JP2015154067A - 太陽電池保護シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明にあっては、湿熱環境に長時間暴露したのちも、基材であるPETフィルムと耐候性樹脂層間において高い接着強度を有するバックシートを得ることを課題とする。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート基材の少なくとも片面に耐候性樹脂層を備える太陽電池保護シートであって、FTIR−ATR法でポリエチレンテレフタレート基材表面を測定した際の、1340cm−1のピーク強度I(1340)を1409cm−1のピーク強度I(1409)で除した値であるI(1340)/I(1409)が、1.10以上1.34以下であることを特徴とする太陽電池保護シートとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池保護シートとその製造方法に関するものである。さらには、太陽電池モジュールの裏面保護シート、すなわち、太陽電池バックシートとして好適に用いることのできる太陽電池保護シートおよびその製造方法に関するものである。
近年、地球温暖化問題に対する内外各方面の関心が高まる中、二酸化炭素の排出抑制のために、種々努力が続けられている。化石燃料の消費量の増大は、大気中の二酸化炭素の増加をもたらし、その温室効果により地球の気温が上昇し、地球環境に重大な影響を及ぼす。化石燃料の代替エネルギーとしては、様々な検討がされているが、クリーンなエネルギー源である太陽光発電に対する期待が高まっている。
太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、シリコン、カドミウム−テルル、ゲルマニウム−ヒ素などの半導体が用いられる。現在、多用されているものに、単結晶、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等がある。その構造としては、太陽電池素子単体をそのままの状態で使用することはなく、一般的に数枚〜数十枚の太陽電池素子を直列、並列に配線し、長期間(約20年)に亘って素子を保護するため種々パッケージングがおこなわれ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールとよび、一般的に太陽光が当たる面をガラスで覆い、太陽電池内の太陽電池モジュールの固定および保護、電気絶縁の目的でエチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性プラスチックからなる充填材で間隙を埋め、さらに太陽電池モジュール裏面を太陽電池裏面保護シートで保護された構成からなっている。
これらの太陽電池モジュールは、屋外で使用されるため、その構成、材質構造などにおいて、長期間にわたる過酷な自然環境に耐え得る、耐熱性、耐候性、耐加水分解性、防湿性等の耐久性が要求されると共に、保護シートには外部からの水蒸気(水分)や酸素の進入を遮断するためのガスバリア性も要求される。これは水蒸気(水分)の透過により充填材が剥離、変色したり、配線の腐蝕を起こした場合、モジュールの出力そのものに影響を及ぼすおそれがあるためである。太陽電池に用いられる太陽電池保護シートにあっては、高い耐久性および高いガスバリア性が要求される。
従来、この太陽電池の裏面に用いられる太陽電池保護シートとして、基材上に、耐候性を有する樹脂層、特にフッ素樹脂をラミネートあるいは塗工にて積層した太陽電池保護シートが多く用いられている。
特表平8−500214号公報 特表2002−520820号公報 特開2001−111073号公報 特開2002−100788号公報 特開2002−134771号公報 特開2002−26354号公報 特開2009−10269号公報 特表2010−526886号公報
特許文献に示されたようなバックシートの基材として用いられるのは、絶縁性や水蒸気透過性などの観点からポリエステルフィルムが多い。さらにポリエステルフィルムのうち、絶縁性や水蒸気透過性などの性能面と、コスト面で有利であることから、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好適に用いられる。
太陽電池バックシートにあっては屋外で長時間使用されるため、長時間湿熱環境にさらされたあとも、基材と耐候性樹脂層間に高い接着強度を有することが要求される。しかしながら、塗布やラミネートの工程や、樹脂膜の化学的組成を最適化しても、PETフィルムの表面の状態により、樹脂膜と基材間の接着強度、特に湿熱環境にさらしたあとの接着強度を保つことが困難になってしまうことがあった。
本発明にあっては、湿熱環境に長時間暴露したのちも、基材であるPETフィルムと耐候性樹脂層間において高い接着強度を有するバックシートを得ることを課題とする。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、ポリエチレンテレフタレート基材の少なくとも片面に耐候性樹脂層を備える太陽電池保護シートであって、FTIR−ATR法でポリエチレンテレフタレート基材表面を測定した際の、1340cm−1のピーク強度I(1340)を1409cm−1のピーク強度I(1409)で除した値であるI(1340)/I(1409)が、1.10以上1.34以下であることを特徴とする太陽電池保護シートとした。
また、請求項2に係る発明としては、前記耐候性樹脂層が前記基材上に直接設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池保護シートとした。
また、請求項3に係る発明としては、前記耐候性樹脂層がフッ素樹脂と接着樹脂と架橋剤を含む塗液により形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池保護シートとした。
また、請求項4に係る発明としては、前記ポリエチレンテレフタレート基材の厚みが150μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池保護シートとした。
また、請求項5に係る発明としては、前記耐候性樹脂層の厚みが、20μm以上300μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池保護シートとした。
また、請求項6に係る発明としては、請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽電池保護シートを備える太陽電池モジュールとした。
また、請求項7に係る発明としては、ポリエチレンテレフタレート基材の少なくとも片面に耐候性樹脂層を備える太陽電池保護シートの製造方法であって、基材の一方の面に耐候性樹脂を含む塗液を塗布し塗膜を形成する工程と、該基材上の塗膜を加熱乾燥し耐候性樹脂層を形成する工程とを順に備え、且つ、FTIR−ATR法でポリエチレンテレフタレート基材表面を測定した際の、1340cm−1のピーク強度I(1340)を、1409cm−1のピーク強度I(1409)で除した値であるI(1340)/I(1409)が、1.10以上、1.34以下であることを特徴とする太陽電池保護シートの製造方法とした。
また、請求項8に係る発明としては、前記耐候性樹脂を含む塗液がフッ素樹脂と接着樹脂と架橋剤を含む塗液であって、該塗液が基材上に直接塗布されることを特徴とする請求項7記載の太陽電池保護シートの製造方法とした。
また、請求項9に係る発明としては、前記ポリエチレンテレフタレート基材の厚みが150μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の太陽電池保護シートの製造方法とした。
また、請求項10に係る発明としては、前記耐候性樹脂層の厚みが、20μm以上300μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の太陽電池保護シートの製造方法とした。
また、請求項11に係る発明としては、前記耐候性樹脂層を形成する際の加熱乾燥温度が70℃以上240℃以下の範囲内でおこなわれることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の太陽電池保護シートの製造方法とした。
本発明者は、耐候性樹脂層が形成されるPETフィルムの表面の状態を所定の範囲とすることにより、湿熱環境に長時間暴露した場合にあっても基材と耐候性樹脂層間が高い接着強度を有し、優れた太陽電池保護シートとすることができた。
特に、耐候性樹脂成分(たとえばフッ素樹脂)のほかに接着樹脂及び架橋剤といった接着成分を含む塗液によりPETフィルム上に直接耐候性樹脂層を形成する際には、耐候性樹脂層そのものに接着性を持たせているためPETフィルム表面をより精密に制御する必要がある。本発明者はPETフィルム表面をFTIR−ATR法で測定した際のピーク強度比を所定の範囲内とすることにより、PETフィルムに直接耐候性樹脂層を設けた場合にも湿熱環境試験後に十分な接着強度を備えるバックシートとすることを見出し、本発明にいたった。
図1は本発明の太陽電池保護シートの説明断面図である。 図2は本発明の別の態様の太陽電池保護シートの説明断面図である。 図3は本発明の基材の、FTIR−ATR法で基材表面を測定した際の、1340cm−1のピーク強度I(1340)および1409cm−1のピーク強度I(1409)を説明するための説明図である。 図4は本発明の太陽電池保護シートの製造装置の説明図である。 図5は本発明の太陽電池保護シートを用いた太陽電池モジュールの説明断面図である。
本発明の太陽電池保護シートおよびその製造方法について説明する。
図1に本発明の太陽電池保護シートの説明断面図を示した。
本発明の太陽電池保護シート(1)にあっては、基材(11)の両面に耐候性樹脂層を備える。具体的には、基材(11)の一方の面に耐候性樹脂層(12)を備える。本発明の太陽電池保護シート(1)にあっては、耐候性樹脂層(12)は基材上に耐候性樹脂を含む塗液を塗布し塗膜を形成し、該塗膜を加熱乾燥することによって形成される。あるいは耐候性樹脂層(12)は基材(11)上に接着剤層(図示せず)を介してラミネートして設けてもよい。
図2に本発明の別の態様の太陽電池保護シートの説明断面図を示した。
本発明の太陽電池保護シート(1)にあっては、基材(11)の両面に耐候性樹脂層を備える。具体的には、基材(11)の一方の面に第1の耐候性樹脂層(13)を備え、基材(11)のもう一方の面に第2の耐候性樹脂層(14)を備える。本発明の太陽電池保護シート(1)にあっては、第1の耐候性樹脂層(13)および第2の耐候性樹脂層(14)は基材上に耐候性樹脂を含む塗液を塗工することによって形成される場合もあるし、第1の耐候性樹脂層(13)および第2の耐候性樹脂層(14)は基材(11)上に接着層(図示せず)を介してラミネートして設けてもよい。
本発明の太陽電池保護シートにあっては、耐候性樹脂層、第1の耐候性樹脂層、第2の耐候性樹脂層の間に、接着樹脂層を設けることもできる。
本発明の太陽電池保護シート及びその製造方法にあっては、基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムとする)を用いることができる。PETフィルムはその供給上の観点から低コストであり、かつバリア性や電気絶縁性が優れているため、好適に用いることができる。なおバリア性や電気絶縁性を保つ為には、PETフィルムの厚みは150μm以上であることが好ましい。また、操作性やコストの面から、PETフィルムの厚みは500μm以下であることが好ましい。PETフィルムは機械的特性が好適でありかつ低コストなものとして、逐次二軸延伸法により作製されたものが使用可能である。
本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、PETフィルムの表面の状態を所定の範囲内とすることにより、耐候性樹脂層と基材の接着強度に優れた太陽電池保護シートとすることができる。
本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、FTIR−ATR法で基材表面を測定した際の、1340cm−1のピーク強度I(1340)を、1409cm−1のピーク強度I(1409)で除した値であるI(1340)/I(1409)が、1.10以上1.34以下の基材を使用することを特徴とする。
図3に本発明の基材の、FTIR−ATR法で基材表面を測定した際の、1340cm−1のピーク強度I(1340)および1409cm−1のピーク強度I(1409)を説明するための説明図を示した。本発明にあっては、スペクトル(4)の縦軸は吸光度である。1340cm−1のピーク強度I(1340)(42)と、1409cm−1のピーク強度I(1409)(43)は、バックグラウンド(41)からの高さを意味する。バックグラウンドは直線であり、1340cm−1ピークの左立ち上がりである1325cm−1と、1409cm−1ピークの右立下りである1425cm−1を結ぶ線である。
本発明において、I(1340)/I(1409)が、1.10未満である場合は、基材に耐候性樹脂層を塗工あるいはラミネートした後、湿熱環境化に長時間暴露した際の、耐候性樹脂層と基材との接着強度が弱いものとなってしまう。また、I(1340)/I(1409)が、1.35以上である場合、基材に耐候性樹脂層を塗工あるいはラミネートした直後の接着強度が弱いものしか得られない。耐候性樹脂層を塗工あるいはラミネートした直後の接着強度が弱い場合、湿熱環境下に長時間暴露した際の、耐候性樹脂層と基材との接着強度は弱いものとなってしまう。
本現象については、次のようなことが推定される。FT−IR法でPETを測定した際に観察される、1340cm−1のピークは、CH変角振動のうち、トランス配座由来の吸収である。PETの分子鎖のうち、トランス配座を取っているのは、結晶状態にある分子鎖がほとんどであると考えられる。一方、1409cm−1のピークはベンゼン環の面内変角振動に由来する吸収であり、結晶状態には殆ど影響されない。従って、1340cm−1のピーク強度を、1409cm−1のピーク強度を基準として算出したI(1340)/I(1409)の値は、PETの結晶性と相関していると考えられる。
FTIR−ATR法で基材表面を測定した際、測定している領域は表面から深さ数μmのオーダーであるので、FTIR−ATR法で求めたI(1340)/I(1409)の値は、基材表面の結晶性を反映していると考えられる。すなわち、I(1340)/I(1409)が大きいほどPETフィルム基材表面の結晶性が高く、I(1340)/I(1409)が低いほどPETフィルム基材表面の結晶性が低いと考えられる。
そして、PETフィルムを湿熱環境下に長時間暴露した際には、PETの分子鎖が加水分解し、PETフィルム基材と耐候性樹脂層の接着強度に悪影響を及ぼすものと考えられる。ここで、PET分子鎖の加水分解は非結晶領域のほうが結晶領域より早く進むと考えられる。
本発明において、I(1340)/I(1409)が、1.10未満である場合は、基材に耐候性樹脂層を塗工あるいはラミネートした後、湿熱環境下に長時間暴露した際の、耐候性樹脂層と基材との接着強度が弱いものとなってしまうが、これはPET表面の非結晶領域の割合が多いため、湿熱環境下でのPET表面の加水分解により、PETが凝集破壊を起こしやすくなるため、耐候性樹脂層の接着強度が弱くなると考えられる。
一方、基材と耐候性樹脂層を塗工あるいはラミネートする際、接着強度は基材表面の分子鎖の動きやすさに影響を受けると考えられる。基材と耐候性樹脂層を塗工あるいはラミネートする際、基材−耐候性樹脂層界面の分子鎖が運動し、相互に絡み合うことで、強度の高い接着が発現すると考えられる。この分子鎖の運動と絡み合いは、特にガラス転移点を越える温度下で塗工あるいはラミネートする際に特に顕著であると考えられる。PETの分子鎖の動きやすさを考えた場合、非結晶領域は、ガラス転移点を越える温度下では運動するが、結晶領域は、融点を超えないと運動しない。従って、非結晶領域が多いほど、分子鎖の運動による絡み合いが起きやすく、強度の高い接着が発現すると考えられる。
本発明において、I(1340)/I(1409)が、1.35を超える場合は、基材に耐候性樹脂層を塗工あるいはラミネートした際の、耐候性樹脂層と基材との接着強度が弱いものとなってしまうが、これはPET表面の結晶領域の割合が多いため、耐候性樹脂層の接着強度が弱くなると考えられる。耐候性樹脂層を塗工あるいはラミネートした直後の接着強度が弱い場合、一般的に言って、樹脂膜と基材との接着強度は、湿熱環境下では低下していくため、耐候性樹脂層を塗工あるいはラミネートした直後の接着強度が弱い場合、湿熱環境化に長時間暴露した際の、耐候性樹脂層と基材との接着強度は弱いものとなってしまう。
本発明の太陽電池保護シート及びその製造方法にあっては、耐候性樹脂層形成前に基材に対して熱処理をおこなってもよい。加熱処理により、I(1340)/I(1409)の値は一般的に増加する。また、加熱したあと急速に冷却することで、I(1340)/I(1409)値を小さくすることもできる。このような操作で所望のI(1340)/I(1409)の値を得ることも可能である。
高い耐久性が求められる太陽電池保護シートの分野において、本願発明者は基材であるPETフィルム上に耐候性樹脂層を設けるにあってはその接着強度がPETフィルム表面の結晶状態と相関があることを見出し、本願発明にいたった。
さらに詳細に本発明の太陽電池保護シート及びその製造方法について説明する。
本発明の太陽電池保護シートにあっては、巻取り状の基材を用い、基材を連続走行させることによりロール・ツー・ロール方式により基材上に耐候性樹脂層を連続形成してもよい。本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、耐候性樹脂を含む塗液を塗布し塗膜を形成し、該塗膜を加熱乾燥することによって形成することが特に望ましい。塗工によって形成することで、全体の工程数、また太陽電池保護シートの層数を少なくすることができ、低コストで太陽電池保護シートを製造することができる。
本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、基材上に樹脂膜を形成する前に、基材表面に対し、コロナ処理もしくはプラズマ処理といった表面処理をおこなうことができる。
コロナ処理はフィルム表面に放電処理を起こすことによりフィルム表面を活性化するものであり、一方、プラズマ処理はフィルム表面にプラズマを発生させフィルム表面を活性化する方法である。このような処理をすることで、基材表面の水酸基やカルボキシル基といった官能基を増加させることができる。これらの官能基で、耐候性樹脂層のPETフィルム基材に対する接着性を向上させることができる。
また、コロナ処理もしくはプラズマ処理によって、耐候性樹脂層が形成される前の基材表面に物理的に微小な凹凸構造を形成することもできる。微小な凹凸構造を形成した基材表面に機能性樹脂を含む塗液を塗布することで、塗液が基材表面の凹凸に侵入し、いわゆるアンカー効果によって耐候性樹脂層の基材に対する密着性を向上させることができる。
また、本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、コロナ処理、プラズマ処理以外の表面処理をおこなってもよい。他の表面処理方法としては、グロ−放電処理、フレーム処理、UVオゾン処理、エキシマレーザー光又はArFエキシマレーザー光による処理などが挙げられる。
また、本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、基材と耐候性樹脂層の間に、特許文献7に示されたような接着樹脂層を設けてもよい。接着樹脂層を形成する接着性コート剤としては、アクリルポリオール系コート剤やアミノエチル化アクリル系コート剤が公知である。
本発明の太陽電池保護シートにおいて、耐候性樹脂層を形成する主剤としては、フッ素樹脂が望ましい。具体的には、フッ素樹脂としてポリフッ化ビニル(PVF)、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いることができる。なお、フッ素樹脂は単一の繰り返し単位を有するホモポリマーであっても良い。また、フッ化ビニルとフッ化ビニリデンの共重合体もフッ素樹脂として使用可能であり、また、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニルとフッ化ビニリデンの共重合体の混合物もフッ素樹脂として使用可能である。また、必要であればフッ素を含まない樹脂との共重合体、あるいは混合物も使用可能である。
また、本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、耐候性樹脂を含む塗液に、特許文献8に示されたような、フッ素樹脂と基材との接着を発現させる接着樹脂と架橋剤を混ぜておいてもよい。このような例としてはポリオールとポリイソシアネートを添加しておき、樹脂膜中でポリウレタンを形成する方法が公知である。
塗液に含まれるフッ素樹脂としては、特許文献8に記載されているポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いることができる。これは単一の繰り返し単位を有するホモポリマーであっても良い。また、フッ化ビニルとフッ化ビニリデンの共重合体も使用可能であり、また、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニルとフッ化ビニリデンの共重合体の混合物も使用可能である。また、必要であればフッ素を含まない樹脂との共重合体、あるいは混合物も使用可能である。
また、塗液には、接着樹脂を含んでもよい。接着樹脂は、後述する架橋剤で架橋可能な反応性官能基を有することが好ましい。接着樹脂としては、アクリル、ウレタン、脂肪族ポリエステル、ポリエステルウレタン、ポリエーテル、エチレンビニルアルコール共重合体、アミド、アクリルアミド、ユリア、ポリカーボネートが基本骨格であり、かつ、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、水酸基、無水酸、そしてそれらの複合物などよりなる官能基を有する化合物を例示することができる。なお、接着樹脂は、フッ素樹脂と親和性を持つことが望ましい。
さらに塗液には、接着樹脂とあわせ架橋剤が含まれることが好ましい。架橋剤は上記の接着樹脂の官能基と化学反応を起こして結合を作り、接着樹脂を架橋する役割をになう。さらに、架橋剤は接着樹脂と基材表面を結合させる役割もになう。これは直接基材上の官能基と接着樹脂を架橋することで達成されても良いし、架橋剤と接着樹脂の官能基が反応して生成した物質が、基材と強い親和性、例えば水素結合を形成する形で達成されても良い。塗液に接着樹脂とあわせ架橋剤を含ませることにより、得られる太陽電池保護シートの基材と耐候性樹脂層との密着性を向上させることができる。
このような接着樹脂と架橋剤の組み合わせの例としては、接着樹脂が官能基として水酸基を有し、架橋剤がイソシアネート基を二つ以上有する物質があげられる。この場合、接着樹脂が架橋剤で架橋されるとポリウレタンの網目状構造を形成することができる。さらに、基材がPETフィルムである場合は、PETフィルム表面の水酸基やカルボキシル基とイソシアネートが反応して共有結合を作ることや、接着樹脂と架橋剤の反応でできたウレタン基とPETフィルム表面が水素結合を形成することにより、基材と耐候性樹脂層との密着性を向上させることが考えられる。
また、塗液には溶媒が含まれる。塗液中に含まれる溶媒としてはメチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルアセトアミド、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等を用いることができるがこれに限定されるものではない。なお、塗液中に含まれる溶媒としては、高沸点溶媒を用いることが好ましい。これには加熱乾燥工程において泡が発生するのを防ぐ目的もあるし、後述するようにフッ素樹脂を合一させ、接着樹脂と架橋剤が反応してできた網目構造と相互侵入ネットワークを形成させる目的もある。
主たる構造がポリフッ化ビニル(PVF)よりなるフッ素樹脂の場合、室温の塗液中ではフッ素樹脂は分散状態で存在していると考えられる。フッ素樹脂が分散液の形で存在する場合、乾燥と、接着樹脂と架橋剤の反応以外に、フッ素樹脂の粒子を合一させ連続した層状にするためには十分な加熱が必要である。塗膜に十分な加熱をおこなうことにより、面内で均一な耐候性樹脂層を形成することが可能となる。溶媒共存下で、高温で加熱することにより、分散状態にあるフッ素樹脂が合一し、太陽電池保護シートに適した強度の高い耐候性樹脂層を形成することができる。
さらにこの合一過程と、接着樹脂及び架橋剤の架橋反応が同時に起こることで、接着樹脂と架橋剤が反応してできた網目構造と、合一したフッ素樹脂との間で相互侵入ネットワークを形成することができ、強靭で耐久性のある耐候性樹脂層が形成できるものと考えられる。さらに塗膜と基材との間で優れた密着性を発現させることができるものと考えられる。
本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、塗膜を加熱乾燥する際の温度が、70℃以上240℃以下の範囲内であることが好ましい。70℃以上で加熱乾燥をおこなうと、PETのガラス転移点より高い温度で塗膜を加熱乾燥できるので、PETフィルムと塗膜の接着性向上のために好ましい。また、加熱乾燥温度はPETフィルムの融点である260℃以下でなければならない。また加熱温度が240℃以下であることが、PETフィルムの熱収縮を抑える点から特に好ましい。また、塗液中のフッ素樹脂がポリフッ化ビニルである場合には、加熱乾燥温度が180℃以上であることが好ましい。180℃以上の温度を塗膜に付与することにより、塗液中において分散状態で存在するフッ素樹脂を面内で均一に成膜することができ、さらには、耐候性樹脂層と基材の間の接着性に優れた太陽電池保護シートとすることができる。塗液中のフッ素樹脂がポリフッ化ビニルである場合は、加熱乾燥温度は180℃240℃以上であることが好ましい。
本発明にあっては、ポリフッ化ビニル塗液を用い、塗布後の加熱乾燥温度を180℃以上240℃以下の範囲内とした際にも、PETフィルム表面を精密に制御することにより湿熱環境試験後に十分な接着強度を備えるバックシートとすることができた。
また、耐候性樹脂層においては、形成される太陽電池保護シートの不透明化、着色化やその他光学特性の変更を目的として顔料やフィラーを加えることができる。顔料およびフィラーとしては、酸化ケイ素や二酸化チタン、酸化鉄のような金属酸化物、金属水酸化物、アルミフレークなどの金属フレーク、クロム酸鉛などのクロム酸塩、硫化物、硫酸塩、炭酸塩、カーボンブラック、タルク、カオリン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、有機赤顔料、その他有機顔料、染料を例示することができる。これらの顔料やフィラーを添加することにより光学特性を変化させるだけでなく、樹脂膜の安定性や耐久性を向上させることも可能である。
また、耐候性樹脂層にあっては、紫外線吸収剤、熱安定化剤、バリア粒子等の機能性材料を含有させることもできる。
本発明の太陽電池保護シートにあっては、耐候性樹脂層の厚みは20μm以上300μmの範囲が好ましい。耐候性樹脂層の厚さが20μmを下回る場合には、十分な耐候性を得ることができなくなってしまうことがある。一方、耐候性樹脂層の厚さが300μmを上回る場合には、塗液の塗布、加熱乾燥によって均一な膜厚の耐候性樹脂層を形成することが困難となる場合がある。また、コスト高となる。
また、本発明の太陽電池保護シートにあっては、耐候性樹脂層の他にさらに機能層を設けることもできる。このような例としては、後述する充填材層との接着性を向上させるための易接着層や、アルミ箔層や無機化合物からなるバリア層を例示することができる。
図4に本発明の太陽電池保護シートを、塗工方法によって製造する際の、製造装置の説明図を示した。
本発明の太陽電池保護シートにあっては、ロール・ツー・ロール方式により製造される。機材を巻出し部(21)から巻取り部(25)まで複数のガイドロール(22)を介して連続走行させ、走行する基材を塗布ユニット(23)および加熱乾燥ユニット(24)を通過させることにより、基材(1)上に耐候性樹脂を含む塗液を塗布し塗膜を形成し、該塗膜を加熱乾燥させ耐候性樹脂層が形成される。
図4の製造装置にあっては、基材(1)を巻出し部(21)から巻取り部(25)まで走行させる間に、塗布ユニット(23)および加熱乾燥ユニット(24)を1回通過させている。したがって、基材の両面に耐候性樹脂層を形成するにあっては、図4の製造装置を2回用いる必要がある。本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、基材を巻出し部から巻取り部まで走行させる間に、塗布ユニットおよび加熱乾燥ユニットを繰り返し2回通過させることにより、1回の走行で基材の両面に耐候性樹脂層を形成することも可能である。
本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、塗布方法としては公知の方法を用いることができる。具体的には、基材上に耐候性樹脂を含む塗液を塗布するための塗工方法としては、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いた塗布方法を用いることができる。
本発明の太陽電池保護シートの製造方法にあっては、連続走行する基材上に耐候性樹脂を含む塗液を塗布する前に塗布面に対し、コロナ処理やプラズマ処理といった表面処理をおこなうこともできる。図4にあっては、連続走行する基材が塗布ユニット(23)を通過させる前に、表面処理ユニット(26)を通過させることにより、基材の塗布面に対して表面処理をおこなっている。
塗布ユニットを通過することにより基材上に耐候性樹脂を含む塗膜が形成された後、基材は加熱乾燥ユニットであるオーブン(24)を通過することにより加熱乾燥され耐候性樹脂層が形成される。塗膜を加熱乾燥することにより、塗膜中の溶媒が除去され、耐候性樹脂を面内に均一に成膜することができる。オーブンとしては、公知のものを適当に用いればよいが、特に熱風を基材表面にあてて加熱する形式のものが、溶媒除去等の乾燥効率の点からいって望ましい。
本発明の太陽電池保護シートは、太陽電池モジュールの裏面保護シート(バックシート)として好適に用いることができる。図5に本発明の太陽電池保護シートを用いた太陽電池モジュールの説明断面図を示した。
本発明の太陽電池モジュールは、例えば、図5に示すように、表面保護部材(32)、表面側の充填材層(33A)、配線(34)を配設した光起電力素子としての太陽電池素子(31)、裏面側充填材層(33B)、および、太陽電池保護シート(1)を積層して得られる。さらに、必要ならば、各層間に、その他の素材を任意に積層し、次いで、これらを、真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、枠体(35)を装着して太陽電池モジュ−ルを製造することができる。
上記太陽電池モジュ−ルを構成する通常の太陽電池表面保護部材(32)としては、太陽光の透過性、絶縁性等を有し、さらに、耐候性、耐熱性、耐光性、耐水性、防湿性、防汚性、その他等の諸特性を有し、物理的あるいは化学的強度性、強靱性等に優れ、極めて耐久性に富み、さらに、光起電力素子としての太陽電池素子の保護ということから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。上記の表面保護シ−トとしては、具体的には、公知のガラス板等、さらに、例えば、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタ−ル系樹脂、その他等の各種の樹脂フィルムないしシ−トを使用することもできる。上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、2軸延伸した延伸フィルムないしシ−トを使用することができる。また、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、強度、剛性、腰等を保持するに必要な最低限の厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するという欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、剛性、腰等が低下して好ましくないものである。本発明においては、上記のような理由から、12μm以上200μm以下の範囲内、より好ましくは、25μm以上150μm以下の範囲内であることが最も望ましい。また、本発明の太陽電池保護シートを用いることもできる。
上記太陽電池モジュ−ルを構成する太陽電池モジュ−ル用表面保護部材の下に積層する充填材層(33A)としては、太陽光が入射し、これを透過して吸収することから透明性を有することが必要であり、また、表面保護シ−トおよび裏面保護シ−トとの接着性を有することも必要であり、光起電力素子としての太陽電池素子の表面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、さらには、光起電力素子としての太陽電池素子の保護ということから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。具体的には、上記の充填材層としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸、または、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、シリコ−ン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。本発明においては、上記の充填材層を構成する樹脂には、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性等を向上させるために、その透明性を損なわない範囲で、例えば、架橋剤、熱酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光酸化防止剤、その他等の添加剤を任意に添加し、混合することができるものである。なお、本発明においては、太陽光の入射側の充填材としては、耐光性、耐熱性、耐水性等の耐候性等の性能面と価格面を考慮すると、エチレン−酢酸ビニル系樹脂が望ましい素材である。なお、上記の充填材層の厚さとしては、200μm以上1000μm以下の範囲内であることが望ましく、さらには、350μm以上600μm以下の範囲内であることが望ましい。
上記太陽電池モジュ−ルを構成する光起電力素子としての太陽電池素子(31)としては、従来公知のもの、例えば、単結晶シリコン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電子素子、シングル接合型あるいはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe)等のII−VI族化合物半導体太陽電子素子、有機太陽電池素子、その他等を使用することができる。さらに、薄膜多結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜微結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜結晶シリコン太陽電池素子とアモルファスシリコン太陽電池素子とのハイブリット素子等も使用することができる。
上記太陽電池モジュ−ルを構成する光起電力素子の下に積層する裏面側の充填材層(33B)としては、上記の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの下に積層する表面側の充填材層と同材質のものが使用できる、裏面保護シ−トとの接着性を有することも必要であり、光起電力素子としての太陽電池素子の裏面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、さらには、光起電力素子としての太陽電池素子の保護ということから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
太陽電池モジュ−ルを構成する枠体(35)としては、たとえば、アルミニウム型材が使用することができる。
図5に示すように、本発明の太陽電池保護シートは太陽電池モジュール裏面保護シートすなわち太陽電池バックシートとして好適に用いることができる。また、本発明の太陽電池保護シートは裏面保護シートとしてだけでなく、表面保護部材(32)としても用いることも可能である。また、本発明の太陽電池保護シートは耐久性、ガスバリア性が要求される太陽電池部材として他にも好適に使用することができる。
なお、図5に示した本発明の太陽電池保護シートは、耐候性樹脂層2(12)が裏面側に面し、耐候性樹脂層1(11)が表面側に面して裏面側封止材(33B)と接している構造をとっている。これとは逆に、耐候性素樹脂層1(11)が裏面側に面し、耐候性樹脂層2(12)が表面側に面して裏面側封止材(33B)と接している構造をとってもよい。
<実施例1>
基材として、巻き取り状のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を5種類用意した。用意した巻き取り状のポリエチレンテレフタレートフィルムの種類を(表1)に示す。
Figure 2015154067
表1に示したPETフィルム基材に対し、図4に示したようなグラビアコート方式の製造装置を用い、巻出し部から巻取り部まで連続走行する基材の第一面(塗布面1)に、フッ素樹脂塗液を、厚さ25μm(乾燥状態)となるように塗布した。フッ素樹脂塗液は、炭酸プロピレン中にPVF及び接着樹脂としてポリカーボネートジオール及び架橋剤としてポリイソシアネート架橋剤及び酸化チタンを分散させたものを用いた。
塗布したものを、220℃の温度で加熱乾燥して厚さ25μmの耐候性樹脂層を形成した。このとき乾燥時間は60秒であった。なお、加熱乾燥温度はオーブン内の温度を熱電対で測定することにより求めており、乾燥時間はオーブンの距離を搬送速度で除することにより求めている。
さらに、第1の耐候性樹脂層形成面と反対側の基材フィルム第二面(塗布面2)について、同様に、図4に示したようなグラビアコート方式の製造装置を用い、上記のフッ素樹脂塗液をコーテイングし、第一面と同様に加熱乾燥して厚さ25μmの耐候性樹脂層を形成した。
以上により、図2に示すようなPETフィルムからなる基材の両面に耐候性樹脂層を備える太陽電池保護シートをロール・ツー・ロール方式により作製した。
この太陽電池保護シートを、温度105℃、湿度100%、96hrの環境試験を行った。
環境試験を行う前後の接着強度を測定した。
<実施例2>
耐候性樹脂層を塗布する前に基材にコロナ処理を行う以外は、実施例1と同様にして、図2に示すようなPETフィルムからなる基材の両面に耐候性樹脂層を備える太陽電池保護シートをロール・ツー・ロール方式により作製した。
この太陽電池保護シートに対し、温度85℃、湿度85%の環境試験を行った。
環境試験を行う前、そして上記環境試験を1000h、2000h、3000h行った後の接着強度を測定した。
用意した基材および作製した太陽電池保護シートについて以下の評価をおこなった。
・基材の表面のFTIR−ATR測定
3センチ角に切り取ったPETフィルムの塗布面1及び塗布面2について、PerkinElmer 社製 FTIR Spectrum One FT−TR Spectrometer の、Universal ATR Sampling Accessoryにて、FTIR−ATR測定を行った。測定範囲は700〜4000cm−1、積算回数は32回である。得られたスペクトルより、I(1340)/I(1409)値を算出した。
塗布面1は第1の耐候性樹脂層形成前のPETフィルム表面についてFTIR−ATR測定をおこなっており、塗布面2は第1の耐候性樹脂層形成後であって、第2の耐候性樹脂層形成前のPETフィルム表面についてFTIR−ATR測定をおこなっている。なお、(実施例2)にあっては、コロナ処理前のPETフィルム表面についてFTIR−ATR測定をおこなっている。
・太陽電池保護シートの接着強度測定
得られた太陽電池保護シートについて、所定の環境試験を行った後、樹脂膜とPETフィルムの接着強度をASTM D1876−01に基づく180度剥離試験を行った。
(表2)に基材フィルムのFTIR−ATR測定結果および接着強度評価結果について示す。
Figure 2015154067
以上の結果から、 FTIR−ATR法で基材表面を測定した際の、1340cm−1のピーク強度I(1340)を、1409cm−1のピーク強度I(1409)で除した値であるI(1340)/I(1409)が、1.10以上、1.34以下の範囲内である基材を用いて製造された太陽電池保護シートにあっては、環境試験後の接着性に優れていることが確認された。一方、基材のI(1340)/I(1409)が、1.10未満であるものは、環境試験前の接着強度は良品とほぼ同等であるものの、環境試験後には接着強度が著しく低下し、不良品となった。また、I(1340)/I(1409)が、1.35を超えるものは、環境試験前の時点で既に接着強度が劣っており、環境試験後の結果も不良品であった。
本実施例にあっては、PETフィルム上に直接PVF等を含む塗液により耐候性樹脂層を形成する際の接着強度について示した。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。好ましくは、PETフィルム上に耐候性樹脂層を形成する際にPETフィルムのガラス転移点以上の温度で加熱した際に効果を奏するものである。具体的にはPETフィルムに対して加熱温度70℃以上240℃以下、さらに好ましくは180℃以上240℃以下という高温で加熱し耐候性樹脂層を形成する際に本発明は大きな効果を奏する。
本願発明者は、きわめて高い接着強度が求められる太陽電池バックシートの分野において高い加熱温度で耐候性樹脂層を形成した際に十分な接着性を得るためには、PETフィルム表面の結晶化度を精密に制御しFTIR−ATR法で測定されるピーク強度比を所定の範囲内とする必要があることを見出し、本願発明にいたっている。本願発明にあっては、高い加熱温度で耐候性樹脂層を形成した場合であってもPETフィルム表面を精密に制御することにより耐候性樹脂層との高い接着性を実現しており、PETフィルム表面に耐候性樹脂層を直接形成する際に大きな効果を奏する。
1 ・・・太陽電池バックシート
11 ・・・基材フィルム
12 ・・・耐候性樹脂層
13 ・・・第1の耐候性樹脂層
14 ・・・第2の耐候性樹脂層
21 ・・・巻出し部
22 ・・・ガイドロール
23 ・・・塗布ユニット
231・・・グラビアロール
232・・・バックアップロール
233・・・塗液
234・・・インキパン
24 ・・・加熱乾燥ユニット(オーブン)
25 ・・・巻取り部
26 ・・・表面処理ユニット
32 ・・・表面保護部材
33A・・・表面側充填材層
33B・・・裏面側充填材層
34 ・・・配線
35 ・・・枠体
4 ・・・FTIR−ATRスペクトル
41 ・・・バックグラウンド
12 ・・・ピーク強度I(1340)
13 ・・・ピーク強度I(1409)

Claims (11)

  1. ポリエチレンテレフタレート基材の少なくとも片面に耐候性樹脂層を備える太陽電池保護シートであって、
    FTIR−ATR法でポリエチレンテレフタレート基材表面を測定した際の、1340cm−1のピーク強度I(1340)を1409cm−1のピーク強度I(1409)で除した値であるI(1340)/I(1409)が、1.10以上1.34以下である
    ことを特徴とする太陽電池保護シート。
  2. 前記耐候性樹脂層が前記基材上に直接設けられていることを特徴とする請求項1記載の太陽電池保護シート。
  3. 前記耐候性樹脂層がフッ素樹脂と接着樹脂と架橋剤を含む塗液により形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の太陽電池保護シート。
  4. 前記ポリエチレンテレフタレート基材の厚みが150μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池保護シート。
  5. 前記耐候性樹脂層の厚みが、20μm以上300μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池保護シート。
  6. 請求項1乃至5記載の太陽電池保護シートを備える太陽電池モジュール。
  7. ポリエチレンテレフタレート基材の少なくとも片面に耐候性樹脂層を備える太陽電池保護シートの製造方法であって、
    基材の一方の面に耐候性樹脂を含む塗液を塗布し塗膜を形成する工程と、
    該基材上の塗膜を加熱乾燥し耐候性樹脂層を形成する工程と
    を順に備え、且つ、
    FTIR−ATR法でポリエチレンテレフタレート基材表面を測定した際の、1340cm−1のピーク強度I(1340)を、1409cm−1のピーク強度I(1409)で除した値であるI(1340)/I(1409)が、1.10以上、1.34以下である
    ことを特徴とする太陽電池保護シートの製造方法。
  8. 前記耐候性樹脂を含む塗液がフッ素樹脂と接着樹脂と架橋剤を含む塗液であって、該塗液が基材上に直接塗布されることを特徴とする請求項7記載の太陽電池保護シートの製造方法。
  9. 前記ポリエチレンテレフタレート基材の厚みが150μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の太陽電池保護シートの製造方法。
  10. 前記耐候性樹脂層の厚みが、20μm以上300μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の太陽電池保護シートの製造方法。
  11. 前記耐候性樹脂層を形成する際の加熱乾燥温度が70℃以上240℃以下の範囲内でおこなわれることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の太陽電池保護シートの製造方法。
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CN107731949A (zh) * 2016-08-10 2018-02-23 阿特斯(中国)投资有限公司 一种太阳能光伏背板及其制备方法

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