JP2015149184A - インピーダンス特性を向上させた同軸コネクタ - Google Patents
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Abstract
Description
また、上記同軸コネクタにおいて、前記溝部は、前記環状金具の貫通穴の中心から放射状に複数設けられ、前記環状金具の対向面に複数の略扇部が形成されていてもよい。
また、上記同軸コネクタにおいて、前記外部導体の連通穴には、前記外部導体の連通穴に収容された前記絶縁部材を係止する係止部と、前記外部導体の連通穴に収容された前記環状金具を係止する係止部と、が設けられていてもよい。
同軸コネクタにおいて、対向する環状金具(金属リング)と絶縁部材との界面やその付近における構成が、そのインピーダンス特性にどのような影響を与えるか調べるべく、シミュレーションを行った。シミュレーションには、図1乃至図3に示す構造を持つ同軸コネクタ1を用いた。図1は、同軸コネクタ1の外観斜視図、図2は、その分解斜視図、図3は、垂直縦断面図を、それぞれ示す。尚、これらの図に示した同軸コネクタ1は、公知のものではなく、シミュレーションを行うにあたって発明者自らが考え出したものである。
使用したシミュレーションソフトは、一般に且つ容易に入手可能なANSYS社HFSSver.15である。
図1乃至図3に示す同軸コネクタを2つ用いた。これら2つの同軸コネクタ1、1’を、図4に示すように、外部導体10、10’の実装部12、12’同士を互いに向かい合わせた状態で配置するものとした。尚、上に説明したように、中心導体20は、本体部11から基板実装部12に向う方向(図3の矢印「ア」方向)において、環状金具40以上に突出した状態で、且つ、環状金具40は、本体部11から基板実装部12に向う方向(ア)において、基板実装部12以上に突出した状態で設けられているため、互いをネジ止め(図示されていない)等で機械的に固定すると対向する部分は互いに電気的に接続される。更に言えば、一方の同軸コネクタ1の環状金具40の実装面43は、他方の同軸コネクタ1’の環状金具40’の実装面43’と、また、一方の同軸コネクタ1の中心導体20の実装面23は、他方の同軸コネクタ1’の中心導体20’の実装面23’と、それぞれ接続されている。尚、一方の同軸コネクタ1の外部導体10と環状金具40は電気的に接続されているため、更に、他方の同軸コネクタ1’の外部導体10’と環状金具40’は電気的に接続されているため、外部導体10と外部導体10’は、環状金具40と環状金具40’と同様に、電気的に接続されたものとなっている。
図5乃至図7に、比較的良好な結果が得られた形状に関してのみ、詳細なシミュレーション結果を示す。
図5は、一方の同軸コネクタ1に最大50GHzの電気信号を入力した際に他方の同軸コネクタ1’で得られた出力信号に現れる損失を、全実施例及び比較例に関して一枚のシートに示したものであって、挿入損失に関するシミュレーション結果を示す図である。横軸は50GHzを最大とする周波数(GHz)を、縦軸は挿入損失(dB)を、それぞれ示す。明らかなように、挿入損失(dB)は0に近ければ近いほど損失が少ないことから、0に近いほど理想的な値であると言える。
図8の(a)に示す環状金具40aを用いてシミュレーションを行った。図8の(b)は、この環状金具40aを用いた場合の、図3に相当する部分断面図である。図1乃至図3に示すものと異なり、環状金具40aでは、貫通穴45の内周面48に対向面44から対向面44の反対側の実装面43に向って環状段部51が設けられている。この結果、対向面44付近における環状金具40aの空気層33の径49’は、対向面44から離れた位置における環状金具40aの空気層33の径49に比べて大きくなっている。
図5乃至図7に示すように、この場合、挿入損失、電圧定圧波比、及びインピーダンスの全てに関して、環状段部を設けていない図1乃至図3に示す構成よりも、かなり良好な結果が得られた。
図9の(a)に示す環状金具40bを用いてシミュレーションを行った。図9の(b)は、この環状金具40bを用いた場合の、図3に相当する部分断面図である。図1乃至図3に示すものと異なり、環状金具40bでは、貫通穴45の内周面48に対向面44から対向面44の反対側の実装面43に向って複数の(ここでは二段の)環状段部51’、51”が設けられている。図8に示した実施例1との相違は、環状段部を複数、ここでは2個設けたことである。尚、これらの環状段部51’、51”のうち、対向面44に近い側の環状段部51’における空気層33の径49’は、対向面44から遠い側の環状段部51”における空気層33の径49”に比べて大きく設定されている。
図5乃至図7に示すように、この場合、環状段部を一段のみとした実施例1の構成と同様に、挿入損失、電圧定圧波比、及びインピーダンスの全てに関して、環状段部を設けていない図1乃至図3に示す構成よりも、かなり良好な結果が得られた。また、実施例1に比較して、若干、良好な値が得られた。
図10の(a)に示す環状金具40cを用いてシミュレーションを行った。図10の(b)は、この環状金具40cを用いた場合の、図3に相当する部分断面図である。図1乃至図3に示すものと異なり、環状金具40cでは、貫通穴45の内周面48に、対向面44から対向面44の反対側の実装面43に向ってテーパー部52が設けられている。尚、テーパー部52における内径は、対向面44から遠い側から対向面44に近い側に向って大きく設定されている。この結果、対向面44付近における環状金具40cの空気層33の径49’は、対向面44から離れた位置における環状金具40cの空気層33の径49に比べて大きくなっている。
図5乃至図7に示すように、この場合、実施例1、2と同様に、挿入損失、電圧定圧波比、及びインピーダンスの全てに関して、環状段部を設けていない図1乃至図3に示す構成よりも、良好な結果が得られた。また、実施例1に比較して、若干、良好な結果が得られたが、その値は、実施例2と拮抗するものであった。
図11の(a)に示す環状金具40dを用いてシミュレーションを行った。図11の(b)は、この環状金具40dを用いた場合の、図3に相当する部分断面図である。図1乃至図3に示すものと異なり、環状金具40dでは、対向面44において環状金具40dの貫通穴45の中心から環状金具40dの外部に向って複数の溝(スリット)部60を設けている。更に言えば、溝部60は、環状金具40dの貫通穴45の中心から放射状に且つ等間隔に複数設けられており、これにより、環状金具40dの対向面44に複数の略扇部61が形成されている。この結果、対向面44付近における環状金具40dの空気層33の所定部分における径49’は、対向面44から離れた位置における環状金具40dの空気層33の径49に比べて大きくなっている。
図5乃至図7に示すように、この場合、実施例1、2と同様に、挿入損失、電圧定圧波比、及びインピーダンスの全てに関して、環状段部を設けていない図1乃至図3に示す構成よりも、良好な結果が得られた。但し、実施例1乃至3と比較すると、若干、劣るものであった。
比較例として、図1乃至図3に示した環状金具40を用いてシミュレーションを行った。この環状金具40には、実施例のように、環状金具の内径について特別な加工は施していない。よって、対向面44付近における環状金具40の空気層33の径49と、対向面44から離れた位置において環状金具40の空気層33の径49は等しい。
図5乃至図7に示すように、この場合、挿入損失、電圧定圧波比、及びインピーダンスの全てに関して、実施例1乃至4よりも悪い結果しか得られなかった。
図5乃至図7より明らかなように、環状金具に所定の加工を施した実施例1乃至4では、比較例に比べて、挿入損失、電圧定在波比、及びインピーダンスの全ての点において良好な結果が得られた。よって、対向面44付近における環状金具(40a〜d)の空気層33の径(49)が、対向面44から離れた位置における環状金具(40a〜d)の空気層33の径(49)に比べて大きく設定されている場合には、一般に、良好な値が得られる傾向があることが明らかとなった。
高周波特性は中心導体の外径と外部導体の内径とその間にある絶縁材の誘電率で決まることから、外部導体の内径が変化する箇所は誘電率の変化点になると考えられ、このような変化点に誘電率の安定した空気層を形成し得る段差等を設けたことで、変化量が緩やかになり、インピーダンスの不整合が抑えられたものと推察される。
尚、特に詳細は示さないが、実施例1乃至4の形態を適当に組み合わせても、同様に良好な結果が得られた。よって、本願発明は、これらの変形例をも当然に包含するものである。
10 外部導体
11 本体部
12 基板実装部
13 実装面
15 連通穴
18 係止部
19 係止部
20 中心導体
24 外面
29 外径
30 絶縁部材
33 空気層
35 保持孔
40 環状金具
43 実装面
44 対向面
45 貫通穴
48 内周面
Claims (9)
- 同軸コネクタであって、
基板実装部と、該基板実装部から軸方向に垂設した筒状の本体部と、を有する外部導体であって、前記基板実装部と前記本体部を連通する連通穴を有する、前記外部導体と、
前記外部導体の連通穴に収容される絶縁部材と、
前記絶縁部材によって支持され、前記外部導体の連通穴の内部に前記軸方向に沿って配置される中心導体と、
前記軸方向と直交する径方向に延びる面内に前記絶縁部材の少なくとも一部と対向する対向面を有し前記絶縁部材に対して前記基板実装部の側において前記外部導体の連通穴に収容される、貫通穴を有する環状金具と、
を備え、
前記絶縁部材に支持された前記中心導体は、前記環状金具の貫通穴を前記軸方向に沿って貫通しており、前記中心導体の外面と前記貫通穴の内周面との間に前記径方向に拡がる空気層が形成されており、
前記対向面付近における前記環状金具の前記空気層の径が、前記対向面から離れた位置における前記環状金具の前記空気層の径に比べて大きく設定されていることを特徴とする同軸コネクタ。 - 前記環状金具の貫通穴の内周面に前記対向面から前記対向面の反対側の面に向って環状段部を設けることにより、前記対向面付近における前記環状金具の前記空気層の径が、前記対向面から離れた位置における前記環状金具の前記空気層の径に比べて大きく設定されている請求項1に記載の同軸コネクタ。
- 前記環状金具の貫通穴の内周面に前記対向面から前記対向面の反対側の面に向って複数の前記環状段部を設けることにより、前記対向面付近における前記環状金具の前記空気層の径が、前記対向面から離れた位置における前記環状金具の前記空気層の径に比べて大きく設定されており、複数の前記環状段部のうち、前記対向面に近い側の環状段部における前記空気層の径は、前記対向面から遠い側の環状段部における前記空気層の径に比べて大きく設定されている請求項2に記載の同軸コネクタ。
- 前記環状金具の貫通穴の内周面に前記対向面から前記対向面の反対側の面に向ってテーパー部を設けることにより、前記対向面付近における前記環状金具の前記空気層の径が、前記対向面から離れた位置における前記環状金具の前記空気層の径に比べて大きく設定されており、前記テーパー部における前記空気層の径は、前記対向面から遠い側から前記対向面に近い側に向って大きく設定されている請求項1に記載の同軸コネクタ。
- 前記対向面において前記環状金具の貫通穴の中心から前記環状金具の外部に向って複数の溝部を設けることにより、少なくとも前記複数の溝部において、前記対向面付近における前記環状金具の前記空気層の径が、前記対向面から離れた位置における前記環状金具の前記空気層の径に比べて大きく設定されている請求項1に記載の同軸コネクタ。
- 前記溝部は、前記環状金具の貫通穴の中心から放射状に複数設けられ、前記環状金具の対向面に複数の略扇部が形成されている請求項5に記載の同軸コネクタ。
- 前記中心導体は、前記本体部から前記基板実装部に向う方向において、前記環状金具以上に突出した状態で設けられており、
前記環状金具は、前記本体部から前記基板実装部に向う方向において、前記基板実装部以上に突出した状態で設けられている、
請求項1乃至6のいずれかに記載の同軸コネクタ。 - 前記環状金具はその素材よりも導電性の高いメッキが施されている請求項1乃至7のいずれかに記載の同軸コネクタ。
- 前記外部導体の連通穴には、
前記外部導体の連通穴に収容された前記絶縁部材を係止する係止部と、
前記外部導体の連通穴に収容された前記環状金具を係止する係止部と、が設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の同軸コネクタ。
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