、2,3−ジメチル炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、2−ビニル炭酸エチレン等の環状炭酸エステル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル等の芳香族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類;リン酸トリメチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2−メチルグルタロニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等の硫黄化合物類;ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリル類;ニトロメタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン等を挙げることができる。
これらの中でも、鎖状炭酸エステル類、環状炭酸エステル類等の炭酸エステル類(カーボネート系溶媒)、ラクトン類、エーテル類が好ましく、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等がより好ましく、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒がさらに好ましい。上記非水系溶媒は1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリマーやポリマーゲルを溶媒に代えて用いる場合は次の方法を採用すればよい。すなわち、従来公知の方法で成膜したポリマーに、上述の非水系溶媒に電解質塩を溶解させた溶液を滴下して、電解質塩並びに非水系溶媒を含浸、担持させる方法;ポリマーの融点以上の温度でポリマーと電解質塩とを溶融、混合した後、成膜し、ここに非水系溶媒を含浸させる方法(以上、ゲル電解質);予め電解質塩を有機溶媒に溶解させた非水電解液とポリマーとを混合した後、これをキャスト法やコーティング法により成膜し、有機溶媒を揮発させる方法;ポリマーの融点以上の温度でポリマーと電解質塩とを溶融し、混合して成形する方法(真性ポリマー電解質);等が挙げられる。
溶媒に代えて用いられるポリマーとしては、エポキシ化合物(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル等)の単独重合体又は共重合体であるポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のメタクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル(PAN)等のニトリル系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系ポリマー、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
4.その他の成分
本発明に係る非水電解液は、蓄電デバイスの各種特性の向上を目的とする添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、メチルビニレンカーボネート(MVC)、エチルビニレンカーボネート(EVC)等の不飽和結合を有する環状カーボネート;フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート及びエリスリタンカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブサルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、トリメチレングリコール硫酸エステル等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩等のリン酸塩;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素化合物;等が挙げられる。
上記添加剤は、本発明の非水電解液中の濃度が0.1質量%〜10質量%の範囲で用いるのが好ましい(より好ましくは0.2質量%〜8質量%、さらに好ましくは0.3質量%〜5質量%)。添加剤の使用量が少なすぎるときには、添加剤に由来する効果が得られ難い場合があり、一方、多量に他の添加剤を使用しても、添加量に見合う効果は得られ難く、また、非水電解液の粘度が高くなり伝導率が低下する虞がある。
5.蓄電デバイス
本発明の非水電解液は、公知の各種蓄電デバイスに好適に用いられる。蓄電デバイスとしては、例えば、一次電池、リチウム(イオン)二次電池、燃料電池、溶融塩電池などの充電及び放電機構を有する電池の他、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、太陽電池等が挙げられる。
5−1.リチウムイオン二次電池
上記例示の蓄電デバイスのうち、リチウムイオン二次電池についてさらに詳細に説明する。リチウムイオン二次電池とは、正極と、負極と、非水電解液とを有するものであり、より詳細には、上記正極と負極との間にセパレーターが設けられており、且つ非水電解液は、上記セパレーターに含浸された状態で、正極、負極等と共に外装ケースに収容されている。本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上述した本発明の非水電解液を備えた蓄電デバイスである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等、リチウム二次電池の形状として従来公知の形状はいずれも使用することができる。また、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に搭載するための高電圧電源(数10V〜数100V)として使用する場合には、個々の電池を直列に接続して構成される電池モジュールとすることもできる。
5−1−1.正極
正極は、正極活物質、導電助剤及び結着剤等を含む正極合剤が正極集電体に担持されているものであり、通常、シート状に成形されている。
正極の製造方法としては、例えば、分散用溶媒に正極合剤を溶解又は分散させた正極活物質組成物を正極集電体にドクターブレード法等で塗工したり、正極集電体を正極活物質組成物に浸漬した後に、乾燥する方法;正極活物質組成物を混練成形し乾燥して得たシートを正極集電体に導電性接着剤を介して接合し、プレス、乾燥する方法;液状潤滑剤を添加した正極活物質組成物を正極集電体上に塗布又は流延して、所望の形状に成形した後、液状潤滑剤を除去し、次いで、一軸又は多軸方向に延伸する方法;等が挙げられる。
正極集電体の材料、正極活物質、導電助剤、結着剤、正極活物質組成物に用いられる溶媒(正極合剤を分散または溶解する溶媒)としては特に限定されず、従来公知の各材料を用いることができ、例えば、特開2014−13704号公報に記載の各材料を用いることができる。
正極活物質の使用量は、正極合剤100質量部に対して75質量部〜99質量部とするのが好ましく、より好ましくは85質量部〜97質量部である。
導電助剤を用いる場合の、正極合剤中の導電助剤の含有量としては、正極合剤100質量%に対して、0.1質量%〜10質量%の範囲で用いるのが好ましい(より好ましくは0.5質量%〜10質量%、さらに好ましくは1質量%〜10質量%)。導電助剤が少なすぎると、導電性が極端に悪くなり、負荷特性及び放電容量が劣化する虞がある。一方、多すぎると正極合剤層のかさ密度が高くなり、結着剤の含有量をさらに増やす必要があるため好ましくない。
結着剤を用いる場合、正極合剤中の結着剤の含有量としては、正極合剤100質量%に対して0.1質量%〜10質量%が好ましい(より好ましくは0.5質量%〜10質量%、さらに好ましくは1質量%〜10質量%)。結着剤が少なすぎると良好な密着性が得られず、正極活物質や導電助剤が集電体から脱離してしまう虞がある。一方、多すぎると内部抵抗の増加を招き電池特性に悪影響を及ぼしてしまう虞がある。
導電助剤及び結着剤の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視等)、イオン伝導性等を考慮して適宜調整することができる。
5−1−2.負極
負極は、負極活物質、結着剤及び必要に応じて導電助剤等を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなるものであり、通常、シート状に成形されている。
負極の製造方法としては、正極の製造方法と同様の方法を採用することができる。また、負極の製造時に使用する導電助剤、結着剤、材料分散用の溶媒も、正極で用いられるものと同様のものが用いられる。
負極集電体の材料、負極活物質としては、従来公知の各材料を用いることができ、例えば、特開2014−13704号公報に記載の各材料を用いることができる。
5−1−3.セパレーター
セパレーターは正極と負極とを隔てるように配置されるものである。セパレーターには特に制限がなく、本発明では、従来公知のセパレーターはいずれも使用でき、例えば、特開2014−13704号公報に記載の各材料を用いることができる。
5−1−4.電池外装材
正極、負極、セパレーター及び非水電解液等を備えた電池素子は、リチウムイオン二次電池使用時の外部からの衝撃、環境劣化等から電池素子を保護するため電池外装材に収容される。本発明では、電池外装材の素材は特に限定されず従来公知の外装材はいずれも使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.非水電解液の調製
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)とを、体積比3:7で混合した非水溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6、キシダ化学株式会社製、リチウム塩)と、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(株式会社日本触媒製、イオン性化合物(1))及び/又はメチレンビス(ベンゼンスルホネート)(「WEA−14」、和光純薬工業株式会社製、化合物(2))を表1に示す濃度となるように溶解させて非水電解液1〜4を調製した。
2.コインセル型リチウムイオン二次電池の作製
市販の正極シート(活物質:LiCoO2)、市販の負極シート(活物質:グラファイト)、及びポリエチレン製セパレーターを、それぞれ円形(正極φ12mm、負極φ14mm、セパレーターφ16mm)に打ち抜いた。宝泉株式会社より購入したCR2032コイン型電池用部品(正極ケース(アルミクラッドSUS304L製)、負極キャップ(SUS316L製)、スペーサー(1mm厚、SUS316L製)、ウェーブワッシャー(SUS316L製)、ガスケット(ポリプロピレン製))を用いてコイン型リチウム電池を作製した。具体的には、ガスケットを装着した負極キャップ、ウェーブワッシャー、スペーサー、負極シート(負極の銅箔側がスペーサーと対向するように設置)、セパレーターをこの順で重ねた後、70μLの非水電解液1をポリエチレン製のセパレーターに含浸させた。次いで、正極合剤塗布面が負極活物質層側と対向するように正極シートを設置し、その上に正極ケースを重ね、カシメ機でかしめることによりコインセル型リチウムイオン二次電池1を作製した。
次いで、充放電試験装置(ACD−01、アスカ電子株式会社製)を使用して、温度25℃の環境下、0.2Cで、60分の定電流充電後、コインセル型リチウムイオン二次電池1を室温(25℃)で24時間保管した。その後、4.2V、0.2Cで定電流定電圧充電(CCCV充電、10時間)し、0.2Cで定電流放電(CC放電、放電終止電圧:3.0V)を行った。更に上記CCCV充電−CC放電を4回行って、コインセル型リチウムイオン二次電池1を完成させた。
非水電解液を表1に示すように変更したこと以外は上記同様にして、コインセル型リチウムイオン二次電池2〜4を作製した。各電池の構成を表1に示す。
3.電池評価
実験例1:サイクル特性試験(充放電効率)
得られたコインセル型リチウムイオン二次電池について、温度25℃の環境下、充放電試験装置(ACD−01、アスカ電子株式会社製)を使用し、所定の充電条件(0.5C、4.2V、定電流定電圧モード0.02Cカット)及び放電条件(0.5C、終止電圧3.0V、定電流モード)にて、各充放電時には10分の充放電休止時間を設けてサイクル特性試験を行い、下記式より、充放電効率を算出した。結果を図1に示す。また、サイクル特性試験前後の電池の容量ならびに容量維持率を表2に示す。
充放電効率(%)=(各サイクルにおける放電容量/各サイクルにおける充電容量)×100
容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
図1より、イオン性化合物(1)及び化合物(2)を含む非水電解液を用いた電池1は充放電効率に優れている事がわかる。また、表2より、非水電解液に化合物(2)が含まれる電池1と3はサイクル特性試験後の容量維持率が優れており、特にイオン性化合物(1)と化合物(2)とを併用した電池1では他の電池に比べて100サイクル目の容量も高く維持されていた。この事より、イオン性化合物(1)及び化合物(2)に由来する成分を含む複合被膜は電池サイクル時の充放電効率を良好にする効果だけでなく、容量や容量維持率の低下を抑制する効果も有する事が分かる。
以上の結果より、イオン性化合物(1)と化合物(2)を含む本発明の非水電解液は、蓄電デバイスの充放電効率に優れ、且つ蓄電デバイス繰り返し使用時の容量や容量維持率の低下抑制に優れた効果を発揮するものであることが分かる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるイオン性化合物と、下記一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする非水電解液。
    [Cat]n+{[N(X1SO2)(FSO2)]-n (1)
    (一般式(1)中、[Cat]n+は有機カチオン又は無機カチオンを表し、X1はフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
    (一般式(2)中、X2及びX3はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基又はアリールオキシ基を表し、mは1〜10の整数を表す。)
  2. 上記非水電解液が、電解質塩として下記一般式(7)、一般式(8)で表されるリチウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種のリチウム塩を含む請求項1に記載の非水電解液。
    LiPFa(Ct2t+16-a (0≦a≦6、1≦t≦4) (7)
    LiBFb(Cu2u+14-b (0≦b≦4、1≦u≦4) (8)
  3. 上記一般式(1)で表されるイオン性化合物がビス(フルオロスルホニル)イミド塩である請求項1又は2に記載の非水電解液。
  4. 上記一般式(2)で表される化合物がメチレンビス(ベンゼンスルホネート)である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液を備えることを特徴とする蓄電デバイス。
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