JP2015150034A - 睡眠状態判定装置、および睡眠状態判定方法、睡眠状態判定システム - Google Patents
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Abstract
【課題】使用者の脈拍数を用いて使用者の睡眠状態と覚醒状態を判定すること。【解決手段】使用者の脈拍数を測定する測定部と、脈拍数を時系列に脈拍数データとして記憶する記憶部と、脈拍数データを用いて使用者固有の脈拍数である基礎脈拍数を算出する算出部と、脈拍数データを解析して、脈拍数の変動傾向を表す参照脈拍数を導出する解析部と、基礎脈拍数と参照脈拍数との差分を所定の閾値と比較した結果に基づいて使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定する判定部と、を備えることを特徴とする睡眠状態判定装置。この睡眠状態判定装置によれば、使用者の睡眠状態と非睡眠状態(覚醒状態)との境界を検出し、睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定することができる。【選択図】図3
Description
本発明は、睡眠状態を判定する睡眠状態判定装置、睡眠状態判定方法、および睡眠状態判定システムに関する。
質の高い睡眠により睡眠効率を上げ、睡眠習慣を改善することを目的として、日常生活における睡眠状態を記録する装置が開示されている。例えば、特許文献1では、使用者が就寝するための寝床に体動を検出する体動検知センサーを備えた装置を設置し、体動が少なくなった就寝行動の状態を睡眠状態と判定していた。
しかしながら、特許文献1による装置では、使用者の睡眠状態を正確に捉えているとは言い難かった。詳しくは、使用者が寝床に入ってから睡眠するまでには多少なりとも時間を費やす。その間は、使用者の体動は少なくなるが、使用者はまだ寝つけていない非睡眠状態(覚醒状態)である。特許文献1による装置では、このような状態であっても睡眠状態と判定してしまう。例えば、使用者が寝床に入ってもなかなか寝付けないような入眠困難と言われる睡眠障害を起こしているような実態があっても、十分な睡眠時間が取れていると誤った判断を使用者にさせてしまう虞があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決することを目的としたものであり、使用者の睡眠状態と覚醒状態との境界を検出し、使用者が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定することを目的とする。
[適用例1]本適用例に係る睡眠状態判定装置は、使用者の脈拍数を測定する測定部と、脈拍数を脈拍数データとして記憶する記憶部と、脈拍数データを用いて使用者固有の脈拍数である基礎脈拍数を算出する算出部と、脈拍数データを解析して、脈拍数の変動傾向を表す参照脈拍数を導出する解析部と、基礎脈拍数と参照脈拍数との差分を所定の閾値と比較した結果に基づいて使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、使用者の脈拍数データに基づいて、使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定している。従来の加速度センサーのような物理量情報による判定では、体動の変化が少ない安静にしている覚醒状態と睡眠状態との区別ができなかったのに対し、使用者の脈拍数のような生体情報では安静にしている覚醒状態と睡眠状態の脈拍数の差が生じるため、両者を区別することができる。
また、基礎脈拍数は、使用者固有の脈拍数であるため、使用者自身の年齢や心肺機能、筋肉量などの特徴が反映された脈拍数である。参照脈拍数は、脈拍数の変動傾向を表すため、突発的に変動する脈拍数が緩和された脈拍数である。脈拍数は脳と身体の活動量に応じて変化するため、参照脈拍数と基礎脈拍数との差分は、使用者の特徴による影響が軽減された個人差が少ない脳と身体の活動量の変化であると言える。つまり、一般的には測定する脈拍数には個人差があるため、特に微細な脳と身体の活動量の変化を捉えることは困難であったが、参照脈拍数と基礎脈拍数との差分を用いることで安静にしている覚醒状態と睡眠状態との遷移のような微細な活動量の変化を捉えることができるようになる。例えば、予め実験データなどで、安静にしている覚醒状態と睡眠状態との遷移時点における当該差分を所定の閾値とすることで、以降は所定の閾値を他の使用者に適用し、安静にしている覚醒状態と睡眠状態の遷移点を検出することが可能である。従って、使用者の睡眠状態と覚醒状態との境界を検出し、睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定することができる。
また、基礎脈拍数は、使用者固有の脈拍数であるため、使用者自身の年齢や心肺機能、筋肉量などの特徴が反映された脈拍数である。参照脈拍数は、脈拍数の変動傾向を表すため、突発的に変動する脈拍数が緩和された脈拍数である。脈拍数は脳と身体の活動量に応じて変化するため、参照脈拍数と基礎脈拍数との差分は、使用者の特徴による影響が軽減された個人差が少ない脳と身体の活動量の変化であると言える。つまり、一般的には測定する脈拍数には個人差があるため、特に微細な脳と身体の活動量の変化を捉えることは困難であったが、参照脈拍数と基礎脈拍数との差分を用いることで安静にしている覚醒状態と睡眠状態との遷移のような微細な活動量の変化を捉えることができるようになる。例えば、予め実験データなどで、安静にしている覚醒状態と睡眠状態との遷移時点における当該差分を所定の閾値とすることで、以降は所定の閾値を他の使用者に適用し、安静にしている覚醒状態と睡眠状態の遷移点を検出することが可能である。従って、使用者の睡眠状態と覚醒状態との境界を検出し、睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定することができる。
[適用例2]所定の閾値は、使用者が覚醒状態から睡眠状態に遷移したことを判定する第1閾値と、使用者が睡眠状態から覚醒状態に遷移したことを判定する第2閾値を含むことが好ましい。
本適用例によれば、基礎脈拍数と参照脈拍数との差分において、覚醒状態から睡眠状態に遷移する場合の差分と、睡眠状態から覚醒状態に遷移する場合の差分とで異なる場合であっても、第1閾値と第2閾値とを用いて判定することができる。
[適用例3]解析部は、脈拍数データにおいて所定の第1期間毎に脈拍数の平均値を算出し、脈拍数の変動傾向を表す参照脈拍数を導出することが好ましい。
本適用例によれば、参照脈拍数は、第1期間内の脈拍数データが平滑化されたデータ列になるため、突発的に変動する脈拍数が緩和された参照脈拍数を算出することができる。
[適用例4]算出部は、使用者の睡眠状態を含む期間に測定された脈拍数データに基づいて算出される脈拍数を基礎脈拍数とすることが好ましい。
本適用例によれば、例えば、基礎脈拍数を、使用者の睡眠状態における脈拍数とすることにより、参照脈拍数と基礎脈拍数との差分は、睡眠状態の活動量を含まない使用者の活動量が際立って抽出されるようになる。これにより、例えば、寝床に入って寝付けないような微小な活動量に相当する脈拍数であっても覚醒状態であると判定することができる。
[適用例5]算出部は、脈拍数データにおいて所定の第2期間毎に記憶された脈拍数の平均値を算出し、算出された平均値の中で最小の値を基礎脈拍数とすることが好ましい。
本適用例によれば、第2期間内に突出して少ない脈拍数が発生しても、第2期間内で平滑化されるため、突出して少なく測定された脈拍数を除外して、基礎脈拍数を算出することができる。
[適用例6]算出部は、算出された基礎脈拍数に対して、更に脈拍数データにおける脈拍数のばらつき度合いの情報を加味して基礎脈拍数を補正し算出することが好ましい。
本適用例によれば、測定された使用者の脈拍数のばらつき度合いが吸収され、睡眠状態と覚醒状態との境界検出における誤判定を防ぐことができる。
[適用例7]算出部は、使用者の睡眠状態を含む期間に測定された脈拍数データのばらつき度合い、および出現頻度を参照して基礎脈拍数を算出することが好ましい。
本適用例によれば、統計的分析において検証された出現頻度と基礎脈拍数との相関を用いて、使用者特有の基礎脈拍数を算出することができる。
[適用例8]本適用例に係わる睡眠状態判定方法は、使用者の脈拍数を測定する測定工程と、脈拍数を時系列に脈拍数データとして記憶する記憶工程と、脈拍数データを用いて使用者固有の脈拍数である基礎脈拍数を算出する算出工程と、脈拍数データを解析して、脈拍数の変動傾向を表す参照脈拍数を導出する解析工程と、基礎脈拍数と参照脈拍数との差分を所定の閾値と比較した結果に基づいて使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定する判定工程と、を備えることを特徴とする。
本適用例の睡眠状態判定方法によれば、参照脈拍数と基礎脈拍数との差分は、当該使用者の特徴による影響が軽減された使用者の身体や脳の活動量の変化を表している。また、当該差分は、安静にしている覚醒状態と睡眠状態との遷移のような使用者の身体や脳の活動量の微細な変化を検出することができる。従って、当該差分を、所定の閾値と比較することにより、睡眠状態と覚醒状態の微細な活動量の変化を検出することができ、使用者が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるのかを判定することができる。
[適用例9]本適用例に係わる睡眠状態判定システムは、使用者の脈拍数を測定する測定部と、測定した脈拍数を送信する通信部と、を備える測定装置と、測定装置から送信された脈拍数を受信する受信部と、脈拍数を時系列に脈拍数データとして記憶する記憶部と、脈拍数データを用いて使用者固有の脈拍数である基礎脈拍数を算出する算出部と、脈拍数データを解析して、脈拍数の変動傾向を表す参照脈拍数を導出する解析部と、基礎脈拍数と参照脈拍数との差分を所定の閾値と比較した結果に基づいて使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定する判定部と、を備える情報機器と、を備えることを特徴とする。
本適用例の睡眠状態判定システムによれば、参照脈拍数と基礎脈拍数との差分は、当該使用者の特徴による影響が軽減された使用者の身体や脳の活動量の変化を表している。また、当該差分は、安静にしている覚醒状態と睡眠状態との遷移のような使用者の身体や脳の活動量の微細な変化を検出することができる。従って、この差分を、所定の閾値と比較することにより、睡眠状態と覚醒状態の微細な活動量の変化を検出することができ、使用者が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるのかを判定することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係わる睡眠状態判定装置としての端末装置1を使用者の肢体である手首WRに装着した状態を表した図である。図2(a)は、端末装置1の正面方向の外観を示す斜視図であり、(b)は、端末装置1の背面方向の外観を示す斜視図である。
図1は、本実施形態に係わる睡眠状態判定装置としての端末装置1を使用者の肢体である手首WRに装着した状態を表した図である。図2(a)は、端末装置1の正面方向の外観を示す斜視図であり、(b)は、端末装置1の背面方向の外観を示す斜視図である。
(1.端末装置の概要)
端末装置1は、使用者の手首WRに装着され、使用者の脈波をセンシングする脈波センサー12を内蔵し、日常生活において睡眠状態や覚醒状態を判定することが可能な腕時計型の生体データ測定装置である。端末装置1には、端末装置1が手首WRに装着された状態で手首WR側に接触する面(端末装置1の背面)に脈波センサー12が配設されている。端末装置1では、脈波センサー12によりセンシングされた脈波から使用者の脈拍数が算出され、算出された脈拍数を用いて睡眠状態であるか、あるいは覚醒状態であるかの情報が導出される。それらの情報は、算出された脈拍数などの情報と共に、端末装置1に内蔵される記憶領域に記憶され、更に端末装置1の正面(手首WRと反対の面)に配設された表示部60に表示される。
端末装置1は、使用者の手首WRに装着され、使用者の脈波をセンシングする脈波センサー12を内蔵し、日常生活において睡眠状態や覚醒状態を判定することが可能な腕時計型の生体データ測定装置である。端末装置1には、端末装置1が手首WRに装着された状態で手首WR側に接触する面(端末装置1の背面)に脈波センサー12が配設されている。端末装置1では、脈波センサー12によりセンシングされた脈波から使用者の脈拍数が算出され、算出された脈拍数を用いて睡眠状態であるか、あるいは覚醒状態であるかの情報が導出される。それらの情報は、算出された脈拍数などの情報と共に、端末装置1に内蔵される記憶領域に記憶され、更に端末装置1の正面(手首WRと反対の面)に配設された表示部60に表示される。
端末装置1の側面には、操作ボタンなどで構成される操作部50が配設され、使用者は操作部50を操作して表示部60に表示される文字列やアイコンを切り替えながら、端末装置1に対する各種設定や端末装置1により実現される各機能の選択などを行う。端末装置1では、脈波センサー12を含む各構成部品の小型化、軽量化、省電力化が図られており、使用者は、日常生活において測定される脈拍数を含む生体データを長時間に亘り端末装置1に記憶させることができる。
(2.端末装置の構成)
図3は、端末装置1の概略構成を示すブロック図である。
端末装置1は、測定部10、記憶部20、操作部50、表示部60、時計部65、通信部68、制御部80、などから構成されている。
図3は、端末装置1の概略構成を示すブロック図である。
端末装置1は、測定部10、記憶部20、操作部50、表示部60、時計部65、通信部68、制御部80、などから構成されている。
測定部10は、脈波センサー12、加速度センサー14、脈拍数算出部16などから構成されている。
脈波センサー12は、例えば、光電脈波センサーであり、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子と、フォトダイオードなどの受光素子とを備えている。発光素子により、手首WRの皮膚に向けて光が照射され、手首WRの血管で反射された光を受光素子で受光する。この際、脈波センサー12は、血管の拡張時と収縮時とで光の反射率が異なる現象を利用して使用者の脈波を検出する。検出された脈波の信号は、脈拍数算出部16(後述する)に出力される。
脈波センサー12は、例えば、光電脈波センサーであり、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子と、フォトダイオードなどの受光素子とを備えている。発光素子により、手首WRの皮膚に向けて光が照射され、手首WRの血管で反射された光を受光素子で受光する。この際、脈波センサー12は、血管の拡張時と収縮時とで光の反射率が異なる現象を利用して使用者の脈波を検出する。検出された脈波の信号は、脈拍数算出部16(後述する)に出力される。
加速度センサー14は、例えば、3軸加速度センサーであり、互いに直行する3軸方向の加速度データを計測する。計測された加速度データは、脈拍数算出部16に出力され、脈拍数の算出に利用される。また、加速度データの変化量を積分することにより、使用者の体動の変化量などを時系列に記憶する構成としても良い。尚、加速度センサー14は、端末装置1において必須の構成ではなく、端末装置1に内蔵されない構成であっても良い。また、加速度センサー14は3軸方向に限らず、1軸、2軸、または4軸以上の方向の加速度センサーであっても良い。
脈拍数算出部16は、制御部80(後述する)により実行される機能部であり、単位時間当たりに脈拍数を算出する機能を有する。詳しくは、脈波センサー12から出力された脈波の信号には、使用者の体動成分の信号が重畳されている場合がある。このような体動成分の信号を除去するために、加速度センサー14から出力された加速度データを用いて、体動成分が重畳されている脈波の信号から脈拍成分の信号のみを抽出する。抽出された脈拍成分の信号に対して周波数分解処理が行われ、単位時間当たり(例えば、4秒)の間隔毎に脈拍数が一分間の拍動数(拍/分)に換算されて算出される。尚、単位時間は1秒から1分程度に用途に応じて選択可能である。算出された脈拍数は、記憶部20(後述する)に測定脈拍数データ36として時系列に格納される。
尚、測定部10は、測定部に相当する。また、脈波センサー12および加速度センサー14の信号を用いて脈拍数算出部16により脈拍数を算出する処理が測定工程に相当し、算出された脈拍数を記憶部20に格納する処理が記憶工程に相当する。
尚、測定部10は、測定部に相当する。また、脈波センサー12および加速度センサー14の信号を用いて脈拍数算出部16により脈拍数を算出する処理が測定工程に相当し、算出された脈拍数を記憶部20に格納する処理が記憶工程に相当する。
記憶部20は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置によって構成され、制御部80により読み出され各種機能を実現するために実行されるプログラム22および出力されるデータ30などを記憶している。また、制御部80により実行される各処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリア(図示しない)を有する。
記憶部20には、プログラム22の一例として、睡眠状態判定プログラム24が格納されている。また、データ30の一例として、睡眠閾値データ32、覚醒閾値データ34、測定脈拍数データ36、参照脈拍数データ38、睡眠状態出力データ40などが格納されている。
記憶部20には、プログラム22の一例として、睡眠状態判定プログラム24が格納されている。また、データ30の一例として、睡眠閾値データ32、覚醒閾値データ34、測定脈拍数データ36、参照脈拍数データ38、睡眠状態出力データ40などが格納されている。
睡眠状態判定プログラム24は、測定した使用者の脈拍数から使用者が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定する処理が記述されたプログラムである。これらの処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
睡眠閾値データ32には、覚醒状態から睡眠状態に遷移したことを判定するための閾値が格納される。尚、睡眠閾値データ32は、第1閾値に相当する。
覚醒閾値データ34には、睡眠状態から覚醒状態に遷移したことを判定するための閾値が格納される。尚、覚醒閾値データ34は、第2閾値に相当する。
測定脈拍数データ36には、測定部10により測定された単位時間当たりの脈拍数が時系列に格納される。尚、測定脈拍数データ36は、脈拍数データに相当する。
参照脈拍数データ38には、参照脈拍数生成部84(後述する)によって算出された変動傾向を表す参照脈拍数のデータが時系列に格納される。尚、参照脈拍数データ38は、参照脈拍数に相当する。
覚醒閾値データ34には、睡眠状態から覚醒状態に遷移したことを判定するための閾値が格納される。尚、覚醒閾値データ34は、第2閾値に相当する。
測定脈拍数データ36には、測定部10により測定された単位時間当たりの脈拍数が時系列に格納される。尚、測定脈拍数データ36は、脈拍数データに相当する。
参照脈拍数データ38には、参照脈拍数生成部84(後述する)によって算出された変動傾向を表す参照脈拍数のデータが時系列に格納される。尚、参照脈拍数データ38は、参照脈拍数に相当する。
睡眠状態出力データ40には、睡眠状態判定部86(後述する)の出力結果として、睡眠状態および覚醒状態の判定結果が時系列に格納される。尚、睡眠状態出力データ40においては、時系列に格納されたデータの形態に限らず、睡眠状態および覚醒状態のそれぞれの時間帯が示されているデータであれば良い。
操作部50は、ボタンスイッチ等を有して構成される入力装置であり、押下されたボタンの信号を制御部80に出力する。この操作部50の操作により、脈拍数の測定開始指示や睡眠状態判定開始等の各種指示入力がなされる。尚、操作部50の構成はこれに限定されるものではなく、複数の操作入力が可能な構成であれば良く、例えば、表示部60がタッチパネル機能を備えていても良い。
表示部60は、LCD(Liquid Crystal Display)等を有して構成され、制御部80から入力される表示信号に基づく各種表示を行う表示装置である。表示部60には、各種の生体情報(脈拍数、運動強度、カロリー消費量等)、制御部80により判定された睡眠状態や覚醒状態を表すアイコンなどが表示される。
時計部65は、リアルタイムクロックであり、例えばタイマー機能、時計機能、ストップウォッチ機能などの計時機能を有している。時計部65のタイマーは随時制御部80に出力され、測定部10による脈波センサー12、加速度センサー14のセンサー信号受信のサンプリングタイム、脈拍数算出部16の脈拍数算出の単位時間などが生成される。また、時計部65の計時時刻は制御部80により読み出され、使用者の脈拍数や睡眠状態および覚醒状態の情報と共に記憶部20の測定脈拍数データ36、参照脈拍数データ38、睡眠状態出力データ40などに記録される。
通信部68は、制御部80の制御に従って、端末装置1の内部で利用される情報をPC(Personal Computer)やスマートフォン(多機能携帯電話)等の外部の情報処理装置との間で送受信するための通信装置である。この通信部68の通信方式としては、所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、クレイドルと呼ばれる充電器と兼用の中間装置を介して接続する形式、近距離無線通信を利用して無線接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
制御部80は、記憶部20に記憶されている各種プログラムに従って端末装置1の各部を統括的に制御する制御装置および演算装置であり、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサーを有して構成される。
制御部80は、記憶部20に記憶された睡眠状態判定プログラム24に従って、使用者の睡眠状態および覚醒状態を判定する。制御部80により睡眠状態判定プログラム24が実行されると、基礎脈拍数算出部82、参照脈拍数生成部84、睡眠状態判定部86の各機能部の機能が実現される。但し、これらの機能部は一実施例として記載したものに過ぎず、必ずしもこれらすべての機能部を必須構成要素としなければならないわけではない。また、これら以外の機能部を必須構成要素としても良い。
制御部80は、記憶部20に記憶された睡眠状態判定プログラム24に従って、使用者の睡眠状態および覚醒状態を判定する。制御部80により睡眠状態判定プログラム24が実行されると、基礎脈拍数算出部82、参照脈拍数生成部84、睡眠状態判定部86の各機能部の機能が実現される。但し、これらの機能部は一実施例として記載したものに過ぎず、必ずしもこれらすべての機能部を必須構成要素としなければならないわけではない。また、これら以外の機能部を必須構成要素としても良い。
(基礎脈拍数算出部)
基礎脈拍数算出部82は、測定脈拍数データ36を参照して基礎脈拍数を算出する。詳しくは、脳波、眼電と頤筋電のパターンで分類する睡眠状態には、REM(Rapid Eye Movement)睡眠と、浅い睡眠から深い睡眠の順に、段階1の睡眠、段階2の睡眠、段階3の睡眠、段階4のNonREM睡眠が定義されている。この中で最も深い睡眠である段階4の睡眠状態における脈拍数を、測定脈拍数データ36から抽出し、基礎脈拍数とする。基礎脈拍数は記憶部20に記憶される。
基礎脈拍数算出部82は、測定脈拍数データ36を参照して基礎脈拍数を算出する。詳しくは、脳波、眼電と頤筋電のパターンで分類する睡眠状態には、REM(Rapid Eye Movement)睡眠と、浅い睡眠から深い睡眠の順に、段階1の睡眠、段階2の睡眠、段階3の睡眠、段階4のNonREM睡眠が定義されている。この中で最も深い睡眠である段階4の睡眠状態における脈拍数を、測定脈拍数データ36から抽出し、基礎脈拍数とする。基礎脈拍数は記憶部20に記憶される。
段階4の睡眠状態における脈拍数の抽出方法について説明する。睡眠段階と脈拍数の変化には相関があるため、予め定義された睡眠段階と脈拍数の変化傾向を用いる。睡眠段階と脈拍数の変化傾向は、発明者により予め蓄積された多様な使用者に対して行われたPSG(Polysomnography)検査の実験データに基づいて導出されている。
測定脈拍数データ36から数日間の脈拍数データを参照し、睡眠段階と脈拍数との変化傾向と相関の高い部分(期間)を検出する。相関の高い期間の判断は、統計学的指標である相関係数を算出し、相関係数が+1に近い期間を相関の高い期間としている。検出された期間から、段階4の睡眠状態に相当する脈拍数を抽出する。抽出された脈拍数は、使用者固有の基礎脈拍数として記憶部20に記憶される。
また、段階4の睡眠状態における脈拍数を抽出する方法は、上述のような相関を分析する方法に限定されず、段階4の睡眠状態における脈拍数に近似する値であれば良い。例えば、最低脈拍数と最高脈拍数との差分を100%とした場合に、最低脈拍数0から最高脈拍数100%の間で段階4の睡眠状態の脈拍数が占める割合(例えば、5%)を定義する。測定脈拍数データ36から数日間分の脈拍数データを参照し、最低脈拍数と最高脈拍数を取得し、最低脈拍数、最高脈拍数、および段階4の睡眠状態の割合から、段階4の睡眠状態の脈拍数を算出する。例えば、最低脈拍数が55(拍/分)で、最高脈拍数が160(拍/分)であれば、5%の脈拍数は、以下の計算1により約60(拍/分)(小数点以下は切り捨て)として算出される。
((160−55)×0.05)+55=60.25 ・・・(計算1)
このような計算において算出された脈拍数60(拍/分)が基礎脈拍数となる。この計算においては、使用者自身から取得した最低脈拍数と最高脈拍数に基づいて基礎脈拍数を算出しているため、基礎脈拍数は使用者固有の脈拍数であると言える。
尚、基礎脈拍数を、段階4の睡眠状態における脈拍数としたが、段階4の睡眠状態に限らず、睡眠状態であれば、他の段階の睡眠状態であっても良い。また、各段階の睡眠状態における脈拍数の抽出方法は、上述の方法に限らず、各段階の睡眠状態における脈拍数に近似値を抽出できれば、他の方法であっても良い。
((160−55)×0.05)+55=60.25 ・・・(計算1)
このような計算において算出された脈拍数60(拍/分)が基礎脈拍数となる。この計算においては、使用者自身から取得した最低脈拍数と最高脈拍数に基づいて基礎脈拍数を算出しているため、基礎脈拍数は使用者固有の脈拍数であると言える。
尚、基礎脈拍数を、段階4の睡眠状態における脈拍数としたが、段階4の睡眠状態に限らず、睡眠状態であれば、他の段階の睡眠状態であっても良い。また、各段階の睡眠状態における脈拍数の抽出方法は、上述の方法に限らず、各段階の睡眠状態における脈拍数に近似値を抽出できれば、他の方法であっても良い。
また、基礎脈拍数を、上述のような睡眠状態における脈拍数を参照する方法に限らず、使用者によって測定された覚醒時および睡眠時における脈拍数のばらつき度合い、および出現頻度を参照して算出されても良い。具体的には、測定した脈拍数の平均値および標準偏差値を算出する。測定された脈拍数の出現分布において出現頻度が少なく、かつ低い値を示す脈拍数を基礎脈拍数として設定する。
例えば、出現分布において出現頻度が5%程度で低い方の脈拍数を基礎脈拍数とする場合は、次の式1により算出される。尚、正規分布において出現頻度5%は、標準偏差値の約1.96倍の数値分が平均から離れているものとする。
基礎脈拍数=(平均脈拍数)−1.96×(脈拍数の標準偏差値) ・・・(式1)
尚、基礎脈拍数算出部82は、算出部に相当する。
例えば、出現分布において出現頻度が5%程度で低い方の脈拍数を基礎脈拍数とする場合は、次の式1により算出される。尚、正規分布において出現頻度5%は、標準偏差値の約1.96倍の数値分が平均から離れているものとする。
基礎脈拍数=(平均脈拍数)−1.96×(脈拍数の標準偏差値) ・・・(式1)
尚、基礎脈拍数算出部82は、算出部に相当する。
(参照脈拍数生成部)
次に、参照脈拍数生成部84について図4を用いて説明する。図4は、測定脈拍数データ36と参照脈拍数データ38の一例を示すグラフである。図4のグラフは、縦軸は脈拍数(拍/分)で、横軸が時間(秒)である。測定脈拍数データ36から使用者の覚醒状態と睡眠状態の両方を含む期間の脈拍数データを抜粋してプロットしたグラフを測定脈拍数データL36(破線)で示し、測定脈拍数データL36と同じ期間の参照脈拍数データ38のグラフを参照脈拍数データL38(実線)で示している。
次に、参照脈拍数生成部84について図4を用いて説明する。図4は、測定脈拍数データ36と参照脈拍数データ38の一例を示すグラフである。図4のグラフは、縦軸は脈拍数(拍/分)で、横軸が時間(秒)である。測定脈拍数データ36から使用者の覚醒状態と睡眠状態の両方を含む期間の脈拍数データを抜粋してプロットしたグラフを測定脈拍数データL36(破線)で示し、測定脈拍数データL36と同じ期間の参照脈拍数データ38のグラフを参照脈拍数データL38(実線)で示している。
参照脈拍数生成部84は、測定脈拍数データ36(L36)を解析して、参照脈拍数データ38(L38)を導出する。詳しくは、参照脈拍数生成部84は、まず、記憶部20に格納されている測定脈拍数データ36から睡眠状態か覚醒状態かを判定する期間の脈拍数データを読み込む。次に、読み込んだ脈拍数データを順次時間の古い順に一定期間分の平均値を算出し参照脈拍数とする。
具体的には、脈拍数データが単位時間(例えば4秒)毎に測定された脈拍数のデータ列である場合に、一定期間(例えば1分間)分のデータとして15個(60秒÷4秒)の脈拍数のデータにおける平均値を算出し、その平均値を参照脈拍数とする。続けて、次の15個の脈拍数データの平均値を算出し、参照脈拍数として繰り返す。
このように算出された参照脈拍数データL38は、測定脈拍数データL36における急激に変化する部分が平滑化されたデータとなり、脈拍数の変動傾向を表している。また、算出された参照脈拍数は1分毎に導出されるため、参照脈拍数の個数は、脈拍数データの数の15分の1の数に減っているため、以降の算術にかかる負荷を抑えることができる。
尚、参照脈拍数の算出において、一定期間分の平均値を算出するとしたが、この方法に限定されず、一定期間の単純移動平均法や加重移動平均法などの時系列データを平滑化する方法を用いて算出しても良い。また、測定脈拍数データ36において突発的に突出した脈拍数のデータを除外して上述の平均等の算出をしても良い。算出された参照脈拍数が、脈拍数データにおける突発的に突出した脈拍数などが平滑化され、脈拍数の変動傾向が表される方法であれば良い。
尚、参照脈拍数生成部84は、解析部に相当し、一定期間は、所定の第1期間に相当する。
尚、参照脈拍数生成部84は、解析部に相当し、一定期間は、所定の第1期間に相当する。
(睡眠状態判定部)
次に、睡眠状態判定部86、睡眠判定部88、および覚醒判定部90について、図5を用いて説明する。図5(a)は、参照脈拍数データ38(L38)および基礎脈拍数Pbの関係を説明するグラフであり、(b)は、睡眠状態および覚醒状態の判定の一例を示すグラフである。図5(a)および(b)の縦軸は脈拍数(拍/分)、横軸は時間(秒)であり、参照脈拍数データL38(実線)で示している。参照脈拍数データL38は、図4で示したグラフと同一である。また、基礎脈拍数算出部82により算出された基礎脈拍数Pbが、縦軸上に示されている。基礎脈拍数Pbは、参照脈拍数データL38のいずれの脈拍数データよりも低い値で設定されている。
図5(a)に示すように、任意の時刻tにおける参照脈拍数をPtとすると、参照脈拍数Ptと基礎脈拍数Pbとの差分Dtは以下の式2により算出される。
Dt= Pt − Pb ・・・(式2)
次に、睡眠状態判定部86、睡眠判定部88、および覚醒判定部90について、図5を用いて説明する。図5(a)は、参照脈拍数データ38(L38)および基礎脈拍数Pbの関係を説明するグラフであり、(b)は、睡眠状態および覚醒状態の判定の一例を示すグラフである。図5(a)および(b)の縦軸は脈拍数(拍/分)、横軸は時間(秒)であり、参照脈拍数データL38(実線)で示している。参照脈拍数データL38は、図4で示したグラフと同一である。また、基礎脈拍数算出部82により算出された基礎脈拍数Pbが、縦軸上に示されている。基礎脈拍数Pbは、参照脈拍数データL38のいずれの脈拍数データよりも低い値で設定されている。
図5(a)に示すように、任意の時刻tにおける参照脈拍数をPtとすると、参照脈拍数Ptと基礎脈拍数Pbとの差分Dtは以下の式2により算出される。
Dt= Pt − Pb ・・・(式2)
睡眠状態判定部86は、睡眠判定部88および覚醒判定部90などから構成される。睡眠状態判定部86では、使用者の状態が覚醒状態であれば睡眠状態に遷移したか否かを判定する睡眠判定部88が実行され、睡眠状態であれば覚醒状態に遷移したか否かを判定する覚醒判定部90が実行される。
睡眠状態判定部86は、最初に、睡眠状態か覚醒状態かを判定する判定期間の開始時点における使用者の状態を取得する。具体的には、判定期間の開始時期およびその前後において、加速度センサー14により検出された体動の変化量、操作部50による操作ボタンの押下状況、測定部10により測定された脈拍数などの記憶された情報、または、前回の判定により判定された判定結果などに基づいて、覚醒状態である期間を検索する。確実に覚醒状態であった期間は、少なくとも脈拍の測定を開始する操作ボタン押下(覚醒状態)まで遡ることにより取得することができる。
睡眠状態判定部86は、最初に、睡眠状態か覚醒状態かを判定する判定期間の開始時点における使用者の状態を取得する。具体的には、判定期間の開始時期およびその前後において、加速度センサー14により検出された体動の変化量、操作部50による操作ボタンの押下状況、測定部10により測定された脈拍数などの記憶された情報、または、前回の判定により判定された判定結果などに基づいて、覚醒状態である期間を検索する。確実に覚醒状態であった期間は、少なくとも脈拍の測定を開始する操作ボタン押下(覚醒状態)まで遡ることにより取得することができる。
睡眠判定部88は、使用者の状態が確実に覚醒状態であった期間における参照脈拍数を起点とし、順次、時系列データの時刻tを経過させながら参照脈拍数を選択し基礎脈拍数Pbと比較する。睡眠判定部88は、第1閾値としての睡眠閾値Twsを記憶部20の睡眠閾値データ32から読み込む。式2により算出した差分Dtを以下の式3により比較する。
Dt < Tws ・・・(式3)
式3が成立する差分Dtが検出されると、その時点の時刻t以降が睡眠状態に入ったと判定される。
Dt < Tws ・・・(式3)
式3が成立する差分Dtが検出されると、その時点の時刻t以降が睡眠状態に入ったと判定される。
図5(b)を用いて詳細に説明する。図5(b)に示す参照脈拍数データL38の開始である時刻t0においては、使用者は覚醒状態である。睡眠状態判定部86は、使用者が覚醒状態であるため、睡眠判定部88に移行して、覚醒状態から睡眠状態への遷移があったか検出する。睡眠判定部88は、時刻tをt0から経過させながら差分Dtを睡眠閾値Twsと上述の式3により比較する。図5(b)の例では、時刻t1の参照脈拍数Pt1と基礎脈拍数Pbとの差である差分Dt1が睡眠閾値Twsよりも小さい値となった時点である。つまり、式3が成立し、時刻t1以降は睡眠状態となる。
覚醒判定部90は、使用者の状態が睡眠状態であった期間から、順次、時系列データの時刻tを経過させながら参照脈拍数を選択し、基礎脈拍数Pbと比較する。覚醒判定部90は、第2閾値としての覚醒閾値Tswを記憶部20の覚醒閾値データ34から読み込む。式2により算出した差分Dtを以下の式4により比較する。
Dt ≧ Tsw ・・・(式4)
式4が成立する差分Dtが検出されると、その時点の時刻t以降が覚醒状態に入ったと判定される。図5(b)の例では、時刻t2の参照脈拍数Pt2と基礎脈拍数Pbとの差である差分Dt2が覚醒閾値Tsw以上の値となった時点である。つまり、式4が成立し、時刻t2以降は覚醒状態となる。
Dt ≧ Tsw ・・・(式4)
式4が成立する差分Dtが検出されると、その時点の時刻t以降が覚醒状態に入ったと判定される。図5(b)の例では、時刻t2の参照脈拍数Pt2と基礎脈拍数Pbとの差である差分Dt2が覚醒閾値Tsw以上の値となった時点である。つまり、式4が成立し、時刻t2以降は覚醒状態となる。
このようにして、睡眠状態判定部86により、時刻t0〜t1の間は覚醒状態、時刻t1〜t2の間は睡眠状態に、時刻t2以降は覚醒状態として判定され、判定された結果は記憶部20の睡眠状態出力データ40に格納され、必要に応じて表示部60などに表示され、通信部68を介して他の情報機器などに送信される。
(3.睡眠状態判定プログラムのフロー)
図6は、睡眠状態判定プログラム24の処理の流れを表すフローチャート図である。以下のフローは、記憶部20の睡眠状態判定プログラム24に基づいて制御部80が測定部10、時計部65を含む各部を制御することにより実行される。尚、本フローは睡眠状態判定方法に相当する。以降、図6を中心に適宜、図3を含む各図を交えて説明する。
図6は、睡眠状態判定プログラム24の処理の流れを表すフローチャート図である。以下のフローは、記憶部20の睡眠状態判定プログラム24に基づいて制御部80が測定部10、時計部65を含む各部を制御することにより実行される。尚、本フローは睡眠状態判定方法に相当する。以降、図6を中心に適宜、図3を含む各図を交えて説明する。
ステップS100では、以降の各ステップを処理するために必要な準備を行う。例えば、記憶部20に格納する参照脈拍数データ38、睡眠状態出力データ40などを記憶する記憶領域を確保する。また、以降のステップで用いられる配列変数P(i)、閾値の変数TwsとTsw、基礎脈拍数の変数Pb、使用者の状態を表す変数UserStateなどの記憶領域を確保する。
ステップS110では、基礎脈拍数Pbを算出する。詳しくは、記憶部20に記憶されている測定脈拍数データ36から数日間分の測定した脈拍数を参照し、基礎脈拍数を算出する。算出した基礎脈拍数を変数Pbに格納する。尚、本ステップは、算出工程に相当する。
ステップS120では、判定期間分の測定脈拍数データ36を取得する。詳しくは、使用者の睡眠状態を判定する期間の脈拍数データを測定脈拍数データ36から時系列順に配列変数に読み込む。
ステップS130では、参照脈拍数データP(i)を算出する。詳しくは、ステップS120で読み込んだ脈拍数データから参照脈拍数データ38を算出する。参照脈拍数データ38は時系列に一定期間毎(例えば1分毎)に算出された参照脈拍数が並べられたデータ列である。判定期間分に相当するデータの数をn個とすると、参照脈拍数は配列P(i)(iは1〜n)に格納される。尚、本ステップは、解析工程に相当する。
ステップS140では、睡眠閾値Tws、覚醒閾値Tswを取得する。記憶部20に格納されている睡眠閾値データ32を読み込み、変数Twsに格納し、覚醒閾値データ34を読み込み、変数Tswに格納する。
ステップS150では、使用者の初期状態(UserState)を設定する。詳しくは、判定期間の開始時点で使用者が睡眠状態であるか覚醒状態であるかを設定する。睡眠状態であれば、UserStateに睡眠状態を表す「S」を設定し、覚醒状態であれば、「W」を設定する。
ステップS160からステップS230までは、iを1〜nまでn回分繰り返すループ1工程である。
ステップS160は、ループ1工程の開始であり、iを1〜nまで1つずつインクリメントしてステップS160〜S230までを繰り返す。参照脈拍数の配列P(i)において、iを1〜nまで繰り返すことにより、判定期間に存在する参照脈拍数のP(i)がすべて評価される。尚、ステップS160〜S230までは、判定工程に相当する。
ステップS160は、ループ1工程の開始であり、iを1〜nまで1つずつインクリメントしてステップS160〜S230までを繰り返す。参照脈拍数の配列P(i)において、iを1〜nまで繰り返すことにより、判定期間に存在する参照脈拍数のP(i)がすべて評価される。尚、ステップS160〜S230までは、判定工程に相当する。
ステップS170では、使用者の状態が覚醒状態(UserState=W)であるか否か判定する。詳しくは、使用者の状態が覚醒状態(UserState=W)が成立する場合(ステップS170;Yes)は、睡眠閾値と比較するためにステップS180に進む。成立しない場合は、使用者の状態が睡眠状態(UserState=S)である場合(ステップS170;No)であり、覚醒閾値と比較するためにステップS200に進む。
ステップS180では、参照脈拍数と基礎脈拍数との差分が睡眠閾値未満(P(i)−Pb<Tws)であるか否か判定する。成立する場合(ステップS180;Yes)は、覚醒状態から睡眠状態に遷移したと判定され、ステップS190に進む。成立しない場合(ステップS180;No)は、状態が変化していないと判定され状態を記録するステップS220に進む。
ステップS190では、使用者の状態を睡眠状態に設定する。具体的には、使用者の状態を示すUserStateに「S」を設定する。
ステップS200では、参照脈拍数と基礎脈拍数との差分が覚醒閾値以上(P(i)−Pb≧Tsw)であるか否か判定する。成立する場合(ステップS200;Yes)は、睡眠状態から覚醒状態に遷移したと判定され、ステップS210に進む。成立しない場合(ステップS200;No)は、状態が変化していないと判定され状態を記録するステップS220に進む。
ステップS210では、使用者の状態を覚醒状態に設定する。具体的には、使用者の状態を示すUserStateに「W」を設定する。
ステップS220では、使用者の状態を睡眠状態出力データ40に記録する。使用者が睡眠状態であるか、覚醒状態であるかの判定が行われた結果はUserStateに設定されているため、その内容を記憶部20の睡眠状態出力データ40に記憶する。
尚、ステップS180で”No”、およびステップS200で”No”と判定された場合に、ステップS220に進むフローとなっているが、ステップS220に進まずにステップS230に進むフローとしても良い。このフローによれば、使用者の状態に変化があったときだけ、使用者の状態を睡眠状態出力データ40に記憶するため、記憶領域の節約ができる。
ステップS230では、ループ1工程を繰り返すか終了するか判定する。ステップS160においてインクリメントされたiがn未満の場合は、ループ1工程を繰り返すためにステップS160に進む。iがnであった場合は、ループ1工程を終了して本フローの終了に移る。本フローが終了した時点において、記憶部20に格納された睡眠状態出力データ40には、判定期間の使用者の睡眠状態および覚醒状態が記憶されている。
(本実施形態による効果)
図7は、実施形態1による効果の一例を示す図である。図7(a)は、従来方法による睡眠判定を示すグラフであり、(b)は実施形態1と従来方法の睡眠判定を比較したグラフである。
図7(a)の縦軸は一分当たりの体動の回数、横軸は経過時間であり、(b)の縦軸は脈拍数、横軸は経過時間である。図7(a)と(b)は、同一の使用者による睡眠状態を含む状態を実験データとして計測したデータであり、(a)は加速度センサー等を用いて体動数を検出した回数を棒グラフで、(b)は測定した脈拍数をグラフ(実線)で表している。図7(a)、(b)に示す時刻tbinは使用者が寝床に入った時刻であり、時刻tboutは使用者が寝床から出た時刻である。
図7は、実施形態1による効果の一例を示す図である。図7(a)は、従来方法による睡眠判定を示すグラフであり、(b)は実施形態1と従来方法の睡眠判定を比較したグラフである。
図7(a)の縦軸は一分当たりの体動の回数、横軸は経過時間であり、(b)の縦軸は脈拍数、横軸は経過時間である。図7(a)と(b)は、同一の使用者による睡眠状態を含む状態を実験データとして計測したデータであり、(a)は加速度センサー等を用いて体動数を検出した回数を棒グラフで、(b)は測定した脈拍数をグラフ(実線)で表している。図7(a)、(b)に示す時刻tbinは使用者が寝床に入った時刻であり、時刻tboutは使用者が寝床から出た時刻である。
従来方法では、図7(a)に示すように、体動回数が体動睡眠閾値Mb(破線)よりも少ない場合に、睡眠状態と判定していた。体動回数が閾値Mbを下回る時刻が、時刻tbinと略一致しており、体動回数が閾値Mb以上になる時刻が、時刻tboutと略一致している。従来方法における睡眠判定では、時刻tbinから時刻tboutまでの時間帯を睡眠状態と判定している。尚、従来方法の例示については、特許文献1による装置そのものを利用することができないため、発明者により模擬的に試験装置を作成し測定したデータに基づいている。
図7(b)では、実施形態1において判定された睡眠状態の期間と、従来方法において判定された睡眠状態の期間を比較することができる。本実施形態による睡眠状態の判定は時刻t1から時刻t2までの時間帯(期間A)が睡眠状態である。従来方法による睡眠状態の期間は上述したように時刻tbinから時刻tboutの時間帯(期間B)である。また、時刻tbinから時刻t1までの期間を期間Cと呼称する。
期間Cは、寝床に入ってから体動回数の減少に伴い脈拍数も減少している。期間Cの間で、体動回数は無くなる部分では、脈拍数は緩やかに減少中である。期間Cの状態は、寝床に入ってから安静にしているが覚醒状態であるため、脈拍数は下がりきっていない。尚、期間Cの使用者の状態が覚醒状態であることは、同時に測定しているPSG検査の出力結果に基づいた脳波の発生状況によっても確認されている。
このように、従来方法では、安静にしている覚醒状態のような期間Cを含めた状態も睡眠状態として判定していた。本実施形態においては、参照脈拍数Pt1と基礎脈拍数Pbとの差分が睡眠閾値Tws未満になった時点(時刻t1)を睡眠状態と判定することで、期間Cのような安静にしている覚醒状態を除外して、睡眠状態を抽出することができている。
睡眠状態から覚醒状態に遷移する判定においては、従来方法では、時刻tboutまでを睡眠状態と判定しているのに対し、本実施形態では、時刻t2において睡眠状態から覚醒状態に遷移したと判定している。時刻t2から時刻tboutまでの期間は、実際の使用者の行動においても目覚めた後から寝床から出るまでの期間であり、覚醒状態である。睡眠状態から覚醒状態に遷移する判定においても、覚醒状態を除外して睡眠状態の期間とすることができている。尚、時刻t2と寝床から出た時刻tboutとの差は、時刻t1と時刻tbinとの差よりも短い期間となっているが、これは典型的な生活例において睡眠状態から覚醒状態に遷移後、寝床から出るまでの時間が短いためにこのような結果として現れている。
以上述べたように、本実施形態に係わる端末装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
端末装置1によれば、測定部10により測定した脈拍数データに基づいて、使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定している。従来方法による加速度センサーのような物理量情報による判定では、体動の変化が少ない安静にしている覚醒状態と睡眠状態との区別ができなかったのに対し、使用者の脈拍数のような生体情報では安静にしている覚醒状態と睡眠状態の脈拍数の差が生じるため、両者を区別することができる。
端末装置1によれば、測定部10により測定した脈拍数データに基づいて、使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定している。従来方法による加速度センサーのような物理量情報による判定では、体動の変化が少ない安静にしている覚醒状態と睡眠状態との区別ができなかったのに対し、使用者の脈拍数のような生体情報では安静にしている覚醒状態と睡眠状態の脈拍数の差が生じるため、両者を区別することができる。
また、基礎脈拍数算出部82より算出された基礎脈拍数は、使用者自身から測定した測定脈拍数データ36を参照して算出された使用者固有の脈拍数である。基礎脈拍数Pbは、使用者自身の年齢や性別、心肺機能、筋肉量などの特徴が反映された脈拍数であると言える。参照脈拍数生成部84により導出された参照脈拍数データ38(38L)は、図4に示すように測定脈拍数データ36(36L)における突発的な変化が緩和された変動傾向を表すデータになっている。
図5に示すように参照脈拍数データL38の時刻tにおける参照脈拍数Ptと基礎脈拍数Pbとの差分Dtをとることにより、差分Dtは参照脈拍数Ptに比べ変動傾向を顕著に表す指標となっている。更に、脈拍数は脳と身体の活動量に応じて変化するため、参照脈拍数Ptと使用者固有の基礎脈拍数Pbとの差分Dtは、使用者の特徴による影響が軽減された個人差が少ない脳と身体の活動量の変化であると言える。つまり、参照脈拍数Ptには個人差があるが、差分Dtは個人差が軽減されている。予め実験データなどで、安静にしている覚醒状態と睡眠状態との遷移時点における差分Dtを算出し睡眠閾値Tsw、覚醒閾値Twsとすることで、以降はそれらの閾値を他の使用者に適用し、安静にしている覚醒状態と睡眠状態の遷移点を検出することが可能である。従って、使用者の睡眠状態と覚醒状態との境界を検出し、睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定することができる。
図5に示すように参照脈拍数データL38の時刻tにおける参照脈拍数Ptと基礎脈拍数Pbとの差分Dtをとることにより、差分Dtは参照脈拍数Ptに比べ変動傾向を顕著に表す指標となっている。更に、脈拍数は脳と身体の活動量に応じて変化するため、参照脈拍数Ptと使用者固有の基礎脈拍数Pbとの差分Dtは、使用者の特徴による影響が軽減された個人差が少ない脳と身体の活動量の変化であると言える。つまり、参照脈拍数Ptには個人差があるが、差分Dtは個人差が軽減されている。予め実験データなどで、安静にしている覚醒状態と睡眠状態との遷移時点における差分Dtを算出し睡眠閾値Tsw、覚醒閾値Twsとすることで、以降はそれらの閾値を他の使用者に適用し、安静にしている覚醒状態と睡眠状態の遷移点を検出することが可能である。従って、使用者の睡眠状態と覚醒状態との境界を検出し、睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを判定することができる。
尚、発明者は、多種多様な使用者における睡眠状態と覚醒状態の脈拍数を測定し分析することにより、ヒトが覚醒状態から睡眠状態に遷移する変化点、睡眠状態から覚醒状態に遷移する変化点において参照脈拍数と基礎脈拍数との差分値に一定の傾向があることを発見した。一定の傾向を示した差分値を所定の閾値として定義し、端末装置1を装着した使用者から測定した脈拍数に基づいて算出された基礎脈拍数と参照脈拍数との差分を、所定の閾値と比較することによって、使用者の睡眠状態と覚醒状態間の遷移の変化点を正確に捉えることを可能にした。
(変形例1)
図3を用いて説明する。
上述の実施形態では、端末装置1に記憶部20の睡眠状態判定プログラム24、記憶部20のデータ30、制御部80の基礎脈拍数算出部82、参照脈拍数生成部84、睡眠状態判定部86を含める構成として説明したが、測定部10のみを端末装置1に備え、その他の構成部分をPCまたはスマートフォンなどの情報機器に備える構成としても良い。本変形例による構成は、睡眠状態判定システムに相当する。
本変形例によれば、端末装置1により使用者の脈拍数データを含む生体情報を収集する。情報機器では、受信部を備え、受信した使用者の生体情報を用いて使用者の睡眠状態を解析する。情報機器では更にグラフィカルの表示部を有し、使用者の睡眠状態などを表示する。端末装置1と情報機器との間は、例えば、近距離無線を介して収集した生体情報などの送受信を行う。
これにより、端末装置1において、使用者の脈拍数などを測定しながら、情報機器においてリアルタイムに睡眠状態などの情報を表示することができる。睡眠習慣の改善指導をする指導者などが情報機器の表示を確認することで、即時性の高い効果的な睡眠指導が可能になる。
図3を用いて説明する。
上述の実施形態では、端末装置1に記憶部20の睡眠状態判定プログラム24、記憶部20のデータ30、制御部80の基礎脈拍数算出部82、参照脈拍数生成部84、睡眠状態判定部86を含める構成として説明したが、測定部10のみを端末装置1に備え、その他の構成部分をPCまたはスマートフォンなどの情報機器に備える構成としても良い。本変形例による構成は、睡眠状態判定システムに相当する。
本変形例によれば、端末装置1により使用者の脈拍数データを含む生体情報を収集する。情報機器では、受信部を備え、受信した使用者の生体情報を用いて使用者の睡眠状態を解析する。情報機器では更にグラフィカルの表示部を有し、使用者の睡眠状態などを表示する。端末装置1と情報機器との間は、例えば、近距離無線を介して収集した生体情報などの送受信を行う。
これにより、端末装置1において、使用者の脈拍数などを測定しながら、情報機器においてリアルタイムに睡眠状態などの情報を表示することができる。睡眠習慣の改善指導をする指導者などが情報機器の表示を確認することで、即時性の高い効果的な睡眠指導が可能になる。
(変形例2)
図3を用いて説明する。
上述の実施形態および変形例では、基礎脈拍数算出部82は、各段階の睡眠状態の脈拍数に基づいて基礎脈拍数を算出するとしていたが、これに限定されるものではなく、各段階の睡眠状態を参照しない別の方法により算出する構成であっても良い。詳しくは、基礎脈拍数算出部82は、測定脈拍数データ36に格納されている数日分の使用者の脈拍数データを読み込み、脈拍数データを一定期間毎(例えば3分間毎)に平均値を算出する。数日分の脈拍数データを一定期間毎に区切り、それぞれに算出された平均値の中で、最小の平均値を基礎脈拍数とする。この構成によれば、測定脈拍数データ36に蓄積された脈拍数の数量が不足している場合などであっても、適切な基礎脈拍数を決定することができる。
尚、本変形例における一定期間は所定の第2期間に相当する。
図3を用いて説明する。
上述の実施形態および変形例では、基礎脈拍数算出部82は、各段階の睡眠状態の脈拍数に基づいて基礎脈拍数を算出するとしていたが、これに限定されるものではなく、各段階の睡眠状態を参照しない別の方法により算出する構成であっても良い。詳しくは、基礎脈拍数算出部82は、測定脈拍数データ36に格納されている数日分の使用者の脈拍数データを読み込み、脈拍数データを一定期間毎(例えば3分間毎)に平均値を算出する。数日分の脈拍数データを一定期間毎に区切り、それぞれに算出された平均値の中で、最小の平均値を基礎脈拍数とする。この構成によれば、測定脈拍数データ36に蓄積された脈拍数の数量が不足している場合などであっても、適切な基礎脈拍数を決定することができる。
尚、本変形例における一定期間は所定の第2期間に相当する。
(変形例3)
図3および図6を用いて説明する。
上述の実施形態および変形例により算出される基礎脈拍数Pbに対して、更に使用者固有の脈拍数のばらつきを加味して補正しても良い。詳しくは、基礎脈拍数算出部82において、測定脈拍数データ36を参照して測定した使用者の脈拍数のばらつき度合いとしての標準偏差値σpを算出する。また、予め蓄積された多様な使用者の脈拍数データにおける標準偏差値σsを算出し、記憶部20等に記憶しておく。補正後の基礎脈拍数Pb2を以下の式5により算出する。
Pb2=Pb+(σp/σs) ・・・(式5)
式5により算出されたPb2を、基礎脈拍数Pbとすることで、多様な使用者による脈拍数のばらつき度合いと、使用者自身の脈拍数のばらつき度合いとの割合を加味して補正することができる。
図3および図6を用いて説明する。
上述の実施形態および変形例により算出される基礎脈拍数Pbに対して、更に使用者固有の脈拍数のばらつきを加味して補正しても良い。詳しくは、基礎脈拍数算出部82において、測定脈拍数データ36を参照して測定した使用者の脈拍数のばらつき度合いとしての標準偏差値σpを算出する。また、予め蓄積された多様な使用者の脈拍数データにおける標準偏差値σsを算出し、記憶部20等に記憶しておく。補正後の基礎脈拍数Pb2を以下の式5により算出する。
Pb2=Pb+(σp/σs) ・・・(式5)
式5により算出されたPb2を、基礎脈拍数Pbとすることで、多様な使用者による脈拍数のばらつき度合いと、使用者自身の脈拍数のばらつき度合いとの割合を加味して補正することができる。
また、使用者固有の脈拍数のばらつきを加味して補正する方法として、基礎脈拍数Pbを補正する方法に限らず、睡眠状態判定の比較対象である睡眠閾値Twsおよび覚醒閾値Tswを補正しても良い。上述の使用者自身の標準偏差値σp、多様な使用者による標準偏差値σsを用いて、補正後の睡眠閾値Tws2および補正後の覚醒閾値Tsw2を式6および式7により算出する。
Tws2=Tws×(σp/σs) ・・・(式6)
Tsw2=Tsw×(σp/σs) ・・・(式7)
式6および式7により算出されたTws2を新たにTwsとし、Tsw2を新たにTswとして、図6に示すステップS180およびステップS200における参照脈拍数と基礎脈拍数との差分を睡眠閾値Twsおよび覚醒閾値Tswと比較する。参照脈拍数および基礎脈拍数は、使用者自身の脈拍数データに基づいて算出されたものであり、睡眠閾値Twsおよび覚醒閾値Tswは予め多様な使用者の脈拍数データに基づいて導出された閾値である。睡眠閾値Twsおよび覚醒閾値Tswに、多様な使用者のばらつき度合い(標準偏差値σs)に対する使用者自身のばらつき度合い(標準偏差値σp)の割合を乗じることで、睡眠閾値Twsおよび覚醒閾値Tswは、使用者自身の脈拍数データのばらつき度合いに補正される。
Tws2=Tws×(σp/σs) ・・・(式6)
Tsw2=Tsw×(σp/σs) ・・・(式7)
式6および式7により算出されたTws2を新たにTwsとし、Tsw2を新たにTswとして、図6に示すステップS180およびステップS200における参照脈拍数と基礎脈拍数との差分を睡眠閾値Twsおよび覚醒閾値Tswと比較する。参照脈拍数および基礎脈拍数は、使用者自身の脈拍数データに基づいて算出されたものであり、睡眠閾値Twsおよび覚醒閾値Tswは予め多様な使用者の脈拍数データに基づいて導出された閾値である。睡眠閾値Twsおよび覚醒閾値Tswに、多様な使用者のばらつき度合い(標準偏差値σs)に対する使用者自身のばらつき度合い(標準偏差値σp)の割合を乗じることで、睡眠閾値Twsおよび覚醒閾値Tswは、使用者自身の脈拍数データのばらつき度合いに補正される。
以上のように、使用者固有の脈拍数のばらつき度合いを加味して補正した基礎脈拍数、または補正した睡眠閾値と覚醒閾値を用いることにより、使用者の測定脈拍数データの変化を的確に捉えることができ、睡眠状態および覚醒状態を更に正確に判定することができる。
(変形例4)
図3を用いて説明する。
上述の実施形態および変形例では、測定部10として脈波センサー12と加速度センサー14を含む構成であったが、更に測定部10には、他の生体センサー、物理量センサーおよび環境センサーを含める構成であっても良い。例えば、生体センサーとして温度センサーなどにより手首の表面温度を測定したり、物理量センサーではジャイロセンサーなどによりに使用者の回転体動を測定したり、環境センサーでは測位センサーなどにより使用者の正確な位置情報を測定する。これらのセンサーにより測定される測定データを、上述の睡眠状態の判定の補助データとして扱うことで、更に様々な環境および使用者の状態において精度の高い睡眠状態の判定をすることができる。
図3を用いて説明する。
上述の実施形態および変形例では、測定部10として脈波センサー12と加速度センサー14を含む構成であったが、更に測定部10には、他の生体センサー、物理量センサーおよび環境センサーを含める構成であっても良い。例えば、生体センサーとして温度センサーなどにより手首の表面温度を測定したり、物理量センサーではジャイロセンサーなどによりに使用者の回転体動を測定したり、環境センサーでは測位センサーなどにより使用者の正確な位置情報を測定する。これらのセンサーにより測定される測定データを、上述の睡眠状態の判定の補助データとして扱うことで、更に様々な環境および使用者の状態において精度の高い睡眠状態の判定をすることができる。
1…端末装置、10…測定部、12…脈波センサー、14…加速度センサー、16…脈拍数算出部、20…記憶部、22…プログラム、24…睡眠状態判定プログラム、30…データ、32…睡眠閾値データ、34…覚醒閾値データ、36,36L…測定脈拍数データ、38,38L…参照脈拍数データ、40…睡眠状態出力データ、50…操作部、60…表示部、65…時計部、68…通信部、80…制御部、82…基礎脈拍数算出部、84…参照脈拍数生成部、86…睡眠状態判定部、88…睡眠判定部、90…覚醒判定部。
Claims (9)
- 使用者の脈拍数を測定する測定部と、
前記脈拍数を脈拍数データとして記憶する記憶部と、
前記脈拍数データを用いて前記使用者固有の脈拍数である基礎脈拍数を算出する算出部と、
前記脈拍数データを解析して、前記脈拍数の変動傾向を表す参照脈拍数を導出する解析部と、
前記基礎脈拍数と前記参照脈拍数との差分を所定の閾値と比較した結果に基づいて前記使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定する判定部と、
を備えることを特徴とする睡眠状態判定装置。 - 前記所定の閾値は、前記使用者が覚醒状態から睡眠状態に遷移したことを判定する第1閾値と、前記使用者が睡眠状態から覚醒状態に遷移したことを判定する第2閾値を含む前記所定の閾値であることを特徴とする請求項1に記載の睡眠状態判定装置。
- 前記解析部は、前記脈拍数データにおいて所定の第1期間毎に前記脈拍数の平均値を算出し、前記脈拍数の変動傾向を表す前記参照脈拍数を導出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の睡眠状態判定装置。
- 前記算出部は、前記使用者の睡眠状態を含む期間に測定された前記脈拍数データに基づいて算出される脈拍数を前記基礎脈拍数とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の睡眠状態判定装置。
- 前記算出部は、前記脈拍数データにおいて所定の第2期間毎に記憶された前記脈拍数の平均値を算出し、算出された前記平均値の中で最小の値を前記基礎脈拍数とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の睡眠状態判定装置。
- 前記算出部は、算出された前記基礎脈拍数に対して、更に前記脈拍数データにおける前記脈拍数のばらつき度合いの情報を加味して前記基礎脈拍数を補正し算出することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の睡眠状態判定装置。
- 前記算出部は、前記使用者の睡眠状態を含む期間に測定された前記脈拍数データのばらつき度合い、および出現頻度を参照して前記基礎脈拍数を算出することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の睡眠状態判定装置。
- 使用者の脈拍数を測定する測定工程と、
前記脈拍数を時系列に脈拍数データとして記憶する記憶工程と、
前記脈拍数データを用いて前記使用者固有の脈拍数である基礎脈拍数を算出する算出工程と、
前記脈拍数データを解析して、前記脈拍数の変動傾向を表す参照脈拍数を導出する解析工程と、
前記基礎脈拍数と前記参照脈拍数との差分を所定の閾値と比較した結果に基づいて前記使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定する判定工程と、
を備えることを特徴とする睡眠状態判定方法。 - 使用者の脈拍数を測定する測定部と、
測定した前記脈拍数を送信する通信部と、
を備える測定装置と、
前記測定装置から送信された前記脈拍数を受信する受信部と、
前記脈拍数を時系列に脈拍数データとして記憶する記憶部と、
前記脈拍数データを用いて前記使用者固有の脈拍数である基礎脈拍数を算出する算出部と、
前記脈拍数データを解析して、前記脈拍数の変動傾向を表す参照脈拍数を導出する解析部と、
前記基礎脈拍数と前記参照脈拍数との差分を所定の閾値と比較した結果に基づいて前記使用者が睡眠状態にあるか、覚醒状態にあるかを判定する判定部と、
を備える情報機器と、
を備えることを特徴とする睡眠状態判定システム。
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JP2014024151A JP2015150034A (ja) | 2014-02-12 | 2014-02-12 | 睡眠状態判定装置、および睡眠状態判定方法、睡眠状態判定システム |
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- 2014-02-12 JP JP2014024151A patent/JP2015150034A/ja active Pending
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