JP2015147835A - ユリ花弁成分抽出法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
香気成分を含むユリ花弁成分を、成分劣化を伴うことなく安全かつ簡便に抽出する方法を提供する。
【解決手段】
1,3-ブタンジオールなどの極性有機溶媒の水溶液にクエン酸、酒石酸などの脂肪酸を加え、さらにアスコルビン酸またはα-トコフェロールを添加した溶液を用いて、常温でユリ花弁からユリ花弁成分を抽出する。抽出は、ポリエチレン袋中などで容易に行うことができる。また、ユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行い、吸引経路に設けたコールドトラップ、あるいは活性炭カラム中に香気成分を回収する。
【選択図】なし
香気成分を含むユリ花弁成分を、成分劣化を伴うことなく安全かつ簡便に抽出する方法を提供する。
【解決手段】
1,3-ブタンジオールなどの極性有機溶媒の水溶液にクエン酸、酒石酸などの脂肪酸を加え、さらにアスコルビン酸またはα-トコフェロールを添加した溶液を用いて、常温でユリ花弁からユリ花弁成分を抽出する。抽出は、ポリエチレン袋中などで容易に行うことができる。また、ユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行い、吸引経路に設けたコールドトラップ、あるいは活性炭カラム中に香気成分を回収する。
【選択図】なし
Description
本発明は、香気成分を含むユリ花弁成分を、安全かつ簡便に抽出する方法に関する。
植物の香気成分を採る方法として、水蒸気蒸留法、油脂吸着法、溶剤抽出法、圧搾法、減圧蒸留法、超臨界二酸化炭素抽出法などが知られている。水蒸気蒸留法は加熱する必要があり、熱による変質が起こる香気成分の採取方法としては適切ではなく、また相応の設備が必要になる。油脂吸着法は油脂などに植物を浸漬して香気成分を吸着させたのち、エタノールで香気成分のみを油脂から抽出する。また、溶剤抽出法は芳香成分を有機溶媒で抽出してワックスを取り出した後、抽出溶媒をエタノールに溶かして溶媒を除去する方法である。しかし、このような方法は簡便な施設で行う場合には有機溶媒の人体への吸引や引火性など安全上の問題がある。圧搾法は圧搾して芳香成分を搾り取る方法であり、柑橘類には適しているが、薄い花弁には不向きである。超臨界二酸化炭素抽出法は装置が高価で小規模施設向きではない。
香気成分を採集する対象に応じて、これらの方法が、単独で、あるいは、組み合わせて用いられている。
例えば、特許文献1には、柑橘類の搾汁残渣に水を加え、セルラーゼやペクチナーゼなどの酵素処理を行い、減圧蒸留法により、コールドトラップ中にエッセンシャルオイルやフローラルウォーターを抽出する方法が記載されている。
また、特許文献2には、果物由来の香気成分含有抽出液の生産方法が記載されているが、この方法は破砕、攪拌、加熱、及び減圧を並行して行う工程を含み、生産方法が複雑である。
特許文献3には、色素及び香料を含有する植物に対して凍結処理を施し、凍結処理された植物をクエン酸ナトリウム、りんご酸、クエン酸等の脂肪酸やその塩を用いた有機酸水溶液、有機酸塩水溶液、有機溶剤、有機酸水溶液と有機溶剤の混合物、有機酸塩水溶液と有機溶剤との混合物、水のうちのいずれか1つの液体で浸透処理を行う抽出法が記載されている。この抽出法は薔薇、桜(ソメイヨシノ、八重桜等)、ラベンダー、ぶどう、メロン、リンゴ、イチジク、桃、ハーブ、紫陽花等の花、葉、茎、果実や、赤キャベツ、紫キャベツ、紫いも等の野菜の葉、茎等の部位が適用可能と記載されている。
さらに、特許文献4には、香料植物から香気成分を得るにあたり、抽出溶媒として0.01%〜10.0%のクエン酸、乳酸またはリン酸からなる酸類より選択された1種又は2種以上で作成された溶液を用い、酸性溶液の溶媒として、水又は水と混和する極性溶媒の水混液を用いることができ、極性溶媒としてエタノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブタンジオールなどを用いることができる方法、さらに、抽出液を減圧することにより低温下で水蒸気蒸留を行い香料成分を採取する方法が記載され、香気成分がバラ科、ユリ科、モクレン科、ミカン科又はアカネ科の植物であることが記載されている。特許文献4の方法は、酸性溶液中で行うという特長がある。これは、花弁量を増加させるとpHの上昇が見られ、花弁量を増加したにもかかわらず、得られる香気の強さは低下してしまうことから、それを改善するために、酸性溶液で行う旨の記載がある。
例えば、特許文献1には、柑橘類の搾汁残渣に水を加え、セルラーゼやペクチナーゼなどの酵素処理を行い、減圧蒸留法により、コールドトラップ中にエッセンシャルオイルやフローラルウォーターを抽出する方法が記載されている。
また、特許文献2には、果物由来の香気成分含有抽出液の生産方法が記載されているが、この方法は破砕、攪拌、加熱、及び減圧を並行して行う工程を含み、生産方法が複雑である。
特許文献3には、色素及び香料を含有する植物に対して凍結処理を施し、凍結処理された植物をクエン酸ナトリウム、りんご酸、クエン酸等の脂肪酸やその塩を用いた有機酸水溶液、有機酸塩水溶液、有機溶剤、有機酸水溶液と有機溶剤の混合物、有機酸塩水溶液と有機溶剤との混合物、水のうちのいずれか1つの液体で浸透処理を行う抽出法が記載されている。この抽出法は薔薇、桜(ソメイヨシノ、八重桜等)、ラベンダー、ぶどう、メロン、リンゴ、イチジク、桃、ハーブ、紫陽花等の花、葉、茎、果実や、赤キャベツ、紫キャベツ、紫いも等の野菜の葉、茎等の部位が適用可能と記載されている。
さらに、特許文献4には、香料植物から香気成分を得るにあたり、抽出溶媒として0.01%〜10.0%のクエン酸、乳酸またはリン酸からなる酸類より選択された1種又は2種以上で作成された溶液を用い、酸性溶液の溶媒として、水又は水と混和する極性溶媒の水混液を用いることができ、極性溶媒としてエタノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブタンジオールなどを用いることができる方法、さらに、抽出液を減圧することにより低温下で水蒸気蒸留を行い香料成分を採取する方法が記載され、香気成分がバラ科、ユリ科、モクレン科、ミカン科又はアカネ科の植物であることが記載されている。特許文献4の方法は、酸性溶液中で行うという特長がある。これは、花弁量を増加させるとpHの上昇が見られ、花弁量を増加したにもかかわらず、得られる香気の強さは低下してしまうことから、それを改善するために、酸性溶液で行う旨の記載がある。
本発明者らは、上述の各種方法を用いて、ユリ花弁に含まれる香気成分を収集することを試みたが、いずれの方法によっても、生花に近い良好な香気を有するユリ花弁成分を得ることができなかった。
本発明の課題は、香気成分を含むユリ花弁成分を、成分劣化を伴うことなく安全かつ簡便に抽出する方法を提供することである。
本発明の課題は、香気成分を含むユリ花弁成分を、成分劣化を伴うことなく安全かつ簡便に抽出する方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、1,3-ブタンジオールの水溶液にクエン酸、酒石酸などの脂肪酸を添加するとともに、さらにアスコルビン酸あるいはα-トコフェロールを添加した溶液を抽出溶液として用いることで、ユリ花弁に含まれる香気成分を、その品質を損なうことなく、容易に抽出できることを見出した。
上記抽出溶液を用いることで、例えば家庭用のポリエチレン袋中にて、常温でユリ花弁と抽出液を接触させるという簡便な手法により、ユリ花弁から良好な香気を有する成分を抽出することができる。特に、脂肪酸として酒石酸を用いた場合には、良好な香気成分を効率よく抽出できる。
本発明者らは、また、密封容器内でユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行うことで、吸引経路に設けたコールドトラップもしくは活性炭トラップ中に、香気成分を、劣化を伴うことなく、回収することができることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
上記抽出溶液を用いることで、例えば家庭用のポリエチレン袋中にて、常温でユリ花弁と抽出液を接触させるという簡便な手法により、ユリ花弁から良好な香気を有する成分を抽出することができる。特に、脂肪酸として酒石酸を用いた場合には、良好な香気成分を効率よく抽出できる。
本発明者らは、また、密封容器内でユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行うことで、吸引経路に設けたコールドトラップもしくは活性炭トラップ中に、香気成分を、劣化を伴うことなく、回収することができることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
具体的には、本出願は、以下の発明を提供する。
〈1〉極性有機溶媒の水溶液に脂肪酸を加え、さらに、アスコルビン酸あるいはα-トコフェロールを添加した溶液を抽出溶液として、ユリ花弁から、常温でユリ花弁成分を抽出することを特徴とする、ユリ花弁成分抽出法。
〈2〉極性有機溶媒が1,3-ブタンジオールであることを特徴とする、〈1〉に記載の抽出法。
〈3〉脂肪酸がクエン酸または酒石酸であることを特徴とする、〈1〉または〈2〉に記載の抽出法。
〈4〉ユリ花弁成分の抽出をポリエチレン袋中で行うことを特徴とする、〈1〉〜〈3〉に記載の抽出法。
〈5〉密閉容器内でユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行い、吸引経路に設けたコールドトラップ中に香気成分を回収することを特徴とする、ユリ花弁成分抽出法。
〈6〉密閉容器内でユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行い、吸引経路に設けた活性炭トラップ中に香気成分を回収することを特徴とする、ユリ花弁成分抽出法。
〈1〉極性有機溶媒の水溶液に脂肪酸を加え、さらに、アスコルビン酸あるいはα-トコフェロールを添加した溶液を抽出溶液として、ユリ花弁から、常温でユリ花弁成分を抽出することを特徴とする、ユリ花弁成分抽出法。
〈2〉極性有機溶媒が1,3-ブタンジオールであることを特徴とする、〈1〉に記載の抽出法。
〈3〉脂肪酸がクエン酸または酒石酸であることを特徴とする、〈1〉または〈2〉に記載の抽出法。
〈4〉ユリ花弁成分の抽出をポリエチレン袋中で行うことを特徴とする、〈1〉〜〈3〉に記載の抽出法。
〈5〉密閉容器内でユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行い、吸引経路に設けたコールドトラップ中に香気成分を回収することを特徴とする、ユリ花弁成分抽出法。
〈6〉密閉容器内でユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行い、吸引経路に設けた活性炭トラップ中に香気成分を回収することを特徴とする、ユリ花弁成分抽出法。
本発明によれば、香気成分を含むユリ花弁成分を、酸化等による成分劣化を伴うことなく、安全かつ簡便に抽出することができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得るものである。
本発明は、香気成分を含むユリ花弁成分を、酸化等による成分劣化を伴うことなく、安全かつ簡便に抽出する方法に関する。
本発明において用いられるユリは、特に限定されることなく、主としてユリ科植物のユリ属(学名:Lilium)の多年草であるヤマユリ、オニユリ、カサブランカ、ササユリ、テッポウユリなどが例示される。本発明に使用するユリ花弁は花弁のほかに萼、雄しべ、雌しべ、茎、葉のうちのいずれかが複数含まれていてもよいが、花弁の割合が高いほど好ましい。
抽出に用いる極性の有機溶媒としては、エタノール、1,3-ブタンジオール、グリセロールなどを1種または2種以上、用いることができる。有機溶媒は水に対して10〜70vol%、好ましくは40〜60vol%、さらに好ましくは50vol%の濃度で使用する。これらの極性有機溶媒のうち、1,3-ブタンジオールやグリセロールは、引火性が低く、安全性に優れている点で、特に好ましい。
また、抽出溶液に添加する脂肪酸としては、酒石酸、クエン酸、乳酸等が挙げられるが、これらのうち、酒石酸またはクエン酸が好ましく、特に酒石酸が好ましい。脂肪酸は、上記有機溶媒の水溶液100ml当たり0.1〜5g(0.1〜5%)、さらに好ましくは2g(2%)の濃度で使用する。
アスコルビン酸およびα-トコフェロールは、単独で、あるいは組み合わせて、抽出溶液に添加する。アスコルビン酸およびα-トコフェロールの添加量は上記有機溶媒の水溶液100ml当たり0.1〜2g(0.1%〜2%)、好ましくは1g(1%)の濃度である。
本発明の抽出溶液による抽出温度は20℃〜40℃程度の室温、好ましくは25℃である。
抽出溶液中にユリ花弁を浸漬するために用いる容器としては、ポリエチレン袋、ポリ容器、ガラス容器などが例示される。
ユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引する作業に用いる吸引装置は、水流ポンプのほか、真空ポンプを用いることもできるが、強力な吸引は生け花の水分の蒸発を招くことから、水流ポンプ程度の減圧吸引が望ましい。
本発明により得られる香気成分を含むユリ花弁成分は、溶液状、乳化状、ペースト状、ムース状、ジェル状、固形状にして、香水、化粧水、乳液、クリーム、パック、石鹸、シャンプー、ボディーソープの形態で使用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)クエン酸あるいは酒石酸、および、アスコルビン酸あるいはα-トコフェロールを添加した1,3-ブタンジオール水溶液を用いた、香気成分を含むユリ花弁成分の抽出
1,3-ブタンジオールの10vol%または50vol%水溶液(以下、1,3-ブタンジオール10%水溶液、等という。)、ならびに、当該水溶液100ml当たりに1gあるいは2gのクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、および/またはα-トコフェロールを加えた水溶液(以下、1%クエン酸溶液、2%クエン酸溶液、等という。)各50mlを、それぞれ270mm×280mmのポリエチレン袋に注入し、これに5個のユリ(カサブランカ)の花弁を浸漬し、密閉状態で24時間、室温で放置した。この溶液を濾紙により濾過し、香気成分を含むユリ花弁成分の溶液を40ml回収し、それぞれについて官能試験を行った。
以下の表1に示すとおり、10%と50%の1,3-ブタンジオール水溶液、ならびに、10%と50%の1,3-ブタンジオール水溶液に1%クエン酸を加えた溶液では、ヤマユリ抽出物の香が悪いが、1,3-ブタンジオール10%水溶液に1%のクエン酸と1%のアスコルビン酸を加えた溶液、1,3-ブタンジオール50%水溶液に1%のクエン酸と1%のアスコルビン酸またはα-トコフェロールを加えた溶液、および、1,3-ブタンジオール50%水溶液に1%の酒石酸と1%のアスコルビン酸またはα-トコフェロールを加えた溶液では、香が良好であり、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%のクエン酸と1%のアスコルビン酸を加えた溶液、および、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%の酒石酸と1%のアスコルビン酸またはα-トコフェロールを加えた溶液では、特に香りが良好であった。
1,3-ブタンジオールの10vol%または50vol%水溶液(以下、1,3-ブタンジオール10%水溶液、等という。)、ならびに、当該水溶液100ml当たりに1gあるいは2gのクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、および/またはα-トコフェロールを加えた水溶液(以下、1%クエン酸溶液、2%クエン酸溶液、等という。)各50mlを、それぞれ270mm×280mmのポリエチレン袋に注入し、これに5個のユリ(カサブランカ)の花弁を浸漬し、密閉状態で24時間、室温で放置した。この溶液を濾紙により濾過し、香気成分を含むユリ花弁成分の溶液を40ml回収し、それぞれについて官能試験を行った。
以下の表1に示すとおり、10%と50%の1,3-ブタンジオール水溶液、ならびに、10%と50%の1,3-ブタンジオール水溶液に1%クエン酸を加えた溶液では、ヤマユリ抽出物の香が悪いが、1,3-ブタンジオール10%水溶液に1%のクエン酸と1%のアスコルビン酸を加えた溶液、1,3-ブタンジオール50%水溶液に1%のクエン酸と1%のアスコルビン酸またはα-トコフェロールを加えた溶液、および、1,3-ブタンジオール50%水溶液に1%の酒石酸と1%のアスコルビン酸またはα-トコフェロールを加えた溶液では、香が良好であり、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%のクエン酸と1%のアスコルビン酸を加えた溶液、および、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%の酒石酸と1%のアスコルビン酸またはα-トコフェロールを加えた溶液では、特に香りが良好であった。
(実施例2)クエン酸あるいは酒石酸、および、アスコルビン酸あるいはα-トコフェロールを添加した1,3-ブタンジオール水溶液を用いた抽出により得られたユリ花弁成分のGC-MSによる分析
実施例1において特に香が良好な抽出物が得られた、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%のクエン酸と1%のアスコルビン酸を加えた水溶液、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%の酒石酸と1%のアスコルビン酸を加えた水溶液、および、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%の酒石酸と1%のα-トコフェロールを加えた水溶液、各200mlを、それぞれ270mm×280mmのポリエチレン袋に注入し、これに20個のヤマユリの花弁を浸漬し、密閉状態で2日間、室温で放置した(以下、それぞれ、操作1〜3という。)。これらの溶液を濾紙により濾過し、香気成分を含むユリ花弁成分の溶液を190ml回収した。この抽出液10mlをジエチルエーテル1mlで抽出し、エーテル抽出液をGC-MSにより分析した。
以下の表2に示すとおり、抽出液に2%のクエン酸と1%のアスコルビン酸を加えた操作1と抽出液に2%の酒石酸と1%のアスコルビン酸またはα-トコフェロールを加えた操作2および3とを比較すると、操作2、3の方がヤマユリの香りの抽出成分量が多いことが分かる。また、操作2、3による抽出物の方が、香も良好であった。
実施例1において特に香が良好な抽出物が得られた、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%のクエン酸と1%のアスコルビン酸を加えた水溶液、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%の酒石酸と1%のアスコルビン酸を加えた水溶液、および、1,3-ブタンジオール50%水溶液に2%の酒石酸と1%のα-トコフェロールを加えた水溶液、各200mlを、それぞれ270mm×280mmのポリエチレン袋に注入し、これに20個のヤマユリの花弁を浸漬し、密閉状態で2日間、室温で放置した(以下、それぞれ、操作1〜3という。)。これらの溶液を濾紙により濾過し、香気成分を含むユリ花弁成分の溶液を190ml回収した。この抽出液10mlをジエチルエーテル1mlで抽出し、エーテル抽出液をGC-MSにより分析した。
以下の表2に示すとおり、抽出液に2%のクエン酸と1%のアスコルビン酸を加えた操作1と抽出液に2%の酒石酸と1%のアスコルビン酸またはα-トコフェロールを加えた操作2および3とを比較すると、操作2、3の方がヤマユリの香りの抽出成分量が多いことが分かる。また、操作2、3による抽出物の方が、香も良好であった。
(実施例3)生け花状態にしたユリ花の減圧吸引によるコールドトラップ中へのユリ香気成分の回収
カサブランカ種の花(茎の部分を含む)20個を生け花状態にして密閉容器に入れ、−80℃のコールドトラップに接続したチューブをこの密閉容器に挿入し、このコールドトラップをチューブを介して水流ポンプに接続して、室温で3日間吸引した。この装置の概略を図1に示す。このコールドトラップ中の液体を回収したところ、ユリ特有の香りを確認した。
カサブランカ種の花(茎の部分を含む)20個を生け花状態にして密閉容器に入れ、−80℃のコールドトラップに接続したチューブをこの密閉容器に挿入し、このコールドトラップをチューブを介して水流ポンプに接続して、室温で3日間吸引した。この装置の概略を図1に示す。このコールドトラップ中の液体を回収したところ、ユリ特有の香りを確認した。
(実施例4)生け花状態にしたユリ花の減圧吸引による活性炭カラム中へのユリ香気成分の回収
カサブランカ種の花(茎の部分を含む)20個を生け花状態にして密閉容器に入れ、先端に活性炭カラムを取り付けたチューブをこの密閉容器に挿入し、チューブの他端を水流ポンプに接続して、室温で3日間吸引した。この装置の概略を図2に示す。この活性炭カラムを回収して、アセトンを流すことで、香気成分をアセトン溶液として回収し、次いでアセトンを除去することで香気成分を回収した。同様の実験を別に行い、回収した活性炭カラムにエーテルを流すことで、香気成分をエーテル溶液として回収し、次いでエーテルを除去することで香気成分を回収した。両者ともユリ特有の香りを確認した。
カサブランカ種の花(茎の部分を含む)20個を生け花状態にして密閉容器に入れ、先端に活性炭カラムを取り付けたチューブをこの密閉容器に挿入し、チューブの他端を水流ポンプに接続して、室温で3日間吸引した。この装置の概略を図2に示す。この活性炭カラムを回収して、アセトンを流すことで、香気成分をアセトン溶液として回収し、次いでアセトンを除去することで香気成分を回収した。同様の実験を別に行い、回収した活性炭カラムにエーテルを流すことで、香気成分をエーテル溶液として回収し、次いでエーテルを除去することで香気成分を回収した。両者ともユリ特有の香りを確認した。
Claims (6)
- 極性有機溶媒の水溶液に脂肪酸を加え、さらに、アスコルビン酸あるいはα-トコフェロールを添加した溶液を抽出溶液として、ユリ花弁から、常温でユリ花弁成分を抽出することを特徴とする、ユリ花弁成分抽出法。
- 極性有機溶媒が1,3-ブタンジオールであることを特徴とする、〈1〉に記載の抽出法。
- 脂肪酸がクエン酸または酒石酸であることを特徴とする、〈1〉または〈2〉に記載の抽出法。
- ユリ花弁成分の抽出をポリエチレン袋中で行うことを特徴とする、〈1〉〜〈3〉に記載の抽出法。
- 密閉容器内でユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行い、吸引経路に設けたコールドトラップ中に香気成分を回収することを特徴とする、ユリ花弁成分抽出法。
- 密閉容器内でユリの花を生け花の状態にして、減圧吸引を行い、吸引経路に設けた活性炭トラップ中に香気成分を回収することを特徴とする、ユリ花弁成分抽出法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110672386A (zh) * | 2018-07-02 | 2020-01-10 | 长谷川香料株式会社 | 香气捕集系统、香气捕集方法、芳香液、芳香组合物和调合香料 |
CN114891564A (zh) * | 2022-04-18 | 2022-08-12 | 张朝风 | 一种植物性天然香料提取制备方法 |
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