JP2015167268A - 通信システム、無線機及び伝送方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置と、IPアドレスが付与され、前記第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置と、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送受信する複数の無線機と、を備え、前記上位レイヤパケットは、前記上位レイヤパケットの宛先情報として宛先IPアドレスを含み、前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報として、宛先となる無線機の無線機識別情報を含み、前記無線機識別情報は、IPアドレスとは異なる識別情報であり、複数の無線機それぞれに付与されており、前記複数の無線機は、前記第1通信装置から送信された前記通信フレームを受信する第1無線機と、前記第2通信装置へ前記通信フレームを送信する第2無線機と、受信した無線パケットを無線通信によって転送する第3無線機と、を含む。
【選択図】図7
Description
交通管制システムの伝送方式としては、特許文献1にも示されるように、例えば、UD形伝送方式が用いられる。
例えば、道路交通システムの無線通信に関する規格としては、非特許文献1,2に示すものがある。コスト低減の観点からは、このような無線通信を、交通管制システムにおいても利用することが望まれる。具体的には、ルータ101と端末103との間の通信を、非特許文献1,2に規定する基地局(路側通信機)を用いて行うことができれば好適である。つまり、交通管制システムにおける既設の端末の有効活用のため、例えば、既設のルータ101と既設の端末103の間の通信に、非特許文献1,2に規定する基地局(路側通信機)を用いることができることが望ましい。但し、既設のルータ101と新規の端末103との間の通信、新規のルータ101と新規の端末103の間の通信に適用してもよい。
従って、既設の交通管制システムの一部を構成する路側通信機に、ルータと端末とを個別に接続して、ルータと端末との間の無線通信を行うようにすれば、既存の資源を活用することができ、有線配線を行う場合等と比較して、コスト低減の観点から有利である。
ここで、例えば路側通信機それぞれに個別のIPアドレスを付与し、路側通信機から送信される無線パケットそれぞれに、当該無線パケットに含まれる情報の宛先となる端末に接続された路側通信機のIPアドレスを含ませることが考えられる。この場合、路側通信機間で無線パケットについてIPアドレスを用いたルーティングを行うようにすれば、特定の端末向けの上位レイヤパケットを、当該特定の端末のみに送信することが可能となる。
この結果、路側通信機5Bに対して多数の同一内容の無線パケットが送信されることになり、不必要な輻輳が生じる。
しかも、送信元の路側通信機5Aから宛先の路側通信機5Bに直接無線パケットを送信できるとは限らず、途中で他の路側通信機5Cが転送(中継)しなければならないこともある。この場合、他の路側通信機5Cが中継のために送信した無線パケットを、路側通信機5A,5D,5Eなどが受信して不必要に転送するおそれもある。
また、路側通信機においてIPルーティングを行う場合、路側通信機が、無線パケットのうち、非特許文献1,2のシステムでは参照する必要のなかった宛先IPアドレス(端末のIPアドレス)を参照する必要があり、処理が遅延するおそれがある。ルーティング処理を簡便に行うには、無線機である路側通信機の識別情報を参照するだけで行えたほうが好ましい。
さらに、中央装置から送信される情報は、端末向けだけとは限らず、路側通信機向けとしたい場合もあるため、そのような場合の対応も望まれる。
このため、非特許文献1,2に示すような無線通信を、交通管制システムにおいて利用する場合、上述のような事情を考慮した工夫が求められる。
[1.実施形態の説明]
(1)交通管制システムにおいては、端末をルータなどの装置に接続するための通信プロトコルとして、PPP(Point−to−Point Protocol)が利用される。
例えば、UD形伝送方式では、図46に示すルータ(UD−RTR)101と端末103との間の伝送インタフェース規格として、S9形インタフェース規格(社団法人新交通管理システム協会)が定められている。このS9形インタフェース規格では、接続方式としてPPPが採用されている。
したがって、端末103が、中央装置100との間で通信を行う場合、図46のルータ101と端末103との間には、PPPリンク(専用リンク)が確立される。
一方、従来、交通管制システムとして、移動局(車載機)に対して無線通信を行う基地局(路側通信機)を用いたものが提供されている。この種の交通管制システムでは、基地局が行う無線通信に関する規格として、非特許文献1,2に示すものが採用されている。
そして、既設の交通管制システムの一部を構成する路側通信機に、ルータと端末とを個別に接続して、ルータと端末との間の通信を行うようにすれば、既存の資源を活用することができ、コスト低減の観点から有利である。
この結果、路側通信機5Bに対して多数の同一内容の無線パケットが送信されることになり、不必要な輻輳が生じる。
しかも、送信元の路側通信機5Aから宛先の路側通信機5Bに直接無線パケットを送信できるとは限らず、途中で他の路側通信機5Cが転送(中継)しなければならないこともある。この場合、他の路側通信機5Cが中継のために送信した無線パケットを、路側通信機5A,5D,5Eなどが受信して不必要に転送するおそれもある。
また、路側通信機においてIPルーティングを行う場合、路側通信機が、無線パケットのうち、非特許文献1,2のシステムでは参照する必要のなかった宛先IPアドレス(端末のIPアドレス)を参照する必要があり、処理が遅延するおそれがある。ルーティング処理を簡便に行うには、無線機である路側通信機の識別情報を参照するだけで行えたほうが好ましい。
さらに、中央装置から送信される情報は、端末向けだけとは限らず、路側通信機向けとしたい場合もあるため、そのような場合の対応も望まれる。
この場合、第2無線機は、無線パケットの宛先情報および送信元情報に基づいて、転送判定処理を適切に行うことができる。
上記構成によれば、上位レイヤパケットの宛先情報としての宛先IPアドレスの数よりも通信ポートの数を少なくすることができる。したがって、必要なポート数を低減できる分、第1通信装置及び第1無線機の構成の簡素化を図ることができる。
[2.1 システム構成]
図1は、本発明の通信システムの一例としての交通管制システム(通信システム)1を示している。交通管制システム1は、中央装置2と、中央装置2によって管理(制御)される複数の交通用端末6と、を備えている。本実施形態の交通管制システム1は、UD形伝送方式を用いて通信を行う。
非特許文献1において、路車間通信は、PPPを利用するものではない。
そこで、本実施形態では、基地局である無線機5間の通信(路路間通信)を、ルータ4と端末6との間の通信に用いる。
図2は、交通管制システム1における無線機5および端末6を、道路上に配置した例を示している。
信号制御機などの端末6は、交差点近傍又は交差点以外の道路近傍に設置される。各端末6には、通信線を介して無線機5が接続されている。無線機5は、端末6の近傍に設置されている。複数の端末6のうち、特定の端末6(比較的大きな交差点付近に設置された端末)には、通信線を介して、ルータ4が接続されている。
また、逆に、ルータ4は、他の無線機5に接続された端末6から送信された情報を、無線通信を介して取得し、中央装置2へ送信することができる。
なお、基地局としての無線機5は、移動局(車載機)としての無線機7へも情報を送信する。
本実施形態では、ルータ4の設置場所から比較的離れた(数十〜数百メートル程度離れた)場所に設置された端末6とルータ4との間に、長い通信線を敷設する必要がないため、コスト低減が可能である。
図3(a)は、本実施形態に係る無線機5のブロック図であり、図3(b)は、本実施形態に係るルータ4のブロック図である。
図3(a)に示すように、無線機5は、無線信号の送受信を行う無線通信部51と、無線機5における情報処理を担う第1処理部52と、第1記憶部53と、を備えている。第1処理部52は、無線通信部51から送信される無線通信用のプロトコル(第2プロトコル)の無線パケットを生成し、無線通信部51に与える処理を行う。また、無線機5は、無線通信部51によって受信した無線パケットに対するゲートウェイ処理を行う。
ところで、無線機5には、無線機固有の識別情報(無線機識別情報)が付与されている。この無線機識別情報は、IPアドレスとは異なるものである。
第1記憶部53は、第1処理部52における処理に用いられる情報(後述の第1設定情報、第2設定情報、テーブルデータおよびその他の情報)が記憶されている。
なお、以下では、一つのポート(S9ポート)は、送受信を行うためのポートとして説明する。つまり、図3(a)に示すポート(S9ポート)P1は、S9形インタフェース規格における送信ポートおよび受信ポートを含んだものである。
第2記憶部43は、第2処理部42における処理に用いられる情報(後述の第1設定情報、第2設定情報、ルーティングテーブルおよびその他の情報)が記憶されている。
レイヤ1、MAC副層、LLC副層、IVC−RVC層、およびレイヤ7は、非特許文献1に規定されたレイヤである。拡張層は、非特許文献2に規定されたレイヤである。
図5は、実施形態に係る無線機5によって送信される無線パケットのデータ構造を示す図である。
[2.4.1 無線パケットの構造]
本実施形態における無線パケットは、先頭から、無線通信制御情報、IRC(路路間通信制御情報)ヘッダ、データ、およびFCSの各領域を有している。
無線通信制御情報は、非特許文献1および2に準拠したものであり、先頭から、PHYヘッダ(物理ヘッダ)、MAC制御フィールド(MACヘッダ)、LLC制御フィールド(LLCヘッダ)、IR制御フィールド(IRヘッダ)、L7ヘッダ、ELヘッダおよびSecurityヘッダを有して構成される。
一方、本実施形態の無線機5は、無線機5間通信(路路間通信)を行う場合であって、端末6の管理に関する情報を送信する場合には、無線パケットとしてのアプリケーションデータが格納される領域に、IRCヘッダおよび上位レイヤパケットからなるIRCフレームを格納する。
なお、図5に示す無線パケットにおいては、セキュリティヘッダは、IRCヘッダの前側にあるが、IRCヘッダの後側にあってもよい。セキュリティヘッダがIRCヘッダの前側にある場合、IRCヘッダをセキュアなデータにできる。ただし、IRCヘッダがセキュリティ処理の対象となっているため、IRCヘッダを読み取るには、アンセキュアにする処理が必要となる。一方、セキュリティヘッダがIRCヘッダの後側にある場合、IRCヘッダはアンセキュアなデータであるため、IRCヘッダを読み取るのに、アンセキュアにする処理が不要である。また、無線パケットにおいて、セキュリティヘッダを省略してもよい。
ルータ4または端末6によって生成された上位レイヤパケットを取得した無線機5は、上位レイヤパケットに無線通信制御情報などを付加してカプセル化し、無線パケットを生成する。
図5に示すように、ルータ4または端末6によって生成される上位レイヤパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ、Datex−Ashヘッダおよびデータ部から構成されている。ここで、IPヘッダには、上位レイヤパケットの宛先情報(宛先IPアドレスなど)が含まれる。
IRCヘッダは、無線パケット(無線送信データ)を生成する無線機5のIRC層による処理(情報付加処理;IRCヘッダ付加処理)にて生成され、無線パケット(無線送信データ)を受信した無線機5のIRC層による処理に用いられる。
図6に示すように、IRCヘッダは、通信種別情報71と、データ種別情報72と、生成元無線機ID73と、宛先無線機ID74と、送信元無線機ID75と、生成回数情報76とを含んでいる。
生成元無線機ID73は、第2プロトコルの無線パケットを生成した無線機5に付与された固有の識別情報を示す。宛先無線機ID74は、無線パケットを送る宛先の無線機5に付与された固有の識別情報を示す。送信元無線機ID75は、例えば無線パケットが複数の無線機5に亘って転送されている場合、転送した無線機5に付与された固有の識別情報を示す。
ところで、生成元無線機ID73、宛先無線機ID74および送信元無線機ID75は、いずれも無線機固有の識別情報から構成されている。これらの識別情報は、受信した無線パケットに含まれる前記上位レイヤパケットが前記無線パケットを受信した無線機に関連するものであるか否かを、前記無線パケットを受信した無線機が判定するため判定処理(受信判定処理、転送判定処理など)に用いられる。この無線機固有の識別情報は、IPアドレスとは異なるものである。
次に、本実施形態に係る無線通信区間が介在する路路間通信について詳細に説明する。ここでは、4つのケースについて説明する。
[2.5.1 ケース1]
図7は、本実施形態に係るケース1を示す説明図である。
ケース1では、一対の無線機(第1無線機5Aと第2無線機5B)それぞれに一つずつ通信装置(ルータ(第1通信装置)4,端末(第2通信装置)61)が接続されているものとする。ルータ4と第1無線機5Aとは、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL0の両端に位置する。ここで、PPPフレームは、ルータ4が中央装置2から受信した上位レイヤパケットにPPPヘッダを付加することによりカプセル化したものである。また、端末61と第2無線機5Bとも、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL1の両端に位置する。
図8は、本実施形態に係るプロトコル変換を説明する図である。
各無線機5A,5Bは、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する。
Codeは、PPP制御パケットの種別を示す情報である。IDは、PPP制御パケットの識別子である。Lengthは、PPP制御パケット長である。データ又はパラメータリストのフィールドは、PPP制御パケットごとに関連するデータを格納するフィールドである。
なお、後述のケース2〜4においても同様のプロトコル変換が行われる。
第1設定情報は、自機5A,5B,5Cのポートのうちルータ4または端末6に接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスを示す自機ポートIPアドレス(自機ポートIP)と、送信元(ルータ4または端末6)のポートIPアドレス(送信元ポートIP)と、が対応付けられて構成されている。
第2設定情報は、自機5A,5B,5Cのポートのうちルータ4または端末6に接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスを示す自機ポートIPアドレス(自機ポートIP)と当該ポートに直接接続されたルータ4または端末6側のポートのIPアドレス(宛先ポートIP)、あるいは、当該自機ポートIPと宛先となる中央装置2や端末6のIPアドレス(宛先IP)が、対応付けられて構成されている。
第1設定情報は、無線機5Aに接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスを示す自機ポートIPアドレス(自機ポートIP)と、送信元(中央装置2、端末6、無線機5A)のポート(送信元ポート)のIPアドレスを示す送信元のポートのIPアドレス(送信元ポートIP)と、が対応付けられて構成されている。
第2設定情報は、中央装置2、端末6および無線機5Aに接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスを示す自機ポートIPアドレス(自機ポートIP)と、送信先となる接続された中央装置2、端末6および無線機5Aのポート(宛先ポート)のIPアドレスを示す宛先ポートIPアドレス(宛先ポートIP)とが、対応付けられて構成されている。
まず、ルータ4は、端末61のための情報が含まれたPPPフレームを、ポート(S9ポート)PR1から送信する。
第1無線機5Aは、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートにて受信する(ステップS1)。
拡張層〜PHY層までの各レイヤは、図5に示す無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS5)。つまり、無線パケットの生成は、IRC層とは異なるレイヤ(拡張層〜PHY層)によって行われる。
なお、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aの拡張層は、ELヘッダの基地局ID情報のフィールドに第1無線機5AのIDをセットする。また、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aのレイヤ7は、通信分類のフィールドに、「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」であることを示す情報をセットする。
なお、セキュリティ管理によってセキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(SecurityヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。また、レイヤ7からセキュリティ管理にアクセスする場合は、L7データ(L7ヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
まず、第2無線機5Bは、保持リストを更新する(ステップS91)。ここで、「保持リスト」とは、第2無線機5Bが第1記憶部53に保持する受信したIRCフレームとともに記憶している管理情報であり、第2無線機5Bの受信したIRCフレームを管理するリストである。例えば、IRCフレームを受信した時刻やIRCヘッダに含まれる情報などを保持リストに登録する。この保持リストは、保持したIRCフレームを処理(転送や破棄など)した場合に更新される。なお、ステップS91の保持リストの更新処理は、図示しないが、既に保持されているIRCフレームの保持期間が所定の時間より長い場合、その情報を破棄することを想定している。
次に、第2無線機5Bは、IRCヘッダに含まれる通信種別情報71に基づいて、通信種別が「路路間通信」のデータであるか否かを判定する(ステップS92)。
一方、IRCヘッダに含まれる通信種別情報71が、「路路間通信」を示す場合(ステップS92:Yes)、第2無線機5Bは、当該IRCヘッダに含まれる生成元無線機ID73、宛先無線機ID74、送信元無線機ID75を読み取る(ステップS93)。
一方、照合結果がOKの場合(ステップS95:Yes)、第2無線機5Bは、IRCフレームから、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットの宛先IPアドレスを取得し、取得した宛先IPアドレスと自機5Bに予め登録された宛先IPアドレス(例えば、自機5Bに接続された端末61のポートP1に付与されたIPアドレス「IP−T1」)とを照合する(ステップS96)。
そして、照合結果がNGの場合(ステップS97:No)、第2無線機5Bは、IRCフレームを「不要」と判定する。
一方、照合結果がOKの場合(ステップS97:Yes)、保持リストを更新し(ステップS98)、IRCフレームを「要」と判定する。ここで、第2無線機5Bは、例えば、保持リストはIRCヘッダの通信種別から送信元無線機IDまでの条件別に、受信したIRCフレームの受信時刻と生成回数情報を保持しており、「要」と判定(つまり保持)したIRCフレームから、当該条件に対する受信時刻と生成回数情報を更新する。
なお、後述のように、上位レイヤパケットが第2無線機5B宛となり得る場合には、宛先IPアドレス照合(ステップS96)のために第2無線機5Bに予め登録された宛先IPアドレスとして、第2無線機5Bに付与されたIPアドレスが含まれていても良い。
第2無線機5Bから送信されたPPPフレームは、端末61によって受信される。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる通信種別情報71、宛先無線機ID74および送信元無線機ID75を用いて、受信判定処理を行う。
また、第1無線機5Aから送信された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信されるが、その無線パケットは第3無線機5C宛でないため、第3無線機5Cの受信判定処理の結果、破棄される。したがって、端末61宛に送信された上位レイヤパケットが、端末62によって傍受されることを防止できる。
つまり、端末61は、中央装置2に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、IPアドレス「IP−T1」が付与されたポートから送信する。すると、第2無線機5Bは、端末61から送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1B」が付与されたポートにて受信する。
そして、第2無線機5Bは、テーブルデータを参照して生成したIRCヘッダによって上位レイヤパケットをカプセル化してIRCフレームを生成する。更に、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
第1無線機5Aは、受信判定処理によって、取得したIRCフレームの宛先が、自機5Aであることを認識することができる。そして、第1無線機5Aは、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットからPPPフレームを生成し、上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレス(IP−Y)に基づいて第2設定情報を参照し、PPPフレームをIPアドレス「IP−1A」が付与されたポートからルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートに送信する。そして、第1無線機5Aから送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
生成元無線機ID73と宛先無線機ID74とを用いる場合、通信フレームの伝送方法は、図12に関する既述の説明における「送信元」を「生成元」と読み替えればよい。
図14は、ケース1において上位レイヤパケットの宛先が無線機5A,5B,5Cの場合を示す説明図である。ここでは、無線機5A,5B,5CそれぞれにIPアドレス「IP−T5A」,「IP−T5B」,「IP−T5C」が付与されている様子を示している点が図7とは相違する。
また、第2無線機5Bおよび第3無線機5Cの各第1記憶部53にも、図7または図14に示すネットワーク構成に対応した接続設定情報およびテーブルデータが設定されている。なお、第2無線機5Bおよび第3無線機5Cの接続設定情報およびテーブルデータは、実施形態の場合と同様である。
図15(b)に示すルーティングテーブルでは、上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスと、無線機5Aや中央装置2、端末65などに付与されたIPアドレスと、が対応づけられている。特に、このルーティングテーブルでは、無線機5A,5B,5CのIPアドレスに対して、いずれも第1無線機5Aにおけるルータ4と接続されるポートのIPアドレス「IP−1A」が対応づけられている。
例えば中央装置2から受信した上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレス(宛先IP)が無線機5A,5B,5CのIPアドレス「IP−T5A」、「IP−T5B」、「IP−T5C」に設定されているとする。この場合、ルータ4は、上位レイヤパケットを第1無線機5AのIPアドレス「IP−1A」が付与されたポート向けに送る。
すると、第1無線機5Aの第1処理部52は、上位レイヤパケット抽出処理(ステップS2)において、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する。
第1無線機5Aの第1処理部52は、上位レイヤパケットから宛先となる第2無線機5BのIPアドレス(IP−T5B)を取得する。そして、第1無線機5Aは、図15(a)に示すテーブルデータを参照して、取得した第2無線機5BのIPアドレス(IP−T5B)に対応する第2無線機5Bの無線機ID(ID−5B)を無線機識別情報として認識する。
そして、得られた無線機識別情報に基づいて、IRCヘッダ付加処理(ステップS3)および無線パケット生成処理(ステップS5)が行われてから、第1無線機5Aから無線パケットが送信される。
受信判定処理の結果、第2無線機5Bが、無線パケットに含まれる上位レイヤパケットの宛先が、自機5Bであることを認識する。この結果、無線パケットから上位レイヤパケットが抽出される。その後、当該上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが第2無線機5Bである場合、自機5Bに接続された端末61に対して上位レイヤパケットを含むPPPフレームを送信するのではなく、自機5Bにて上位レイヤパケットを処理する。
同様に、第2無線機5Bを送信元とする無線パケットも、第1無線機5Aを経由して、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートへ送信することができる。
すると、第1無線機5Aの第1処理部52は、上位レイヤパケット抽出処理(ステップS2)およびIRCヘッダ付加処理(ステップS3)が行われ、第1無線機5Aから無線パケットが送信される。このとき、第1無線機5Aは、上位レイヤパケット抽出処理において抽出した上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレス(IP−T5C)に基づいて、図15(a)に示すテーブルデータを参照して、宛先無線機ID(ID−5C)を認識する。このとき、第1無線機5Aは、当該上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレスが自機(IP−T5A)の場合は、自機宛の情報と判断し、当該上位レイヤパケットを処理する。
図16は、本実施形態に係るケース2を示す説明図である。
ケース2では、ルータ4と、それぞれがルータ4との間で送受信を行う3つ(複数)の端末61,62,63とが存在する。
3つの端末61,62,63のうち、2つの端末61,62は、第2無線機5Bに接続されている。つまり、第2無線機5Bは、2つのポートP1B,P2Bにおいて、端末61,62と接続されている。残りの端末63は、第3無線機5Cに接続されている。
また、3つの無線機5A,5B,5Cは互いに無線通信が可能である。
第1無線機5Aの第1処理部52は、図9(b)に示すテーブルデータを参照して、宛先認識処理を行い、当該上位レイヤパケットの宛先である端末61の宛先IPアドレス「IP−T1」から、第2無線機5Bの無線機ID「ID5B」を識別情報として得る。
宛先が該当するIPアドレスの端末61であることを確認した第1無線機5Aは、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する。そして、第1無線機5Aは、IRCヘッダによって、抽出した上位レイヤパケットをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第1無線機5Aは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される。
つまり、端末61は、中央装置2に送信すべき上位レイヤパケットをカプセル化したPPPフレームを、IPアドレス「IP−T1」が付与されたポートから送信する。第2無線機5Bは、端末61から送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1B」が付与されたポートにて受信する。
第2無線機5Bの第1処理部52は、図17(b)に示すテーブルデータを参照して、宛先認識処理を行い、宛先である中央装置2のIPアドレス「IP−Y」から宛先無線機ID「ID−5A」を認識する。
第1無線機5Aは、無線パケットから上位レイヤパケットを抽出し、抽出した上位レイヤパケットをカプセル化してPPPフレームを生成する。そして、第1無線機5Aは、図9(a)の第2設定情報を参照して、生成したPPPフレームを、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
図18は、本実施形態に係るケース3を示す説明図である。
ケース3では、ルータ4と、それぞれがルータ4との間で上位レイヤパケットの送受信を行う4つ(複数)の端末61,62,63,64とが存在する。
端末61は第2無線機5Bに接続され、端末62は第3無線機5Cに接続され、端末63は第4無線機5Dに接続され、端末64は第5無線機5Eに接続されている。
また、無線機5B〜5Eの各第1記憶部53にも、図18のネットワーク構成に対応して、図20(a)に示すような接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)と、図20(b)に示すようなテーブルデータとが記憶されている。
受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機IDが、当該第3設定情報に登録された自機の無線機ID以外の他の無線機IDに一致した場合、その無線パケットは、転送の候補(対象)となる。なお、当該IRCヘッダに含まれる宛先無線機IDが、当該第3設定情報に登録された自機の無線機IDとなる場合、ケース1と同様の処理を行う。
この転送判定処理は、受信した無線パケットに含まれる上位レイヤパケットが無線パケットを受信した無線機に関連するものであるか否かを判定するための判定処理の一種である。無線パケットを受信した無線機は、転送判定処理の結果に基づいて、無線パケットを無線通信によって転送するか否かを決定する。
転送判定処理では、テーブルデータに登録されている宛先無線機IDを検索し、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74に一致する宛先無線機IDが登録されているか否かを判定する。そして、当該第3設定情報に宛先無線機IDが登録されていれば、IRCヘッダに含まれる送信元無線機IDが、テーブルデータにおける宛先無線機IDに対応する送信元無線機IDとして登録されているか否かを判定する。
同様に、第1無線機5Aが端末64宛の上位レイヤパケットを含む無線パケットを送信した場合、第3無線機5Cによる転送処理および第4無線機5Dによる転送処理を経て、第5無線機5Eによって受信される。
また、第1無線機5Aと第4無線機5Dや第5無線機5Eとが直接的に無線通信できず、第1無線機5Aと第3無線機5Cとが無線通信可能である。この場合でも、第1無線機5Aから送信された端末63宛の上位レイヤパケットを含む無線パケットは、第3無線機5Cにおいて、第4無線機5Dへ転送される。
この場合、送信側である第3無線機5Cの立場では、自機5Cが転送した無線パケットが無事に所定の第4無線機5Dにより転送されたか否かを判断できるため、仮に、所定の時間が経過しても第4無線機5Dから転送されない場合に、通信環境などにより第3無線機5Cから第4無線機5Dへ情報伝達がなされなかったと判断することも可能となり、これらの判断を行わずに単純に再送(連送)する場合に比べて、無駄に再送することを防止できる。
ところが、この場合、ルータ4および第1無線機5Aには、端末61,62それぞれに一対一で対応した状態で、PPPプロトコル対応の通信用ポート(S9ポート)を設ける必要がある。
第1変形例では、ルータ4と端末61,62との間がPPPリンクL1,L2で接続されており、これらとは別に、ルータ4と第1無線機5Aとの間がPPPリンクL0で接続されている。
本変形例では、第1無線機5Aにルータ4が接続されており、第2無線機5Bおよび第3無線機5Cそれぞれに一つずつ端末61,62が接続されているものとする。第1無線機5Aとルータ4とは、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL0の両端に位置する。また、ルータ4と端末61とは、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL1の両端に位置する。更に、ルータ4と端末62とは、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL2の両端に位置する。
ここで、第1無線機5Aの近傍には、第2無線機5Bおよび第3無線機5C以外にも第4無線機5Dおよび第5無線機5Eも存在し、第1無線機5Aから送信された電波は、第4無線機5Dおよび第5無線機5Eにおいて受信可能であるものとする。
第2無線機5Bおよび第3無線機5Cの各第1記憶部53にも、接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)が記憶されている。
具体的には、第1設定情報は、自機ポートIPと、送信元ポートIPと、宛先ポートIPと、が対応付けられて構成されている。例えば、第2無線機5B(第3無線機5C)の第1設定情報は、図10(a)に示す第1設定情報について、ルータ4のポートのIPアドレス「IP−R1」(「IP−R2」)を「宛先ポートIP」として追加したものに相当する。
ルータ4は、端末61に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、IPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信する。第1無線機5Aは、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートにて受信する。
第1無線機5Aの第1処理部52は、図23(b)に示すテーブルデータを参照して、宛先認識処理を行い、自機5AのIPアドレス「IP−1A」が付与されたポートより受信したことから、宛先無線機ID「ID−5B−LinkT1」宛に転送する必要があると認識する。
つまり、端末61は、中央装置2に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、IPアドレス「IP−T1」が付与されたポートから送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートから送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1B」が付与されたポートにて受信する。
第2無線機5Bの第1処理部52は、テーブルデータを参照して、宛先認識処理を行い、宛先無線機ID「ID−5A-LinkR1」に転送する必要があるかを認識する。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによって図8における上位レイヤパケットとプロトコル部分をカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
第1無線機5Aは、自機ポートのIPアドレス「IP−1A」を認識すると、当該データからPPPフレームを生成し、IPアドレス「IP−1A」が付与された自機ポートから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートによって受信される。
ルータ4は、事前にIPアドレス「IP−R3」が付与されたポートに接続される第4無線機5DとPPPリンクを確立する。その後は、ルータ4は、第4無線機5Dに送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、IPアドレス「IP−R3」が付与されたポートから送信する。第1無線機5Aは、ルータ4のポートから送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−3A」が付与されたポートにて受信する。
第1無線機5Aの第1処理部52は、IPアドレス「IP−3A」が付与されたポート(自機ポート)にてPPPフレームを受信したことを以て、PPPフレームに含まれる上位レイヤパケットを抽出する処理を行うことを決定する。即ち、第1無線機5Aは、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出してから、抽出した上位レイヤパケットをカプセル化して無線パケットを生成する処理を行うことを決定する。
つまり、第4無線機5Dは、ルータ4を介して中央装置2に送信すべき上位レイヤパケットを、IRCヘッダによってカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第4無線機5Dは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第4無線機5Dからブロードキャスト送信される。
第1無線機5Aは、図23(a)に示す第2設定情報を参照して、IPアドレス「IP−3A」が付与されたポートを自機ポートとして認識する。そして、第1無線機5Aは、PPPフレームをIPアドレス「IP−3A」が付与された自機ポートから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4のIPアドレス「IP−R3」が付与されたポートによって受信される。
本変形例においては、ルータ4と無線機5との間の通信を、イーサネット通信で行う。即ち、ルータ4と無線機5とが、S11形インタフェース規格用のポートを介して通信を行う。具体的には、無線機5は、無線パケットを受信すると、無線パケットから上位レイヤパケットを抽出し、抽出した上位レイヤパケットにイーサネットヘッダを付加することにより、イーサネットフレームを生成する。そして、無線機5は、生成したイーサネットフレームを、イーサポート(S11ポート:例えばイーサポートPM1)から送信する。すると、ルータ4は、無線機5から送信されたイーサネットフレームを、イーサポートPM1で受信する。また、無線機5と端末6との間においても同様に、イーサネット通信を行うようにしてもよい。
第1設定情報は、自機5A,5B,5Cのルータ4または端末6に接続されたポート(自機ポート:例えばポートPM1)のMACアドレス(MAC−1A(1B,1C))と、送信元ポート(例えばルータ4のポートPMR1や端末6のポートPMT1,PMT2)のMACアドレス(MAC−R1(T1,T2))と、が対応付けられて構成されている。
第2設定情報は、自機5A,5B,5Cのルータ4または端末6に接続されたポート(自機ポート:例えばポートPM1)のMACアドレス(MAC−1A(1B,1C))と、宛先ポート(例えばルータ4のポートPMR1や端末6のポートPMT1,PMT2)のMACアドレス(MAC−R1(T1,T2))とが、対応付けられて構成されている。
本変形例では、無線機5で行われる受信判定処理が、送信元無線機IDと、宛先IPアドレスとを用いて行われる点が実施形態とは相違する。なお、その他の処理は、図12を用いて説明した実施形態の処理と同様である。
ここでは、ルータ4から端末61へ上位レイヤパケットを送信する場合における、第2無線機5Bで行われる受信判定処理について説明する。
まず、第2無線機5Bは、図13を用いて説明したステップS91〜S93までの処理を行う。
次に、第2無線機5Bは、読み取った送信元無線機ID75と自機5Bに予め登録された送信元無線機IDとを照合する(ステップS291)。
一方、照合結果がOKの場合(ステップS292:Yes)、第2無線機5Bは、IRCフレームから、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットの宛先IPアドレスを取得し、取得した宛先IPアドレスと自機5Bに予め登録された宛先IPアドレス(例えば、端末61のポートP1に付与されたIPアドレス「IP−T1」)とを照合する(ステップS293)。
一方、照合結果がOKの場合(ステップS294:Yes)、保持リストを更新し(ステップS96)、IRCフレームを「要」と判定する。
また、第2無線機5Bも、自機5Bに接続された端末61のポートに付与されたIPアドレスを記憶しておけばよいので、第2無線機5Bの第1記憶部53に要求される記憶容量も少ないという利点もある。
本変形例では、無線機5で行われる受信判定処理が、送信元無線機IDと、宛先IPアドレスとを用いて行われる点が実施形態とは相違する。なお、その他の処理は、図12を用いて説明した実施形態の処理と同様である。
ここでは、ルータ4から端末61へ上位レイヤパケットを送信する場合における、第2無線機5Bで行われる受信判定処理について説明する。
まず、第2無線機5Bは、図13を用いて説明したステップS91〜S95までの処理を行う。
[3.1 システム構成]
図1と同様であり、[2.1 システム構成]の説明を援用する。
図2と同様であり、[2.2 システム設置例]の説明を援用する。
図27Aに示すように無線機5は、無線信号の送受信を行う無線通信部51と、無線機5における情報処理を担う処理部52と、記憶部53と、を備えている。処理部52は、無線通信部51から送信される無線パケット(無線送信データ)を生成し、無線通信部51に与える処理を行うとともに、無線通信部51によって受信した無線パケットの処理を行う。
記憶部53は、処理部52における処理に用いられる情報(後述の第1設定情報、第2設定情報、第3設定情報及びその他の情報)が記憶されている。
第2有線通信部55は、イーサネット(登録商標)接続用の通信部であり、1又は複数のイーサポートPM1,PM2,PM3,PM4を備えている。交通安全支援システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)向けにS11形インターフェース規格(社団法人新交通管理システム協会)が策定されている。無線機5が備えるイーサポートPM1,PM2,PM3,PM4は、S11形インターフェース規格(Ethernet)用のポートである。無線機5は、イーサポートPMを介して、ルータ4又は端末6などの他の装置と接続することもできる。
レイヤ1、MAC副層、LLC副層、IVC−RVC層、及びL7は、非特許文献1に規定されたレイヤである。ELは、非特許文献2に規定されたレイヤである。
図28は、無線機5によって送信される無線パケット(無線送信データ)のデータ構造、及び、ルータ4又は端末6が送信するPPPフレームのデータ構造を示している。
[3.4.1 無線パケットの構造]
本実施形態における無線パケットは、先頭から、無線通信制御情報、IRC(路路間通信制御情報)ヘッダ、データ、及びFCSの各領域を有している。
無線通信制御情報は、非特許文献1及び2に準拠したものであり、先頭から、PHYヘッダ(物理ヘッダ)、MAC制御フィールド(MACヘッダ)、LLC制御フィールド(LLCヘッダ)、IR制御フィールド(IRヘッダ)、L7ヘッダ、及びELヘッダを有して構成される。
なお、セキュリティ管理に対して、ELではなく、L7からアンセキュアなデータが渡される場合、L7ヘッダよりも後続の領域(図28の無線パケットにおけるELヘッダ、IRCヘッダ及びデータの領域)がセキュアなデータとなる。さらに、IRC層からセキュリティ管理に対してアンセキュアなデータを渡すようにしてもよい。
なお、図28に示す無線パケットにおいては、セキュリティ管理によって生成されるセキュリティヘッダが省略されている。セキュリティヘッダは、IRCヘッダの前側にあってもよいし、IRCヘッダの後側にあってもよい。セキュリティヘッダがIRCヘッダの前側にある場合、IRCヘッダをセキュアなデータにできる。ただし、IRCヘッダがセキュリティ処理の対象となっているため、IRCヘッダを読み取るには、アンセキュアにする処理が必要となる。一方、セキュリティヘッダがIRCヘッダの後側にある場合、IRCヘッダはアンセキュアなデータであるため、IRCヘッダを読み取るのに、アンセキュアにする処理が不要である。
また、セキュリティヘッダは、ELヘッダの前側にあってもよいし、ELヘッダの後側にあってもよい。セキュリティヘッダがELヘッダの前側にある場合、ELヘッダ(基地局ID情報(無線送信元ID))及びIRCヘッダ双方をセキュアなデータにできる。また、セキュリティヘッダがELヘッダの後側にある場合、ELヘッダはアンセキュアなため、ELヘッダに含まれる基地局ID情報(無線送信元ID)などの情報を読み取るのに、アンセキュアにする処理が不要である。
ルータ4又は端末6によって生成されたPPPフレームを取得した無線機5は、PPPフレームに無線通信制御情報などを付加してカプセル化し、無線パケットを生成する。
図28に示すように、ルータ4又は端末6によって生成されるPPPフレームは、PPPヘッダ及びデータ部を有している。PPPヘッダは、プリアンブル及びプロトコルの領域を有している。PPPヘッダのプリアンブルは、Flag,Address,Controlの各フィールドを備えているが、それぞれ、固定値が格納される。
Codeは、PPP制御パケットの種別を示す情報である。IDは、PPP制御パケットの識別子である。Lengthは、PPP制御パケット長である。データ又はパラメータリストのフィールドは、PPP制御パケットごとに関連するデータを格納するフィールドである。
IRCヘッダは、無線パケット(無線送信データ)を生成する無線機5のIRC層による処理(情報付加処理;IRCヘッダ付加処理)にて生成され、無線パケット(無線送信データ)を受信した無線機5のIRC層による処理に用いられる。図29A〜図29Dに示すように、IRCヘッダは、識別情報171,173,174と転送回数情報172とを備えている。
識別情報171,173,174は、PPPフレームを含む無線パケットを受信した無線機5が、そのPPPフレームが自機5に関連するものか否かを判定するための情報である。換言すると、識別情報は、PPPフレームを含む無線パケットを受信した無線機5が、そのPPPフレームを自機5に接続された装置(ルータ4又は端末6)に送信すべきか否かなどを判定するための情報である。なお、識別情報は、自機5に関連するものであるか否かの判定処理の一である後述の転送判定処理にも用いられる。
図29AのIRCヘッダは、転送回数情報172のほか、識別情報として、送信元ポートID(送信元ID)171を有している。送信元ポートID171は、PPPフレームの送信元の装置4,6のポートを示す識別子である。つまり、ルータ4又は端末6に備わったS9ポートを示す識別子である。
図29Bは、IRCヘッダの他の例を示している。図29BのIRCヘッダは、転送回数情報172のほか、識別情報として、宛先ポートID(宛先ID)173を有している。宛先ポートID173は、PPPフレームの宛先の装置4,6のポートを示す識別子である。
したがって、IRCヘッダに格納される識別情報としては、宛先ポートID173に代えて又は加えて宛先の装置IDであってもよい。さらに、IRCヘッダに格納される識別情報としては、送信元ポートIDに代えて又は加えて、送信元の装置IDであってもよい。
図29Dは、IRCヘッダの他の例を示している。図29DのIRCヘッダは、識別情報として、PPPリンクID174を有している。PPPリンクID174は、ルータ4−端末6間で形成されるべきPPPリンクを示す識別子である。PPPリンクは、2つのポート間に形成されるリンクであるため、図29A〜5Bに示す送信元ポートID171及び宛先ポートID173のいずれか一方だけでも、PPPリンクを一意に特定できる。つまり、PPPリンクIDに限らず、送信元ポートID171及び宛先ポートID173もそれぞれ、PPPフレームが送信されるPPPリンクを識別可能な識別情報(以下、PPPリンク識別情報という)である。
[3.5.1 ケース1]
ケース1では、図30に示すように、一対の無線機(第1無線機5Aと第2無線機5B)それぞれに一つずつ装置(ルータ(第1装置)4,端末(第2装置)61)が接続されているものとする。装置4,61は、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL1の両端に位置する。
第1無線機5Aの近傍には、第2無線機5B以外に第3無線機5Cも存在し、第1無線機5Aから送信された電波は、第3無線機5Cにおいて受信可能であるものとする。第3無線機5Cには端末62が接続されている。端末62もPPPフレームの送受信が可能である。
第1設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、接続された装置4,61、62からPPPフレームを受信した場合に参照される情報である。第1設定情報は、PPPフレームに付加されて無線パケットを構成する識別情報の生成に用いられる。
第1設定情報は、自機5A,5B,5CのポートP1A〜P4A,P1B〜P4B,P1C〜P4Cのうちルータ4又は端末6に接続されたポート(受信ポート)を示す受信ポートIDと、識別情報(PPPリンク識別情報)と、を対応づけるためのものである。具体的には、第1設定情報は、受信ポートID(第1ポートID)と、送信元ポートID(送信元ID)と、宛先ポートID(宛先ID)と、が対応付けられて構成されている。第1設定情報における送信元ポートID(送信元ID)及び宛先ポートID(宛先ID)は、いずれもPPPリンク識別情報である。識別情報としての送信元ポートID(送信元ID)及び宛先ポートID(宛先ID)は、いずれもPPPリンク識別情報であり、いずれか一つの情報が存在すれば足り、他の情報を省略してもよい。情報を省略することで、情報量を抑えることができる。
第2設定情報は、識別情報(PPPリンク識別情報)と、自機5A,5B,5CのポートP1A〜P4A,P1B〜P4B,P1C〜P4Cのうちルータ4又は端末6に接続されたポート(送信ポート)を示す送信ポートIDと、を対応付けるためのものである。具体的には、第2設定情報は、送信元ポートID(送信元ID)と、宛先ポートID(宛先ID)と、送信ポートID(第2ポートID)とが、対応付けられて構成されている。第2設定情報における送信元ポートID(送信元ID)及び宛先ポートID(宛先ID)は、いずれもPPPリンク識別情報である。第1設定情報と同様に、識別情報としての送信元ポートID(送信元ID)及び宛先ポートID(宛先ID)は、いずれもPPPリンク識別情報であり、いずれか一つの情報が存在すれば足り、他の情報を省略してもよい。
まず、ルータ4は、端末61のための情報が含まれたPPPフレームを、端末61宛情報用のポート(S9ポート)PR1から送信する。ただし、このPPPフレームには、前述のように宛先である端末61を示す情報は含まれていない。また、PPPフレームには、送信元であるルータ4を示す情報も含まれていない。
第1無線機5Aは、ルータ4のポートPR1から送信されたPPPフレームを、ポート(S9ポート)P1Aにて受信する(ステップS1)。
送信元認識処理では、PPPフレームの送信元を得るため、PPPフレームを受信したポートP1Aを示すポート情報を検索キーとして、第1設定情報の受信ポートIDの検索が行われる。図31Aに示す第1無線機5Aの第1設定情報には、検索キーであるポートID(P1A)に一致する受信ポートID(P1A)が存在する。ここでは、2つの識別情報(送信元ポートID、宛先ポートID)のうち、送信元ポートIDを、識別情報として用いる。したがって、送信元認識処理では、検索キーに一致する受信ポートID(P1A)に対応する識別情報である送信元ポートID(PR1)が得られる。
つまり、送信元認識処理によって、受信したPPPフレームの送信元であるルータ4のポートPR1を示す情報(識別情報)が得られる。
このように、識別情報の付加は、PPP層とは異なるレイヤ(PPP層よりも下位のレイヤ)であるIRC層によって行われる。
拡張層(EL)〜PHY層までの各レイヤは、図28に示す無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS5)。つまり、無線パケットの生成は、PPP層及びIRC層とは異なるレイヤ(拡張層〜PHY層)によって行われる。
なお、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aの拡張層は、ELヘッダの基地局ID情報のフィールドに第1無線機5AのIDをセットする。また、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aのレイヤ7は、通信分類のフィールドに、「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」であることを示す情報をセットする。
生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される(ステップS6)。
なお、セキュリティ管理によってセキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(ELヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。また、レイヤ7からセキュリティ管理にアクセスする場合は、L7データ(L7ヘッダPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
無線パケットの受信処理のうち、レイヤ7での処理においては、L7ヘッダに含まれる通信分類に基づく判定が行われる。通信分類フィールドが示す通信分類が基地局宛の分類でない場合、基地局である第2無線機5Bは、受信した無線パケットを破棄することができる。ただし、ここでは、基地局宛の分類の一つである「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」が通信分類フィールドに設定されているため、受信した無線パケットを破棄せず処理することができる。
これに対し、通信分類フィールドが示す分類が、基地局宛の分類でないため、第1無線機5Aから送信された無線パケットを受信した車載機(移動局)7は、受信した無線パケットを破棄してもよい。
受信判定処理は、受信した無線パケットに含まれているPPPフレームの宛先を判定し、得られたPPPフレームの取り扱いを決定するための処理である。具体的には、受信判定処理において、IRC層は、PPPフレームの宛先が、自機5Bに接続された端末61であるか否かを判定する。
つまり、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先である装置61に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P1Bを識別することができる。
第2無線機5Bから送信されたPPPフレームは、端末61によって受信される。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報(送信元ポートID=PR1)を用いて、受信判定処理を行う。
しかし、図31Cに示す第3無線機5Cの第2設定情報には、受信した送信元ポートID=PR1に一致する送信元ポートIDが存在しない。したがって、第3無線機5Cは、受信したPPPフレームの宛先は、自機5Cに接続された端末62ではないと判定する。この場合、第3無線機5Cは、後述の転送判定を行い、転送の必要もなければ、PPPフレームを破棄する。
しかも、本来の宛先とは関係ない第3無線機5Cは、第3無線機5Cに接続された端末62にPPPフレームを与えることなく、第3無線機5CにてPPPフレームを破棄するため、端末62が、ルータ4との間で、誤って、PPPリンク確立処理などを行うことを防止できる。
つまり、端末61は、ルータ4に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、ルータ4宛情報用のポート(S9ポート)PT1から送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートPT1から送信されたPPPフレームを、ポートP1Bにて受信する。
第2無線機5Bの処理部52は、図31Bに示す第1設定情報を参照して、送信元認識処理を行い、識別情報として、送信元である端末61の送信元ポートID(PT1)を得る。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによってPPPフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
なお、セキュリティ管理によって、セキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(ELヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。また、レイヤ7からセキュリティ管理にアクセスする場合は、L7データ(L7ヘッダPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
第1無線機5Aは、送信ポートP1Aを識別すると、PPPフレームをその送信ポートP1Aから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
識別情報が、宛先ポートIDである場合、通信フレームの伝送方法は、図32に関する既述の説明における「送信元」を「宛先」と読み替えればよいが、以下、具体的に説明する。以下において説明されていない点は、識別情報が送信元ポートIDである場合についての説明が援用される。
宛先認識処理では、PPPフレームの宛先を得るため、PPPフレームを受信したポートP1Aを示すポート情報を検索キーとして、第1設定情報の受信ポートIDの検索が行われる。図31Aに示す第1無線機5Aの第1設定情報には、検索キーであるポートID(P1A)に一致する受信ポートID(P1A)が存在する。したがって、宛先認識処理では、検索キーに一致する受信ポートID(P1A)に対応する識別情報である宛先ポートID(PT1)が得られる。
つまり、宛先認識処理によって、受信したPPPフレームの宛先である端末61のポートPT1を示す情報(識別情報)が得られる。
拡張層(EL)〜PHY層までの各レイヤは、図28に示す無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS5)。
生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される(ステップS6)。
つまり、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先である装置61に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P1Bを識別することができる。
第2無線機5Bから送信されたPPPフレームは、端末61によって受信される。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報(宛先ポートID=PT1)を用いて、受信判定処理を行う。
しかし、図31Cに示す第3無線機5Cの第2設定情報には、受信した宛先ポートID=PT1に一致する宛先ポートIDが存在しない。したがって、第3無線機5Cは、受信したPPPフレームの宛先は、自機5Cに接続された端末62ではないと判定する。この場合、第3無線機5Cは、後述の転送判定を行い、転送の必要もなければ、PPPフレームを破棄する。
つまり、端末61は、ルータ4に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、ルータ4宛情報用のポート(S9ポート)PT1から送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートPT1から送信されたPPPフレームを、ポートP1Bにて受信する。
第2無線機5Bの処理部52は、図31Bに示す第1設定情報を参照して、宛先認識処理を行い、識別情報として、宛先であるルータ4の宛先ポートID(PR1)を得る。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによってPPPフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
第1無線機5Aは、送信ポートP1Aを識別すると、PPPフレームをその送信ポートP1Aから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
識別情報としてPPPリンクIDを用いる場合、送信元認識処理(ステップS2)は、第1設定情報を参照して、受信ポートIDから、PPPリンクIDを得るものとなり、受信判定処理(ステップS9)は、第2設定情報を参照して、PPPリンクIDから送信ポートIDを得るものとなる。
図34に示すように、ケース2では、ルータ4と、それぞれがルータ4との間でPPPフレームの送受信を行う3つ(複数)の端末61,62,63とが存在する。したがって、ルータ4に接続された第1無線機5Aは、3つの端末61,62,63に対応して、3つのポートP1A,P2A,P3Aにおいて、ルータ4と接続されている。
3つの端末61,62,63のうち、2つの端末61,62は、第2無線機5Bに接続されている。つまり、第2無線機5Bは、2つのポートP1B,P2Bにおいて、端末61,62と接続されている。残りの端末63は、第3無線機5Cに接続されている。
3つの無線機5A,5B,5Cは互いに無線通信が可能である。
第1無線機5Aの処理部52は、図35Aに示す第1設定情報を参照して、送信元認識処理を行い、複数のポートPR1〜PR4のうち、送信元であるルータ4の送信元ポートID(PR1)を識別情報として得る。
第1無線機5Aは、識別情報を含むIRCヘッダによってPPPフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第1無線機5Aは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される。
第2無線機5Bは、送信ポートP1Bを識別すると、PPPフレームをその送信ポートP1Bから送信する。送信されたPPPフレームは、端末61によって受信される。
つまり、端末61は、ルータ4に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、ルータ4宛情報用のポート(S9ポート)PT1から送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートPT1から送信されたPPPフレームを、ポートP1Bにて受信する。
第2無線機5Bの処理部52は、図35Bに示す第1設定情報を参照して、送信元認識処理を行い、複数の端末61,62の各ポートPT1〜PT2のうち、送信元である端末61の送信元ポートID(PT1)を識別情報として得る。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによってPPPフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
第1無線機5Aは、送信ポートP1Aを識別すると、PPPフレームをその送信ポートP1Aから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
また、第1無線機5Aは、ルータ4の複数のポートPR1〜PR3と接続されていても、適切な送信ポートPR1を正しく認識することができる。
図36に示すように、ケース3では、ルータ4と、それぞれがルータ4との間でPPPフレームの送受信を行う4つ(複数)の端末61,62,63,64とが存在する。したがって、ルータ4に接続された第1無線機5Aは、4つの端末61,62,63,64に対応して、4つのポートP1A,P2A,P3A,P4Aにおいて、ルータ4と接続されている。
端末61は第2無線機5Bに接続され、端末62は第3無線機5Cに接続され、端末63は第4無線機5Dに接続され、端末64は第5無線機5Eに接続されている。
このため、第3PPPリンクL3は、第1無線機5A及び第4無線機5D以外に、第3無線機5Cを経由するものとなる。
また、第4PPPリンクL4は、第1無線機5A及び第5無線機5E以外に、第3無線機5C及び第4無線機5Dを経由するものとなる。
さらに、ケース3では、図37C及び図37Dに示すように、第3無線機5Cの記憶部53及び第4無線機5Dの記憶部53には、無線パケットの転送のための第3設定情報が設定されている。
第3設定情報は、転送した無線パケット(PPPフレーム)を、自機5C,5Dが転送する必要があるか否かを判定する転送判定処理に用いられる情報(転送判定情報)を含んでいる。また、第3設定情報は、転送抑制処理に用いられる情報(転送許可情報)を含んでいる。
第4無線機5Dは、第4PPPリンクL4のPPPフレームを転送するため、第4無線機5Dの転送判定情報としては、第4PPPリンクL4の送信元ポートID及び宛先ポートIDの組み合わせ(送受信を区別した組み合わせ)が設定されている。
受信したIRCヘッダに含まれる識別情報が、第3設定情報の送信元ポートID又は宛先ポートIDに一致した場合、その識別情報とともに受信されたPPPフレーム(無線パケット)は、転送の候補(対象)となる。
また、転送判定処理では、受信した無線パケットの送信元(ELヘッダの基地局ID情報が示す無線送信元ID)が、転送許可情報として設定されているか否かを判定する転送抑制処理も行われる。
転送判定処理を行うIRC層は、PPP層とは異なるレイヤ(PPP層よりも下位のレイヤ)である。
例えば、無線パケットを最初に送信する無線機5は、図29A〜図29Dに示す転送回数情報172を0に設定して無線パケットを送信し、受信した無線パケットを転送する無線機5は、転送回数情報172をインクリメントして無線パケットを転送するものとする。この場合、転送回数情報172は、これまで転送された回数を示すものとなる。
そして、例えば、第1無線機5Aから端末63宛のPPPフレームを含む無線パケット(識別情報=PR3,転送回数情報=0)を受信した第3無線機5Cは、受信した識別情報(PR3)に一致する送信元ポートIDが第3設定情報として設定されており、かつ、その送信元ポート(PR3)に対応して設定された転送回数情報(0)と一致するため、受信したPPPフレーム(無線パケット)を転送すべきものと判定する。
なお、無線パケットを最初に送信する無線機5が、無線パケットに設定する転送回数情報172は、0に限らず、転送回数の上限を示す転送回数上限値であってもよい。この場合、受信した無線パケットを転送する無線機5は、転送回数情報172の転送回数をデクリメントして無線パケットを送信する。この結果、転送回数情報172は、これから転送可能な回数を示すものとなる。
また、転送回数情報172は、これまで転送された回数又はこれから転送可能な回数そのものを示す値である必要はなく、これまで転送された回数又はこれから転送可能な回数を識別可能な情報であれば足りる。例えば、転送回数情報172は、これまで転送された回数又はこれから転送可能な回数に、所定の値Nを加算又は減算した値であってもよい。
図39は、無線通信区間においてはPPPを別プロトコルに変換する変形例を示している。
各無線機5A,5Bの記憶部53には、PPPフレームを別形式(別プロトコル)のデータ(変換データ)に変換(プロトコル変換)するとともに、変換データをPPPフレームに戻すための変換テーブルが設定されている。
例えば、ルータ4からPPPフレームを受信した第1無線機5Aは、変換テーブルを参照して、PPPフレームのプロトコル及びPPP制御パケットの部分を変換データに変換し、当該変換データに、識別情報などを含むIRCヘッダを付加し、さらに無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダ)を付加して、無線パケットを生成して無線送信する。なお、PPPプリアンブルの部分は、固定値であるため、変換テーブルを用いなくても、受信側で復元可能である。
このように、無線パケットは、PPPフレームそのものをカプセル化したものである必要はなく、PPPフレームをデータ変換した変換データをカプセル化したものであってもよい。
したがって、図39のように無線通信区間にPPPに関する情報が交換されない場合であっても、PPPフレームを変換データに変換することで、第1部分PPPリンクLpa及び第2部分PPPリンクLpbを合わせて、1本のPPPリンクとして管理することができる。
図40Aは、中央装置2が第1無線機5A宛に情報(アプリケーションデータ)を送信するための構成を示している。図40Aでは、ルータ4のポート(S9形ポート)PR5と第1無線機5Aのポート(S9形ポート)P5Aとの間が、有線接続されている。ルータ4のポートPR5と第1無線機5AのポートP5Aとには、それぞれIPアドレスが付与されており、ルータ4が第1無線機5AのポートP5Aに付与されたIPアドレス向けの情報(アプリケーションデータ)を受信した場合、ルータ4のポートPR5と第1無線機5AのポートP5Aとの間の接続を介して、当該情報が第1無線機5Aへ送信される。当該情報は、例えば、第1無線機5が路車間通信で車載機7に対して無線送信するための車載機向け情報(移動局向け情報)であり、より具体的には、交通情報、道路線形情報、又は信号情報等である。
なお、ルータ4のポートPR5と第1無線機5AのポートP5Aに付与されているのは、IPアドレスである必要はなく、それぞれを特定可能な識別子であればよい。
図40Bでは、ルータ4からは、第1端末61又は第2端末62宛の情報(アプリケーションデータ)が送信されるだけでなく、第2無線機5B又は第3無線機5C宛の情報(アプリケーションデータ)も送信される。
また、図40Bの第1端末61又は第2端末62が中央装置2向けの情報をルータ4に送信するだけでなく、第2無線機5B又は第3無線機5Cも、中央装置2向けの情報をルータ4に送信することができる。
図40Bの第1無線機5A、第2無線機5B、及び第3無線機5Cの各記憶部53には、図40Bのネットワーク構成に対応した設定情報として、図40C〜図40Eに示す第1設定情報、第2設定情報、及び第3設定情報が設定されている。
すると、第1無線機5Aの処理部52は、送信元認識処理又は宛先認識処理(ステップS2)において、PPPフレームの受信ポートP2Aを示すポート情報を検索キーとして、第1無線機5Aの第1設定情報(図40C参照)の受信ポートIDの検索を行う。
第1無線機5Aの処理部52は、送信元認識処理又は宛先認識処理の結果、識別情報となる送信元ポートIDとしてPR2、又は、識別情報となる宛先IDとしてPT5Bを得る。
そして、得られた識別情報に基づいて、識別情報付加処理(ステップS3)が行われ、第1無線機5Aから無線パケットが送信される。
受信判定処理では、識別情報(例えば、宛先ID=PT5B)を検索キーとして、第2無線機5Bの記憶部53に設定された第2設定情報(図40D参照)の宛先IDの検索が行われる。受信判定処理の結果、第2無線機5Bは、PPPフレームの宛先は、自機5Bであることを認識する。この結果、PPPフレームに含まれる情報は、第2無線機5BのPPP層及びPPP層よりも上位のレイヤにて処理される。
同様に、第2無線機5Bを送信元とするPPPフレームも、第1無線機5Aを経由して、ルータ4のポートPR2へ送信することができる(図40Cの第2設定情報及び図40Dの第1設定情報参照)。
すると、第1無線機5Aの処理部52は、送信元認識処理又は宛先認識処理(ステップS2)において、PPPフレームの受信ポートP4Aを示すポート情報を検索キーとして、第1無線機5Aの第1設定情報(図40C参照)の受信ポートIDの検索を行う。
第1無線機5Aの処理部52は、送信元認識処理又は宛先認識処理の結果、識別情報となる送信元ポートIDとしてPR4、又は、識別情報となる宛先IDとしてPT5Cを得る。
そして、得られた識別情報に基づいて、識別情報付加処理(ステップS3)が行われ、第1無線機5Aから無線パケットが送信される。
受信判定処理では、識別情報(例えば、宛先ID=PT5C)を検索キーとして、第2無線機5Bの記憶部53に設定された第2設定情報(図40D参照)の宛先IDの検索が行われるが、検索キーにヒットする宛先IDは存在しない。
そこで、第2無線機5Bの処理部52は、転送判定処理(ステップS11)を行う。転送判定処理では、第2無線機5Bの第3設定情報(図40D)が参照される。ここでは、転送判定処理の結果、転送すべきものと判定される。したがって、第2無線機5Bは、受信したPPPフレーム(無線パケット)の転送処理(ステップS13)を行う。
そして、第3無線機5Cは、転送された無線パケットに含まれる識別情報を用いて、受信判定処理を行う。第3無線機5Cの受信判定処理では、図40Eに示す第2設定情報が参照される。受信判定処理の結果、第3無線機5Cは、PPPフレームの宛先は、自機5Cであることを認識する。この結果、PPPフレームに含まれる情報は、第3無線機5CのPPP層及びPPP層よりも上位のレイヤにて処理される。
このように、端末(第1装置又は第2装置)に相当する機能は、無線機5B,5Cに内蔵されていてもよい。また、図40Bにおいて、端末61及び端末62は設けられていなくてもよい。
同様に、ルータ4も、無線機5Aとは別個に設けられている必要はなく、無線機5Aにルータが内蔵されていてもよい。
図41〜図45は、通信システムの第2変形例を示している。第2変形例においては、ルータ4と端末6との間の通信を、Ethernet通信で行う。つまり、無線機5は、ルータ4又は端末6によって生成されたEthernetフレームをイーサポートPM1、PM2,PM3,PM4において受信し、Ethernetフレームに無線通信制御情報などを付加してカプセル化し、無線パケットを生成し、ブロードキャスト送信する。
図41に示すように、イーサネットフレームのイーサネットヘッダには、宛先MACアドレスと送信元MACアドレスを含んでいる。例えば、ルータ4か端末6へデータを送信する場合、宛先MACアドレスは、端末6のMACアドレスとなり、送信元MACアドレスは、ルータ4のMACアドレスとなる。
したがって、イーサネットヘッダの宛先MACアドレスを参照しても、最終的な宛先(端末6)はわからないため、データを最終的な宛先(端末6)に届けるには、送信元と宛先との間の経路上に存在する他の装置(無線機5)がIPアドレスを用いたルーティング機能を具備する必要がある。
図42A〜図42Dは、第2変形例におけるIRCヘッダの様々な例を示している。図42A〜図42Dに示すIRCヘッダは、転送回数情報172を有しているが、省略してもよい。
図42Aに示すIRCヘッダは、識別情報として、送信元MACアドレス(送信元ID)175を有している。送信元MACアドレスは、無線機5が取得したEthernetフレームの送信元MACアドレスである。
図42Bに示すIRCヘッダは、識別情報として、宛先MACアドレス(宛先ID)176を有している。宛先MACアドレスは、無線機5が取得したEthenetフレームの宛先MACアドレスである。
図42Cに示すIRCヘッダは、識別情報として、宛先MACアドレス176及び送信元MACアドレス175を有している。
図42Dに示すIRCヘッダは、識別情報として、Ethernetフレームを含んでいる無線パケットの宛先となる無線機5のID(無線パケット宛先ID)177を有している。
なお、第2変形例においても、識別情報は、リンク(Ethernetのリンク)のIDであってもよい。
第1無線機5Aの近傍には、図30と同様に、第3無線機5Cも存在し、第1無線機5Aから送信された電波は、第3無線機5Cにおいても受信可能である。第3無線機5Cには、端末62が接続されている。端末62もEthenetフレームの送受信が可能である。
図43Aでは、ルータ4と端末61との間でEthernetのリンクML1が形成され、ルータ4と端末62との間では、Ethernetのリンクは形成されない。
第1設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、接続された装置4,61、62からEthernetフレームを受信した場合に参照される情報である。第1設定情報は、Ethernetフレームに付加されて無線パケットを構成する識別情報の生成に用いられる。
第1設定情報は、自機5A,5B,5Cの1又は複数のイーサポートのうち、ルータ4又は端末6に接続されたイーサポート(受信ポート)PM5A,PM5B,PM5Cに付与されたMACアドレス示す受信ポートMACアドレスと、識別情報(Ethernetリンク識別情報)と、を対応づけるためのものである。具体的には、第1設定情報は、受信ポートMACアドレスと、送信元MACアドレス(送信元ID)と、宛先MACアドレス(宛先ID)と、無線パケット宛先IDと、が対応付けられて構成されている。第1設定情報における送信元MACアドレス(送信元ID)、宛先MACアドレス(宛先ID)、及び無線パケット宛先IDは、いずれもEthernetリンク識別情報である。識別情報としての送信元MACアドレス(送信元ID)、宛先MACアドレス(宛先ID)、及び無線パケット宛先IDは、いずれもEthernetリンク識別情報であり、いずれか一つの情報が存在すれば足り、他の情報を省略してもよい。情報を省略することで、情報量を抑えることができる。
第2設定情報は、識別情報(Ethernetリンク識別情報)と、自機5A,5B,5Cの1又は複数のイーサポートのうち、ルータ4又は端末6に接続されたポート(送信ポート)を示す送信ポートMACアドレスと、を対応付けるためのものである。具体的には、第2設定情報は、送信元MACアドレス(送信元ID)と、宛先MACアドレス(宛先ID)と、送信ポートMACアドレス(第2ポートID)とが、対応付けられて構成されている。第2設定情報における送信元MACアドレス(送信元ID)及び宛先MACアドレス(宛先ID)は、いずれもEthernetリンク識別情報である。第1設定情報と同様に、識別情報としての送信元MACアドレス(送信元ID)及びMACアドレス(宛先ID)は、いずれもEthernetリンク識別情報であり、いずれか一つの情報が存在すれば足り、他の情報を省略してもよい。
まず、ルータ4は、端末61のための情報が含まれたEthernetフレームを、端末61宛情報用のイーサポート(S11ポート)PMR1から送信する。このEthernetフレームのEthernetヘッダには、送信元MACアドレスとしてルータ4のMACアドレス(MR1)が設定され、宛先MACアドレスとして端末61のMACアドレス(MT1)が設定されている。
第1無線機5Aは、ルータ4のイーサポートPMR1から送信されたEthernetフレームを、イーサポート(S11ポート)PM5Aにて受信する(ステップS101)。
第1無線機5Aは、受信したEthernetヘッダの宛先MACアドレスが、自機5AのMACアドレス(M5A)でなくても、受信したEthernetフレームを破棄せずに、Ethernet層よりも下位のレイヤにおいて、無線パケットを送信するための処理(図45のステップS102以降の処理)を行う。なお、第1無線機5Aは、受信したEthernetヘッダの宛先MACアドレスが、自機5AのMACアドレス(M5A)である場合には、受信したEthernetフレームは、自機5A宛のフレームであるから、フレーム内のデータをEthernet層よりも上位のレイヤで処理する。
送信元認識処理では、Ethernetフレームの送信元MACアドレスを得るため、Ethernetフレームを受信したポートPM5AのMACアドレスM5Aを検索キーとして、第1設定情報の受信ポートMACの検索が行われる。図44Aに示す第1無線機5Aの第1設定情報には、検索キーであるMACアドレス(M5A)に一致する受信ポートMACアドレス(M5A)が存在する。ここでは、2つの識別情報(送信元MACアドレス、宛先MACアドレス)のうち、送信元MACアドレスを、識別情報として用いる。したがって、送信元認識処理では、検索キーに一致する受信ポートMACアドレス(M5A)に対応する識別情報である送信元MACアドレス(MR1)が得られる。
つまり、送信元認識処理によって、受信したEthernetフレームの送信元であるルータ4のMACアドレスを示す情報(識別情報)が得られる。なお、識別情報としてのMACアドレスは、第1無線機5Aが受信したEthernetフレームのEthernetヘッダから読み取ってもよい。この場合、第1設定情報にMACアドレスが設定されている必要がない。したがって、第1設定情報を省略することも可能である。
このように、識別情報の付加は、Ethernet層とは異なるレイヤ(Ethernet層よりも下位のレイヤ)であるIRC層によって行われる。
拡張層(EL)〜PHY層までの各レイヤは、図41に示す無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS105)。つまり、無線パケットの生成は、Ethernet層及びIRC層とは異なるレイヤ(拡張層〜PHY層)によって行われる。
なお、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aの拡張層は、ELヘッダの基地局ID情報のフィールドに第1無線機5AのIDをセットする。また、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aのレイヤ7は、通信分類のフィールドに、「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」であることを示す情報をセットする。
生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される(ステップS106)。
なお、セキュリティ管理によって、セキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(ELヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
無線パケットの受信処理のうち、レイヤ7での処理においては、L7ヘッダに含まれる通信分類に基づく判定が行われる。通信分類フィールドが示す通信分類が基地局宛の分類でない場合、基地局である第2無線機5Bは、受信した無線パケットを破棄する。ただし、ここでは、基地局宛の分類の一つである「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」が通信分類フィールドに設定されているため、受信した無線パケットは破棄されない。
これに対し、第1無線機5Aから送信された無線パケットを受信した車載機(移動局)7は、通信分類フィールドが示す分類が、基地局宛の分類でないため、受信した無線パケットを破棄する。
受信判定処理は、得られたEthernetフレームの取り扱いを決定するための処理である。具体的には、受信判定処理において、IRC層は、Ethernetフレームが、自機5Bに接続された端末61向けのものであるか否かを判定する。
つまり、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信したEthernetフレームの宛先である装置61に接続されたイーサポート(送信ポート;第2ポート)PM5Bを識別することができる。
なお、受信判定処理は、Ethernet層において、Ethernetヘッダに格納された宛先MACアドレスを用いておこなってもよい(L2スイッチ的な処理)。この場合、無線パケットにおいてIRCヘッダを省略することが可能となり、送信側の無線機において識別情報付加処理(ステップS103)を省略することができる。
第2無線機5Bから送信されたEthernetフレームは、端末61によって受信される。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報(送信元MACアドレス=MR1)を用いて、受信判定処理を行う。
しかし、図44Cに示す第3無線機5Cの第2設定情報には、受信した送信元MACアドレス=MR1に一致する送信元MACアドレスが存在しない。したがって、第3無線機5Cは、受信したEthernetフレームの宛先は、自機5Cに接続された端末62ではないと判定する。この場合、第3無線機5Cは、後述の転送判定を行い、転送の必要もなければ、Ethernetフレームを破棄する。
しかも、本来の宛先とは関係ない第3無線機5Cは、第3無線機5Cに接続された端末62にEthernetフレームを与えることなく、第3無線機5CにてEthernetフレームを破棄する。
つまり、端末61は、ルータ4に送信すべき情報が含まれたEthernetフレームを、イーサポート(S11ポート)PMT1から送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートPMT1から送信されたEthernetフレームを、ポートPM5Bにて受信する。
第2無線機5Bは、受信したEthernetヘッダの宛先MACアドレスが、自機5BのMACアドレス(M5B)でなくても、受信したEthernetフレームを破棄せずに、Ethernet層よりも下位のレイヤにおいて、無線パケットを送信するための処理(図45のステップS102以降の処理)を行う。
第2無線機5Bの処理部52は、図44Bに示す第1設定情報を参照して、送信元認識処理(ステップS102)を行い、識別情報として、送信元である端末61の送信元MACアドレス(MT1)を得る。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによってEthernetフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。なお、セキュリティ管理によって、セキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(ELヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
第1無線機5Aは、送信ポートM5Aを識別すると、Ethernetフレームをその送信ポートPM5Aから送信する。送信されたEthernetフレームは、ルータ4によって受信される。
識別情報が無線パケット宛先IDである場合、第1無線機5Aは、ルータ4のポートPMR1から送信されたEthernetフレームを、イーサポート(S11ポート)PM5Aにて受信する(ステップS101)。
宛先認識処理では、無線パケットの宛先を得るため、Ethernetフレームを受信したポートPM5AのMACアドレス(M5A)を検索キーとして、第1設定情報の受信ポートMACアドレスの検索が行われる。図44Aに示す第1無線機5Aの第1設定情報には、検索キーであるMACアドレス(M5A)に一致する受信ポートMACアドレス(M5A)が存在する。したがって、宛先認識処理では、検索キーに一致する受信ポートMACアドレス(M5A)に対応する識別情報である無線パケット宛先ID(5B)が得られる。
つまり、宛先認識処理によって、送信される無線パケットの宛先となる第2無線機5Bを示す情報(識別情報)が得られる。
拡張層(EL)〜PHY層までの各レイヤは、図41に示す無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS105)。
生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される(ステップS106)。
つまり、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信したEthernetフレームの宛先である装置61に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)PM5Bを識別することができる。
第2無線機5Bから送信されたEthernetフレームは、端末61によって受信される。
なお、図42Dに示すIRCヘッダに、無線パケット宛先ID177だけでなく、宛先MACアドレス176又は送信元MACアドレス175が含まれている場合には、受信判定処理は、第2無線機5BのIRC層で行うことができる。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報(無線パケット宛先ID=5B)を用いて、受信判定処理を行う。第3無線機5Cにとっては、受信したIRCヘッダに含まれる識別情報(無線パケット宛先ID=5B)が自機5CのIDと一致しないため、受信したEthernetフレームの宛先は、自機5Cに接続された端末62ではないと判定する。この場合、第3無線機5Cは、転送判定(ステップS111)を行い、転送の必要もなければ、Ethernetフレームを破棄する。
図43Bのルータ4が有する複数のイーサポートPMR1,PMR2,PMR3,PMR4それぞれは、第1無線機5Aの対応するイーサポートPM1A,PM2A,PM3A,PM4Aに接続されている。
また、第1端末61のイーサポートPMT1及び第2端末62のイーサポートPMT2は、第2無線機5Bの対応するイーサポートPM1B,PM2Bに接続されている。
さらに、第3端末63のイーサポートPMT3及び第4端末64のイーサポートPMT4は、第3無線機5Cの対応するイーサポートPM1C,PM2Cに接続されている。
第1無線機5Aの複数のイーサポートPM1A,PM2A,PM3A,PM4Aそれぞれには、図43B中にも示すように、MAC−1A,MAC−2A,MAC−3A,MAC−4AのMACアドレスが割り当てられている。
第2無線機5Bの複数のイーサポートPM1B,PM2Bそれぞれには、MAC−1B,MAC−2BのMACアドレスが割り当てられている。
第3無線機5Cの複数のイーサポートPM1C,PM2Cそれぞれには、MAC−1C,MAC−2CのMACアドレスが割り当てられている。
第1端末61(のイーサポートPMT1)、第2端末62(のイーサポートPMT2)、第3端末63(のイーサポートPMT3)、第4端末64(のイーサポートPMT4)それぞれには、図43B中にも示すように、MAC−T1,MAC−T2,MAC−T3,MAC−T4のMACアドレスが割り当てられている。
ルータ4、第1無線機5A、第2無線機5B、第3無線機5C,第1端末61、第2端末62、第3端末63、及び第4端末64それぞれには、図43B中にも示すように、IP−R1,IP−5A,IP−5B,IP−5C,IP−T1,IP−T2,IP−T3,IP−T4のIPアドレスが割り当てられている。
また、図43Bに示す第1無線機5A、第2無線機5B、及び第3無線機5Cは、他の無線機から無線パケットを受信した場合には、図44D〜図44Fに示す第2設定情報を参照して、受信判定処理や転送判定処理を行う。
図43Cに示すルータ4と第1無線機5Aとは、それぞれ、単一のイーサポートPMR1,PM1A同士で接続されている。
また、図43Cでは、第3無線機5Cは、第1無線機5Aと直接通信できず、第2無線機5Bによる無線パケット転送を介して、第1無線機5Aと通信する。
第1無線機5AのイーサポートPM1Aには、MAC−1AのMACアドレスが割り当てられている。
第2無線機5Bの複数のイーサポートPM1B,PM2Bそれぞれには、MAC−1B,MAC−2BのMACアドレスが割り当てられている。
第3無線機5Cの複数のイーサポートPM1C,PM2Cそれぞれには、MAC−1C,MAC−2CのMACアドレスが割り当てられている。
第1端末61(のイーサポートPMT1)、第2端末62(のイーサポートPMT2)、第3端末63(のイーサポートPMT3)、第4端末64(のイーサポートPMT4)それぞれには、MAC−T1,MAC−T2,MAC−T3,MAC−T4のMACアドレスが割り当てられている。
ルータ4、第1無線機5A、第2無線機5B、第3無線機5C,第1端末61、第2端末62、第3端末63、及び第4端末64それぞれには、IP−R1,IP−5A,IP−5B,IP−5C,IP−T1,IP−T2,IP−T3,IP−T4のIPアドレスが割り当てられている。
図43Cに示す無線機5A,5B、5Cは、受信ポートによって、Ethernetフレームの送信元MACアドレス又は宛先MACアドレスを認識するのではなく、受信したEthernetヘッダに含まれる宛先MACアドレス(及び送信元MACアドレス)を読み取って、読み取った宛先MACアドレス(及び送信元MACアドレス)を識別情報として、IRCヘッダに格納する。
このため、識別情報を生成するための第1設定情報が不要であるため、図44G〜図44Iに示す接続設定情報では、第1設定情報が設けられていない。
図43Cのシステム構成は、ルータ4から情報を送信すべき端末61,62,63,64の数が多くなる場合において、特に有利である。つまり、図43Bのシステム構成の場合、ルータ4と第1無線機5との間の接続回線数が、ルータ4から情報を送信すべき端末61,62,63,64の数以上必要になる。この結果、端末の数が多いと、ルータ4及び第1無線機5Aのポート数が足らなくなるおそれがある。これに対し、図43Cのシステム構成では、端末の数が増えても、ルータ4と第1無線機5Aとの間の接続回線数が増加するのを抑えることができる。つまり、ルータ4や無線機5Aに設けられるイーサポートの数の増加を抑えることができる。
第1無線機5Aの(IRC層)は、読み取った宛先MACアドレスを識別情報として、IRCヘッダに格納する(ステップS103)。
このように、第1無線機5Aは、無線パケット生成の際に第1設定情報を参照する必要がない。
その後の第1無線機5Aの処理及び無線パケットを受信する第2無線機5B,第3無線機5Cの処理は、図45Aに示す手順と同様である。
したがって、第2無線機5Bは、受信した無線パケットから得られたEthernetフレームを、イーサポートPM1Bから、第1端末61へ出力することができる。
第2無線機5Bは、転送判定処理のため、識別情報としての宛先MACアドレスがMAC−T3及び無線パケット送信元(第1無線機5A)を検索キーとして、第3設定情報(図44H参照)を検索した結果、ヒットするため、受信した無線パケットを転送すべきと判定する。
第2無線機5Bによって転送された無線パケットは第3無線機5Cによって受信される。第3無線機5Cによる受信判定処理(ステップS107)の結果、第3無線機5Cは、送信ポートMACアドレスとして、MAC−1Cを得る。
したがって、第3無線機5Cは、受信した無線パケットから得られたEthernetフレームを、イーサポートPM1Cから、第3端末63へ出力することができる。
図45Cに示すように、ルータ4は、第1端末61に送信されるべきEthernetフレームのEthernetヘッダの宛先MACアドレスを、例えば、第1端末61のMACアドレス(MAC−T1)に設定して、第1無線機5Aへ送信する。
一般的には、ルータ4は、Ethernetフレームが第1無線機5Aにて受信されることを期待して送信するのであるから、EthernetフレームのEthernetヘッダの宛先MACアドレスを、第1無線機5AのMACアドレス(MAC−5A)に設定して送信すべきである。
しかし、ここでは、ルータ4は、宛先MACアドレスが第1端末61のMACアドレス(MAC−T1)に設定されたEthernetフレームを第1無線機5Aへ送信する。
第1無線機5Aは、受信したEthenetフレームの宛先MACアドレスが自機5AのMACアドレス(MAC−5A)と一致しなくても、受信したEthernetフレームを破棄することなく、識別情報の生成を行って、Ethernetフレームをカプセル化した無線パケットを生成する。この際、受信したEthernetフレームのEthernetヘッダは書き換えられない。つまり、宛先MACアドレスはMAC−T1のままであり、送信元MACアドレスもルータ4のMACアドレスであるMAC−R1のままである。
したがって、第1無線機5Aから送信された無線パケットを受信した第2無線機5Bは、ルータ4が送信したEthernetフレームと同じもの(Ethernetヘッダの内容が同じもの)を、第1端末61に送信することができる。
このように、ルータ4は、無線機5A,5Bの存在を意識しなくても、端末61へ情報を適切に送信することができる。
この場合も、第2無線機5Bは、受信したEthenetフレームの宛先MACアドレスが自機5BのMACアドレス(MAC−5B)と一致しなくても、受信したEthernetフレームを破棄することなく、識別情報の生成を行って、Ethernetフレームをカプセル化した無線パケットを生成する。この際、受信したEthernetフレームのEthernetヘッダは書き換えられない。つまり、宛先MACアドレスはMAC−R1のままであり、送信元MACアドレスも第1端末61のMACアドレスであるMAC−T1のままである。
したがって、第2無線機5Bから送信された無線パケットを受信した第1無線機5Aは、第1端末61が送信したEthernetフレームと同じもの(Ethernetヘッダの内容が同じもの)を、ルータ4に送信することができる。
このように、第1端末61も、無線機5A,5Bの存在を意識しなくても、ルータ4へ情報を適切に送信することができる。
ルータ4が、端末61,62,63,64のMACアドレスを把握していない場合(ルータ4のARPテーブルに端末61,62,63,64のMACアドレスが登録されていない場合)には、ARP要求によって、端末61,62,63,64のMACアドレスを取得することができる。
ARP要求及びARP応答の各メッセージは、既述のEthernetフレームに対応する。
ARP要求に含まれる宛先MACアドレス及び送信元MACアドレスは、既述のEthernetヘッダに含まれる宛先MACアドレス及び送信元MACアドレスに対応する。
ルータ4がブロードキャスト送信したARP要求のEthernetフレームは、第1無線機5Aによって受信される。第1無線機5Aは、ARP要求の宛先MACアドレスにかかわらず、ARP要求を破棄することなく、ARP要求(Ethernetフレーム)をカプセル化し、無線パケットを生成する。
なお、第1無線機5Aは、Ethernetフレームを受信した場合、そのEthernetフレームの宛先(宛先MACアドレス)が自機5Aのみである場合を除き、Ethernetフレームをカプセル化した無線パケットを生成・送信する。
一方、図43Cのように、ルータ4と第1無線機5Aとが単一の回線で接続されている場合、通信トラフィックが不必要に増大することを防止できる。
識別情報がブロードキャストアドレスである場合、無線パケットを受信した無線機は、常に、無線パケットに基づいて得られたEthernetフレーム(ARP要求)を、無線機に接続された端末へ送信する。
したがって、ARP要求に基づいて生成された無線パケットは、第2無線機5B及び第3無線機5Cの双方にて受信され、その無線パケットに基づいて得られたARP要求は、各無線機5B,5Cから各端末61,62,63,64へ送信される。
ARP応答は、宛先MACアドレスとして、ARP要求を送信したルータ4のMACアドレス(MAC−R1)が設定され、送信元MACアドレスとして第2端末62のMACアドレス(MAC−T2)が設定される。
第2端末62が送信したARP応答は、第2無線機5Bによってカプセル化され、無線パケットとなり無線送信される。無線パケットを受信した第2無線機5Bは、受信した無線パケットからARP応答を得て、ルータ4へ送信する。
ルータ4は、ARP応答に含まれる送信元MACアドレス(MAC−T2)を、ルータ4のARPテーブルに格納する。以上の処理により、ルータ4は、第2端末62のMACアドレスを把握することができる。
前述の実施形態では、IRCヘッダを、PPPヘッダ又はEthernetヘッダと無線通信制御情報との間に設けたが、IRCヘッダに格納されるべき情報を無線通信制御情報(例えば、ELヘッダ又はL7ヘッダの予約領域)に設けてもよい。つまり、識別情報等は、PPPヘッダ又はEthernetヘッダよりも手前(無線パケットの先頭側;時間的に先)に設けられていればよい。
IRCヘッダに格納されるべき情報を無線通信制御情報に含める場合、識別情報付加処理、受信判定処理、及び転送判定処理は、無線送信のためのプロトコルのレイヤ(拡張層又はレイヤ7など)で行われる。つまり、識別情報付加処理、受信判定処理、及び転送判定処理は、PPP層又はEthernet層とは異なるレイヤ(PPP層又はEthernet層よりも下位のレイヤ)で行われればよい。
また、IRCヘッダがセキュアなデータになっている場合、IRCヘッダに格納された情報を用いた処理を行うには、受信したIRCヘッダをセキュリティ管理にてアンセキュアにする処理(復号処理など)が必要となる。しかし、IRCヘッダに格納されるべき情報を無線通信制御情報に含める場合、無線通信制御情報は、セキュリティ処理の対象にしないようにできるため、IRCヘッダをアンセキュアにする処理を行う必要がない。
送信される識別情報として送信ポートIDが存在する場合において、受信側の無線機が、受信した送信ポートIDに基づいて、送信元ポートID又は宛先ポートIDを認識したい場合には、受信側の無線機の第2設定情報には、送信ポートIDに対応づけられた送信元ポートID又は宛先ポートIDが設けられていればよい。
さらに、識別情報としては、識別情報を送信する無線機がルータまたは端末等からPPPフレームを受信した受信ポートIDであってもよい。この場合、受信側の無線機には、受信ポートIDと送信ポートIDを対応付けた第2設定情報が設けられていればよい。
さらに、ルータ(第1装置)と端末(第2装置)との間の通信プロトコルは、PPPに限定されるものではない。
上記実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 交通管制システム(通信システム)
L0,L1,L2,L3,L4 PPPリンク
PR1,PR2,P1A,P1B,PT1 ポート
2 中央装置
3 ネットワーク網
4 ルータ(通信装置)
5,5A,5B,5C,5D,5E,7 無線機
6,61,62,63,64 交通用端末(端末)
8 有線通信路
41 第3有線通信部
42 第2処理部
43 第2記憶部
44 第4有線通信部
45 第5有線通信部
51 無線通信部
52 第1処理部
53 第1記憶部
54 第1有線通信部
55 第2有線通信部
71 通信種別情報
72 データ種別情報
73 生成元無線機ID
74 宛先無線機ID
75 送信元無線機ID
76 生成回数情報
1:通信システム
2:中央装置,3:広域ネットワーク,4,4A,4B,4C,4D,4F:ルータ(第1装置),5,5A,5B,5C,5D,5E:無線機,6,61,62,63,64,6B,6C,6E,6F:端末,8:通信線
51:無線通信部,52:処理部,53:記憶部,54:第1有線通信部,55:第2有線通信部
171:送信IDポート(識別情報),172:転送回数情報(転送許可情報),173:宛先ポートID(識別情報),174:PPPリンクID(識別情報),175:送信元MACアドレス(識別情報),宛先MACアドレス(識別情報),無線パケット宛先ID(識別情報)
L1:第1PPPリンク,L2:第2PPPリンク,L3:第3PPPリンク,第4PPPリンク
PR1,PR2,PR3,PR4:ルータのポート
P1,P2,P3,P4:無線機のポート
P1A,P2A,P3A,P4A:第1無線機5Aのポート(第1ポート)
P1B,P2B:第2無線機5Bのポート(第2ポート)
P1C:第3無線機5Cのポート(第2ポート)
P1D:第4無線機5Dのポート(第2ポート)
P1E:第5無線機5Eのポート(第2ポート)
PT1,PT2,PT3,PT4:端末のポート
Claims (9)
- 上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置と、
IPアドレスが付与され、前記第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置と、
無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送受信する複数の無線機と、
を備え、
前記上位レイヤパケットは、前記上位レイヤパケットの宛先情報として宛先IPアドレスを含み、
前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報として、宛先となる無線機の無線機識別情報を含み、
前記無線機識別情報は、IPアドレスとは異なる識別情報であり、複数の無線機それぞれに付与されており、
前記複数の無線機は、
前記第1通信装置から送信された前記通信フレームを受信する第1無線機と、
前記第2通信装置へ前記通信フレームを送信する第2無線機と、
受信した無線パケットを無線通信によって転送する第3無線機と、
を含み、
前記第1無線機は、前記第1通信装置から受信した前記通信フレームから抽出した上位レイヤパケットをカプセル化して前記無線パケットを生成し、生成した前記無線パケットを無線送信するよう構成され、
前記第1無線機は、前記宛先IPアドレスと前記無線機識別情報との対応関係を示すテーブルデータを保有し、
前記第1無線機は、前記第1通信装置から受信した前記通信フレームに含まれる前記宛先IPアドレスに基づいて前記テーブルデータを参照して、前記宛先IPアドレスに対応する前記無線機識別情報を取得し、取得した前記無線機識別情報が前記無線パケットの宛先情報として設定された前記無線パケットを生成するよう構成され、
前記第2無線機は、前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットの前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されているか否かを判定し、前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されている場合、受信した無線パケットから前記上位レイヤパケットを抽出するよう構成され、
前記第2無線機は、IPアドレスが付与されており、
前記第2無線機は、
受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2無線機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを前記第2無線機宛のパケットとして前記第2無線機自体が処理し、
受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットをカプセル化して前記通信フレームを生成し、生成した前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信するよう構成され、
前記第3無線機は、転送すべき無線パケットに含まれる前記無線機識別情報を示す設定情報を記憶した記憶部を備え、
前記第3無線機は、受信した前記無線パケットに含まれる前記無線機識別情報に基づいて前記設定情報を参照し、受信した無線パケットを転送するか否かを判定する転送判定処理を行うよう構成されている
通信システム。 - 前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報としての無線機識別情報および送信元情報としての無線機識別情報の両方を含み、
前記第2無線機は、前記無線パケットの宛先情報および送信元情報に基づいて、転送判定処理を行うよう構成されている
請求項1記載の通信システム。 - 前記第1通信装置は、前記第1無線機に接続された1以上の通信ポートを有し、
前記第1通信装置は、前記上位レイヤパケットの宛先情報としてのIPアドレスと前記通信フレームを送信する前記通信ポートとの対応情報を有し、前記上位レイヤパケットの宛先情報としてのIPアドレスに基づいて前記対応情報を参照することで、前記通信フレームを送信する前記通信ポートを選択するよう構成され、
前記対応情報は、前記上位レイヤパケットの宛先情報としての複数のIPアドレスが、前記複数のIPアドレスの数よりも少ない数の前記通信ポートに対応付けられている
請求項1又は2記載の通信システム。 - 上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置に接続され、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送信する無線機であって、
前記上位レイヤパケットは、前記上位レイヤパケットの宛先情報として宛先IPアドレスを含み、
前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報として、宛先となる無線機の無線機識別情報を含み、
前記第1通信装置から送信された前記通信フレームを受信すると、受信した前記通信フレームから抽出した上位レイヤパケットをカプセル化して前記無線パケットを生成し、生成した前記無線パケットを無線送信するよう構成され、
前記宛先IPアドレスと前記無線機識別情報との対応関係を示すテーブルデータを保有し、
前記第1通信装置から受信した前記通信フレームに含まれる前記宛先IPアドレスに基づいて前記テーブルデータを参照して、前記宛先IPアドレスに対応する前記無線機識別情報を取得し、取得した前記無線機識別情報が前記無線パケットの宛先情報として設定された前記無線パケットを生成する
無線機。 - 請求項4記載の無線機が送信した前記無線パケット又は他の無線機が転送した前記無線パケットを受信し、受信した無線パケットを無線通信によって転送するよう構成され、
転送すべき無線パケットに含まれる前記無線機識別情報を示す設定情報を記憶した記憶部を備え、
受信した前記無線パケットに含まれる前記無線機識別情報に基づいて前記設定情報を参照し、受信した無線パケットを転送するか否かを判定する転送判定処理を行うよう構成されている
無線機。 - 上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置に接続され、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを受信する無線機であって、
請求項4記載の無線機が送信した前記無線パケット又は請求項5記載の無線機が転送した前記無線パケットを受信すると、
前記無線パケットの前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されているか否かを判定し、前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されている場合、受信した無線パケットから前記上位レイヤパケットを抽出するよう構成され、
受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、自機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを自機宛のパケットとして自機にて処理し、
受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットをカプセル化して前記通信フレームを生成し、生成した前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信するよう構成されている
無線機。 - 通信システムにおける伝送方法であって、
前記通信システムは、
上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置と、
IPアドレスが付与され、前記第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置と、
無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送受信する複数の無線機と、
を備え、
前記上位レイヤパケットは、前記上位レイヤパケットの宛先情報として宛先IPアドレスを含み、
前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報として、宛先となる無線機の無線機識別情報を含み、
前記無線機識別情報は、IPアドレスとは異なる識別情報であり、複数の無線機それぞれに付与されており、
前記複数の無線機は、
前記第1通信装置から送信された前記通信フレームを受信する第1無線機と、
前記第2通信装置へ前記通信フレームを送信する第2無線機と、
受信した無線パケットを無線通信によって転送する第3無線機と、
を含み、
前記第1無線機は、前記宛先IPアドレスと前記無線機識別情報との対応関係を示すテーブルデータを保有し、
前記第2無線機は、IPアドレスが付与されており、
前記第3無線機は、転送すべき無線パケットに含まれる前記無線機識別情報を示す設定情報を記憶した記憶部を備え、
前記伝送方法は、
前記第1無線機が、前記第1通信装置から受信した前記通信フレームに含まれる前記宛先IPアドレスに基づいて前記テーブルデータを参照して、前記宛先IPアドレスに対応する前記無線機識別情報を取得し、取得した前記無線機識別情報が前記無線パケットの宛先情報として設定され、かつ、前記通信フレームから抽出した上位レイヤパケットを含む前記無線パケットを生成し、生成した前記無線パケットを無線送信し、
前記第3無線機が、受信した前記無線パケットに含まれる前記無線機識別情報に基づいて前記設定情報を参照し、受信した無線パケットを転送するか否かを判定する転送判定処理を行い、転送判定処理結果に基づいて、受信した前記無線パケットを転送し、
前記第2無線機が、前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットの前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されているか否かを判定し、前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されている場合、受信した無線パケットから前記上位レイヤパケットを抽出し、受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2無線機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを前記第2無線機宛のパケットとして前記第2無線機自体が処理し、受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットをカプセル化して前記通信フレームを生成し、生成した前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信する
ことを含む伝送方法。 - 第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置と、
前記第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置と、
無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送受信する複数の無線機と、
を備え、
前記通信フレームは、宛先IPアドレスを含む上位レイヤパケットを含み、
前記無線パケットは、無線機間通信制御ヘッダ、および、前記上位レイヤパケットを含み、
前記無線機間通信制御ヘッダは、識別情報を含み、
前記識別情報は、受信した無線パケットに含まれる前記上位レイヤパケットが前記無線パケットを受信した無線機に関連するものであるか否かを、前記無線パケットを受信した無線機が判定するため判定処理に用いられる情報であり、
前記複数の無線機は、
前記第1通信装置から送信された通信フレームを受信する第1無線機と、
前記第2通信装置へ通信フレームを送信する第2無線機と、
受信した無線パケットを無線通信によって転送する第3無線機と、
を含み、
前記第1無線機は、前記通信装置から前記第1プロトコルの通信フレームを受信すると、無線機間通信制御ヘッダと、前記通信フレームに含まれる上位レイヤパケットと、を含む無線パケットを生成し、生成した前記無線パケットを無線送信し、
前記第2無線機は、前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットに含まれる無線機間通信制御ヘッダの識別情報を参照して前記判定処理を行い、前記判定処理の結果に基づいて、前記無線パケットに含まれる前記上位レイヤパケットを含む前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信するか否かを決定し、
前記第3無線機は、前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットに含まれる無線機間通信制御ヘッダの識別情報を参照して前記判定処理を行い、前記判定処理の結果に基づいて、受信した無線パケットを無線通信によって転送するか否かを決定する
通信システム。 - 前記第2無線機は、前記判定処理によって、受信した無線パケットに含まれる前記上位レイヤパケットが前記無線パケットを受信した無線機に関連するものであると判定した場合には、前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスを参照し、
当該宛先IPアドレスが、前記第2無線機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを前記第2無線機宛のパケットとして前記第2無線機自体が処理し、
当該宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを含む前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信する
請求項8記載の通信システム。
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