JP2018135831A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】一つの気筒に対して複数のインジェクタから燃料を噴射する態様の内燃機関における、インジェクタから発生する騒音によるNV性能の低下を有効に回避する。【解決手段】一つの気筒に対して複数のインジェクタから燃料を噴射する内燃機関を制御するものであって、エンジン回転数または車速が所定値以下であるアイドル運転時または低速運転時において、一つの気筒に対する複数のインジェクタのうちの一方の閉弁タイミングと他方の閉弁タイミングとの間に時間差を設けることとし、その時間差を、インジェクタの閉弁動作に伴い発生する騒音のピーク周波数に対応する波長の半分または約半分の大きさに設定する内燃機関の制御装置を構成した。【選択図】図2

Description

本発明は、一つの気筒に対して複数のインジェクタから燃料を噴射する態様の内燃機関を制御する制御装置に関する。
燃焼効率の一層の向上を目論み、近時では、一つの気筒に対して二基のインジェクタから燃料を噴射するデュアルインジェクタエンジンの採用が進んでいる(例えば、下記特許文献を参照)。
特開2009−235929号公報
内燃機関の各気筒に対して複数のインジェクタを設置するということは、インジェクタの総数が倍増することを意味する。その結果として、インジェクタの開閉動作に伴い発生する機械的な騒音、特に弁体であるニードルが弁座に着座するときの衝突音が多く発生するようになる。アイドル運転時や低速運転時のような、内燃機関及び駆動系から発生する他の騒音が比較的小さい状況下では、このインジェクタによる騒音がマスキングされず、車両の搭乗者の耳に明瞭に聞こえるようになる。
インジェクタの低騒音化を目的としてニードルの質量やそのストローク量を調整することは、インジェクタの燃料噴射特性に多大な影響を及ぼすために困難を伴う。無論、インジェクタの周囲に遮音インシュレータを設けたり、エンジンルームに吸音材を敷設したりして騒音の抑制を図ることも考えられるが、これらによるコストの騰貴を招く点は否めない。
以上の問題に初めて着目してなされた本発明は、一つの気筒に対して複数のインジェクタから燃料を噴射する態様の内燃機関において、インジェクタから発生する騒音によるNV(Noise and Vibration)性能の低下を有効に回避することを所期の目的としている。
本発明では、一つの気筒に対して複数のインジェクタから燃料を噴射する内燃機関を制御するものであって、エンジン回転数または車速が所定値以下であるアイドル運転時または低速運転時において、一つの気筒に対する複数のインジェクタのうちの一方の閉弁タイミングと他方の閉弁タイミングとの間に時間差を設けることとし、その時間差を、インジェクタの閉弁動作に伴い発生する騒音のピーク周波数に対応する波長の半分または約半分の大きさに設定する内燃機関の制御装置を構成した。
本発明によれば、一つの気筒に対して複数のインジェクタから燃料を噴射する態様の内燃機関における、インジェクタから発生する騒音によるNV性能の低下を有効に回避できる。
本発明の一実施形態における車両用内燃機関及び制御装置の概略構成を示す図。 同実施形態の制御装置がプログラムに従い実行する処理の手順例を示すフロー図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態における内燃機関は、火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(例えば、三気筒。図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。
各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を気筒1毎に設けている。インジェクタ11は、内蔵するソレノイドに通電されることにより、弁体であるニードルが弁座から離反して開弁するものである。なお、本実施形態では、各気筒1に対して複数、例えば二基(三気筒エンジンであれば、計六基)のインジェクタ11を設置することとしている。一つの気筒1に対応する複数のインジェクタ11は、当該気筒1に連なる複数の吸気ポートの各々に分散させて配置してもよいし、一つの吸気ポートに直列に配置してもよい。
また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものであり、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク33に接続している。
本実施形態の内燃機関の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、内燃機関に対する要求負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、排気通路4を流れる排気ガスの酸素濃度または空燃比を検出する空燃比センサから出力される空燃比信号d、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号e、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、車載のバッテリの端子電圧及び/または端子電流を検出するセンサから出力されるバッテリ電圧/電流信号h等が入力される。
ECU0の出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射(開弁)信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数及びアクセル開度を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数、アクセル開度及び吸気量等に基づき、吸気量に見合った要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、要求EGR率(または、EGR量)、点火タイミング等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
既に述べた通り、本実施形態における内燃機関は、各気筒1に対してそれぞれ燃料を噴射するインジェクタ11を複数設置している。本実施形態では、一つの気筒1に対応する複数のインジェクタ11の各々に個別に燃料噴射信号jを与えることができ(各インジェクタ11の内蔵するソレノイドに個別に通電することができ)、それらインジェクタ11を個別に開閉させることができる。
しかして、図2に示すように、本実施形態のECU0は、エンジン回転数が所定値以下の低速であり、及び/または、車速が所定値以下の低速であることを条件として(ステップS1)、一つの気筒1に対応する複数のインジェクタ11のうちの一方の開閉タイミングと他方の開閉タイミングとの間に時間差を設ける(ステップS2)、即ち他方のインジェクタ11から燃料を噴射するタイミングを一方のインジェクタ11から燃料を噴射するタイミングよりも遅らせる制御を実施する。ステップS2により、一方のインジェクタ11の弁体が弁座に着座する閉弁のタイミングと、他方のインジェクタ11の弁体が弁座に着座する閉弁のタイミングとの間に時間差が生ずることとなる。
一つの気筒1に対応する一方のインジェクタ11の閉弁のタイミングと他方のインジェクタ11の閉弁のタイミングとの間に設ける時間差は、インジェクタ11の閉弁動作に起因して発生する騒音のピーク周波数に対応する波長の半分または約半分の大きさに設定する。例えば、騒音の周波数スペクトルが1.2kHz近傍にピークの成分を持つのであれば、(1/1200)×(1/2)≒417×10-6、即ち417マイクロ秒だけ他方のインジェクタ11の閉弁タイミングを一方のインジェクタ11の閉弁タイミングから遅らせる。これにより、一方のインジェクタ11から発生する騒音と、他方のインジェクタ11から発生する騒音との間に半波長分の位相差が生じ、それらの騒音が互いに打ち消し合って沈静化することとなる。
エンジン回転数及び/または車速が所定値以下であることを条件として、一つの気筒1に対する各インジェクタ11の燃料噴射のタイミングをずらすのは、アイドル運転時や低速運転時のような内燃機関及び駆動系から発生する他の騒音が比較的小さい状況下で、インジェクタ11から発生する騒音がマスキングされずに顕在化するからであるが、各インジェクタ11の燃料噴射のタイミングをずらしても内燃機関の燃焼効率または熱機械変換効率に悪影響を及ぼすおそれが極めて小さいからでもある。エンジン回転数が800rpmの低回転域において、一方のインジェクタ11の燃料噴射と他方のインジェクタの燃料噴射との間に417マイクロ秒の時間差を設ける場合、その時間差は内燃機関のクランクシャフトの回転角度に換算して約2°CA(クランク角度)分であり、十分に小さい。だが、エンジン回転数が5600rpmの高回転域においては、その時間差は約14°CA分に拡大する。
一方で、エンジン回転数または車速が上昇すると、内燃機関や駆動系が発する他の騒音、または車輪が発する騒音により、インジェクタ11が発する動作音がマスキングされて目立たなくなる。従って、エンジン回転数が所定値以下の低速でなく、または車速が所定値以下の低速でない場合には、一つの気筒1に対応する複数のインジェクタ11のうちの一方の開閉タイミングと他方の開閉タイミングとの間に時間差を設けない(ステップS3)、即ち一方のインジェクタ11から燃料を噴射するのと同時または略同時に他方のインジェクタ11からも燃料を噴射するように制御することが許される。
本実施形態では、一つの気筒1に対して複数のインジェクタ11から燃料を噴射する内燃機関を制御するものであって、エンジン回転数または車速が所定値以下であるアイドル運転時または低速運転時において、一つの気筒1に対する複数のインジェクタ11のうちの一方の閉弁タイミングと他方の閉弁タイミングとの間に時間差を設けることとし、その時間差を、インジェクタ11の閉弁動作に伴い発生する騒音のピーク周波数に対応する波長の半分または約半分の大きさに設定する内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、複数のインジェクタ11から発生する騒音同士を打ち消し合わせることができ、インジェクタ11の騒音によるNV性能の低下を有効に回避できる。加えて、制御ソフトウェアの変更によりこれを実現でき、新たなハードウェアの追加を必要としないので、低コストである。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、エンジン回転数が所定値以下の低速であり、及び/または、車速が所定値以下の低速である場合に、常に一つの気筒1に対する一方のインジェクタ11の閉弁タイミングと他方のインジェクタ11の閉弁タイミングとの間に時間差を設ける必要はない。インジェクタ11から発生する騒音が顕在化するような他の条件が成立したときに限り各インジェクタ11の閉弁タイミングに時間差を設けるようにしてもよいし、インジェクタ11から発生する騒音の大きさをセンサを介して計測し、その計測した騒音の大きさが所定値を超えて大きいときに限り各インジェクタ11の閉弁タイミングに時間差を設けるようにしてもよい。
また、本発明を、複数のインジェクタの各々から一つの気筒の燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射式(直噴)の内燃機関に適用することも可能である。
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両等に搭載される内燃機関の制御に適用できる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
11…インジェクタ
j…燃料噴射信号

Claims (1)

  1. 一つの気筒に対して複数のインジェクタから燃料を噴射する内燃機関を制御するものであって、
    エンジン回転数または車速が所定値以下であるアイドル運転時または低速運転時において、一つの気筒に対する複数のインジェクタのうちの一方の閉弁タイミングと他方の閉弁タイミングとの間に時間差を設けることとし、その時間差を、インジェクタの閉弁動作に伴い発生する騒音のピーク周波数に対応する波長の半分または約半分の大きさに設定する内燃機関の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020139410A (ja) * 2019-02-26 2020-09-03 ダイハツ工業株式会社 内燃機関の制御装置

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