JP2015150736A - 金属積層フィルム - Google Patents

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裕一 二宮
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裕一 二宮
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Kiyohiko Ito
喜代彦 伊藤
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Abstract

【課題】微細な構造の形成が可能で、煩雑なプロセスを必要とせず、基板であるプラスチックフィルムの耐熱性の範囲で形成が可能で、低コストで大量生産可能な金属凸部を形成した、積層フィルムを提供する。
【解決手段】プラスチックフィルムに金属層が積層された、金属積層フィルムで、ヘイズ値が1.0〜2.0%であり、金属積層面の中心線平均粗さ(Ra)が40nm未満であり、金属層が積層された面に粒子を含む金属凸部が100μm当たり300〜4000個の密度で存在し、複雑なプロセスを必要とせず、低コストで大量生産可能な金属凸部を有する金属積層フィルム。前記金属層の厚みが1〜100nmであり、プラスチックフィルムの厚みが20〜300μmである金属積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子デバイス等に用いられる金属積層フィルムに関する。
近年、金属積層フィルムを、光電子デバイス、発光素材、太陽電池の素材、センサ等へ適用することが注目されている。本発明でいう金属積層フィルムとは、金属が含まれる微細な凸部(以下、金属凸部という)が、金属層に一定の密度で存在するものである。この金属積層フィルムは、特定のエネルギー状態に電子を集中させることができるため、局在表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)による分析に用いるチップ素材や表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)による分析に用いるチップ素材としても利用価値が高く、金属積層フィルムの低コスト化は、次世代デバイスの開発等に不可欠なものである。
この金属凸部の形成方法は、従来、種々検討されている。例えば、基板上に物理的蒸着法(PVD)もしくは化学的蒸着法(CVD)により金属薄膜を形成し、次にレジスト層を設ける。これをプリベークした後、電子ビームリソグラフィ(EBL:Electron Beam Lithography)にて所望のパターンを描画し、ポストエクスポージャーベークを行ない現像してレジスト層のパターニングを行なう。パターニングされたレジスト層をマスクとして、ドライエッチングを行ない、金属層がパターニングされたら、最後に、リムーバー等の処理を行ない、金属積層フィルム上のレジスト層を除去し、金属凸部を有する金属積層フィルムを形成することができる(特許文献1参照)。
また別の手法としては、基板上にレジスト層を形成し、紫外線(UV)または電子線(EB)等の露光放射を当てるリソグラフィ法により微細開口を形成する。次いで、物理的蒸着法(PVD)もしくは化学的蒸着法(CVD)により金属薄膜を形成する。続いて、リムーバー等の処理を行ない、レジスト層を除去し、金属凸部を有する金属積層フィルムを形成することができる(特許文献2参照)。
また別の手法としては、基板上に物理的蒸着法(PVD)または化学的蒸着法(CVD)により金属薄膜を形成後、金属薄膜の融点以下の温度で焼鈍(アニール)することによって金属凸部を有する金属積層フィルムを形成することができる。これは、基板となる下地結晶材料と金属薄膜となる堆積結晶材料の格子定数の違いによる歪みエネルギーと表面エネルギーによって金属薄膜が分離し、金属薄膜が分離後に自己組織化により金属凸部を形成するという、いわゆるSK(Stranski−Krastnov)モードを利用した形成方法がある(特許文献3参照)。
一方、金属積層フィルムを形成するための基板がプラスチックフィルムであれば、フレキシブルな金属積層フィルムを得ることができ、電子機器の曲面部分に使用できたり、屈曲が必要な電子部品に使用したりすることができる。さらに、ロール状に巻かれたプラスチックフィルムを用いると、ロールツーロールで金属積層フィルムの形成が実施でき、連続的に金属積層フィルムを生産することにつながり、コスト面でメリットがある。
特開2007−218900号公報 特開2010−210253号公報 特開2012−30340号公報
しかしながら、公知技術であるフォトリソグラフィー法やEBリソグラフィ法による金属凸部の形成方法は、金属凸部の形成プロセスが煩雑であり大量生産による低コスト化には適さないことと、分解能の制約から、より微細な構造の形成には適さないという問題があった。また特許文献3に記載の金属凸部の形成方法は、「金属薄膜の融点以下の温度で焼鈍(アニール)する」(請求項1)と記載されているが、実施例では、石英基板上に形成された金薄膜(融点=1,063℃)を、電気炉を用いて700℃の高温で10分間の焼鈍をすることで金を含む金属凸部が形成されることが開示されている。しかし、耐熱性のある基板(石英の耐熱性は1,600℃前後)上に形成された金属薄膜を非常に高い温度、且つ非常に長い時間焼鈍処理することが開示されているにすぎず、耐熱性が700℃以下の基板、特にプラスチックフィルム等に適用することができないという問題があった。
本発明は、かかる問題点に鑑み、微細な構造の形成が可能で、煩雑なプロセスを必要とせず、基板であるプラスチックフィルムの耐熱性の範囲で形成が可能で、低コストで大量生産可能な金属凸部を形成した金属積層フィルムを提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の金属積層フィルムは、以下の構成である。
(1)プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に金属層が積層された金属積層フィルムにおいて、
前記金属積層フィルムのヘイズ値が1.0〜2.0%であり、
かつ、前記金属積層フィルムの金属積層面の中心線平均粗さ(Ra)が40nm未満であり、
金属層が積層された面に粒子を含む金属凸部が100μm当たり300〜4,000個の密度で存在する金属積層フィルム。
(2)前記金属層の厚みが1〜100nmであり、
前記プラスチックフィルムの厚みが20〜300μmである(1)に記載の金属積層フィルム。
(3)前記粒子を含む金属凸部の金属層厚みをA、粒子を含む金属凸部がない部分の金属層厚みをBとしたとき、金属層厚みの比(A/B)が0.1〜0.8または1.2〜2.0である(1)または(2)に記載の金属積層フィルム。
(4)前記金属層を構成する材料を100質量%とした場合、該材料が金(Au)または銀(Ag)を95質量%以上含み、かつ、プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである(1)〜(3)のいずれかに記載の金属積層フィルム。
(5)前記粒子を含む金属凸部が以下の要件を満たす(1)〜(4)のいずれかに記載の金属積層フィルム。
粒子を含む金属凸部の平均直径:0.06〜0.6μm
粒子を含む金属凸部の平均高さ:0.06〜0.6μm
粒子を含む金属凸部の平均間隔:0.2〜1.0μm
(6)前記粒子の平均粒子径が0.05〜0.5μmである(1)〜(5)のいずれかに記載の金属積層フィルム。
(7)エネルギーパルス光を照射することにより粒子を含む金属凸部が形成された(1)〜(6)のいずれかに記載の金属積層フィルム。
本発明によれば、煩雑なプロセスを必要とせず、基板であるプラスチックフィルムの耐熱性の範囲で形成が可能で、低コストで大量生産可能な金属凸部を形成した金属積層フィルムを提供することができる。
[粒子を含む金属凸部]
本発明における粒子を含む金属凸部とはプラスチックフィルム中に含有された粒子により形成された凸部に金属が積層されたものをいう。
したがって、本発明の金属積層フィルムにおける粒子を含む金属凸部の断面を切った場合、金属凸部に粒子を確認することができる。
前記粒子を含む金属凸部は、平均直径が0.06〜0.6μm、その平均高さが0.06〜0.6μm、その平均間隔が0.2〜1.0μmの範囲で存在することが好ましく、平均直径が0.1〜0.3μm、その平均高さが0.1〜0.3μm、その平均間隔が0.5〜0.7μmの範囲で存在することがより好ましい。平均直径が0.06μmより小さく、その平均高さが0.06μmより小さい場合、金属積層フィルム表面の凹凸が小さくなるため、粒子を含む金属凸部を形成させることが難しくなる場合がある。また、平均直径が0.6μmより大きく、その平均高さが0.6μmより大きい場合、金属積層フィルムの表面の凸部が大きくなるため、凸部を核とした粒子を含む金属凸部が大きくなりすぎ表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。平均間隔が0.2μmより小さくなると、粒子を含む金属凸部1つ1つの独立性が失われ、表面プラズモンが励起しにくくなる場合があり、平均間隔が1.0μmより大きくなると粒子を含む金属凸部間の距離が離れすぎ、上記と同様に表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。
なお、後述する方法で測定した粒子を含む金属凸部の高さが10μm以上である場合は、プラスチックフィルムに含有されている異物または金属積層時に付着した異物であるので、それらは粒子を含む金属凸部の個数をカウントする際には除くものとする。
前記平均直径とは、金属積層フィルムの表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて撮影(10万倍)して画像(表面写真)を撮影する。次に、粒子を含む金属凸部の直径を測定し、平均したものをいう。なお、直径とは粒子を含む金属凸部を完全に囲む最も半径が小さい円の直径をいう。また、粒子を含む金属凸部の直径の測定方法については実施例にて説明する。
前記平均高さは金属積層フィルムのカットサンプル(20cm×15cm)を用意し、このカットサンプルの断面をTEM(透過型電子顕微鏡)にて撮影(10万倍)し、断面写真を撮影する。次に、断面写真に存在する粒子を含む金属凸部の高さを測定し、平均したものをいう。なお、金属凸部の高さの測定方法については実施例にて説明する。
前記平均間隔は金属積層フィルムの表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて撮影(10万倍)して画像(表面写真)を撮影する。次に、表面写真に存在する粒子を含む金属凸部の間隔を測定し、平均したものをいう。なお、粒子を含む凸部の間隔の測定方法については実施例にて説明する。
また、プラスチックフィルムに金属層が積層された面(以下、金属積層面という)の粒子を含む金属凸部の密度は、単位面積(100μm)当たり300〜4,000個であることが好ましい。さらに金属凸部の密度の範囲は、100μm当たり400〜3,500個の範囲がより好ましく、500〜3,000個の範囲がさらに好ましく、特に700〜2,500個の範囲が好ましい。金属凸部の密度が100μm当たり300個未満となると、金属凸部間の距離が増大し、表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。また金属積層フィルムを重ね合わせたときの滑り性が低下する場合がある。一方、金属凸部の密度が100μm当たり4,000個を超えると、金属凸部が密集しすぎることにより上記同様、表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。
[プラスチックフィルム]
本発明において金属層が積層される基板となるものは、低コストで大量生産を行う目的を達成するためには、プラスチックフィルム、すなわち有機合成樹脂フィルムであることが好ましい。有機合成樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ−ρ−フェニレンスルファイド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アセテート系、ポリ乳酸系、フッ素系、シリコーン系等が挙げられる。また、これらの共重合体やブレンド物、さらに架橋した化合物を用いることができる。
さらに上記有機合成樹脂の中でも、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ−ρ−フェニレンスルファイド、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどを含むものが好ましく、作業性や、経済性などを総合的に勘案すると、ポリエステル、中でもポリエチレンテレフタレートを含む合成樹脂が好ましく用いられる。特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルムを好適に用いることができる。
なお、プラスチックフィルムであればフレキシブルな金属積層フィルムを得ることができ、電子機器の曲面部分に使用できたり、屈曲が必要な電子部品に使用したりすることができるため好ましい。さらに、ロール状に巻かれたフィルムを用いると、ロールツーロールで本発明の金属積層フィルムを生産でき、連続的に金属積層フィルムを生産することにつながり、コスト面でメリットがあるため好ましい。
ハンドリングの観点やフレキシブル性の観点から、プラスチックフィルムの厚みは20〜300μmの範囲が好ましく、30〜250μmの範囲がより好ましく、50〜200μmの範囲がさらに好ましい。
本発明において用いられるプラスチックフィルムに粒子を含む凸部を形成するために、プラスチックフィルムには無機化合物の粒子および/または樹脂の粒子が含有されていることが好ましい。上記粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子などの無機化合物の粒子や架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、あるいは無機−有機ハイブリット粒子などが挙げられる。粒子の形状は真球または不定形、針状、棒状、平板状のいずれも使用できるが、一般的に真球状が好ましく用いられる。
さらに、プラスチックフィルムに粒子を含む凸部を効率的に形成するためには、粒子をプラスチックフィルム表面近傍に特異的に集めることが好ましい。このように、粒子をプラスチックフィルムの表面近傍に存在させるために、粒子を表面近傍に移動(浮上)させることが好ましい。これは、例えば、粒子の表面自由エネルギーを小さくするような表面処理、または粒子の表面を疎水化する疎水化処理を粒子表面に施した粒子を用いることによって可能となる。上記の無機化合物の粒子の表面自由エネルギーを小さくするための表面処理剤としては、フッ素原子を有するオルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、または該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物が挙げられる。また、樹脂の粒子の場合は、粒子の平均粒子径と粒子が含まれる樹脂層の厚みとを調整することで、プラスチックフィルム表面に効率的に粒子を露出させ、粒子を含む凸部を形成させることができる。
また、粒子の平均粒子径は0.05〜0.5μmの範囲が好ましく、0.1〜0.3μmの範囲の粒子がより好ましく用いられる。平均粒子径が0.05μmより小さいとプラスチックフィルム表面に凸部を形成することが難しくなり、その凸部を核とする金属凸部を形成させることが難しくなる場合がある。また、0.5μmより大きいと、プラスチックフィルム表面の凸部が大きくなるため、凸部を核とした粒子を含む金属凸部が大きくなりすぎ表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。粒子の平均粒子径の測定方法については後述する。
また、プラスチックフィルムに前記粒子を含有させる方法としては、フィルム製膜前の樹脂に上記粒子を添加しフィルムを製膜する方法や、製膜後のフィルムに上記粒子を含んだ樹脂をコーティングし積層する方法などが挙げられる。これらの場合、含有される粒子の平均粒子径(r)は、積層させる樹脂層の厚み(d)に対して十分に小さいことが好ましい。前記粒子の平均粒子径(r)と粒子が含まれる樹脂層の厚み(d)の比率(r/d)の範囲は、0.01〜0.20の範囲が好ましく、0.01〜0.15の範囲がより好ましく、0.02〜0.10の範囲が特に好ましく、0.02〜0.08の範囲が最も好ましい。比率(r/d)が0.01未満の場合はプラスチックフィルム表面に粒子を含む凸部の密度が増加しすぎ、表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。また比率(r/d)が0.20より大きい場合は単位面積当たりの粒子を含む凸部の個数が減少してしまい、上記同様表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。
また、前記粒子の含有量の範囲は、プラスチックフィルムに積層させる樹脂層の固形分総量100質量%に対して2.5〜17質量%の範囲が好ましく、3〜15質量%の範囲がより好ましく、特に4〜12質量%の範囲が好ましい。含有量が2.5質量%未満の場合、金属凸部間の距離が増大し、表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。またプラスチックフィルムを重ね合わせたときの滑り性が低下する場合がある。一方、17質量%を超えると、金属凸部が密集しすぎることにより上記同様、表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。
[金属]
本発明の金属層を構成する金属は、特に限定するものではなく、種々の金属を用いることができる。中でも金属の結晶構造が、立方格子構造であるものが好ましく、例えば、Al、Ca、Ni、Cu、Rh、Pd、Ag、In、Ir、Pt、Au、Pb等が挙げられる。LSPRセンサ等に用いられる場合は、可視光領域に特異なピークを示すAgまたはAuが特に好ましい。さらに、金属層を構成する材料を100質量%とした場合、該材料が金(Au)または銀(Ag)を95質量%以上含むことが好ましく、99質量%以上含むことがより好ましい。
[金属層]
本発明における金属層とはプラスチックフィルムの上に積層された金属の層を指し、金属層を形成する方法は、スパッタリング法および/または蒸着法で金属層を積層することができる。
蒸着法としては、例えば、物理気相蒸着法(PVD)、プラズマ化学気相蒸着法(PACVD)、化学蒸着法(CVD)、電子ビーム物理蒸着法(EBPVD)および/または有機金属気相蒸着法(MOCVD)を含むが、これらに限定されない。これらの技術は、周知であり、基板に金属を含む均一で薄い被覆を選択的に設けるために使用可能である。
スパッタリング法としては、例えば、直流(DC)二極スパッタリング法、三極(または四極)スパッタリング法、高周波(RF)スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタ(DMS)法等が挙げられ、中でもマグネトロンスパッタリング法は、金属を比較的大面積の基板に高速成膜できるため好ましい。
前記金属層の厚みは1〜100nmの範囲が好ましく、3〜10nmの範囲がより好ましい。金属層の厚みが1nmより小さいとプラスチックフィルム表面の粒子を含む凸部に積層される金属積層量が足りず、表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。また、金属層の厚みが100nmより大きいとプラスチックフィルム表面の粒子を含む凸部の影響が金属層表面に及ばなくなるため上記同様表面プラズモンが励起しにくくなる場合がある。
また、粒子を含む金属凸部の金属層厚みをA、粒子を含む金属凸部がない部分の金属層厚みをBとしたとき、金属層厚みの比(A/B)が0.1〜0.8または1.2〜2.0であることが好ましく、0.3〜0.7または1.3〜1.5であることがより好ましい。
ここで、粒子を含む金属凸部の金属層厚みとは、実施例の項に記載された方法にて測定された粒子を含む金属凸部の頂点における金属層の厚みをいい、粒子を含む金属凸部がない部分の金属層厚みとは、同様に実施例の項に記載された方法にて測定された粒子を含む金属凸部が存在しない部分における金属層の厚みをいう。
金属層厚みの比(A/B)が0.8より大きく1.2より小さい場合は、粒子を含む金属凸部の金属層厚みと粒子を含む金属凸部がない部分の金属層厚みとの差が小さくなり、粒子を含む金属凸部による表面プラズモンの励起が起きにくくなる場合がある。また、金属層厚みの比(A/B)が0.1より小さい、または2.0より大きくなると、金属層が層として存在しにくくなり、導電性を維持することが難しくなる場合がある。ここでの導電性とは1×10Ω・m以下の抵抗値を示すことをいう。導電性を維持させることで、本発明の金属積層フィルムを導電性が必要とされる電子デバイス等に用いた場合、さらに導電性を有する層を用いる必要が無くなるという有利な効果がある。
[表面プラズモン]
前記LSPRセンサ等は光の波長程度または光の波長以下の寸法の金属凸部を有する前記金属層の表面に表面プラズモンを励起することにより、吸収、透過、反射などの光学特性、非線形光学効果、磁気光学効果、表面ラマン散光を制御したり向上させたりすることを利用して検知している。光の波長より粒子を含金属凸部の寸法が大きい場合は表面プラズモンを励起させることが難しくなる場合がある。
プラズモンは、バルク状の金属中で自由電子ガス・プラズマが集団運動して発生する電荷密度の振動波であり、通常のプラズモンである体積プラズモンは縦波即ち疎密波であるため、光波、すなわち横波である電磁波によっては励起されないが、表面プラズモンはエバネッセント光(近接場光)で励起することができる。これは表面プラズモンがエバネッセント光を伴っており、それと入射したエバネッセント光との相互作用でプラズマ波を励起できるためである。
[金属積層フィルム]
本発明の金属積層フィルムは透明性と滑り性が良好であると好ましい。透明性があれば、金属積層面側からエネルギーパルス光を照射し、表面プラズモンを励起させることができるだけでなく、金属が積層されていない面(以下、金属非積層面という)側からエネルギーパスル光を照射し、表面プラズモンを励起させることもできる。更に透明性が良好であれば、少ないエネルギーパルス光照度で表面プラズモンを励起することができる。また滑り性が良好であれば、ブロッキングすることなくロールツーロールで生産することが可能になる。
具体的には、本実施態様における金属積層フィルムのヘイズ値は1.0〜2.0%が好ましく、かつ、金属積層フィルムの金属積層面の中心線平均粗さ(Ra)は40nm未満が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下がさらに好ましく、20nm以下が特に好ましい。中心線平均粗さ(Ra)の下限は、滑り性を確保するという観点から5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、9nm以上が特に好ましい。金属積層フィルムの金属積層面の中心線平均粗さ(Ra)が40nm以上となると拡散透過率が上昇し、金属積層フィルムの透明性が低下する場合がある。すなわち、金属積層フィルムのヘイズ値が大きくなる場合がある。なお、プラスチックフィルムの両面に金属層が積層されている場合の「金属積層フィルムの金属積層面の中心線平均粗さ(Ra)が40nm未満」とは、両面の金属積層面の中心線平均粗さ(Ra)がともに40nm未満であることをいう。
本発明の金属積層フィルムは、高い透明性を実現するという観点からヘイズ値が1.0〜2.0%であることが好ましく、1.2〜1.8%がより好ましい。
[エネルギーパルス光]
本発明の金属積層フィルムにさらにエネルギーパルス光を照射することにより、粒子を含む金属凸部を形成し、表面プラズモンがより励起しやすい金属積層フィルムを得ることもできる。金属積層フィルムにさらにエネルギーパルス光を照射した場合の態様の一例として、金属凸部のない部分の金属が、金属凸部に特異的に集まることにより、金属積層フィルム表面において、金属凸部の金属層厚みを、金属凸部のない部分における金属層厚みより厚くすることができる。このように、金属凸部の金属層厚みを金属凸部のない部分の金属層厚みより厚くすることで、表面プラズモン励起がより起こりやすい金属積層フィルムとすることができる。
また、別の態様の一例として、金属積層フィルムにさらにエネルギーパルス光を照射することにより、金属凸部の金属が、金属凸部のない部分に特異的に集まることにより、金属積層フィルム表面において、金属凸部のない部分における金属層厚みを、金属凸部の金属層厚みより厚くすることもできる。このように、金属凸部のない部分の金属層厚みを金属凸部の金属層厚みより厚くすることで、前述と同様に表面プラズモン励起がより起こりやすい金属積層フィルムとすることができる。
前記エネルギーパルス光は、レーザーやキセノンフラッシュランプ等の装置により照射される光のことであり、特にキセノンフラッシュランプより発せられる可視光帯域光であることが好ましい。エネルギーパルス光を照射する工程では、通常、金属薄膜表面よりエネルギーパルス光が照射されるが、透明基材を選択した場合、基材側から照射し、基材にエネルギーパルス光を透過させて、金属層に照射してもよい。
前記キセノンフラッシュランプは、内部にキセノンガスが封入され、その両端部に電源ユニットのコンデンサーに接続された陽極および陰極が配線された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備えている。キセノンガスは、電気的に絶縁性であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態では、ガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気が両端電極間の放電によってガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノン原子あるいは分子の励起によって可視光帯域光、すなわち、200〜800nmの広帯域のスペクトルをもつエネルギーパルス光が放出される。推測として前記エネルギーパルス光により金属が溶融し、プラスチックフィルムの凸部もしくは凹部に凝集されると考えられる。
本発明の金属積層フィルムにエネルギーパルス光を照射する工程のエネルギーパルス光を照射する照射エネルギーは、特に限定するものではないが、0.01〜10J/cmであることが好ましく、より好ましくは、0.05〜2J/cmである。照射エネルギーが0.01J/cmより小さいと、照射範囲全域にわたって本発明の金属積層フィルムを形成することができない場合がある。照射エネルギーが10J/cmより大きいと、金属層が必要以上に加熱されてしまい、蒸発してしまったり、エネルギー量が過剰であることにより経済的にも不利になったりする場合がある。照射エネルギーが0.01〜10J/cmであると、照射領域全域にわたって均一な本発明の金属積層フィルムを形成することができ、経済的にも好ましい。
本発明の金属積層フィルムにエネルギーパルス光を照射する工程のエネルギーパルス光を照射する総時間は、50マイクロ秒〜100ミリ秒が好ましい。より好ましくは、100マイクロ秒〜20ミリ秒であり、更に好ましくは、100マイクロ秒〜5ミリ秒である。50マイクロ秒より短いと照射範囲全域にわたって金属積層フィルムを形成することができない場合がある。100ミリ秒より大きいと、金属層を加熱する時間が長くなり、プラスチックフィルムに熱的ダメージを与える場合があり、また生産性が悪くなったりする場合がある。50マイクロ秒〜100ミリ秒であると、照射領域全域にわたって本発明の金属積層フィルムを形成することができ、生産性も良好であり、経済的にも好ましい。
エネルギーパルス光を照射する工程では、エネルギーパルス光を1回または複数回照射することが好ましい。通常、1回の照射で前記金属を加熱することによって形成することができるが、所望の大きさや分布または、基材の熱的ダメージを最小限に留めるために1回の照射エネルギーを下げ、1秒間に照射する回数(Hz)を設定することにより、複数回連続照射(パルス照射)することで所望の金属積層フィルムを得ることもできる。
[金属積層フィルムの用途]
本発明の金属積層フィルムは電子デバイス部品に好ましく用いられる。例えば、金属積層フィルムを光電変換素子として用いることにより、太陽電池の電極部材として利用することができる。また、金属積層フィルムを、微細配線パターンを印刷する印刷基材として用いることもできる。
さらに、本発明の金属積層フィルムでは、簡便に所望の面積の金属凸部を有する金属積層フィルムを短時間で、かつレジスト剤等の溶剤を使用せず得られるため、生産コスト面や環境面でも優れており、様々な電子機器や光学機器等に広く用いることができる。
次に実施例を示して、本発明の金属積層フィルムについて具体的に説明する。
なお、ヘイズ値の測定、金属層厚みの測定および吸光度の測定以外の測定については、金属積層面および金属非積層面のいずれの面においても測定を行った。ここで、金属非積層面の測定については、以下の測定方法において、「粒子を含む金属凸部」を「粒子を含む凸部」と読み替えて測定を行った。
[金属積層フィルムのヘイズ値の測定方法]
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いてヘイズ値を測定した。測定に際し、金属積層フィルムの金属積層面に光が入射するように配置した。同一サンプルの異なる場所で5回測定し、5回の平均値をヘイズ値とした。
[金属積層フィルムの中心線平均粗さ(Ra)の測定方法]
JIS B0601(1982)に基づき、触針式表面粗さ測定器SE−3400((株)小坂研究所製)を用いて測定した。同一サンプルの異なる場所で5回測定し、5回の平均値を中心線平均粗さ(Ra)とした。
<測定条件>
送り速さ;0.5mm/s
評価長さ;8mm
カットオフ値λc;0.08mm。
[金属層厚みの測定方法]
金属積層フィルムの断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察(倍率:10万倍)し、その断面写真から、無作為に選択した30個の粒子を含む金属凸部と粒子を含む金属凸部を含まない部分のそれぞれについて、STEM−EDS分析を実施し、金属層厚みを測定した。
具体的な測定方法は、図1に示すように、粒子を含む金属凸部の金属層厚みは、粒子を含む金属凸部の頂点における金属層厚みを測定した。また、粒子を含む金属凸部がない部分の金属層厚みは、粒子を含む金属凸部の頂点と、当該金属凸部に最隣接する粒子を含む金属凸部の頂点とを線で結び、その線分の中点から金属層に垂線を下ろし、垂線を下ろした点における金属層厚みを粒子を含む金属凸部がない部分における金属層厚みとした。
撮影した1画像中に観察される粒子を含む金属凸部が30個未満の場合は、さらに画像を撮影し、合計30個の粒子を含む金属凸部について、粒子を含む金属凸部の金属層厚みおよび粒子を含む金属凸部がない部分の金属層厚みをそれぞれ測定した。合計30点の値を平均し、それぞれの金属層厚みとした。
上記測定においてTEMで観察した際の1画像の大きさは1.2μm×0.9μm、ピクセル数は640ピクセル×480ピクセル、1ピクセルの大きさは1.875nm×1.875nmであった。
また、粒子を含む金属凸部の金属層厚みをA、粒子を含む金属凸部がない部分の金属層厚みをBとし、金属層厚みの比(A/B)の値を求めた。
[粒子の平均粒子径の測定方法]
金属積層フィルムの断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察(倍率:10万倍)し、その断面写真から、無作為に選択した30個の粒子のそれぞれについて、直径を測定し、それらを平均した値を平均粒子径とした。撮影した1画像中に観察される粒子が30個未満の場合は、さらに画像を撮影し、合計30個の粒子を観察した。
なお、直径とは粒子を完全に含むことができる半径が最小の円を描き、その円の直径をいう。TEMで観察した際の1画像の大きさは1.2μm×0.9μm、ピクセル数は640ピクセル×480ピクセル、1ピクセルの大きさは1.875nm×1.875nmであった。
[粒子を含む金属凸部の平均直径の測定方法]
前記平均直径は金属積層フィルムの表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて撮影(10万倍)し、画像(表面写真)を撮影し、無作為に選択した30個の粒子を含む金属凸部のそれぞれについて直径を測定し、それらを平均した値を平均直径とした。撮影した1画像中に観察される粒子を含む金属凸部が30個未満の場合は、さらに画像を撮影し、合計30個の粒子を含む金属凸部を観察した。
ここで、直径とは粒子を含む金属凸部を完全に含むことができる半径が最小の円を描き、その円の直径をいう。TEMで観察した際の1画像の大きさは1.2μm×0.9μm、ピクセル数は640ピクセル×480ピクセル、1ピクセルの大きさは1.875nm×1.875nmであった。
[粒子を含む金属凸部の平均高さの測定方法]
金属積層フィルムのカットサンプル(20cm×15cm)を用意し、このカットサンプルの断面をTEM(透過型電子顕微鏡)にて撮影(10万倍)し、断面写真を撮影した。次に、断面写真に存在する粒子を含む金属凸部の高さを測定した。ここで、無作為に選択した30個の粒子を含む金属凸部のそれぞれについて高さを測定し、それらを平均した値を平均高さとした。なお、撮影した1画像中に観察される粒子を含む金属凸部が30個未満の場合は、さらに画像を撮影し、合計30個の粒子を含む金属凸部を観察した。
具体的な測定方法としては、図2に示すとおり、断面写真において測定する1つの金属凸部の頂点と当該金属凸部に最隣接する金属凸部の頂点とを線で結び、その線分の中点から金属層に垂線を下ろし、中点から金属層までの線分の長さを粒子を含む金属凸部の高さとした。
[粒子を含む金属凸部の平均間隔の測定方法]
前記平均間隔は金属積層フィルムの表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて撮影(10万倍)し、画像(表面写真)を撮影した。図3に示すとおり、この画像に横方向と縦方向に直交するそれぞれ1本ずつの直線を引いた。次に、横方向の1本の直線上に乗っている(直線に接触する)粒子を含む金属凸部の全てについて、隣接する粒子を含む金属凸部との間隔を測定した。すなわち、1本の直線上で1つの粒子を含む金属凸部の外縁から隣接する粒子を含む金属凸部の外縁までの距離を測定した。図3でP3、P4が横方向の1本の直線上で1つの粒子を含む金属凸部の外縁から隣接する粒子を含む金属凸部の外縁までの距離に該当する。同様の操作を縦方向の1本の直線についても行った。図3のP1、P2が縦方向の1本の直線上で1つの粒子を含む金属凸部の外縁から隣接する粒子を含む金属凸部の外縁までの距離に該当する。この操作を、横方向の直線の位置および縦方向の直線の位置をそれぞれ3回変更して実施し、得られた全ての間隔を平均した。
[粒子を含む金属凸部の個数の測定方法および金属凸部の密度の算出方法]
金属積層フィルムのカットサンプル(20cm×15cm)を用意し、このカットサンプルの金属積層面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて5箇所撮影(10万倍)し、5つの画像(表面写真)を撮影した。この際の画像サイズは1.2μm×0.9μm、ピクセル数は640ピクセル×480ピクセル、1ピクセルの大きさは1.875nm×1.875nmであった。次に、5つの画像それぞれについて、画像の1.1μm×0.9μm(面積1μm)の範囲に存在する粒子を含む金属凸部の個数を測定し、面積100μm当たりの個数に換算した。これら5つの画像から算出した面積100μm当たりの粒子を含む金属凸部の個数を平均し、粒子を含む金属凸部の密度とした。
[金属積層フィルムの滑り性の評価方法]
金属積層フィルムを切断して2枚のシート片(20cm×15cm)を作製した。それぞれのシート片の金属積層面と金属非積層面が向き合うように2枚のシート片を僅かにずらして重ね合わせて平滑な台上の置き、下方のシート片を指で台上に固定し、上方のシート片を手で滑らせる方法で滑り性の良否判定を行った。測定環境は23℃、55%RHであった。
○:上方のシート片の滑り性が良好である。
△:上方のシート片の滑り性は劣るが比較的良好である。
×:上方のシート片が滑らない。
[金属積層フィルムの吸光度測定]
金属積層フィルムを5cm×5cmに切り出し、分光光度計((株)島津製作所製UV−3150)を用いて波長200〜2,000nmの範囲で金属積層面にて吸光度の測定を行った。また、比較サンプルとして、前記で用いた金属積層フィルムの基材であるプラスチックフィルムを用意し、その吸光度測定も実施した。プラスチックフィルムのみで測定した吸光度を前記金属積層フィルムにて測定した吸光度から引き算を行い、金属積層フィルムの金属による表面プラズモン共鳴に由来するプラズモンの励起があるか確認した。プラズモン共鳴に由来するプラズモンの励起があれば、吸収ピークが存在するため、吸収ピークがある場合は「○」、無い場合は「×」とした。
[実施例におけるサンプルの作成]
<樹脂層形成用塗布液>
固形分質量比で、Tg(ガラス転移温度)が120℃のポリエステル樹脂aを26質量%、Tgが80℃のポリエステル樹脂bを54質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を2質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル樹脂a;2,6−ナフタレンジカルボン酸43モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸7モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂
・ポリエステル樹脂b;テレフタル酸38モル%、トリメリット酸12モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂
・ メラミン系架橋剤;三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」
・粒子;平均粒子径190nmのコロイダルシリカ。
<表面処理シリカ粒子分散液>
(表面処理シリカ粒子分散液A)
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製の「オルガノシリカゾル IPA−ST−ZL」)150質量部に、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.7質量部と10質量%蟻酸水溶液1.7質量部とを混合し、70℃にて1時間撹拌した。次いで、フッ素化合物(HC=CH−COO−CH−(CFF)13.8質量部および2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.57質量部を加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌して分散液を得た。
(表面処理シリカ粒子分散液B)
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製の「オルガノシリカゾル MEK−ST−2040」)150質量部に、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.7質量部と10質量%蟻酸水溶液1.7質量部とを混合し、70℃にて1時間撹拌した。次いで、フッ素化合物(HC=CH−COO−CH−(CFF)13.8質量部および2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.57質量部を加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌して分散液を得た。
(表面処理シリカ粒子分散液C)
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製の「オルガノシリカゾル MEK−ST−L」)150質量部に、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.7質量部と10質量%蟻酸水溶液1.7質量部を混合し、70℃にて1時間撹拌した。次いで、フッ素化合物(HC=CH−COO−CH−(CFF)13.8質量部および2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.57質量部を加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌して分散液を得た。
(実施例1)
下記の要領で金属積層フィルムを作製した。
<樹脂層積層PETフィルムの作製>
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の両面に、それぞれ樹脂層をPETフィルムの製造工程内でインラインコーティングした。つまり、長手方向に一軸延伸されたPETフィルムの両面にそれぞれ樹脂層形成用塗布液をバーコート法で塗布し100℃で乾燥後、引き続き幅方向に二軸延伸し、230℃で20秒間加熱処理を施し熱硬化させて、両面に樹脂層が積層されたPETフィルムを作製した。PETフィルムの両面に積層された樹脂層はそれぞれ厚みが90nmであった。
<粒子を含有させた樹脂層の積層>
両面に樹脂層が積層されたPETフィルムの一方の面の樹脂層上に以下の活性エネルギー線硬化性組成物aをグラビアコート法で塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射し硬化させて、粒子を含有させた樹脂層を形成した。この樹脂層は、厚みが2.6μmであった。なお、以下ではこの樹脂層を第1樹脂層という。
次いで、PETフィルムの他方の面(第1樹脂層とは反対面)の樹脂層上にも活性エネルギー線硬化性組成物aを用いて上記と同様にして粒子を含有させた樹脂層を形成して、ポリエステルフィルムを作製した。この粒子を含有させた樹脂層は、厚みが2.6μmであった。なお、以下ではこの樹脂層を第2樹脂層という。
<活性エネルギー線硬化性組成物a>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、アクリレート化合物(東亜合成株式会社製の「アロニックスM111」)37質量部、表面処理シリカ粒子分散液Aを固形分換算で8質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)5質量部を有機溶剤に混合して調製した。
<金属積層フィルムの作製>
99.999質量%金(Au)をターゲットとし、スパッタリング装置IB−3((株)エイコー・エンジニアリング製)を用いて膜厚み10nmのAu薄膜層を第1樹脂層の上に形成し、金属積層フィルムAを作製した。
(実施例2)
実施例1の金属積層フィルムにエネルギーパルス光照射装置(PF−1200、NovaCentrix社製)を用いて、250Vの電圧をコンデンサーに蓄えたのち、トリガーに高電圧の印加を加え、Au薄膜層が形成された側にエネルギーパルス光を1ミリ秒間で1回照射を行なった金属積層フィルムBを作製した。
同じ照射条件でエネルギーメーター(Ophir社製VEGA)を用いて照射エネルギーの測定を行なったところ、0.36J/cmであった。
(実施例3)
第2樹脂層を積層させない以外は実施例2と同様に金属積層フィルムCを作製した。
(実施例4)
表面処理シリカ粒子分散液Aを表面処理シリカ粒子分散液Bに変更した以外は実施例2と同様に金属積層フィルムDを作製した。
(実施例5)
表面処理シリカ粒子分散液Aを表面処理シリカ粒子分散液Cに変更した以外は実施例2と同様に金属積層フィルムEを作製した。
(実施例6)
金(Au)を銀(Ag)に変更した以外は実施例2と同様に金属積層フィルムFを作製した。
(実施例7)
エネルギーパルス光を金(Au)積層面の反対側の面から照射した以外は実施例2と同様に金属積層フィルムGを作製した。
(比較例1)
粒子を含有させた樹脂層、第1樹脂層および第2樹脂層を積層させず、PETフィルム上に直接金(Au)をスパッタした以外は実施例2と同様に金属積層フィルムHを作製した。
(比較例2)
第1樹脂層及び第2樹脂層において、活性エネルギー線硬化性組成物aを以下の活性エネルギー線硬化性組成物bに変更した以外は実施例2と同様に金属積層フィルムIを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物b>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート56質量部、アクリレート化合物(東亜合成株式会社製の「アロニックスM111」)37質量部、表面処理シリカ粒子分散液Aを固形分換算で2質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)5質量部を有機溶剤に混合して調製した。
(比較例3)
第1樹脂層及び第2樹脂層において、活性エネルギー線硬化性組成物aを以下の活性エネルギー線硬化性組成物cに変更した以外は実施例2と同様に金属積層フィルムJを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物c>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート45質量部、アクリレート化合物(東亜合成株式会社製の「アロニックスM111」)30質量部、表面処理シリカ粒子分散液Aを固形分換算で20質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)5質量部を有機溶剤に混合して調製した。
実施例1〜7で作製した金属積層フィルムは金属積層面および金属非積層面からエネルギーパルス光を照射することで表面プラズモンが励起することが確認できた。これに対し、比較例1〜3は金属積層面及び金属非積層面からエネルギーパルス光を照射した際、両面もしくはどちらかの面で表面プラズモンが励起することが確認できなかった。
本発明の金属積層フィルムは、光電子デバイス、発光素材、太陽電池の素材、センサ等の電子デバイス部品に好適に用いることができる。
粒子を含む金属凸部の金属層厚みおよび金属凸部がない部分の金属層厚みの測定方法を示した図である。 粒子を含む金属凸部の高さの測定方法を示した図である。 粒子を含む金属凸部同士の間隔の測定方法を示した図である。
1:粒子を含む金属凸部
21:粒子を含む金属凸部の金属層厚み
22:粒子を含む金属凸部がない部分の金属層厚み
23:隣接する粒子を含む金属凸部の頂点を結んだ線の中点
24:粒子
25:金属層
31:粒子を含む金属凸部の高さ

Claims (7)

  1. プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に金属層が積層された金属積層フィルムにおいて、
    前記金属積層フィルムのヘイズ値が1.0〜2.0%であり、
    かつ、前記金属積層フィルムの金属積層面の中心線平均粗さ(Ra)が40nm未満であり、
    金属層が積層された面に粒子を含む金属凸部が100μm当たり300〜4,000個の密度で存在する金属積層フィルム。
  2. 前記金属層の厚みが1〜100nmであり、
    前記プラスチックフィルムの厚みが20〜300μmである請求項1に記載の金属積層フィルム。
  3. 前記粒子を含む金属凸部の金属層厚みをA、粒子を含む金属凸部がない部分の金属層厚みをBとしたとき、金属層厚みの比(A/B)が0.1〜0.8または1.2〜2.0である請求項1または2に記載の金属積層フィルム。
  4. 前記金属層を構成する材料を100質量%とした場合、該材料が金(Au)または銀(Ag)を95質量%以上含み、かつ、プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の金属積層フィルム。
  5. 前記粒子を含む金属凸部が以下の要件を満たす請求項1〜4のいずれかに記載の金属積層フィルム。
    粒子を含む金属凸部の平均直径:0.06〜0.6μm
    粒子を含む金属凸部の平均高さ:0.06〜0.6μm
    粒子を含む金属凸部の平均間隔:0.2〜1.0μm
  6. 前記粒子の平均粒子径が0.05〜0.5μmである請求項1〜5のいずれかに記載の金属積層フィルム。
  7. エネルギーパルス光を照射することにより粒子を含む金属凸部が形成された請求項1〜6のいずれかに記載の金属積層フィルム。
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