JP2015167638A - 唇用美容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】唇の隅々において十分な美容効果を奏することができる唇用美容器を提供すること。【解決手段】唇用美容器1は、本体部10と、本体部10から突出形成されているとともに、唇に当接させるための唇当接面20を突出端面に備えるヘッド部2と、を有する。唇当接面20は、ヘッド部2の突出方向Xに対して傾斜している。唇当接面20の外縁20aは、唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20に垂直な方向Yから見て、三方向にそれぞれ湾出する3つの丸角部21、22、23が滑らかにつながった形状を有するとともに、丸角部のうち、曲率半径が最も小さい丸角部21が突出方向Xの先端に位置している。【選択図】図1

Description

本発明は、唇用美容器に関する。
従来、唇用美容器として、特許文献1には本体部から突出形成されたヘッド部の先端に唇に当接される唇当接部が設けられており、当該唇当接部が加温されるように構成されたものが開示されている。特許文献1に開示の構成では、加温された唇当接部を唇に当接させることにより、唇を温めて血流を促進して、美容効果を与えている。さらに、特許文献1に開示の構成では当該唇当接部とは別にイオン導入用の電流が流れるように構成されたイオン導入用の唇当接部が備えられている。イオン導入用の唇当接部を唇に当接させることにより、当該唇当接部と唇との間に電位差が生じて美容液を唇への浸透を促すことができる。また、唇用の美容器ではないが、顔などに使用される美容器として、肌面に当接される肌面当接部に加温とイオン導入の両方の機能が備えられたものがある。
特開2013−162812号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、加温用の唇当接部の形状を、球状、円柱状又は立方体状などとしたり、多角形柱の先端を部分球面形状にした形状などとしたりしている。かかる唇当接部の形状は、口角の形状と大きく異なっているため、当該唇当接部を唇の端にまで十分に当接させることが難しく、唇の隅々にまで十分な美容効果を奏するには改善の余地がある。また、加温用の唇当接部とイオン導入用の唇当接部とが別個に設けられているため、唇に対して加温とイオン導入を同時に行うことはできない。また、肌面当接部に加温とイオン導入の両方の機能が備えられた上述の美容器は顔用であるため、その肌面当接部の幅は唇の幅よりも大きくなっている。そのため、肌面当接部全体を唇に当接させることが困難となるため、効果的に使用できないという問題がある。また、肌面当接部の幅が大きいため、肌面当接部を唇の縦ジワに沿わせて使用することが困難である。また、この美容器においても肌面当接部の形状は口角の形状と大きく異なっているため、当肌面当接部を唇の端にまで充分に当接させることが難しい。これらの事情から、当該美容器では唇の隅々にまで十分な美容効果を奏するには改善の余地がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、唇の隅々において十分な美容効果を奏することができる唇用美容器を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、本体部と、該本体部から突出形成されているとともに、唇に当接させるための唇当接面を突出端面に備えるヘッド部と、を有し、
上記唇当接面は、上記ヘッド部の突出方向に対して傾斜しており、
上記唇当接面の外縁は、上記唇当接面の重心位置における上記唇当接面に垂直な方向から見て、三方向にそれぞれ湾出する3つの丸角部が滑らかにつながった形状を有しているとともに、該丸角部のうち、曲率半径が最も小さい丸角部が上記突出方向の先端に位置していることを特徴とする唇用美容器にある。
上記唇用美容器においては、唇当接面が上記の形状を呈しているため、唇当接面の突出方向の先端に位置している丸角部を唇の端にまで十分当接させることが容易となる。また、唇当接面の先端に位置している丸角部が先細りの形状を呈することとなるため、いわゆる縦ジワが形成された部分に対しても唇当接面を十分に当接させることができる。その結果、唇の隅々において十分な美容効果を奏することができる。
以上のごとく、本発明によれば、唇の隅々において十分な美容効果を奏することができる唇用美容器を提供することができる。
実施例1における、蓋を取り外した状態での唇用美容器の正面図。 実施例1における、蓋を取り外した状態での唇用美容器の左側面一部拡大図。 実施例1における、ヘッド部の唇当接面の正面一部拡大図。 実施例1における、蓋を取り外した状態での唇用美容器の上面図。 実施例1における、蓋を含む唇用美容器の分解斜視図。 実施例1における、蓋を取り付けた状態での図1のVI-VI線位置断面図。 実施例1における、唇用美容器の構成を示すブロック図。 実施例1における、スイッチホルダの正面図。 図8におけるIX-IX線位置断面図。 実施例1における、蓋を取りつけた状態での唇用美容器の斜視図。 実施例1における、唇用美容器の加温モードのフロー図。 実施例1における、唇用美容器の加温モード及びイオン導入モードのフロー図。 実施例1における、唇用美容器の加温モード及びイオン導入モードのフロー図。 実施例1における、イオン導入モードでの電流の波形図。
上記唇用美容器において、「唇当接面」とは、ヘッド部の突出方向の先端において、唇に当接可能な面をいうものとする。例えば、ヘッド部が本体部と繋がるヘッド胴体部と、本体部と反対方向に突出する先端に突出端面とを有し、当該突出端面がヘッド部の突出方向に膨らんで上記唇当接面が形成されている場合には、突出方向先端側においてヘッド胴体部の側面が突出方向に交差する方向に湾曲又は屈折する位置から突出方向先端側の面を、唇当接面というものとする。
上記唇用美容器において、「唇当接面の重心位置」とは、唇当接面の外縁形状の重心に相当する位置をいうものであって、例えば、ヘッド部が本体部と繋がるヘッド胴体部と、本体部と反対方向に突出する先端に突出端面とを有し、当該突出端面がヘッド部の突出方向に膨らんで上記唇当接面が形成されている場合には、ヘッド部の側面投影図において、ヘッド胴体部の側面が突出方向先端側において突出方向に交差する方向に湾曲又は屈折する位置のうちで最も突出方向先端側に位置する点と、最も突出方向後端側に位置する点とを通る仮想直線を含むとともに、当該側面投影方向に平行な仮想平面におけるヘッド部の断面の重心に相当する位置をいうものとする。
上記唇用美容器において、「丸角部」とは、丸みを有する角部をいうものとし、当該丸角部は一つの曲率半径を有する曲線によって規定されるものであってもよいし、異なる曲率半径を有する曲線又は直線を複数組み合わせて規定されるものであってもよい。
また、上記唇用美容器において、「3つの丸角部が滑らかにつながった形状」とは、例えば、三角形の各角部が丸みを有する角丸三角形状や、いわゆるティアドロップ形状の尖端部を丸めた形状などを指すものとする。また、上記角丸三角形状は、厳密な三角形の角部が丸みを有するもののほか、3つの丸角部を繋ぐ部分の一部が湾曲した形状や、3つの丸角部を繋ぐ部分全体が湾曲して全体として丸みを帯びた形状を含むものとする。
上記突出方向側の先端に位置する丸角部の曲率半径は、上記唇当接面の重心位置における上記唇当接面に垂直な方向から見て、2.0〜5.0mmであることが好ましい。これにより、唇当接面の突出方向側の先端の丸角部が口角に沿う形状となるため、唇当接面を口角に一層十分当接させることができ、唇に対する美容効果を一層向上できる。
上記唇当接面の外縁は、上記唇当接面の重心位置における上記唇当接面に垂直な方向から見て、上記唇当接面の上記突出方向の頂点及び上記重心位置を通る中心線に直交する方向に位置するそれぞれの端部において、上記中心線から最も離れたそれぞれの最外点の曲率半径が、上記突出方向の先端に位置している丸角部の曲率半径よりも大きい形状を有していることが好ましい。これにより、唇当接面の突出方向側の先端に位置する丸角部を適度に細く維持しつつ、唇当接面の中央付近を中心線に直交する方向において適度に幅広に形成することができる。その結果、唇当接面の突出方向側の先端に位置する丸角部を口角に当接させやすいことに加えて、口角に比べて幅広の唇中央部に対しても唇当接面を十分当接させることができる。これにより、唇全体に対してより一層美容効果を奏することができる。
上記唇当接面の外縁は、上記唇当接面の重心位置における上記唇当接面に垂直な方向から見て、上記突出方向と反対側が上記突出方向側の先端に位置する丸角部の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する湾曲形状を呈していることが好ましい。これにより、唇当接面の突出方向側の先端を先細りの形状としつつ、唇当接面の後端側を幅広の形状とすることができる。その結果、唇当接面の突出方向側の先端を口角等に十分当接させることができるとともに、唇当接面の後端部及び中央部を口角よりも幅広の唇中央部に容易に当接させることができる。これにより、唇全体に対する美容効果を一層向上することができる。
上記唇当接面は、上記唇当接面の外縁から重心位置に近づくにつれて、上記突出方向に向かって緩やかに膨出していることが好ましい。これにより、唇当接面が突出方向に緩やかに膨らんだ形状を呈することから、唇当接面が指先や指の腹の形状に近い形状となる。その結果、使用時において唇当接面を唇に当接させたときに、使用者に対して指先や指の腹が唇に触れているように感じさせることができるため、使用感が向上する。また、使用時において唇当接面と唇との摩擦が低減されるため、操作性がよいとともに使用感が向上する。
上記本体部は棒状であって把持可能に構成されているとともに、上記ヘッド部は上記本体部の軸方向に突出しており、上記本体部の外縁の形状は、上記本体部の軸方向から見て、上記唇当接面の外縁の形状と相似であることが好ましい。これにより、使用者は本体部を把持するだけで、唇当接面が向いている方向を把握することができる。通常、使用者は鏡などを使用しなければ自分の唇を直接視認することができないため、使用中に唇当接面の方向を視認するには鏡等が必要となる。しかし、上述の構成を積極的に採用することにより直接視認することなく、唇当接面の方向を認識することできるため、鏡等が不要となることから、使い勝手のよい唇用美容器となる。
上記ヘッド部には、上記唇当接面を加温する加温手段が備えられていることが好ましい。これにより、唇の隅々まで加温することができ、唇の血流を増加させることにより、高い美容効果を奏する。また、使用者における使用時の体感を向上させることができる。また、リップクリームやリップ用ジェルなどの美容剤と合わせて使用する場合には、加温手段により、唇を加温するとともに美容剤を加温することができる。これにより、美容剤の唇への塗り伸ばしが容易となるとともに、当該美容剤の唇への浸透を促して美容効果を向上することができる。
上記ヘッド部は中空の柱状に形成されており、上記加温手段は上記ヘッド部における上記唇当接面と反対側の面に当接された発熱装置からなることが好ましい。これにより、当該加温手段によって発熱装置の熱を唇当接面に効率的に伝播させることができるため、唇当接面の加熱効率が向上する。なお、唇当接面と反対側の面と発熱装置との間に熱伝導性の高い部材を介在させてもよい。これにより、発熱装置から唇当接面への熱の伝播効率を一層向上させることができる。例えば、シリコン樹脂を両者の間に充填することができる。
上記ヘッド部には、唇と上記唇当接面との間に電位差を付与するように構成された電位差付与手段が備えられていることが好ましい。これにより、唇に対してイオン導入効果を奏することができ、使用時に所定の美容液を使用することによって唇に当該美容液の浸透を促して、唇に対する美容効果を一層向上させることができる。
上記本体部には、上記加温手段及び上記イオン導入手段の動作状態を切り替えるスイッチが備えられているとともに、上記ヘッド部及び上記スイッチを覆うように着脱可能に取り付けられた蓋が備えられていることが好ましい。これにより、当該蓋によってスイッチ部を覆うことができるため、不使用時における誤操作の防止が図られる。また、蓋はヘッド部及びスイッチを一括して覆うため、それぞれを覆う蓋を別個に設ける場合に比べて、部品点数の削減に寄与するとともに、全体として一体感が増して意匠性が向上する。
(実施例1)
本例の実施例に係る唇用美容器につき、図1〜図14を用いて説明する。
本例の唇用美容器1は、本体部10と、本体部10から突出形成されているとともに、唇に当接される唇当接面20を突出端面に備えるヘッド部2と、を有する。
本体部10は、ABS樹脂製であって、略棒状に形成されている。本体部10の軸方向Xの中央に把持可能な把持部11を有している。本体部10の軸方向一端側にはヘッド部2が突出形成されている。また、本体部10におけるヘッド部2の基部の近傍には後述のスイッチ50が備えられている。
ヘッド部2は、図1、図2に示すように、本体部10から、軸方向Xに突出している。ヘッド部2は本体部10と繋がって軸方向Xに突出するヘッド胴体部2aと、ヘッド胴体部2aの突出方向の先端部であるヘッド先端部2bとからなる。ヘッド胴体部2aは、突出方向Xの先端(すなわち、ヘッド先端部2b)に向かうに従って徐々に先細りする形状を呈している。ヘッド部2は中空となっている。ヘッド部2はABS樹脂製であって、クロムメッキが施されており、導電性を有する。
ヘッド先端部2bの表面は、唇に当接可能な面である唇当接面20を形成している。そして、唇当接面20は突出方向Xに湾曲状に緩やかに膨らんでいる。唇当接面20は、図2に示すように、ヘッド胴体部2aの側面201が突出方向Xに交差する方向に湾曲する位置Pから突出方向先端側の面である。
図3に示すように、唇当接面20の重心位置をGとする。唇当接面20の重心位置Gは、以下のように規定されている。すなわち、重心位置Gは、図2に示すヘッド部2の側面投影図において、突出方向先端側のヘッド胴体部2aの側面201が突出方向Xに交差する方向に湾曲する位置Pのうちで最も突出方向先端側に位置する点P1と、最も突出方向後端側に位置する点P2とを通る仮想直線PLを含むとともに、当該側面投影方向(図1における突出方向Xに垂直な幅方向Zであって、図2おける紙面奥行き方向)に平行な仮想平面Sに垂直な方向Yから見たときの唇当接面20の仮想平面Sに平行な断面形状の重心に相当する位置(図3参照)である。なお、幅方向Zの一方を幅方向Z1とし他方を幅方向Z2とする。
図2に示すように、ヘッド部2の突出端面に形成されている唇当接面20は、ヘッド部2の突出方向Xに対して傾斜している。唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20の軸方向Xに対する傾斜角度(すなわち、仮想平面Sと軸方向Xとのなす角)αは、20〜60°とすることができ、本例では40°である。また、唇当接面20は、唇当接面20の外縁20aから唇当接面20の重心位置Gに向かうにつれて、突出方向Xに緩やかに膨出した形状を呈している。
図3に示すように、唇当接面20は、唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20に垂直な方向Yから見て、三方向にそれぞれ湾出する3つの丸角部(第1丸角部21、第2丸角部22、第3丸角部23)が滑らかにつながった形状を有する。そして、当該丸角部のうち、曲率半径が最も小さい丸角部である第1丸角部21が突出方向X(図1参照)の先端に位置している。
なお、第1丸角部21よりも曲率半径の大きい第2丸角部22、第3丸角部23は、突出方向X(図1参照)の後端であって、図3に示すように唇当接面20において、幅方向Z(第1丸角部21の突出方向Xの頂点21bから重心位置Gに向かう方向Qと方向Yとに垂直な方向)の両端に位置している。
第1丸角部21の曲率半径は、唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20に垂直な方向から見て、2.0〜5.0mmとすることが好ましく、2.5〜4.0mmとすることがさらに好ましく、本例では、3.0mmとしている。なお、第2丸角部22及び第3丸角部23の曲率半径は、5.5〜20mmとすることができ、本例では、それぞれ7.0mmである。
また、図3に示すように、唇当接面20において、第1丸角部21と第2丸角部22との間には第1中間部24が形成されており、第1丸角部21の外縁21aと第2丸角部22の外縁22aとは第1中間部24の外縁24aによって滑らかにつながっている。同様に、第2丸角部22と第3丸角部23との間には第2中間部25が形成されており、両外縁22a、23aは第2中間部25の外縁25aによって滑らかにつながっている。また、第3丸角部23と第1丸角部21との間には第3中間部26が形成されており、両外縁23a、21aは第3中間部26の外縁26aによって滑らかにつながっている。
そして、唇当接面20の外縁20aは、図3に示すように、唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20に垂直な方向Y(図2参照)から見て、唇当接面20の突出方向X(図2参照)の頂点21b及び重心位置Gを通る中心線L0に直交する方向Zに位置するそれぞれの端部(第2丸角部22、第3丸角部23)において、中心線L0から最も離れたそれぞれの最外点P3、P4の曲率半径が、突出方向Xの先端に位置している第1丸角部21の曲率半径よりも大きい形状を有している。本例では最外点P3、P4における外縁20aの曲率半径はともに、5.5〜20mmとすることができ、6.0〜10mmとすることが好ましい。本例では、最外点P3、P4の曲率半径はともに8.0mmである。
最外点P3は、中心線L0よりもZ1方向側における唇当接面20の外縁20aと中心線L0に直交する仮想直線L1との交点であって、頂点21bから重心位置Gに向かう方向Qに仮想直線L1を移動させた時に、最外点P3と中心線L0との距離D1が最大となる外縁20a上の点である。同様に最外点P4は、中心線L0よりもZ2方向側における外縁20aと仮想直線L1との交点であって、仮想直線L1を方向Qに移動させた時に、最外点P4と中心線L0との距離D2が最大となる外縁20a上の点である。
図3に示すように、交点25bは、唇当接面20の外縁20aにおける突出方向X(図2参照)の後端側に位置する第2中間部25の外縁25aと中心線L0との交点である。距離Dhは頂点21bと交点25bとの距離であって、方向Y(図2参照)から見たときの唇当接面20における長手方向の長さを示す。点PCは、頂点21bと交点25bとの中点である。距離Dwは、最外点P3と最外点P4との距離(すなわち、距離D1と距離D2とを合わせた距離)であって、方向Yから見たときの唇当接面20における幅方向Zの長さを示す。交点PXは、中心線L0と仮想直線L1との交点である。
そして、距離Dwは距離Dhよりも小さいため、唇当接面20は方向Yから見て、幅方向Zよりも方向Qに長い形状となっている。さらに、交点PXは、中点PCと交点25bとの間に位置しているため、唇当接面20は方向Yから見て、突出方向X(図2参照)の後端側が幅広となる形状となっている。本例では、距離Dhは12.0mm、距離Dwは10.0mmである。
そして、図3に示すように、唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20に垂直な方向Yから見て、唇当接面20における突出方向Xと反対側に位置する第2中間部25の外縁25aが、突出方向X側の先端に位置する第1丸角部21の外縁21aの曲率半径よりも大きい曲率半径を有する湾曲形状を呈している。第2中間部25の外縁25aの曲率半径は5.0〜20mmとすることができ、好ましくは7.0〜15.0mmであり、本例では10.0mmである。これにより、第2中間部25の外縁25aは、突出方向X側の先端に位置する第1丸角部21の外縁21aに比べて、緩やかに湾曲している。
図3に示すように、上述の如く、各丸角部21、22、23の外縁21a、22a、23aは、各中間部24、25、26の外縁24a、25a、26aによって、滑らかにつながれている。これにより、唇当接面20の外縁20a全体は滑らかな環状の曲線を成している。そして、唇当接面20は、第1丸角部21から第2中間部25へ向かうにつれて、幅(方向Q及びYに垂直な方向Zの長さ)が大きくなっている。すなわち、唇当接面20は第1丸角部21に向かって先細りした形状となっている。換言すると、唇当接面20は方向Yから見て、仮想三角形の各角部を丸くして各辺を滑らかにつなぎ合わせた形状を成している。そして、唇当接面20の外縁20aは、方向Yから見て、中心線L0を中心に線対称に形成されている。
さらに、図4に示すように、軸方向Xから見て、本体部10の外縁10aの形状は唇当接面20の外縁20a(各丸角部21、22、23の外縁21a、22a、23a及び各中間部24、25、26の外縁24a、25a、26aを繋いだ全体)の形状と相似となっている。
ヘッド部2の内部には、唇当接面20を加温する加温手段3としての発熱装置30が収納されている。発熱装置30は、図5に示すように、発熱体32としてのチップ型の抵抗器、温度センサ33(サーミスタ)等が実装された発熱回路基板31からなる。発熱体32である抵抗器に通電させることによって当該発熱体32が発熱するように構成されている。図6に示すように、発熱回路基板31は唇当接面20と反対側の内側面27と平行となるとともに、発熱体32が内側面27に当接するように基板ホルダ34によって支持されている。なお、発熱回路基板31と内側面27との間には、シリコングリスが充填されている。発熱装置30には、本体部10に収納された電池12から電力が供給される。
本体部10は、図5に示すように、正面側を形成する正面側部材10aと、本体部10の背面側を形成する背面側部材10bと、ヘッド部2が取り付けられている上面側部材10cとからなり、内部には電池12が保持される電池ホルダ13と、電池ホルダ13を覆う電池カバー14とが備えられている。正面側部材10a、背面側部材10b及び電池カバー14はABS樹脂製である。
図5、図6に示すように、上面側部材10cには、突出方向Xに開口するヘッド部取付凹部103が形成されている。ヘッド部取付凹部103は、図6に示すように、ヘッド部2の唇当接面20と反対側の筒状の基部29の外形に沿うように形成されている。そして、ヘッド部2の基部29とヘッド部取付凹部103の底部との間にヘッド部通電用金具28aの一端部が介設された状態で、ヘッド部取付凹部103にヘッド部2の基部29が嵌め込まれ、ネジ28によって基部29がヘッド取付凹部103の底部に締結されている。これにより、ヘッド部2の唇当接面20が、ヘッド部通電用金具28aを介して、後述のイオン導入回路基板41に電気的に接続されて、イオン導入装置40の第1電極を構成している。
また、電池カバー14にはクロムメッキが施されており、導電性が付与されている。図5に示すように、電池カバー14は、本体部10の左右側面を覆っている。電池カバー14の内側(電池12側)の面には、電池カバー通電用金具14aが備えられている。そして、電池カバー14が当該電池カバー通電用金具14aを介して、後述のイオン導入回路基板41に電気的に接続されて、イオン導入装置40の第2電極を構成している。
発熱装置30の各部の間の電気的接続について図7を用いて詳説する。発熱装置30は、発熱体32、温度センサ33、発熱装置制御部35から構成されている。
電源部120は電池12(図6参照)を備え、発熱装置制御部35内の発熱装置制御用マイコン35a及び発熱体32とのそれぞれに接続されており、電池12からこれらの各部に対して作動用電力を供給している。また、電源部120にはタイマー70が接続されている。タイマー70がスタートした後、所定の時間経過すると、電源部120に停止信号が送られるように構成されている。発熱装置制御用マイコン35aには発熱体32へ制御信号を送る信号出力部422が備えられている。
温度センサ33としてのサーミスタは、発熱体32の温度を検出する。温度センサ33によって検出された温度値は、発熱装置制御用マイコン35aへ送られる。そして、発熱装置制御用マイコン35aにおいて、上記温度値が基準温度(本例では、40℃)と比較される。検出された温度値が基準温度よりも低いと判断された場合には、発熱装置制御用マイコン35aから発熱体32へ制御信号が送られるとともに、電源部120から発熱体32へ電力の供給がなされて発熱体32が発熱する。上記検出された温度値が基準温度以上であると判断された場合には、発熱装置制御用マイコン35aから制御信号が発熱体32へ送られるとともに、電源部120から発熱体32へ電力の供給が停止される。
本体部10には唇と唇当接面20との間に電位差を付与する電位差付与手段4としてのイオン導入装置40が設けられている。イオン導入装置40は、図5、図6に示すように、イオン導入回路が形成する電子部品等が実装されているイオン導入回路基板41を備える。イオン導入装置40の各部の間の電気的接続について図7を用いて詳説する。イオン導入装置40は、イオン導入装置制御部42及び電圧印加部43を備える。イオン導入装置制御部42及び電圧印加部43はそれぞれ、電源部120に接続されており、電池12からこれらの各部に対して作動用電力が供給されている。
イオン導入装置制御部42は、図7に示すように、電源部120、電圧印加部43及び還流部44に接続されており、これらの各部の動作を制御可能に構成されている。また、電圧印加部43は、第1電極となる唇当接面20、第2電極となる電池カバー14及び還流部44に接続されている。イオン導入装置制御用マイコン42aは、各部の動作を制御する信号を入出力する機能を有する。電圧印加部43は、第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との間に電圧を印加する機能を有する。還流部44は、第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)から人体に流れる電流を取り込み、電源部120へ還流させる機能を有する。
還流部44は、電圧印加部43と、電源部120のマイナス極へ接続されている接地部441との間に配されている。また、還流部44はイオン導入装置制御用マイコン42aの後述するADC(Analog to Digital Converter)420に接続されている。これにより、イオン導入装置制御部42は、還流部44内の電位差をイオン導入装置制御用マイコン42aに入力できるよう構成されている。
電圧印加部43は、極性反転回路430と定電流回路431を有しており、両者が互いに接続されて構成されている。極性反転回路430は、イオン導入装置制御用マイコン42aの信号出力部422と互いに接続されている。また、極性反転回路430は、第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との各々と接続されている。これにより、極性反転回路430は、信号出力部422から出力される電圧制御信号に基づいて第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との間の電位差を制御可能に構成されている。
定電流回路431は、第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との間に流れる電流を一定値に保つ機能を有する。また、定電流回路431は、イオン導入装置制御用マイコン42aの信号出力部422に接続されている。そして、定電流回路431は、第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との間に流れる電流を一定の値に維持している。
還流部44は、定電流回路431と接地部441との間に接続された抵抗器440を有している。これにより、電圧印加部43側から取り込まれた電流は、抵抗器440内を接地部441側へ向かって流れ、接地部441を介して電源部120のマイナス極へ還流される。また、還流部44における電圧印加部43と抵抗器440との間は、イオン導入装置制御用マイコン42aのADC420と接続されている。これにより、ADC420は、電圧印加部43と抵抗器440との間の点の、接地部441の電位(以下、接地部441の電位を「接地電位」という)に対する電位差が入力されるよう構成されている。
本例のイオン導入装置制御用マイコン42aは、付加機能として、第1電極(唇当接面20)及び第2電極(電池カバー14)と人体との接触状態に応じてイオン導入装置40の動作を変更する機能を備えている。つまり、本例のイオン導入装置制御用マイコン42aは、第1電極(唇当接面20)及び第2電極(電池カバー14)の双方と人体とが接触している場合には、図13に示すイオン導入ステップS28、及びリセットパルスステップS29を繰り返すイオン導入モードを実行するようにイオン導入装置40の動作を制御する。一方、本例のイオン導入装置制御用マイコン42aは、第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)の少なくとも一方が人体と接触していない場合には、ディレイタイマー423により設定される所定の時間間隔で繰り返す(ステップS27)ようにイオン導入装置40の動作を制御する。
以下、本例のイオン導入装置制御用マイコン42aについて詳説する。図7に示すように、イオン導入装置制御用マイコン42aは、ADC420と、演算部421と、信号出力部422と、ディレイタイマー423とを有している。ADC420は、還流部44内の電位差をデジタル化する機能を有している。演算部421は、第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)とが人体と接触しているか否かを判定する機能を有している。信号出力部422は、第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)から唇の肌面に流す電流を制御する機能を有している。
ADC420は還流部44と接続されており、接地電位に対する還流部44の電位差をデジタル化するよう構成されている。ADC420によりデジタル化された上記電位差の値は、イオン導入装置制御用マイコン42a内において演算部421へ伝達される。
演算部421は、ADC420より入力された上記電位差の値を所定の閾値と比較する。そして、演算部421は、上記電位差の値が上記所定の閾値未満である場合に第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)の少なくとも一方が人体と接触していないと判定し、上記電位差の値が上記所定の閾値以上である場合に第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との双方が人体と接触していると判定するよう構成されている。また、演算部421は、上記判定の結果と、後述の動作フローとの双方に基づいて信号出力部422から出力する信号を制御可能に構成されている。
信号出力部422は、図7に示すように、演算部421からの制御信号を受けて、電圧印加部43に対して電圧制御信号を出力するよう構成されている。電圧制御信号は、電圧印加部43の極性反転回路430に入力され、第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との間に印加する電圧のオンオフ及び極性を制御する。
ディレイタイマー423は、演算部421における上記判定の結果、第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)の少なくとも一方が人体と接触していないと判定された場合に、演算部421により起動される。ディレイタイマー423は、演算部421の動作を所定の時間停止させる機能を有する。これにより、イオン導入装置40は、ディレイタイマー423が起動してから上記所定の時間が経過するまでの間、演算部421の動作停止に伴って各部の動作が停止される。また、ディレイタイマー423は、上記所定の時間が経過した後に演算部421の動作を再開させるよう構成されている。
本体部10には、発熱装置30及びイオン導入装置40の動作状態を制御するスイッチ50が備えられている。図1に示すように、スイッチ50は、本体部10の上面側部材10cのヘッド部2近傍に配設されている。スイッチ50は、図5に示すように、本体部10の内部のスイッチ基板51に実装されたスイッチ素子52を押下可能に構成されている。図6に示すように、スイッチ基板51は軸方向Xに平行に配設されている。一方、上面側部材10cはヘッド部2の突出方向Xに向かって縮径するように形成されており、上面側部材10cの表面は軸方向(突出方向)Xに対して傾斜している。そして、スイッチ50の外側表面も上面側部材10cの表面に沿って、軸方向Xに対して傾斜するように設けられている。スイッチ基板51には、後述の発熱装置30及びイオン導入装置40の作動状態に応じて点灯するLEDランプ45aが備えられている。
図5、図6に示すように、スイッチ基板51はヘッド部2の内側に差し込まれており、基板ホルダ34を突出方向Xに押圧している。これにより、発熱体32としての抵抗器が内側面27に押圧されている。なお、基板ホルダ34とスイッチ基板51との間には、高密度ウレタンフォームからなるスペーサ59が介在されている。
スイッチ50は、スイッチ本体53、パッキン54、スイッチスリーブ55及びスイッチホルダ56を備える。スイッチ本体53は本体部10内部側に突出する突起部53aを備える。スイッチ本体53はABS樹脂製である。突起部53aは透光性を有するポリカーボネート樹脂製である。そして、突起部53aの一部がスイッチ本体53から外側に表出して後述のインジケータ部45が形成されている。
スイッチスリーブ55は、図5、図6に示すように、スイッチ本体53の裏面に沿う板状部55aと、スイッチ本体53の突起部53aが挿通する筒状部55bとを有する。突起部53aは板状部55aを貫通して筒状部55bに挿通されている。スイッチ本体53の裏面と板状部55aとの間には、パッキン54が介設されている。そして、スイッチ本体53の突起部53aがスイッチスリーブ55に挿通された状態で、本体部10の上面側部材10cの正面側に形成された凹部101(図5参照)に配設されている。凹部101の底部には、スイッチスリーブ55の筒状部55bが挿通される貫通孔が形成されており、該貫通孔を介して筒状部55b及び突起部53aが本体部10の内側に位置している。スイッチスリーブ55は、透光性のPC(ポリカーボネート)樹脂製である。スイッチスリーブ55の板状部55aと凹部101の底部との間には防水シート57が介設されている。そして、スイッチ本体53の突起部53aの先端には抜け止め用のワッシャ58が取り付けられている。突起部53aの先端面は、スイッチ50の外側表面の傾斜に平行であって、軸方向Xに対して傾斜している。
スイッチホルダ56は、図8に示すように、環状に形成された環状部56aと、環状部56aの内側に設けられた押下子56bとを備える。押下子56bは、環状部56aの内側面の一部から軸方向X下方側に延設された延設部56cを介して固定されている。そして、押下子56bは、当該延設部56cが撓むことで揺動可能に構成されている。押下子56bは、図9に示すように、スイッチ本体53の突起部53aの先端面が当接する被押下面56dと、被押下面56dと反対側であってスイッチ基板51に実装されたスイッチ素子52に当接する素子当接面56eとを有する。被押下面56dは、突起部53aの先端面に平行であって軸方向Xに対して傾斜している。素子当接面56eは、スイッチ基板51に平行に形成されている。
これにより、スイッチ本体53を押下することにより、突起部53aが押下子56bの被押下面56dを押下する。そして、押下子56bがスイッチ基板51側に揺動することにより、押下子56bの素子当接面56eがスイッチ素子52をスイッチ基板51の略垂直な方向から押下することとなる。このように、スイッチホルダ56が備えられることにより、スイッチ基板51に対して傾斜して配設されたスイッチ50によって、スイッチ素子52を上記の如く略垂直な方向から押下することができ、確実にスイッチ50のオンオフを行うことができる。
また、図6に示すように、スイッチ基板51に配設されているLEDランプ45aは、スイッチスリーブ55を介してインジケータ部45に対向している。スイッチスリーブ55及びインジケータ部45はいずれも透光性を有するため、LEDランプ45aの光はスイッチスリーブ55を介してインジケータ部45から外部に放出されるように構成されている。
図3、図6及び図10に示すように、本体部10には、ヘッド部2及び上面側部材10c全体を覆う蓋60が着脱可能に設けられている。図6に示すように、蓋60は上面側部材10cに設けられた係合突起102に係合する係合凹部61を有する。係合突起102に蓋60の係合凹部61が係合することにより、蓋60は本体部10に着脱可能に取り付けられる。
次に、本例の唇用美容器1の動作フローについて説明する。
図11に示すように、スイッチ50を押すステップS1を行う。スイッチ50を押すと、インジケータ部45が赤色に点灯する(ステップS2)。そして、発熱装置30が作動して(ステップS3)、タイマー70がスタートする(ステップS4)。これにより、加温モードがスタートする。
続いて、発熱装置制御部35が電池12の電圧が0.9V以下であるか判定する(ステップ5)。当該電圧が0.9V以下であると判定された場合は、インジケータ部を消灯し、発熱装置30を停止して(ステップS10)、唇用美容器1の動作を終了させる。一方、当該電圧が0.9V以下でないと判定された場合、スイッチ50が押下されたか否かを発熱装置制御部35が判定する(ステップS6)。スイッチ50が押下されていないと判定された場合は、温度センサ33によって検出された唇当接面20の温度が40℃より大きいか否かを発熱装置制御部35が判定する(ステップS7)。当該温度が40℃より大きいと判定された場合は、発熱装置制御部35が発熱装置30に制御信号を送って発熱体32の発熱量を低下させる制御を行う(ステップS8)。
その後、タイマー70のスタートから2分を経過したか否かを発熱装置制御部35が判定する(ステップS9)。タイマー70のスタートから2分を経過していないと判定された場合には、再度上述のステップS5に戻る。一方、2分を経過していると判定された場合には、インジケータ部45を消灯し、発熱装置30を停止して(ステップS10)、唇用美容器1の動作を終了させる。
また、上記ステップS7において、温度センサ33によって検出された唇当接面20の温度が40℃より大きくないと判定された場合は、ステップS11を行う。すなわち、図12に示すように、まず、タイマー70をキャンセルし(ステップS11)、インジケータ部を青色に点灯させる(ステップS12)。そして、発熱装置30とイオン導入装置40が作動され(ステップS13)、タイマー70が再度スタートされる(ステップS14)。これにより、加温モード及びイオン導入モードが並行してスタートする。
そして、加温モードが実施される発熱装置30の動作フロー(ステップS16〜S20)は、上述のステップS5〜S9とそれぞれ同様に行われる。ステップS20において、タイマー70の再スタートから2分を経過していると判定された場合及び、ステップS17においてスイッチ50が再度押下された場合には、インジケータ部45を消灯し、発熱装置30を停止し、イオン導入装置40を停止して(ステップS21)、唇用美容器1の動作を終了させる。
ステップS15にてイオン導入モードが実施されるイオン導入装置40の動作フローについて、図13及び図14を用いて説明する。イオン導入装置40は、電源部120より電源が供給されると、図13に示すように、イオン導入装置制御用マイコン42aを初期化するステップS22を行う。
その後、イオン導入装置制御用マイコン42aは、ディレイタイマー423により所定の時間の経過を待つステップS23を行う。なお、本例のディレイタイマー423は、上記所定の時間を50〜1000ミリ秒の範囲で適宜設定することができる。
イオン導入装置制御用マイコン42aは、ステップS23に次いで、電源部120から電圧印加部43に作動用電力を供給するステップS24を行うとともに、信号出力部422から電圧制御信号を出力する。これにより、イオン導入装置制御用マイコン42aは、第2電極(電池カバー14)に対して第1電極(唇当接面20)が低電位となるように両電極間の電位差を制御しつつ、両電極間にパルス電圧を1回印加する。このようにして第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との間にパルス電圧が1回印加されるステップS25が実施される。本例において、ステップS25におけるパルス電圧の値は、5Vとした。
続いて、図13に示すように、還流部44における電位差を測定するステップS26が実施される。ステップS26において、第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との双方と肌とが接触している場合には、第2電極(電池カバー14)から人体を介して第1電極(唇当接面20)に上記パルス電圧によるパルス電流が流れる。当該パルス電流は、第1電極(唇当接面20)からイオン導入装置制御部42内へ取り込まれ、還流部44における抵抗器440の両端間に電位差を生じさせる。これにより、唇当接面20が当接された唇と唇当接面20との間に電位差が付与されることとなる。そして、抵抗器440の両端間に生じた電位差、すなわち接地電位を基準とした還流部44内の電位差は、イオン導入装置制御用マイコン42aのADC420に入力され、その値の測定が行われる。
一方、第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)の少なくとも一方が肌と接触していない場合には、上記パルス電圧を印加しても抵抗器440に電流が流れず、抵抗器440の両端間に電位差が発生しない。そのため、第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)の少なくとも一方が肌と接触していない場合には、電位差の値は0Vとなる。
その後、イオン導入装置制御用マイコン42aは、演算部421における上記電位差と所定の閾値Lとの比較結果に基づいて第1電極(唇当接面20)及び第2電極(電池カバー14)と人体との接触状態を判定するステップS27を行う。ステップS26において測定した電位差が閾値L未満となる場合には、イオン導入装置制御用マイコン42aは、第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)の少なくとも一方が人体と接触していないと判定する(ステップS27)。この場合、イオン導入装置制御用マイコン42aは、ステップS23に戻ってディレイタイマー423を起動する。そして、イオン導入装置制御用マイコン42aは、ステップS27において第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)の少なくとも一方が人体と接触していないと判定されている間は、ステップS23〜ステップS27を繰り返す。なお、本例においては、閾値Lは50〜200mVの間で適宜設定することができる。
一方、ステップS27において接地電位を基準とした還流部44内の電位差が閾値L以上となる場合、イオン導入装置制御用マイコン42aは、第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との双方が人体と接触していると判定する(ステップS27、)。
そして、イオン導入装置制御用マイコン42aは、イオン導入ステップS28と、リセットパルスステップS29とを繰り返すイオン導入モードを開始する。これにより、肌に流れる電流の波形は、図14に示す基本波形F1とF2とが繰り返されるものとなる。
イオン導入モードは、イオン導入装置制御用マイコン42aにより、第1電極(唇当接面20)と第2電極(電池カバー14)との双方が人体と接触している間実行され、第1電極(唇当接面20)または第2電極(電池カバー14)の少なくとも一方が人体から離れると停止される。
より詳細には、イオン導入ステップS28において、イオン導入装置制御用マイコン42aは、第2電極(電池カバー14)に対して第1電極(唇当接面20)が低電位となるように両電極間の電位を制御しつつ、両電極間にパルス電圧を複数回印加する。これにより、第1電極(唇当接面20)は、図14に示す基本波形F1のように、肌に負極性のパルス電流を複数回流すことができる。
リセットパルスステップS29において、イオン導入装置制御用マイコン42aは、第2電極(電池カバー14)に対して第1電極(唇当接面20)が高電位となるように両電極間の電位差を制御しつつ、両電極間にパルス電圧を1回印加する。これにより、第1電極(唇当接面20)は、図14に示す基本波形F2のように、肌に正極性のパルス電流を流すことができる。
次に、本例の唇用美容器1における作用効果について、詳述する。
本例の唇用美容器1においては、唇当接面20が上記の形状を呈しているため、唇当接面20の突出方向Xの先端に位置している丸角部である第1丸角部21を唇の端にまで十分当接させることが容易となる。また、唇当接面20の突出方向Xの先端に位置している丸角部である第1丸角部21は先細りの形状を呈しているため、いわゆる縦ジワが形成された部分に対しても唇当接面20を十分に当接させることができる。その結果、唇の隅々において十分な美容効果を奏することができる
本例の唇用美容器1によれば、突出方向X側の先端に位置する丸角部である第1丸角部21の曲率半径は、唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20に垂直な方向から見て、2.0〜5.0mmとすることができ、本例では3.0mmである。これにより、唇当接面20の突出方向X側の先端の第1丸角部21が口角に沿う形状となるため、唇当接面20を口角に一層十分当接させることができ、唇に対する美容効果を一層向上できる。
唇当接面20の外縁20aは、図3に示すように、唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20に垂直な方向Y(図2参照)から見て、唇当接面20の突出方向X(図2参照)の頂点21b及び重心位置Gを通る中心線L0に直交する方向Zに位置するそれぞれの端部(すなわち、第2丸角部22、第3丸角部23)において、中心線L0から最も離れたそれぞれの最外点P3、P4の曲率半径が、突出方向Xの先端に位置している第1丸角部21の曲率半径よりも大きい形状を有している。これにより、唇当接面20の突出方向側の先端に位置する第1丸角部21を適度に細く維持しつつ、唇当接面20の中央付近を方向Zにおいて適度に幅広に形成することができる。その結果、唇当接面20の突出方向X側の先端に位置する第1丸角部21を口角に当接させやすいことに加えて、口角に比べて幅広の唇中央部に対しても唇当接面20を十分当接させることができる。これにより、唇全体に対してより一層美容効果を奏することができる。
また、唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20の軸方向Xに対する傾斜角度αは、20〜60°とすることができ、本例では40°となっている。これにより、把持部11を把持した状態で、唇当接面20を唇に当接させやすくなっている。
唇当接面20は、唇当接面20の重心位置Gにおける唇当接面20に垂直な方向Yから見て、唇当接面20における突出方向X側の先端に位置する第1丸角部21と反対側の第2中間部25の外縁部25aが、当該先端に位置する第1丸角部21の外縁21aの曲率半径よりも大きい曲率半径を有する湾曲形状を呈している。これにより、唇当接面20の先端に位置する第1丸角部21を先細りの形状としつつ、唇当接面20の後端に位置する第2中間部25を幅広の形状とすることができる。その結果、唇当接面20の先端に位置する第1丸角部21を口角等に十分当接させることができるとともに、唇当接面20の後端側を口角よりも幅広の唇中央部に容易に当接させることができる。これにより、唇全体に対する美容効果を一層向上することができる。
唇当接面20は、唇当接面20の外縁部20aから重心位置Gに近づくにつれて、突出方向Xに向かって緩やかに膨出している。これにより、唇当接面20が緩やかに膨らんだ形状を呈することから、唇当接面20が指先や指の腹の形状に近い形状となる。その結果、使用時において唇当接面20を唇に当接させたときに、使用者に対して指先や指の腹が唇に触れているように感じさせることができるため、使用感が向上する。
唇当接面20が突出方向Xに向かって過度に膨らんでいる場合には、使用時において、唇当接面20と唇との接触面積が過度に小さくなるため、イオン導入装置40による唇へのイオン導入時に刺激が強くなって、使用者が痛みを感じるなどして使用感を低下させるおそれがある。一方、唇当接面20が突出方向Xに向かって膨らんでおらず、平面状に形成されている場合には、使用時において、唇当接面20と唇との接触面積が過度に大きくなるため、両者間の摩擦が大きくなる。これにより、操作性が悪くなるとともに、使用感を低下させるおそれがある。しかし、本例では、唇当接面20が突出方向Xに向かって緩やかに膨らんだ形状を呈することから、唇当接面20と唇との接触面積が適度に維持される。これにより、使用時において唇当接面20と唇との摩擦が適度に低減されるとともに、イオン導入時に刺激が強くなりすぎないため、操作性がよいとともに使用感が向上する。
本体部10は棒状であって把持可能に構成されており、ヘッド部2は本体部10の軸方向Xに突出している。そして、本体部10の外縁10aの形状は、本体部10の軸方向Xから見て、唇当接面20の外縁20aの形状と相似となっている。これにより、使用者は本体部10を把持するだけで、唇当接面20が向いている方向を把握することができるため、使用時に鏡等が不要となることから使い勝手が良い。
ヘッド部2には、唇当接面20を加温する加温手段3が備えられている。これにより、唇の隅々まで加温することができ、唇の血流を増加させることにより、高い美容効果を奏する。また、使用者における使用時の体感を向上させることができる。また、リップクリームやリップ用ジェルなどの美容剤と合わせて使用する場合には、加温手段3により、唇を加温するとともに美容剤を加温することができる。これにより、美容剤の唇への塗り伸ばしが容易となるとともに、当該美容剤の唇への浸透を促して美容効果を向上することができる。
ヘッド部2は中空の柱状に形成されており、加温手段3はヘッド部2における唇当接面20と反対側の面(内側面27)に当接された発熱装置30からなることが好ましい。これにより、当該加温手段3によって発熱装置30の熱を唇当接面20に効率的に伝播させることができるため、唇当接面20の加熱効率が向上する。また、唇当接面20と反対側の面(内側面27)と発熱装置30との間にシリコングリスが介在している。これにより、発熱装置30から唇当接面20への熱の伝播効率が向上する。
ヘッド部2には、唇と唇当接面20との間に電位差を付与する電位差付与手段4としてのイオン導入装置40が備えられている。これにより、唇に対してイオン導入効果を奏することができ、使用時に所定の美容液を使用することによって唇に当該美容液の浸透を促して、唇に対する美容効果を一層向上させることができる。
本体部10には、加温手段3及び電位差付与手段4の動作状態を切り替えるスイッチ50が備えられているとともに、ヘッド部2及びスイッチ50を覆うように着脱可能に取り付けられた蓋60が備えられている。これにより、蓋60によってスイッチ50を覆うことができるため、不使用時における誤操作の防止が図られる。また、蓋60はヘッド部2及びスイッチ50を一括して覆うため、それぞれを覆う蓋を別個に設ける場合に比べて、部品点数の削減に寄与するとともに、全体として一体感が増して意匠性が向上する。
本例では、発熱体32として、チップ型の抵抗器を採用している。チップ型の抵抗器は小型であるため、ヘッド部2の中空部という限られた空間に配設しやすい。さらに、チップ型の抵抗器は立方体形状を有していることから、唇当接面20の裏面である平面状の内側面27に対して隙間なく当接させやすいため、唇当接面20を効率的に加温することができる。さらにチップ型の抵抗器は安価に入手することができるため、コスト抑制の効果を奏する。なお、発熱体32として、チップ型の抵抗器に替えて、ニクロム線ヒータ等の公知のヒータを採用してもよい。この場合も当該ヒータを内側面27に当接させて配置することが好ましい。これにより、当該ヒータによっても唇当接面20を効率的に加温することができる。
本例では、唇当接面20の外縁20aは、方向Yから見て、中心線L0を中心に線対称に形成されていることとしたが、これに限らず、中心線L0を中心に非対称であってもよい。例えば、外縁20aを、中心線L0よりも方向Z1側の第2丸角部22の曲率半径が、反対側の第3丸角部23の曲率半径よりも大きくなるように形成したり、距離D2が距離D1よりも小さくなるように形成したりしてもよい。
また、本例では、本体部10が把持部11を構成することとしたが、これに限らず、本体部10に把持部としてのハンドルを別途設けたり、当該ハンドルを本体部10と一体形成したりしてもよい。
また、本例では、加温のみを行うモードと、加温とイオン導入とを並行して行うモードの二種類のモードを切り替えることができるものとしている。これにより、イオン導入の際にも唇の加温を行うことができるため、イオン導入モード使用時における使用者の体感の向上が図られる。なお、これに限らず、当該二種類のモードに加えてイオン導入のみを行うモードに切り替え可能としてもよいし、加温のみを行うモード及びイオン導入のみを行うモードの二種類のモードを切り替え可能としてもよいし、イオン導入のみを行うモード及び加温とイオン導入とを並行して行うモードの二種類のモードを切り替え可能としてもよい。
以上のごとく、本例によれば、唇全体に対して十分な美容効果を奏することができる唇用美容器1を提供することができる。
1 唇用美容器
10 本体部
2 ヘッド部
20 唇当接面
21 第1丸角部
25 第2中間部
3 加温手段
30 発熱装置
4 電位差付与手段
40 イオン導入装置
50 スイッチ
60 蓋
70 タイマー

Claims (10)

  1. 本体部と、該本体部から突出形成されているとともに、唇に当接させるための唇当接面を突出端面に備えるヘッド部と、を有し、
    上記唇当接面は、上記ヘッド部の突出方向に対して傾斜しており、
    上記唇当接面の外縁は、上記唇当接面の重心位置における上記唇当接面に垂直な方向から見て、三方向にそれぞれ湾出する3つの丸角部が滑らかにつながった形状を有しているとともに、該丸角部のうち、曲率半径が最も小さい丸角部が上記突出方向の先端に位置していることを特徴とする唇用美容器。
  2. 上記突出方向側の先端に位置する丸角部の曲率半径は、上記唇当接面の重心位置における上記唇当接面に垂直な方向から見て、2.0〜5.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の唇用美容器。
  3. 上記当接面の外縁は、上記唇当接面の重心位置における上記唇当接面に垂直な方向から見て、上記唇当接面の上記突出方向の頂点及び上記重心位置を通る中心線に直交する方向に位置するそれぞれの端部において、上記中心線から最も離れたそれぞれの最外点の曲率半径が、上記突出方向の先端に位置している丸角部の曲率半径よりも大きい形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の唇用美容器。
  4. 上記唇当接面の外縁は、上記唇当接面の重心位置における上記唇当接面に垂直な方向から見て、上記突出方向と反対側が上記突出方向側の先端に位置する丸角部の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する湾曲形状を呈していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の唇用美容器。
  5. 上記唇当接面は、上記唇当接面の外縁から重心位置に近づくにつれて、上記突出方向に向かって緩やかに膨出していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の唇用美容器。
  6. 上記本体部は棒状であって把持可能に構成されているとともに、上記ヘッド部は上記本体部の軸方向に突出しており、上記本体部の外縁の形状は、上記本体部の軸方向から見て、上記唇当接面の外縁の形状と相似であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の唇用美容器。
  7. 上記ヘッド部には、上記唇当接面を加温する加温手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の唇用美容器。
  8. 上記ヘッド部は中空の柱状に形成されており、上記加温手段は上記ヘッド部における上記唇当接面と反対側の面に当接された発熱装置からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の唇用美容器。
  9. 上記ヘッド部には、唇と上記唇当接面との間に電位差を付与するように構成された電位差付与手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の唇用美容器。
  10. 上記本体部には、上記加温手段及び上記電位差付与手段の動作状態を切り替えるスイッチが備えられているとともに、上記ヘッド部及び上記スイッチを覆うように着脱可能に取り付けられた蓋が備えられていることを特徴とする請求項9に記載の唇用美容器。
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