JP2015162187A - Rfidタグ、通信システム、及びrfidタグの使用方法 - Google Patents

Rfidタグ、通信システム、及びrfidタグの使用方法 Download PDF

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Ryoko Nakada
良子 中田
徳夫 栗栖
Tokuo Kurisu
徳夫 栗栖
勉 川瀬
Tsutomu Kawase
勉 川瀬
篤 久田見
Atsushi Kutami
篤 久田見
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Tadafumi Tatewaki
忠文 立脇
中村 康行
Yasuyuki Nakamura
康行 中村
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Abstract

【課題】簡易な構成により対象物の温度管理を行うことができるRFIDタグを提供すること。
【解決手段】 RFIDタグは、ICチップ511と、該ICチップ511の2つの電極512に個別に接続される2つの端子部材520と、を備え、2つの端子部材520は、パッケージ部材の樹脂フィルム113におけるスリットSLTの幅方向一側及び他側の部位に個別に接合され、2つの端子部材520それぞれは、樹脂フィルム113に接合される樹脂フィルム522及び該樹脂フィルム522とは熱膨張率が異なる金属箔521を有する。
【選択図】図12

Description

本発明は、RFIDタグ、通信システム、及びRFIDタグの使用方法に係り、更に詳しくは、対象物に取り付けられるRFIDタグ、該RFIDタグを備える通信システム、及び前記RFIDタグの使用方法に関する。
従来、対象物の温度管理を行うデータキャリアが知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に開示されているデータキャリアでは、温度管理のための専用の温度変化把握用素子、及び該温度変化把握用素子の電気的な変化を検出するための電気的特性変化検出部を設ける必要があり、構成が煩雑であった。
本発明は、スリットが形成された導電層を含む対象物に取り付けられるRFIDタグであって、ICチップと、前記ICチップの2つの電極に個別に接続される2つの端子部材と、を備え、前記2つの端子部材は、前記対象物における前記スリットの幅方向一側及び他側の部位に個別に接合され、前記2つの端子部材の少なくとも一方は、前記対象物に接合される第1の層及び該第1の層とは熱膨張率が異なる第2の層を含む複数の層を有するRFIDタグである。
本発明によれば、簡易な構成により対象物の温度管理を行うことができるRFIDタグを提供できる。
本発明の一実施形態に係る錠剤シート10を説明するための図(その1)である。 本発明の一実施形態に係る錠剤シート10を説明するための図(その2)である。 図1のA−A断面図である。 タブレットパッケージ100を説明するための図(その1)である。 タブレットパッケージ100を説明するための図(その2)である。 樹脂シート111、金属シート112及び樹脂フィルム113を説明するための図(その1)である。 樹脂シート111、金属シート112及び樹脂フィルム113を説明するための図(その2)である。 RFIDタグ500を説明するための図である。 端子部材520を説明するための図である。 RFIDタグ500がパッケージ部材110に取り付けられた状態を説明するための図(その1)である。 RFIDタグ500がパッケージ部材110に取り付けられた状態を説明するための図(その2)である。 RFIDタグ500がパッケージ部材110から部分的に剥離した状態を説明するための図である。 図13(A)は、変形例1のRFIDタグを説明するための図であり、図13(B)は、変形例1のRFIDタグがパッケージ部材110に取り付けられた状態を説明するための図であり、図13(C)は、変形例1のRFIDタグがパッケージ部材110から部分的に剥離した状態を説明するための図である。 図14(A)は、変形例2のRFIDタグを説明するための図であり、図14(B)は、変形例2のRFIDタグがパッケージ部材110に取り付けられた状態を説明するための図であり、図14(C)は、変形例2のRFIDタグがパッケージ部材110から部分的に剥離した状態を説明するための図である。 図15(A)は、変形例3のRFIDタグを説明するための図であり、図15(B)は、変形例3のRFIDタグがパッケージ部材110に取り付けられた状態を説明するための図であり、図15(C)は、変形例3のRFIDタグがパッケージ部材110から部分的に剥離した状態を説明するための図である。 錠剤シート10の変形例を説明するための図(その1)である。 錠剤シート10の変形例を説明するための図(その2)である。 端子部材に切り込みが形成された状態を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1〜図3には、一実施形態に係る錠剤シート10が示されている。なお、図3は、図1のA−A断面図である。
この錠剤シート10では、複数の錠剤200がタブレットパッケージ100に個別に収容されている。
本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、錠剤シート10のシート面に直交する方向をZ軸方向として説明する。そして、該シート面は略長方形状であり、その長手方向をY軸方向、短手方向をX軸方向とする。
タブレットパッケージ100は、図4及び図5に示されるように、包装体としてのパッケージ部材110、及びRFIDタグ500を有している。
パッケージ部材110は、錠剤200の品質保持の要請から所定温度Ts(例えば50℃)未満である常温Tc(例えば15℃)の環境下で管理される対象物である。なお、50℃以上の環境としては、例えば高温の熱源の近傍、真夏の車中等が想定される。
パッケージ部材110は、図6及び図7に示されるように、樹脂シート111、金属シート112及び樹脂フィルム113を含んで構成されている、いわゆるPTP(Press Through Package)タイプのパッケージ部材である。
樹脂シート111は、錠剤200の形状に応じた複数のタブレット収容部を有している。ここでは、樹脂シート111の材料として、ポリ塩化ビニール(PVC)が用いられている。
金属シート112は、樹脂シート111の各タブレット収容部内に錠剤200を密封するための部材である。ここでは、金属シート112として、アルミニウムシートが用いられている。
この場合、錠剤200が収容されているタブレット収容部を指でつぶすと、金属シート112における該タブレット収容部に対向する部分が錠剤200によって破られ、該錠剤200を取り出すことができる。
金属シート112には、一例として図5に示されるように、Y軸方向に延びるスリットSLTが形成されている。金属シート112は、図6及び図7に示されるように、+Z側の面が樹脂フィルム113でラミネートされている。ここでは、樹脂フィルム113として厚さが例えば10μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが用いられている。樹脂フィルム113は、金属シート112を汚染や破損などから保護する機能を有している。
RFIDタグ500は、パッシブ型タグであり、一例として図8及び図9に示されるように、ICチップ511及び2つの端子部材520を有している。
ICチップ511には、ユニークなID番号が格納されている。このID番号は、RW装置(リーダライタ装置)を用いて読み出すことができる。
2つの端子部材520は、ICチップ511の2つの電極512に個別に接続されている。
図10に示されるように、一方の端子部材520は、パッケージ部材110の樹脂フィルム113におけるスリットSLTの+X側の部位に貼り付けられ、他方の端子部材520は、樹脂フィルム113におけるスリットSLTの−X側の部位に貼り付けられている。
詳述すると、各端子部材520は、一例として図11に示されるように、パッケージ部材110の樹脂フィルム113に−Z側の面が不図示の接着剤(絶縁体)を介して接合された樹脂フィルム522と、該樹脂フィルム522の+Z側の面に接合された金属箔521とを有している。この場合、樹脂フィルム113、接着剤層及び樹脂フィルム522は、金属シート112と金属箔521との間の絶縁体としても機能する。ここでは、2つの端子部材520は、1枚の樹脂フィルム522の互いに異なる部位を有しているが、これに代えて、各端子部材が樹脂フィルムを1枚ずつ有していても良い。
ここで、各端子部材520の面積は、RFIDタグ500とRW装置とが所望の通信距離で通信可能な大きさに設定されている。すなわち、各端子部材520の樹脂フィルム522の略全域がパッケージ部材110の樹脂フィルム113に接合されているとき、RFIDタグ500とRW装置とが所望の通信距離で通信可能である。
本実施形態では、金属箔521としてアルミ箔が用いられ、樹脂フィルム522として厚さが例えば10μmのPETフィルムが用いられている。この場合、金属箔521は、PETフィルムからなる樹脂フィルム113及び樹脂フィルム522よりも熱膨張率(熱膨張係数)が小さい。なお、アルミニウムの熱膨張率は23[10−6/℃]であり、PETの熱膨張率は60[10−6/℃]である。
また、ここでは、樹脂フィルム522と樹脂フィルム113との接着剤を介した接合は、常温Tc(例えば15℃)の環境下で行われている。この際、樹脂フィルム522と樹脂フィルム113との接合強度P、すなわち樹脂フィルム522と樹脂フィルム113との間の接着剤層の最大応力(許容応力)は、常温Tcの環境下から所定温度Ts(例えば50℃)以上の環境下に移行されたとき、樹脂フィルム522及び金属箔521の熱膨張率の差Δα=37[10−6/℃]に起因して該接着剤層に生じる応力を下回る強さに設定されている。
そこで、タブレットパッケージ100(RFIDタグ500が取り付けられたパッケージ部材110)が常温Tc(例えば15℃)の環境下から所定温度Ts(例えば50℃)以上の環境下に移行されると、金属箔521及び樹脂フィルム522の熱膨張率の差Δαにより、樹脂フィルム522が面内方向で膨張し、かつ金属箔521が面内方向で収縮し、端子部材520が樹脂フィルム522を外側、金属箔521を内側とした状態で湾曲しようとする。このとき、この湾曲作用に抗する応力が接着剤層の許容応力を上回り、端子部材520(樹脂フィルム522)の少なくとも一部が樹脂フィルム113から剥離する(図12参照)。なお、図12には、+X側の端子部材520のみが樹脂フィルム113から剥離している状態が示されているが、実際には、−X側の端子部材520も同様に樹脂フィルム113から剥離する(図12に対応する他の図でも同様)。なお、図12及び図12に対応する他の図に示される端子部材の剥がれ方は、一例であり、これに限定されない。
結果として、各端子部材520とパッケージ部材110との接合面積が該端子部材520の面積よりも小さくなり(0を含む)、その結果、RW装置とRFIDタグ500との通信距離(交信可能な距離)が所望の通信距離よりも短くなる(0を含む)。すなわち、RFIDタグ500は、所望の通信距離では通信不能となる。
ここで、接着剤層に生じる応力Pは、90°引き剥がし接着強さで表すことができる。具体的には、樹脂フィルム522を例えば25mm幅に断裁したものを接着剤で樹脂フィルム113に接合する。そして、例えば温度23℃、湿度50%の環境下で、速度300mm/分、剥離角90°(T型剥離)で樹脂フィルム522を樹脂フィルム113から剥がし、そのときの抵抗値を平均化したものを、該接着剤の剥離強度(kgf/25mm)とする。
剥離強度が30kgf/25mm以下であると、初期の接着力が弱く、輸送時の剥がれなどが起こるため実用上不具合が起こりやすくなり、また、1000kgf/25mm以上であると、変形により生じる応力により剥離させることが困難となる。好ましくは、50kgf/25mm〜800kgf/25mmの剥離強度を持つ接着剤を用いることにより、必要な所期接着力を得ることができ、かつ所定温度Ts(例えば50℃)以上の環境下での剥離によりRFIDタグ500を所望の通信距離で通信不能とすることができる。
ところで、RW装置とRFIDタグ500との通信距離は、端子部材520における金属箔521の大きさ(面積)、及び金属箔521と金属シート112との間に介在する樹脂フィルム113、接着剤層及び樹脂フィルム522などの絶縁体の厚さに関係している。そして、該絶縁体の厚さに応じて金属箔521の大きさ(面積)を調整することにより、静電結合におけるインピーダンスZを低下させ、通信距離を伸ばすことができる。
インピーダンスZは、次の(1)式で示される。
Z=1/(ω・C) ……(1)
上記(1)式におけるωは角周波数であり、Cはキャパシタンスである。ωは次の(2)式で示され、Cは次の(3)式で示される。ここで、fは通信に用いられる電波の周波数、Sは樹脂フィルム522と樹脂フィルム113との接合面積、εは真空の誘電率、εは絶縁体の誘電率、dは絶縁体の厚さである。
ω=2πf ……(2)
C=S・ε・ε/d ……(3)
そこで、上記(1)式は、次の(4)式のように書き換えることができる。
Z=d/(2πf・S・ε・ε) ……(4)
端子部材520からICチップ511に供給される電力Wは、次の(5)式で示すことができる。
W=Wa−2・V・A=Wa−2・V/Z ……(5)
上記(5)式におけるWaは、通信の際に、スリットSLTのX軸方向の両端間に生じる起電力であり、Vは、通信の際に、スリットSLTのX軸方向の両端間に生じる電圧であり、Aは2つの端子部材520からICチップ511に供給される電流である。すなわち、ICチップ511に供給される電力は、いわゆるアンテナでの起電力から接続部分(絶縁体部分)で消費される電力を引いたものである。
ここで、所望の通信距離を得るのに必要な電力Wの最小値をWminとしたときに、次の(6)式の関係が満足されることで所望の通信距離を得ることができる。なお、Wminは、使用されるICチップの種類及び所望の通信距離が決まると、一義的に決定される値である。
Wmin≦Wa−2・V/Z=Wa−4πf・S・ε・ε・V/d ……(6)
例えば、f=950MHz、絶縁体がPET(ポリエチレンテレフタレート)、d=20μm、所望の通信距離が3mの場合には、S=100mmであれば、上記(6)式の関係を満足させることができる。
そこで、本実施形態では、樹脂フィルム113及び樹脂フィルム522としてそれぞれ厚さが10μmのPETフィルムを用い、各金属箔521の面積を略100mmとしている。すなわち、各端子部材520は、全面が樹脂フィルム113に接合されているとき(S≒100mmのとき)、RW装置とRFIDタグ500が3m離れていても、金属シート112との間でUHF帯の周波数の交流電流が通過できるように面積が設定されている。
ここで、Wmin=Wa−4πf・S・ε・ε・V2/dとなるときの接合面積SをS1とする。
なお、端子部材520をパッケージ部材110から剥離させて通信不能とするためには、RFIDタグ500が常温Tc(例えば15℃)の環境下から所定温度Ts(例えば50℃)以上の環境下に移行されたときに、温度変化による部分的な剥がれによっても所望の通信距離で通信不能とする必要がある。そこで、端子部材520とパッケージ部材110との接合面積(樹脂フィルム522と樹脂フィルム113との接合面積)がS1未満であるときにRFIDタグ500が所望の通信距離で通信不能となるため、端子部材520の面積はS1の130%以下であることが好ましく、S1の110%以下であることがより好ましい。この結果、温度変化による部分的な剥がれによってもRFIDタグ500を所望の通信距離で通信不能とすることができる。
以上の説明から分かるように、所定温度Ts以上の環境下において、各端子部材520の樹脂フィルム522の少なくとも一部が樹脂フィルム113から剥離することで接合面積Sが小さくなる。このとき、所望の通信距離を得るのに必要な電力Wが得られなくなり、RFIDタグ500とRW装置とは、所望の通信距離では通信ができなくなる。
この結果、タブレットパッケージ100が所定温度Ts(例えば50℃)以上の環境下にあることを検知することができる。
ここで、金属箔521及び樹脂フィルム522の熱膨張率の差Δα=37[10−6/℃]は、所定温度Ts(例えば50℃)、及び樹脂フィルム522と樹脂フィルム113との接合強度Pに基づいて設定されている。
ここでは、Δα=37[10−6/℃]は、所定温度Ts(例えば50℃)と常温Tc(例えば15℃)との差ΔT(例えば35℃)、及び接合強度Pに応じて設定されている。
具体的には、Pを一定とした場合に、ΔTが小さいほどΔαを大きく設定することが好ましい。Δαが大きいほど、常温Tcから所定温度Tsになるまで(但し、Ts>Tcの場合)の温度上昇1℃当たりの、端子部材520の湾曲度合(変形度合)が大きくなり、樹脂フィルム522と樹脂フィルム113との接合面積を小さくできるからである。逆に言うと、Pを一定とした場合に、ΔTが大きいほどΔαを小さく設定することが好ましい。
但し、P及びΔTに対してΔαが大きすぎると、タブレットパッケージ100が所定温度Ts未満の環境下にあるときに、樹脂フィルム522が樹脂フィルム113から剥離し、タブレットパッケージ100が所定温度Ts以上の環境下にあると誤検知するおそれがある。また、P及びΔTに対してΔαが小さすぎると、タブレットパッケージ100が所定温度Ts以上の環境下にあるときでも、樹脂フィルム522が樹脂フィルム113から剥離せず、タブレットパッケージ100が所定温度Ts以上の環境下にあることを検知することができない。
従って、P及びΔTに対して適正なΔαの値は、自ずと一義的に決まってくる。
なお、端子部材520を構成する金属箔521と樹脂フィルム522との接合強度は、所定温度Ts以上の環境下でも両者が剥離しないような大きさに設定されることが好ましい。
要は、タブレットパッケージ100が所定温度Ts未満の環境下から所定温度Ts以上の環境下に移行されたときに、端子部材520とパッケージ部材110との接合面積が、所望の通信距離で通信可能な大きさから該通信距離で通信不能な大きさとなるように、Δα及びPが設定されていれば良い。
以上の説明では、ΔT及びPに基づいてΔαが設定されているが、これに代えて、ΔT及びΔαに基づいてPを設定しても良いし、ΔTに基づいて、Δα及びPを設定しても良い。
また、スリットSLTの幅Lw(図5参照)は、アンテナとしての所望の利得(良いアンテナ性能)を得ることができる周波数の幅に関係している。すなわち、幅Lwを狭くしていくと、前記周波数の幅が狭くなる。反対に、幅Lwを広くしていくと、前記周波数の幅が広くなる。但し、幅Lwを広くしていくと、インピーダンスも大きくなり、アンテナの効率が低下する。
一般的に、スリットSLTは、金型を用いた打ち抜き加工によって形成され、必要に応じて2次加工により整形される。この場合、幅Lwがあまりに狭いと、所望の幅を所定の精度で得るのが困難になる。そこで、レーザ加工によってスリットSLTを形成することが考えられるが、高コスト化を招く。また、幅Lwがあまりに狭いと、スリットSLTに金属片などの異物が引っかかり、アンテナ性能を劣化させるおそれがある。そこで、無線通信に用いられる電波の周波数が920MHz〜960MHzの場合は、幅Lwを2〜3mmとしている。なお、本実施形態では、無線通信に用いられる電波の周波数は950MHzであり、Lw=3mmに設定されている。
そして、Y軸方向に関しては、RFIDタグ500は、インピーダンスマッチングがとれる位置に取り付けられている。
この場合、RW装置から直線偏波もしくは、円偏波の電波を、スリットSLTに向けて放射すると、スリットSLTの周りに電界が発生する。その電界は、金属シート112におけるスリットSLTの+X側と−X側とに互いに逆の電圧(交流)を発生させる。そこで、スリットSLTを跨ぐようにRFIDタグ500が取り付けられていると、電流が流れRFIDタグ500のICチップ511が起動される。
そして、RW装置を用いて、複数の錠剤シート10の各ID番号を読み出し、製造日、製造所、製造ラインなどを特定するデータとともに履歴情報として、データベースに登録する。なお、RW装置は、据え置き型、携帯型、固定型のいずれであっても良い。
各錠剤シート10は、錠剤シート10とRW装置とが3m程度離れていても、該錠剤シート10のID番号を読み出すことができる。そこで、メーカ、問屋、薬局、医院などでは、錠剤シート10の在庫管理を正確に、短時間で、簡便に行うことができる。
また、ID番号と薬剤に関するデータベースとを連携させることにより、間違った薬剤を患者に投与するのを防ぐことができる。
以下に、RFIDタグ500の使用方法について簡単に説明する。先ず、RFIDタグ500をパッケージ部材110に取り付ける。具体的には、例えばユーザがRFIDタグ500の2つの端子部材520をスリットSLTの幅方向一側(+X側)及び他側(−X側)の部位に個別に取り付ける。この際、各端子部材520の樹脂フィルム522の一側の面(−Z側の面)の略全域をパッケージ部材110の樹脂フィルム113に接着剤で接合する。この結果、端子部材520の一側の面の略全域がパッケージ部材110に接合され、タブレットパッケージ100が作成される。
このとき、RFIDタグ500は、RW装置との間で所望の通信距離(例えば3m)で通信可能となる。そこで、パッケージ部材110を所定温度Ts未満の環境下で管理(例えば在庫管理)することができる。なお、RFIDタグ500の取り付け作業は、所定温度Ts未満の環境下で行われることが好ましい。端子部材520とパッケージ部材110との接合強度Pは、両者の接合に用いられる接着剤の種類や塗布量によって調整される。また、接合強度Pは、各接合面の表面粗さを調整することによって調整されても良い。なお、接合強度Pは、面内方向で均一にしても良いし、不均一にしても良い。
次いで、RFIDタグ500に対して所望の通信距離(例えば3m)で無線通信が可能か否かを判定する。具体的には、例えばユーザがRFIDタグ500とRW装置との距離(相対位置)を調整して、通信可能な距離と通信不能な距離との境界となる両者間の距離を求め、該距離が所望の通信距離未満である場合に所望の通信距離で無線通信が可能でないと判定でき、それ以外の場合に所望の通信距離で無線通信が可能であると判定できる。ここでの判定は、定期的に行われることが望ましい。
所望の通信距離で無線通信が可能であると判定されたときはパッケージ部材110が例えば在庫管理時、輸送時等に所定温度Ts未満の環境下にあると推定できる。この場合、パッケージ部材110の管理を続行することができる。
一方、所望の通信距離で無線通信が可能でないと判定されたときはパッケージ部材110が所定温度Ts以上の環境下にあると推定できる。この場合、パッケージ部材110の管理を続行しても良いし、錠剤の品質が保証できないためパッケージ部材110を管理対象から除外しても良い。
なお、管理を続行する場合は、パッケージ部材110が所定温度Ts以上の環境下にあることを、パッケージ部材110の情報を管理するための管理装置及びRW装置の少なくとも一方に記録しても良い。RW装置と管理装置とは、有線又は無線で互いにデータの送受信を行うことができる。
また、例えば所定温度Ts以上の環境下でのパッケージ部材110の放置時間が錠剤の品質に影響しない程度であれば、該パッケージ部材110に未使用のRFIDタグ500を貼り付けて、所定温度Ts未満の環境下での管理を行っても良い。
ここでは、RFIDタグ500にRW装置からの情報を書き込でも良いし、ID番号の読み出しのみを行っても良い。RFIDタグ500に情報を書き込まない場合は、ICチップ511において、情報が書き込まれるメモリ領域が不要である。また、上記RW装置に代えて、ID番号の読み出しのみを行う読み出し専用の装置(リーダ)を用いることができる。
以上説明したように本実施形態のRFIDタグ500は、パッケージ部材110(対象物)に取り付けられるRFIDタグであって、パッケージ部材110はスリットSLTが形成された金属シート112(導電層)を含んでいる。
そして、RFIDタグ500は、ICチップ511と、該ICチップ511の2つの電極512に個別に接続される2つの端子部材520と、を備え、2つの端子部材520は、パッケージ部材110の樹脂フィルム113におけるスリットSLTの幅方向一側及び他側の部位に個別に接合され、2つの端子部材520それぞれは、樹脂フィルム113に接合される樹脂フィルム522(第1の層)及び該樹脂フィルム522とは熱膨張率が異なる金属箔521(第2の層)を有している。
この場合、簡易な構成によりパッケージ部材110の温度管理を行うことができる。
また、パッケージ部材110は、所定温度Ts未満の環境下で管理される。そして、RFIDタグ500では、所定温度Ts未満の環境下から所定温度Ts以上の環境下に移行されると、端子部材520の樹脂フィルム522とパッケージ部材110の樹脂フィルム113との接合面積は、所望の通信距離で通信可能な大きさから該通信距離で通信不能な大きさとなる。
この場合、例えば端子部材520の第1及び第2の層の熱膨張率を所定温度Tsに基づいて設定することで、すなわち端子部材520の第1及び第2の層に用いる材料を所定温度Tsに基づいて選択することで、パッケージ部材110の温度管理を確実に行うことができる。
ところで、例えば医薬品、食品などの温度管理が必要な物資(所定温度未満の環境下で管理される対象物)は、メーカにおいて許容温度未満の環境下で在庫管理され、検品後、内部が許容温度未満の環境に維持されるボックス、コンテナ等に収容された状態で販売店等に輸送される。そして、物資は販売店等に輸送された後、同様に、検品、在庫管理が行われ、消費者に販売される。この場合、物資の品質保持の観点から、メーカにおける在庫管理時から消費者による購入時までの物流過程において、物資が許容温度未満の環境下にあるか否かをリアルタイムに把握できることが望まれる。
そこで、従来、物流過程において温度管理を行なうためのデータキャリアとして、電池を内蔵した温度計測器付きRFIDタグが知られている。しかしながら、このようなRFIDタグは高価であり、該RFIDタグを管理対象の物資全てに取り付けると高コスト化を招いてしまう。
本実施形態のRFIDタグ500は、構成が簡易であり、低コストで製造できるため、高コスト化を抑制しつつ管理対象の物資全てにRFIDタグ500を取り付けることができる。
また、樹脂フィルム522は、金属箔521よりも熱膨張率が大きいため、端子部材520をパッケージ部材110に対して反り返るように変形させることができる。すなわち、端子部材520をパッケージ部材110から安定して剥離させることができる。
また、樹脂フィルム522及び金属箔521の熱膨張率の差を、所定温度Tsに基づいて設定することで、所定温度Tsを境にRFIDタグ500の通信状態の良否(所望の通信距離で通信可能か否か)を切り替えることができる。
また、前記熱膨張率の差を、所定温度Ts(例えば50℃)と常温Tc(例えば15℃)との差に応じて設定することで、RFIDタグ500が取り付けられたパッケージ部材110が常温Tcの環境下にあるときに確実に所望の通信距離で通信可能とすることができ、かつRFIDタグ500が取り付けられたパッケージ部材110が常温Tcの環境下から所定温度Ts以上の環境下に移行されたときに、著しく通信性能が低下し、確実に所望の通信距離で通信不能とすることができる。この結果、パッケージ部材110の温度管理を安定して精度良く行うことができる。すなわち、パッケージ部材110の温度管理の信頼性が高い。
また、前記熱膨張率の差は、更に樹脂フィルム522と樹脂フィルム113との接合強度Pに基づいて設定されているため、該接合強度Pに関わらず、パッケージ部材110の温度管理を行うことができる。
また、RFIDタグ500と、該RFIDタグ500に対して無線通信により情報の読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行うRW装置と、を備える通信システムでは、RFIDタグ500を有しているため、パッケージ部材110の温度管理の信頼性が高いシステムを低コストで構築できる。
また、RW装置で読み出された前記情報を管理する管理装置を更に備える通信システムでは、管理対象としての錠剤の品質が維持されているパッケージ部材110のみの前記情報の管理を行うことができる。
なお、上記実施形態では、RFIDタグ500の各端子部材が、電極512に接続される金属箔521と、該金属箔521の−Z側の面に接合される樹脂フィルム522とで構成されているが、これに限られない。例えば、金属箔521と樹脂フィルム522との位置関係を逆にし、金属箔521を樹脂フィルム113に接合しても良い。この場合、端子部材は、図12に示される向きとは逆向きに湾曲する。但し、この場合でも、導電性を有する金属箔521を電極512に接続する必要がある。
また、上記実施形態において、例えば、各端子部材の樹脂フィルム及びパッケージ部材の樹脂フィルムの熱膨張率(材料)を互いに異ならせても良い。この場合、端子部材とパッケージ部材との剥離性を調整することができる。この場合、両者の熱膨張率の差を、Ts、Tc、Δα、Pの少なくとも1つに基づいて設定しても良い。
また、例えば図13(A)〜図13(C)に示される変形例1のように、RFIDタグの各端子部材を、ICチップ511の電極512に接続される銅からなる金属箔525(第2の層)と、該金属箔525の−Z側の面に接合されるアルミニウムからなる金属箔521(第1の層)とで構成しても良い。すなわち、RFIDタグの各端子部材を金属箔525及び金属箔521から成る2層構造体(バイメタル)としても良い。この場合、各端子部材の金属箔521が、パッケージ部材110の樹脂フィルム113に接合される。
変形例1でも、熱膨張率が16.8[/10−6℃]の銅製の金属箔525及び熱膨張率が23[/10−6℃]のアルミニウム製の金属箔521の熱膨張率の差Δα’=6.2[/10−6℃]は、所定温度Ts、及び金属箔521と樹脂フィルム113との接合強度P’に基づいて、すなわち所定温度Tsと常温との差ΔT及び接合強度P’に応じて設定されている。勿論、ΔTに基づいて、Δα’及びP’を設定しても良いし、ΔT及びΔα’に基づいて、P’を設定しても良い。
なお、上記変形例1において、金属箔521と金属箔525との位置関係を逆にしても良い。
また、例えば図14(A)〜図14(C)に示される変形例2のように、RFIDタグの各端子部材を、ICチップ511の電極512に接続される銅からなる金属箔525と、該金属箔525の−Z側の面に接合される樹脂フィルム522(第2の層)と、該樹脂フィルム522の−Z側の面に接合されるPVC(ポリ塩化ビニル)からなる樹脂フィルム530(第1の層)とで構成しても良い。すなわち、RFIDタグの各端子部材を金属箔525、樹脂フィルム522及び樹脂フィルム530から成る3層構造体としても良い。
変形例2でも、熱膨張率が60[/10−6℃]のPET製の樹脂フィルム522及び熱膨張率が70[/10−6℃]のPVC製の樹脂フィルム530の熱膨張率の差Δα’’=10[/10−6℃]は、所定温度Ts、及び樹脂フィルム530と樹脂フィルム113との接合強度P’’に基づいて、すなわち所定温度Tsと常温との差ΔT及び接合強度P’’に応じて設定されている。勿論、ΔTに基づいて、Δα’’及びP’’を設定しても良いし、ΔT及びΔα’’に基づいて、P’’を設定しても良い。
なお、上記変形例2において、樹脂フィルム522と樹脂フィルム530との位置関係を逆にしても良い。
また、例えば図15(A)〜図15(C)に示される変形例3のように、RFIDタグの各端子部材を、ICチップ511の電極512に接続される銅からなる金属箔525と、該金属箔525の−Z側の面に接合されるアルミニウムからなる金属箔521(第2の層)と、該金属箔521の−Z側の面に接合されるPVC(ポリ塩化ビニル)からなる樹脂フィルム530(第1の層)とで構成しても良い。すなわち、RFIDタグの各端子部材を金属箔525、金属箔521、樹脂フィルム530から成る3層構造体としても良い。
変形例3でも、熱膨張率が23[/10−6℃]のアルミニウム製の金属箔521及び熱膨張率が70[/10−6℃]のPVC製の樹脂フィルム530の熱膨張率の差Δα’’’=47[/10−6℃]は、所定温度Ts、及び樹脂フィルム530と樹脂フィルム113との接合強度P’’に基づいて、すなわち所定温度Tsと常温との差ΔT及び接合強度P’’に応じて設定されている。勿論、ΔTに基づいて、Δα’’’及びP’’を設定しても良いし、ΔT及びΔα’’’に基づいて、P’’を設定しても良い。
なお、上記変形例3において、金属箔525と金属箔521との位置関係を逆にしても良い。また、金属箔521と樹脂フィルム530との位置関係を逆にしても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、パッケージ部材110の導電層は、アルミニウムシートからなる金属シート112とされているが、これに限らず、要は、導電性を有する層であれば良い。
具体的には、金属シート112に代えて、例えば合金層を含むシート、導電性プラスチック層を含むシート、導電性高分子層を含むシート等を用いても良く、要は、電気伝導性を有する導電層を含むシートを用いれば良い。なお、「導電性プラスチック」とは、絶縁性を有するプラスチックに、金属や炭素繊維などの無機導体を練りこんだり、表面に導体の薄膜を形成したりして導電性をもたせた複合材料を意味する。「導電性高分子」は、電気伝導性を有する高分子化合物であり、導電性ポリマー、電導性ポリマーとも呼ばれている。導電性高分子として、例えばポリアセチレン、ポリチアジルなどが知られている。
また、上記実施形態及び各変形例では、金属箔525は、銅箔とされているが、これに限られず、要は、例えば金属、合金等からなる部材であれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、金属箔521は、アルミ箔とされているが、これに限られず、要は、例えば金属、合金等からなる部材であれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、端子部材における電極512に接続される導電性を有する層は、アルミ箔又は銅箔であるが、例えばアルミ箔及び銅箔以外の金属箔、合金箔、導電性プラスチック層、導電性高分子層であっても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、樹脂フィルム522は、PET製であり、樹脂フィルム530は、PVC製とされているが、これに限られず、要は、高分子化合物からなる部材であることが好ましい。
また、上記実施形態及び各変形例では、樹脂シート111の材料として、ポリ塩化ビニール(PVC)が用いられる場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、PETであっても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、パッケージ部材110は、樹脂フィルム113を有しているが、有していなくても良い。この場合、各端子部材は、金属シート112に接合されることになる。
また、上記実施形態及び各変形例において、電極512に接続される金属箔の+Z側の面を例えば樹脂フィルム、ステンレス箔などでラミネートしても良い。この際、ICチップ511も一緒にラミネートしても良い。この場合、金属箔やICチップ511を汚染や破損などから保護することができる。
また、上記実施形態及び各変形例では、RFIDタグが金属シート112に貼り付けられる場合について説明したが、これに限定されることはなく、RFIDタグが樹脂シート111に貼り付けられても良い(図16及び図17参照)。この場合は、前記絶縁体の厚さdに、樹脂シート111の厚さが加味される。
また、上記実施形態及び各変形例におけるスリットSLTの形状は一例であり、これに限定されるものではない。例えば一部が湾曲又は屈曲していても良いし、互いに交差する複数の領域を有していても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、タブレットが薬剤である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、タブレットが食品であっても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、端子部材とパッケージ部材とを接着剤で接合しているが、これに代えて、両面テープなどで接合しても良い。両面テープで接合する場合も、テープの粘着力を調整することで、端子部材とパッケージ部材との接合強度を調整できる。
また、上記実施形態及び各変形例において、各端子部材に複数の切り込み(例えばスリット)を形成しても良い(図18参照)。この場合、端子部材とパッケージ部材との剥離性を調整することができる。なお、切り込みは、2つの端子部材の少なくとも一方に少なくとも1つ形成されれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例において、端子部材の熱膨張率が互いに異なる第1及び第2の層の間に、接着性を増すための層や保護層、金属の酸化など腐食を防止するための保護層などが設けられても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、RFIDタグの2つの端子部材のいずれもが熱膨張率が互いに異なる第1及び第2の層を含む複数の層を有しているが、要は、2つの端子部材の少なくとも一方が該複数の層を有していれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、各端子部材は、2層又は3層から成る積層構造体であるが、これに限らず、要は、複数の層から成る積層構造体であれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、RFIDタグとして、いわゆるパッシブ型タグが採用されているが、これに代えて、例えば、バッテリーを有し、その電力で動作するいわゆるアクティブ型タグが採用されても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、スリットの長さは、使用される電波の1/2波長に設定されているが、これに限られない。例えば1/4波長に設定されても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、周波数がUHF帯の場合について説明したが、これに限定されず、例えばマイクロ波帯等の他の周波数帯であっても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、パッケージ部材110がPTP(Press Through Package)タイプのパッケージ部材である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、パッケージ部材110がいわゆるブリスタータイプのパッケージ部材であっても良い。但し、この場合は、台紙に前記金属シート112を貼り付ける必要がある。
また、上記実施形態及び各変形例では、RFIDタグが取り付けられる対象物としてパッケージ部材110が用いられているが、これに限られず、要は、温度管理が必要な例えば薬剤、食品、電子部品等を包装するための包装体が用いられれば良い。包装体としては、スリットが形成された導電層を含む例えば袋形、箱形、筒形等のものが挙げられる。また、包装体自体が、スリットが形成された導電層を有していなくても良い。例えば、スリットが形成された導電層を含む部材(例えばラベル)が包装体に取り付けられても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、所定温度Tsとして50℃が例示されているが、これに限られず、適宜変更可能である。例えば冷蔵用の物資を保存する際の許容温度10℃、冷凍用の物資を保存する際の許容温度0℃、物資の融点や沸点、物資が変質する温度等であっても良い。このように所定温度Tsは、常温Tc(例えば15℃)よりも高くても良いし、低くても良い。いずれの場合であっても、所定温度Tsと常温Tcとの温度差に応じて、端子部材の第1及び第2の層の熱膨張率の差や端子部材と対象物との接合強度が設定されることが好ましい。
また、上記実施形態及び各変形例では、常温Tcの一例として15℃とされているが、これに限らず、要は、10℃〜30℃の範囲内の温度であることが好ましい。
また、上記実施形態及び各変形例では、パッケージ部材110は、所定温度Ts(例えば50℃)未満である常温Tc(例えば15℃)の環境下で管理されているが、これに限らず、要は、所定温度Ts未満の環境下で管理されれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、RFIDタグが取り付けられる対象物は、温度管理が必要な物資(錠剤)が収容されるパッケージ部材とされているが、これに代えて、温度管理が必要な物資(例えば容器に収容されない物資)そのものであっても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、端子部材は、全面がパッケージ部材に接着剤等により接合されているが、これに限られない。
例えば、端子部材は、一部(例えばICチップ511の電極512側の部分)のみがパッケージ部材に接着剤等により接合されても良い。すなわち、端子部材は、接着領域と非接着領域を有していても良い。この場合、端子部材の接着領域の面積(該端子部材とパッケージ部材との接着剤等による接合面積)は、該端子部材の非接着領域が熱膨張率の差による応力で反ったときにRFIDタグが所望の通信距離で通信不能となる大きさに設定されることが好ましい。
この結果、接着剤等による接合強度、接着面内でのばらつきによる剥離が生じるタイミングがばらつくなどを考慮する必要がなくなり、さらに、微小な温度差でも剥離を開始させることも可能となる。
また、上記実施形態及び各変形例では、2つの端子部材は、パッケージ部材に接着剤等により接合されているが、これに限られない。
例えば、樹脂シート111または樹脂フィルム113の材料として、機械強度が高く、所定温度Ts未満の環境下で変形が生じないもの、例えば塩ビ樹脂(PVC)、ポリプロピレン(PP)等を適宜採用する。そして、樹脂シート111(または樹脂フィルム113)に各端子部材を密着させるとともに、スリット領域内でICチップ511と、樹脂シート111(または樹脂フィルム113)とを接着剤等で接合させる。
この場合、熱膨張係数の差による応力で反る前の各端子部材、及び樹脂シート111(または樹脂フィルム113)は変形せず機械強度も高いために、該端子部材と樹脂シート111(または樹脂フィルム113)とを接着剤等を用いることなく隙間を生じないように接合保持させることができる。
この結果、接着剤等による接合強度、接着面内でのばらつきによる剥離が生じるタイミングがばらつくなどを考慮する必要がなくなり、さらに、微小な温度差でも剥離を開始させることも可能となる。
以上の説明から分かるように、本発明の対象物に収容される物資としては、温度管理が必要な例えば冷凍・冷蔵食品等の生鮮又は加工食品、冷凍・冷蔵保存が必要な医薬品が好適である。また、採取後、温度管理の必要な血液や臓器、血液などの生体試料を対象物に収容される物資としても良い。また、例えば電子部品、機器等の工業製品を対象物又は対象物に収容される物資としても良い。
110…パッケージ部材(対象物)、111…樹脂シート、112…金属シート、113…樹脂フィルム、500…RFIDタグ、511…ICチップ、512…電極、520…端子部材、521…金属箔、522…樹脂フィルム、525…金属箔、530…樹脂フィルム、SLT…スリット。
特開2010−244257号公報

Claims (13)

  1. スリットが形成された導電層を含む対象物に取り付けられるRFIDタグであって、
    ICチップと、
    前記ICチップの2つの電極に個別に接続される2つの端子部材と、を備え、
    前記2つの端子部材は、前記対象物における前記スリットの幅方向一側及び他側の部位に個別に接合され、
    前記2つの端子部材の少なくとも一方は、前記対象物に接合される第1の層及び該第1の層とは熱膨張率が異なる第2の層を含む複数の層を有することを特徴とするRFIDタグ。
  2. 前記第1の層は、前記第2の層よりも熱膨張率が大きいことを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
  3. 前記対象物は、所定温度未満の環境下で管理され、
    前記第1及び第2の層の熱膨張率の差は、前記所定温度に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のRFIDタグ。
  4. 前記熱膨張率の差は、前記所定温度と常温との差に応じて設定されていることを特徴とする請求項3に記載のRFIDタグ。
  5. 前記熱膨張率の差は、更に前記第1の層と前記対象物との接合強度に基づいて設定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のRFIDタグ。
  6. 前記対象物における前記第1の層が接合されている部位及び前記第1の層は、熱膨張率が互いに異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
  7. 前記第1及び第2の層は、金属又は合金からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
  8. 前記第1及び第2の層は、高分子化合物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
  9. 前記第1及び第2の層の一方は金属又は合金からなり、他方は高分子化合物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
  10. 前記2つの端子部材の少なくとも一方に切り込みが形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のRFIDタグと、
    前記RFIDタグに対して無線通信により情報の読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行う通信装置と、を備える通信システム。
  12. 前記通信装置で読み出された前記情報を管理する管理装置を更に備えることを特徴とする請求項11に記載の通信システム。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のRFIDタグの使用方法であって、
    前記RFIDタグを前記対象物に取り付ける工程と、
    前記RFIDタグに対して所望の通信距離で無線通信が可能か否かを判定する工程と、を含むRFIDタグの使用方法。
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