JP2015152343A - 樹脂の判定方法および選別装置 - Google Patents

樹脂の判定方法および選別装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015152343A
JP2015152343A JP2014024187A JP2014024187A JP2015152343A JP 2015152343 A JP2015152343 A JP 2015152343A JP 2014024187 A JP2014024187 A JP 2014024187A JP 2014024187 A JP2014024187 A JP 2014024187A JP 2015152343 A JP2015152343 A JP 2015152343A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
resin piece
difference value
additive
energy side
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014024187A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6119630B2 (ja
Inventor
中 慈朗
Jiro Naka
慈朗 中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2014024187A priority Critical patent/JP6119630B2/ja
Publication of JP2015152343A publication Critical patent/JP2015152343A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6119630B2 publication Critical patent/JP6119630B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

【課題】プラスチック樹脂の破砕片が含有する添加剤の種類毎に樹脂の材質を判定する樹脂の判定方法、および、その方法を用いた樹脂の選別装置を提供する。【解決手段】樹脂の判定方法は、それぞれの樹脂片群を構成する各樹脂片にX線を照射し、透過した低エネルギー側のX線強度と高エネルギー側のX線強度との差分である差分値、及び、該差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係を予め記録し、任意の樹脂片にX線を照射し、透過した低エネルギー側のX線強度と高エネルギー側のX線強度との差分である差分値、及び、該差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係を求め、前記予め記録した差分値、及び、該差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係と比較することで、前記任意の樹脂片の添加剤の含有及び種別を判定する方法である。【選択図】図3

Description

この発明は、樹脂の判定方法およびその方法を用いた樹脂の選別装置に関し、特に樹脂の材質をX線で判定する方法およびその方法を用いた樹脂の選別装置に関するものである。
ある物体にX線を照射して、その物体を透過したX線の透過強度は、物体の材質、密度に由来する性質、及び、厚さに基づいて定まる。このため、物体の材質を特定するために、X線の透過強度だけを参照していたのでは、物体の厚さに起因する大きな判定誤差が生じる要因となりうる。
従来、厚さを考慮したX線の透過強度を用いた材質の判定方法としては、X線デュアルセンサーなどによるエネルギーサブトラクション法と呼ばれる手法がある。この方法は、低エネルギー側の透過X線強度および高エネルギー側の透過X線強度をそれぞれ測定し、それらの差分値を計算することで、厚さの影響を低減するものである。このエネルギーサブトラクション法では、低エネルギー側の透過X線強度および高エネルギー側の透過X線強度を対数変換により等価厚画像を生成し、パラメータを用いて重み付けをして、差分式で両者の差分値を計算することで、厚さの影響を低減する。
しかし、この方法では、パラメータの設定しだいで差分値は大きく変化し、厚さの影響を低減しきれない場合があるため、独立成分分析等を適用した分離行列を計算し、重みパラメータを自動計算して、最適な差分式を得て、厚さの影響を低減することを可能にする手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−91483号公報
しかしながら、特許文献1によるX線の透過強度を利用した材質の判別方法を樹脂の材質の判別に適用する場合には、以下のような問題点がある。
樹脂の材質を判定する場合に、エネルギーサブトラクション法で規定する差分式では、添加剤を含有しない樹脂片、および、添加剤を含有する樹脂片を厚さの影響を受けずに判定することができる。しかし、判定できる樹脂の材質としては2種類である。そのため、添加剤の種類の判定まで含めた3つ以上の判定はできないという問題があった。
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、プラスチック樹脂の破砕片が含有する添加剤の種類毎に樹脂の材質を判定する樹脂の判定方法、および、その方法を用いた樹脂の選別装置を提供することである。
この発明に係る樹脂の判定方法は、所定の厚さを有する複数の樹脂片からなる樹脂片群であって、添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群において、それぞれの樹脂片群を構成する各樹脂片にX線を照射し、透過した低エネルギー側のX線強度と高エネルギー側のX線強度との差分である差分値、及び、該差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係を予め記録し、任意の樹脂片にX線を照射し、透過した低エネルギー側のX線強度と高エネルギー側のX線強度との差分である差分値、及び、該差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係を求め、前記予め記録した差分値、及び、該差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係と比較することで、前記任意の樹脂片の添加剤の含有及び種別を判定する方法である。
この発明に係る樹脂の判定方法によれば、低エネルギー側の透過X線強度と差分値との関係を既存の情報と比較することで添加剤の種類毎の樹脂片を判定することができ、添加剤の種類毎の樹脂片に係る分布情報に基づいて添加剤を含有しない樹脂片と添加剤を含有する樹脂片の閾値を調整することにより、樹脂の材質の判定が精度よくできるという効果を奏する。
本発明の実施の形態1に係る判定方法を説明するための差分値と厚さの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る判定方法を説明するための低エネルギー側の透過X線強度と厚さの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る判定方法のフローチャートを示す図である。 比較例の樹脂の樹脂片の判定方法のフローチャートを示す図である。 本発明の実施の形態2に係る判定方法を説明するための差分値と厚さの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係る判定方法のフローチャートを示す図である。 本発明の実施の形態3に係る選別装置を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態4に係る選別装置を模式的に示す図である。
実施の形態1.
次に、図面を用いて、この発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
まず、この発明に係る樹脂の判定方法の概要について説明する。この発明に係る樹脂の判定方法は、概ね以下のステップを備えている。以下、樹脂片とは、新規な樹脂成形品を含むことはもちろんのことであるが、本発明は、プラスチックリサイクルの観点からなされた発明であり、主として使用済みプラスチック樹脂に係る破砕樹脂片(以下、単に樹脂片とのみ記載する場合もある)を念頭において説明する。
異なる既知の厚さを有する複数の樹脂片からなる樹脂片群であって、添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群において、それぞれの樹脂片群を構成する各樹脂片にX線を照射し、透過した低エネルギー側のX線強度と高エネルギー側のX線強度との差分である差分値(以下、差分値とのみ記載する場合がある)を各樹脂片について計算するステップ。
添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群のそれぞれを構成する厚さの異なる樹脂片について、予め計算により求めた差分値を記憶するステップ。
添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群のそれぞれを構成する厚さの異なる樹脂片について、差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係を予め記憶ステップ。
添加剤を含有しない樹脂片群を構成する厚さの異なる樹脂片の差分値の分布と添加剤を含有する樹脂片群(第一の樹脂片群及び第二の樹脂片群)を構成する厚さの異なる樹脂片の差分値の分布との間に予め閾値を設定し、記憶するステップ。
判定対象である添加剤の含有及び厚さが未知なる任意の樹脂片に対し、X線を照射し、透過した低エネルギー側のX線強度と高エネルギー側のX線強度との差分である差分値を任意の樹脂片について計算するステップ。
任意の樹脂片について計算された差分値と、予め記憶された閾値を比較し、判定対象である任意の樹脂片が添加剤を含有しない樹脂片であるか添加剤を含有する樹脂片であるかを判定するステップ。
以上のステップにより、任意の樹脂片が添加剤を含有する樹脂片であると判定された場合には、任意の樹脂片について計算された差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係を、予め記憶した添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群のそれぞれを構成する厚さの異なる樹脂片についての差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係とを比較することにより、添加剤の種類毎に樹脂片を判定するステップ。
なお、添加剤を含有しない樹脂片群を構成する厚さの異なる複数の樹脂片の差分値の分布と添加剤を含有する樹脂片群(第一の樹脂片群及び第二の樹脂片群)を構成する厚さの異なる複数の樹脂片の差分値の分布との間に予め閾値を設定する際に、判定対象である任意の樹脂片について、すでに選別がなされた樹脂片の種別及び厚さの分布から、選別対象である樹脂片の特徴を捉え、そのデータを用いて予め設定された閾値を最適化することで更に選別精度を上げることができる。
以下、この発明の実施の形態1に係る樹脂の判定方法について説明する。ある物体にX線を照射して、その物体を透過したX線の強度(透過X線強度)は、減衰係数といった物体の材質に起因する特性及び物体の厚さに基づいて決まる。透過X線強度をI、照射X線強度をI、減弱係数をμ、厚さをxとすると、下記数式1の関係が成り立つ。
Figure 2015152343
数式1で示されるように、透過X線強度だけでは物体の厚さの影響を受ける。リサイクルする使用済みプラスチック樹脂の破砕片は、厚さにばらつきがあり、材質を特定する場合に、厚さに起因する判定誤差が生じていた。
一方、透過X線強度の測定法には、エネルギー分布の異なる2種類のX線を物体に照射して、順次、物体を透過したX線強度を1種類の検出器で検出するか、または1種類のX線を物体に照射して、検出できるX線のエネルギー分布が異なる2種類の検出器で同時に物体を透過したX線強度を検出することにより、低エネルギー側と高エネルギー側の2種類の透過X線強度を測定するデュアルエナジー法がある。得られた低エネルギー側と高エネルギー側の2種類の透過X線強度について差分法と呼ばれる手法を用いることで、厚さの影響を極力排除し物体の材質を判定することが可能となる。
次に差分法の計算式について説明する。物体の低エネルギー側及び高エネルギー側の透過X線強度は、それぞれ下記数式2、数式3となる。
Figure 2015152343
Figure 2015152343
このとき、Iは低エネルギー側の透過X線強度、IL0は低エネルギー側の照射X線強度、μは低エネルギー側の減弱係数、Iは高エネルギー側の透過X線強度、IH0は高エネルギー側の照射X線強度、μは高エネルギー側の減弱係数、xは厚さである。
また、物体の低エネルギー側及び高エネルギー側の透過X線強度の差分値Sを下記数式4とする。
Figure 2015152343
(k・μ−μ)=0となるようなkの値、つまり物体の低エネルギー側と高エネルギー側の減弱係数の比μ/μをkに設定すると、物体の差分値Sは厚さによらず0となる。
次に具体例を用いて差分法について説明する。例えば、添加剤を含有しない樹脂片と添加剤を含有する樹脂片を判定する場合を想定する。
低エネルギー側の減弱係数がμNLで、高エネルギー側の減弱係数がμNLである添加剤を含有しない樹脂片の低エネルギー側及び高エネルギー側の透過X線強度は、数式2及び数式3に従うと、それぞれ下記数式5、数式6となる。
Figure 2015152343
Figure 2015152343
数式4のkの値を、添加剤を含有しない樹脂片の低エネルギー側と高エネルギー側の減弱係数の比μNL/μNHに設定すると、(k・μ−μ)=0となるため添加剤を含有しない樹脂片の差分値Sは厚さによらず0となる。
一方、低エネルギー側の減弱係数がμALで、高エネルギー側の減弱係数がμAHである添加剤を含有する樹脂片の低エネルギー側及び高エネルギー側の透過X線強度は、数式2及び数式3に従うと、それぞれ下記数式7、数式8となる。
Figure 2015152343
Figure 2015152343
添加剤を含有する樹脂片と添加剤を含有しない樹脂片の減弱係数は異なるため、数式4のkの値を、k=μNL/μNHと設定すると、(k・μ−μ)≠0となり、添加剤を含有する樹脂片の差分値Sは厚さxに依存する直線関係となる。
このようにして、差分値Sを用いて、添加剤を含有しない樹脂片と添加剤を含有する樹脂片を判定することができる。
さらに、例えば、選別すべき破砕混合樹脂片中に、添加剤を含有しない樹脂片と、添加剤A1を含有する樹脂片と、添加剤A1とは低エネルギー側及び高エネルギー側の減弱係数が異なる添加剤A2を含有する樹脂片が混在している場合に、これら3種類を判定するには次の方法で達成できる。
添加剤A1を含有する樹脂片の差分値S1と、添加剤A2を含有する樹脂片の差分値S2を比較した場合、添加剤を含有しない樹脂片の差分値Sが0となるようにk=μNL/μNHと設定した数式4を用いると、差分値Sは、樹脂片の厚さxに依存する傾きを持つ直線上に分布するため、厚さxと含有する添加剤の種類の組み合わせによっては、添加剤A1を含有する樹脂片と添加剤A2を含有する樹脂片とは、同じ差分値S、つまりS1=S2となる場合もありうる。
この場合は、添加剤A1を含有する樹脂片の差分値S1と、添加剤A2を含有する樹脂片の同じ差分値S2を与える樹脂片の数式1で表される低エネルギー側の透過X線強度Iが異なるため、この透過X線強度Iを比較することで添加剤A1を含有する樹脂片と、添加剤A2を含有する樹脂片のいずれであるか判定でき、結果として、添加剤を含有しない樹脂片と、添加剤A1を含有する樹脂片と、添加剤A2を含有する樹脂片の3種類を選別することができる。
ここでいう添加剤とは、X線を吸収する性質を有するものであり、選別対象である樹脂片を主に構成する元素(炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、酸素(O))以外の元素を有する添加剤をいう。具体的には、無機系の添加剤、金属元素(Na〜U)を有する添加剤(金属系添加剤)、ハロゲン元素(Cl、Br)を有する添加剤(ハロゲン系添加剤)、リン(P)を含む添加剤(リン系添加剤)および硫黄(S)を含む添加剤(硫黄系添加剤)をいう。
次に、樹脂片の材質を判定する手法の概要として、上述した添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群のそれぞれを構成する樹脂片について、第一の添加剤として10wt%のガラスフィラーを含有する樹脂片、及び、第二の添加剤として臭素系難燃剤(臭素濃度1wt%)を含有する樹脂片について、これらの樹脂片が混合した破砕混合樹脂片群から添加剤を含有しない樹脂片を判定して回収する手法の概要について説明する。
異なる既知の厚さを有する複数の樹脂片からなる添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群のそれぞれを構成する樹脂片について、その厚さとそれに対応する差分値との関係を示すグラフA、B、および、Cを図1に示す。グラフAは、添加剤を含有しない樹脂片群を構成する樹脂片(ここでは、樹脂片P0とする)、グラフBは、添加剤として10wt%のガラス繊維を含有する樹脂片群を構成する樹脂片(ここでは、樹脂片P1とする)、及び、グラフCは、添加剤として1wt%の臭素(Br)を含有する樹脂片(ここでは、樹脂片P2とする)について評価した結果を示す。
グラフAに示されるように、樹脂P0の厚さxと差分値Sの関係は、数式4で表す差分値Sの式においてkの値を、樹脂片P0の低エネルギー側と高エネルギー側の減弱係数の比に設定すると(k・μ−μ)=0となるため添加剤を含有しない樹脂片の差分値S0は厚さに依らず0となる。一方、樹脂片P1及び樹脂片P2は、数式4で表す差分値Sの式において(k・μ−μ)≠0となり、樹脂片の厚さxが厚くなるにしたがい、差分値Sが小さくなり、厚さの依存性があることがわかる。また、樹脂片P1及び樹脂片P2では添加剤の種類によって、グラフの傾きが変わっている。
樹脂片P0と、樹脂片P1及び樹脂片P2とを判定する場合には、差分値Sの閾値J1をS0=0と、例えば、樹脂片P1の厚さ1mmの差分値S1の間に設定することにより判定できる。つまり、差分値Sが、閾値J1よりも大きい場合は樹脂片P0と判定し、閾値J1よりも小さい場合は、樹脂片P1または樹脂片P2と判定する。よって、樹脂片P0と、樹脂片P1及び樹脂片P2との別を判定できる。
しかし、差分値Sに閾値J1を設けることのみでは、樹脂片P1または樹脂片P2のいずれであるかを判定できない。そこで、樹脂片P0、樹脂片P1、及び、樹脂片P2の3種類の別を判定することはできない。例えば、樹脂片P1の厚さ4mmの差分値S1(Si1)と樹脂片P2の厚さ2mmの差分値S2(Br1)とでは同じ値を示すため、差分値Sに閾値J1を設けるだけでは判定することができない。
一方、既知である所定の厚さを有する樹脂について、その厚さとそれに対応する数式2で表される低エネルギー側の透過X線強度との関係を示すグラフD〜Fを図2に示す。グラフDは添加剤を含有しない樹脂片P0、グラフEは添加剤として10wt%のガラス繊維を含有する樹脂片P1、及び、グラフFは添加剤として1wt%の臭素(Br)を含有する樹脂片P2について評価した結果を示す。
樹脂片P1の厚さ4mmの低エネルギー側の透過X線強度I1(Si2)と樹脂P2の厚さ2mmの低エネルギー側の透過X線強度I2(Br2)は異なるため、この関係を用いることにより、測定対象の樹脂片が樹脂片P1または樹脂片P2のいずれであるかを判定することができる。
つまり、差分値S及び低エネルギー側の透過X線強度Iの両方の関係を用いることにより、厚さに関わらず、測定対象の樹脂片が樹脂片P0、樹脂片P1、または、樹脂片P2のいずれであるかを判定することができる。例えば、下記表1に示すように、異なる既知の厚さを有する複数の樹脂片P0、樹脂片P1、及び、樹脂片P2の低エネルギー側の透過X線強度Iと差分値Sの組み合わせを予め求め、メモリー等の記憶装置に記憶しておく。測定対象である任意の樹脂片に対し、低エネルギー側の透過X線強度Iと差分値Sとを求め、予め記憶された下記表1に示された値と比較することで、測定対象である樹脂片が、樹脂片P0、樹脂片P1、または、樹脂片P2のいずれであるかを判定することができる。
Figure 2015152343
図3は、樹脂片が添加剤を含有するか否かを判定して、それぞれの樹脂片ごとに回収する手法の一例について示したフロー図である。フローチャートと表1に基づいてより具体的に説明する。
図3において、最初のステップF1は、添加剤を含有しない樹脂片の差分値と添加剤を含有する樹脂片の差分値との間に閾値を設定するステップである。例えば、上記で示した例でいえば、添加剤を含有しない樹脂片P0、添加剤として10wt%ガラス繊維を含有する樹脂片P1、及び、添加剤として1wt%の臭素(Br)を含有する樹脂片P2からなる樹脂片群の場合、表1に示すように樹脂片P0の差分値S0=0と、樹脂片P1の差分値Sの最大値である厚さ1mmの差分値S1=−0.005との間に、閾値J1=−0.003を設定する。このとき、数式4で表される差分値Sのk値は、添加剤を含有しない樹脂片P0の低エネルギー側と高エネルギー側との減弱係数の比を用いる。
次のステップF2は、異なる既知の厚さを有する複数の樹脂片からなる樹脂片群であって、樹脂片P0、樹脂片P1、及び、樹脂片P2からなる樹脂片群のそれぞれで測定した差分値Sと低エネルギー側の透過X線強度Iの関係を記憶するステップである。例えば、ここでは、上記表1で示した内容を記憶する。
次のステップF3は、測定対象である任意の樹脂片にX線を照射し、樹脂片を透過したX線の透過強度を測定し、差分値Sを計算するステップである。
次のステップF4は、測定対象である任意の樹脂片の差分値SとステップF1で設定した閾値J1とを比較するステップである。F4により、測定対象である任意の樹脂片の差分値Sが閾値J1よりも大きい樹脂片は回収対象とされる。例えば、閾値J1=−0.003よりも大きな差分値Sを与える樹脂片は回収対象と判定される。
一方、閾値J1=−0.003以下の差分値Sを与える樹脂片、例えば差分値S=−0.020を与える樹脂片は回収対象と判定されず次のステップF5に移る。
次のステップF5は、樹脂片の差分値Sと低エネルギー側との透過X線強度Iの関係について、記憶させていた添加剤を含有する樹脂片P1及びP2とで比較するステップである。例えば、差分値S=−0.020を与える樹脂片があるとする。その差分値Sを、予め記憶させていた表1に示す関係、即ち、厚さxと、樹脂片P1の差分値S1と樹脂片P2の差分値S2との関係とを比較する。その結果、樹脂片P1は厚さ4mmで、樹脂片P2は厚さ2mmで差分値S1=S2=−0.020であるため、差分値が−0.020となる樹脂片が樹脂片P1または樹脂片P2のいずれであるかを判定することはできない。
そこで差分値Sが−0.020を示す樹脂片の低エネルギー側の透過X線強度Iを、樹脂片P1及びP2の低エネルギー側の透過X線強度Iと比較する。差分値S=−0.020を与えた樹脂片の低エネルギー側の透過X線強度IがI=3286である場合、表1から厚さ2mmの樹脂片P2の低エネルギー側の透過X線強度I2と一致し、厚さ4mmの樹脂片P1の低エネルギー側の透過X線強度I1とは異なることがわかる。従って、差分値S=−0.020を与えたこの樹脂片は、樹脂片P2であると判定できる。
よって、樹脂片P0を選別回収し、樹脂片P1と樹脂片P2とをそれぞれ選別できるため、これら樹脂片が混在した樹脂片群を3種類に分けることができる。
次に、比較例に係る判定方法について説明する。図4は、比較例に係る判定方法を示すフローチャートである。フローチャートと表1に基づいて説明する。
図4において、最初のステップF11は、添加剤を含有しない樹脂片の差分値と添加剤を含有する樹脂片の差分値の間に閾値を設定するステップである。例えば、上記で示した例でいえば、樹脂片P0、樹脂片P1、または、樹脂片P2のそれぞれからなる樹脂片群の場合、表1に示すように樹脂片P0の差分値S0=0と、樹脂片P1の差分値S1の最大値である、厚さ1mmの差分値S1=−0.005の間に、例えば閾値J1=−0.003を設定する。このとき、数式4で表される差分値Sのk値は、添加剤を含有しない樹脂片P0の低エネルギー側と高エネルギー側の減弱係数の比を用いる。
次のステップF12は、測定対象の樹脂片にX線を照射し、樹脂片を透過したX線の透過強度を測定することにより透過X線強度を測定し、差分値を計算するステップである。
次のステップF13は、測定対象の樹脂片の差分値Sと閾値J1とを比較するステップである。F13により、樹脂片の差分値Sと閾値J1が比較され、差分値Sが閾値J1よりも大きい樹脂片は回収対象とされる。例えば、閾値J1=−0.003よりも大きな差分値Sを与える樹脂片は回収対象と判定される。
一方、閾値J1=−0.003以下の差分値Sを与える樹脂片、例えば差分値S=−0.020を与える樹脂片は除去対象と判定される。
比較例に係る判定方法では、含有する添加剤の種類が考慮されない。このため、添加剤を含有しない樹脂片と添加剤を含有する樹脂片との差でのみ判定されることになり、含有する添加剤の種類に応じた判定をすることはできない。したがって、差分値が閾値よりも大きい樹脂片である添加剤を含有しない樹脂片は回収されるが、差分値が閾値以下である樹脂片はひとまとめに除去対象とされ、添加剤の種類に応じて除去することはできない。
比較例に対して、この発明に係る判定方法では、含有する添加剤の種類を考慮して、まず、樹脂片の差分値と閾値を比較し、その閾値よりも大きい差分値を有する樹脂片は添加剤を含有しない樹脂片と判定されて回収対象であると判定される。次に、樹脂片の差分値が閾値以下である樹脂片については、測定した低エネルギー側の透過X線強度とあらかじめ記憶した差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係を比較することで、添加剤の種類を判定し、その種類毎に応じて選別される。
これにより、添加剤を含有しない樹脂片P0に係る樹脂片、添加剤として10wt%のガラス繊維を含有する樹脂片P1に係る樹脂片、および、添加剤として1wt%の臭素(Br)を含有する樹脂片P2に係る樹脂片からなる樹脂片群のうち、P0、P1、および、P2のそれぞれに係る3種類の樹脂片を選別することができる。なお、ここではP0、P1、および、P2のそれぞれに係る3種類の樹脂片を選別する方法について述べてきたが、ある添加剤を含有する厚さの異なる樹脂片についての差分値を基準に取り、正規化することで、その他の添加剤を含有する樹脂片との間に閾値を設けて順次識別する作業を繰り返すことにより、P0、P1、および、P2のそれぞれに係る3種類の樹脂片に限られず、4種類、5種類、または、それ以上の種類の樹脂片に対応させることができる場合がある。
実施の形態2.
上記の実施の形態1では、この発明に係る樹脂の判定方法について説明したが、実施の形態2では、上記判定方法を利用した使用済みプラスチックのリサイクル工程での樹脂の破砕片の選別方法について説明する。図において、上記実施の形態1で示した番号が付された部分については、上記実施の形態1で記載した構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。以下、樹脂と記載する場合には、主として使用済みプラスチック樹脂に係る破砕片を念頭に入れて説明する。使用済みプラスチックを粉砕した破砕片は、破砕片毎の厚さにバラツキが有り、また、一つの破砕片の中でも部分により厚さが異なるという特徴がある。このとき、前述の特徴に起因して差分値はバラツキをもつこととなる。
図5は、既知の平均厚さを有する破砕片について、その厚さとそれに対応する差分値との関係を示したグラフである。図中、グラフGは、添加剤を含有しない樹脂片P0について評価したものである。グラフHは、添加剤として10wt%のガラス繊維を含有する樹脂片P1について評価したものである。グラフIは、添加剤として1wt%の臭素(Br)を含有する樹脂片P2について評価したものである。
各樹脂片内の差分値Sは、厚さの分布や測定の偶然誤差を反映して分布をもつ。図中の各樹脂片のプロットは、各樹脂片内で得られた差分値Sの平均差を示している。これを平均差分値Saとする。また、エラーバーは、樹脂片の所定の厚さにおける差分値Sのばらつきを示しており、差分値Sの最大値及び最小値の取りうる範囲を示している。
数式4で表す差分値Sの式においてkの値を、樹脂片P0の低エネルギー側と高エネルギー側の減弱係数の比に設定すると(k・μ)=0となるため添加剤を含有しない樹脂片の差分値Sは理想的には厚さに依らず0となる。それに従い、グラフGに示されるように、樹脂片P0の厚さxと平均差分値Saの関係も厚さに依らず0となるが、測定の偶然誤差により差分値Sはばらつきをもち、図中のエラーバーで示されるような分布をもつ。
一方、樹脂片P1及び樹脂片P2は、数式4で表す差分値Sの式において(k・μ)≠0となり、樹脂片の厚さxが厚くなるにしたがい、差分値S1及びS2が小さくなり、厚さに対する依存性をもつ。また、樹脂片P1及び樹脂片P2では添加剤の種類によって、厚さに対する依存性が異なる。それに従い、グラフHとグラフIで示されるように、樹脂片P1及びP2のそれぞれに対する厚さx1及びx2と平均差分値Sa1及びSa2との関係も厚さの依存性をもち、測定の偶然誤差と樹脂片内の厚さの分布を反映して差分値S1及びS2はばらつきをもち、図中のエラーバーに示すような分布をもつ。
先ず、添加剤を含有しない樹脂片P0、添加剤を含有する樹脂片P1、及び、樹脂片P2であるかを判定する場合に、まず、差分値Sの閾値を0と、樹脂片P1の厚さ1mmの平均差分値Sa1との間に閾値J2を設定することでおおよその判定はできる。しかし、樹脂片P1及び樹脂片P2を確実に除去するためには、樹脂片P1及びP2の差分値S1及びS2の分布を考慮して、出来る限り0に近い閾値とする。しかし、このようにした場合、樹脂片P0の回収量は少なくなってしまうことがわかる。
また、実施の形態1で説明した通り、差分値Sの閾値J2の設定のみでは樹脂片P1と、樹脂片P2とを判定できないため、樹脂片P0、樹脂片P1、及び、樹脂片P2を3種類に判定することはできないが、差分値Sと低エネルギー側の透過X線強度Iの関係を用いることで、厚さによらず樹脂片P1及び樹脂片P2を判定することができる。樹脂片P0、樹脂片P1、及び、樹脂片P2の低エネルギー側の透過X線強度Iと差分値Sの組み合わせをあらかじめ設けておき、樹脂片の差分値が閾値以下である樹脂片については、測定した低エネルギー側の透過X線強度とあらかじめ記憶した差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係を比較することで、添加剤の種類を判定し、その種類毎に応じて樹脂片P0、樹脂片P1、及び、樹脂片P2の3種類の樹脂片を選別することができる。
の判定が可能になる。
また、樹脂片P1及びP2と判定された樹脂片について、厚さ毎の個数の集計をして、その集計結果を閾値の設定にフィードバックすることで、樹脂片P0の回収量を多くすることができる場合がある。例えば、集計結果から、樹脂片P1の厚さが1mm及び2mmの破砕片、若しくは、樹脂片P2の厚さが1mmの破砕片が、測定対象の任意の破砕片からなる樹脂片群にほとんど存在しない場合には、閾値J2を更に下げて閾値J3とすることができる。これにより添加剤を含む破砕片である除去対象を回収することなく、回収対象である添加剤を含有しない破砕片の回収量を大きくすることができる。
ここでは、前述した破砕片を判定して回収する手法の一例について、フローチャートに基づいてより具体的に説明する。判定方法のフローチャートを図6に示す。ステップF21〜F25では、上記実施の形態2で説明したステップF1〜F5と同様なステップを行う。
まず、ステップF21に示すように、添加剤を含有しない破砕片の平均差分値Sa0と、添加剤を含有する破砕片の平均差分値Sa1及びSa2の間に、差分値Sの閾値J2が設定される。添加剤を含有しない破砕片(樹脂片P0)、添加剤として10wt%ガラス繊維を含有する破砕片(樹脂片P1)、及び、添加剤として1wt%の臭素(Br)を含有する破砕片(樹脂片P2)からなる破砕片群の場合、図5に示すように、樹脂片P0の平均差分値Sa0のグラフGと、樹脂片P1の平均差分値Sa1のグラフHにおける厚さ1mmの平均差分値Saの間であって、差分値Sの分布を示すエラーバーを考慮して樹脂片P1を確実に除去するために、出来る限り0に近い位置に閾値J2が設定される。
ステップF22及びステップF23を経て、ステップF24に示すように、破砕片の差分値Sと閾値J2とが比較される。このとき、差分値Sが閾値J2よりも大きい破砕片は回収対象とされる。なお、ステップF22及びステップF23は、上記実施の形態1で説明したステップF2及びF3と同様なステップであるため、ここでは説明を省略する。
一方、破砕片の差分値Sが閾値J2以下である場合は、回収対象と判定されずに次のステップF25に移る。
ここで、実施の形態1と同様に差分値Sが閾値J2以下である破砕片の差分値Sと低エネルギー側の透過X線強度Iを、あらかじめ記憶した樹脂片P1及び樹脂片P2の差分値Sと低エネルギー側の透過X線強度Iと比較することにより判定することができる。このように、樹脂片P0、樹脂片P1、及び、樹脂片P2のそれぞれで構成された樹脂片群から3種類の樹脂片を選別し、これらの樹脂片を用途に応じて除去または回収することができる。
次いでステップF26で、樹脂片P1または樹脂片P2のいずれかに判定された破砕片を厚さ毎に集計する。集計の結果、破砕片群の中に樹脂片P1と判定された厚さ1mm及び2mmの破砕片や、樹脂片P2と判定された厚さ1mmの破砕片が含まれない場合には、ステップF27で差分値Sの閾値をJ3により低く設定することができ、樹脂片P0に相当する添加剤を含有しない樹脂の破砕片の回収量を増やすことができる。
実施の形態3.
上記の実施の形態では、この発明に係る樹脂の判定方法について説明したが、この発明に係る実施の形態3では、上記判定方法を利用したこの発明に係る樹脂の選別装置について説明する。図において、上記実施の形態で示した番号が付された部分については、上記実施の形態で記載した構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。以下、樹脂と記載する場合には、新規な樹脂成形品を含むことはもちろんのことであるが、本発明は、プラスチックリサイクルの観点からなされた発明であり、主として使用済みプラスチック樹脂に係る破砕片を念頭に入れて説明する。
この発明の実施の形態3に係る樹脂の選別装置は、複数の樹脂片にX線を照射するX線照射部と、複数の樹脂片のそれぞれを透過した後のX線の透過強度を測定する検出部を備えている。計算部は、検出部で測定した低エネルギー側の透過X線強度と高エネルギー側の透過X線強度の差分値を計算する。メモリーまたはハードディスクなどで構成される記憶部には、あらかじめ添加剤を含有しない樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群、及び、添加剤を含有する樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群のそれぞれで測定した、差分値、及び、差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係が記憶されており、照合部では差分値及び低エネルギー側の透過X線強度の測定値と、あらかじめ記憶した添加剤を含有しない樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群、及び、添加剤を含有する樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群のそれぞれで測定した、差分値、及び、差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係とを比較する。これにより添加剤の種類毎に樹脂片が判定される。
判定部では、添加剤を含有しない樹脂片の差分値と添加剤を含有する樹脂片の差分値の間に閾値を設定し、計算した差分値と比較することにより添加剤を含まない樹脂片と添加剤を含む樹脂片を判定し、判定結果に基づいて選別部において選別される。
集計部では、差分値及び低エネルギー側の透過X線強度の測定値と、あらかじめ記憶した添加剤を含有しない樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群、及び、添加剤を含有する樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群のそれぞれで測定した、差分値及び低エネルギー側の透過X線強度の関係を比較するステップで得た樹脂片の材質と厚さの分布を集計する。
樹脂片の材質と厚さの分布の集計結果は、判定部にフィードバックされて閾値が再設定される。
以下、この発明の実施の形態3に係る樹脂の選別装置の一例について、図を用いて具体的に説明する。図7は、この発明の実施の形態3に係る選別装置を示す模式図である。図に示すように、樹脂の選別装置1は、ホッパーとフィーダーで構成される供給部2から使用済みプラスチックの破砕片を搬送部3に供給する、例えばベルトコンベアなどで構成される搬送部3により破砕片を搬送する。搬送部3で搬送された破砕片20は、搬送部3上または搬送部3を飛び出した後に、X線照射部4からX線を照射され、照射されたX線の内、破砕片を透過したX線をデュアルセンサーから構成されるX線検出部5で測定する。X線検出部5で検出された透過X線強度に基づき制御部6により、回収すべき破砕片であるか、廃棄すべき破砕片であるか判断する。選別部7は、制御部6からの情報に基づき、破砕片の選別を行う。
制御部6は、主に、X線検出部5からの画像データを読み取る画像読取部10と、X線検出部5で得た低エネルギー側と高エネルギー側の透過X線強度のデータに基づき低エネルギー側及び高エネルギー側の透過X線強度の差分値を計算する計算部11と、添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群のそれぞれを構成する厚さの異なる樹脂片についての差分値、及び、差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係が記憶された記憶部12と、記憶部12に記憶したデータと実測により得られる計算部11のデータとを比較照合する照合部13と、照合部13の結果に基づき回収すべき破砕片であるか、廃棄すべき破砕片であるかの判定を行う判定部14とを備えている。
選別部7は、主に、例えば、エアガン等を用いて、空中に存在する選別対象である破砕片20を除去または回収をするために、その破砕片20の方向(軌道)を変更する選択部8、回収する破砕片20と除去する破砕片20を収める複数に区切られた小部屋を持つ回収部9を備えている。
次に、上述した樹脂の選別装置1の動作について、図7を用いて具体的に説明する。供給部2に蓄えられた破砕片20が、搬送ベルト等で構成される搬送部3に供給される。破砕片20には、たとえば、添加剤を含有しない破砕片201、ガラス繊維を含有した破砕片202、および、臭素(Br)を含有した破砕片203が含まれるものとする。搬送部3に供給された破砕片20は、搬送部3で搬送され、搬送部3上または搬送部3から飛び出した空中で、X線照射部4およびX線検出部5との間を通過するときに、X線照射部4からX線が照射されて、破砕片20を透過したX線がX線検出部5によって検出される。
制御部6では、X線検出部5で得られた透過X線強度に係るデータに基づいて、破砕片20のそれぞれについて、回収すべき破砕片であるか、廃棄すべき破砕片であるかが判定され、その判定結果に基づいて、選別部7で選別される。ここでは除去すべき破砕片と規定する破砕片202および破砕片203を、空気ボンベから送られた空気を噴射する空気銃等の選択部8を動作させることで、選択的に回収部9の除去すべき領域に落とす。一方、回収すべきであると規定した破砕片201は、選択部8を動作させずに通過させて、回収すべき領域に落下させる。
なお、選択部8を複数の空気銃で構成することにより、選別対象である複数種類の樹脂の破砕片をそれぞれ異なる領域に落下させることが可能となる。例えば、破砕片201乃至203をそれぞれ異なる領域に分ける場合には、破砕片202を選別する第一の空気銃801と、破砕片203を選別する第二の空気銃802を設けることで、第一の空気銃801を動作させた場合には、破砕片202を第一の領域901に落とし、第二の空気銃802を動作させた場合には、破砕片203を第二の領域902に落とし、第一の空気銃801および第二の空気銃802を動作させずに通過させた場合には、破砕片201を第3の領域903に落とすように設定することも可能である。
次いで、制御部6での判定動作について説明する。計算部11は、X線検出器5から取得した低エネルギー側の透過X線強度および高エネルギー側の透過X線強度に基づいて差分値を計算する。記憶部12は、添加剤を含有しない樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群、及び、添加剤を含有する樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群のそれぞれで測定した、差分値及び低エネルギー側の透過X線強度の関係が記憶され、照合部13において、あらかじめ記憶部11に記憶したデータおよび実測により得られた計算部11のデータを比較して、差分値が閾値よりも大きい場合は、判定部14が回収対象として判定し、回収部9で回収される。
閾値と計算した差分値を比較して、差分値が閾値以下の場合は、記憶部12に記憶された添加剤を含有しない樹脂片、添加剤として10wt%ガラス繊維を含有する樹脂片、および、添加剤として1wt%の臭素(Br)を含有する樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群で測定した差分値および低エネルギー側の透過X線強度の関係、若しくは、計算した差分値および低エネルギー側の透過X線強度の関係を比較することにより、添加剤として10wt%のガラス繊維を含有する破砕片202、および、添加剤として1wt%の臭素(Br)を含有する破砕片203を判定することができる。したがって、破砕片群から3種類の樹脂それぞれの樹脂片を除去および回収することができる
実施の形態4.
上記の実施の形態3では、樹脂の選別装置の一例について説明したが、実施の形態4では、樹脂の選別装置の別の一例について説明する。図8は、この発明の実施の形態4に係る選別装置の一例を示す模式図である。図に示すように、上記この発明の実施の形態3に係る樹脂の選別装置の一例で示した番号が付された部分については、上記樹脂の選別装置の一例で記載した構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記実施の形態3に係る選別装置と異なる部分は、制御部6に照合部13の判定結果を集計する集計部15と、集計部15の集計結果を判定部14に送信するフィードバック部16とを備えていることである。
以下、制御部6での判別動作について説明する。上記実施の形態3に係る樹脂の選別装置の一例で説明した箇所については、説明が重複するため、ここでは説明を省略する。記憶部12は、添加剤を含有しない樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群、及び、添加剤を含有する樹脂片からなる既知の厚さの樹脂片群のそれぞれで測定した、差分値及び低エネルギー側の透過X線強度の関係が記憶され、照合部13において、あらかじめ記憶部12に記憶したデータおよび実測により得られた計算部11のデータを比較して、差分値が閾値よりも大きい場合は、判定部14が回収対象として判定し、回収部9で回収される。
また、照合部13は、その判定結果に係るデータを集計部15に送信する。集計部15は、送信された判定結果に係るデータを所定の一定期間集計し、その集計結果をフィードバック部16に送信する。フィードバック部16は、集計結果を判定部14に送信し、判定部14は、集計結果に基づいて閾値の値を再設定する。なお、集計部15が、判定結果に係るデータの集計、及び、集計結果の判定部14への送信を行っても構わない。
例えば、上記実施の形態3で説明した添加剤として10wt%のガラス繊維を含有する破砕片202、および、添加剤として1wt%の臭素(Br)を含有する破砕片203について、具体的に説明すれば、判定部14で得た破砕片202および破砕片203について厚さに基づくデータを集計部15で集計する。この結果、破砕片202には、厚さ1mmまたは2mmのものが含まれない場合、および、破砕片203には、厚さ1mmのものが含まれない場合には、判定部14で差分値の閾値を低く再設定することにより、添加剤を含有しない樹脂の破砕片の回収量を増やすことができる。
以上説明したように、上記実施の形態に係る樹脂の選別装置によれば、低エネルギー側の透過X線強度と差分値との関係を既存の情報と比較することで添加剤の種類毎の樹脂片を選別できる。また、低エネルギー側の透過X線強度と差分値との関係を既存の情報と比較による添加剤の種類毎の樹脂片に係る分布情報に基づいて添加剤を含まない樹脂片と添加剤を含む樹脂片の閾値を調整することにより添加剤を含まない樹脂片の回収量を増やすことができる。
1 選別装置、2 供給部、3 搬送部、4 X線照射部、5 X線検出部、6 制御部、7 選別部、8 選択部、9 回収部、10 画像読取部、11 計算部、12 記憶部、13 照合部、14 判定部、15 集計部、16 フィードバック部、20 破砕片、201 添加剤を含有しない破砕片、202 ガラス繊維を含有した破砕片、203 臭素(Br)を含有した破砕片

Claims (4)

  1. 所定の厚さを有する複数の樹脂片からなる樹脂片群であって、添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群において、
    それぞれの樹脂片群を構成する各樹脂片にX線を照射し、透過した低エネルギー側のX線強度と高エネルギー側のX線強度との差分である差分値、及び、該差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係を予め記録し、
    任意の樹脂片にX線を照射し、透過した低エネルギー側のX線強度と高エネルギー側のX線強度との差分である差分値、及び、該差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係を求め、前記予め記録した差分値、及び、該差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係と比較することで、前記任意の樹脂片の添加剤の含有及び種別を判定する樹脂の判定方法。
  2. 添加剤を含有しない樹脂片群を構成する樹脂片に係る差分値と、第一の樹脂片群及び第二の樹脂片群を構成する樹脂片に係る差分値との間に閾値を設け、
    任意の樹脂片に係る差分値が前記閾値以下であるか否かにより、任意の樹脂片が添加剤を含有するか否かを判別し、
    任意の樹脂片に係る差分値が前記閾値以下である場合には、差分値と透過した低エネルギー側のX線強度との関係により、添加剤の種別を判別する請求項1記載の樹脂の判定方法。
  3. 選別対象である複数の任意の樹脂片の判定結果に基づいて、閾値を再設定する請求項2記載の樹脂の判定方法。
  4. 任意の樹脂片にX線を照射するX線照射部と、
    前記任意の樹脂片を透過したX線の強度を検出するX線検出部と、
    前記X線検出部で検出した低エネルギー側の透過X線強度と高エネルギー側の透過X線強度との差分値を計算する計算部と、
    所定の厚さを有する複数の樹脂片からなる樹脂片群であって、添加剤を含有しない樹脂片群、第一の添加剤を含有する第一の樹脂片群、及び、第二の添加剤を含有する第二の樹脂片群のそれぞれを構成する厚さの異なる樹脂片についての差分値、及び、差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係を予め記憶する記憶部と、
    前記計算部により前記任意の樹脂片にX線を照射して得られた差分値、及び、差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係と、前記記憶部に記憶された差分値、及び、差分値と低エネルギー側の透過X線強度との関係とを比較する判定部とを備え、
    前記判定部の判定結果に基づいて、前記任意の樹脂片が添加剤を含有しない樹脂片、第一の添加剤を含有する樹脂片、及び、第二の添加剤を含有する樹脂片のいずれかであるかを選別する樹脂の選別装置。
JP2014024187A 2014-02-12 2014-02-12 樹脂の判定方法および選別装置 Active JP6119630B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014024187A JP6119630B2 (ja) 2014-02-12 2014-02-12 樹脂の判定方法および選別装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014024187A JP6119630B2 (ja) 2014-02-12 2014-02-12 樹脂の判定方法および選別装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015152343A true JP2015152343A (ja) 2015-08-24
JP6119630B2 JP6119630B2 (ja) 2017-04-26

Family

ID=53894779

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014024187A Active JP6119630B2 (ja) 2014-02-12 2014-02-12 樹脂の判定方法および選別装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6119630B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07163571A (ja) * 1993-09-08 1995-06-27 Siemens Ag 種々異なる波長の光による組織検査装置
JP2004125715A (ja) * 2002-10-07 2004-04-22 Yamato Scale Co Ltd X線異物検査装置の感度校正方法及び感度校正装置
JP2004515747A (ja) * 2000-06-11 2004-05-27 インスティチュート オブ ジオロジカル アンド ニュークリアー サイエンシーズ リミテッド 非破壊的な肉の特性の測定方法
WO2008126892A1 (ja) * 2007-04-11 2008-10-23 Mitsubishi Electric Corporation 樹脂中Br検出方法、樹脂分別装置、および再生樹脂製品の製造方法
JP2010207772A (ja) * 2009-03-12 2010-09-24 Mitsubishi Electric Corp 樹脂選別方法および樹脂選別装置
JP2011024773A (ja) * 2009-07-24 2011-02-10 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology X線成分計測装置
US20110075800A1 (en) * 2009-09-30 2011-03-31 Paul Bjorkholm Dual energy radiation scanning of contents of an object based on contents type
JP2011521208A (ja) * 2008-04-24 2011-07-21 クロメック リミテッド 液体の組成の決定

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07163571A (ja) * 1993-09-08 1995-06-27 Siemens Ag 種々異なる波長の光による組織検査装置
JP2004515747A (ja) * 2000-06-11 2004-05-27 インスティチュート オブ ジオロジカル アンド ニュークリアー サイエンシーズ リミテッド 非破壊的な肉の特性の測定方法
JP2004125715A (ja) * 2002-10-07 2004-04-22 Yamato Scale Co Ltd X線異物検査装置の感度校正方法及び感度校正装置
WO2008126892A1 (ja) * 2007-04-11 2008-10-23 Mitsubishi Electric Corporation 樹脂中Br検出方法、樹脂分別装置、および再生樹脂製品の製造方法
JP2011521208A (ja) * 2008-04-24 2011-07-21 クロメック リミテッド 液体の組成の決定
JP2010207772A (ja) * 2009-03-12 2010-09-24 Mitsubishi Electric Corp 樹脂選別方法および樹脂選別装置
JP2011024773A (ja) * 2009-07-24 2011-02-10 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology X線成分計測装置
US20110075800A1 (en) * 2009-09-30 2011-03-31 Paul Bjorkholm Dual energy radiation scanning of contents of an object based on contents type

Also Published As

Publication number Publication date
JP6119630B2 (ja) 2017-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5498400B2 (ja) プラスチックの選別方法及び選別装置
US9566615B2 (en) Resin piece sorting method and resin piece sorting apparatus
KR20220080734A (ko) 재활용 가능한 물품 및 그 소스 물질의 관리
WO2008091400A2 (en) Method and system for special nuclear material detection
CN106950230B (zh) 计算方法、判定方法、挑选方法以及挑选装置
US20150314332A1 (en) Sorting mined material
JP2016099888A (ja) センサデータ分類装置、方法およびプログラム
US20060115037A1 (en) System and a method of automatically sorting objects
KR20220083727A (ko) 재활용품 및 그 원료의 관리
JP6119630B2 (ja) 樹脂の判定方法および選別装置
JP4870014B2 (ja) 再生プラスチック材料選別方法
Himel et al. Measurement of γ γ ψ Final States in ψ′ Decay
JP2009279541A (ja) 臭素系難燃剤含有樹脂の選別装置および選別方法
JP4536548B2 (ja) X線検査装置および蓄積情報抽出システム
JP2011235203A (ja) プラスチック片の選別装置
Sepehri Rad et al. Towards identifying arguments in Wikipedia pages
JP5967017B2 (ja) 影響因子抽出方法およびプログラム
JP6399967B2 (ja) 樹脂片の選別方法及び樹脂片の選別装置
JP2014130066A (ja) 樹脂の判定方法および樹脂の選別装置
US11867645B2 (en) System and method for detection and identification of foreign elements in a substance by X-ray or Gamma-ray detection and emission
Degrassi Where is the Higgs?
Firsching et al. Quantitative sorting using dual energy X-ray transmission imaging
US20110189718A1 (en) Systems And Methods For Segregating Mixed Material Streams
JP5013376B2 (ja) 臭素系難燃剤含有プラスチックの分別装置
CA3191464A1 (en) Method and system for sorting of diamonds

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160719

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160715

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170313

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6119630

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250