JP2015161616A - 時計用外装部品の製造方法、時計用外装部品および時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい方法で、美的外観に優れた時計用外装部品を効率よく製造することができる時計用外装部品の製造方法を提供する。
【解決手段】時計用外装部品の製造方法は、第1の粒子が気体中に分散してなる第1のエアロゾルをノズルから基材P1に向けて吹き付けて、その衝撃力によって基材P1上に凹部P11を形成する凹部形成工程と、第2の粒子が気体中に分散してなる第2のエアロゾルをノズルから、基材P1に向けて吹き付けて、その衝撃力によって、少なくとも凹部P11の一部を含む領域に被膜P3を形成する被膜形成工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、時計用外装部品の製造方法、時計用外装部品および時計に関する。
時計には、実用品としての機能が求められるとともに、装飾品として優れた審美性(美的外観)が要求される。
このため、時計用外装部品には、各種金属材料等の優れた質感を有する材料が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
そして、さらなる審美性の向上のために、所定のパターンで装飾層(被膜)を設けることが行われている。
従来においては、所定のパターンで装飾層(被膜)を設けるためには、マスク(レジスト等)を配した状態で真空蒸着等の気相成膜を行ったり、基材の全面に成膜を行った後にエッチングで不要部分を除去する方法等が採用されたりしている。
しかしながら、これらの方法では、最終的な時計用外装部品に含まれる被膜の構成材料は、製造に用いる材料のごく一部であり、材料の無駄が多く、省資源の観点から好ましくなかった。
また、被膜形成用材料の回収、回収した材料のリサイクル、レジストの利用等に伴う工程増加や化学物質の使用が、環境負荷やコスト増大の問題を引き起こしていた。
特開2008−150660号公報
本発明の目的は、材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい方法で、美的外観に優れた時計用外装部品を効率よく製造することができる時計用外装部品の製造方法を提供すること、美的外観に優れ、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい時計用外装部品を提供すること、また、美的外観に優れ、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい時計用外装部品を備えた時計を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の時計用外装部品の製造方法は、第1の粒子が気体中に分散してなる第1のエアロゾルをノズルから基材に向けて吹き付けて、その衝撃力によって基材上に凹部を形成する凹部形成工程と、
第2の粒子が気体中に分散してなる第2のエアロゾルをノズルから、前記基材に向けて吹き付けて、その衝撃力によって、少なくとも前記凹部の一部を含む領域に被膜を形成する被膜形成工程とを有することを特徴とする。
これにより、材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい方法で、美的外観に優れた時計用外装部品を効率よく製造することができる時計用外装部品の製造方法を提供することができる。
本発明の時計用外装部品の製造方法では、前記第1の粒子および前記第2の粒子は、同一の条件を満足する粒子であり、
前記第1の粒子の吹き付け条件と、前記第2の粒子の吹き付け条件とが異なるものであることが好ましい。
これにより、時計用外装部品の生産性を特に優れたものとすることができる。また、回収した粒子を好適に再利用することができる。
本発明の時計用外装部品の製造方法では、前記基材に対する前記第1の粒子の入射角と、前記基材に対する前記第2の粒子の入射角とが異なるものであることが好ましい。
これにより、時計用外装部品の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、時計用外装部品の美的外観をより確実に優れたものとすることができる。
本発明の時計用外装部品の製造方法では、前記基材の法線と前記第1の粒子の入射方向とのなす角をθ[°]、前記基材の法線と前記第2の粒子の入射方向とのなす角をθ[°]としたとき、10≦θ−θ≦80の関係を満足することが好ましい。
これにより、さらに好適に、時計用外装部品の生産性をさらに優れたものとすることができるとともに、時計用外装部品の美的外観をさらに確実に優れたものとすることができる。
本発明の時計用外装部品の製造方法では、前記被膜形成工程の後に、反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程を有することが好ましい。
これにより、外光の不本意な映り込みを効果的に防止することができ、時計用外装部品の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用外装部品の製造方法では、前記基材は、透明性を有するものであることが好ましい。
これにより、時計用外装部品の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、時計用外装部品を備えた時計の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用外装部品の製造方法では、前記基材は、サファイアガラス、石英およびプラスチックよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、時計用外装部品の美的外観をさらに優れたものとすることができる。また、時計用外装部品を備えた時計の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の時計用外装部品の製造方法では、前記被膜は、金属材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、時計用外装部品の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、基材と被膜の密着性を特に優れたものとすることができ、時計用外装部品の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用外装部品の製造方法では、前記被膜は、金属酸化物および/または金属窒化物で構成されたものであることが好ましい。
これにより、時計用外装部品の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、被膜の硬度を特に優れたものとすることができ、時計用外装部品の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用外装部品は、本発明の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、美的外観に優れ、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい時計用外装部品を提供することができる。
本発明の時計用外装部品は、凹部を有する基材と、
少なくとも前記凹部の一部を含む領域に設けられた被膜とを有し、
前記被膜は、粒子が気体中に分散してなるエアロゾルをノズルから、前記基材に向けて吹き付けて、その衝撃力によって、前記粒子が堆積することにより形成されたものであることを特徴とする。
これにより、美的外観に優れ、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい時計用外装部品を提供することができる。
本発明の時計は、本発明の時計用外装部品を備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観に優れ、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい時計用外装部品を備えた時計を提供することができる。
本発明の時計用外装部品の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の時計用外装部品の製造方法の他の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 凹部の形成、および、被膜の形成に用いられる処理装置の好適な実施形態を示す縦断面側面図である。 処理装置が備える解砕器の構成の一例を示す縦断面側面図である。 図3に示す処理装置の主要部のブロック図である。 本発明の時計用外装部品をカバーガラスに適用した場合の好適な実施形態を示す模式的な平面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
以下、本発明の時計用外装部品の製造方法、時計用外装部品および時計を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<<時計用外装部品の製造方法>>
まず、本発明の時計用外装部品の製造方法について説明する。
本発明において、時計用外装部品とは、時計の構成部品であり、時計の使用時において、外部から視認可能な部品のことをいい、時計の外部に露出して用いられるもののほか、時計の内部に収納した部品も含む概念である。
時計用外装部品としては、例えば、カバーガラス(風防ガラス)、文字板、針(地震、分針、秒針等)、ベゼル、ケース、裏蓋、りゅうず、円盤針、日車、曜車、月齢板等の回転表示体等が挙げられる。
図1は、本発明の時計用外装部品の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の製造方法は、基材P1を準備する基材準備工程(1a)と、基材P1に凹部P11を形成する凹部形成工程(1b)と、少なくとも凹部P11の一部を含む領域に被膜P3を形成する被膜形成工程(1c)と、基材P1の被膜P3が設けられた面側に反射防止膜P4を形成する反射防止膜形成工程(1d)とを有している。
<基材準備工程>
基材準備工程では、基材P1を準備する(1a)。
基材P1は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、透明性を有するものであるのが好ましい。
これにより、例えば、時計用外装部品P10の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、例えば、時計用外装部品P10を備えた時計において、時計用外装部品P10の被膜P3が設けられた面とは反対側の面が外表面側を向くように配置した場合であっても、使用者等が被膜P3を好適に視認することができ、被膜P3を備えることによる効果を効果的に発揮させつつ、被膜P3等が摩擦等により損傷することをより確実に防止することができ、当該時計の耐久性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書において、「時計用外装部品P10の美的外観」とは、時計用外装部品P10を単独で観察した際の美的外観に加え、時計用外装部品P10が時計に組み込まれた状態での当該部位についての美的外観も含むものである。
基材P1の光の透過率(波長:600nmの光の透過率)は、特に限定されないが、85%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。
基材P1の好適な構成材料としては、例えば、サファイアガラス、石英、プラスチック等が挙げられる。
基材P1がこれらの群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものである場合、時計用外装部品P10の美的外観をさらに優れたものとすることができる。また、時計用外装部品P10を備えた時計の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
基材P1は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよい。例えば、厚さ方向に組成の異なる層が積層された積層体や、傾斜的に組成が変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
本工程で用意する基材P1は、水洗、アルカリ洗、酸洗、有機溶媒による洗浄等の清浄化処理が施されたものであってもよい。
また、基材P1上に形成される層との密着性向上等を目的として表面処理が施されたものであってもよい。
<凹部形成工程>
次に、第1の粒子P31Aが気体中に分散してなる第1のエアロゾルをノズルから基材P1に向けて吹き付けて、その衝撃力によって基材P1上に凹部P11を形成する(1b)。
このように、本発明では、後に詳述する被膜形成工程に先立ち、凹部形成工程を有している。これにより、被膜を凹部内に形成することができ被膜の耐摩耗性等を優れたものとすることができ、時計用外装部品の耐久性、信頼性を優れたものとすることができる。
また、本発明の時計用外装部品の製造方法では、本工程(凹部形成工程)および被膜形成工程を、いずれも、粒子が気体中に分散してなるエアロゾルをノズルから基材に向けて吹き付けることにより行う。
これにより、上記のような効果が得られるとともに、凹部形成工程および被膜形成工程を同一の装置を用いて、連続的に行うことができるため、時計用外装部品の生産性を優れたものとすることができる。
また、粒子(第1の粒子)が気体中に分散してなるエアロゾル(第1のエアロゾル)をノズルから基材に向けて吹き付けて凹部を形成することにより、マスクを用いなくても、所望のパターンの凹部を形成することができる。このため、時計用外装部品の生産性や、省資源の観点から有利である。
また、粒子(第1の粒子)が気体中に分散してなるエアロゾル(第1のエアロゾル)をノズルから基材に向けて吹き付けて凹部を形成することにより、形成される凹部の形状、深さ、幅を好適に調整することができる。その結果、最終的に得られる時計用外装部品が有するべき被膜のパターンを精確に制御することができる。
また、粒子(第1の粒子)が気体中に分散してなるエアロゾル(第1のエアロゾル)をノズルから基材に向けて吹き付けて凹部を形成することにより、形成される凹部の内面の表面粗さを適度なものとすることができる。これにより、後の被膜形成工程で形成される被膜と基材との密着性等を特に優れたものとすることができ、時計用外装部品の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
第1の粒子P31Aの構成材料としては、例えば、各種金属、各種金属酸化物、各種金属窒化物、各種金属炭化物、各種金属ホウ化物、各種金属硫化物、各種炭素材料、各種顔料等が挙げられる。
第1の粒子P31Aは、単一の粒子内に異なる複数種の材料を含むものであってもよいし、第1の粒子P31Aとして、異なる材料で構成された複数種の粒子を用いてもよい。
第1の粒子P31Aを構成する金属材料としては、例えば、Au、Pt、Pd、Ni、Ag、Al、Cu、Ti、Crやこれらのうち少なくとも1種を含む合金等が挙げられるが、Auを含むものであるのが好ましい。
第1の粒子P31Aを構成する金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ケイ素等が挙げられる。
第1の粒子P31Aを構成する金属窒化物としては、例えば、窒化チタン、窒化クロム、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化タンタル、窒化ケイ素等が挙げられる。
第1の粒子P31Aを構成する金属炭化物としては、例えば、炭化チタン、炭化クロム、炭化ジルコニア、炭化アルミニウム、炭化カルシウム、炭化タングステン、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ケイ素等が挙げられる。
第1の粒子P31Aを構成する金属ホウ化物としては、例えば、ホウ化ジルコニウム、ホウ化モリブデン等が挙げられる。
第1の粒子P31Aを構成する金属硫化物としては、例えば、硫化亜鉛、硫化クロム、硫化カドミウム等が挙げられる。
第1の粒子P31Aを構成する炭素材料としては、例えば、黒鉛、グラフェン、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。
第1の粒子P31Aを構成する顔料としては、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
すなわち、黒色顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、酸化チタン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
また、黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G 、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等が挙げられる。
また、橙色顔料としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR 、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンB レーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
また、青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
また、緑色顔料としては、例えば、酸化クロム、クロムグリーン、ピクメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
中でも、第1の粒子P31Aの構成材料としては、酸化アルミニウムが好ましい。これにより、凹部P11の形成の効率を特に優れたものとすることができる。また、酸化アルミニウムは、比較的安価で安定的な入手が容易であるため、時計用外装部品P10の安定生産、コストダウンの観点からも好ましい。
第1の粒子P31Aとしては、後に詳述する第2の粒子P31Bと同一の組成の有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよい。
第1の粒子P31Aと第2の粒子P31Bとが同一の組成を有するものである場合、粒子の種類を変更することなく、凹部形成工程と被膜形成工程とを連続的に行うことができるため、時計用外装部品P10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、回収した粒子を好適に再利用することができる。
第1の粒子P31Aと第2の粒子P31Bとが異なる組成を有するものである場合、第1の粒子P31Aおよび第2の粒子P31Bのそれぞれについて、最適な材料を選択することができるため、時計用外装部品P10の生産性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる時計用外装部品P10の美的外観等を特に優れたものとすることができる。また、形成すべき凹部P11の深さが比較的深いものである場合、研磨性に優れた材料を選択することができるため、時計用外装部品P10の生産性を特に優れたものとすることができる。
第1の粒子P31Aの平均粒径は、100nm以上150μm以下であるのが好ましく、150nm以上100μm以下であるのがより好ましい。
これにより、凹部P11の形成の効率を特に優れたものとすることができるとともに、第1の粒子P31Aの凝集の発生をより効果的に防止することができるため、回収した第1の粒子P31Aを好適に再利用することができる。
なお、本明細書では、「平均粒径」とは、質量基準の平均粒径のことを指すものとする。この平均粒径は、例えば、エアロゾルのモビリティーを測定し、エアロダイナミック径を求めることにより得ることができる。粒径の測定には、例えば、TSI社製微分型静電分級器等を用いることができる。なお、平均粒径は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡の測定結果から求めてもよい。
凹部P11を形成すべき基材P1の表面における法線と第1の粒子P31Aの入射方向とのなす角(入射角)θは、10°以上85°以下であるのが好ましく、30°以上75°以下であるのがより好ましく、40°以上65°以下であるのがさらに好ましい。
これにより、より効率よく、所望の形状を有する凹部P11を所望の部位に形成することができる。また、いったん基材P1に衝突した第1の粒子P31A等が目的としない部位に衝突することによる不都合の発生をより効果的に防止することができる。
本工程の処理条件は、一定であってもよいし、経時的に変化するものであってもよい。
例えば、第1の粒子P31Aの入射角や第1のエアロゾルの噴射圧力を、経時的に変化させることにより行ってもよい。これにより、形成される凹部P11の形状を好適に調整することができる。
本工程で形成される凹部P11の深さの最大値は、0.01μm以上150μm以下であるのが好ましく、0.03μm以上100μm以下であるのがより好ましく、0.05μm以上80μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、時計用外装部品P10の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、時計用外装部品P10の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、時計用外装部品P10の生産性を特に優れたものとすることができる。
本工程(凹部形成工程)および被膜形成工程で用いる処理装置については、後に詳述する。
<被膜形成工程>
次に、凹部P11が形成された基材P1に被膜P3を形成する(1c)。
特に、第2の粒子P31Bが気体中に分散してなる第2のエアロゾルをノズルから基材P1に向けて吹き付けて、その衝撃力によって、第2の粒子P31Bを堆積(付着)させて、被膜P3を形成する。
このような方法で被膜P3を形成することにより、美的外観に優れ、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい時計用外装部品P10を提供することができる。すなわち、所望の部位に選択的に被膜P3を形成することができ、材料の無駄の発生を効果的に防止することができる。また、マスク形成等の前処理、不要な成膜部分の除去等の後処理を、省略または簡略化することができる。また、優れた質感を有する材料で構成された被膜P3を形成することができる。
また、このような方法では、揮発性溶媒等を用いる必要がないので、時計用外装部品P10が時計に組み込まれた状態で、揮発性成分(揮発性有機化合物)が揮発することによる問題(ムーブメントの故障、不具合の発生、カバーガラス等の曇り等)の発生を効果的に防止することができる。
また、前述した凹部P11の形成と同様の方法(エアロゾルをノズルから噴射する方法)を用いることにより、凹部形成工程で形成する凹部P11と、本工程で形成する被膜P3との位置精度を優れたものとすることができ、製造される時計用外装部品P10の信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、前述した凹部P11の形成と同様の方法(エアロゾルをノズルから噴射する方法)を用いることにより、凹部形成工程と被膜形成工程とを連続的に行うことができ、時計用外装部品P10の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、凹部形成工程と被膜形成工程とを連続的に行うことにより、凹部形成工程で形成する凹部P11と、本工程で形成する被膜P3との位置合わせのための処理を省略または簡略化することができる。
また、本工程において、被膜P3は、少なくとも凹部P11の一部を含む領域に形成されるものである。
これにより、被膜P3は耐摩擦性、耐摩耗性に優れたものとなり、時計用外装部品P10は耐久性、信頼性に優れたものとなる。
第2の粒子P31Bの構成材料としては、例えば、各種金属、各種金属酸化物、各種金属窒化物、各種金属炭化物、各種金属ホウ化物、各種炭素材料、各種顔料等が挙げられる。
第2の粒子P31Bは、単一の粒子内に異なる複数種の材料を含むものであってもよいし、第2の粒子P31Bとして、異なる材料で構成された複数種の粒子を用いてもよい。
第2の粒子P31Bを構成する金属材料としては、例えば、Au、Pt、Pd、Ni、Ag、Al、Cu、Ti、Crやこれらのうち少なくとも1種を含む合金等が挙げられるが、Auを含むものであるのが好ましい。
第2の粒子P31Bを構成する金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ケイ素等が挙げられる。
第2の粒子P31Bを構成する金属窒化物としては、例えば、窒化チタン、窒化クロム、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化タンタル、窒化ケイ素等が挙げられる。
第2の粒子P31Bを構成する金属炭化物としては、例えば、炭化チタン、炭化クロム、炭化ジルコニア、炭化アルミニウム、炭化カルシウム、炭化タングステン、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ケイ素等が挙げられる。
第2の粒子P31Bを構成する金属ホウ化物としては、例えば、ホウ化ジルコニウム、ホウ化モリブデン等が挙げられる。
第2の粒子P31Bを構成する金属硫化物としては、例えば、硫化亜鉛、硫化クロム、硫化カドミウム等が挙げられる。
第2の粒子P31Bを構成する炭素材料としては、例えば、黒鉛、グラフェン、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。
すなわち、黒色顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、酸化チタン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
また、黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G 、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等が挙げられる。
また、橙色顔料としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR 、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンB レーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
また、青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
また、緑色顔料としては、例えば、酸化クロム、クロムグリーン、ピクメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
第2の粒子P31B(被膜P3)が金属材料で構成されたものであると、以下のような効果が得られる。
すなわち、第2の粒子P31B(被膜P3)が金属材料で構成されたものであると、第2の粒子P31Bが気体中に分散してなる第2のエアロゾルをノズルから吹き付けることによる成膜をより好適に行うことができ、時計用外装部品P10の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、基材P1と被膜P3との密着性を特に優れたものとすることができ、時計用外装部品P10の耐久性を特に優れたものとすることができる。
中でも、第2の粒子P31B(被膜P3)が、Auを含むものであると、時計用外装部品P10の美的外観をさらに優れたものとすることができる。また、Auは高価な貴金属であるとともに、成膜に利用されなかったものの回収に用いる物質の環境への負荷が特に大きいものである。したがって、被膜P3がAuを含む金属材料である場合に、本発明を適用することによる効果がより顕著に発揮される。
また、第2の粒子P31B(被膜P3)が金属酸化物および/または金属窒化物で構成されたものであると、以下のような効果が得られる。
すなわち、第2の粒子P31B(被膜P3)が金属酸化物および/または金属窒化物で構成されたものであると、第2の粒子P31Bが気体中に分散してなるエアロゾルをノズルから吹き付けることによる成膜をより好適に行うことができ、時計用外装部品P10の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、被膜P3の硬度を特に優れたものとすることができ、時計用外装部品P10の耐久性を特に優れたものとすることができる。
第2の粒子P31Bの平均一次粒子径(一次粒子の平均粒径)は、150μm以下であるのが好ましい。
これにより、時計用外装部品P10の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、基材P1と被膜P3との密着性を特に優れたものとすることができ、時計用外装部品P10の耐久性を特に優れたものとすることができる。
第2の粒子P31Bの平均一次粒子径(一次粒子の平均粒径)は、150μm以下であるのが好ましいが、10nm以上100μm以下であるのがより好ましい。これにより、前述した効果がより顕著に発揮されるとともに、被膜P3の形成効率が特に優れたものとなり、時計用外装部品P10の生産性を特に優れたものとすることができる。
本工程で用いる第2の粒子P31Bは、凹部形成工程で用いる第1の粒子P31Aと同一の条件を満足する粒子であり、本工程での第2の粒子P31Bの吹き付け条件と、凹部形成工程での第1の粒子P31Aの吹き付け条件とが異なるものであるのが好ましい。
これにより、凹部形成工程と被膜形成工程とを連続的に行うことができるため、時計用外装部品P10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、回収した粒子を好適に再利用することができる。
特に、基材P1に対する第1の粒子P31Aの入射角θと、基材P1に対する第2の粒子P31Bの入射角θとが異なるものであるのが好ましい。
これにより、より好適に、凹部形成工程においては凹部P11を形成し、被膜形成工程においては被膜P3を形成することができる。その結果、時計用外装部品P10の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、時計用外装部品P10の美的外観をより確実に優れたものとすることができる。
基材P1の法線と第1の粒子P31Aの入射方向とのなす角をθ[°]、基材P1の法線(凹部P11が形成されていないものとした場合の表面における法線)と第2の粒子P31Bの入射方向とのなす角をθ[°]としたとき、10≦θ−θ≦80の関係を満足するのが好ましく、15≦θ−θ≦75の関係を満足するのがより好ましく、20≦θ−θ≦70の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、さらに好適に、凹部形成工程においては凹部P11を形成し、被膜形成工程においては被膜P3を形成することができる。その結果、時計用外装部品P10の生産性をさらに優れたものとすることができるとともに、時計用外装部品P10の美的外観をさらに確実に優れたものとすることができる。
被膜P3を形成すべき基材P1の表面における法線(凹部P11が形成されていないものとした場合の表面における法線)と第2の粒子P31Bの入射方向とのなす角(入射角)θは、0°以上85°以下であるのが好ましく、0°以上50°以下であるのがより好ましく、0°以上40°以下であるのがさらに好ましい。
これにより、より効率よく、所望の形状を有する被膜P3を所望の部位に形成することができる。また、第2の粒子が、不本意に基材P1の一部を削り取ってしまうことをより効果的に防止することができる。
本工程の処理条件は、一定であってもよいし、経時的に変化するものであってもよい。
例えば、第2の粒子P31Bの入射角や第2のエアロゾルの噴射圧力を、経時的に変化させることにより行ってもよい。これにより、形成される被膜P3の形状を好適に調整することができる。
被膜P3は、時計用外装部品P10が時計に組み込まれた状態において、観察可能な部位の一部に選択的に設けられるものであるのが好ましい。
これにより、被膜P3自体が特定のパターンを有するものであることの効果や、被膜P3が設けられた部位と被膜P3が設けられていない部位との組み合わせによる効果により、時計用外装部品P10、時計の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、従来においては、時計用外装部品が時計に組み込まれた状態において、被膜が観察可能な部位の一部に選択的に設けられたものである場合に、時計用外装部品の製造時における材料の無駄が特に多くなる等の問題があったが、本発明によれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。したがって、被膜P3が、時計用外装部品P10が時計に組み込まれた状態において観察可能な部位の一部に選択的に設けられたものである場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
時計用外装部品P10が時計に組み込まれた状態において、時計用外装部品P10の観察可能な部位のうち、被膜P3が設けられている部位の占める面積率(時計用外装部品P10の表面が平坦なものである場合には、当該面の法線方向から観察した際の面積率)は、特に限定されないが、70%以下であるのが好ましく、2%以上50%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
被膜P3の平均厚さは、0.01μm以上100μm以下であるのが好ましく、0.05μm以上80μm以下であるのがより好ましく、0.10μm以上70μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、時計用外装部品P10の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、時計用外装部品P10の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、時計用外装部品P10の生産性を特に優れたものとすることができる。
本工程で形成される被膜P3は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよい。例えば、時計用外装部品P10は、異なる質感(例えば、異なる色彩)の複数種の被膜P3を所定のパターンで有するものであってもよい。これにより、時計用外装部品P10の美的外観のさらなる向上を図ることができる。
<反射防止膜形成工程>
次に、基材P1の被膜P3が設けられた面側に反射防止膜P4を形成する(1d)。
これにより、外光の不本意な映り込みを効果的に防止することができ、時計用外装部品P10の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、時計用外装部品P10がカバーガラス(風防ガラス)に適用される場合においては、上記のように美的外観を向上させる効果が得られるとともに、文字板の視認性も向上させることができ、時計全体としての美的外観を特に優れたものとすることができる。また、時刻等の識別性も向上する等、実用品としての機能も向上する。
反射防止膜P4は、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、化学蒸着法(CVD)等の気相成膜法(乾式めっき法)、湿式めっき法、ディッピング等により形成することができる。
反射防止膜P4の厚さは、特に限定されないが、0.2μm以上10μm以下であるのが好ましく、0.3μm以上7μm以下であるのがより好ましい。
これにより、時計用外装部品P10が大型化、厚型化するのを効果的に防止しつつ、前述したような機能をより効果的に発揮することができる。
なお、図示の構成では、基材P1の被膜P3が設けられた側の面全体に反射防止膜P4を形成しているが、例えば、反射防止膜P4は、基材P1の被膜P3が設けられた側の面の一部のみに選択的に設けられるものであってもよい。
次に、本発明の時計用外装部品の製造方法の他の好適な実施形態について説明する。
図2は、本発明の時計用外装部品の製造方法の他の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。以下の説明では、前述した実施形態との相違点について中心的に説明し、同様の事項についての説明は省略する。
図2に示すように、本実施形態の製造方法は、基材P1を準備する基材準備工程(2a)と、基材P1に凹部P11を形成する凹部形成工程(2b)と、基材P1の凹部P11が設けられた面側に下地層P2を形成する下地層形成工程(2c)と、少なくとも凹部P11の一部を含む領域に被膜P3を形成する被膜形成工程(2d)と、基材P1の下地層P2、被膜P3が設けられた面側に反射防止膜P4を形成する反射防止膜形成工程(2e)とを有している。
すなわち、本実施形態は、凹部形成工程と被膜形成工程との間に、下地層形成工程を有する以外は、前述した実施形態と同様である。
以下、下地層形成工程について詳細に説明する。
<下地層形成工程>
下地層形成工程では、基材P1の凹部P11が設けられた面側に下地層P2を形成する(3c)。
これにより、例えば、基材P1と被膜P3との密着性(下地層P2を介した密着性)を特に優れたものとすることができる。また、例えば、下地層P2を着色層として機能させることにより、時計用外装部品P10の美的外観のさらなる向上を図ることもできる。また、下地層P2をギャップ層として機能させることにより、被膜P3が浮き上がったような立体感のある外観を得ることができる。
下地層P2の平均厚さは、0.01μm以上10μm以下であるのが好ましい。
これにより、下地層P2は、前述したような機能をより効果的に発揮することができる。
下地層P2は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、TiNで構成されたものであるのが好ましい。
これにより、基材P1と被膜P3との密着性(下地層P2を介した密着性)、特に、被膜P3が金属材料や金属酸化物、金属窒化物で構成されたものである場合の密着性を特に優れたものとすることができる。また、TiNは、前述したような厚さで、高い透明性を有する材料であるため、時計用外装部品P10全体としての外観に悪影響を及ぼすことをより効果的に防止することができる。
なお、図示の構成では、基材P1の被膜P3が設けられた側の面全体に下地層P2を形成しているが、例えば、下地層P2は、被膜P3と接触する部位のみに選択的に形成してもよい。また、下地層P2は、基材P1の被膜P3で被覆される部位のうちの一部のみに設けられるものであってもよい。
また、図示の構成では、1層の下地層P2を形成しているが、2層以上の下地層を形成してもよい。
下地層P2は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよい。例えば、厚さ方向に組成の異なる層が積層された積層体や、傾斜的に組成が変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
下地層P2は、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、化学蒸着法(CVD)等の気相成膜法(乾式めっき法)、湿式めっき法、ディッピング等により形成することができる。
<処理装置>
次に、凹部P11の形成、被膜P3の形成に用いることのできる処理装置について説明する。
図3は、凹部の形成、被膜の形成に用いられる処理装置の好適な実施形態を示す縦断面側面図、図4は、処理装置が備える解砕器の構成の一例を示す縦断面側面図、図5は、図3に示す処理装置の主要部のブロック図である。なお、以下では、説明の便宜上、図3において、互いに直交する3つの軸として、x軸、y軸およびz軸を図示している。x軸は、水平方向のうちの一方向に沿った軸であり、y軸は、水平方向であって前記x軸に対し垂直な方向に沿った軸であり、z軸は、鉛直方向(上下方向)に沿った軸である。また、図示した各矢印の先端側を「正側(+側)」、基端側を「負側(−側)」とする。また、図3中の上側を「上(上方)」と言い、下側を「下(下方)」と言う。また、図3においては、基材P1上に設けられた下地層P2の図示を省略している。
処理装置1は、粒子が気体中に分散してなるエアロゾルをノズルから噴射する装置である。
図3に示す処理装置1は、別途用意した粒子P31(第1の粒子P31A、第2の粒子P31B)を気体中に分散させてなるエアロゾル(第1のエアロゾル、第2のエアロゾル)をノズルから吹き付ける装置である。
図3、図4、図5に示す処理装置1は、エアロゾル発生器15と、解砕器4と、処理室16と、連結管2と、連結管8と、ガス供給手段3と、圧力調整手段5と、移動手段6と、制御部7とを備えている。
エアロゾル発生器15は、気密性を維持することができるよう構成され、その内部に粒子P31(第1の粒子P31A、第2の粒子P31B)を収納することができる。
解砕器4は、連結管8によりエアロゾル発生器15と連結している。
解砕器4は、エアロゾル発生器15で発生したエアロゾル中に含まれる粒子P31を解砕する機能を有する。
処理室16は、凹部形成工程においては凹部形成室として機能する部位であり、被膜形成工程においては成膜室として機能する部位である。処理室(凹部形成室、成膜室)16は、エアロゾル発生器15、解砕器4と独立して設けられている。この処理室16も、気密性を維持することができるよう構成され、その内部に複数の基材P1を収納することができる。
なお、処理室16内の室温は、例えば、水冷により、すなわち、配管を通過する冷媒により、25℃以上30℃以下に調整されている。
連結管2は、解砕器4と処理室16とを連結するものであり、その内腔部22が、粒子P31が通過する流路として機能する。
連結管2は、その一端に開口した第1の開口部(一端開口部)25が解砕器4内に臨んでおり、他端に開口した第2の開口部(他端開口部)21が処理室16内に臨んでいる。
このような構成により、エアロゾル発生器15と処理室16とは、連結管8、解砕器4および連結管2を介して、連通する。
連結管2(内腔部22)を通過する粒子P31は、第2の開口部21から基材P1に吹き付けられる。これにより、凹部形成工程においては基材P1に凹部P11が形成され、被膜形成工程においては被膜P3が形成される。このように、連結管2では、第2の開口部21側の部分がノズル部24として機能する。
なお、ノズル部24は、粒子P31の基材P1への入射角を変更することができるように構成されている。
なお、連結管2の平均内径は、特に限定されないが、例えば、1mm以上10mm以下であるのが好ましい。また、第2の開口部21の内径は、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上1mm以下であるのが好ましい。
また、連結管2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等のような金属材料を用いることができる。
また、連結管2の外周部には、当該連結管2を加熱する加熱機構90が設けられているのが好ましい。この加熱機構90により、連結管2を通過する粒子P31が連結管2−内周部(内壁)に付着するのを防止することができる。なお、加熱温度としては、特に限定されず、例えば、100℃以上300℃以下が好ましく、250℃以上300℃以下がより好ましい。
図3に示すように、ガス供給手段3は、エアロゾル発生器15内にガスを供給するものである。なお、この供給量としては、特に限定されず、例えば、1L/分以上90L/分以下であるのが好ましい。
ガス供給手段3は、ガスが充填されたタンク31と、タンク31とエアロゾル発生器15とを連結する連結管32と、連結管32の途中に設置された電磁弁33とを有している。
タンク31は、ガスを気密的に貯留することができるものである。
タンク31に貯留されるガスとしては、特に限定されず、例えば、窒素ガスを用いることができ、その他、ヘリウムやアルゴン等のような不活性ガスも用いることができる。また、粒子P31として金属酸化物で構成されたものを用いる場合には、当該ガスとして、酸素を含むものを好適に用いることができる。これにより、粒子P31の不本意な還元を防止することができる。
タンク31とエアロゾル発生器15とは、連結管32を介して、連通している。この連結管32は、硬質のものであってもよいし、可撓性を有するものであってもよい。
また、連結管32には、その長手方向の途中に電磁弁33が設置されている。電磁弁33は、連結管32を開閉するものである。そして、電磁弁33が開状態のときに、タンク31とエアロゾル発生器15とが連通する。これにより、タンク31からエアロゾル発生器15へのガスの供給が行われる。また、電磁弁33が閉状態のときに、タンク31とエアロゾル発生器15との連通が遮断される。これにより、タンク31からエアロゾル発生器15へのガスの供給が停止する。
タンク31からエアロゾル発生器15にガスが供給されることにより、エアロゾル発生器15に収納された粒子P31がガスに分散したエアロゾルが発生する。
このようにしてエアロゾル発生器15内で発生したエアロゾルは、タンク31からのガスがキャリアガスとして機能することにより、連結管8を介して、解砕器4内に導入される。
図4に示すように、解砕器4は、粒子P31を含むエアロゾルが導入される容器41と、連結管8から粒子P31を含むエアロゾルが導入されるエアロゾル導入口42と、粒子P31の解砕を行う解砕具43と、解砕された粒子P31を含むエアロゾルを連結管2に導出するエアロゾル導出口44と、解砕具43に粒子P31が付着した場合にこれを除去するブラシ45と、容器41内にガスを導入するガス導入口46a、46bと、超音波振動装置47とを備えている。
解砕器4においては、容器41内にエアロゾル導入口42が設置され、その先に円筒型の解砕具43が図示しないモーターによって軸回転が可能な状態で配置されている。エアロゾル導入口42の開口は、解砕具43の円筒軸方向が長辺となるスリット状となっている。当該スリットの幅は、特に限定されないが、1mm以下であるのが好ましい。
解砕具43としては、エアロゾルが衝突する円筒側面が炭化チタン等の高硬度材料で構成されたものであるのが好ましい。
解砕具43の上方には、エアロゾル導出口44が配置されている。また、解砕具43に接するようにブラシ45が設置されている。解砕具43からエアロゾル導出口44にかけての空間に、ガス導入口46a、46bが配置され、エアロゾル導出口44の外周部には超音波振動装置47が設置されている。
エアロゾル発生器15において発生させたエアロゾルをエアロゾル導入口42にて加速させて、解砕具43の円筒側面に衝突させる。図中の太い矢印はエアロゾルの進行方向を示している。解砕具43は図の矢印のように時計周り方向に回転する。したがって導入される位置を次々と変化させるエアロゾルは解砕具43の円筒側面に、常に衝突面を変えながら衝突する。これにより、エアロゾル発生器15において発生させたエアロゾルが凝集粒を比較的多く含むものであっても、当該凝集粒を効率よく解砕することができる。
円筒側面には、多少エアロゾル中の粒子P31が付着することがあるが、付着粉はブラシ45にてこすり落とされ、容器41の底に蓄積される。解砕具43に衝突して凝集粒が解砕され、一次粒子に富むエアロゾルに変換される。エアロゾル導入口42から導入されるエアロゾルは解砕具43の円筒側面に斜めに衝突するため、エアロゾルの大部分は円筒側面の接線方向に沿って反射するものの、ある程度の拡散幅を持っているため、エアロゾル導出口44の内壁に衝突し付着することが考えられるが、これを防ぐためにガス導入口46a、46bからガスを導入し、エアロゾル導出口44の内面にカーテン状のガス膜を形成させて付着を防いだり、超音波振動装置47を運転させてエアロゾル導出口44を振動させ、付着が進行しないように工夫することが好適である。ガス導入口46a、46bからの小さな矢印は、ここから導入されるガスの流れを示している。さらに、導入するガスをあらかじめイオン化させておくことで、解砕された粒子P31の表面電荷を中和して、エアロゾル中で再凝集を防止するのが好ましい。
このようにして一次粒子に富んだエアロゾルに変換され導出されたエアロゾルは、図示しないノズルへと導かれ、したがって効率よく、また欠陥が少ない状態で長時間に亘って不具合なく構造物を形成させることが可能となる。
解砕器4において一次粒子に富んだものに変換されたエアロゾル(第1のエアロゾル、第2のエアロゾル)は、連結管2に導入され、第2の開口部21から基材P1に吹き付けられる。そして、第1のエアロゾルに含まれる第1の粒子P31Aは、基材P1に衝突して凹部P11を形成する。また、第2の粒子P31Bは、基材P1に衝突して付着することとなり、その結果、被膜P3が形成される。
圧力調整手段5は、処理室16内の圧力を、エアロゾル発生器15内の圧力、解砕器4内の圧力よりも低くするものである。
図3に示すように、圧力調整手段5は、処理室16内を吸引するポンプ51と、ポンプ51と処理室16とを連結する連結管52と、連結管52の途中に設置された電磁弁53とを有している。
ポンプ51は、処理室16内のガスGを吸引するものである。この吸引により、処理室16内のガスGが連結管52を介して排出され、よって、処理室16内の圧力がエアロゾル発生器15内の圧力、解砕器4内の圧力よりも確実に低くなる。これにより、粒子P31が16内に確実に流出することができ、よって、凹部P11の形成、被膜P3の形成を確実に行うことができる。
なお、処理室16内の圧力としては、エアロゾル発生器15内の圧力等にもよるが、例えば、エアロゾル発生器15内の圧力が10kPa以上1MPa以下である場合、10kPa未満とすることができる。
また、ポンプ51としては、特に限定されず、例えば、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプ等を用いることができる。
ポンプ51は、連結管52を介して、処理室16と連結されている。この連結管52は、硬質のものであってもよいし、可撓性を有するものであってもよい。
また、連結管52には、その長手方向の途中に電磁弁53が設置されている。電磁弁53は、連結管52を開閉するものである。そして、電磁弁53が開状態のときに、ポンプ51の吸引力により、処理室16内を吸引することができ、よって、処理室16内を減圧することができる。また、電磁弁53が閉状態のときに、ポンプ51の吸引力が処理室16内に及ぶのが阻止される。
図3に示すように、移動手段6は、基材P1を第2の開口部21に対し、y軸方向に向かって移動させるものである。図3、図5に示すように、移動手段6は、複数の基材P1を搬送するステージ(テーブル)61と、ステージ61をy軸方向に向かって移動させるy軸モーター62yと、y軸モーター62yの駆動を制御するy軸モータードライバー63yとを有している。また、移動手段6は、ステージ61をx軸方向に向かって移動させることもでき、その移動を行なうx軸モーター62xと、x軸モーター62xの駆動を制御するx軸モータードライバー63xとを有している。
ステージ61は、例えばステンレス鋼等のような金属材料で構成された板状をなす部材である。このステージ61は水平に支持されている。
y軸モーター62yは、例えばサーボモータであり、ボールねじ(図示せず)等を介して、ステージ61と連結されている。そして、y軸モーター62yが回転することにより、その回転力がボールねじを介してステージ61に伝達される。これにより、ステージ61上に載置された複数の基材P1をステージ61ごと、y軸方向に向かって移動させることができる。
また、y軸モーター62yは、y軸モータードライバー63yと電気的に接続されている。
このy軸モータードライバー63yの制御により、y軸モーター62yの回転数を変化させることができる。これにより、ステージ61が移動する際の速さ、すなわち、移動手段6の作動時の速さが可変となる。そして、当該速さの大小に応じて、形成される凹部P11の深さ、形成される被膜P3の厚さをそれぞれ調整することができる。例えば、速さが「大」のときは、「浅い」凹部P11を形成することができ、「薄い」被膜P3を形成することができ、速さが「小」のときは、「深い」凹部P11を形成することができ、「厚い」被膜P3を形成することができる。
x軸モーター62xは、y軸モーター62yと同様に、例えばサーボモータであり、ボールねじ(図示せず)等を介して、ステージ61と連結されている。そして、x軸モーター62xが回転することにより、その回転力がボールねじを介してステージ61に伝達される。これにより、ステージ61上に載置された複数枚の基材P1をステージ61ごと、x軸方向に向かって移動させることができる。
また、x軸モーター62xは、x軸モータードライバー63xと電気的に接続されている。
ガス供給手段3、圧力調整手段5、移動手段6等の各作動は、それぞれ、制御部7により制御される。制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)が内蔵されたパーソナルコンピューター(PC)である。
図5に示すように、制御部7は、ガス供給手段3の電磁弁33と、圧力調整手段5のポンプ51および電磁弁53と、移動手段6のx軸モータードライバー63xおよびy軸モータードライバー63yとそれぞれ電気的に接続されている。そして、制御部7は、これらをそれぞれ独立して作動させることができる。なお、制御プログラムは、制御部7に内蔵された記憶部(記録媒体)71に予め記憶されている。
なお、記憶部71は、例えば、RAM(Random Access Memory:揮発性、不揮発性のいずれをも含む)、FD(Floppy Disk(Floppyは登録商標))、HD(Hard Disk)、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)等のような、磁気的、光学的記録媒体、もしくは半導体メモリーで構成されている。
次に、凹部形成工程、被膜形成工程における処理装置1の作動について、詳細に説明する。
凹部形成工程、被膜形成工程では、図3に示すように、連結管2の第2の開口部21を基材P1に対向するように、ステージ61を連結管2の第2の開口部21に対し位置合わせを行なう。なお、この位置合わせは、CCD(Charge Coupled Device)カメラを用いて、当該CCDカメラで撮像された画像に基づいて行われる。
また、このとき、処理装置1では、圧力調整手段5が作動している。これにより、処理室16内の圧力がエアロゾル発生器15内の圧力よりも低くなる。なお、この状態は、基材P1に対する凹部P11の形成、被膜P3の形成が完了するまで維持される。
処理装置1では、ガス供給手段3も作動している。
そして、移動手段6を作動させる、すなわち、ステージ61をy軸正方向に向かって移動させる。
以上のようにガス供給手段3、圧力調整手段5、移動手段6等が作動することにより、エアロゾル発生器15内で発生した粒子P31を含むエアロゾルは、処理室16に向かって連結管2を確実に通過する。粒子P31は、キャリアガスによって、円滑に連結管2を通過することができる。その後、粒子P31は、第2の開口部21から排出されて、各基材P1に対し順に吹き付けられる。これにより、凹部形成工程においては、基材P1の所望の部位に所望の形状を有する凹部P11を迅速に形成することができ、被膜形成工程においては、基材P1の所望の部位に所望の形状を有する被膜P3を迅速に形成することができる。
前述したような本発明の時計用外装部品の製造方法によれば、材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい方法で、美的外観に優れた時計用外装部品を効率よく製造することができる時計用外装部品の製造方法を提供することができる。
<<時計用外装部品>>
次に、本発明の時計用外装部品について説明する。
本発明の時計用外装部品は、凹部を有する基材と、少なくとも前記凹部の一部を含む領域に設けられた被膜とを有し、前記被膜は、粒子が気体中に分散してなるエアロゾルをノズルから、前記基材に向けて吹き付けて、その衝撃力によって、前記粒子が堆積することにより形成されたものである。
これにより、美的外観に優れ、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい時計用外装部品を提供することができる。
特に、本発明の時計用外装部品は、前述した方法により好適に得ることができる。
次に、本発明の時計用外装部品をカバーガラス(風防ガラス)に適用した場合の具体的な一例について説明する。
図6は、本発明の時計用外装部品をカバーガラスに適用した場合の好適な実施形態を示す模式的な平面図である。
図6に示すように、カバーガラスとしての本実施形態の時計用外装部品P10は、平面視した際の外周部付近に選択的に被膜P3が設けられている。
時計用外装部品は、時計に組み込まれた状態において、基材の被膜が設けられた面が、内側を向くように配置されるものであるのが好ましい。これにより、被膜の不本意な剥離等をより効果的に防止することができ、時計の耐久性を特に優れたものとすることができる。
特に、図示の構成では、所定のパターン(唐草模様)で被膜が設けられている。このように、複雑なパターンの被膜P3であっても、本発明によれば、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さいものとして得ることができる。
<<時計>>
次に、本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用外装部品を有するものである。
これにより、美的外観に優れ、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さい時計用外装部品を備えた時計を提供することができる。
また、時計全体としても、美的外観に優れたものとすることができ、製造時における材料の無駄が少なく、環境への負荷の小さいものとすることができる。
なお、本発明の時計は、少なくとも1つの時計用外装部品として、本発明の時計用外装部品を備えるものであればよく、それ以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図7は、本発明の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)P100は、胴(ケース)P82と、裏蓋P83と、ベゼル(縁)P84と、ガラス板(カバーガラス)P85とを備えている。また、ケースP82内には、時計用文字板P7と、太陽電池P94と、ムーブメントP81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。
ガラス板P85は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、時計用文字板P7や針等の視認性を十分に優れたものとすることができるとともに、太陽電池P94に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメントP81は、太陽電池P94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図7中では省略しているが、ムーブメントP81内には、例えば、太陽電池P94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメントP81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池P94は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池P94で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池P94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴P82には巻真パイプP86が嵌入・固定され、この巻真パイプP86内にはりゅうずP87の軸部P871が回転可能に挿入されている。
胴P82とベゼルP84とは、プラスチックパッキンP88により固定され、ベゼルP84とガラス板P85とはプラスチックパッキンP89により固定されている。
また、胴P82に対し裏蓋P83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)P93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)P92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部P93が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうずP87の軸部P871の途中の外周には溝P872が形成され、この溝P872内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)P91が嵌合されている。ゴムパッキンP91は巻真パイプP86の内周面に密着し、該内周面と溝P872の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうずP87と巻真パイプP86との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうずP87を回転操作したとき、ゴムパッキンP91は軸部P871と共に回転し、巻真パイプP86の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、本発明の時計用外装部品、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、時計用外装部品が、基材、被膜に加え、反射防止膜を備える場合について中心的に説明したが、本発明の時計用外装部品は、基材と被膜とを備えるものであればよく、反射防止膜を備えていないものであってもよい。
また、本発明の時計用外装部品の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。
また、前述した実施形態では、凹部形成工程の完了後に、被膜形成工程を行うものとして説明したが、凹部形成工程と被膜形成工程とは同時進行的に行うものであってもよい。
また、図示の構成では、被膜は、凹部全体を埋めるように形成されており、凹部外にはみ出さないように形成されているが、本発明において、被膜は、少なくとも凹部の一部を含む領域に形成されるものであればよく、例えば、凹部の一部のみを埋めるように形成されるものや、凹部外にはみ出して形成されるものであってもよい。
また、前記の説明では、下地層を形成する場合、凹部を形成した後に下地層を形成するものとして説明したが、例えば、下地層を形成した後に、凹部を形成してもよい。このような構成であっても、凹部の深さが下地層の厚さよりも小さい場合、前述したような下地層を設けることによる効果が十分に発揮される。
また、処理装置の連結管の開口部は、前述した実施形態ではz軸負方向を向いているが、これに限定されず、例えば、x軸正方向、x軸負方向、y軸正方向、y軸負方向またはz軸正方向を向いていてもよい。
また、処理装置の移動手段は、前記実施形態では基材を連結管のノズル部に対しy軸正方向に向かって移動させるよう構成されているが、これに限定されず、例えば、連結管のノズル部を基材に対しy軸正方向に向かって移動させるよう構成されていてもよい。
また、処理装置の移動手段は、ステージをz軸方向にも移動させることができるよう構成されていてもよい。また、ステージを回転可能に構成されていてもよい。
また、処理装置は、基材に対し凹部を形成する際、基材に対し被膜を形成する際には、前記実施形態ではステージを移動させつつ、それらの形成を行なっていたが、これに限定されず、例えば、各基材上にノズルが位置するごとに、ステージの移動を停止し、それらの形成を行なってもよい。
また、前述した実施形態では、処理装置が解砕器を備えるものとして説明したが、被膜の形成には、解砕器を備えていないものを用いてもよい。
また、前述した実施形態では、処理装置が連結管を加熱する加熱機構を備えるものとして説明したが、被膜の形成には、前記加熱機構を備えていないものを用いてもよい。
P100……腕時計(携帯時計) P10……時計用外装部品 P1……基材 P11……凹部 P2……下地層 P3……被膜 P31……粒子 P31A……第1の粒子 P31B……第2の粒子 P4……反射防止膜 P7……時計用文字板 P81……ムーブメント P82……胴(ケース) P83……裏蓋 P84……ベゼル(縁) P85……ガラス板(カバーガラス) P86……巻真パイプ P87……りゅうず P871……軸部 P872……溝 P88……プラスチックパッキン P89……プラスチックパッキン P91……ゴムパッキン(りゅうずパッキン) P92……ゴムパッキン(裏蓋パッキン) P93……接合部(シール部) P94……太陽電池 1……処理装置 2……連結管 21……第2の開口部(他端開口部) 22……内腔部 24……ノズル部 25……第1の開口部(一端開口部) 3……ガス供給手段 31……タンク 32……連結管 33……電磁弁 4……解砕器 41……容器 42……エアロゾル導入口 43……解砕具 44……エアロゾル導出口 45……ブラシ 46a……ガス導入口 46b……ガス導入口 47……超音波振動装置 5……圧力調整手段 51……ポンプ 52……連結管 53……電磁弁 6……移動手段 61……ステージ(テーブル) 62x……x軸モーター 62y……y軸モーター 63x……x軸モータードライバー 63y……y軸モータードライバー 7……制御部 71……記憶部(記録媒体) 8……連結管 15……エアロゾル発生器 16……処理室(凹部形成室、成膜室) 90……加熱機構 G……ガス

Claims (12)

  1. 第1の粒子が気体中に分散してなる第1のエアロゾルをノズルから基材に向けて吹き付けて、その衝撃力によって基材上に凹部を形成する凹部形成工程と、
    第2の粒子が気体中に分散してなる第2のエアロゾルをノズルから、前記基材に向けて吹き付けて、その衝撃力によって、少なくとも前記凹部の一部を含む領域に被膜を形成する被膜形成工程とを有することを特徴とする時計用外装部品の製造方法。
  2. 前記第1の粒子および前記第2の粒子は、同一の条件を満足する粒子であり、
    前記第1の粒子の吹き付け条件と、前記第2の粒子の吹き付け条件とが異なるものである請求項1に記載の時計用外装部品の製造方法。
  3. 前記基材に対する前記第1の粒子の入射角と、前記基材に対する前記第2の粒子の入射角とが異なるものである請求項1または2に記載の時計用外装部品の製造方法。
  4. 前記基材の法線と前記第1の粒子の入射方向とのなす角をθ[°]、前記基材の法線と前記第2の粒子の入射方向とのなす角をθ[°]としたとき、10≦θ−θ≦80の関係を満足する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の時計用外装部品の製造方法。
  5. 前記被膜形成工程の後に、反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の時計用外装部品の製造方法。
  6. 前記基材は、透明性を有するものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の時計用外装部品の製造方法。
  7. 前記基材は、サファイアガラス、石英およびプラスチックよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の時計用外装部品の製造方法。
  8. 前記被膜は、金属材料で構成されたものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の時計用外装部品の製造方法。
  9. 前記被膜は、金属酸化物および/または金属窒化物で構成されたものである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の時計用外装部品の製造方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする時計用外装部品。
  11. 凹部を有する基材と、
    少なくとも前記凹部の一部を含む領域に設けられた被膜とを有し、
    前記被膜は、粒子が気体中に分散してなるエアロゾルをノズルから、前記基材に向けて吹き付けて、その衝撃力によって、前記粒子が堆積することにより形成されたものであることを特徴とする時計用外装部品。
  12. 請求項10または11に記載の時計用外装部品を備えたことを特徴とする時計。
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