JP2015163687A - ポリプロピレン系多孔性フィルムおよび建築・土木用透湿防水シート - Google Patents
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Abstract
【課題】突刺強度などの機械特性および耐候性に優れ、さらに透湿性に優れるポリプロピレン系多孔性フィルムを提供すること。
【解決手段】透湿度が150g/m2・h以上であり、突刺強度が100N/mm以上であり、44MJ/m2の紫外線を照射した後の引張強度が紫外線照射前の引張強度の50%以上であるポリプロピレン系多孔性フィルムとする。
【選択図】なし
【解決手段】透湿度が150g/m2・h以上であり、突刺強度が100N/mm以上であり、44MJ/m2の紫外線を照射した後の引張強度が紫外線照射前の引張強度の50%以上であるポリプロピレン系多孔性フィルムとする。
【選択図】なし
Description
本発明は、透湿性、突刺強度などの機械特性、耐候性などに優れ、建築・土木材料などに適したポリプロピレン系多孔性フィルムおよびこれを用いた建築・土木用透湿防水シートに関する。
熱可塑性樹脂を用いた多孔性フィルムは、建築・土木用材料、農業用材料、医療用材料、包装用材料などの透湿防水シート用途において広く用いられている(たとえば、特許文献1〜3)。多孔性フィルムの製造方法としてはさまざまな提案がなされているが、透湿防水シート用途では、充填剤を多量に含有する樹脂組成物を押出機で溶融してフィルム状に成形し、その後一軸延伸または二軸延伸することにより、充填剤と樹脂との界面剥離によって孔を形成し、通気性を発現する方法が主に用いられており、この方法により多孔性フィルムを安価に製造することができる。一方、多孔性フィルム中に充填剤を多量に含むとフィルムが脆くなってしまい、突刺強度などの機械特性に劣るため、使用時に破れやすい、裂けやすいなどの問題が生じる場合や、製膜中に充填剤が脱落し、ロールなどを汚染してしまう場合があった。
また、透湿防水シートに用いられる多孔性フィルムは、主にポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂からなるが、これらの樹脂からなる多孔性フィルムを建築・土木用材料、農業用材料などの紫外線に晒される屋外環境で使用する場合には、十分に耐候性を付与する必要があった。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂からなる多孔性フィルムに耐候性を付与しようとしても、表面および内部に無数の孔が存在し表面積が大きいため、酸素との接触面積が大きく劣化しやすかったり、耐候剤がブリードアウトしやすかったりするため、通常の無孔フィルムと比較して耐候性の向上が困難であった。
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、突刺強度などの機械特性および耐候性に優れ、さらに透湿性に優れるポリプロピレン系多孔性フィルムを提供することにある。
上記した課題は、透湿度が150g/m2・h以上、突刺強度が100N/mm以上であり、44MJ/m2の紫外線を照射した後の引張強度が紫外線照射前の引張強度の50%以上であるポリプロピレン系多孔性フィルムによって達成可能である。
本発明のポリプロピレン系多孔性フィルムは、突刺強度などの機械特性および耐候性に優れ、さらに透湿性に優れるため、建築・土木用透湿防水シートとして好適に使用することができる。
本発明のポリプロピレン系多孔性フィルムはポリプロピレン樹脂から構成されるものであり、特にポリプロピレン樹脂を主成分とすることが好ましい。ポリプロピレン樹脂を主成分とすることにより、透湿防水シートとして使用する際に、優れた透湿性や防水性を得やすい。ここで、ポリプロピレン樹脂を主成分とするとは、ポリプロピレン系多孔性フィルム中のポリプロピレン樹脂の割合が50質量%以上であることを意味し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
ポリプロピレン系多孔性フィルム中に貫通孔を形成する方法としては、湿式法、乾式法どちらでも構わない。具体的には、湿式法とは、ポリオレフィン樹脂をマトリックス樹脂とし、シート化後に抽出する被抽出物を添加、混合し、被抽出物の良溶媒を用いて添加剤のみを抽出することで、マトリックス樹脂中に空隙を生成せしめる方法であり、種々の提案がなされている。一方、乾式法としては、たとえば、溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、シート化した延伸前のフィルム中のラメラ構造を制御し、これを一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成する方法(所謂、ラメラ延伸法)が提案されている。また、乾式法として、無機粒子またはマトリックス樹脂であるポリプロピレンなどに非相溶な樹脂を充填剤として多量添加し、シートを形成して延伸することにより充填剤とポリプロピレン樹脂界面で開裂を発生させ、空隙を形成する方法も提案されている。さらには、ポリプロピレンの結晶多形であるα型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してフィルム中に空隙を形成させる、所謂β晶法と呼ばれる方法の提案も数多くなされている。
前述の通り、充填剤を多量添加して多孔性フィルムを形成する方法では、多孔性フィルム中に多量の充填剤が存在するため、使用時に破れやすい、裂けやすいなどの問題が生じる場合や製膜中に充填剤が脱落してロールなどを汚染してしまう場合があるため、本発明のポリプロピレン系多孔性フィルム(以下、本発明の多孔性フィルムまたは単に多孔性フィルムと表記することがある)の製造方法としてはβ晶法を適用することが好ましい。β晶法を適用することで、突刺強度などの機械特性、耐候性、透湿性に優れた多孔性フィルムを安価に製造することができる。
β晶法を用いてフィルムに貫通孔を形成せしめるためには、多孔性フィルムのβ晶形成能が40%以上であることが好ましく、60%がより好ましく、70%以上が特に好ましい。β晶形成能が40%未満の場合はβ晶量が少ないためα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、その結果、透湿性の低いフィルムしか得られない場合がある。β晶形成能を40%以上にする方法としては、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用する方法やβ晶核剤と呼ばれるポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を用いたりすることが好ましい。
β晶核剤としては、たとえば、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、コハク酸マグネシウムなどのカルボン酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族スルホン酸化合物、イミドカルボン酸誘導体、フタロシアンニン系顔料、キナクリドン系顔料を好ましく挙げることができるが、特に特開平5−310665号公報に開示されているアミド系化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の添加量としては、ポリプロピレン樹脂全体を基準とした場合に、0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であればより好ましい。0.05質量%未満では、β晶の形成が不十分となり、多孔性フィルムの透気性が低下する場合がある。0.5質量%を超えると、粗大ボイドを形成し、突刺強度などの機械特性が低下してしまう場合がある。
本発明の多孔性フィルムは、メルトフローレート(以下、MFRと表記する、測定条件は230℃、2.16kg)が2〜30g/10分の範囲のポリプロピレン樹脂を主な構成成分とすることが好ましく、さらにはアイソタクチックポリプロピレン樹脂であることが好ましい。ポリプロピレン樹脂のMFRが2g/10分未満であると、樹脂の溶融粘度が高くなり高精度濾過が困難となり、フィルムの品位が低下する場合がある。MFRが30g/10分を超えると、分子量が低くなりすぎるため、延伸時のフィルム破れが起こりやすくなり、生産性が低下する場合がある。より好ましくは、MFRは3〜20g/10分である。
また、アイソタクチックポリプロピレン樹脂を用いる場合、アイソタクチックインデックスは90〜99.9%であることが好ましく、95〜99%がより好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満であると、樹脂の結晶性が低く、高い透気性を達成するのが困難な場合がある。
また、上記したポリプロピレン樹脂に加えて高分子量ポリプロピレンを含有させることが、突刺強度などの機械特性、耐候性、防水性、製膜性などの向上の点で好ましい場合がある。高分子量ポリプロピレンの含有量は、ポリプロピレン樹脂全体を基準とした場合に、0.5〜30質量%の範囲が好ましい。高分子量ポリプロピレンとはMFRが0.1〜1.5g/10分のポリプロピレンであり、たとえば、住友化学社製ポリプロピレン樹脂D101や、プライムポリマー社製ポリプロピレン樹脂E111G、B241、E105GMなどを用いることができる。
本発明でポリプロピレン樹脂を用いる場合、ホモポリプロピレン樹脂が好ましく用いられるが、製膜工程での安定性や造膜性、物性の均一性の観点から、ポリプロピレンにエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分を共重合した樹脂を用いることもできる。なお、ポリプロピレンへのコモノマー(共重合成分)の導入形態としては、ランダム共重合でもブロック共重合でもいずれでも構わない。また、コモノマー(共重合成分)の割合は、共重合ポリマー全体を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。
また、本発明の多孔性フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、上記ポリプロピレン樹脂以外のポリオレフィン系樹脂やポリオレフィン以外のビニル系ポリマー樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリイミド系樹脂などを添加してもよい。これらの樹脂を添加する場合、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、さらに好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。
本発明の多孔性フィルムを形成するポリプロピレン樹脂には、紫外線吸収剤、光安定剤などの耐候剤を添加することが好ましい。紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール・コポリマー、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタールイミディルメチル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−t−ブチル−6−2H−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−t−オクチル−6−2H−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシッド、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどを挙げることができるが、これら以外の紫外線吸収剤を用いてもよい。
紫外線吸収剤の添加量としては、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がより好ましく、0.1〜1質量部が特に好ましい。紫外線吸収剤の添加量が少なすぎると耐候性が不十分となり、多すぎると多孔性フィルム表面にブリードアウトしたり、色相が低下するなどの問題が生じる。なお、2種類以上の紫外線吸収剤を用いる場合は、紫外線吸収剤の総添加量が上記好ましい範囲となることが好ましい。
また、光安定剤としては、たとえば、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられるが、これら以外のヒンダードアミン系光安定剤を用いてもよい。また、ピペジリン環が第3級アミンであるヒンダードアミン系光安定剤が特に好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は500〜4,000が好ましく、800〜4,000がさらに好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤の分子量が小さすぎると、多孔性フィルム表面にブリードアウトしてしまったり、加工時の加熱により揮散してしまう場合がある。分子量が高すぎる場合は、多孔性フィルム表面への移動が遅く、多孔性フィルム表面のヒンダードアミン系光安定剤が使用される速度に追いつかずに、耐候性を発現できない場合がある。
光安定剤の添加量としては、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がより好ましく、0.1〜2質量部が特に好ましい。光安定剤の添加量が少なすぎると耐候性が不十分となり、多すぎると多孔性フィルム表面にブリードアウトするなどの問題が生じる。なお、2種類以上の光安定剤を用いる場合は、光安定剤の総添加量が上記好ましい範囲となることが好ましい。
また、本発明の多孔性フィルムを形成するポリプロピレン樹脂には、炭素数4〜30の飽和または不飽和脂肪酸の金属塩(以下、金属石鹸と表記することがある)やアミド系化合物を含有することが好ましい。金属石鹸の具体例としては、ブチル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、フプタデシル酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、9,10−ジヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、エルカ酸があげられる。金属塩を構成する金属種としては、Zn、Ti、Mn、Ni、Si、Al、Pb、Sn、Cu、Fe、Mg、Li、Na、Baなどが挙げられる。上記の金属種の中でもポリプロピレンへの相溶性の観点から金属種はMg、ZnおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、Znがさらに好ましい。
アミド系化合物としては、たとえば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アルキジン酸アミド、ベヘン酸アミド、リグノセリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ネルボン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、アラキドン酸アミド、エチレンビスオクタデカンアミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミドなどが好ましい。なお、ここでいうアミド系化合物には、前記したβ晶核剤となるアミド系化合物は含まれない。
上記した金属石鹸やアミド系化合物を紫外線吸収剤や光安定剤と併用した場合、本発明の多孔性フィルムの耐熱性や耐候性を向上させることができる。さらに、β晶法を用いて本発明の多孔性フィルムを製造する場合、金属石鹸やアミド系化合物を含有することで、原料製造時や多孔性フィルム製造時の熱履歴によるポリプロピレン樹脂の結晶化温度の低下を抑制することができ、透湿性や突刺強度などの機械特性の低下を抑制したり、生産性の向上に寄与することができる。金属石鹸やアミド系化合物の添加量としては、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、0.01〜1質量部が好ましく、0.02〜0.5質量部が好ましく、0.03〜0.3質量部が特に好ましい。0.01質量部より少ない場合には十分に効果を発現できない場合があり、また0.3質量部より多い場合には製膜中や経時でブリードアウトしてしまうなどの問題が生じる場合がある。金属石鹸およびアミド系化合物は、どちらか一方のみを用いてもよいし、併用してもよい。また、数種類の金属石鹸やアミド系化合物を用いることもできる。なお、金属石鹸とアミド系化合物を併用する場合や、数種類の金属石鹸やアミド系化合物を用いる場合は、総添加量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の多孔性フィルムは、上述した紫外線吸収剤、光安定剤を添加する際、製膜中や経時でのブリードアウトを抑制する観点から積層構成とし、表層には紫外線吸収剤や光安定剤が添加されていない被覆層を設けることが好ましい。被覆層は、少なくとも片面に積層されていることが好ましく、フィルムの両面に積層されていることがより好ましい。積層の方法としては、フィードブロック方式や、マルチマニホールド方式などいずれでも構わない。被覆層の厚み比率は全層を1としたときに0.03〜0.14であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.06である。被覆層の厚み比率が0.03未満であると、被覆層が薄いため内層に添加した紫外線吸収剤や光安定剤などのブリードアウトを十分に抑制出来ない場合がある。また、被覆層の厚み比率が0.14を超えると被覆層が紫外線により劣化し十分な耐候性が得られない場合がある。なお、フィルムの両面に被複層を設ける場合は、少なくとも片方の層の厚み比率が上述した範囲内であることが好ましい。また、フィルムの両面に積層されていることがより好ましく、多孔性フィルムの両面に被覆層を設ける場合は、少なくとも片方の層の厚み比率が上述した範囲内であることが好ましく、両面の被覆層のいずれもがそれぞれ上記した厚み比率の範囲内であることがより好ましい。本発明の被覆層は内層との共押出性、共延伸性の観点からポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましく、さらにポリマーとしてポリプロピレン系樹脂のみからなることが好ましい。被覆層を構成するポリプロピレン系樹脂としては内層に含まれるのと同種のポリプロピレン樹脂や共重合体を好ましく用いることができる。紫外線吸収剤や、光安定剤を含まないこと以外、被覆層は内層と同じ組成であることが特に好ましい。
本発明の多孔性フィルムを形成するポリプロピレン樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記以外の耐候剤や酸化防止剤、熱安定剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましいが、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して酸化防止剤添加量は2質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である。
また、上記添加剤のうち充填剤とは、無機充填剤と有機充填剤に大別される。無機充填剤とは、たとえば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、シリカなどの酸化物、硫酸バリウムなどの硫酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、タルク、クレイ、マイカなどのケイ酸塩などの無機粒子などを挙げることができるが、これら以外の無機充填剤を用いることもできる。有機充填剤とは、たとえば、ポリメトキシシラン系化合物の架橋粒子、ポリスチレンもしくは架橋ポリスチレン粒子、スチレン・アクリル系及びアクリル系架橋粒子、スチレン・メタクリル系およびメタクリル系架橋粒子などのビニル系粒子、ポリウレタン系化合物の架橋粒子、ポリエステル系化合物の架橋粒子、フッ化物系化合物の粒子、フェノール系化合物の粒子などの有機粒子などが挙げられるが、これら以外の有機充填剤を用いることもできる。
本発明の多孔性フィルムにおいて、無機充填剤や有機充填剤を多量に含むと、前述の通り、突刺強度などの機械特性に劣り、フィルムが脆くなってしまい、使用時に破れやすい、裂けやすいなどの問題が生じる場合や製膜中に粒子が脱落し、ロールなどを汚染してしまう場合がある。そのため、有機充填剤および無機充填剤の含有量が、ポリプロピレン樹脂100質量部に対してそれぞれ5質量部以下であることが好ましい。なお、有機充填剤や無機充填剤は、それぞれ含んでいても含んでいなくてもよく、必要に応じて適宜含有せしめればよい。含有せしめる場合には、ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、(含有せしめた充填剤について)5質量部以下であることが好ましい。なお、たとえば有機充填剤として複数種の有機充填剤を用いる場合には、それらの合計量について5質量部以下であればよい。無機充填剤についても同様である。
本発明の多孔性フィルムは、透湿度が150g/m2・h以上である。透湿度が150g/m2・h未満では、本発明の多孔性フィルムを建築・土木用透湿防水シートとして用いた場合に十分な透湿性が得られずに、結露などの問題が生じる場合がある。突刺強度などの機械特性とのバランスの観点から、透湿度は200〜2,000g/m2・hが好ましく、300〜2,000g/m2・hがより好ましく、350〜2,000g/m2・hが更に好ましい。透湿度は、原料中のβ晶核剤の添加量、結晶化温度を調整する方法、後述する延伸条件を調整する方法などにより制御することができるが、たとえば、原料中のβ晶核剤の添加量をポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.05〜0.5質量部の範囲内でより増加させたり、結晶化温度の高いポリプロピレン樹脂を用いることで透湿度を増大せしめることができる。
本発明の多孔性フィルムは、突刺強度が100N/mm以上である。突刺強度が100N/mm未満では、本発明の多孔性フィルムを建築・土木用透湿防水シートとして用いた場合、加工の際に破れてしまい、透湿性や防水性が損なわれてしまう場合がある。透湿性とのバランスの観点から、突刺強度の上限は現実的には1,000N/mmとなる。加工性および現場での作業性の観点から、150〜1,000N/mmが好ましく、200〜1,000N/mmがより好ましい。突刺強度は、後述する通り、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、横延伸速度と倍率、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を調整することで制御することができる。
多孔性フィルムの耐水圧は2,000mmH2O以上であることが好ましい。これより低いと透湿防水シートとして防水性能に劣り、水にさらされる環境下での使用に耐えないことがある。
本発明の多孔性フィルムは44MJ/m2の紫外線を照射した後の引張強度が紫外線照射前の引張強度の50%以上である。ここで、本発明における上記耐候性の評価は、メタルハライドランプで44MJ/m2の紫外線を照射する促進試験を行い、試験前後の引張強度によって評価したものである。本発明の多孔性フィルムにおいて、44MJ/m2の紫外線を照射した後の引張強度は、好ましくは紫外線照射前の引張強度の55%以上である。
本発明の多孔性フィルムは44MJ/m2の紫外線を照射した後の耐水圧が1,000mmH2O以上であることが好ましい。上記紫外線を照射した後の耐水圧が1,000mmH2O未満であると透湿防水シートとして防水性能に劣り、水にさらされる環境下での使用に耐えない場合がある。耐水圧の上限は特に制限されるものではないが、10,000mmH2O以下で十分な機能を発現させることができる。
本発明の多孔性フィルムは、フィルム厚みが5μm以上であることが好ましい。厚みが5μm未満では加工時または使用時にフィルムが破断する場合がある。フィルム厚みは10μm以上であればより好ましく、10〜50μmであればなお好ましい。
以下に本発明の多孔性フィルムの製造方法を具体的な一例をもとに説明する。なお、本発明の多孔性フィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
ポリプロピレン樹脂として、MFR7.5g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂94.85質量%、MFR0.5g/10分の市販の高分子量ポリプロピレン樹脂3質量%、β晶核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.3質量%、酸化防止剤0.3質量%、ステアリン酸Ca0.05質量%、紫外線吸収剤0.5質量%、光安定剤1.0質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給して溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、0〜40℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(a)を準備する。この際、溶融温度は280〜310℃とすることが好ましい。
次に、ポリプロピレン原料(a)99.9質量%とアミド系化合物0.1質量%をドライブレンドし、単軸押出機に供給し、200〜230℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸の積層キャストシートを得る。キャストドラムは、表面温度が105〜130℃であることが、キャストシートのβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。この際、特にシートの端部の成形が、後の延伸性に影響するので、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、シート全体のドラム上への密着状態から、必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。
次に、得られたキャストシートを二軸配向させ、フィルム中に空孔を形成する。二軸配向させる方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、透湿性、突刺強度、耐候性の観点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に、長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず、キャストシートを長手方向に延伸する温度に制御するとよい。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としては、90〜140℃であることが好ましい。90℃未満では、フィルムが破断したり、突刺強度が低下したり、耐候性が低下する場合がある。140℃を超えると、透湿性が低下する場合がある。長手方向の延伸温度は、より好ましくは110〜135℃、特に好ましくは125〜130℃である。延伸倍率としては、3〜7倍であることが好ましい。3倍未満では透湿性が低下する場合がある。延伸倍率を高くするほど透湿性は良化するが、7倍を超えて延伸すると、フィルムが破断したり、突刺強度が低下したり、耐候性が低下する場合がある。透湿性、突刺強度、耐候性の両立の観点から、延伸倍率はより好ましくは4.5〜6倍である。
次に、テンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。横延伸温度は、好ましくは130〜155℃である。130℃未満ではフィルムが破断したり、突刺強度が低下したり、耐候性が低下する場合があり、155℃を超えると透湿性が低下する場合がある。透湿性、突刺強度、耐候性の両立の観点から、より好ましくは140〜155℃である。幅方向の延伸倍率は4〜15倍であることが好ましい。4倍未満であると、透湿性が低下する場合がある。耐候性、突刺強度の観点から、延伸倍率は高倍が好ましいが、15倍を超えると、フィルムが破断し生産性が低下したり、透湿性が低下する場合がある。透湿性、突刺強度、耐候性の両立の観点から、延伸倍率はより好ましくは6〜12倍、更に好ましくは8〜11倍である。なお、このときの横延伸速度としては、500〜10,000%/分で行うことが好ましく、1,500〜7,000%/分であればより好ましい。面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)としては、好ましくは30〜90倍である。
横延伸に続いて、テンター内で熱処理工程を行う。ここで熱処理工程は、横延伸後の幅のまま熱処理を行う熱固定ゾーン(以後、HS1ゾーンと記す)、テンターの幅を狭めてフィルムを弛緩させながら熱処理を行うリラックスゾーン(以後、Rxゾーンと記す)、リラックス後の幅のまま熱処理を行う熱固定ゾーン(以後、HS2ゾーンと記す)の3ゾーンに分かれていることが、透湿性、突刺強度、耐候性の制御の観点から好ましい。
HS1ゾーンの温度は、140〜170℃であることが好ましい。140℃未満であると、突刺強度が低下したり、耐候性が低下する場合がある。170℃を超えると、多孔性フィルム表面が溶融し透湿性が低下したり、さらに多孔性フィルムが幅方向に収縮し、HS1ゾーン内で破断してしまい、生産性が低下する場合がある。透湿性、突刺強度、耐候性の両立の観点から150〜168℃であればより好ましい。
HS1ゾーンでの熱処理時間は、突刺強度、耐候性と生産性の両立の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましく、3秒以上8秒以下であるとより好ましい。
本発明におけるRxゾーンでの弛緩率は10〜35%であることが好ましい。弛緩率が10%未満であると突刺強度が低下したり、耐候性が低下したり、幅方向の幅方向の熱収縮率が大きくなる場合がある。35%を超えると透湿性が低下したり物性ムラが大きくなる場合がある。透湿性、突刺強度、耐候性の両立の観点から、10〜20%であるとより好ましい。
Rxゾーンの温度は、155〜170℃であることが好ましい。Rxゾーンの温度が155℃未満であると、弛緩の為の収縮応力が低くなり、上述した高い弛緩率を達成できなかったり、突刺強度が低下したり、耐候性が低下する場合がある。170℃を超えると、高温により孔周辺のポリマーが溶けて透湿性が低下する場合がある。透湿性、突刺強度、耐候性の観点から、160〜168℃であるとより好ましい。
Rxゾーンでの弛緩速度は、100〜1,000%/分であることが好ましい。弛緩速度が100%/分未満であると、製膜速度を遅くしたり、テンター長さを長くする必要があり、生産性に劣る場合がある。1,000%/分を超えると、テンターのレール幅が縮む速度よりフィルムが収縮する速度が遅くなり、テンター内でフィルムがばたついて破れたり、幅方向のムラが大きくなったり平面性低下を生じる場合がある。弛緩速度は、150〜500%/分であることがより好ましい。
HS2ゾーンの温度は、155〜170℃であることが好ましい。Rxゾーンの温度が155℃未満であると、弛緩の為の収縮応力が低くなり、上述した高い弛緩率を達成できなかったり、突刺強度が低下したり、耐候性が低下する場合がある。170℃を超えると、高温により孔周辺のポリマーが溶けて透湿性が低下する場合がある。透湿性、突刺強度、耐候性の観点から、160〜168℃であるとより好ましい。熱固定工程後のフィルムは、テンターのクリップで把持した耳部をスリットして除去し、ワインダーでコアに巻き取って製品とする。
本発明の多孔性フィルムは、生産性に優れ、透湿性、突刺強度などの機械特性、耐候性に優れることから建築・土木用透湿防水シートや不織布との積層体として好適に用いることができる。さらに、本発明の多孔性フィルムと不織布との積層体は、生産性、透湿性、突刺強度などの機械特性、耐候性に優れていることから、建築・土木用透湿防水積層シートとして好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)メルトフローレート(MFR)
ポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K 7210(1995)のB法、条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定した。
ポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K 7210(1995)のB法、条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定した。
(2)厚み
接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて多孔性フィルムの厚みを測定した。測定は場所を替えて10回行い、その平均値を多孔性フィルムの厚みとした。
接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて多孔性フィルムの厚みを測定した。測定は場所を替えて10回行い、その平均値を多孔性フィルムの厚みとした。
(3)結晶化温度、β晶形成能
多孔性フィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から220℃まで10℃/分で昇温し、10分間保持した後、40℃まで10℃/分で冷却する。この冷却の際に得られたピーク温度を多孔性フィルムの結晶化温度とした。さらに、5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピークについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行った。
多孔性フィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から220℃まで10℃/分で昇温し、10分間保持した後、40℃まで10℃/分で冷却する。この冷却の際に得られたピーク温度を多孔性フィルムの結晶化温度とした。さらに、5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピークについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行った。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
(4)透湿度
JIS L 1099(2012)のA−1法(塩化カルシウム法)に準拠して、多孔性フィルムの透湿度を測定し、単位:g/m2・hで評価した。
(4)透湿度
JIS L 1099(2012)のA−1法(塩化カルシウム法)に準拠して、多孔性フィルムの透湿度を測定し、単位:g/m2・hで評価した。
(5)耐水圧
JIS L 1092(2009)の耐水度試験B法(高水圧法)に準拠して、多孔性フィルムの耐水圧を評価した。
JIS L 1092(2009)の耐水度試験B法(高水圧法)に準拠して、多孔性フィルムの耐水圧を評価した。
(6)突刺強度
万能試験機(島津製作所製オートグラフAG−IS)を用いて、針進入速度を5mm/分とし、それ以外はJIS Z 1707(1997)に準じて23℃で多孔性フィルムの突刺強度を測定した。サンプルが破膜したときにフィルムにかかっていた荷重を読み取り、試験前の試料の厚みで除した値を突刺強度(N/mm)とした。測定は各サンプル5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
万能試験機(島津製作所製オートグラフAG−IS)を用いて、針進入速度を5mm/分とし、それ以外はJIS Z 1707(1997)に準じて23℃で多孔性フィルムの突刺強度を測定した。サンプルが破膜したときにフィルムにかかっていた荷重を読み取り、試験前の試料の厚みで除した値を突刺強度(N/mm)とした。測定は各サンプル5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
(7)耐候性評価(強度)
耐候試験機(岩崎電気製アイスーパーUVテスターSUV−W161)を用いて、積算照射量が44MJ/m2となるように、放射照度1KW/m2の紫外線を12.2時間多孔性フィルム表面に照射し、試験前後の多孔性フィルムの引張強度を評価した。引張強度の測定は、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用い、JIS K 7127(1999)試験片タイプ2(幅10mm)に準じて引張試験を行い、試験片が破断した際の応力から求めた。なお、初期チャック間距離は50mmとし、引張速度は300mm/分とした。耐候性試験前の多孔性フィルムのMD方向の引張強度をIMD0、TD方向の引張強度をITD0、耐候性試験後の多孔性フィルムのMD方向の引張強度をIMD1、TD方向の引張強度をITD1とし、下記式により、紫外線照射前の引張強度に対する紫外線照射後の引張強度の割合R(%)を求めた。
耐候試験機(岩崎電気製アイスーパーUVテスターSUV−W161)を用いて、積算照射量が44MJ/m2となるように、放射照度1KW/m2の紫外線を12.2時間多孔性フィルム表面に照射し、試験前後の多孔性フィルムの引張強度を評価した。引張強度の測定は、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用い、JIS K 7127(1999)試験片タイプ2(幅10mm)に準じて引張試験を行い、試験片が破断した際の応力から求めた。なお、初期チャック間距離は50mmとし、引張速度は300mm/分とした。耐候性試験前の多孔性フィルムのMD方向の引張強度をIMD0、TD方向の引張強度をITD0、耐候性試験後の多孔性フィルムのMD方向の引張強度をIMD1、TD方向の引張強度をITD1とし、下記式により、紫外線照射前の引張強度に対する紫外線照射後の引張強度の割合R(%)を求めた。
R(%)=((IMD1/IMD0+ITD1/ITD0)/2)×100
(8)耐候性評価(耐水圧)
耐候試験機(岩崎電気製アイスーパーUVテスターSUV−W161)を用いて、積算照射量が44MJ/m2となるように、放射照度1KW/m2の紫外線を12.2時間多孔性フィルム表面に照射し、試験後の多孔性フィルムの耐水圧をJIS L 1092(2009)の耐水度試験B法(高水圧法)に準拠して測定し評価した。
(8)耐候性評価(耐水圧)
耐候試験機(岩崎電気製アイスーパーUVテスターSUV−W161)を用いて、積算照射量が44MJ/m2となるように、放射照度1KW/m2の紫外線を12.2時間多孔性フィルム表面に照射し、試験後の多孔性フィルムの耐水圧をJIS L 1092(2009)の耐水度試験B法(高水圧法)に準拠して測定し評価した。
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を94.95質量%、MFR0.5g/10minの住友化学(株)製ホモポリプロピレンD101を3質量%、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量%、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつ、ステアリン酸カルシウムを0.05質量%、紫外線吸収剤としてアデカ製LA−31を0.5質量%、光安定剤としてアデカ製LA−63Pを1.0質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、10℃の水槽にて冷却固化し、長さ3mmのチップ状にカットしてポリプロピレン組成物(あ)を得た。
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を94.95質量%、MFR0.5g/10minの住友化学(株)製ホモポリプロピレンD101を3質量%、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量%、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつ、ステアリン酸カルシウムを0.05質量%、紫外線吸収剤としてアデカ製LA−31を0.5質量%、光安定剤としてアデカ製LA−63Pを1.0質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、10℃の水槽にて冷却固化し、長さ3mmのチップ状にカットしてポリプロピレン組成物(あ)を得た。
得られたポリプロピレン組成物(あ)を99.9質量%、アミド系化合物としてIRGANOX1098を0.1質量%をドライブレンドした後、単軸の溶融押出機に供給し、230℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。ついで、127℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5.5倍延伸を行った。次に端部をクリップで把持して150℃で幅方向に8.0倍延伸した。
続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離に保ったまま150℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に162℃で弛緩率10%でリラックスを行い(Rxゾーン)、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま162℃で熱処理を行った(HS2ゾーン)。
その後、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、厚み20μmの多孔性フィルムを得た。
(実施例2)
IRGANOX1098の代わりに金属石鹸としてステアリン酸亜鉛0.05質量%を用いて、ポリプロピレン組成物(あ)の配合比率を99.95質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性フィルムを得た。
IRGANOX1098の代わりに金属石鹸としてステアリン酸亜鉛0.05質量%を用いて、ポリプロピレン組成物(あ)の配合比率を99.95質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性フィルムを得た。
(実施例3)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を85.95質量%、紫外線吸収剤としてアデカ製LA−31を1.5質量%、光安定剤としてアデカ製LA−63Pを3.0質量%、LA502XPを6.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み20μmの多孔性フィルムを見た。製膜工程にて、紫外線吸収剤と光安定剤のブリードアウトによるロールの白濁した汚れを目視にて確認した。
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を85.95質量%、紫外線吸収剤としてアデカ製LA−31を1.5質量%、光安定剤としてアデカ製LA−63Pを3.0質量%、LA502XPを6.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み20μmの多孔性フィルムを見た。製膜工程にて、紫外線吸収剤と光安定剤のブリードアウトによるロールの白濁した汚れを目視にて確認した。
(実施例4)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を96.45質量%、MFR0.5g/10minの住友化学(株)製ホモポリプロピレンD101を3質量%、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量%、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつ、ステアリン酸カルシウムを0.05質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、10℃の水槽にて冷却固化し、ポリプロピレン組成物(い)を得た。
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を96.45質量%、MFR0.5g/10minの住友化学(株)製ホモポリプロピレンD101を3質量%、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量%、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつ、ステアリン酸カルシウムを0.05質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、10℃の水槽にて冷却固化し、ポリプロピレン組成物(い)を得た。
次に、ポリプロピレン組成物(い)89.4質量%と酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつ、紫外線吸収剤としてアデカ製LA−31を1.5質量%、光安定剤としてアデカ製LA−63Pを3.0質量%、LA502XPを6.0質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、230℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、10℃の水槽にて冷却固化しチップ状にカットしてポリプロピレン組成物(う)を得た。
被覆層用の原料として上記ポリプロピレン組成物(い)を99.9質量%、アミド系化合物としてIRGANOX1098を0.1質量%をドライブレンドした後、A層用の単軸の溶融押出機に供給し、基材層(内層)用の原料として上記ポリプロピレン組成物(い)を89.9質量%、ポリプロピレン組成物(う)を10質量%、アミド系化合物としてIRGANOX1098を0.1質量%をドライブレンドした後、B層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて、両方のA層について1層分の厚み比率が0.056となるように3層積層し、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。ついで、127℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5.0倍延伸を行った。次に端部をクリップで把持して150℃で幅方向に6.0倍延伸した。
続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離に保ったまま150℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に162℃で弛緩率10%でリラックスを行い(Rxゾーン)、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま162℃で熱処理を行った(HS2ゾーン)。
その後、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、厚み20μmの多孔性フィルムを得た。製膜工程での、紫外線吸収剤と光安定剤のブリードアウトによるロール汚れは見られなかった。
(実施例5)
両方のA層(被覆層)の厚み比率を0.02としたこと以外は実施例4と同様にして多孔性フィルムを得た。製膜工程にて、紫外線吸収剤と光安定剤のブリードアウトによるロールが曇り汚れているのを目視にて確認した。
両方のA層(被覆層)の厚み比率を0.02としたこと以外は実施例4と同様にして多孔性フィルムを得た。製膜工程にて、紫外線吸収剤と光安定剤のブリードアウトによるロールが曇り汚れているのを目視にて確認した。
(実施例6)
アミド系化合物としてIRGANOX1098を0.05質量%としたこと以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを得た。
アミド系化合物としてIRGANOX1098を0.05質量%としたこと以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において、LA−31およびLA−63Pを使用せず、FLX80E4の割合を96.45質量%とした以外は、実施例1と同様にして厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
実施例1において、LA−31およびLA−63Pを使用せず、FLX80E4の割合を96.45質量%とした以外は、実施例1と同様にして厚み21μmの多孔性フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1において、IRGANOX1098を使用せず、ポリプロピレン組成物(あ)の配合比率を100質量%とした以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性フィルムを得た。
実施例1において、IRGANOX1098を使用せず、ポリプロピレン組成物(あ)の配合比率を100質量%とした以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性フィルムを得た。
(比較例3)
高密度ポリエチレン粉末(“ハイゼックス”340M、三井化学(株)製、)40質量%と、ポリエチレンワックス(“ハイワックス”110P、三井化学(株)製)30質量%と、炭酸カルシウム(商品名:“スターピゴット”15A、白石カルシウム(株)製、平均粒子径0.15μm)30質量%を混合した組成物を二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、Tダイ口金内を通してシート状に押出成形し、表面温度30℃のキャストドラム上に密着させ、非ドラム面側より20℃の冷風を吹き付けて未延伸フィルムを作製した。次に、該未延伸フィルムを125℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、長手方向に3倍延伸し20℃のロールで冷却した。続いて、長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃に加熱した雰囲気中で幅方向に5倍延伸して、厚さ20μmの多孔性ポリエチレンフィルムを得た。
高密度ポリエチレン粉末(“ハイゼックス”340M、三井化学(株)製、)40質量%と、ポリエチレンワックス(“ハイワックス”110P、三井化学(株)製)30質量%と、炭酸カルシウム(商品名:“スターピゴット”15A、白石カルシウム(株)製、平均粒子径0.15μm)30質量%を混合した組成物を二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、Tダイ口金内を通してシート状に押出成形し、表面温度30℃のキャストドラム上に密着させ、非ドラム面側より20℃の冷風を吹き付けて未延伸フィルムを作製した。次に、該未延伸フィルムを125℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、長手方向に3倍延伸し20℃のロールで冷却した。続いて、長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃に加熱した雰囲気中で幅方向に5倍延伸して、厚さ20μmの多孔性ポリエチレンフィルムを得た。
(比較例4)
両方のA層(被覆層)の厚み比率を0.15としたこと以外は実施例4と同様にして多孔性フィルムを得た。製膜工程での、紫外線吸収剤と光安定剤のブリードアウトによるロール汚れは見られなかった。
両方のA層(被覆層)の厚み比率を0.15としたこと以外は実施例4と同様にして多孔性フィルムを得た。製膜工程での、紫外線吸収剤と光安定剤のブリードアウトによるロール汚れは見られなかった。
(比較例5)
ポリプロピレン組成物(う)の紫外線吸収剤としてアデカ製LA−31を0.1質量%、光安定剤としてアデカ製LA−63Pを0.5質量%、LA502XPを0.5質量%の比率で混合したこと以外は実施例4と同様にして多孔性フィルムを得た。製膜工程での、紫外線吸収剤と光安定剤のブリードアウトによるロール汚れは見られなかった。
ポリプロピレン組成物(う)の紫外線吸収剤としてアデカ製LA−31を0.1質量%、光安定剤としてアデカ製LA−63Pを0.5質量%、LA502XPを0.5質量%の比率で混合したこと以外は実施例4と同様にして多孔性フィルムを得た。製膜工程での、紫外線吸収剤と光安定剤のブリードアウトによるロール汚れは見られなかった。
本発明の要件を満足する実施例では、透湿度、突刺強度、耐候性のバランスに優れ、建築・土木用透湿防水シートとして好適に用いることができる。一方、比較例では透湿度、突刺強度、耐候性のバランス劣り、建築・土木用透湿防水シートとしては不十分であった。
本発明の多孔性フィルムは、透湿性、突刺強度などの機械特性、耐候性などに優れるため、建築・土木用透湿防水シートなどとして好適に使用することができる。
Claims (7)
- 透湿度が150g/m2・h以上であり、突刺強度が100N/mm以上であり、44MJ/m2の紫外線を照射した後の引張強度が紫外線照射前の引張強度の50%以上であるポリプロピレン系多孔性フィルム。
- 少なくとも片面に被覆層が積層されている、請求項1に記載のポリプロピレン系多孔性フィルム。
- 44MJ/m2の紫外線を照射した後の耐水圧が1,000mmH20以上である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系多孔性フィルム。
- 有機充填剤および無機充填剤の含有量が、ポリプロピレン樹脂100質量部に対してそれぞれ5質量部以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系多孔性フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系多孔性フィルムを用いてなる建築・土木用透湿防水シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系多孔性フィルムと不織布との積層体。
- 請求項6に記載の積層体を用いてなる建築・土木用透湿防水積層シート。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2015010124A JP2015163687A (ja) | 2014-01-28 | 2015-01-22 | ポリプロピレン系多孔性フィルムおよび建築・土木用透湿防水シート |
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JP2014013047 | 2014-01-28 | ||
JP2014013047 | 2014-01-28 | ||
JP2015010124A JP2015163687A (ja) | 2014-01-28 | 2015-01-22 | ポリプロピレン系多孔性フィルムおよび建築・土木用透湿防水シート |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3652246A4 (en) * | 2017-07-13 | 2020-11-25 | Enzpire Industry Co., Ltd. | STERILIZABLE MEDICAL PACKAGING WITH LIVE PORES |
-
2015
- 2015-01-22 JP JP2015010124A patent/JP2015163687A/ja active Pending
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