JP2015160184A - 艶消し塗膜の補修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】補修したかどうかを目視で見分けることができない仕上がりを有する艶消し塗膜の補修方法を提供する。
【解決手段】少なくとも最表面に艶消し塗膜5を含む塗膜の補修方法において、前記艶消し塗膜のうち異物10を含む範囲を研ぎ出して凹部6を形成する異物除去工程と、前記凹部の容積Vを測定する容積測定工程と、前記容積と前記補修塗料の硬化収縮率γに基づいて補修塗膜8の表面とその周囲の塗膜の表面とが平坦になる補修塗料7の塗布体積Vを算出する塗布体積算出工程と、前記塗布体積の補修塗料を前記凹部に滴下塗布する塗布工程と、前記滴下塗布した補修塗料を硬化させる硬化工程と、を含む。
【選択図】 図4

Description

本発明は、艶消し塗膜の補修方法に関するものである。
自動車ボディや自動車部品の塗装仕様の一つとして艶消し塗装が知られている。塗膜の艶消し感は、塗料中に含まれる艶消し材が、焼き付け時に塗膜の表層に配向して塗装表面を凹凸にし、光が乱反射することにより発現するもので、艶消し塗膜とはこうした鏡面反射率が低い塗膜、すなわちJIS−K−5400−6.7に準拠して行う60度における鏡面反射率(60度光沢値,鏡面反射率が10%で屈折率が1.567のガラス面を100としたときの値という)が、1〜60程度のものをいう。車両をはじめとする種々のものに適用されている。
ところで、ゴミ・ブツが付着した艶消し塗膜は、通常の艶あり塗膜と同様に、部分的な補修塗装が行われる。艶消し塗膜の補修方法として、艶消し塗膜の補修部を研ぎ、この補修部に艶消しクリヤー塗料と同じ第1補修用艶消し塗料を塗装し、補修部の周辺に第1補修用艶消し塗料よりも光沢値が高い第2補修用艶消し塗料を塗装し、塗装された第1補修用艶消し塗料および第2補修用艶消し塗料を焼き付けるものが知られている(特許文献1参照)。
特開2007−84726号公報
しかしながら、上記従来の補修方法では、補修部の境界に小さな段差が生じるため補修部が視認でき、見栄えが悪いという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、補修したかどうかを目視で見分けることができない仕上がりを有する艶消し塗膜の補修方法を提供することである。
本発明は、異物を含む範囲を研ぎ出して凹部を形成し、前記凹部の容積を測定し、前記容積と補修塗料の硬化収縮率に基づいて補修塗膜の表面とその周囲の塗膜の表面とが平坦になる補修塗料の塗布体積を算出し、前記塗布体積の補修塗料を前記凹部に滴下塗布し、前記滴下塗布した補修塗料を硬化させることによって上記課題を解決する。
本発明によれば、研ぎ出した凹部の容積と補修塗料の硬化収縮率とを勘案した、補修塗膜の表面とその周囲の塗膜の表面とが平坦になる塗布体積の補修塗料を滴下塗布するので、補修部の境界に段差が生じるのを抑制することができ、補修したかどうかを目視で見分けることができない仕上がりを有する艶消し塗膜の補修方法を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る艶消し塗装の補修方法を示す塗膜断面図(補修前)である。 本発明の一実施の形態に係る艶消し塗装の補修方法を示す塗膜断面図(研ぎ出し工程の研ぎ出し前)である。 本発明の一実施の形態に係る艶消し塗装の補修方法を示す塗膜断面図(研ぎ出し工程の研ぎ出し中)である。 本発明の一実施の形態に係る艶消し塗装の補修方法を示す塗膜断面図(容積測定工程)である。 本発明の一実施の形態に係る艶消し塗装の補修方法を示す塗膜断面図(滴下塗布工程)である。 本発明の一実施の形態に係る艶消し塗装の補修方法を示す塗膜断面図(硬化工程)である。 本発明の一実施の形態に係る艶消し塗装の補修方法を示す塗膜断面図(補修後)である。
本発明に係る艶消し塗膜の補修方法は、少なくとも表面に艶消し塗膜を含む塗膜の補修方法であって、艶消し塗膜のうち異物を含む範囲を研ぎ出して凹部を形成し、この凹部の容積を測定し、測定された容積と補修塗料の硬化収縮率に基づいて補修塗膜の表面とその周囲の塗膜の表面とが平坦になる補修塗料の塗布体積を算出し、この塗布体積の補修塗料を凹部に滴下塗布し、滴下塗布した補修塗料を硬化させるものである。以下、本発明の一実施の形態として、自動車ボディ又は自動車部品の外板部位に、最表面に艶消しクリヤー塗膜を有する積層塗膜を形成した塗装仕様を挙げ、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明の艶消し塗膜の補修方法は、自動車ボディや自動車部品の積層塗膜に限らず、最表面に艶消し塗膜を有する塗膜仕様であれば好適に用いることができる。
《艶消し塗料組成物》
本例の艶消し塗料組成物は、従来公知のものを使用することができ、特定の艶消し塗料組成物に何ら限定されないが、その一例を挙げると、粒径の異なる艶消し材[A],[B]を含み、塗料組成物の固形分100重量部中に、艶消し材[A]を1〜20重量部、艶消し材[B]である樹脂ビーズを4〜35重量部含み、艶消し材[A]および艶消し材[B]である樹脂ビーズの合計が10〜40重量部である。また、艶消し材[A]は平均粒径が1〜15μmの艶消し材であり、艶消し材[B]は平均粒径が2〜30μmの艶消し材であり、これら艶消し材[A],[B]の平均粒径の比[A]/[B]は、1/20〜1/2である。すなわち、本例の艶消し塗料に含有される艶消し材[A]は、平均粒径が1〜15μm、より好ましくは2〜10μmである。1μm未満であると、シェード部のマット感、陰影感が減少したり無くなったり、また、補修部と非補修部および補修部と補修部周辺の艶感が均一にならなくなる。一方、平均粒径が15μmを超えると、塗膜外観および補修部と非補修部および補修部と補修部周辺の塗装外観が悪くなり意匠性が低下する。
艶消し材[A]としては、市販されている不定形の艶消し材を使用することができ、例えば、シルクプロテイン(絹粉砕品)、ポリエチレンワックスなどの有機艶消し材、タルク・炭酸カルシウム、クレイ、カオリン、シリカなどの体質顔料等を挙げることができる。この艶消し材[A]は、塗料組成物の固形分100重量部中に、1〜20重量部含むことが好ましく、より好ましくは6〜18重量部である。1重量部未満であると、シェード部のマット感や陰影感が減少したりなくなったりする。一方、20重量部を超えると、傷による艶上がりが生じてしまう。
艶消し材[B]である樹脂ビーズは、平均粒径が、好ましくは2〜30μm、より好ましくは5〜20μmである。2μm未満であると、艶消し効果が少なく、一方、30μmを超えると、塗膜外観が悪くなり意匠性が低下する。なお、艶消し材[B]である樹脂ビーズは、透明な樹脂ビーズであっても着色されていてもよい。特に艶消し材[B]である樹脂ビーズを配合することにより、傷による艶上がり(傷が付くことにより塗膜表面が平滑になり艶が出てしまう現象)が生じにくくなる。本例の樹脂ビーズとしては、例えば、アクリル樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、ポリエステル樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリスチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ、メラミン樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フツ素樹脂ビーズ、ポリアクリロニトリル樹脂ビーズ等を挙げることができる。艶消し材[B]である樹脂ビーズは、塗料組成物の固形分100重量部中に、4〜35重量部含むことが好ましい。4重量部未満であると、傷による艶上がりが生じる一方で、35重量部を超えると、傷による艶上がりは良いが、塗膜外観が悪くなり意匠性が低下する。
艶消し材[A]および艶消し材[B]である樹脂ビーズの合計は、塗料組成物の固形分100重量部中、10〜40重量部であることが好ましい。10重量部未満であると、低光沢の塗膜、つまり所望の艶消し感を有する塗膜を得ることができない。一方、40重量部を超えると、塗膜の凝集力が低下し、傷が付きやすくなる。
艶消し塗料組成物は、樹脂バインダーを含み、また必要に応じて硬化剤および添加剤を含んでよい。艶消し塗料組成物に含まれる樹脂バインダーとしては、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等を挙げることができる。この樹脂バインダーは、塗料組成物が溶剤系の場合には、用いる溶剤に溶解する樹脂であり、艶消し材[B]である樹脂ビーズとは異なるものである。また、この樹脂バインダーは、数平均分子量が1000〜30000であることが好ましい。1000未満であると、塗膜物性に劣り、30000を超えると、塗料組成物自体の粘度が高くなり、塗装作業性に劣る。
艶消し塗料組成物に含まれる硬化剤としては、特に限定されず、上記樹脂バインダーに応じて選択することができ、たとえばメラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物等を挙げることができる。また、艶消し塗料組成物に含まれる添加剤としては、従来公知の添加剤、例えば、表面調整剤、粘性制御剤、ワキ防止剤、有機溶剤等を挙げることができる。この粘性制御剤としては、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドのリン酸塩等のポリアマイド系のものや、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系のものや、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイトなどの有機ベントナイド系のものや、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料や、顔料の形状により粘性が発現する扁平顔料等が挙げられる。
艶消し塗料組成物の塗料形態は、溶剤系、ハイソリッド系、水性系又は粉体系の何れでもよく、1液型、2液型、多液型等を問わない。また、色相も淡彩色、濃彩色を問わない。
艶消し塗料組成物は、艶消し材[A],[B]や樹脂バインダー、硬化剤、添加剤のほかに、必要に応じて着色顔料および/又は体質顔料を含んでよい。艶消し塗料組成物に含まれる着色顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の有機系着色顔料や、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等の無機着色顔料等が挙げられる。艶消し塗料組成物に含まれる体質顔料としては、艶消し材[A]において例示した体質顔料を挙げることができる。艶消し効果を目的とせずに体質顔料として添加する場合には、平均粒径が1〜15μmのもので、かつ、塗料組成物の固形分100重量部中、3重量部以下で添加することができる。艶消し塗料組成物に含まれる顔料としては、着色頗料および体質顔料のなかから、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
艶消し塗料組成物は、上述した塗料形態に応じて、艶消し材[A],[B]並びに顔料、樹脂バインダーその他の成分を、サンドグラインダーミル、ディスパー等を用いて混練、分散する等の、当業者に周知の方法によって得ることができる。この種の艶消し塗料組成物は、種々の基材、例えばプラスチック、金属、ガラス、発泡体およびこれらの成形品等に用いることができる。また、塗装した塗膜の上に艶消し塗料を塗装して使用することもできる。艶消し塗料組成物を上記基材に塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー塗装、ロールコーター法等を挙げることができ、通常、乾燥膜厚20〜40μmに塗装することができる。上記乾燥、塗膜化する方法としても特に限定されず、例えば、常温乾燥、強制乾燥、常温硬化、焼き付け硬化等を挙げることができる。焼き付け時間としては、80〜150℃で5〜30分等を挙げることができる。
艶消し塗料組成物から形成される塗膜は、60度光沢値が、好ましくは1〜60、より好ましくは5〜40である。本明細書における60度光沢値とは、JIS−K−5400−6.7に準拠して行う60度における鏡面反射率を意味するものである。この60度光沢値が1未満であると、傷による艶上がりが生じてしまう一方で、60を超えると、マット感(艶消し感)がなくなる。
以上が、本発明の実施形態において用いる艶消し塗料組成物であり、着色顔料などの着色材を含まない透明乃至白濁のものを特に艶消しクリヤー塗料と称し、着色材を含むものを単に艶消し塗料と称する。また、以下に説明する艶消し塗装の補修方法において用いられる塗料は補修塗料と称し、特にこの補修塗料が艶消し材を含む場合は補修艶消し塗料と称することで、正規の塗装工程で用いられる塗料と、補修工程で用いられる塗料とを区別する。
《艶消し塗膜の補修方法》
次に、図1〜図6を参照して、本発明の実施形態に係る艶消し塗装の補修方法を説明する。図1に示す本例の積層塗膜は、鋼板などの材料により構成された被塗物1の表面に、電着塗装などに代表される下塗り塗膜2を乾燥膜厚10μm〜35μmで形成し、この下塗り塗膜2の表面に中塗り塗膜3を乾燥膜厚15μm〜35μmで形成し、さらに中塗り塗膜3の表面に上塗りベース塗膜4を乾燥膜厚10μm〜20μmで形成し、この上塗りベース塗膜4の表面に、上述した艶消し塗料(ここでは特に艶消しクリヤー塗料)による艶消しクリヤー塗膜5を乾燥膜厚25μm〜45μmで形成したものである。なお、下塗り塗膜2、中塗り塗膜3はそれぞれ独立して焼付け硬化させ、上塗りベース塗膜4と艶消しクリヤー塗膜5はウェット・オン・ウェットで塗装したのち同時に焼付け硬化させることができる。図1において符号5Aは、上述した艶消し材[A],[B]を示す。
こうした構成の積層塗膜に対し、図1に示すように、艶消しクリヤー塗膜5にゴミ・ブツなどの異物10が付着した場合の補修方法を説明する。図1に示す積層塗膜は、艶消しクリヤー塗料を塗装する前又は塗装中に上塗りベース塗膜4の表面にゴミ・ブツが付着し、このゴミ・ブツの上から艶消しクリヤー塗料を塗布して焼き付け硬化することにより、艶消しクリヤー塗膜5にゴミ・ブツが埋没したものである。
本例の補修方法では、まず図2A及び図2Bに示すように、マイクログラインダ20のような小径の研削面が回転する研削機を用いて、艶消しクリヤー塗膜5に埋没した異物10を塗膜5とともに研削して除去する(異物除去工程)。本例の異物除去工程では、異物10を含む最小範囲の艶消しクリヤー塗膜5を研ぎ出すことが好ましく、必要以上に異物の周囲を研削することは好ましくない。ちなみに、研ぎ出す深さについては、上塗りベース塗膜4の一部に達してもよいが、当該上塗りベース塗膜4を貫通するまで研ぎ出すと補修後の色彩が相違することになる。したがって、異物10をすべて除去することを前提にして、好ましくは深くても上塗りベース塗膜4の一部まで、より好ましくは艶消しクリヤー塗膜5のみとする。たとえば艶消しクリヤー塗膜5の膜厚が35μm、上塗りベース塗膜4の膜厚が20μmである場合は、深くても50μm、好ましくは35μmとする。また、研ぎ出す平面視での直径は、異物10の平面視での直径が1mmである場合に、1〜1.5mmとし、最小範囲とすることが好ましい。
この異物除去工程の研ぎ出しにより、図3に示すように、艶消しクリヤー塗膜5にマイクログラインダ20の研削面に対応する凹部6が形成される。上述したとおり、本例の異物除去工程では、異物10を含む最小範囲のみを研ぎ出すので、凹部6の平面視での直径は1〜1.5mm程度、深さは深くても50μm程度である。次に、図3に示すように凹部6の容積Vをレーザ式変位計21などの測定器を用いて測定する(容積測定工程)。レーザ式変位計21は、凹部6の深さを精度よく測定できるので、レーザ発射位置を順次移動させながら凹部6の底面の形状を測定し、得られた変位から凹部6の容積Vを算出する。
次いで、測定された凹部6の容積Vと補修塗料の収縮率γとから補修塗料の塗布体積Vを算出する(塗布体積算出工程)。ここで、本例で用いる補修塗料は、正規の艶消しクリヤー塗膜5を形成する艶消しクリヤー塗料と実質的に同一組成の塗料であるため、この艶消しクリヤー塗料を用いて、予め補修塗料の塗布前の体積Vと塗布硬化後の体積Vを測定して収縮率γ=V/Vを求めておく。そして、補修塗料を塗布して硬化したのちにおいて、補修塗膜の表面とその周囲の塗膜の表面とが平坦になるような補修塗料の塗布体積とする。すなわち、硬化後の収縮率がγである補修塗料を容積Vの凹部6に塗布して硬化させた場合に、補修塗膜の表面とその周囲の塗膜の表面とが平坦になるための補修塗料の塗布体積Vは、V=V/γである。
次いで、図4に示すように、凹部6に対して、マイクロシリンジ22又はディスペンサなどの塗布器具を用いて、艶消しクリヤー塗膜5を形成する艶消しクリヤー塗料と同一種類(同一組成)の補修塗料7を塗布する(塗布工程)。この艶消しクリヤー塗料からなる補修塗料7の塗布は、マイクロシリンジ22又はディスペンサなど、極細のノズルを有する塗布器具の当該ノズルの先端から補修塗料7を鉛直下向きに滴下することにより行うことが好ましい。このときの滴下体積は、上記塗布体積算出工程により算出された体積Vとする。これにより、図5に示すように凹部6に補修塗料7が充填されることになる。
次いで、補修塗料7を焼き付け硬化させる(硬化工程)。硬化条件は、補修塗料に応じて設定され、たとえば焼付硬化型塗料であれば130〜150℃で15分〜30分である。この硬化工程により、図6に示すように補修塗料7は収縮して補修塗膜8になり、補修塗膜8の表面とその周囲の塗膜の表面とが平坦になる。その結果、補修塗膜8の境界9の段差tがほぼ0となり、補修したかどうかを目視で見分けることができない仕上がりを有することになる。なお、補修塗料7を硬化させて補修塗膜8にした後においては境界9を含む補修範囲を研磨しない。
ここで本発明者は、図6に示す補修塗膜8の境界9の段差tが、0≦t≦1μm,1<t≦2,2<t≦3,3<t≦5となる積層塗膜の試料を作製し、目視により補修範囲を確認・評価した。各試料の塗装条件は、滴下塗料の塗布体積Vを変えた以外は同じとした。その結果、補修塗膜8の境界9の段差tが2μm以下である積層塗膜においては、補修したかどうかを目視で見分けることができなかったが、段差tが2μmを超える積層塗膜では、補修したかどうかを目視で見分けることができ、見栄えが好ましくなかった。
このため、上述した塗布体積算出工程において、測定された凹部6の容積Vと補修塗料の収縮率γとから補修塗料の塗布体積Vを算出する際に、補修塗膜8の表面とその周囲の塗膜の表面とが平坦〜2μm以下の段差になるような補修塗料7の塗布体積Vとしてもよい。この場合の塗布体積Vの算出にあたっては、容積測定工程などにおいて凹部6の開口面積の測定を追加し、この開口面積と段差t=2μmから塗布体積Vを求めることができる。
以上のように、本例の艶消し塗膜の補修方法によれば、研ぎ出して形成された凹部6の容積Vを測定し、この容積Vと補修塗料の収縮率γを勘案して塗布体積Vを算出し、この塗布体積Vの補修塗料7を凹部6に滴下塗布するので、ぼかしシンナーその他の塗料を必要とすることなく補修塗膜8の境界9を平坦にすることができる。
また本例の艶消し塗膜の補修方法によれば、適量の補修塗料7を凹部6に滴下塗布して補修塗膜8を形成するので、無駄な補修塗料が発生せず、しかも補修塗膜8及びその周囲を研磨しないので余計な作業も削減できる。
また本例の艶消し塗膜の補修方法によれば、異物10を含む最小範囲のみを研ぎ出すので、補修塗料の使用量だけでなく補修後の研磨作業も削減することができる。
また本例の艶消し塗膜の補修方法によれば、補修塗料として艶消しクリヤー塗膜5を形成する艶消しクリヤー塗料をそのまま使用するので、補修塗料として別途準備する必要もなく、誤使用するおそれもないので、製造管理の点からも好ましいものとなる。
1…被塗物
2…下塗り塗膜
3…中塗り塗膜
4…上塗りベース塗膜
5…艶消しクリヤー塗膜
5A…艶消し材
6…凹部
7…補修塗料
8…補修塗膜
9…境界
10…異物
20…グラインダ
21…レーザ式変位計
22…マイクロシリンジ
t…段差

Claims (5)

  1. 少なくとも最表面に艶消し塗膜を含む塗膜の補修方法において、
    前記艶消し塗膜のうち異物を含む範囲を研ぎ出して凹部を形成する異物除去工程と、
    前記凹部の容積を測定する容積測定工程と、
    前記容積と前記補修塗料の硬化収縮率に基づいて補修塗膜の表面とその周囲の塗膜の表面とが平坦になる補修塗料の塗布体積を算出する塗布体積算出工程と、
    前記塗布体積の補修塗料を前記凹部に滴下塗布する塗布工程と、
    前記滴下塗布した補修塗料を硬化させる硬化工程と、を含む艶消し塗膜の補修方法。
  2. 前記塗布体積算出工程は、前記補修塗膜の表面とその周囲の塗膜の表面との段差が2μm以下になる塗布体積を算出する請求項1に記載の艶消し塗膜の補修方法。
  3. 前記異物除去工程は、前記異物を含む最小範囲を研ぎ出す請求項1又は2に記載の艶消し塗膜の補修方法。
  4. 前記補修塗料は、前記艶消し塗膜を構成する艶消し塗料と実質的に同一組成の塗料である請求項1〜3のいずれか一項に記載の艶消し塗膜の補修方法。
  5. 前記塗膜は、被塗物の表面に形成された下地塗膜と、前記下地塗膜の表面に形成された着色塗膜と、前記着直塗膜の表面に形成された透明又は白濁の艶消し塗膜と、を含む積層塗膜である請求項1〜4のいずれか一項に記載の艶消し塗膜の補修方法。
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