JP2015148181A - 水ポンプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】送水流路内に空気溜まりが発生し難い水ポンプ装置を提供すること。
【解決手段】羽根車を回転させることで、吸水口から吸引した水を送水流路11を介して放水口10に送水する可搬消防ポンプ装置1であって、羽根車よりも下流の送水流路11を開閉し放水口10からの水の放水を制御する放水弁と、送水を開始する際に、送水流路11内に呼び水を吸引する呼水吸引機構とを備える可搬消防ポンプ装置1において、送水流路11の放水弁と羽根車との間に配置される部分である放水管と、送水流路11の羽根車よりも上流の部分である吸水管とを連通する連通管30を備えることとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、水ポンプ装置に関する。
水ポンプ装置には、たとえば、特許文献1に開示されるように、羽根車が収納されるケーシング内に真空ポンプを用いて呼び水を吸引する構成を有するものが知られている。呼び水を吸引する構成は、送水用の羽根車が収納されるケーシングと真空ポンプとを吸引路により連通し、真空ポンプを駆動させることで吸引路を介してケーシング内を負圧とし、ケーシング内に呼び水を吸引する構成となっている。係る構成を有する水ポンプ装置においては、送水流路の吸水口から羽根車が収納されるケーシング内までの間が呼び水で満たされることで、羽根車による送水が可能となる。したがって、ケーシング内が水で満たされた状態で真空ポンプによる吸引を継続しても、本来、放水側に送られる水の一部が真空ポンプ側に流れてしまうため、余計な吸引となり好ましくない。この余計な吸引を防止するため、吸引路には吸引路を閉鎖する吸引路弁が設けられている。この吸引路弁は、ケーシング内を満たした呼び水が吸引路に流れると、その水圧で吸引路を閉鎖する構成となっている。したがって、ケーシング内が水で満たされ、吸引路弁が吸引路を閉鎖した後は、この吸引路弁により吸引路側に水が流れないようにされる。また、水ポンプ装置には、ケーシングよりも下流側の送水流路を開閉することで、放水口からの水の放水を制御する放水弁が備えられている。このように放水弁を備えることで、水ポンプ装置は、羽根車を駆動させ送水を継続しながら放水を行わない放水待機状態を保持することができる。
実開平5−996号公報
しかしながら、放水待機状態においては、羽根車により送水される水が放水弁の上流側に溜まると共に、真空ポンプにより抜き取ることができなかった空気も溜まる。そのため、放水弁を開いたときに、この空気の分だけ、放水口から放水されるまでの時間が遅れる。
そこで、本発明は、送水流路内に空気溜まりが発生し難い水ポンプ装置を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明は、羽根車を回転させることで、吸水口から吸引した水を送水流路を介して放水口に送水する水ポンプ装置であって、羽根車よりも下流の送水流路を開閉し放水口からの水の放水を制御する放水弁と、送水を開始する際に、送水流路内に呼び水を吸引する呼水吸引機構とを備える水ポンプ装置において、送水流路の放水弁と羽根車との間に配置される部分である放水側流路と、送水流路の羽根車よりも上流の部分である吸水側流路とを連通する連通流路を備えることとする。
また、本発明の水ポンプ装置は、連通流路には、流路を開閉する弁である連通流路弁が備えられることとする。
また、本発明の水ポンプ装置は、放水弁の開閉動作と連通流路弁の開閉動作とは連動し、放水弁が閉状態のときは連通流路弁が開状態であり、放水弁が開状態のときは連通弁が閉状態であることとする。
また、本発明の水ポンプ装置において、呼水吸引機構は、真空ポンプと、この真空ポンプと送水流路とを連通する吸引路と、この吸引路を開閉する弁である吸引路弁とを有し、吸引路弁の開閉動作と連通流路弁の開閉動作とが連動し、吸引路弁が開状態のとき連通路弁も開状態であり、吸引路弁が閉状態のとき連通路弁も閉状態であることとする。
また、本発明の水ポンプ装置において 真空ポンプの稼動と連通流路弁の開閉動作とが連動し、真空ポンプが稼動状態のとき連通路弁は開状態であり、真空ポンプの稼動が停止状態のとき連通路弁は閉状態であることとする。
また、本発明の水ポンプ装置において、連通流路の吸水側流路との接続位置は、羽根車の回転軸よりも下方に配置されることとする。
また、本発明の水ポンプ装置において、連通流路から吸水側流路への流出方向は、連通流路と吸水側流路との連通部を流れる吸水側流路内の水の流れの方向に対して鋭角であることとする。
以上のように、本発明の水ポンプ装置によれば、送水流路内に空気溜まりが発生し難い水ポンプ装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る可搬消防ポンプ装置の外観の構成を示す図面である。 可搬消防ポンプ装置の吸放水機構の概略の構成を示す断面図であり、呼び水を吸引するときの状態を示している。 可搬消防ポンプ装置の吸放水機構の概略の構成を示す断面図であり、放水を行うときの状態を示している。 流出方向と水流方向の好ましい関係を示す図である。 流出方向と水流方向の好ましい関係を示す図である。 流出方向と水流方向の好ましくない関係を示す図である。 本発明の変形例1に係る可搬消防ポンプ装置の吸放水機構の概略の構成を示す断面図であり、呼び水を吸引するときの状態を示している。 本発明の変形例1に係る可搬消防ポンプ装置の吸放水機構の概略の構成を示す断面図であり、放水を行うときの状態を示している。 本発明の変形例2に係る可搬消防ポンプ装置の吸放水機構の概略の構成を示す断面図であり、呼び水を吸引するときの状態を示している。 本発明の変形例2に係る可搬消防ポンプ装置の吸放水機構の概略の構成を示す断面図であり、放水を行うときの状態を示している。 本発明の変形例3に係る可搬消防ポンプ装置の吸放水機構の概略の構成を示す断面図であり、呼び水を吸引するときの状態を示している。 本発明の変形例3に係る可搬消防ポンプ装置の吸放水機構の概略の構成を示す断面図であり、放水を行うときの状態を示している。
以下、本発明の水ポンプ装置の実施の形態の一例として可搬消防ポンプ装置1の構成について、図面を参照しながら説明する。
(可搬消防ポンプ装置1の全体的構成)
図1は、可搬消防ポンプ装置1の外観の構成を示す図面である。図2および図3は、可搬消防ポンプ装置1の吸放水機構2の概略の構成を示す断面図である。図2は、可搬消防ポンプ装置1が呼び水を吸引するときの吸放水機構2の状態を示し、図3は、可搬消防ポンプ装置1が放水を行うときの吸放水機構2の状態を示している。
可搬消防ポンプ装置1は、ポンプ本体部3および真空ポンプ4を有する吸放水機構2と(図2,3参照)、エンジン5とを有する。エンジン5は、可搬消防ポンプ装置1の外装カバー6内に配置されている。可搬消防ポンプ装置1の正面の上部には操作パネル7が備えられている。
可搬消防ポンプ装置1の吸水口8には、吸水ホースH1(図2,3参照)の一端が接続される。吸水ホースH1の他端側は、たとえば、貯水槽等の貯水部に配置される。図1には、吸水口8から吸水ホースH1が取り外され、吸水口8にキャップ9が取り付けられた状態の可搬消防ポンプ装置1が示されている。可搬消防ポンプ装置1の稼動に際しては、キャップ9を吸水口8から外し、吸水口8に吸水ホースH1の一端側を接続する。
可搬消防ポンプ装置1の放水口10には、放水ホースH2(図2,3参照)の一端が接続される。放水口10から放出された水は、放水ホースH2の他端側から放水される。図1には、放水口10から放水ホースH2が取り外された状態の可搬消防ポンプ装置1が示されている。
可搬消防ポンプ装置1は、エンジン5の稼動によりポンプ本体部3が駆動される。そして、ポンプ本体部3の送水力により、吸水口8から吸引された水が送水流路11を介して放水口10に送水され、放水口10から放水ホースH2側に放水される。
可搬消防ポンプ装置1の稼動前、すなわちエンジン5の稼動前には、吸水口8と放水口10とを連通する送水流路11内には水が無い。そのため、可搬消防ポンプ装置1の稼動に際しては、送水流路11に呼び水を吸引する必要がある。真空ポンプ4と送水流路11とは吸引路12(図2,3参照)により連通している。したがって、真空ポンプ4により送水流路11内を負圧にすることができる。真空ポンプ4により送水流路11内を負圧とすることで、送水流路11内に呼び水を吸引することができる。
真空ポンプ4もエンジン5により駆動される。図2,3に示すように、クラッチレバー13が操作されることにより、クラッチ機構14がエンジン5(図2,3において図示省略)の駆動力を真空ポンプ4に伝達できる状態と、伝達できない状態とに切り替えられる。図2は、エンジン5の駆動力がクラッチ機構14を介して真空ポンプ4に伝達される状態を示している。図3は、クラッチ機構14がエンジン5の駆動力を真空ポンプ4に伝達させない状態を示している。
呼び水を吸引する際には、クラッチ機構14は、エンジン5の駆動力を真空ポンプ4に伝達できる状態とされる。エンジン5の駆動力により真空ポンプ4が駆動されることにより、送水流路11内に負圧が発生させられる。送水流路11内が負圧とされることで、吸水口8から送水流路11内に呼び水が吸引され、可搬消防ポンプ装置1は放水可能な状態となる。
(吸放水機構2の構成)
図2,3を参照しながら吸放水機構2の構成について説明する。吸放水機構2は、ポンプ本体部3と、送水流路11と、呼水吸引機構15とを有する。呼水吸引機構15は、真空ポンプ4と吸引路12とを有する。吸引路12は、吸引管12Aにより構成される。
(ポンプ本体部3)
ポンプ本体部3は、ケーシング19によって形成されるにボリュート室20内に配置される羽根車21を回転させることで送水を行う、いわゆる渦巻ポンプとして構成されている。羽根車21が取り付けられる軸部22は、エンジン5の出力軸(図示省略)に接続され、エンジン5が駆動されることで、羽根車21が回転する。羽根車21は主羽根車21Aとインデューサ21Bを有する。なお、本実施の形態では、ポンプとして渦巻ポンプを一例として用いているが、この形式のポンプに限らず渦流ポンプやその他のいわゆる遠心ポンプの類のポンプを用いることができる。
ケーシング19には、吸水側流路を形成する吸水管23と放水側流路を形成する放水管24とが接続されている。吸水管23はケーシング19の一部としてケーシング19と一体的に構成されている。吸水管23の一端の開口は吸水口8となっている。吸水管23の他端側の中心には、羽根車21が配置されている。放水管24の一端の開口は放水口10であり、他端はケーシング19の外周に開口する放出口19Aに接続されている。つまり、吸水管23、ケーシング19および放水管24は、吸水口8から放水口10への水の流路となる送水流路11を形成している。
(呼水吸引機構15)
呼水吸引機構15は、真空ポンプ4と吸引路12とを有し、吸引路12には、吸引路弁16と、逆止弁17と、排水弁18とが備えられ、真空ポンプ4の吸引力により、送水流路11に呼び水を吸引することができる。
(真空ポンプ4)
真空ポンプ4とポンプ本体部3のボリュート室20とは、吸引路12を介して連通している。したがって、真空ポンプ4を駆動させると、吸引路12を介してボリュート室20を含めて送水流路11内に負圧を発生させることができる。真空ポンプ4は、クラッチ機構14を介して伝達されるエンジン5の駆動力により駆動される。クラッチレバー13を操作することで、エンジン5からクラッチ機構14への駆動力の伝達と非伝達とを切り替えることができる。真空ポンプ4は、たとえば、ローターが偏心して回転する偏心ロータリー式の真空ポンプを用いることができる。
羽根車21には、軸部22側寄りの部分に吸引孔25が形成されている。つまり、吸引孔25は、ボリュート室20の中心寄りに配置されている。また、吸引孔25は、たとえば、軸部22の周りに120度間隔で3か所形成されている。ボリュート室20の羽根車21よりも前方側(吸水口8側)の空間と、羽根車21よりも背面側(エンジン5側)の空間とは、吸引孔25を介して連通している。吸引路12は、ボリュート室20の羽根車21よりも背面側(エンジン5側)の空間に連通している。したがって、ボリュート室20の羽根車21よりも前方側の空間の空気は、吸引孔25を介して真空ポンプ4側に吸引される。
放水管24には、逆止弁26と放水弁27とが備えられている。逆止弁26は、軸部26Aの周りに回動自在に取り付けられている。逆止弁26は、送水流路11内を流れる水の上流から下流に向かう流れ、すなわち、吸水口8側から放水口10側に向かう流れにより開かれる。逆止弁26は、送水流路11に上流から下流に向かう流れがないときは、図2に示すように、軸部26A側と反対側の端部が、軸部26Aを中心に自重で下方に回動し放水管24を閉じる。一方、送水流路11に上流から下流に向かう流れがあるときは、逆止弁26は、図2に示す状態から軸部26Aの周りに時計回りに回動され、図3に示すように放水管24を開く。
真空ポンプ4を駆動し、送水流路11内の空気を吸引路12を介して吸引すると、送水流路11内が負圧となり、図2に示すように、逆止弁26は放水管24を閉じる。一方、吸水口8側については開放されている。放水口10側が逆止弁26により閉じられることで、吸水口8側の負圧を大きくすることができ、吸水ホースH1を介して吸水口8から送水流路11内に呼び水を吸引することができる。
真空ポンプ4の駆動時には、羽根車21も回転されている。したがって、ボリュート室20内に呼び水が吸引されることで、吸水口8から放水口10側に送水を行うことができる。放水口10側に送水が行われると、逆止弁26は送水される水により開かれ、放水口10から放水ホースH2側に水が放水される。
放水弁27は、レバー27Aを操作することで、弁体27Bが軸部27Cの周りに回動させられ、放水管24を開閉することができる。図2は、放水弁27が放水管24を閉じている状態を示し、図3は、放水弁27が放水管24を開いている状態を示す。放水弁27が閉じている状態(図2参照)では、羽根車21が回転し水を吸水口8側から放水口10側に送水しても放水弁27で止水される。つまり、放水口10から放水されない。したがって、放水弁27を閉じた状態で、ポンプ本体部3および真空ポンプ4を駆動することにより、呼び水が吸引され送水流路11内を水で充填させた状態で可搬消防ポンプ装置1を待機させることができる。
吸引路12には、吸引路弁16と、逆止弁17と、排水弁18とが備えられている。吸引路弁16は、ダイヤフラム16Aと開閉弁16Bとを有する。送水流路11内に吸引される呼び水の水量が、ポンプ本体部3による送水可能な水量となると、吸引路12内にも水が吸引され、吸引路12に吸引された水の圧力で、ダイヤフラム16Aの平衡が崩れ、開閉弁16Bが閉じられる。
開閉弁16Bが閉じられることで、送水流路11内に十分な量の呼び水が吸引された状態となった後、真空ポンプ4側に余計な吸引がされることを防止できる。つまり、吸引路弁16は、吸引路12の止水弁として機能する。図2には、開閉弁16Bが開いた状態が示され、図3には、開閉弁16Bが閉じた状態が示されている。
逆止弁17は、吸引路12の吸引路弁16よりも真空ポンプ4側に配置される。この逆止弁17により、吸引路12に吸引された水および空気がボリュート室20側に逆流(落水)することを防止され、ボリュート室20内への呼び水の吸引がスムーズに行われる。
排水弁18は、真空ポンプ4が駆動している間は、上方に吸い上げられ排水路28が閉じられている。真空ポンプ4の駆動が停止されると吸引路12の負圧がなくなり、排水弁18が自重で落下し排水路28が開かれ、吸引路12内の水が排出される。
(連通流路29)
ところで、可搬消防ポンプ装置1は、上述したように、放水弁27を閉じた状態で、ポンプ本体部3および真空ポンプ4を駆動させると、最初に呼び水が吸引される。そして、この呼び水の吸引に続いて、ポンプ本体部3の送水力によりさらに吸水口8から水が吸引される。可搬消防ポンプ装置1は、ポンプ本体部3による送水が行われても、放水弁27が閉じられている場合は、送水流路11内が水で充填された状態の放水待機状態となる。真空ポンプ4により呼び水を吸引する際に、送水流路11内を完全に真空にすることは難しい。そのため、放水待機状態にある可搬消防ポンプ装置1の送水流路11の上方に空気溜まりが生じることがある。この空気溜まりが生じた状態で、放水弁27を開いた場合、空気溜まりの分だけ、放水口10から水が吐出されるまでの時間に遅れを生じる。しかしながら、可搬消防ポンプ装置1は、送水流路11に連通流路29が設けられることで該空気溜まりの縮小を図ることができる構成となっている。
以下に、連通流路29の機能について説明する。連通流路29は、連通管30により形成される。連通管30は、吸水管23と放水管24とを連通する。連通管30は、吸水管23と連通口23Aで連通する。また、連通管30は、放水管24に連通口24Aで連通する。連通口24Aは、送水流路11内の空気が溜まる部分に対応した位置に配置することが好ましい。水より軽い空気は送水流路11の上方に溜まり易いので、連通口24Aは、送水流路11の上方に配置することが好ましい。
連通口23Aは、主羽根車21Aよりも上流側に配置されている。連通口23Aが形成される吸水管23内は、羽根車21の回転による吸引力により、羽根車21の下流側に配置される放水管24内に比べて負圧となる。つまり、連通管30の連通口23A側は、連通口24A側に比べて負圧になる。したがって、送水流路11の上方に溜まった空気は、連通管30を介して吸水管23に吸引される。そして、吸水管23内に吸引された空気は、吸引孔25を通って吸引路12内に吸引される。
このように、送水流路11の上方に溜まった空気が、吸引路12内に吸引されることで、ボリュート室20内の呼び水の水量が羽根車21による送水可能な水量になった状態になっても、ダイヤフラム16Aとボリュート室20との間の吸引路12内に空気を存在させることができる。これにより、ダイヤフラム16Aの平衡が保持される時間を長くすることができ、開閉弁16Bが閉じるタイミングを遅らせることができる。開閉弁16Bの閉じるタイミングを遅らせることで、送水流路11内の空気溜まりの縮小を図ることができる。
上述のように、可搬消防ポンプ装置1は、羽根車21を回転させることで、吸水口8から吸引した水を送水流路11を介して放水口10に送水することができる水ポンプ装置である。そして、可搬消防ポンプ装置1は、羽根車21よりも下流の送水流路11を開閉し放水口10からの水の放水を制御する放水弁27と、羽根車21の回転により送水を開始する際に、真空ポンプ4により送水流路11内に呼び水を吸引する呼水吸引機構15とを備える。可搬消防ポンプ装置1は、放水管24の放水弁27と羽根車21との間の放水側流路と、吸水管23の羽根車21よりも上流の部分である吸水側流路とを連通する連通管30を備える。
可搬消防ポンプ装置1は、放水管24と吸水管23とを連通管30により連通されているため、送水流路11の上方に溜まった空気を吸水管23からポンプ本体部3に戻すことができる。該空気をポンプ本体部3に戻し、吸引路12内に吸引させることでダイヤフラム16Aの平衡状態を保持させ、開閉弁16Bが閉じるタイミングを遅らせることで、該空気を真空ポンプ4から排出できる。これにより、送水流路11内の空気溜まりの縮小を図ることができる。
連通管30と吸水管23との接続位置となる連通口23Aは、羽根車21の回転軸である軸部22よりも下方に配置することが好ましい。
連通口23Aから吸水管23内を流れる水の中に放出された空気は、水中を上方側に移動する。一方、吸引孔25は、ボリュート室20の中心寄りに配置されている。したがって、連通口23Aを軸部22よりも上方に配置する場合に比べて、軸部22よりも下側に配置した場合の方が、連通口23Aから吸水管23に放出された空気が吸引孔25に向かって移動し易い。
仮に、連通口23Aを軸部22よりも上方に配置した場合には、連通口23Aから吸水管23に放出された空気は、吸引孔25に吸引される前に、ボリュート室20の上部に移動し、そのまま放水管24側に移動してしまい易くなる。これに対し、連通口23Aを軸部22よりも下方に配置した場合には、連通口23Aから吸水管23に放出された空気は、上方に移動する間に吸引孔25に吸引され易い。したがって、連通口23Aを軸部22よりも下方に配置することで、送水流路11内の空気溜まりの縮小を効率的に図ることができる。
連通管30から吸水管23内への空気の流出方向(以下、単に「流出方向」と記載する)は、連通管30と吸水管23との連通部である連通口23Aの部分を流れる吸水管23内の水の流れの方向(以下、単に「水流方向」と記載する)に対して鋭角であることが好ましい。
流出方向を、水流方向に沿う方向に対して鋭角にすることで、連通管30内の空気が吸水管23内を流れる水に引き込まれ易くなる。流出方向は、水流方向に沿わされることが最も好ましく、水流方向に対して±45度の範囲とすることで、連通管30内の空気が吸水管23内を流れる水に引き込まれ易くなる効果を好適に生じさせることができる。さらに水流に対して±15度の範囲とすることで、極めて好適に連通管30内の空気が吸水管23内を流れる水に引き込まれ易くなる効果をより好適に生じさせることができる。上記のことについて、図4、図5を参照して説明する。図4は、連通口23Aの吸水管23への接続部の構成を吸水口8から羽根車21に向かって見たときの概略の構成を示す。図5は、連通口23Aの吸水管23への接続部の構成を上方から見たときの概略の構成を示す。
羽根車21の周囲の水流方向は、羽根車21の回転方向に沿う方向となり易い。したがって、図4に示すように、連通口23Aの吸水管23への形成位置が、羽根車21の周囲に配置される場合は、連通口23Aにおける水流方向(矢示S1)は羽根車21の回転方向に沿う方向の流れとなる。したがって、流出方向(矢示T)を水流方向(矢示S1)に沿わせることで、連通管30内の空気が吸水管23内を流れる水に引き込まれ易くなる。具体的には、図5Aに示すように、水流方向(矢示S1)対する流出方向(矢示T1)の角度θ1(図5A参照)を鋭角とすることで、連通管30内の空気が吸水管23内を流れる水に引き込まれ易くなる。なお、図5Bに示すように、流出方向(矢示T2)と水流方向(矢示S1)とを一致させることで、連通管30内の空気が、吸水管23内を流れる水に最も引き込まれ易くなる。連通管30が、前方から後方に向かう方向(吸水口8側から羽根車21側に向かう方向)に対して傾斜した状態で吸水管23に接続される構成の場合は、図5Aに示すように、流出方向(矢示T1)は、水流方向(矢示S1)に対して傾斜しやすい。また、連通管30が前方から後方に向かう方向(吸水口8側から羽根車21側に向かう方向)に対して直角に吸水管23に接続される構成の場合は、図5Bに示すように、流出方向(矢示T2)は、水流方向(矢示S1)に一致しやすい。
なお、図6に示すように、流出方向(矢示T3)が、連通口23Aにおける水流方向(矢示S1)に対して逆らう方向になるように、連通口23Aの吸水管23への接続部を構成した場合には、連通管30内の空気が、吸水管23内を流れる水に引き込まれ難くなり好ましくない。
連通管30には、連通流路29を開閉する連通流路弁31を備えることが好ましい。
放水弁27を開き、放水口10から水を放水している状態で、放水管24から連通流路29を介して吸水管23側に水が戻ってしまうと放水口10から放水される水の水量が減る。そのため、放水口10から放水を行っている状態では、放水管24から吸水管23側に水が戻らないことが好ましい。そこで、連通流路29に連通流路弁31を備え、放水時に連通流路弁31を閉じることで、放水管24から吸水管23側に水が戻ることを防止できる。
放水弁27が閉状態のとき連通流路弁31が開状態となり、放水弁27が開状態のとき連通流路弁31は閉状態となるように、放水弁27の開閉動作と連通流路弁31の開閉動作とを連動させることが好ましい。具体的には、たとえば、図2,3に示すように、連通流路弁31をレバー31Aを操作することで開閉されるボール弁にて構成する。そして、レバー31Aとレバー27Aとを杆体32で連結したリンク機構33を構成することで、レバー27Aの操作にレバー31Aをリンクさせることができる。
上述のように、放水弁27の開閉動作と連通流路弁31の開閉動作とを連動させることで、レバー27Aの開閉操作に併せてレバー31Aの開閉操作を行うことができる。つまり、放水弁27の開閉に併せて、連通流路弁31の開閉を自動的に行うことができる。したがって、放水弁27が閉じられているときには、自動的に放水管24と吸水管23とが連通し、送水流路11の上方に空気溜まりが生じているときは、この空気溜まりの縮小を自動的に行うことができる。また、放水弁27が開かれているときには、自動的に連通流路29が閉じられ、放水管24から吸水管23側に水が戻ることを自動的に防止できる。
ところで、送水流路11内の空気溜まりが完全に消去されていない状態であっても、溜まっている空気の量が少なくなり、吸引路12に吸引される空気の量がダイヤフラム16Aの平衡を維持できない程度に減少すると、吸引路弁16は吸引路12を閉じる。吸引路弁16により吸引路12が閉じられた状態で、連通流路29を介して放水管24から吸水管23に空気あるいは水を戻しても、送水流路11に溜まった空気の量は減らない。
しかしながら、放水待機状態で連通流路弁31を開状態とし、連通流路29を介して放水管24と吸水管23との間で水および空気を循環させることで、送水流路11内の気泡が砕かれる。そのため、送水流路11に空気が入っている場合であっても、放水弁27を開いたときに、水と空気が混合した状態で放水でき、放水弁27を開いた直後に空気だけ先に放出されることがないようにすることができる。
なお、放水弁27と連通流路弁31との連動は、図2,3に示す機械的なリンク機構33の他、少なくとも連通流路弁31を電磁弁等の電気信号で動作する構成の弁とし、放水弁27の開閉状態に応じた電気信号で連通流路弁31を動作させる構成としてもよい。
(変形例1)
図7,8に示す三方弁41を用い、図2,3に示した放水弁27と連通流路弁31の機能を1つの三方弁41で果たすようにしてもよい。図7,8において、上述した実施の形態と同様の部材については同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。三方弁41は、軸部41Aを挟んで配置される弁体41Bと弁体41Cとを有し、レバー41Dの操作により、弁体41B,41Cが軸部41Aの周りに回動され、送水流路11の開閉および連通流路29の開閉を行うことができる。
三方弁41は、弁体41Bにより送水流路11の開閉を行い、弁体41Cにより連通流路29の開閉を行う。図7は、弁体41Bが放水管24を閉じ、弁体41Cが連通流路29を開いている状態を示し、図8は、弁体41Bが放水管24を開き、弁体41Cが連通流路29を閉じている状態を示している。
送水流路11の開閉および連通流路29の開閉に三方弁を用いることで、図2,3に示すように、放水弁27と連通流路弁31とにそれぞれ個別に弁を設ける場合に比べて部品点数の削減を図ることができる。また、リンク機構を用いることなく簡便な構成で、送水流路11の開閉と連通流路29の開閉との連動を行うことができる。
なお、吸引路弁16が吸引路12を閉じた状態であっても、放水待機状態で、弁体41Cを開き連通流路29を介して放水管24と吸水管23との間で水および空気を循環させることで、送水流路11内の気泡は砕かれる。そのため、送水流路11に空気が入っている場合であっても、放水弁27を開いたときに、水と空気が混合した状態で放水でき、放水弁27を開いた直後に空気だけ先に放出されることがないようにすることができる。
(変形例2)
上述の実施の形態およびその変形例においては、放水弁27の開閉と連通流路弁31の開閉とを連動させる構成としたが、図9,10に示すように、吸引路弁16の開閉に、連通流路弁51の開閉を連動させてもよい。図9,10において、上述した実施の形態と同様の部材については同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
連通流路弁51は、隔壁52と、開閉弁53と、吸引路弁16の開閉弁16Bに接続される軸部54とを有する。隔壁52は、連通管30内を、連通流路29の上流(放水管24側)と下流(吸水管23側)とに分ける。隔壁52には、開口部55が形成され、この開口部55が開閉弁53により開閉される。
開閉弁53と吸引路弁16の開閉弁16Bとは、軸部54により連結され、開閉弁53は、開閉弁16Bと一体的に移動する。つまり、開閉弁16Bが吸引路12を閉じるときには、開閉弁53も開口部55を閉鎖し連通流路29が閉じられる。また、開閉弁16Bが吸引路12を開くときには、開閉弁53も開口部55を開き連通流路29が開かれる。
開閉弁16Bが吸引路12を閉じる動作を行う状態は、送水流路11の上方に生じた空気溜まりの縮小が行われ、放水管24側から吸水管23側に戻される空気が少なくなり、ダイヤフラム16Aの平衡を保持できない状態である。したがって、連通流路29を開いておく必要がない。そこで、開閉弁53を開閉弁16Bに連動させ開口部55を閉じることで、放水弁27を開いたときに、放水管24から吸水管23に水が流れないようにすることができる。
(変形例3)
可搬消防ポンプ装置1は、図11,12に示すように、連通流路弁31の開閉をクラッチレバー13の操作に連動させることで、真空ポンプ4の稼動と連通流路弁31の開閉動作とを連動させ、真空ポンプ4が稼動状態のとき連通流路弁31を開状態とし、真空ポンプ4の稼動が停止状態のとき連通流路弁31を閉状態とする構成としてもよい。クラッチレバー13の操作と連通流路弁31の開閉との連動は、連通流路弁31のレバー31Aとクラッチレバー13とを杆体61で連結したリンク機構62を構成することで、クラッチレバー13の操作にレバー31Aをリンクさせることができる。
なお、吸引路弁16が吸引路12を閉じた状態であっても、放水待機状態で、連通流路弁31を開き連通流路29を介して放水管24と吸水管23との間で水および空気を循環させることで、送水流路11内の気泡は砕かれる。そのため、送水流路11に空気が入っている場合であっても、放水弁27を開いたときに、水と空気が混合した状態で放水でき、放水弁27を開いた直後に空気だけ先に放出されることがないようにすることができる。
上述の実施の形態およびその各変形例においては、水ポンプ装置として可搬消防ポンプ装置1を示したが、本願発明は、可搬式に限らず固定式の水ポンプ装置にも適用でき、また、用途も消防用の水ポンプ装置に限らず、上下水道用、農業用水用、その他の各種の水ポンプ装置に適用することができる。
1 ・・・ 可搬消防ポンプ装置(水ポンプ装置)
4 ・・・ 真空ポンプ
8 ・・・ 吸水口
10 ・・・ 放水口
11 ・・・ 送水流路
12 ・・・ 吸引路
15 ・・・ 呼水吸引機構
16 ・・・ 吸引路弁
21 ・・・ 羽根車
23 ・・・ 吸水管(吸水側流路)
24 ・・・ 放水管(放水側流路)
27 ・・・ 放水弁
29 ・・・ 連通流路
31 ・・・ 連通流路弁

Claims (7)

  1. 羽根車を回転させることで、吸水口から吸引した水を送水流路を介して放水口に送水する水ポンプ装置であって、前記羽根車よりも下流の前記送水流路を開閉し前記放水口からの水の放水を制御する放水弁と、前記送水を開始する際に、前記送水流路内に呼び水を吸引する呼水吸引機構とを備える水ポンプ装置において、
    前記送水流路の前記放水弁と前記羽根車との間に配置される部分である放水側流路と、前記送水流路の前記羽根車よりも上流の部分である吸水側流路とを連通する連通流路を備える、
    ことを特徴とする水ポンプ装置。
  2. 請求項1に記載の水ポンプ装置において、
    前記連通流路には、流路を開閉する弁である連通流路弁が備えられる、
    ことを特徴とする水ポンプ装置。
  3. 請求項2に記載の水ポンプ装置において、
    前記放水弁の開閉動作と前記連通流路弁の開閉動作とは連動し、前記放水弁が閉状態のときは前記連通流路弁が開状態であり、前記放水弁が開状態のときは前記連通弁が閉状態である、
    ことを特徴とする水ポンプ装置。
  4. 請求項2に記載の水ポンプ装置において、
    前記呼水吸引機構は、真空ポンプと、この真空ポンプと前記送水流路とを連通する吸引路と、この吸引路を開閉する弁である吸引路弁とを有し、
    前記吸引路弁の開閉動作と前記連通流路弁の開閉動作とが連動し、前記吸引路弁が開状態のとき前記連通路弁も開状態であり、前記吸引路弁が閉状態のとき前記連通路弁も閉状態である、
    ことを特徴とする水ポンプ装置。
  5. 請求項2に記載の水ポンプ装置において、
    前記真空ポンプの稼動と前記連通流路弁の開閉動作とが連動し、前記真空ポンプが稼動状態のとき前記連通路弁は開状態であり、前記真空ポンプの稼動が停止状態のとき前記連通路弁は閉状態である、
    ことを特徴とする水ポンプ装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の水ポンプ装置において、
    前記連通流路の前記吸水側流路との接続位置は、前記羽根車の回転軸よりも下方に配置される、
    ことを特徴とする水ポンプ装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の水ポンプ装置において、
    前記連通流路から前記吸水側流路への流出方向は、前記連通流路と前記吸水側流路との連通部を流れる前記吸水側流路内の水の流れの方向に対して鋭角である、
    ことを特徴とする水ポンプ装置。
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