JP2015169248A - 歯車設計支援方法、歯車設計支援プログラム及び歯車設計支援装置 - Google Patents

歯車設計支援方法、歯車設計支援プログラム及び歯車設計支援装置 Download PDF

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Abstract

【課題】動力伝達機構の動的挙動を現実の条件に見合った条件で解析可能な歯車設計支援方法、歯車設計支援装置を提供する。【解決手段】動力伝達機構に含まれる各歯車の基本諸元情報、駆動条件情報、形状誤差情報を含む基本情報、摩耗特性情報、表面粗さ情報、各歯車に塗布する潤滑油の特性情報、を入力し、基本情報に基づいて各歯車の動的挙動を定義した運動方程式を生成し、動力伝達機構の動作時間軸に沿って運動方程式を解いて歯車の動作結果を算出し、動作結果、基本情報、摩耗特性情報、前記表面粗さ情報、潤滑油の特性情報に基づいて歯面突部の接触力を算出し、算出された接触力と、基本情報と、摩耗特性情報、表面粗さ情報及び潤滑油の特性情報に基づいて、各歯車における経時による形状誤差変化量を算出し、形状誤差変化量に基づいて運動方程式における前記形状誤差情報を更新し、動作結果算出工程で算出された動作結果を出力する。【選択図】図4

Description

本発明は、歯車を用いた動力伝達機構をモデル化して歯車の設計を支援する歯車設計支援方法、歯車設計支援プログラム、及び歯車設計支援装置に関する。
複写機やプリンタといった精密機械製品等の動力伝達系として用いられる歯車機構(動力伝達機構)の設計を支援する歯車設計支援装置が知られている。
係る歯車設計支援装置は、基本諸元、駆動条件、材質、歯車精度といった設計パラメータを用いて動力伝達機構をモデル化し、これらのパラメータが歯車の動作、回転伝達特性(回転ムラ、速度ムラ)に与える影響を解析して示すことで設計支援を行う装置である。
このような装置で正確な解析を行うためには、設計パラメータをより実際に即したものとして動力伝達機構を適切にモデル化する必要がある。
例えば、歯車を用いた動力伝達系において、経時にて歯面が摩耗することにより諸元が変化し、この変化によって回転伝達特性が変化するが、このようなパラメータの変化を考慮せずに解析を行うと、動力伝達機構の正確な解析、的確な設計支援を行うことが出来ない。
それに対し、特許文献1には、ギヤの初期形状誤差を用いて解析を行うことにより算出した噛み合い力や歯幅から求めた面圧を用いて歯面の摩耗量を算出し、この摩耗量を初期形状誤差に加算していくことで、経時によるギヤ特性の変化を予測する方法が記載されている。
これにより、動力伝達機構の動的挙動を現実の条件に見合った条件で解析が可能である。
ところで、製品の小型、軽量化が進んでくると一つの駆動源(モータ)に多数の歯車列を接続し、速度やトルクを分配するケースが多くなっている。
その結果歯車に対する力の加わり方もより複雑になり、歯車の摩耗劣化が進みやすくなる。そこで、特に耐久性を考慮したような歯車機構では、歯車にグリス状の潤滑油を塗布する場合がある。
従って、このような場合をも考慮して、動力伝達機構における回転伝達特性等の動的挙動を設計段階で予測できる設計支援装置や方法が強く望まれる。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、動力伝達機構の動的挙動を現実の条件により見合った条件で解析可能な歯車設計支援方法、歯車設計支援装置を提供することを目的とする。
上記の問題を解決するために、請求項1の発明は、一つの駆動軸に設けられた歯車と、一または複数の被駆動軸に設けられた歯車と、を備える動力伝達機構の動的挙動を解析する歯車設計支援方法において、前記動力伝達機構に含まれる各歯車の基本諸元情報、駆動条件情報及び形状誤差情報を含む基本情報と、各歯車の摩耗特性情報と、各歯車の表面粗さ情報と、各歯車の歯面に塗布する潤滑剤の特性情報と、を入力する入力工程と、各歯車の動的挙動を定義した運動方程式を生成する方程式生成工程と、前記基本情報に基づいて、前記動力伝達機構の動作時間軸に沿って前記運動方程式を解き各歯車の動作結果を算出する動作結果算出工程と、前記基本情報と、前記表面粗さ情報と、前記潤滑剤の特性情報と、に基づいて互いに噛み合う前記歯車の接触力を算出する接触力算出工程と、前記基本情報と、前記接触力と、前記摩耗特性情報と、に基づいて、各歯車における経時による形状誤差変化量を算出する形状誤差変化量算出工程と、前記形状誤差変化量に基づいて前記運動方程式における前記形状誤差情報を更新する形状誤差情報更新工程と、前記動作結果算出工程で算出された動作結果を出力する出力工程と、を含む歯車設計支援方法を特徴とする。
上記のように構成したので、本発明によれば、動力伝達機構の動的挙動を現実の条件により見合った条件で解析可能な歯車設計支援方法、歯車設計支援装置を提供することが出来る。
本実施形態に係る歯車設計支援装置の概略構成を示す機能ブロック図。 本実施形態に係る歯車設計支援装置の概略構成の変形例を示す機能ブロック図。 歯車設計支援装置のソフトウェアによる機能ブロック図。 歯車設計支援装置における歯車の動作解析処理を示すフローチャート。 本実施形態の歯車設計支援装置による解析結果を示す図(その1)。 本実施形態の歯車設計支援装置による解析結果を示す図(その2)。 本実施形態の歯車設計支援装置による解析結果を示す図(その3)。 動作解析処理の変形例を示すフローチャート。 形状誤差変化量算出工程の変形例を示すフローチャート。 接触力算出工程の第1の変形例を示すフローチャート。 接触力算出工程の第2の変形例を示すフローチャート。 第1の適用例に係る歯車伝達機能系を示す図。 第2の適用例に係る歯車伝達機能系を示す図。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施形態の歯車設計支援装置は、一つの駆動軸と一つ又は複数の被駆動軸とこれら各軸に設置された歯車からなる歯車列とで構成される動力伝達機構をモデル化し、駆動軸の動作に対する被駆動軸の動的挙動(動力伝達機構の回転伝達特性)を解析するものである。
図1は、本実施形態に係る歯車設計支援装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
この歯車設計支援装置1は、PC(Personal Computer)等の情報処理装置に適用されるものである。
歯車設計支援装置1は、内部バスを介して接続されたCPU3、RAM5、表示装置7、入力装置(キーボード9、マウス11)、データ入出力部13、プリンタ15、ハードディスク装置17を備えている。
CPU(Central Processing Unit)3は、基本制御を行うOS(Operating System)に基づいて、コンピュータを本実施形態に係る歯車設計支援装置1として機能させるための各種制御プログラム(解析プログラム)を実行する。
RAM(Random Access Memory)5は、制御プログラムが展開されるとともにCPU3による解析結果や各種の一時データが記憶される記憶領域である。
表示装置7としては、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)を使用出来、解析結果を表示することが出来る。
ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)17は、CPU3の基本制御を行うOS(Operating System)と歯車設計支援のための歯車設計支援プログラムとを格納する情報記憶装置である。
データ入出力部13としては、例えばFDD(Floppy(登録商標) Disk Drive)を適用可能である。
FDDに、歯車列の基本諸元情報とその駆動条件情報、材質情報、摩耗特性情報、潤滑油特性情報、歯面の表面粗さ特性情報が記憶されたFD(Floppy(登録商標) Disk)19が挿入され、これらのデータが歯車設計支援装置1に読み込まれる。
「基本諸元情報」は、歯車列に含まれる各歯車の歯数、モジュール、圧力角、ねじれ角、歯幅、歯厚、軸の座標位置、どの歯車同士が噛み合うか、等の情報である。
「材質情報」は、各歯車の材質、密度、ヤング率、ポアソン比等である。
また「駆動条件情報」は、例えば駆動歯車、中間歯車(アイドラ)、従動歯車の夫々の初期位相角度(どの歯とどの歯から噛み合い始めるのか)、駆動軸に与える回転方向、目標速度及び駆動トルク、及び被駆動軸に加わる負荷トルクの情報である。
「摩耗特性情報」は、組み合わされる歯車の材質による摩擦係数、またはその摩耗進行度合いを示す比摩耗量の大きさの情報である。
「潤滑油特性情報」は、歯車列に含まれる歯車の歯面に付与するグリス潤滑剤の粘度、圧力粘度係数(圧力に対する粘度の増加割合)の情報である。
「歯面の表面粗さ特性情報」は、互いに噛み合う歯面(駆動側、従動側)の二乗平均平方根粗さ(JIS B 0601:2001参照)の情報である。
上記の内、基本諸元情報、材質情報、駆動条件情報を基本情報と称する。
これらの基本情報、潤滑油特性情報、歯面の表面粗さ特性情報は、キーボード9やマウス11等の入力装置を用いて入力されても良い。
また、上記の各種情報は、FD19のみならずCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)やCD−R/RW(Compact Disc Recordable/ReWritable)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等、他の可搬性記録媒体を介して歯車設計支援装置1に入力されてもよい。
また、歯車設計支援プログラム自体を可搬性記録媒体に格納しておいても良い。
このようにすることで、様々な場所、環境において、任意の情報処理装置を用いて容易に本実施形態の設計支援方法を容易に実行できる。
また、歯車設計支援装置1は、プリンタ15を用いて解析結果を紙出力(プリントアウト)することが出来る。
本実施形態の歯車設計支援装置によれば、動力伝達機構としての歯車系に含まれる歯車の動的な解析結果が得られ、設計時に有効な情報を表示装置に表示し、あるいは紙出力することが出来る。
図2は、本実施形態に係る歯車設計支援装置の概略構成の変形例を示す機能ブロック図である。
図1に示す構成では、CPU3の基本制御を行うOS及び歯車の動的な回転特性を算出して設計支援するプログラム(解析プログラム)を格納するハードディスク装置17をコンピュータ1内に備えていた。
それに対し、図2に示すようにハードディスク装置17を外部記憶装置として、HDDインターフェイス21を介して接続し、OSや解析プログラムを読み込むようにしても良い。
このように構成したことで、様々なコンピュータ等の情報処理装置で本実施形態に係る歯車設計支援プログラムを実行出来る。
図3は、図1、図2に示す歯車設計支援装置のソフトウェアによる機能ブロック図である。
図3に示すように、CPU3は、入力部31と、運動方程式生成部32と、動作結果算出部33と、形状誤差情報更新部34と、形状誤差変化量算出部35と、出力部36と、を実行する。
本実施形態に係る歯車設計支援における各工程を、コンピュータで実行可能なプログラムとしたことにより効率的に設計支援できるとともに、設計初心者でも問題なく設計を行うことが出来る。
入力部31は、FDなどの外部記録媒体やキーボードなどの入力装置から、解析対象となる歯車列の基本諸元情報と駆動条件情報、材質情報、摩耗特性情報、潤滑油特性情報、歯面表面粗さ特性情報を入力する。
運動方程式生成部32は、動力伝達機構(歯車)の動的挙動や運動特性(回転伝達特性)を表す運動方程式を生成する。
動作結果算出部33は、運動方程式生成部32が生成した運動方程式を解くことにより、動力伝達機構の動作結果の解析を行う。
形状誤差変化量算出部35は、歯車の回転に伴う摩耗による歯車の形状誤差の変化量を算出する。
形状誤差情報更新部34は、形状誤差変化量算出部35が算出した形状誤差変化量により、形状誤差情報を更新する。
出力部36は、動作結果算出部が解析した歯車の動的挙動、回転伝達特性の解析結果(動作結果)をプリンタ15や表示装置7に出力する。
図4は、図1、図2に示す歯車設計支援装置における歯車の動作解析処理を示すフローチャートである。
[基本データ入力工程]
CPU3は、ステップ101において、解析対象となる歯車列の「基本諸元情報」、「駆動条件情報」、「材質情報」、「摩耗特性情報」、「潤滑油特性情報」、「歯面表面粗さ特性情報」を入力する。
すなわち、入力装置を用いた使用者による情報の入力や、データ入出力部13を介した情報の入力を受け付け、RAM8に展開する。
次に、CPU3は、ステップS102(初期形状誤差情報入力工程)において、歯車列に含まれる各歯車について歯形誤差と、歯すじ誤差と、累積ピッチ誤差よりなる誤差情報(JIS B 1702:1998参照)をRAM8に展開する。
この誤差情報は、予め設計支援プログラムの一部として定義されていても良いし、入力装置、データ入出力部13から任意の値が入力されても良い。
次に、CPU3は、ステップS103(歯車対の歯対力算出工程)において、各歯車対の「歯対剛性」と「歯車形状誤差」と「歯対のたわみ量」から、歯車の歯における「歯対力」を算出する。
歯対剛性は、各歯車のヤング率、サイズ(モジュール、歯厚)、歯面上の接触点から算出される。
なお本実施形態では歯車の偏心を考慮していないので、歯面上での接触点は、固定した作用線(互いに噛み合う歯車の基礎円への共通接線)と歯面曲線であるインボリュート曲線の交点から得られる。
ヤング率は上記した「材質情報」に含まれ、サイズは「基本諸元情報」に含まれる。
また、「歯車形状誤差」は上記した「誤差情報」に含まれる。
「歯対のたわみ量」は、駆動側軸の歯車の回転角と従動側軸の歯車の回転角と減速比とを考慮することにより得られる。
[運動方程式生成工程]
次に、CPU3は、ステップS104において、ステップS103で求めた歯対毎の歯対力や慣性力、粘性力を左辺におき、右辺には軸へのトルクである駆動トルク(駆動軸)や負荷トルク(従動軸)をおいた運動方程式を歯対ごとに生成する(下式(1))。

Figure 2015169248

ただし、
J:歯車の慣性モーメント
θ:歯車の回転角度
c:粘性係数
K:歯対剛性
n:同時噛み合い歯数
δ:歯面たわみ量(噛み合い位置で変化)駆動側と従動側を合わせた量
e:歯車形状誤差(噛み合い位置で変化)駆動側と従動側を合わせた量
N:トルク
i:歯車の歯番号
とする。
式(1)において、

Figure 2015169248

が慣性力、

Figure 2015169248

が粘性力、K(θ,i)・{δ(θ,i)−e(θ,i)}が歯対力に相当する。
なお、式(1)の運動方程式は一例であり、動作解析の対象となる動力伝達機構によって適宜異なる方程式が生成される。
[動作結果算出工程]
次に、CPU3は、ステップS105において、ステップS104で生成した運動方程式を時系列的に解いていく。
まずCPU3は、歯車列駆動系の解析対象動作時間と解析ステップ(微小解析間隔時間)等を設定する。
そして、CPU3は、各歯車軸の慣性力(慣性モーメントJ)、剛性力(歯対剛性K)、粘性(粘性係数c)と、外力となる駆動トルク、負荷トルク、摩擦トルクの釣り合いを微小解析間隔時間毎(解析ステップ毎)に求める。
すなわち、所定の1次計算期間(例えば、解析対象の歯車が1回転する期間など)内で、この1次計算期間を複数区間に分けた所定の微小解析間隔時間毎に、各歯車の慣性力、粘性力及び剛性力(運動方程式の左辺)と、外力となる駆動トルク、負荷トルク及び摩擦トルク(運動方程式の右辺)と、の釣り合いを求めることにより、駆動軸と被駆動軸との動作結果を算出する。
数値解法としては、微分方程式を解く一般的なオイラー法やルンゲクッタ法、ニューマークβ法などで対応できるのでここでは省略する。
なお、一次計算期間では一定の形状誤差(摩耗量)で歯車の動作結果の解析を行う。
CPU3は、ステップS106において、一次計算を終えたか否か(一次計算期間におけるすべての微小解析間隔時間毎に運動方程式を解いたか否か)を判断する。
[接触力算出工程]
一次計算を終えた(一次計算期間が経過した)と判断した場合(ステップS106でYes)、CPU3は、ステップS107において歯車の摩耗量(形状誤差変化量)の算出に必要となる歯面突部の接触力(突部接触分担力)を算出する。
ステップS106において一次計算を終えていないと判断した場合(ステップS106でNo)、CPU3は、ステップS105に戻り微小解析間隔時間を進めて再度運動方程式を解く。
グリス潤滑油を考慮しない場合、歯面に加わる力である歯対力を用いて摩耗量の算出を行うが(例えば特許文献1参照)、歯面にグリス潤滑油を塗布することを考慮する場合、噛み合い歯面の表面間にグリス潤滑油の油膜が存在する。
つまり、歯対力の噛み合い力を面圧(単位歯幅当たりの値)に変換し、この面圧をグリス潤滑油による「油膜分担力」と「突部接触分担力」で分配することになる。
従って、下式(2)

Figure 2015169248

ただし、
:噛み合い面圧(噛み合い量を歯幅で割った値)
:突部接触分担力
:油膜分担力
が成立する。
油膜が厚く突部接触力が小さくなると歯車の摩耗進行が遅くなるため、歯車の耐久性の点では有利になる。
この分担割合は、下式(2)、(3)、(4)を連立させて解くことで得られる。

Figure 2015169248

Figure 2015169248

ただし、
:噛み合い面圧(噛み合い量を歯幅で割った値)
:突部接触分担力
:油膜分担力
η:表面突起密度
E’:透過縦弾性係数
B:表面粗さ頂点平均半径
ρ:二乗平均平方根粗さ
R:歯面等価曲率半径
:無次元化弾性変形量
:油膜比(表面粗さと油膜厚さの比)
α:グリス潤滑油の圧力粘度係数
μ:グリス潤滑油の粘度
u:歯面平均速度
とする。
上記式(3)は、表面粗さ(表面粗さ特性情報)を考慮した外接的接触の突起接触荷重の一般式である(例えば、松原清著、「トライボロジー」、産業図書、P137等を参照)。
また、上記式(4)は、弾性流体潤滑理論(EHL:ElastoHydrodynamic Lubrication)の最小油膜厚さhminの一般式(例えば、機械工学便覧:デザイン編β4 機械要素・トライボロジー 日本機械学会2005年 P95を参照)から導出したものである。
[形状誤差変化量算出工程]
次に、CPU3は、ステップS108(形状誤差変化量算出工程)において、ステップS107で算出した突部接触分担力を用いて歯車の摩耗量を算出する。
ここでは、これまでに得られた各軸の速度や歯面の接触位置とその滑り速度、突部接触分担力、ステップS101で入力した比摩耗量(摩耗特性情報)を用いて歯面上の摩耗量を算出する(下式(5)参照)。

Figure 2015169248

ただし、
e’:歯車形状誤差変化量(摩耗量)
:比摩耗量
:突部接触分担力
:歯面滑り速度
:歯面滑り時間
とする。
なお、歯面滑り速度及び歯面滑り時間は、各軸の回転速度(微小解析間隔時間における回転速度)と歯面の接触点(作用点とインボリュート曲線との交点)から算出する。
摩耗量は、歯車の歯面同士が1回噛み合った場合の歯面の摩耗量であり滑り速度や突部接触分担力の大きさにより異なる。
[形状誤差情報更新工程]
その後、CPU3は、ステップS109(形状誤差情報更新工程)において、前回までに得られた形状誤差情報に今回のステップS108で算出した変化量を加えて新たな形状誤差情報に更新する(下式(6)参照)。

Figure 2015169248

ただし、
e:歯車形状誤差(更新後の形状誤差)
:歯車形状誤差(更新前の形状誤差)
:寿命ステップ
e’:歯車形状誤差変化量(摩耗量)
初期時は摩耗量がゼロであるため初期の形状誤差のみであるが、その後、1噛み合い時(一次計算)の摩耗量を算出し、これを寿命ステップ倍した値を形状誤差に加え、ステップS109において形状誤差情報を更新する。
例えば、歯車1回転分(1噛み合い)での摩耗量が1e−6μmとなった場合、歯車100回転後の解析を実施する場合には、初期の形状誤差情報から1e−4μm削った値に補正する。
そして、これらの計算を繰り返し、二次計算終了時間(目標耐久時間:例えば100万回転分)まで形状誤差変化量(摩耗量)を更新して、回転特性(動的挙動)を解析する。
CPU3は、ステップS110において二次計算期間が終了したか否かを判断し、終了したと判断した場合(ステップS110でYes)、ステップS111に進む。
二次計算期間が終了していないと判断した場合(ステップS110でNo)、CPUは、ステップS103に戻り、更新した形状誤差情報を用いて一次計算を行う。
なお、ステップS103からステップS109までの一連の処理を、一回の寿命ステップとする。
[解析結果出力工程]
そして、ステップS111(解析結果出力工程)において、CPU3は、ここまで寿命ステップ時間毎に蓄積してきた解析結果(回転特性:駆動軸と被駆動軸の時間に対する角度伝達誤差、角速度伝達誤差)をグラフや表として表示装置7やプリンタ15に出力する。あるいはデータとして記録媒体に保存してもよい。
上記のように構成したので、グリス潤滑油を付与した歯車列について、上記基本情報、摩耗特性情報、潤滑油特性情報、歯面表面粗さ特性情報が、回転伝達特性(回転ムラ、速度ムラ)に与える影響を事前に短時間の解析によって予測することができる。
且つ、歯車駆動系を試作して評価する必要も無いという利点がある。
図5乃至図7は、本実施形態の歯車設計支援装置による解析結果を示す図である。
図5は、時系列における歯車の速度ムラを示すグラフ図であり、動力伝達機構の被駆動軸における動作時間と角速度との関係を示している。
図5では、動作時間の経過の伴い角速度が変化しており、被駆動軸の回転速度にムラ(速度ムラ)が発生していることがわかる。
図6は、図5に示した速度ムラを周波数分析して求めた噛み合い周期成分を示すグラフ図である。
図7は、図6に示した噛み合い周期成分の値を経時的にプロットして、その変化を模式的に示したグラフ図である。
図7のグラフには、摩耗によって回転ムラが悪化していく劣化が速いパターンと回転ムラが悪化しにくい劣化が遅いパターンを示す。
歯面が均等に摩耗すると後者のパターンとなり歯面が不均等に摩耗すると前者のパターンになる。
例えば、摩耗による形状誤差変化量が大きい歯車を備えた被駆動軸では、図7の傾きが大きくなり、摩耗による形状誤差変化量が小さい歯車を備えた被駆動軸では、図7のグラフの傾きが小さくなる。
このように、本実施形態の歯車設計支援装置1の解析結果から、動力伝達機構の動的挙動の経時的変化を解析することが出来る。
[動作解析処理の変形例]
なお、図4の形状誤差情報更新工程における形状誤差情報の更新間隔(寿命ステップ)は、摩耗量の変化率に応じて変更するようにしても良い。
図8は、図4に示す動作解析処理の変形例を示すフローチャートである。
図4と同じ処理については同じステップ番号を付して説明する。
CPU3は、図8のステップS108aにおいて、ステップS108で算出される摩耗量の変化率(=(今回のステップS108で算出された摩耗量−前回のステップS108で算出された摩耗量)/寿命ステップ)を算出する。
CPU3は、その変化率と反比例の関係となるようにステップS109における更新間隔を設定する。
例えば、グリス潤滑油の油膜効果が大きく摩耗進行が遅い場合には摩耗量の変化率が小さくなるが、変化率が所定の基準値を下回る場合には、更新間隔(寿命ステップ)を大きく設定する。
逆に、摩耗量の変化率が大きくなり(変化率が所定の基準値を上回る)、摩耗進行が早くなってきた場合には、更新間隔(寿命ステップ)を小さく設定する。
このようにすることで、歯車の摩耗進行が遅い場合であっても効率的なサイクルで形状誤差情報を更新し、計算速度を向上させひいては解析作業の効率を向上させることが出来る。
[形状誤差情報更新工程の変形例]
また、歯車には駆動側歯車と従動側歯車とがあるが、夫々の歯車が相対的に滑り摩擦を起こすことにより摩耗が進む。
しかし、一方の歯車の材質が他方の歯車に比べて摩耗しにくい場合、相対的にその摩耗量は小さくなり、摩耗量の計算を省略しても解析結果に与える影響は小さい。
そこで、形状誤差変化量算出工程において、摩耗しにくい材質によって作製した歯車の摩耗計算を省略することにより、解析処理を簡略化し、解析にかかる時間を短縮化する。
図9を用いて、この歯車の材質に応じた形状誤差情報更新工程の変形例を説明する。
図9は、歯車の材質に応じた形状誤差変化量算出工程の変形例を示すフローチャートである。
図9において、まず、CPU3はステップS201において、RAM5に展開されている材料情報を解析する。
その結果、駆動歯車と従動歯車の摩耗特性差が所定の基準値よりも大きいと判断した場合(ステップS202)、CPU3は、ステップS203において、駆動側歯車が摩耗しやすいか否かを判断する。
その結果、駆動側の歯車が摩耗しやすいと判断した場合(ステップS203でYes)CPU3は、ステップS204において、式(5)に従って駆動歯車の摩耗量を計算して、処理を終了する。
従動側の歯車が摩耗しやすいと判断した場合(ステップS203でNo)、CPU3は、ステップS205において式(5)に従って従動側の歯車の摩耗量を計算し、処理を終了する。
摩耗特性が所定の基準値よりも小さいと判断した場合(ステップS202でNo)、ステップS206において式(5)に従って駆動側の歯車の摩耗量を計算し、且つステップS207において式(5)に従って従動側の歯車の摩耗量を計算し、処理を終了する。
さらに、ステップS110の形状誤差情報更新工程で、CPU3は、駆動歯車と従動歯車のうち摩耗しやすい材質の歯車についてのみ形状誤差情報更新を行う。
このように、解析結果に対する寄与度の高いパラメータ、すなわち摩耗しやすい方の歯車の形状誤差情報を重点的に更新することで、摩耗量の計算量を大幅に減らし、計算速度を向上させ、ひいては解析作業の効率を向上させることが出来る。
次に、解析作業の効率向上させるための接触力算出工程の変形例を説明する。
[接触力算出工程の変形例(その1)]
図10は、図4、図8における接触力算出工程の第1の変形例を示すフローチャートである。
歯車の摩耗に影響を与える突部接触分担力は、油膜分担力が小さくなると大きくなり、油膜分担力が大きくなると小さくなって結果歯車の摩耗量も少なくなる。
表面粗さは、この油膜分担力に影響を与えるパラメータである。
歯車が新品の時は加工時の精度が維持されているが、歯面同士を接触させて回転させると、夫々の歯車の表面精度や硬さ(摩耗のしやすさ)などに応じて表面粗さが変化する。
例えば、焼結材料の歯車と樹脂材料の歯車とを組み合わせた場合、樹脂材料の歯車は、初期時は表面が滑らかで表面粗さは小さいが、焼結歯車との噛み合いによって表面が削られて表面粗さが悪化する。
そこで、図10の処理においては、接触力算出工程において歯車の摩耗進行に合わせて表面粗さ特性情報を補正する。
まずCPU3は、ステップS301において、前回の形状誤差変化量算出工程(図4:ステップS108)で算出した摩耗量を解析する。
次に、CPU3は、ステップS302において、解析した摩耗量が所定量以上であるか否かを判断する。
摩耗量が所定量以上である場合(ステップS302でYes)、CPU3は、ステップS303において表面粗さ(表面粗さ特性情報)の補正を行い、処理を終了する。
摩耗量が所定量以下である場合(ステップS302でNo)、CPU3は、表面粗さ特性情報の補正を行わない。
このように、接触力算出工程において摩耗進行に合わせて表面粗さ特性情報を補正することで製造直後の初期摩耗状態と、噛合する歯車の歯面同士を噛み合わせて回転させることで馴染んできた定常摩耗状態と、を解析パラメータとして組み込む。
その結果、動力伝達機構に実際に発生する現象を解析に取り込めるようになり、解析精度を向上させることが出来る。
図10のフローチャートに示す処理では、このような現象を解析に反映させるために、初期時と摩耗進行時とで表面粗さを変化させる。
[接触力算出工程の変形例(その2)]
図11は、図4、図8における接触力算出工程の第2の変形例を示すフローチャートである。
この変形例では、接触力算出工程において歯車(動力伝達機構)が使用される環境温度に応じて潤滑油特性情報を補正するようにする。
歯車の摩耗に影響を与える突部接触分担力は、油膜分担力が小さくなると大きくなり、油膜分担力が大きくなると小さくなって歯車の摩耗量も少なくなる。
油膜分担力に影響を与える粘度などの潤滑油特性情報は、環境の温度によって変化するため、環境温度の変化に対応させて潤滑油特性情報を調整する。
すなわち、接触力算出工程で、歯車が使用される周辺環境温度に合わせて潤滑油特性情報を補正することで、歯車が長期にわたり使用される環境の温度変化に適合させて、解析パラメータを設定する。
動力伝達機構の環境温度は例えば以下の場合に変化し、動力伝達機構を取り付ける装置によって様々である。
(1)装置停止時からの起動
(2)装置の連続稼動により室温状態から装置稼動内部温度まで上昇
(3)季節変化や時間帯による室温の変化
(4)電源ON/OFFのサイクルによる温度変化
特に高温になるにつれてグリス粘度が低下して歯車が摩耗しやすくなるので、温度変化の大きい場合には、正確な解析のために潤滑油特性情報の調整は重要である。
まずCPU3は、ステップS401において環境温度を取得する。
次に、CPU3は、ステップS402において、取得した環境温度と常温とを比較する。
環境温度と常温との差が所定温度以上である場合(ステップS402でYes)、CPU3は、ステップS403において、潤滑油特性情報を補正し、処理を終了する。
環境温度と常温との差が所定温度以下である場合(ステップS402でNo)、CPU3は、潤滑油特性情報の補正を行わない。
このような処理を行うことにより、環境温度の変化に伴って歯車に実際に発生する現象を解析に組み込むことが出来、解析精度の向上させることができる。
以下に、本実施形態の歯車設計支援方法を適用可能な歯車伝達機能系を例示する。
[歯車設計支援方法の第1の適用例]
図12は、歯車設計支援方法の第1の適用例に係る歯車伝達機能系を示す図である。
本適用例の歯車伝達機構系は、画像形成に用いられる回転体ドラムを駆動する回転体ドラム駆動用の歯車伝達機構系である。
回転体ドラムとしての感光体ドラムを回転させる動力伝達機構において、フレーム105に、駆動モータ101が取り付けられており、駆動モータ101の駆動軸101aに駆動歯車103が取り付けられている。
駆動歯車103には、ドラム用歯車102が歯合しており、ドラム用歯車102は、感光体ドラム100の回転軸(被駆動軸)100aに取り付けられている。
回転体ドラムとしての感光体ドラム100の回転軸100aは、フレーム105に固定された軸受104に回転可能に支持されている。
本実施形態の歯車設計支援装置を用いて図12に示す動力伝達機構に対して動作解析処理(歯車設計支援処理)を行う場合、ドラム用歯車102、駆動歯車103に対し図4、図8のフローチャートに示される処理を行う。
そして、ステップS111の出力工程で駆動軸と被駆動軸の動作結果を出力するに際し、被駆動軸についての出力に感光体ドラム100の半径を乗じ、感光体ドラム100表面上の特性値(位置ずれ、速度ムラ)に換算して出力する。
すなわち、歯車1回転周期の感光体ドラム100の表面上の位置ずれと歯車噛み合い周期での感光体ドラム100表面上の速度ムラを出力する。
この位置ずれや速度ムラは、角度伝達誤差や角速度伝達誤差に回転体半径を乗ずることで求めることができる。
このようにすることで、実際に画像が形成される回転体ドラム表面上における特性値(位置ずれや速度ムラ)が経過時間と共に得られる。
その結果、グリス潤滑油を付与した歯車列について、歯車諸元、駆動条件、材質、摩耗特性、歯車精度(歯形誤差、歯すじ誤差)が、回転体ドラム表面上の特性値である位置ずれ(多色重ね合わせでの色ずれ)と噛み合い周期での速度変動(濃度ムラであるバンディング)にどう影響するか、その寄与度を予測することが出来る。
また、その影響が経時的にそれがどれくらい変化していくのか、軸受104に加わる歯車起振力がどのように変化するのか、を事前に解析しその傾向を提示することができる。
なお、上記した感光体ドラム100表面上の特性値への換算に際し、感光体ドラムの半径は、駆動条件として、ステップS101の入力工程において入力される。
[歯車設計支援方法の第2の適用例]
図13は、歯車設計支援方法の第2の適用例に係る歯車伝達機能系を示す図である。
本適用例の歯車伝達機構系は、画像形成に用いられる転写ベルト(例えば多色画像を重ね書きする中間転写ベルトなど)を駆動する駆動ローラ用の歯車伝達機構系である。
転写ベルト200を駆動させる動力伝達機構において、フレーム205に、駆動モータ201が取り付けられており、駆動モータ201の駆動軸201aに駆動歯車203が取り付けられている。
転写ベルト200は、駆動ローラ206、従動ローラ207に張架され、これらのローラの回転軸206a、207aは、フレーム205に固定された軸受204に回転可能に支持されている。
駆動歯車203には、ベルト用歯車202が歯合しており、ベルト用歯車202は、転写ベルト200の駆動ローラ206の回転軸(被駆動軸)206aに取り付けられている。
本実施形態の歯車設計支援装置を用いて図13に示す動力伝達機構に対して動作解析処理(歯車設計支援処理)を行う場合、ベルト用歯車202、駆動歯車203に対し図4、図8のフローチャートに示される処理を行う。
そして、ステップS111の出力工程で駆動軸と被駆動軸の動作結果を出力するに際し、被駆動軸についての出力に駆動ローラ半径を乗じて当該転写ベルト200表面上の特性値(位置ずれ、速度ムラ)に換算して出力する。
すなわち、歯車1回転周期の転写ベルト200表面上の位置ずれと歯車噛み合い周期での転写ベルト200表面上の速度ムラを出力する。
この位置ずれや速度ムラは、角度伝達誤差や角速度伝達誤差に回転体半径を乗ずることで求めることができる。
このようにすることで、実際に画像が形成される転写ベルト200上における特性値(位置ずれや速度ムラ)が経過時間と共に得られる。
その結果、グリス潤滑油を付与した歯車列で、設計パラメータである歯車諸元、駆動条件、材質、摩耗特性、歯車精度(歯形誤差、歯すじ誤差)が、転写ベルト200表面上の特性値である位置ずれ(多色重ね合わせでの色ずれ)と噛み合い周期での速度変動(濃度ムラであるバンディング)に、どのように影響を与えるか、その寄与度を予測することが出来る。
また、その影響が経時的にそれがどれくらい変化していくのか、軸受に加わる歯車起振力がどのように変化するのか、を事前に解析しその傾向を提示することができる。
なお、上記した転写ベルト200表面上の特性値への換算に際し、感光体ドラムの半径は、駆動条件として、ステップS101の入力工程において入力される。
以上説明したように、本発明によれば、グリス潤滑油を付与した歯車列について、歯車諸元、駆動条件、材質、摩耗特性、歯車精度が、動力伝達機構の動的挙動に如何に影響をするか、及びその寄与度を予測することが出来る。
また、その影響が経時的にそれがどのように変化していくのか、軸受に加わる歯車起振力がどのように変化するのか、を事前に解析しその傾向を提示することができる
なお、本実施形態にかかる歯車設計装置、歯車設計支援プログラム、歯車設計支援方法は、歯車機構系を用いた精密機械製品である複写機、プリンタ等の情報機器や、家電製品、ロボット等、広い分野での設計工程に使用することが出来る。
[第1の発明]
一つの駆動軸に設けられた歯車と、一または複数の被駆動軸に設けられた歯車と、を備える動力伝達機構の動的挙動を解析する歯車設計支援方法において、前記動力伝達機構に含まれる各歯車の基本諸元情報、駆動条件情報、形状誤差情報を含む基本情報と、各歯車の摩耗特性情報と、各歯車の表面粗さ情報と、各歯車の歯面に塗布する潤滑油の特性情報と、を入力する入力工程と、各歯車の動的挙動を定義した運動方程式を生成する方程式生成工程と、前記基本情報に基づいて、前記動力伝達機構の動作時間軸に沿って前記運動方程式を解き各歯車の動作結果を算出する動作結果算出工程と、前記基本情報と、前記表面粗さ情報と、前記潤滑油の特性情報に、基づいて互いに噛み合う前記歯車の接触力を算出する接触力算出工程と、前記基本情報と、前記接触力と、前記摩耗特性情報と、に基づいて、各歯車における経時による形状誤差変化量を算出する形状誤差変化量算出工程と、前記形状誤差変化量に基づいて前記運動方程式における前記形状誤差情報を更新する形状誤差情報更新工程と、前記動作結果算出工程で算出された動作結果を出力する出力工程と、を含む。
本発明によれば、グリス潤滑油を付与した歯車列について、基本諸元情報、駆動条件情報、材質情報、摩耗特性情報、潤滑油特性情報、歯面表面粗さ特性情報が、回転伝達特性(回転ムラ、速度ムラなど)に与える影響を事前に短時間の解析によって予測することができる。
[第2の発明]
前記形状誤差情報更新工程による前記形状誤差情報の更新間隔を、前記形状誤差変化量の変化率に応じて変更する。
このような処理を行うことにより、歯車の摩耗進行が遅い場合であっても効率的なサイクル(更新間隔;寿命ステップ)で形状誤差情報を更新し、計算速度を向上させひいては解析作業の効率を向上させることが出来る。
[第3の発明]
前記形状誤差情報更新工程において、前記動力伝達機構における互いに噛み合う一対の前記歯車の摩耗強度の差が所定の基準値を超える時に前記形状誤差情報の更新を行う。
解析結果に対する寄与度の高いパラメータ、すなわち摩耗しやすい方の歯車の形状誤差情報を重点的に更新することで、摩耗量の計算量を大幅に減らし、計算速度を向上させ、ひいては解析作業の効率を向上させることが出来る。
[第4の発明]
前記接触力算出工程において、前記形状誤差変化量が所定の基準値を超える場合に前記表面粗さ情報を変更する。
このように、接触力算出工程において摩耗進行に合わせて表面粗さ特性情報を補正することで製造直後の初期摩耗状態と、噛合する歯車の歯面同士を噛み合わせて回転させることで馴染んできた定常摩耗状態と、を解析パラメータとして組み込む。
その結果、動力伝達機構に実際に発生する現象を解析に取り込めるようになり、解析精度を向上させることが出来る。
[第5の発明]
前記接触力算出工程において、前記動力伝達機構の環境温度に応じて決定される前記摩擦特性情報に基づいて、前記潤滑油特性情報を変更する。
このような処理を行うことにより、環境温度の変化に伴って歯車に実際に発生する現象を解析に組み込むことが出来、解析精度の向上させることができる。
[第6の発明]
前記動力伝達機構は、画像形成に用いられる回転体ドラムを駆動するための動力伝達機構系であり、前記出力工程において前記動作結果を出力するに際して、前記被駆動軸の出力に前記回転体ドラムの半径を乗じて当該回転体ドラム表面上の特性値に換算して出力する。
このようにすることで、実際に画像が形成される回転体ドラム表面上における特性値(位置ずれや速度ムラ)が経過時間と共に得られる。
その結果、グリス潤滑油を付与した歯車列について、歯車諸元、駆動条件、材質、摩耗特性、歯車精度(歯形誤差、歯すじ誤差)が、回転体ドラム表面上の特性値である位置ずれ(多色重ね合わせでの色ずれ)と噛み合い周期での速度変動(濃度ムラであるバンディング)にどう影響するか、その寄与度を予測することが出来る。
また、その影響が経時的にそれがどれくらい変化していくのか、軸受104に加わる歯車起振力がどのように変化するのか、を事前に解析しその傾向を提示することができる。
[第7の発明]
前記動力伝達機構は、画像形成に用いられる転写ベルトを駆動する駆動ローラ用の動力伝達機構系であり、前記出力工程において、前記動作結果を出力するに際して、前記被駆動軸の出力に前記駆動ローラ半径を乗じて当該転写ベルト表面上の特性値に換算して出力する。
このようにすることで、実際に画像が形成される転写ベルト200上における特性値(位置ずれや速度ムラ)が経過時間と共に得られる。
その結果、グリス潤滑油を付与した歯車列で、設計パラメータである歯車諸元、駆動条件、材質、摩耗特性、歯車精度(歯形誤差、歯すじ誤差)が、転写ベルト200表面上の特性値である位置ずれ(多色重ね合わせでの色ずれ)と噛み合い周期での速度変動(濃度ムラであるバンディング)に、どのように影響を与えるか、その寄与度を予測することが出来る。
また、その影響が経時的にそれがどれくらい変化していくのか、軸受に加わる歯車起振力がどのように変化するのか、を事前に解析しその傾向を提示することができる。
[第8の発明]
一つの駆動軸に設けられた歯車と、一または複数の被駆動軸に設けられた歯車と、を備える動力伝達機構の動的挙動を解析する歯車設計支援装置において、前記動力伝達機構に含まれる各歯車の基本諸元情報、駆動条件情報、形状誤差情報を含む基本情報と、各歯車の摩耗特性情報と、各歯車の表面粗さ情報と、各歯車の歯面に塗布する潤滑油の特性情報と、を入力する入力手段と、各歯車の動的挙動を定義した運動方程式を生成する方程式生成手段と、前記基本情報に基づいて、前記動力伝達機構の動作時間軸に沿って前記運動方程式を解き各歯車の動作結果を算出する動作結果算出手段と、前記基本情報と、前記表面粗さ情報と、前記潤滑油の特性情報に、基づいて互いに噛み合う前記歯車の接触力を算出する接触力算出手段と、前記基本情報と、前記接触力と、前記摩耗特性情報と、に基づいて、各歯車における経時による形状誤差変化量を算出する形状誤差変化量算出手段と、前記形状誤差変化量に基づいて前記運動方程式における前記形状誤差情報を更新する形状誤差情報更新手段と、前記動作結果算出手段で算出された動作結果を出力する出力手段と、を含む。
本発明によれば、グリス潤滑油を付与した歯車列について、基本諸元情報、駆動条件情報、材質情報、摩耗特性情報、潤滑油特性情報、歯面表面粗さ特性情報が、回転伝達特性(回転ムラ、速度ムラなど)に与える影響を事前に短時間の解析によって予測することができる。
1 歯車設計支援装置、3 CPU、5 RAM、7 表示装置、9 キーボード、11 マウス、13 データ入出力部、15 プリンタ、17 ハードディスク装置、19 FD、21 HDDインターフェイス、31 入力部、32 運動方程式生成部、33 動作結果算出部、34 形状誤差情報更新部、35 形状誤差変化量算出部、
36 出力部
特開2011−52818公報

Claims (9)

  1. 一つの駆動軸に設けられた歯車と、一または複数の被駆動軸に設けられた歯車と、を備える動力伝達機構の動的挙動を解析する歯車設計支援方法において、
    前記動力伝達機構に含まれる各歯車の基本諸元情報、駆動条件情報及び形状誤差情報を含む基本情報と、各歯車の摩耗特性情報と、各歯車の表面粗さ情報と、各歯車の歯面に塗布する潤滑剤の特性情報と、を入力する入力工程と、
    各歯車の動的挙動を定義した運動方程式を生成する方程式生成工程と、
    前記基本情報に基づいて、前記動力伝達機構の動作時間軸に沿って前記運動方程式を解き各歯車の動作結果を算出する動作結果算出工程と、
    前記基本情報と、前記表面粗さ情報と、前記潤滑剤の特性情報と、に基づいて互いに噛み合う前記歯車の接触力を算出する接触力算出工程と、
    前記基本情報と、前記接触力と、前記摩耗特性情報と、に基づいて、各歯車における経時による形状誤差変化量を算出する形状誤差変化量算出工程と、
    前記形状誤差変化量に基づいて前記運動方程式における前記形状誤差情報を更新する形状誤差情報更新工程と、
    前記動作結果算出工程で算出された動作結果を出力する出力工程と、
    を含むことを特徴とする歯車設計支援方法。
  2. 前記形状誤差情報更新工程による前記形状誤差情報の更新間隔を、前記形状誤差変化量の変化率に応じて変更することを特徴とする請求項1に記載の歯車設計支援方法。
  3. 前記形状誤差情報更新工程において、互いに噛み合う一対の前記歯車の摩耗強度の差が所定の基準値を超える時に前記形状誤差情報の更新を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の歯車設計支援方法。
  4. 前記接触力算出工程において、前記形状誤差変化量が所定の基準値を超える場合に前記表面粗さ情報を変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の歯車設計支援方法。
  5. 前記接触力算出工程において、前記動力伝達機構の環境温度に応じて決定される前記摩擦特性情報に基づいて、前記潤滑剤の特性情報を変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の歯車設計支援方法。
  6. 前記動力伝達機構は、画像形成に用いられる回転体ドラムを駆動するための動力伝達機構系であり、
    前記出力工程において前記動作結果を出力するに際して、前記被駆動軸の出力に前記回転体ドラムの半径を乗じて当該回転体ドラム表面上の特性値に換算して出力することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の歯車設計支援方法。
  7. 前記動力伝達機構は、画像形成に用いられる転写ベルトを駆動する駆動ローラ用の動力伝達機構系であり、
    前記出力工程において、前記動作結果を出力するに際して、前記被駆動軸の出力に前記駆動ローラ半径を乗じて当該転写ベルト表面上の特性値に換算して出力することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の歯車設計支援方法。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載の歯車設計支援方法をコンピュータに実行させるための歯車設計支援プログラム。
  9. 一つの駆動軸に設けられた歯車と、一または複数の被駆動軸に設けられた歯車と、を備える動力伝達機構の動的挙動を解析する歯車設計支援装置において、
    前記動力伝達機構に含まれる各歯車の基本諸元情報、駆動条件情報及び形状誤差情報を含む基本情報と、各歯車の摩耗特性情報と、各歯車の表面粗さ情報と、各歯車の歯面に塗布する潤滑剤の特性情報と、を入力する入力手段と、
    各歯車の動的挙動を定義した運動方程式を生成する方程式生成手段と、
    前記基本情報に基づいて、前記動力伝達機構の動作時間軸に沿って前記運動方程式を解き各歯車の動作結果を算出する動作結果算出手段と、
    前記基本情報と、前記表面粗さ情報と、前記潤滑剤の特性情報に、基づいて互いに噛み合う前記歯車の接触力を算出する接触力算出手段と、
    前記基本情報と、前記接触力と、前記摩耗特性情報と、に基づいて、各歯車における経時による形状誤差変化量を算出する形状誤差変化量算出手段と、
    前記形状誤差変化量に基づいて前記運動方程式における前記形状誤差情報を更新する形状誤差情報更新手段と、
    前記動作結果算出手段で算出された動作結果を出力する出力手段と、
    を含むことを特徴とする歯車設計支援装置。
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