JP2015161219A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】噴射回数の変更時におけるトルクの急変を抑制した燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関1の燃焼室31内に直接燃料を噴射するインジェクタ67の1サイクルあたりの噴射回数と、各回の燃料噴射の噴射時期とを制御する燃料噴射制御装置100を、噴射回数を増加させる際に、噴射回数の増加直後における第1の燃料噴射の噴射時期と第1の燃料噴射に引き続いて行われる第2の燃料噴射の噴射時期との中間値が、噴射回数の増加直前に行われていた燃料噴射の噴射時期と実質的に一致するように設定する構成とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、1サイクルあたり複数回の燃料噴射が可能な筒内噴射エンジンの燃料噴射制御装置に関し、特に噴射回数の変更時におけるトルクの急変を抑制したものに関する。
自動車等の走行用動力源として用いられるガソリンエンジン等の予混合火花点火エンジンにおいて、燃焼室を含むシリンダ筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射(直噴)が普及している。
このような筒内噴射エンジンにおいては、燃費や排ガス等の改善のため、1サイクルあたりの燃料噴射を多段化(複数回噴射化)し、各回の燃料噴射の噴射量や噴射時期を適宜チューニングすることによって、混合気形成の最適化を図っている。
多段燃料噴射を行う燃料噴射制御装置に関する従来技術として、例えば特許文献1には、分割噴射運転の要求を受けた際に、1サイクルの噴射回数を複数回に分割して燃料を噴射するとともに、トルク変動を抑制するため、一括噴射運転に対して噴射時期を遅角化することが記載されている。
特開2011−132905号公報
燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタは、燃料噴射制御装置から提供される噴射信号(開弁信号)に応じて、電磁式、ピエゾ式等のアクチュエータによって開閉駆動されるニードルバルブ(プランジャ)を有し、燃料ポンプによって加圧され蓄圧された燃料を、所定の噴射時期に所定の噴射期間にわたって噴射するものである。
このようなインジェクタは、ハードウェア的な制約によって、最短の噴射期間や、複数回噴射を行う場合に噴射を終了してから次回噴射を開始するまでのインターバル等に制約が設けられている。
これに対し、燃料の圧力(燃圧)を低下させれば最短噴射期間の制約があっても一回の噴射量を少なくすることはある程度可能であるが、形成される噴霧の性状(微細化等)を考慮した場合、燃圧を過度に低下させることはできない。
このように、1回の噴射における燃料噴射量の下限には制約が存在するため、エンジンの吸入空気量が少なく、要求される燃料噴射量が少ない場合には、その他の場合に対して噴射回数を少なくせざるを得ない場合がある。
しかし、例えば1回噴射から2回噴射に変更する際に、新たに追加される回の噴射を、初期にはごく微量として徐々に増量させることは困難であり、現実的には一回噴射時の噴射量を実質的に2分割し、かつ、ある程度間隔を隔てて噴射せざるを得ない。
このようにして噴射回数を変更するエンジンにおいては、噴射回数の変更直後には、過渡的な混合気形成の変化や筒内流動に与える影響の変化、筒内への燃料付着量の変化などが生じて燃焼状態や筒内圧が急変し、エンジンの出力トルクが急激に変動して車両サージ(車体が前後に振動する現象)の原因となる。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、噴射回数の変更時におけるトルクの急変を抑制した燃料噴射制御装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、内燃機関の燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタの1サイクルあたりの噴射回数と、各回の燃料噴射の噴射時期とを制御する燃料噴射制御装置であって、噴射回数を増加させる際に、噴射回数の増加直後における第1の燃料噴射の噴射時期と前記第1の燃料噴射に引き続いて行われる第2の燃料噴射の噴射時期との中間値が、噴射回数の増加直前に行われていた燃料噴射の噴射時期と実質的に一致するように設定することを特徴とする燃料噴射制御装置である。
これによれば、噴射回数を増加した前後での混合気形成の変化を抑制し、エンジンの出力トルクが急変して車両サージが発生することを防止できる。
請求項2に係る発明は、前記第1の燃料噴射及び前記第2の燃料噴射の少なくとも一方の噴射時期を、前記噴射直後における噴射時期から、所定の目標噴射時期に除変させることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置である。
これによれば、第1、第2の燃料噴射の噴射時期を、燃費や排ガス等のエンジンの性能上好ましい噴射時期に徐変させることによって、車両サージを防止しつつ適切な噴射時期に移行させることができる。
請求項3に係る発明は、内燃機関の燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタの1サイクルあたりの噴射回数と、各回の燃料噴射の噴射時期とを制御する燃料噴射制御装置であって、噴射回数を減少させる際に、噴射回数の減少直前における第1の燃料噴射の噴射時期と前記第1の燃料噴射に引き続いて行われる第2の燃料噴射の噴射時期との中間値が、噴射回数の減少直後に行われる燃料噴射の噴射時期と実質的に一致するように設定することを特徴とする燃料噴射制御装置である。
これによれば、噴射回数を減少した前後での混合気形成の変化を抑制し、エンジンの出力トルクが急変して車両サージが発生することを防止できる。
請求項4に係る発明は、前記第1の燃料噴射及び前記第2の燃料噴射の少なくとも一方の噴射時期を、燃料噴射回数の減少に先立って所定の初期噴射時期から、前記噴射回数の減少直前における噴射時期に除変させることを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射制御装置である。
これによれば、第1、第2の燃料噴射の噴射時期を、燃費や排ガス等の性能を最適化した通常運転時の噴射時期から、噴射回数の変更に備えた噴射時期に徐変させることによって、通常運転時のエンジン性能を確保しつつ噴射回数減少時の車両サージを抑制することができる。
以上説明したように、本発明によれば、噴射回数の変更時におけるトルクの急変を抑制した燃料噴射制御装置を提供することができる。
本発明を適用した燃料噴射制御装置の実施例を有するエンジンの構成を示す模式図である。 実施例の燃料噴射制御装置における噴射回数増加時の制御を示すフローチャートである。 実施例の燃料噴射制御装置における燃料噴射回数増加時のスロットル開度、吸入空気量、1回目・2回目噴射の燃料噴射量の分割比、1回目噴射開始時期、2回目噴射開始時期の推移を示すタイミングチャートである。 実施例の燃料噴射制御装置における噴射回数増加直前及び直後の燃料噴射時期を示す図である。
本発明は、噴射回数の変更時におけるトルクの急変を抑制した燃料噴射制御装置を提供する課題を、噴射回数を増加する際に、増加前の噴射時期における中間のタイミングを実質的に対称に挟むように増加後の第1の燃料噴射の噴射時期及び第2の燃料噴射の噴射時期を設定し、その後第1、第2の燃料噴射の噴射時期を所定の目標噴射時期に除変させることによって解決した。
以下、本発明を適用した燃料噴射制御装置の実施例について説明する。
実施例の燃料噴射制御装置は、例えば乗用車等の自動車に搭載される4ストロークのガソリン直噴エンジンに設けられるものである。
図1は、実施例の燃料噴射制御装置を有するエンジンの構成を示す模式図である。
エンジン1は、シリンダ10、ピストン20、シリンダヘッド30、吸気装置40、排気装置50、燃料供給装置60、エンジン制御ユニット100等を有して構成されている。
シリンダ10は、ピストン20が挿入されるスリーブを備えている。
シリンダ10は、図示しないクランクケースと一体に形成されたシリンダブロックに形成されている。
クランクケースは、エンジン1の出力軸である図示しないクランクシャフトを回転可能に支持し、収容するものである。
シリンダ10には、シリンダヘッド30及びスリーブの周囲に形成されたウォータージャケット内に通流される冷却水の水温を検出する水温センサ11が設けられている。
水温センサ11の出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
ピストン20は、シリンダ10のスリーブ内部に挿入され往復運動する部材である。
ピストン20は、コンロッド21を介して図示しないクランクシャフトに接続されている。
ピストン20の冠面22は、シリンダヘッド30と協働してエンジン1の燃焼室を構成する。
シリンダヘッド30は、シリンダ10のクランクシャフト側とは反対側の端部に設けられている。
シリンダヘッド30は、燃焼室31、吸気ポート32、排気ポート33、吸気バルブ34、排気バルブ35、点火栓36等を備えている。
燃焼室31は、ピストン20の冠面22と対向して形成された凹部であって、例えばペントルーフ型に形成されている。
燃焼室形状については、後に詳しく説明する。
吸気ポート32は、燃焼室31に燃焼用空気(新気)を導入する流路である。
排気ポート33は、燃焼室31から既燃ガス(排ガス)を排出する流路である。
吸気ポート32及び排気ポート33は、例えば、1気筒あたり2本ずつが形成されている。
吸気バルブ34、排気バルブ35は、吸気ポート32、排気ポート33を、所定のバルブタイミングでそれぞれ開閉するものである。
吸気バルブ34、排気バルブ35は、カムシャフト、ロッカアーム等の動弁駆動系によって駆動される。
点火栓36は、エンジン制御ユニット100が生成する点火信号に応じて、所定の点火時期にスパーク(火花)を発生し、混合気に点火するものである。
点火栓36は、燃焼室31の実質的に中心部(シリンダ10の中心軸近傍)に配置されている。
吸気装置40は、エンジン1に燃焼用空気を導入するものである。
吸気装置40は、インテークダクト41、エアクリーナ42、スロットル43、インテークマニホールド44等を有して構成されている。
インテークダクト41は、大気中から空気を導入してエンジン1へ供給する管路である。
エアクリーナ42は、インテークダクト41の入口近傍に設けられ、空気中のダスト等を濾過して浄化するものである。
エアクリーナ42の出口には、インテークダクト41内を通過する空気量(エンジン1の吸入空気量)を計測する図示しないエアフローメータが設けられている。
スロットル43は、インテークダクト41におけるエアクリーナ42の下流側に設けられ、吸気空気量を絞ることによってエンジン1の出力調整を行うものである。
スロットル43は、バタフライバルブ等の弁体、弁体を駆動する電動アクチュエータ、及び、スロットル開度を検出するスロットルセンサ等を備えて構成されている。
電動アクチュエータは、エンジン制御ユニット100からの制御信号に応じて駆動される。
インテークマニホールド44は、スロットル43の下流側に設けられ、容器状に形成されたサージタンク、及び、各気筒の吸気ポート32に接続され新気を導入する分岐管を有して構成されている。
排気装置50は、エンジン1から排ガスを排出するものである。
排気装置50は、エキゾーストパイプ51、触媒コンバータ52、空燃比センサ53等を有して構成されている。
エキゾーストパイプ51は、排気ポート33から出た排ガスを排出する管路である。
触媒コンバータ52は、エキゾーストパイプ51の中間部に設けられている。
触媒コンバータ52は、ハニカム状のアルミナ担体にプラチナ、ロジウム等の貴金属を担持させて構成され、HC、NOx、CO等を浄化する三元触媒を備えている。
空燃比(A/F)センサ53は、エンジン1の現在の空燃比を排ガスの性状に基づいて検出するリニア出力のラムダセンサである。
空燃比センサ53は、エキゾーストパイプ51の触媒コンバータ52よりも上流側の領域に設けられている。
燃料供給装置60は、燃料タンク61、フィードポンプ62、燃料搬送管63、高圧ポンプ64、燃料配管65、デリバリーパイプ66、インジェクタ67等を備えて構成されている。
燃料タンク61は、燃料(ガソリン)を貯留する容器であって、例えば車体後部の床下に搭載されている。
フィードポンプ(低圧ポンプ)62は、燃料タンク61内の燃料を、燃料搬送管63を介して高圧ポンプ64に圧送するものである。
高圧ポンプ64は、フィードポンプ62から供給された燃料を高圧に昇圧し、燃料配管65を経由して蓄圧室を兼ねたデリバリーパイプ66に供給するものである。
高圧ポンプ64は、シリンダヘッド30に設けられ吸気バルブ34を駆動するカム軸64aによって駆動される。
インジェクタ67は、例えばソレノイドやピエゾ素子を有するアクチュエータによって駆動されるニードルバルブを備え、デリバリーパイプ66内に蓄圧された高圧燃料を、エンジン制御ユニット100が生成する噴射信号(開弁信号)に応じて、所定の時期に所定の噴射量だけ噴射するものである。
インジェクタ67は、1サイクルあたり複数回の燃料噴射を行なう機能を有する。
インジェクタ67のノズルは、図1に示すように、燃焼室31の側方(シリンダボア側)における吸気バルブ34側から筒内に挿入されている。
エンジン制御ユニット100は、エンジン1及びその補機類を統括的に制御するものである。
エンジン制御ユニット100は、本発明にいう燃料噴射制御装置として機能する。
エンジン制御ユニット100は、CPU等の情報処理装置、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス及びこれらを接続するバス等を有して構成されている。
エンジン制御ユニット100は、エアフローメータによって検出されるエンジン1の吸入空気量、スロットルセンサによって検出されるスロットルバルブの開度、図示しないクランク角センサによって検出されるクランクシャフトの回転速度等に基づいて、各気筒のインジェクタ67のサイクル毎の燃料噴射量及び噴射回数を設定するとともに、各回の燃料噴射の噴射時期(噴射開始時期及び噴射終了時期)を設定し、インジェクタ67に対して噴射信号(開弁信号)を与える。
また、エンジン制御ユニット100は、例えば吸入空気量の変化に伴い、噴射回数を増加又は低減する場合は、噴射回数変更直後の筒内圧、トルクの急変による車両サージを防止するため、以下説明する分割運転移行制御を行う。
なお、以下の説明は、噴射回数を1サイクルあたり1回から2回へ増加する場合を例にして説明するが、複数回の噴射をしている状態からさらに噴射回数を増加する場合にも同様の制御を行うことができる。
図2は、実施例の燃料噴射制御装置における噴射回数増加時の制御を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS01:分割噴射移行要求有無判断>
エンジン制御ユニット100は、インジェクタ67が1サイクルあたりに行う燃料噴射回数を1回から2回へ増加(分割)させる分割噴射移行要求の有無を判断する。
エアフローメータ等の各種センサ出力に基づいて演算される燃料噴射量が、2回噴射により噴射可能である程度に多い場合には、分割噴射移行要求が生成される。
一方、燃料噴射量が比較的少なく、2回噴射では各回の燃料噴射量をインジェクタ67のハードウェア制約上設定される最小燃料噴射量としても多すぎる場合には、分割噴射移行要求は生成されない。
分割噴射移行要求が有る場合はステップS02に進み、分割噴射移行要求がない場合は一連の処理を終了(リターン)する。
<ステップS02:分割噴射移行運転開始>
エンジン制御ユニット100は、1回噴射から2回噴射への分割噴射移行運転開始を決定する。
その後、ステップS03に進む。
<ステップS03:要求燃料噴射量算出>
エンジン制御ユニット100は、現在のエンジンの状態における最新の要求燃料噴射量を算出する。
要求燃料噴射量は、エアフローメータの出力等に基づいて演算されるエンジン1の1気筒、1サイクルあたりの吸入空気量に基づいて、空燃比が所定の目標空燃比となるように設定される。
その後、ステップS04に進む。
<ステップS04:有効噴射期間算出・分割>
エンジン制御ユニット100は、ステップS03において算出された要求燃料噴射量、及び、現在インジェクタ67に供給されている燃料の圧力(燃圧)に基づいて、要求燃料噴射量の噴射に必要な噴射期間である有効噴射期間を算出する。
算出された有効噴射期間は、例えば分割比5:5で2分割され、それぞれ1回目噴射、2回目噴射の有効噴射期間として設定される。
その後、ステップS05に進む。
<ステップS05:全噴射期間設定>
エンジン制御ユニット100は、ステップS04において算出した1回目噴射、2回目噴射の有効噴射期間に、1回目噴射を終了してから2回目噴射を開始するまでに、ハードウェアの制約上必要な無効噴射期間を加算し、全噴射期間を設定する。
その後、ステップS06に進む。
<ステップS06:1、2回目噴射時期設定>
エンジン制御ユニット100は、1回目、2回目の燃料噴射時期の噴射開始時期及び噴射終了時期をそれぞれ設定する。
ここで、1回目、2回目の燃料噴射における噴射開始時期と噴射終了時期との中間値は、それぞれ、噴射回数増加前における燃料噴射の噴射開始時期と噴射終了時期との中間値を前後に挟んで、実質的に対称(クランク角度において等間隔)となるように設定される。
この点、後に詳しく説明する。
その後、ステップS07に進む。
<ステップS07:噴射開始>
エンジン制御ユニット100は、ステップS06において設定した1回目、2回目の噴射時期に従って、インジェクタ67に対して噴射信号を供給し、燃料の2回噴射を開始させる。
その後、ステップS08に進む。
<ステップS08:1,2回目噴射時期移行>
エンジン制御ユニット100は、1回目噴射、2回目噴射の噴射時期を、ステップS06において求めた分割直後の噴射時期から、排ガス、燃費等の各種エンジン性能の最適化を重視して設定された本来の目標噴射時期まで、所定の移行期間をかけて除変させる。
移行期間は、エンジントルクの急変による車両サージが発生しないことを考慮して適宜設定される。
その後、一連の処理を終了(リターン)する。
図3は、実施例の燃料噴射制御装置における燃料噴射回数増加時のスロットル開度、吸入空気量、1回目・2回目噴射の燃料噴射量の分割比、1回目噴射開始時期、2回目噴射開始時期の推移を示すタイミングチャートである。
図3に示すように、当初エンジンの吸入空気量が少なく1回噴射を行っている状況において、スロットル開度をステップ状に増加させると、吸入空気量が徐々に増加して、ある時点で1回噴射から2回噴射へ切替が可能(分割噴射移行要求生成)な状態となる。
このとき、1回目、2回目の噴射の燃料噴射量の分割比は5:5とされ、噴射回数増加直後においては、第1の燃料噴射(1回目噴射)、第2の燃料噴射(2回目噴射)の噴射時期は、混合気形成の変化を抑制するため、増加直前における1回目噴射の噴射時期を挟んで実質的に対称となるように設定される。
この点、図4を参照して以下説明する。
図4は、実施例の燃料噴射制御装置における噴射回数増加(分割)直前及び直後の燃料噴射時期を示す図である。図4において、線図が上方へシフトしている領域は燃料を噴射中であることを示している。
図4に示すように、噴射回数増加直後(2回噴射時)の第1、第2の燃料噴射は、噴射回数増加前(1回噴射時)の燃料噴射に対して、噴射期間はそれぞれ実質的に1/2となっている。
例えば、噴射回数増加前の燃料噴射の噴射期間は約20degCA(クランク角20°)であり、噴射回数増加直後の第1、第2の燃料噴射の噴射期間は、それぞれ約10degCAである。
また、第2の燃料噴射は、インジェクタ67のハードウェア的な制約のため、第1の燃料噴射が終了後、例えば約20degCAのインターバルを経て噴射開始される。
第1の燃料噴射終了後、第2の燃料噴射開始までのインターバルは、1回噴射時からの混合気形成の変化を抑制するため極力短いことが望ましく、例えば、ハードウェアの性能上許容される最短期間に設定するとよい。このとき、第1の燃料噴射の噴射期間及び第2の燃料噴射の噴射期間が、1回噴射時の燃料噴射の噴射期間と部分的にオーバーラップするようにしてもよい。
図3、図4に示す例においては、噴射回数増加前(1回噴射時)の噴射開始時期はATDC80degCA(クランク角が上死点後80°)であり、噴射終了時期はATDC100degCAである。
噴射回数増加直後(2回噴射時)の1回目噴射開始時期は、ATDC70degCAであり、噴射終了時期は、ATDC80degCAである。
2回目噴射開始時期は、ATDC100degCAであり、噴射終了時期は、ATDC110degCAである。
第1の燃料噴射の噴射終了時期と第2の燃料噴射の噴射開始時期との中間値は、噴射回数増加前の燃料噴射期間の中間値(噴射開始時期と噴射終了時期との中間値)と、実質的に同じタイミング(ATDC90degCA)となるように設定されている。
また、第1の燃料噴射の噴射期間の中間値(ATDC75degCA)と第2の燃料噴射の噴射期間の中間値(ATDC105degCA)は、噴射回数増加前の燃料噴射期間の中間値(ATDC90degCA)からの間隔が実質的に等しくなるように設定されている。
その後、第1、第2の燃料噴射の噴射時期は、燃費、排ガス等のエンジン1の性能上ベストとなる目標噴射時期に、車両サージが発生しないことを考慮して適宜設定される移行期間をかけて除変される。
例えば図3に示す例においては、1回目噴射開始時期は、噴射回数増加直後のATDC70から、ATDC80degCAへ除変している。
また、2回目噴射開始時期は、噴射回数増加直後のATDC100degCAから、ATDC120degCAへ除変している。
以上説明した実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)燃料噴射回数を1回から2回に変更する際に、2回噴射における第1、第2の燃料噴射の噴射時期を、1回噴射時の噴射時期を前後に挟んで実質的に対称となるように設定したことによって、噴射回数変更直後の混合気形成の変化を抑制することができ、出力トルクの急激な変動を抑制して車両サージを防止することができる。
(2)燃料噴射回数を変更後、第1、第2の燃料噴射の噴射時期をエンジンの性能上本来好ましい噴射時期まで徐変させることによって、車両サージを防止しつつ適切な噴射時期に移行させることができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)エンジン及び燃料噴射制御装置の構成は、上述した実施例の構成に限らず、適宜変更することができる。例えば、実施例においては、エンジンは例えばガソリン直噴エンジンであったが、本発明はこれに限らず、他の燃料を用いる予混合火花点火の筒内噴射エンジンにも適用することができる。
また、気筒数やシリンダレイアウト、過給の有無や過給機の種類なども限定されない。
さらに、筒内噴射とポート噴射を併用するエンジンの筒内噴射にも本発明を適用することができる。
また、エンジンは、単独で車両を走行させるものに限らず、例えば、エンジン−電気ハイブリッドシステムに用いられるエンジンであってもよい。
(2)上述した実施例は、例えば、噴射回数を1回から2回に増加させる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、複数回噴射している状態からさらに噴射回数を増加させる場合にも適用することができる。
この場合、噴射回数増加前の燃料噴射のうち任意の一つを、上述した実施例と同様に分割することができる。
(3)本発明は、噴射回数を減少させる場合(複数回の燃料噴射を併合する場合)にも適用することができる。
この場合、噴射回数減少(併合)直前の第1及び第2の燃料噴射の噴射時期と、噴射回数減少直後の燃料噴射の噴射時期とを、実施例の第1及び第2の燃料噴射の噴射時期と、噴射回数増加直前の燃料噴射の噴射時期と同様に設定すればよい。
このような設定とするため、噴射回数減少前の所定の噴射時期から、上述した噴射回数減少直前の噴射時期へ、噴射回数の減少に先立って除変させるようにしてもよい。
(4)本発明によって噴射回数の変更時における混合気形成の変化は抑制することが可能であるが、筒内流動が変化して燃焼速度に影響が出る場合があるため、トルク変動が問題となる場合には、例えば点火時期リタード等の他のトルク変動抑制手法を併用してもよい。
1 エンジン
10 シリンダ 11 水温センサ
20 ピストン 21 コンロッド
22 冠面 23 キャビティ
24 排気バルブリセス 30 シリンダヘッド
31 燃焼室 32 吸気ポート
33 排気ポート 34 吸気バルブ
35 排気バルブ 36 点火栓
40 吸気装置 41 インテークダクト
42 エアクリーナ 43 スロットル
44 インテークマニホールド 50 排気装置
51 エキゾーストマニホールド 52 触媒コンバータ
53 空燃比センサ
60 燃料供給装置 61 燃料タンク
62 フィードポンプ 63 燃料搬送管
64 高圧ポンプ 64a カム軸
65 燃料配管 66 デリバリーパイプ
67 インジェクタ
100 エンジン制御ユニット(ECU)

Claims (4)

  1. 内燃機関の燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタの1サイクルあたりの噴射回数と、各回の燃料噴射の噴射時期とを制御する燃料噴射制御装置であって、
    噴射回数を増加させる際に、噴射回数の増加直後における第1の燃料噴射の噴射時期と前記第1の燃料噴射に引き続いて行われる第2の燃料噴射の噴射時期との中間値が、噴射回数の増加直前に行われていた燃料噴射の噴射時期と実質的に一致するように設定すること
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 前記第1の燃料噴射及び前記第2の燃料噴射の少なくとも一方の噴射時期を、前記噴射直後における噴射時期から、所定の目標噴射時期に除変させること
    を特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  3. 内燃機関の燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタの1サイクルあたりの噴射回数と、各回の燃料噴射の噴射時期とを制御する燃料噴射制御装置であって、
    噴射回数を減少させる際に、噴射回数の減少直前における第1の燃料噴射の噴射時期と前記第1の燃料噴射に引き続いて行われる第2の燃料噴射の噴射時期との中間値が、噴射回数の減少直後に行われる燃料噴射の噴射時期と実質的に一致するように設定すること
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  4. 前記第1の燃料噴射及び前記第2の燃料噴射の少なくとも一方の噴射時期を、燃料噴射回数の減少に先立って所定の初期噴射時期から、前記噴射回数の減少直前における噴射時期に除変させること
    を特徴とする請求項3に記載の燃料噴射制御装置。
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