JP2015168643A - 生薬粉末を高含有する口腔内崩壊錠およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】茶葉などの生薬の粉末を高含有する口腔内崩壊錠を提供すること。【解決手段】生薬粉末、賦形剤および崩壊剤を含む混合物を、ナトリウム塩水溶液を用いて湿式造粒する工程、得られた造粒物を圧縮成形する工程、ならびに得られた成形物をマイクロ波照射により加熱する工程を経て口腔内崩壊錠を製造する。得られた口腔内崩壊錠は、生薬粉末を錠剤重量に対し20重量%以上含有し、崩壊時間が30秒以下かつ錠剤硬度が10N以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、茶葉などの生薬粉末を高含有する口腔内崩壊錠、およびその製造方法に関する。
近年、茶の有効成分が精力的に研究され、食事以外にも茶を摂取した方が健康増進により有益であるという報告がなされている。この観点から、例えば食事の際に白米などに振りかけて摂取するための顆粒状の茶が製造され市販されている。また、最近では、食事の際に限らずいつでも好きな時に摂取できる、茶の抽出物や茶ポリフェノールを含有する錠剤形態の栄養補助食品(サプリメント)も現れている(特許文献1および2)。茶を含有する錠剤の製造技術については、茶葉の粉末化方法、あるいは賦形剤を用いた茶の薬効を引き出す方法などを開示した文献が知られているが(特許文献3〜5)、それらには錠剤化の詳細な方法について具体的に開示されていない。
一方、臨床医療現場においては、錠剤の取り扱いやすさを残したまま、口腔内で唾液または少量の水で崩壊することにより嚥下困難な高齢者や小児患者であっても容易に服用できる錠剤「口腔内崩壊錠」の開発に注目が集まっている。上述したような茶を含有する錠剤を口腔内崩壊錠として製造することができれば、服用が容易な茶を含有する医薬品またはサプリメントを提供することができ、高齢者などであっても茶の健康増進効果を享受しやすくすることができると考えられる。しかし、茶の微粉末は当業者の間では取り扱いが難しい粉体であることは広く知られており、従来法により茶の微粉末を含有する口腔内崩壊錠を製造するのは難しかった。
本発明者らは、以前、マイクロ波を用いて簡便に口腔内崩壊錠を作製する技術を開発している。その技術とは、薬物、マンニトール、および二酸化ケイ素または不溶性の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む混合物を水により造粒した後、低い圧力で打錠し、さらにマイクロ波を照射するというものである(非特許文献1および2)。本発明者らは、当該方法により茶粉末を含有する口腔内崩壊錠の製造を試みたが、茶粉末の取り扱いにくい物性が影響してか、茶粉末を多く用いたものについては口腔内崩壊錠としての機能を十分有するものは得られなかった。また、例えば特許文献6には、茶粉末と水を混合した後に押圧成形した後乾燥させて錠剤を製造する方法が記載されており、乾燥手段としてマイクロ波加熱装置が例示されているものの、乾燥条件が不明である点、添加物を加えることなく茶粉末と水のみで製造されている点などから、所定の錠剤崩壊時間および錠剤硬度を満たす口腔内崩壊錠が得られているとは考えられない。
特開2008−044861号公報 特表2011−513340号公報 特開2001−292702号公報 特開平11−139981号公報 特開平10−210932号公報 特開平8−298931号公報
S. Sano, et al., International Journal of Pharmaceutics, vol. 416, issue 1, pp. 252-259 S. Sano, et al., International Journal of Pharmaceutics, vol. 448, issue 1, pp. 132-141
本発明は、茶葉の粉末のような生薬粉末を多く含む口腔内崩壊錠、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、茶葉の粉末のような生薬粉末をナトリウム塩水溶液を用いて湿式造粒し成形した後、マイクロ波照射により加熱し乾燥させることで、生薬粉末を高含有する口腔内崩壊錠を簡便に製造できることを見出した。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)生薬粉末を錠剤重量に対し20重量%以上含有し、崩壊時間が30秒以下かつ錠剤硬度が10N以上である口腔内崩壊錠。
(2)生薬が茶葉である、(1)に記載の口腔内崩壊錠。
(3)生薬粉末、賦形剤および崩壊剤を含む混合物を、ナトリウム塩水溶液を用いて湿式造粒する工程、得られた造粒物を圧縮成形する工程、ならびに得られた成形物をマイクロ波照射により加熱する工程を含む、口腔内崩壊錠の製造方法。
(4)口腔内崩壊錠が生薬粉末を20重量%以上含む、(3)に記載の方法。
(5)ナトリウム塩が、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムから選択される、(3)または(4)に記載の方法。
(6)湿式造粒工程において、予め生薬粉末とナトリウム塩水溶液の一部とを混練し、次いで賦形剤、崩壊剤および結合剤と残りのナトリウム塩水溶液を加えて造粒する、(3)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)賦形剤がD−マンニトールである、(3)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)湿式造粒に用いるナトリウム塩水溶液のナトリウムイオン濃度が1M以上である、(3)〜(7)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、嚥下能力が低い高齢者などであっても容易に服用可能な、茶葉のような生薬を高含有する口腔崩壊錠を提供することができる。
製造例1で得た錠剤の崩壊時間測定結果を示したグラフである。 製造例1で得た錠剤の膨化度測定結果を示したグラフである。 製造例1で得た錠剤の硬度測定結果を示したグラフである。 製造例1で得た錠剤の摩損度の測定結果を示したグラフである。 製造例2で得た錠剤の崩壊時間測定結果を示したグラフである。 製造例2で得た錠剤の膨化度測定結果を示したグラフである。 製造例2で得た錠剤の硬度測定結果を示したグラフである。 製造例2で得た錠剤の摩損度の測定結果を示したグラフである。
本発明の口腔内崩壊錠は、生薬粉末を高含有し、錠剤の崩壊時間が30秒以内かつ錠剤硬度が10N以上であることを特徴とする。生薬粉末の含有量は、口腔内崩壊錠の全体重量に対して20重量%以上であり、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。そのような高い含有量は生薬を効率よく摂取するのに好都合である。生薬粉末は、平均粒径が50μm以下、特に40μm以下、とりわけ30μm以下となるように粉砕されていることが、製剤のしやすさの観点から好ましい。
本明細書において、生薬とは、植物、動物、鉱物などの天然の存在する素材の全部又は一部をそのまま又は加工処理し、薬用に供するものをいい、第十六改正日本薬局方に掲載されている生薬、例えばインヨウカク、ウコン、エンメイソウ、オウギ、カンゾウ、キキョウ、コウジン、サイコ、シゴカ、シャクヤク、ショウキョウ、タイソウ、チンピ、トウキ、トシシ、ニンジン、ハンゲ、ブクリョウなど、およびそれ以外の汎用生薬、例えばアガリクスタケ、アシタバ、イチョウ、オオムギ、カミツレバナ、キッカ、ギムネマ・シルベスタ、クコシ、クズ、クチナシ、クマザサ、クマノイ、クローブ、ケイシ、ゲッケイジツ、ゲッケイヨウ、ゲンコ、コウベイ、ゴボウシ、ゴマ、ザクロヒ、サンザシ、シソシ、シソヨウ、シマ、ショウブコン、ジリュウ、シンイ、ジンコウ、スイカズラ、スギナ、セッコウ、ソウヨウ、チクジョ、チクヨウ、チャヨウ、チョウセンニンジン、ツキミソウ、トウガシ、トウガニン、トウチュウカソウ、トチュウ、ナンテン、ノイバラ、ノダケ、バクガ、バクドウ、ハブチャ、ビャクゴウ、ビャクダン、ビワヨウ、フェンネル、フクジュソウコン、ブシ、プルーン、ベニバナ、ベラドンナコン、ベラドンナヨウ、マシニン、ミツロウ、ムカカ、ムイラプアマ、ケグスリノキ、モツヤク、ヤクヨウニンジン、ヤマノイモ、ユキノシタ、ヨクイ、ラカンカ、レイシ、ロートコンなどが挙げられる。本発明の口腔内崩壊錠は、これらの中でも植物由来の生薬、特に主に植物の葉に由来する生薬を高含有量で含むことができる点において有利である。生薬は水分を含んでいることが多く、粉砕して微粉末としても流動性がよくないなどの特性を有することが多いが、後述するような方法で製造される本発明の口腔内崩壊錠は、そのような取り扱い性が悪い生薬の微粉末であっても高含有することができる。本発明の口腔内崩壊錠は、特にチャノキ(茶の木、学名:Camellia sinensis)に由来する生薬、特にチャヨウ(茶葉)を生薬として用いるのに適している。なお、本明細書において用いる用語「茶葉」にはチャノキの葉および茎に由来する素材が含まれるものとする。
生薬として茶葉を用いる場合には、市販の種々の茶葉を利用することができる。茶葉の種類は特に限定されず、摘み取った茶葉を加熱処理して発酵を妨げて得られる緑茶、茶葉を発酵途中で加熱して発酵を止めたウーロン茶に代表されるような半発酵茶、茶葉を完全発酵させた紅茶に代表されるような発酵茶、あるいはそれらを焙煎して得られる焙煎茶のいずれであってもよい。中でも、生理活性が注目される成分を多く含むことが知られている半発酵茶、特にウーロン茶を用いると、その成分による健康促進作用を享受できると考えられるため好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠は、崩壊錠として機能するために必要とされる30秒以下の崩壊時間を有する。崩壊時間は、25秒以下、特に20秒以下であると、嚥下能力が低い小児または高齢者であってもより摂取が容易となり好ましい。また、本発明の口腔内崩壊錠は、10N以上の錠剤硬度を有し、1%以下の摩損度を示す。錠剤硬度は、好ましくは11N以上、より好ましくは12N以上、特に好ましくは13N以上であると、摩損度はより低くなり、運搬中などにおける錠剤の破損が少なくなるため好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠は、生薬粉末に加えて、賦形剤および崩壊剤を含むことが好ましい。本発明の口腔内崩壊錠に用いることができる賦形剤としては、溶解性の高い糖類、例えばD−マンニトール、キシリトール、スクロース、エリスリトール、ラクトースが挙げられる。D−マンニトールとしては、市販の製品、例えばPARTECK(登録商標) Delta M、PARTECK(登録商標) M100、PARTECK(登録商標) M200、およびPARTECK(登録商標) ODT(いずれもMERCK社)が挙げられる。これら糖類を賦形剤として用いると、それが加熱により溶融した後固化することで、錠剤内に架橋構造を形成することが可能となる。そのような架橋構造は、所望の錠剤硬度を実現するとともに、錠剤を多孔質とし崩壊時間を短縮するのに寄与する。
本発明の口腔内崩壊錠に用いることができる崩壊剤としては、一般的に口腔内崩壊錠の調製に使用される崩壊剤であれば特に限定されず、不溶性ポリビニルピロリドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、粉末セルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファ化デンプン、アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。本発明の口腔崩壊錠に崩壊剤として用いることができる市販の製品としては、Kollidon(登録商標) CL−SF、Kollidon(登録商標) CL−F、Kollidon(登録商標) CL−M、Kollidon(登録商標) CL(いずれもBASF社)、Ac−Di−Sol(大日本住友製薬社)、L−HPC NBD−021、L−HPC NBD−021(いずれも信越化学工業社)などが挙げられる。
本発明の口腔内崩壊錠には、必要に応じて結合剤が用いられていてもよい。本発明の口腔内崩壊錠に用いることができる結合剤としては、特に限定されないが、例えば可溶性ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。本発明の口腔崩壊錠に結合剤として用いることができる市販の製品としては、Kollidon(登録商標) 12PF、Kollidon(登録商標) 17PF、Kollidon(登録商標) 25、Kollidon(登録商標) 30、Kollidon(登録商標) 90F(いずれもBASF社)などが挙げられる。結合剤を用いることにより錠剤の打錠時のスティッキングを防ぐことができる。結合剤を用いる場合、口腔内崩壊錠の全体重量に対して0.5〜3重量%の範囲となる量で用いることが好ましい。
次に、上述したような本発明の口腔内崩壊錠の製造方法について説明する。本発明の口腔内崩壊錠は、生薬粉末、賦形剤および崩壊剤を含み、必要に応じてさらに結合剤を含む混合物を、ナトリウム塩水溶液を用いて湿式造粒する工程、得られた造粒物を圧縮成形する工程、ならびに得られた成形物をマイクロ波照射により加熱し乾燥させる工程を経て調製することができる。マイクロ波照射による加熱の後、必要に応じて乾燥機による加熱乾燥に、あるいは自然乾燥に供してもよい。なお、湿式造粒の工程においては、まず生薬粉末にナトリウム塩水溶液の一部を加えて混練し、生薬粉末に溶液を十分吸着させた後に、賦形剤および崩壊剤などと残りのナトリウム塩水溶液を加えると、造粒がよりスムーズに行えるため好ましい。最初に生薬粉末に加えるナトリウム塩水溶液は、錠剤の製造に用いる全体量の1/3以上、特に1/2以上の量とするのが好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠の製造において用いるナトリウム塩水溶液は、マイクロ波を照射して加熱した際に、蒸留水などと比較して温度が速やかに上がりやすいという特徴を有する。マイクロ波照射により速やかに温度が上がることは、賦形剤として用いた糖類が十分溶融し、架橋構造がより形成されやすくなることに繋がり好ましい。ナトリウム塩水溶液の濃度は、ナトリウムイオン(Na)の濃度が1M以上、特に1.25M以上、さらに1.35M以上、とりわけ1.5M以上であると、マイクロ波照射時に温度が上がりやすく好ましい。原料を湿式造粒し、それを圧縮成形して得た成形物をマイクロ波照射により加熱する際は、成形物の温度が100℃以上になるよう加熱することが好ましく、加熱開始から3分以内に100℃以上となることがより好ましい。また、加熱時間は成形物の温度が100℃に到達してから30秒以上、特に1分以上、とりわけ1分半以上とすることが好ましい。例えばマイクロ波照射を汎用の500Wマイクロ波オーブンを用いて行う場合、通常サイズの口腔崩壊錠(50mg〜250mg)であれば、マイクロ波照射は1.5分以上、特に2分以上とすることが好ましい。
さらに、生薬として茶葉を用いる場合、熱により有効成分が増加する場合があることが知られているが、有効成分の増加を促進するためには、マイクロ波照射は成形物の温度が110℃以上、特に120℃以上となるようにするのが好ましく、例えば120〜170℃、より好ましくは120〜150℃の温度を保つようにするのがとりわけ好ましい。170℃まで、より好ましくは150℃までの温度であれば、有効成分が熱分解または昇華しにくいと考えられる。ナトリウム塩水溶液としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、およびクエン酸三ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが例示できる。中でも、リン酸水素二ナトリウムは特にマイクロ波照射により温度が上がりやすい点で、クエン酸ナトリウム類は水に対する溶解度が高い点などで好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠の製造方法において、ナトリウム塩水溶液は、錠剤のその他の原料の粉体重量に対して20重量%以上、特に30重量%以上、とりわけ40重量%以上用いることが錠剤の製造上好ましい。一方、ナトリウム塩水溶液は多すぎても、水分が過剰となり錠剤の成形が困難になるなどの問題が生じ得ることから、錠剤のその他の原料の粉体重量に対して70重量%以下、特に60重量%以下、とりわけ50重量%以下の量で用いることが好ましい。
このように、本発明の口腔内崩壊錠は、ナトリウム塩水溶液を用いて製造されるため、その成分にナトリウム塩を多く含有する。用いるナトリウム塩の種類によっても異なるが、本発明の口腔内崩壊錠は、錠剤重量に対しナトリウム塩を20重量%以上、特に30重量%以上含有することを特徴とする。
本発明の口腔内崩壊錠の製造方法において、湿式造粒により得られた造粒物を圧縮成形する際は、後にマイクロ波照射により加熱するため、成形時にかける圧は非常に弱いものであっても十分である。打錠圧は5kN以下、特に3kN以下、とりわけ1kN以下のような弱い圧でもよく、0.01kN以上であれば錠剤が作成可能である。ただし、最終的に得られる錠剤の硬度を高めるためには、打錠圧は0.5kN以上とすることが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.原料
茶粉末として、茶葉「鳳凰水仙」をミキサーにかけて粒径が20μm程度になるまで粉砕したものを用いた。また、賦形剤として、D−マンニトール(メルク社)、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)(NBD−020、信越化学工業社)、結合剤としてポリビニルピロリドン(PVP)(コリドン25、BASF社)を用いた。
2.口腔内崩壊茶錠の調製
(製造例1)
茶粉末240mgに、リン酸水素二ナトリウムを50℃でソニケーションすることにより過飽和とした水溶液(1.68M NaHPO・12HO(600g/L)、塩の析出なし)を、96μL(茶粉末に対して約40重量%)加えた後(溶媒1)、均一になるよう乳鉢で混合した。賦形剤としてのD−マンニトールを464mg、崩壊剤としてのL−HPCを80mg、および結合剤としてPVPを16mg加え、さらにリン酸水素二ナトリウム水溶液を240μL(茶粉末、賦形剤、崩壊剤および結合剤に対して約30重量%)加え(溶媒2)、乳鉢で2分間混合し造粒した。得られた粒子を60mg量り取り、圧縮試験機(MPC−100、岡田精工社)により、平面杵(直径5mm)、0.5kNで打錠し、調製した錠剤を家庭用電子レンジ(NE−EH226、パナソニック社)によりマイクロ波を500Wで所定時間照射し、次いで乾燥機により80℃で24時間乾燥させて錠剤を得た。
Figure 2015168643
(製造例2)
溶媒1および溶媒2のいずれにおいてもリン酸水素二ナトリウム水溶液に代えて蒸留水を用いた以外は製造例1と同様にして錠剤を得た。
3.錠剤特性の評価方法
(1)崩壊時間および膨化度
口腔内崩壊錠測定装置(トリコープテスタ、岡田精工社)を用いて調製した錠剤の崩壊時間を測定した。測定時間は最大120秒とした。また、マイクロ波照射前と照射後の錠剤の中心における高さをデジマチックメーター(ミツトヨ社)で測定し、その差を膨化度とした。
(2)硬度および摩損度
ロードセル式錠剤硬度計(PC−30、岡田精工社)を用いて調製した錠剤の硬度を測定した。また、錠剤摩損度試験器(富山産業社)を用いて第16改正日本薬局方に従って摩損度の測定を行った。
4.錠剤特性評価結果
(製造例1)
図1に製造例1で得た錠剤の崩壊時間測定結果を示す。リン酸水素二ナトリウム水溶液を用いた製造例1では、マイクロ波照射時間が1分では120秒以上の長い崩壊時間を示したのに対し、2分以上とした場合には崩壊時間が30秒以内となり、崩壊特性において優れていた。図2に製造例1の錠剤にマイクロ波を照射した際の膨化度を示す。崩壊時間測定結果と同様に、マイクロ波照射を2分以上とすると膨化度が急激に高くなることがわかった。これらのことから、マイクロ波照射による錠剤の膨化が、錠剤内に溶媒が浸入しやすくし、錠剤の崩壊時間の短縮をもたらしているものと推察された。
図3に錠剤硬度の測定結果を、図4に錠剤の摩損度の測定結果をそれぞれ示す。マイクロ波照射を1分以上行った錠剤では10N以上の十分な硬度を有していた。また、実際の摩損度試験でも1%以下の非常に低い摩損度を示した。
(製造例2)
図5に製造例2で得た錠剤の崩壊時間測定結果を示す。マイクロ波照射により崩壊時間が長くなる傾向がみられ、マイクロ波照射時間を2分以上としたところ、崩壊時間は120秒以上と長くなってしまった。図6に示した膨化度の測定結果を図2の製造例1の結果と比較すると明らかであるように、リン酸水素二ナトリウム水溶液に代えて蒸留水を用いた製造例2の錠剤では膨化が十分ではなかったことに起因すると推察された。
図7に錠剤硬度の測定結果を、図8に錠剤の摩損度の測定結果をそれぞれ示す。錠剤硬度はマイクロ波照射時間に比例して上昇し、マイクロ波照射時間を2分以上とすると30N以上の錠剤硬度となった。この高い錠剤硬度も崩壊時間の延長に影響したものと推察された。また、そのような高い錠剤硬度により、摩損度試験でも1%以下の非常に低い摩損度を示した。
5.マイクロ波照射後の錠剤温度測定
マイクロ波を所定時間照射した直後の錠剤の表面温度を、サーモグラフィ(FLIR i7)を用いて測定した。その結果を表2に示す。リン酸水素二ナトリウム水溶液を用いた製造例1では、マイクロ波処理時間依存的に顕著に錠剤温度が高くなることがわかった。このことから、熱伝導性が高いリン酸水素二ナトリウム水溶液を錠剤調製時に用いたことにより、マイクロ波照射による錠剤の乾燥を効率的に誘導することができ、優れた崩壊特性をもたらしているものと推察された。
Figure 2015168643
6.各種塩の水溶液のマイクロ波照射による温度上昇
溶媒1および溶媒2のいずれにおいても、リン酸水素二ナトリウム水溶液または蒸留水に代えて、リン酸水素二ナトリウム水溶液と同じモル濃度(1.68M)の各種塩水溶液を用いた以外は製造例1と同様に錠剤を調製し、上記5と同様にしてマイクロ波を所定時間照射した直後の錠剤の表面温度を測定した。その結果を表3に示す。ナトリウム塩水溶液を用いた場合では、蒸留水および塩化カリウム水溶液を用いた場合と比較して、マイクロ波照射により温度が速やかに上昇することがわかった。
Figure 2015168643

Claims (8)

  1. 生薬粉末を錠剤重量に対し20重量%以上含有し、崩壊時間が30秒以下かつ錠剤硬度が10N以上である口腔内崩壊錠。
  2. 生薬が茶葉である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  3. 生薬粉末、賦形剤および崩壊剤を含む混合物を、ナトリウム塩水溶液を用いて湿式造粒する工程、得られた造粒物を圧縮成形する工程、ならびに得られた成形物をマイクロ波照射により加熱する工程を含む、口腔内崩壊錠の製造方法。
  4. 口腔内崩壊錠が生薬粉末を20重量%以上含む、請求項3に記載の方法。
  5. ナトリウム塩が、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムから選択される、請求項3または4に記載の方法。
  6. 湿式造粒工程において、予め生薬粉末とナトリウム塩水溶液の一部とを混練し、次いで賦形剤、崩壊剤および結合剤と残りのナトリウム塩水溶液を加えて造粒する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 賦形剤がD−マンニトールである、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 湿式造粒に用いるナトリウム塩水溶液のナトリウムイオン濃度が1M以上である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
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