以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになっており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部4A(図3)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣BLが排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞する。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部8A(図3)が設けられている。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部9Mを有しており、この記憶部9Mに種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、その内部に紙幣制御部11、入出金部12、搬送部13、鑑別部14、一時保留部15、紙幣収納庫16、リジェクト庫17、偽券収納庫18及び取忘収納庫19が設けられている。
紙幣制御部11は、図3に現金自動預払機1全体を含む紙幣入出金機10のブロック構成を示すように、主制御部9と連携しながら、当該紙幣入出金機10を統括的に制御するようになっている。紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。
また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部11Mを有しており、この記憶部11Mに入金プログラムや出金プログラム等の各種プログラムや紙幣に関する情報等の種々の情報を記憶させる。これに加えて紙幣制御部11は、後述する特定記番号を記憶するための特定記番号記憶部11Sも内部に有している。
入出金部12(図2)は、上方が開放された箱状の収容器12Aを中心に構成されている。収容器12Aは、利用者との間で授受する紙幣、すなわち利用者へ受け渡すべき紙幣又は利用者から受け渡された紙幣を収容するようになっている。この収容器12Aは、長方形の紙葉状の媒体である紙幣の長手方向を左右に向けると共に紙面を前後方向に向け、且つ各紙面を互いに対向させるように集積した状態で、最大で200枚の紙幣を収容することができる。
収容器12Aの上方には、開閉可能なシャッタ12Bが設けられている。シャッタ12Bは、開放されると収容器12A内に紙幣を投入させ、若しくは収容器12A内の紙幣を利用者に取り出させることができる一方、閉塞されると収容器12Aを利用者から遮蔽し、当該収容器12A内の紙幣に対するアクセスを禁止する。
また入出金部12は、収容器12A内の紙幣を1枚ずつに分離して取り込み搬送部13へ受け渡す取込口12Cと、搬送部13から搬送されてきた紙幣を収容器12A内へ放出する放出口12Dとを有している。さらに入出金部12は、収容器12A内に1枚以上の紙幣が収容されているか否かを検知する紙幣センサ12Eが組み込まれている。この紙幣センサ12Eによる検知結果は、紙幣制御部11へ通知される。
搬送部13は、図示しないモータ、ローラ、ベルト及びガイド等により紙幣入出金機10内の各部を結ぶような搬送経路を形成している。この搬送部13は、ローラを適宜回転させ、またベルトを適宜走行させることにより、紙幣の短辺に沿った方向を進行方向として、この搬送経路に沿って搬送する。
鑑別部14は、内部に光学センサ、イメージセンサや磁気センサ等の各種センサを有しており、その内部で紙幣を搬送しながら、当該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等を鑑別し、また記番号を読み取り、その鑑別結果及び記番号を紙幣制御部11へ通知する。これに応じて紙幣制御部11は、取得した鑑別結果及び記番号に基づいて各紙幣の搬送先を決定する(詳しくは後述する)。
一時保留部15は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出すようになっている。因みに一時保留部15は、最大で例えば200枚の紙幣を収納することができる。
紙幣収納庫16は、内部に多数の紙幣を集積して収納するようになっている。この紙幣収納庫16は、例えば入金取引において、鑑別部14において損傷の程度が小さく再利用可能と鑑別された紙幣が金種ごとに振り分けられ搬送部13により搬送されてくると、これを取り込んで収納する。また紙幣収納庫16は、出金取引において、紙幣制御部11の制御に基づき、指示された枚数の紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に順次受け渡す。
リジェクト庫17は、鑑別部14において損傷の程度が大きく再利用すべきでないと鑑別された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)を収納する。偽券収納庫18は、偽造されたと鑑別された紙幣(いわゆる偽券)を収納する。また取忘収納庫19は、出金取引等において利用者が入出金部12から取り忘れた紙幣を収納する。因みにリジェクト庫17、偽券収納庫18及び取忘収納庫19は、何れも搬送部13により搬送されてきた紙幣を収納できれば良いため、収納機能のみ有しており、紙幣収納庫16のような繰出機能を有していない。
このように紙幣入出金機10は、搬送部13により鑑別部14を通る搬送経路に沿って紙幣を搬送させる際、当該鑑別部14において紙幣を鑑別させ、このとき当該紙幣の金種、真偽及び損傷の程度等に加えて、当該紙幣の記番号を読み取るようになっている。
[1−2.特定記番号の登録]
上述したように、現金自動預払機1において取り扱う紙幣には、それぞれ記番号、すなわち一意の識別番号が付されている。因みに本実施の形態では、例えば英文字2文字、数字6文字及び英文字1文字が順に並んだ9文字により記番号が構成されるものとする。
紙幣入出金機10は、各桁を構成する数字に特殊性がある記番号を予め特定記番号として特定記番号記憶部11Sに記憶させている。ここで各桁を構成する数字等に特殊性がある記番号とは、例えば数字の部分が「111111」や「777777」のような同一の数字でなる数字列、或いは「123456」のような順次増減する数字により構成された数字列を含む記番号である。因みに、このような記番号が付された紙幣は、収集家の間で高額で取引される場合があり、一般的に価値が高いと考えられる。
具体的に紙幣入出金機10は、図4(A)に示すように、各桁を構成する数字に特殊性がある記番号を、共通特定記番号リストL1に格納し、特定記番号記憶部11Sに記憶させている。因みにこのような特定記番号は、収集家の間における取引情報等を基に選定される。
また紙幣入出金機10は、特定の利用者にとって各桁を構成する数字に特別な意味があり価値が高い記番号を、予め申請させた上で、特定記番号として特定記番号記憶部11Sに記憶させている。ここで特定の利用者にとって各桁を構成する数字に特別な意味があり価値が高い記番号とは、例えば利用者やその家族の生年月日が「2014年1月25日」であった場合に年の下2桁、月の2桁及び日の2桁を連結させた「140125」のような数字や、贔屓のスポーツ選手の背番号が「51」であった場合に「515151」のような数字を含む記番号等である。
さらに紙幣入出金機10は、利用者の申請に基づいて特定記番号を予め申請させる場合、当該利用者の好みに応じて、例えば「誕生日」のように、その番号の説明も特定記番号記憶部11Sに記憶させることができる。具体的に紙幣入出金機10は、図4(B)に示すように、特定の利用者にとって各桁を構成する数字等に特別な意味がある記番号及びその説明を、当該利用者の口座番号等と対応付けて個別特定記番号リストL2に格納し、特定記番号記憶部11Sに記憶させている。
このように紙幣入出金機10は、利用者にとって他の記番号よりも価値が高いと想定される記番号を特定記番号として、特定記番号記憶部11Sの共通特定記番号リストL1及び個別特定記番号リストL2に予め記憶させている。因みに特定記番号は、数字のみが指定されており、英文字の部分についてはいわゆるワイルドカード(何れの文字でも良い、図中では記号「*」により示す)が指定されている。
[1−3.入金処理]
次に、紙幣入出金機10における紙幣の入金処理について説明する。現金自動預払機1において利用者との間で入金取引が行われる場合、紙幣入出金機10の紙幣制御部11は、記憶部11Mから入金プログラムを読み出して実行することにより、図5に示す入金処理手順RT1を開始してステップSP1へ移る。
ステップSP1において紙幣制御部11は、主制御部9(図1)と連携しながら操作表示部6を介して入金取引の開始操作を受け付け、入出金部12のシャッタ12Bを開いて利用者に紙幣を収容器12A内へ投入させ、当該シャッタ12Bを閉塞して次のステップSP2へ移る。因みに紙幣制御部11は、例えばカード入出口4(図1)を介してカード処理部4A(図3)へキャッシュカードを挿入させ、その磁気情報を読み取ることで、この利用者の口座番号を特定する。
ステップSP2において紙幣制御部11は、入出金部12の取込口12Cにより収容器12A内から1枚の紙幣を取り込み、搬送部13へ受け渡す。搬送部13は、紙幣を短辺方向に沿って進行させ、鑑別部14へ搬送する。さらに紙幣制御部11は、鑑別部14により紙幣を鑑別させ、その鑑別結果を取得して次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において紙幣制御部11は、鑑別結果として取得した記番号(以下これを読取記番号と呼ぶ)を、特定記番号記憶部11Sに記憶している特定記番号と比較し、次のステップSP4へ移る。このとき紙幣制御部11は、特定記番号記憶部11Sの共通特定記番号リストL1(図4(A))に登録された全ての特定記番号と、個別特定記番号リストL2(図4(B))に登録された特定記番号のうち現在の利用者と口座番号が一致するものとを比較対象とする。また紙幣制御部11は、特定記番号が数字の部分のみ設定されているため、数字の部分のみ比較処理を行い、英文字部分については比較しない。
ステップSP4において紙幣制御部11は、読取記番号が特定記番号であったか否か、具体的には読取記番号のうち数字の部分が特定記番号の数字と一致したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、紙幣制御部11は、次のステップSP5へ移り、入金された紙幣のなかに特定記番号が付された紙幣(以下これを特定紙幣と呼ぶ)が存在することを記憶し、次のステップSP6へ移る。一方、ステップSP4において否定結果が得られた場合、紙幣制御部は次のステップSP6へ移る。
ステップSP6において紙幣制御部11は、鑑別部14において鑑別された紙幣を搬送部13により一時保留部15へ搬送させ、次のステップSP7へ移る。ステップSP7において紙幣制御部11は、入出金部12の紙幣センサ12E(図2)からの通知を基に、収容器12A内の全ての紙幣を取り込み終えたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、紙幣制御部11は、残りの紙幣を順次取り込むべく再度ステップSP2へ戻る。
一方、ステップSP7において肯定結果が得られると、紙幣制御部11は次のステップSP8へ移り、入金された全紙幣のなかに特定紙幣があったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは特定紙幣に応じた対処を行うべきであることを表しており、このとき紙幣制御部は次のステップSP9へ移る。
ステップSP9において紙幣制御部11は、主制御部9(図1)と連携しながら、操作表示部6を介して図6に示すような返却確認画面D1を表示し、次のステップSP10へ移る。このとき紙幣制御部11は、この返却確認画面D1を表示することにより、利用者に対し、投入された紙幣のなかに特定紙幣が含まれていたこと、金種、特定記番号、及びその特定記番号の説明を通知すると共に、この特定紙幣を返却するか否かを問い合わせる。
ステップSP10において紙幣制御部11は、利用者から特定紙幣を返却する指示を受け付けたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、紙幣制御部11は、特定紙幣を含む全紙幣を利用者へ返却するべく、次のステップSP13へ移る。一方、ステップSP10において否定結果が得られると、このことは特定紙幣を返却する必要が無いことを表しており、このとき紙幣制御部11は、次のステップSP11へ移る。
ステップSP11において紙幣制御部11は、主制御部9(図1)と連携しながら、操作表示部6に所定の取引継続確認画面を表示することにより、利用者に対し、入金された紙幣の合計金額を提示すると共に、入金取引を継続するか否かを確認し、次のステップSP12へ移る。ステップSP12において紙幣制御部11は、入金取引の継続指示があったか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは入金取引を中止すると共に入金された全ての紙幣を利用者に返却するべきであることを表しており、このとき紙幣制御部11は次のステップSP13へ移る。
ステップSP13において紙幣制御部11は、一時保留部15に保留している全ての紙幣を搬送部13により入出金部12へ順次搬送して、次のステップSP14へ移る。ステップSP14において紙幣制御部11は、入出金部12のシャッタ12Bを開放させることにより、収容器12A内の紙幣を利用者に取り出させた後、シャッタ12Bを閉塞してからステップSP17へ移り、入金処理手順RT1を終了する。
因みに紙幣制御部11は、特定紙幣を返却する場合には、操作表示部6に所定の表示画面を表示することにより、利用者に対し、特定紙幣の金種、特定記番号及び特定記番号の説明を再度通知すると共に、入金取引を行う場合には改めて最初から手続きを行うよう案内する。
一方、ステップSP12において肯定結果が得られると、このことは、入金された紙幣に特定紙幣が含まれていなかった状態、又は特定紙幣が含まれていたものの利用者により返却不要の指示がなされた状態であり、且つ入金取引の継続が指示されたことを表す。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP15へ移り、一時保留部に収納している全ての紙幣を搬送部13によって鑑別部14へ順次搬送することにより、当該鑑別部14に各紙幣を鑑別させ、鑑別結果を取得して次のステップSP16へ移る。
ステップSP16において紙幣制御部11は、各紙幣についての鑑別結果を基に、損傷の程度が小さい紙幣については金種ごとの紙幣収納庫16を、また損傷の程度が大きい紙幣についてはリジェクト庫17を、それぞれの搬送先として決定する。さらに紙幣制御部11は、各紙幣を搬送部13によりそれぞれの搬送先へ搬送して収納させ、次のステップSP17へ移って入金処理手順RT1を終了する。
このように紙幣入出金機10は、入金取引において入金された紙幣に特定紙幣が含まれているか否かを判断し、含まれていた場合には、利用者に通知して特定紙幣を返却するか否かを確認し、返却の指示がなされた場合に特定紙幣を含む全紙幣を返却するようになっている。
[1−4.出金処理]
次に、紙幣入出金機10における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機1において利用者との間で出金取引が行われる場合、紙幣入出金機10の紙幣制御部11は、記憶部11Mから出金プログラムを読み出して実行する。具体的に紙幣制御部11は、まず主制御部9(図1)等と連携しながら、カード入出口4(図1)を介してカード処理部4A(図3)へキャッシュカードを挿入させて口座番号を特定すると共に、操作表示部6を介して出金額を入力させる。
次に紙幣制御部11は、入力された出金額を基に、出金する紙幣の金種及び枚数を決定し、この金種及び枚数に応じた紙幣を紙幣収納庫16から繰り出させる。続いて紙幣制御部11は、この紙幣を搬送部13により鑑別部14へ搬送して鑑別させ、その鑑別結果を基に、搬送状態(重送やスキューの有無)や損傷の程度に問題が無いことを確認する。
さらに紙幣制御部11は、この紙幣を入出金部12へ順次搬送し、放出口12Dから収容器12A内へ順次放出する。紙幣制御部11は、全ての紙幣を入出金部12へ搬送し終えると、シャッタ12Bを開放して利用者に紙幣を取り出させ、その後シャッタ12Bを閉塞して出金取引を終了する。
[1−5.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、利用者にとって価値が高い特定記番号を予め特定記番号記憶部11Sに記憶させておく。そして紙幣入出金機10は、入金取引において入金された紙幣の記番号をこの特定記番号と照合し、一致した場合には操作表示部6に返却確認画面D1(図5)を表示して返却するか否かを利用者に問い合わせ、指示に応じて返却する。
このため紙幣入出金機10は、利用者が紙幣のなかに特定記番号が付された紙幣(特定紙幣)が含まれていたことに気づかずに入金したとしても、このことを利用者に知らせることができ、さらには必要に応じて返却できる。これを換言すれば、紙幣入出金機10は、入金され一度利用者の手元から離れた紙幣が特定紙幣だった場合には、当該紙幣が本来的に当該利用者の所有物であったことを踏まえ、当該利用者の指示に基づき、当該利用者の手元に返却することができる。
また紙幣入出金機10は、一般的に価値が高いと想定される特定記番号に加えて、個別の利用者にとって意味のある数字を、特定記番号として予め特定記番号記憶部11Sの個別特定記番号リストL2に予め記憶させるため、利用者それぞれにとって価値が高い特定記番号をきめ細かく探し出すことができる。
さらに紙幣入出金機10は、返却確認画面D1等に記番号を表示する際、その説明を併せて表示することにより、利用者が特定記番号のみからではその意味をとっさに思い出せなかったとしても、この説明からその意味を思い出し、返却の要否を容易に判断することができる。
そのうえ紙幣入出金機10は、利用者が特定紙幣の返却を指示しなかった場合、入金取引を継続して正常に完了することができる。このため紙幣制御部11は、特定紙幣に興味が無く入金取引の完了を重視する利用者に対し、余分な手間をかけさせること無く、円滑に入金取引を完了することができる。
ところで従来の紙幣入出金機は、紙幣の金種、真偽、損傷の程度等を鑑別し、さらには精巧な偽造紙幣の識別等をするために記番号を読み取る鑑別部を有しおり、また入金された紙幣については必ず鑑別部において鑑別していた。このため本実施の形態による紙幣入出金機10は、特定記番号が付された紙幣を鑑別するためのイメージセンサ等を別途設ける必要が無く、また入金取引における紙幣の搬送経路や搬送手順についても従来から大きく変更する必要も無い。
また紙幣入出金機10は、特定紙幣を利用者に返却する場合、入金された全紙幣を返却するため、特定紙幣を他の紙幣とより分けて利用者に返却する、といった複雑な紙幣の搬送処理を行う必要が無く、入金取引が中断された場合と同様の処理を行うだけで済む。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、一般的に価値が高いと想定される特定記番号及び個別の利用者から申請され当該利用者にとって価値が高い特定記番号を予め特定記番号記憶部11Sに記憶させ、入金取引において入金された紙幣の記番号をこの特定記番号と照合して、一致した場合には返却するか否かを利用者に問い合わせる。これにより紙幣入出金機10は、利用者が気づかずに入金してしまった紙幣に特定紙幣が含まれていたとしても、これを通知することができ、指示に応じて利用者に返却することができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110(図2及び図3)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部111を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部111は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。
また紙幣制御部111は、第1の実施の形態と同様に共通特定記番号リストL1及び個別特定記番号リストL2(図4)を記憶する特定記番号記憶部11Sを有する他、記憶部11Mに代わる記憶部111Mを有している。記憶部111Mは、記憶部11Mと同様、各種プログラム等の種々の情報を記憶するものの、第1の実施の形態とは異なる入金プログラムを記憶している。
[2−1.入金処理]
次に、紙幣入出金機110における紙幣の入金処理について説明する。現金自動預払機101において利用者との間で入金取引が行われる場合、紙幣入出金機110の紙幣制御部111は、記憶部111Mから入金プログラムを読み出して実行することにより、図5と対応する図7及び図8に示す入金処理手順RT2を開始してステップSP21へ移る。
紙幣制御部111は、ステップSP21〜SP28において、第1の実施の形態におけるステップSP1〜SP8とそれぞれ同様の処理を行う。ただし紙幣制御部111は、ステップSP25において特定記番号の存在を記憶する際、全ての紙幣に対する順序を合わせて記憶させておく。ステップSP28において肯定結果が得られると、紙幣制御部111は、次のステップSP29へ移る。
ステップSP29において紙幣制御部111は、主制御部9(図1)と連携しながら、操作表示部6を介して返却確認画面D1(図6)を表示して特定紙幣を返却するか否かを問い合わせ、特定紙幣を返却する指示若しくは返却しない指示を受け付けた上で、次のステップSP30へ移る。また紙幣制御部111は、ステップSP28において否定結果が得られた場合、特定紙幣について何ら問い合わせること無く、次のステップSP30へ移る。
ステップSP30において紙幣制御部111は、主制御部9(図1)と連携しながら、操作表示部6に所定の取引継続確認画面を表示することにより、利用者に対し、入金された紙幣の合計金額を提示すると共に、入金取引を継続するか否か、及び追加入金を行うか否かを確認し、次のステップSP31へ移る。
この取引継続確認画面において表示される合計金額は、特定紙幣の返却指示を受け付けた場合、この特定紙幣を除いた合計金額が表示される。また追加入金とは、特定紙幣があり、且つその返却指示を受け付けた場合に、利用者が予定していた金額に合わせるために、追加で紙幣を入金することを意味している。
ステップSP31において紙幣制御部111は、入金取引の継続指示があったか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは入金取引を中止すると共に入金された全ての紙幣を利用者に返却するべきであることを表しており、このとき紙幣制御部11は次のステップSP32へ移る。
紙幣制御部111は、ステップSP32及び33において、ステップSP13及び14(図5)と同様の処理を行うことにより、一時保留部15に保留していた全ての紙幣を入出金部12へ搬送し、シャッタ12Bを開放させて紙幣を利用者に取り出させた後、シャッタ12Bを閉塞してからステップSP46(図8)へ移り、入金処理手順RT2を終了する。
一方、ステップSP31において肯定結果が得られると、紙幣制御部111は次のステップSP34へ移り、追加入金を行う指示があったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、紙幣制御部111は、次のステップSP35へ移って入出金部12のシャッタ12Bを開放して利用者に追加の紙幣を入金させた上で、再度ステップSP22へ戻って一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP34において否定結果が得られると、このことは利用者が入金処理の継続を指示しており、且つこれ以上紙幣を入金する意図が無いため、一時保留部15に収納している紙幣のうち特定紙幣を利用者に返却する一方、他の紙幣を紙幣収納庫16又はリジェクト庫17へ搬送して収納すべきことを表している。このとき紙幣制御部111は、次のステップSP36(図8)へ移る。
ステップSP36において紙幣制御部111は、ステップSP29(図7)において利用者から特定紙幣の返却指示を受け付けていたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは特定紙幣があったとしても、全ての紙幣を返却すること無く収納すべきであることを表しており、このとき紙幣制御部111は次のステップSP37へ移る。
ステップSP37において紙幣制御部111は、ステップSP15及びSP16(図5)と同様、一時保留部15に収納している全ての紙幣を鑑別部14へ順次搬送して鑑別結果を取得し、これを基に紙幣収納庫16又はリジェクト庫17をそれぞれの搬送先として決定し、各紙幣を搬送して収納させた後、ステップSP46へ移って入金処理手順RT2を終了する。
一方、ステップSP36において肯定結果が得られると、このことは特定紙幣を利用者へ返却すると共に、他の紙幣を紙幣収納庫16又はリジェクト庫17へ収納すべきであることを表しており、このとき紙幣制御部111は次のステップSP39へ移る。
ステップSP39において紙幣制御部111は、一時保留部15から次に繰り出される紙幣の順序を確認し、次のステップSP40へ移る。ステップSP40において紙幣制御部111は、記憶部111Mに記憶している特定紙幣の順序を基に、一時保留部15において収納時と繰出時とで紙幣の順序が逆転することを考慮しながら、次に当該一時保留部15から繰り出す紙幣が特定紙幣であるか否かを判定する。
ここで肯定結果が得られると、このことは次に一時保留部15から繰り出される紙幣が特定紙幣であるため利用者へ返却すべきであることを表しており、このとき紙幣制御部111は次のステップSP41へ移る。ステップSP41において紙幣制御部111は、特定紙幣を搬送部13により入出金部12へ搬送し、放出口12Dから収容器12A内へ放出させて、次のステップSP44へ移る。
一方、ステップSP40において否定結果が得られると、このことは次に一時保留部15から繰り出される紙幣を紙幣収納庫16又はリジェクト庫17に収納すべきであることを表しており、このとき紙幣制御部111は次のステップSP42へ移る。ステップSP42において紙幣制御部111は、一時保留部15から1枚の紙幣を搬送部13によって鑑別部14へ搬送させ、当該鑑別部14に各紙幣を鑑別させて鑑別結果を取得して、次のステップSP43へ移る。
ステップSP43において紙幣制御部111は、この紙幣についての鑑別結果を基に、損傷の程度が小さい場合はその金種に応じた紙幣収納庫16を、また損傷の程度が大きい紙幣についてはリジェクト庫17を、搬送先として決定する。さらに紙幣制御部111は、この紙幣を搬送部13によりこの搬送先へ搬送して収納させ、次のステップSP44へ移る。
ステップSP44において紙幣制御部111は、一時保留部15内の全ての紙幣を繰り出して入出金部12、紙幣収納庫16又はリジェクト庫17への搬送を完了したか否かを判別する。ここで否定結果が得られると、紙幣制御部111は、再びステップSP39へ戻って一連の処理を繰り返すことにより、一時保留部15内の紙幣を順次搬送する。
一方、ステップSP44において肯定結果が得られると、このとき紙幣制御部111は次のステップSP45へ移り、入出金部12のシャッタ12Bを開放させて利用者に収容器12A内から特定紙幣を取り出させ、当該シャッタ12Bを閉塞させてから次のステップSP46へ移って入金処理手順RT2を終了する。
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、第1の実施の形態と同様、特定記番号を予め特定記番号記憶部11Sに記憶させておき、入金取引において入金された紙幣の記番号をこの特定記番号と照合して、一致した場合には返却するか否かを利用者に問い合わせる。
このため紙幣入出金機110は、第1の実施の形態と同様、利用者が紙幣のなかに特定記番号が付された紙幣(特定紙幣)が含まれていたことに気づかずに入金したとしても、このことを利用者に知らせることができ、さらには必要に応じて返却できる。
特に紙幣入出金機110は、第1の実施の形態とは異なり、特定紙幣を利用者に返却する際、入金された全紙幣では無く、特定紙幣のみを選別して返却する(ステップSP40、SP41及びSP45)。このため紙幣入出金機110は、利用者に多数の紙幣のなから特定紙幣を選び出させる必要が無く、容易に取得させることができる。
また紙幣入出金機110は、取引継続確認画面を表示する際に、追加入金を行うか否かを利用者に問い合わせ、行う指示を受けた場合には、入出金部12から紙幣を再度入金させることができる。このため紙幣入出金機110は、特に特定紙幣を返却する場合に、当該特定紙幣を返却することに伴い入金額が当初の予定よりも減少しているところ、これを補う機会を利用者に与えることができる。すなわち紙幣入出金機110は、特定紙幣を利用者の手元に返却することができる上、当該利用者が当初予定していた金額での入金取引を行うこともできる。
その他の点についても、紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、特定記番号を予め特定記番号記憶部11Sに記憶させ、入金取引において入金された紙幣の記番号をこの特定記番号と照合して、一致した場合には返却するか否かを利用者に問い合わせ、また利用者の要望に応じて追加の入金を受け付ける。これにより紙幣入出金機110は、利用者が気づかずに入金してしまった紙幣に特定紙幣が含まれていたとしても、これを通知することができ、指示に応じて利用者に特定紙幣のみを返却することができ、さらに当初予定していた金額の入金取引を行わせることができる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動預払機201(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機210(図2及び図3)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部211を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部211は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。
また紙幣制御部211は、第1の実施の形態と同様に共通特定記番号リストL1及び個別特定記番号リストL2(図4)を記憶する特定記番号記憶部11Sを有する他、記憶部11Mに代わる記憶部211Mを有している。記憶部211Mは、記憶部11Mと同様、各種プログラム等の種々の情報を記憶するものの、第1の実施の形態とは異なる入金プログラムを記憶している。
[3−1.入金処理]
次に、紙幣入出金機210における紙幣の入金処理について説明する。現金自動預払機201において利用者との間で入金取引が行われる場合、紙幣入出金機210の紙幣制御部211は、記憶部211Mから入金プログラムを読み出して実行することにより、図5と対応する図9及び図10に示す入金処理手順RT3を開始してステップSP51へ移る。
紙幣制御部211は、ステップSP51〜SP54において、第1の実施の形態におけるステップSP1〜SP4(図9)と同様の処理を行う。このステップSP4において肯定結果が得られた場合、紙幣制御部211は次のステップSP55へ移る。
ステップSP55において紙幣制御部211は、特定紙幣を搬送部13により鑑別部14から入出金部12へ搬送させ、放出口12D(図2)から放出させて収容器12A内へ放出させ、次のステップSP57へ移る。ここで収容器12Aは、内部に可動式の仕切板が設けられており、放出された特定紙幣を取込前の他の入金紙幣と区別した状態で収容する。
一方、ステップSP54において否定結果が得られた場合、紙幣制御部211は次のステップSP56へ移り、搬送部13により紙幣を鑑別部14から一時保留部15へ搬送させ、次のステップSP57へ移る。
ステップSP57において紙幣制御部211は、収容器12Aに収容されている紙幣のうち当初入金された紙幣、すなわち特定紙幣として戻されたものを除いた紙幣の取込を完了したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、紙幣制御部211は、残りの紙幣を順次取り込むべく、再度ステップSP52へ戻る。
一方、ステップSP57において肯定結果が得られると、紙幣制御部211は、次のステップSP58へ移る。ステップSP58〜SP63において紙幣制御部211は、第2の実施の形態におけるステップSP28〜SP33とそれぞれ同様の処理を行う。ただしステップSP62において紙幣制御部211は、既に特定紙幣が入出金部12の収容器12A内へ搬送されていた場合には、残りの全ての紙幣を入出金部12へ搬送する。
一方、ステップSP61において肯定結果が得られると、紙幣制御部211は次のステップSP64(図10)へ移り、ステップSP59(図9)において利用者から特定紙幣の返却指示を受け付けていたか否かを判定する。
ここで否定結果が得られると、このことは特定紙幣があったとしても、全ての紙幣を返却すること無く収納すべきであることを表しており、このとき紙幣制御部111は次のステップSP65へ移る。ステップSP65は、入出金部12へ搬送済みの特定紙幣を搬送部13により一時保留部15へ搬送することにより他の紙幣と同様に収納し、次のステップSP70へ移る。
一方、ステップSP64において肯定結果が得られると、このことは既に入出金部12へ搬送済みの特定紙幣を利用者に返却すべきであることを表しており、このとき紙幣制御部211は次のステップSP66へ移り、シャッタ12Bを開放して利用者に収容器12Aから特定紙幣を取り出させ、当該シャッタ12Bを閉塞して次のステップSP67へ移る。
ステップSP67において紙幣制御部211は、主制御部9(図1)と連携して操作表示部6に所定の追加入金確認画面を表示させ、次のステップSP68へ移る。ここで追加入金確認画面には、特定紙幣を返却した後の合計金額、すなわち当初投入された紙幣の合計金額から特定紙幣の金額を差し引いた金額が表示されると共に、追加入金を行うか否かを問い合わせる内容が表示される。
ステップSP68において紙幣制御部211は、追加入金の指示を受け付けたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、紙幣制御部211は次のステップSP69へ移り、入出金部12のシャッタ12Bを開放して利用者に紙幣を投入させ、当該シャッタ12Bを閉塞した後、再度ステップSP52(図9)へ戻り、追加して入金された紙幣に対し一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP68において否定結果が得られると、このことは利用者が入金処理の継続を指示しており、且つこれ以上紙幣を入金する意図が無く、さらに特定紙幣を既に利用者に返却しているため、残った紙幣を紙幣収納庫16又はリジェクト庫17へ搬送して収納させるべきであることを表している。このとき紙幣制御部211は、次のステップSP70へ移る。
ステップSP70において紙幣制御部211は、ステップSP15及びSP16(図5)と同様、一時保留部15に収納している全ての紙幣を鑑別部14へ順次搬送して鑑別結果を取得し、これを基に紙幣収納庫16又はリジェクト庫17を搬送先としてそれぞれ決定し、各紙幣を搬送して収納させた後、ステップSP72へ移って入金処理手順RT3を終了する。
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、第1の実施の形態と同様、特定記番号を予め特定記番号記憶部11Sに記憶させておき、入金取引において入金された紙幣の記番号をこの特定記番号と照合して、一致した場合には返却するか否かを利用者に問い合わせる。
このため紙幣入出金機210は、第1の実施の形態と同様、利用者が紙幣のなかに特定記番号が付された紙幣(特定紙幣)が含まれていたことに気づかずに入金したとしても、このことを利用者に知らせることができ、さらには必要に応じて返却できる。
特に紙幣入出金機210は、第2の実施の形態と同様、特定紙幣を利用者に返却する際、入金された全紙幣では無く、特定紙幣のみを選別して返却する(ステップSP54、SP55及びSP66)。このため紙幣入出金機210は、利用者に多数の紙幣のなから特定紙幣を選び出させる必要が無く、容易に取得させることができる。
また紙幣入出金機210は、取引継続確認画面を表示する際に、追加入金を行うか否かを利用者に問い合わせ、行う指示を受けた場合には、入出金部12から紙幣を再度入金させることができる。このため紙幣入出金機210は、第2の実施の形態と同様、特定紙幣を利用者の手元に返却することができる上、当該利用者が当初予定していた金額での入金取引を行うこともできるので、当該利用者の満足感を非常に高めることができる。
さらに紙幣入出金機210は、入出金部12から取り込んだ紙幣が特定紙幣であることが判明した場合、当該特定紙幣を一時保留部15へ搬送すること無く、当該入出金部12へ搬送して収容器12A内に収容しておく。このため紙幣入出金機210は、利用者から返却指示を受け付けた場合、シャッタ12Bを開放するだけで、利用者を殆ど待たせること無く特定紙幣を取り出させることができる。
その他の点についても、紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、特定記番号を予め特定記番号記憶部11Sに記憶させ、入金取引において入金された紙幣の記番号をこの特定記番号と照合して、一致した場合には返却するか否かを利用者に問い合わせ、また利用者の要望に応じて追加の入金を受け付ける。これにより紙幣入出金機210は、利用者が気づかずに入金してしまった紙幣に特定紙幣が含まれていたとしても、これを通知することができ、指示に応じて利用者に特定紙幣のみを返却することができ、さらに当初予定していた金額の入金取引を行わせることができる。
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態による現金自動預払機301(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機310を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機310(図2及び図3)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部311を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部311は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。
また紙幣制御部311は、第1の実施の形態と同様に共通特定記番号リストL1及び個別特定記番号リストL2(図4)を記憶する特定記番号記憶部11Sを有する他、記憶部11Mに代わる記憶部311Mを有している。記憶部311Mは、記憶部11Mと同様、各種プログラム等の種々の情報を記憶するものの、第1の実施の形態とは異なる出金プログラムを記憶している。
[4−1.出金処理]
次に、紙幣入出金機310における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機301において利用者との間で出金取引が行われる場合、紙幣入出金機310の紙幣制御部311は、記憶部311Mから出金プログラムを読み出して実行することにより、図11に示す出金処理手順RT4を開始してステップSP81へ移る。
ステップSP81において紙幣制御部311は、主制御部9(図1)と連携しながら操作表示部6を介して出金取引の開始操作を受け付け、利用者に出金額を入力させて次のステップSP82へ移る。因みに紙幣制御部311は、例えばカード入出口4(図1)を介してカード処理部4A(図3)へキャッシュカードを挿入させ、その磁気情報を読み取ることで、この利用者の口座番号を特定する。
ステップSP82において紙幣制御部311は、出金額を基に出金する紙幣(以下これを出金紙幣と呼ぶ)の金種及び枚数を決定し、次のステップSP83へ移る。ステップSP83において紙幣制御部311は、紙幣収納庫16から出金紙幣を構成する1枚の紙幣を繰り出し、次のステップSP84へ移る。ステップSP84において紙幣制御部311は、紙幣を鑑別部14へ搬送して鑑別させることによりその鑑別結果及び記番号を取得し、次のステップSP85へ移る。
ステップSP85において紙幣制御部311は、第1の実施の形態におけるステップSP3(図5)と同様、取得した記番号(読取記番号)を、特定記番号記憶部11Sに記憶している特定記番号と比較し、次のステップSP86へ移る。
ステップSP86において紙幣制御部311は、読取記番号が特定記番号であったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、紙幣制御部311は、次のステップSP87へ移り、出金紙幣のなかに特定記番号が付された紙幣(すなわち特定紙幣)が存在することを記憶し、次のステップSP88へ移る。一方、ステップSP86において否定結果が得られた場合、紙幣制御部311は次のステップSP88へ移る。
ステップSP88において紙幣制御部311は、出金紙幣を紙幣収納庫16から全て繰り出したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、紙幣制御部311は再びステップSP83へ戻ることにより、残りの出金紙幣を繰り出して一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP88において肯定結果が得られると、このことは全ての出金紙幣が入出金部12へ搬送されて収容器12A内に収容されていることを表している。このとき紙幣制御部311は、次のステップSP89へ移り、出金紙幣に特定紙幣が含まれていたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、紙幣制御部311は次のステップSP90へ移る。
ステップSP90において紙幣制御部311は、主制御部9(図1)と連携しながら、操作表示部6を介して図12に示すような出金確認画面D2を表示し、次のステップSP91へ移る。このとき紙幣制御部311は、この出金確認画面D2を表示することにより、利用者に対し、出金される紙幣のなかに特定紙幣が含まれていること、金種、特定記番号、及びその特定記番号の説明を通知する。またこの出金確認画面D2には、GUI(Graphical User Interface)による確認ボタンが表示されている。
ステップSP91において紙幣制御部311は、出金確認画面D2の確認ボタンに対する押下操作がなされたか否かを確認する。ここで否定結果が得られると、このことは出金確認画面D2に表示した内容を利用者が読んでおらず、理解されていない可能性が高いことを表す。このとき紙幣制御部311はこのステップSP91を繰り返すことにより、利用者による確認ボタンの押下操作(タッチ操作)を待ち受ける。
一方、ステップSP91において肯定結果が得られると、このことは出金確認画面D2に表示した内容を利用者が読んで理解した可能性が高いことを表しており、このとき紙幣制御部311は次のステップSP92へ移る。ステップSP92において紙幣制御部311は、入出金部12のシャッタ12Bを開放して出金紙幣を利用者に取り出させ、その後シャッタ12Bを閉塞した上でステップSP93へ移り、この出金処理手順RT4を終了する。
[4−2.動作及び効果]
以上の構成において、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、特定記番号を予め特定記番号記憶部11Sに記憶させておき、出金取引において出金する紙幣の記番号をこの特定記番号と照合して、一致した場合には特定紙幣が含まれる旨を利用者に通知する。
このため紙幣入出金機310は、利用者に対し、指定された金額の紙幣を出金することに加えて、その紙幣のなかに特定記番号が付された紙幣(特定紙幣)が含まれていること、及びその記番号や説明を認識させることができる。
また紙幣入出金機310は、出金確認画面D2(図12)を表示する際、確認ボタンを表示し、当該確認ボタンが押下されるまで入出金部12のシャッタ12Bを開放させないようにした。これにより紙幣入出金機310は、利用者に出金確認画面D2の内容を確実に伝えることができ、見過ごされるおそれを格段に低減させることができる。
さらに紙幣入出金機310は、特定記番号の設定に関し、第1の実施の形態と同様、一般的に価値が高いと想定される特定記番号に加えて、個別の利用者により申請され当該利用者にとって価値が高い数字を、特定記番号として予め特定記番号記憶部11Sの個別特定記番号リストL2に予め記憶させるため、利用者の好みに応じた特定記番号をきめ細かく探し出すことができる。
以上の構成によれば、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、一般的に価値が高いと想定される特定記番号及び個別の利用者にとって意味のある特定記番号を予め特定記番号記憶部11Sに記憶させ、出金取引において出金される紙幣の記番号をこの特定記番号と照合して、一致した場合には利用者に通知する。これにより紙幣入出金機310は、利用者が受け取る出金紙幣に特定紙幣が含まれていた場合、これを通知することができる。
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、記番号が英文字及び数字の組み合わせである場合に、利用者の申請に基づいて特定記番号を特定記番号記憶部11Sに記憶させる際、数字のみ全桁分を指定させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば英文字についても利用者に指定させても良く、また数字の一部をワイルドカード(*)として指定させても良い。この場合、記番号の比較処理においていわゆる部分一致の判断処理を行えば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、各桁を構成する数字に特殊性がある記番号と、特定の利用者にとって各桁を構成する数字に特別な意味があり価値が高い記番号とを、特定記番号として特定記番号記憶部11Sに記憶させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各桁を構成する数字に特殊性がある記番号のみ、或いは特定の利用者にとって各桁を構成する数字に特別な意味があり価値が高い記番号のみを、特定記番号として特定記番号記憶部11Sに記憶させても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、特定記番号及びその説明を返却確認画面D1(図5)に表示する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば返却確認画面D1への表示に加えて、入金取引の終了後にレシート処理部8A(図3)により発行されるレシートに特定記番号及びその説明を印字するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。また第4の実施の形態においては、例えば出金確認画面D2の表示及び確認ボタンの押下操作をトリガとするシャッタ12Bの開放処理を省略し、通常の出金時と同様にシャッタ12Bを開放させた上で、レシートに特定記番号及びその説明を印字するようにしても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、返却確認画面D1(図5)に具体的な記番号及びその説明を表示する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば説明を省略しても良く、或いは具体的な記番号の表示を省略して特定紙幣が存在することのみを通知するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、利用者の申請に基づいて特定記番号を個別特定記番号リストL2(図4)に格納して特定記番号記憶部11Sに記憶させる際、当該特定記番号の説明も記憶させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、説明を省略して特定記番号のみを記憶させるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、利用者の申請に基づいて特定記番号を特定記番号記憶部11Sに記憶させる際、金種については特に指定しない場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金種も指定できるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金された紙幣のなかに特定紙幣があった場合、利用者に対し、返却するか否かを問い合わせるようにした場合について述べた(図6)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば入金された紙幣のなかに特定紙幣があった場合、利用者に対し無条件に特定紙幣を返却するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2及び第3の実施の形態においては、特定紙幣を返却する指示を受けた場合に、利用者の指示に応じて追加入金を受け付ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、追加入金を受け付けないようにしても良い。またこれと反対に、第1の実施の形態において、追加入金を受け付けるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、操作表示部6(図1)に表示する返却確認画面D1(図5)により特定紙幣の存在を利用者に通知する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば返却確認画面D1表示と共に所定の警告音を再生することにより利用者に通知するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。また第4の実施の形態においては、例えば出金確認画面D2の表示を省略してレシートに特定記番号及びその説明を印字する場合に、警告音を再生するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機10の紙幣制御部11により入金処理手順RT1(図5)に従った入金処理を実行する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば主制御部9単独又は当該主制御部9及び紙幣制御部11の協働により入金処理を実行しても良い。この場合、特定記番号については、紙幣制御部11の特定記番号記憶部11Sに限らず、主制御部9の記憶部に記憶させても良く、さらにはネットワーク等の通信手段を介して外部のサーバ等に記憶させ、そこから取得するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金プログラムを紙幣制御部11の記憶部11Mに予め記憶させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば主制御部9の記憶部に記憶させておいても良く、また図示しないネットワークを介して外部のサーバ等からダウンロードして取得しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、利用者との間で入金取引及び出金取引を行う現金自動預払機1の紙幣入出金機10に本発明を適用した場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば両替機や自動販売機など、利用者との間で商品の購入等に伴い紙幣を授受する種々の装置に本発明を適用しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、一意の識別番号として記番号が付された紙幣を取り扱う現金自動預払機1の紙幣入出金機10に本発明を適用した場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金券や証券等、一意の識別番号が付された種々の媒体を取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、記憶部としての特定記番号記憶部11Sと、鑑別部としての鑑別部14と、比較部としての紙幣制御部11と、通知部としての操作表示部6とによって媒体処理装置としての紙幣入出金機10を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる記憶部と、鑑別部と、比較部と、通知部とによって媒体処理装置を構成するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、授受部としての入出金口5及び入出金部12と、記憶部としての特定記番号記憶部11Sと、鑑別部としての鑑別部14と、比較部としての紙幣制御部11と、通知部としての操作表示部6とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる授受部と、記憶部と、鑑別部と、比較部と、通知部とによって媒体取引装置を構成するようにしても良い。